トップ :: C 化学 冶金 :: C02 水,廃水,下水または汚泥の処理

【発明の名称】 NF膜による硬水軟化方法及び装置
【発明者】 【氏名】吉田 靖
【住所又は居所】東京都大田区田園調布南30番3号 有限会社オーランズ内
【氏名】西村 守史
【住所又は居所】東京都狛江市岩戸南3丁目21番3号 有限会社アプロテック内
【課題】本発明は、NF膜を用いて原水中の硬度成分を除去し、容易に軟水を得ることを目的とする。

【解決手段】本発明によるNF膜による硬水軟化方法は、原水(2)中に含まれる硬度成分を除去するようにした硬水軟化方法において、前記原水(2)を脱酸剤(3a)および防スケール剤(4a)により前処理した後、NF膜(9)を経て前記原水(2)中の硬度成分を膜分離することにより原水(2)を軟水化する方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 原水(2)中に含まれる硬度成分を除去するようにした硬水軟化方法において、前記原水(2)を脱酸剤(3a)および防スケール剤(4a)により前処理した後、NF膜(9)を経て前記原水(2)中の硬度成分を膜分離する事により前記原水(2)を軟水化することを特徴とするNF膜による硬水軟化方法。
【請求項2】 原水(2)中に含まれる硬度成分を除去するようにした硬水軟化装置において、前記原水(2)を加圧するための加圧ポンプ(2A)と、前記加圧ポンプ(2A)によって加圧された加圧原水(2a)に脱酸剤(3a)及び防スケール剤(4a)を注入するための第1、第2注入装置(34)と、前記脱酸剤(3a)及び防スケール剤(4a)を注入した後の注入後原水(2aA)中の硬度成分を除去するためのNF膜とを備えたことを特徴とする硬水軟化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下水、河川水、上水等の原水中に溶存している硬度成分をNF膜を用いて効率的にするための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、原水中のカルシウム、マグネシウム等の硬度成分は一般に陽イオン交換樹脂によるイオン交換法により処理されているが、イオン交換樹脂の交換能力が劣化した状態において、この交換樹脂を再生する事が必要とされる。この再生は樹脂層の前洗浄、塩水(再生塩水)による交換樹脂の再生、樹脂層間の塩分の先出し、樹脂層の後洗浄、の各工程から成り立っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来のイオン交換による硬水軟化方法は、従来一般的な処理方法であるが、その再生に塩(NaCL)を使用するために原水中の硬度成分が多い国、地域については多量の塩を必要とする。そのための塩のコスト、塩輸送の運搬費、ユーザーでの塩取扱の労務費、島国、離島での供給不足時(不安定供給)のための大量在庫、等の課題を抱えている。また、国、地域によって再生塩の純度、質に差異があるためイオン交換樹脂の再生効率、処理水としての軟化採水量に影響を及ぼし安定的に軟水を得ることは困難であった。
【0004】本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、原水中に含まれている硬度成分をNF膜を用いて効率的に除去することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によるNF膜による硬水軟化方法は、原水中に含まれる硬度成分を除去するようにした硬水軟化方法において、前記原水を脱酸剤および防スケール剤により前処理した後、NF膜を経て前記原水中の硬度成分を膜分離する事により前記原水を軟水化する方法であり、また、 本発明によるNF膜による硬水軟化装置は、原水中に含まれる硬度成分を除去するようにした硬水軟化装置において、前記原水を加圧するための加圧ポンプと、前記加圧ポンプによって加圧された加圧原水に脱酸剤及び防スケール剤を注入するための第1、第2注入装置と、前記脱酸剤及び防スケール剤を注入した後の注入後原水中の硬度成分を除去するためのNF膜とを備えた構成である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明によるNF膜による硬水軟化方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。図1の処理系統図において符号1で示されるものは、原水2が供給される原水槽(この原水槽1は雑菌、有機物の繁殖を防ぐ観点からは設けない方がよい)であり、この原水槽1からの原水2は加圧ポンプ2Aで加圧されて加圧原水2aとして圧力計Aを介して第1段フィルタ5に送られる。
【0007】前述の加圧原水2aには、殺菌剤用の第1注入装置3からの脱酸剤3aとしての重亜硫酸ソーダ及び防スケール剤用の第2注入装置4からの防スケール剤4aが注入されている。前記第1段フィルタ5には、前述の脱酸剤3a及び防スケール剤4aを注入した後の注入後原水2aAが供給されており、この第1段フィルタ5を経た注入後原水2aAは第2段フィルタ6、圧力計B、流量計7、水質計8を経て周知のNF膜9に供給されるように構成されている。
【0008】前記NF膜9の濃縮排水9aの一部は流量計13、バルブ11により排水として放流され、他が流量計12、バルブ10を介して加圧ポンプ2Aの一次側に循環供給されるように構成され、この濃縮循環水の量は前記NF膜9の選定時に設定された量をバルブ10、11、流量計12、13によって管理する様に構成されている。又、圧力計CはNF膜9の二次側圧力(濃縮排水側圧力)を測定するものであり、バルブ14はテスト時に使用するバイパスバルブである。
【0009】次に、前述の処理系統を用いて硬水を軟化する方法について説明する。本発明では原水2の供給状況によって原水槽1を設けるか否かを決める必要があるが、原水供給量が充分確保出来る場合は原水槽1での雑菌、有機物の繁殖を防ぐ意味から原水槽1は設けない方が好適である。これはNF膜9に対する二次的負荷を軽減する事になる。原水2は加圧ポンプ2Aに導入され、この加圧ポンプ2Aの吐出側にて重亜硫酸ソーダからなる脱酸剤3a及び防スケール剤4aを各注入装置3、4の薬液注入ポンプで連続注入する。前記加圧ポンプ2Aの操作圧力はNF膜9の操作圧力範囲0.2〜1.7Mpaの範囲であり、これはNF膜9選定時のシュミレーションによって決められる。
【0010】前記NF膜9はポリアミド系、ポリエーテル系などの合成高分子膜であり、塩素による酸化を受け、膜が劣化しやすいので滅菌の為の残留塩素は除去する必要がある。そこで、残留塩素の除去には溶存酸素の除去も兼ねて重亜硫酸ソーダ(NaHSO3)を脱酸剤3aとして原水2中に一定量連続注入している。原水2中の溶存酸素も又NF膜9面を劣化させ、有機物繁殖の一因となる事から重亜硫酸ソーダによる処理は効果的である。
【0011】NF膜9面でのスケール形成防止のために、防スケール剤4としてアニオニックス コポリマー(Anionic copolyner)(Organicacid族に属する複合成分薬品)を装置4の薬液注入ポンプによって原水3中に一定量を連続注入する。これにより原水2中の硬度成分はNF膜9面においてイオン状態を保ち、濃縮水排水9a側へ排水される。前記NF膜9には流入する原水2(用水)のSDI値が規定されている為、SDI値が基準以上の原水2に対してはSDI値を基準以下にする必要がある。その方法としてはSS等粗大懸濁物質が在る場合は多層式濾過装置を、微小懸濁物質については10ミクロン程度のカートリッジフィルターを第1段フィルタ5として使用し、第2段フィルタ6として5ミクロンのカートリッジフィルターを設ける。第2段フィルタ6の後でSDI値を5以下とする。このSDI値については一定期間毎にSDIテストキットで確認する。
【0012】前述のように前処理された原水2は流量計7により設定水量がNF膜9へと導入される。本発明の硬水軟化装置は一般設備用水、飲料用水を対象としている事から、処理水中の全硬度を0にするものではない。処理水硬度30〜50ppm以下を目標とする為に、原水2中の硬度成分を含む各種イオンが100%又はそれに近い除去率となるRO膜を使用せずにNF膜9を使用する所以である。そのためのNF膜9の選定は原水硬度、処理水用途によりその都度決めるものである。
【0013】NF膜9の回収率はその構成がスパイラル型TFC膜(15%)と中空糸膜型(30%)とでは異なるが、回収率を上げるためにNF膜9の濃縮水排水9aを加圧ポンプ2Aの一次側へ戻す濃縮水循環の量はNF膜9選定時に設定された量をバルブ10、11で行う。濃縮循環を連続的に行うことによってNF膜9流入水濃度(TDS)が基準以上になることを防ぐために水質計8により監視し、NF膜9流入錐濃度(TDS)が基準値に近くなった時点でバルブ10、11により濃縮循環水を制限する。
【0014】NF膜の運転状態はNF膜9への流入側の圧力計B、流量計7、水質計8と濃縮排水側の圧力計C、流量計12、13で監視運転され、処理水(軟水)は装置外へ給水される。各計器の設定値は試運転時の値が基準となる。
【0015】本発明は公知のNF膜9の技術データを基にシュミレーションとして説明する。ここで使用するNF膜9の技術データはダウ・ケミカル社製フィルムテックTFC型膜によるものである。
前記シュミレーションの運転条件は次の通り要求処理水量10m3/Hr、回収率75%、濃縮循環水量7M3/Hr、水温25℃原水、処理水の水質は表−1の第1表の通り(原水水質はグアム市水を参考とした)である。
【0016】
【表1】

【0017】前述の第1表のシュミレーション結果より、NF膜9の組み合わせによって原水2中の硬度成分を選択的に分離する事が出来る。
【0018】
【発明の効果】本発明によるNF膜による硬水軟化方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、NF膜が原水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンを他のイオンより高い比率で分離する性能を有している事を利用して高効率に硬水軟化を行うことができる。また、原水に対して脱酸剤及び防スケール剤を供給しているため、塩素による酸化を防止し、膜の劣化を防止し、従来のイオン交換樹脂を用いた方法よりもそのメンテナンスが大幅に容易化される。
【出願人】 【識別番号】501444394
【氏名又は名称】有限会社アプロテック
【住所又は居所】東京都狛江市岩戸南3丁目21番3号
【識別番号】501444408
【氏名又は名称】有限会社オーランズ
【住所又は居所】東京都大田区田園調布南30番3号
【出願日】 平成13年11月15日(2001.11.15)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外7名)
【公開番号】 特開2003−145151(P2003−145151A)
【公開日】 平成15年5月20日(2003.5.20)
【出願番号】 特願2001−350285(P2001−350285)