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【発明の名称】 アンモニア含有廃液の処理方法
【発明者】 【氏名】小嶋 隆司
【氏名】真中 隆夫
【氏名】中田 淳
【氏名】八代 國治
【氏名】戸塚 敏子
【課題】アンモニアを次亜塩素酸で分解する従来の不連続点法では、pH5.6より低いとクロラミンが発生し、pHが9.5を超えると反応速度が遅くなる。このような欠点がないアンモニア分解法を提供する。

【解決手段】アンモニア含有廃液を次亜塩素酸塩で処理する方法において、pH10〜14、温度50℃から沸点の条件とすると、アンモニアが窒素と水に酸化分解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アンモニア含有廃液を次亜塩素酸塩で酸化分解処理する方法において、pH10〜14、温度50℃から沸点の条件で酸化分解処理を行うことを特徴とするアンモニア含有廃液の処理方法。
【請求項2】 前記アンモニア含有廃液のアンモニアの酸化分解反応の完了を酸化還元電位により検出することを特徴とする請求項1記載のアンモニア含有廃液の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湖沼や河川あるいは閉鎖海域の富栄養化の一因とされ、水質汚濁防止法の改正により平成14年から規制の対象となるアンモニア態窒素を含む廃液処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アンモニア含有廃液の処理方法として以下の方法が知られている。
1)アンモニアストリッピング+燃焼法2)不連続点法3)微生物処理法4)触媒式湿式酸化法【0003】アンモニアストリッピング+燃焼法は、ストリッピングで発生したアンモニアガスを燃焼させる方法である。微生物処理法は、微生物による分解のために長い滞留時間を要するので、大きな処理スペースが必要である。触媒式湿式酸化法は設備が高価であり、かつ圧力容器の免許が必要になる。上記の方法はいずれも設備コストが高額になる。
【0004】これに対して不連続点法は、次亜塩素酸ナトリウムによりアンモニアを酸化分解する方法である。不連続点法ではpH5.6〜9.5の間で処理が行われる(「公害防止の技術と法規」(水質編)丸善株式会社発行、第165頁)。pHが5.6より低い領域では、分解が困難な窒素化合物であるNCl3(トリクロラミン)の生成が多くなり、一方pHが9.5を超えると酸化反応が遅いという理由から上記範囲のpHが採用されている。
【0005】不連続点法における化学反応は次の(1)〜(5)の反応式で表される。
NH3+HClO→NH2Cl+H2O (1) NH2Cl+HClO→NHCl2+H2O (2) NHCl2+HClO→NCl3+H2O (3) NH2Cl+NHCl2→N2+3HCl (4) NH2Cl+NHCl2+HClO→N2O+4HCl (5)【0006】これらの複雑な反応が進行するために、酸化還元電位が安定しないので、反応の終了を酸化還元電位で検出するのは困難である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記の反応式(1)〜(5)で示されるように不連続点法ではモノクロラミン、ジクロラミン、トリクロラミンなどの窒素含有化合物が生成し、処理液中に残存し、完全な分解が困難であった。本発明者らは、アンモニア含有廃液の処理において副生成物としてこれらクロラミンを発生せずにアンモニアを完全に分解除去する方法について鋭意検討した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はアンモニア処理に関して設備コストの比較的低廉な不連続点法をより完全な方法にすべく検討を進めた。不連続点法における上記の反応式(1)、(2)、(3)より、pHが酸性側に傾くほど、クロラミンの発生が多くなることが判る。本発明者らは、NH3と次亜塩素酸塩の反応においてクロラミンの生成を経ずに直接窒素と水に分解する条件を検討したところ、pHを9.5以上、好ましくは10〜14とし、液温を40℃以上、好ましくは50℃〜沸点の間で処理することにより(6)式の反応でNH3が分解されることを確認して本発明を完成した。
2NH3+3NaClO→N2+3NaCl+3H2O (6)【0009】本発明においては、廃液をアルカリ性にして昇温するため、アンモニアの一部はストリッピングされるので、反応器にスクラバー付設もしくは空冷または水冷の還流冷却などの対策を講じて系外へのアンモニアの蒸散を防止する。
【0010】アンモニアを次亜塩素酸塩で酸化分解する反応におけるクロラミンの生成はアルカリ側で著しく減少し、pH9.5以上では実質的にはクロラミンは発生しない。従って、クロラミン発生なしにアンモニアを分解するにはpH域の制御が重要であり、廃液のpHは9.5以上、好ましくはpH10〜14の範囲が好ましい。
【0011】廃液のpHを9.5以上にすると、次亜塩素酸塩によるアンモニアの分解反応は常温では殆ど進行しない。しかしながら液温40℃以上、好ましくは50℃〜沸点の範囲にすることにより、分解反応が実用的速度で進行することが確認された。
【0012】有害物質の分解処理において、反応の完了を検出することが重要である。反応完了の検出には処理の信頼性を確保する上に必要であるだけでなく、薬剤の過剰投入を防止することにおいても重要である。アンモニア含有溶液をpH10、95℃の条件下で次亜塩素酸ナトリウム溶液を連続滴下した場合のORP電位変化を図1に示す。図1に示すように、反応完了時に約300mVから約600mVへの大幅な電位変化が認められた。このとき用いた測定電極は白金電極であり、参照電極はAg/AgCl電極である。電位が飛躍した直後の液を分析した結果、アンモニア、クロラミンともに検出されなかった。この時要した次亜塩素酸ナトリウムは、あらかじめ定量分析により確認された、アンモニア含有量に対してモル比で1.5倍であった。このことより(6)式の分解が起こったものと判断された。上記の結果から、本発明による次亜塩素酸ナトリウムを用いたアンモニア分解処理の終点は、ORP(酸化還元電位)の測定により検出可能であることが判った。以下、実施例により本発明を説明する。
【0013】図3に本発明実施例のアンモニア処理装置のフロー図を示した。図中、1は原水槽、2は次亜塩素酸ナトリウム溶液槽、3は水酸化ナトトリウム溶液槽、4は反応槽、5,6は定量ポンプ、7は送液ポンプ、8は攪拌機、9は温度計、10はORP電極、11はpH電極、12は送液ポンプ、13は電熱ヒーター、14はコントロールパネルである。
【0014】
【実施例】[実施例1]塩浴窒化処理工場の廃液処理工程で発生したアンモニアストリッピング吸収液を本発明により図2の装置を用いて分解処理した。アンモニア態窒素を6000mg/L含有し、pH12のアンモニアストリッピング吸収液0.5m3を原水槽1から反応槽4に送液し、85℃に加温後、ORP電位を400mVに設定し、液を撹拌しながら10%NaClO溶液を200L/hの投入速度で投入した。ORP電位が設定電位に到達した時点で次亜塩素酸ナトリウムの投入は停止された。少過剰量の次亜塩素酸ナトリウムの分解を促進するため、更に30分間撹拌した。10%次亜塩素酸ナトリウム溶液の使用量は220Lで、モル比でNH3の1.5倍であった。分析の結果クロラミンも副生せず、N−NH3及びT−Nは全く検出されなかった。
【0015】[実施例2]塩浴窒化処理工場の廃液処理工程で発生したアンモニア態窒素を3130mg/L含有するアンモニアストリッピング吸収液(pH12)を本発明法に基づいてアンモニア分解処理した。このアンモニアストリッピング吸収液500Lを75℃に加温後、ORP電位を400mVに設定し、液を撹拌しながら10%NaClO溶液を200L/hの投入速度で投入した。ORP電位が設定電位に達した時点で次亜塩素酸ナトリウムの投入を停止し、少過剰存在する次亜塩素酸ナトリウムの分解を促すため更に30分間撹拌を続けた。
【0016】
【発明の効果】本発明により、設備費が低廉でかつ分解処理の信頼性が高いアンモニア分解処理が可能となった。
【出願人】 【識別番号】000229597
【氏名又は名称】日本パーカライジング株式会社
【識別番号】000111845
【氏名又は名称】パーカー熱処理工業株式会社
【出願日】 平成13年11月7日(2001.11.7)
【代理人】 【識別番号】100077528
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 卓雄
【公開番号】 特開2003−145178(P2003−145178A)
【公開日】 平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願番号】 特願2001−342115(P2001−342115)