トップ :: C 化学 冶金 :: C02 水,廃水,下水または汚泥の処理




【発明の名称】 水質制御システム
【発明者】 【氏名】田 口 健 二
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内

【氏名】久 保 貴 恵
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内

【氏名】村 山 清 一
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】金 子 政 雄
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】阿 部 法 光
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】鈴 木 節 雄
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】平 本 昭
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】工 藤 寿 雪
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】林 巧
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】中 井 達 也
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】居 安 巨太郎
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【要約】 【課題】前オゾン処理による凝集性の最適ポイントを凝集処理前後の蛍光強度差から把握し、前オゾン注入率を最適に制御可能にする水質制御システムを提供する。

【解決手段】水質制御システムは、水質制御システム被処理水にオゾンを注入する前オゾン処理工程部(9)と、前オゾン処理工程部でオゾンを注入された水に凝集剤を添加する凝集処理工程部(3)と、凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差を検出する蛍光強度差検出手段(10,11)と、蛍光強度差検出手段による検出信号に基づいて、凝集剤による凝集効果が最大となるように前オゾン処理工程部における前オゾン注入率を求める制御手段(13)と、制御手段で求めたオゾン注入率で、前オゾン処理工程部においてオゾンを注入するオゾン発生手段(14)と、を備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】被処理水にオゾンを注入する前オゾン処理工程部と、前記前オゾン処理工程部でオゾンを注入された水に凝集剤を添加する凝集処理工程部と、前記凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差を検出する蛍光強度差検出手段と、前記蛍光強度差検出手段による検出信号に基づいて、前記凝集剤による凝集効果が最大となるように前記前オゾン処理工程部における前オゾン注入率を求める制御手段と、前記制御手段で求めた前記オゾン注入率で、前記前オゾン処理工程部においてオゾンを注入するオゾン発生手段と、を備えることを特徴とする水質制御システム。
【請求項2】前記蛍光強度差検出手段は、前記前オゾン処理工程部でオゾンを注入された水の蛍光強度を検出する第1蛍光センサーと、前記凝集処理工程部で凝集剤を添加された水の蛍光強度を検出する第2蛍光センサーとを有することを特徴とする請求項1に記載の水質制御システム。
【請求項3】前記制御手段は、前記凝集処理工程部で添加される凝集剤の添加率を演算するを凝集剤添加率演算機能を有することを特徴とする請求項1に記載の水質制御システム。
【請求項4】前記制御手段は、前記凝集処理工程部で添加される凝集剤の添加率と、前記凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差と、前記前オゾン処理工程部における前オゾン注入率との間で得られた関係データを記録したデータベースを有し、前記制御手段は、前記データベースを参照して、前記蛍光強度差検出手段による検出信号に基づいて、前記前オゾン注入率を求めることを特徴とする請求項1に記載の水質制御システム。
【請求項5】前記凝集剤を添加する前の水と後の水との間で採水を切り替える採水切替手段を備え、前記蛍光強度差検出手段は、前記採水切替手段によって切り替えられた前記凝集剤を添加する前の水と後の水の蛍光強度を検出する単一の蛍光センサーを有することを特徴とする請求項1に記載の水質制御システム。
【請求項6】前記制御手段は、前記凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差が最大となるように前記前オゾン注入率を求めることを特徴とする請求項1に記載の水質制御システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、浄水処理における凝集性の改善に係り、特に前オゾン処理の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、郊外における急激な人口増加やそれに下水道整備の遅れなどから、窒素・リン・有機物等を含んだ家庭排水等が未処理の状態で河川や湖沼等の公共水域に流入し、富栄養化を促進させる要因になっている。一方、都市部における水需要の増加が、富栄養化が進んだ水源からの取水をさらに増加させているのが現状である。
【0003】水源となる、湖沼では間欠式揚水棟筒やエアレーションによる水質改善が実施されているが、広大な水域の水質を改善するための施設や運転費にコストがかかり、普及していないのが現状である。さらに、硫酸銅散布による殺藻も一部で行われているが、魚類など他の生物環境(生態系)への影響も懸念されるため、実施例は非常に少ない。
【0004】富栄養化が進んだ水源では、藻類(植物性プランクトン)が大量に発生することがあり、これが凝集阻害の一因となり浄水水質の低下を招くことがある。また、藻類が増大すると炭酸同化作用等によりpH値が上昇し、最適凝集範囲(ポリ塩化アルミニウムではpH6.0〜8.5)を外れ、これを補うため凝集剤の過剰注入などが生じたりして凝集処理を困難にしていた。
【0005】凝集阻害が発生すると、上澄み水の濁度上昇、凝集剤の処理水への残留、藻類の砂ろ過水への流出、藻類が代謝する酸素気泡によるフロックの上昇、凝集剤過剰注入に起因する軽量フロックの生成とその流出による砂ろ過閉塞等を引き起こしていた。
【0006】凝集性を左右する大きな要因としては、原水中に含まれるコロイド粒子の性状・電荷状態と藻類の影響がある。まず、前者について説明する。原水中に含まれるコロイド粒子、細菌類、藻類、浮遊物質等はほとんどが負の電荷を帯びており、相互の荷電によって反発しあい安定な分散系を構成している。
【0007】通常、このような系に凝集剤を添加すると、凝集剤が加水分解されて正に荷電した多価の金属水酸化ポリマーの生成により、コロイド粒子等の表面電荷は中和され相互の反発力がなくなくなる。反発力を失ったコロイド粒子等は、分子間力により結合してマイクロフロックになる。このマイクロフロックが互いに衝突することにより、自重沈殿可能な大きなフロックに成長する。また、金属水酸化ポリマーがマイクロフロック間の架橋作用を果たすことによってもフロックの成長が促進される。
【0008】コロイド表面の電気的性質を示すのにゼータ電位が用いられている。この電位の絶対値が大きいと粒子間の電気的反発力が大きく凝集しない。一般にゼータ電位が±10mV程度の範囲にあれば分子間力による結合が可能になると言われている。ゼータ電位計を用いた凝集剤制御も一部の機場で実施されている例もあるが、ゼータ電位計は非常に高価であり、またこの制御方法では藻類の除去対策とはならず凝集性を改善する手法を持ち合わせていない。
【0009】次に、凝集性を左右する一方の大きな要因である藻類の影響について説明する。藻類が代謝する有機物が凝集反応を妨げるとも言われており、効果的な藻類の除去対策が求められてきた。藻類の増大に対する浄水処理プロセスにおける対策として、従来処理では、一般的に前塩素添加による殺藻処理が行われている。しかし、前塩素処理では不連続点処理法によるアンモニア性窒素の除去を主に行うため、殺藻処理に必要な塩素量よりも大量に塩素を注入するため、原水中に含まれる有機物と塩素の反応によりトリハロメタン(THM)生成量が増加する問題がある。また、塩素臭など異臭味発生の要因ともなり最善の藻類除去対策とは言えないのが現状である。その他、膜処理による藻類の除去方法もあるが、大規模浄水場には不適である。
【0010】図9(a)に従来の前塩素処理法を用いた水質制御システムの浄水プロセスフローを示す。着水井1は、原水の水位や水量変動を平滑化及び原水量の把握のために設置されており、原水の水質状態を監視するために油膜センサーや毒物検知センサー等の各種センサーが設置されることがある。前塩素処理工程部2は、塩素剤の添加によりアンモニア性窒素の除去、鉄・マンガンを酸化して固形物にする他、凝集阻害を引き起こす藻類の殺藻を行なう。凝集処理工程部3は、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム、硫酸バンド等)の添加により前述のように原水中の浮遊物質や溶存物質をフロック化し、さらに前塩素処理工程部2にて酸化した鉄・マンガン及び殺藻した藻類をフロックとして取り込むものである。凝集処理工程部3は内部で急速撹拌工程部(薬品混和池)と緩速撹拌工程部(フロック形成池)に分かれており、急速撹拌工程部にて凝集剤の添加とマイクロフロックの生成、緩速撹拌工程部にてフロックの成長促進が行われる。沈殿処理工程部4は、自重沈殿可能までに成長させたフロック沈降させ、上澄み液を砂ろ過処理工程部5に送り出すものである。砂ろ過処理工程部5は、沈殿処理工程部4にて沈降しきれなかったフロックを捕捉・ろ過するものである。また、高感度濁度計による水質監視も行われている。後塩素処理工程部6は消毒用の塩素を添加するものであり、塩素添加率はろ過水の水質によって異なるが遊離残留塩素として1〜2mg/L程度を目安とし、残留塩素濃度の調整を行い、浄水として供給するものである。給水栓の末端で遊離残留塩素0.1mg/L以上を維持できるように添加率を制御する。
【0011】前塩素処理工程部2では、原水中に含まれる有機物と塩素の反応によりTHM生成量が増加する問題があることから、前塩素処理を止めて凝集処理工程3と砂ろ過処理工程部5の間で塩素処理を行う中塩素処理を導入する浄水場も出てきている。しかし、中塩素処理ではTHMの生成量はある程度抑制できるが、凝集添加以前に殺藻処理が行えないため、凝集阻害を抑制することが出来ない。
【0012】従来の前塩素処理による殺藻と凝集剤の添加量を増加させる方法は、THMの生成や処理コストの増加と共に軽量フロックの形成につながるため、汚濁の進んだ原水を用いている機場では回避したい方法である。
【0013】富栄養化が進んだ水源にて、水質を維持しつつ凝集性を改善するためには、塩素処理以外の手法で藻類を効率的に除去(殺藻)し、コロイド粒子等の表面電荷を中和すれば良いことが分かる。
【0014】一方、近年、原水水質の悪化への対応や「より安全でおいしい水」への関心の高まりから、オゾン処理と、粒状活性炭(GAC)や生物活性炭(BAC)処理を組み合わせた高度浄水処理が導入され始めている。高度浄水処理が導入・適用される原水は、汚濁(富栄養化)が進んだ河川・湖沼(ダム)水などである。
【0015】一般的な高度浄水処理におけるプロセスフローを図9(b)に示す。高度浄水処理では、図9(a)に示した従来の浄水プロセスフローから、前塩素処理工程部2を廃止して、砂ろ過処理工程部5と後塩素処理工程部6の間に、後オゾン処理工程部7とBAC処理工程部8を追加したものである。後オゾン処理工程部7は生物難分解性有機物の易分解性化、かび臭物質や異臭味の分解、鉄・マンガンの酸化などを行う。BAC処理工程部8は、有機物・かび臭物質・異臭味の吸着及び生物代謝を行うと共にアンモニア性窒素の除去を行う。つまり、従来前塩素処理工程部2で除去していたアンモニア性窒素をBAC処理工程部8で除去し、塩素剤の注入点が後塩素処理工程6だけになるためTHMの生成が大幅に抑制されるものである。しかしながら、藻類の除去工程部を有しておらず、藻類による凝集阻害が発生する浄水場では別途何らかの対策が必要となる。
【0016】上記とは別に凝集一砂ろ過水の水質管理として、高感度濁度計によるろ過池の維持管理、濁度監視が行われている。これは、クリプトスポリジウム等病原性微生物による水源汚染、水質事故が国内外で発生したため、1996年10月に厚生省より「クリプトスポリジウム暫定対策指針」が通達され、ろ過池の濁度を0.1度以下に管理するように求められているためである。ただし、高感度濁度計で測定できる物質は浮遊物質(SS)等の固形物や微粒子であり、溶存性の有機物までは把握できない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、凝集性を改善させる手法として前オゾン処理が知られている。
【0018】適正な前オゾン処理はコロイド粒子表面に作用してゼータ電位を低下させる効果があることが報告されている。
【0019】また前オゾン処理には、溶解性有機物の凝集沈殿作用、有機物分子の極性の増加により■有機物の多電解質への転換、■浮遊物質への変換、■化学凝集によるコロイドとマイクロフロック間の化学的架橋機能の増加作用、があると考えられている。
【0020】さらに前オゾン処理の他の作用・効果としてpHの緩衝効果があり、凝集剤の最適凝集範囲(ポリ塩化アルミニウムではpH6,0〜8.5)から多少外れていてもpH値を最適凝集範囲内に引き入れる作用がある。
【0021】オゾンの有する強力な酸化力による殺菌・殺藻作用等から、前塩素代替処理として有効である。
【0022】ただし、最適注入率を外れると凝集性の改善効果が上がらないばかりか、オゾンの過剰注入により浮遊物質を溶解性有機物に変換させて凝集性悪化させる場合がある。
【0023】また、従来、前オゾン注入率を適正に制御する指標やセンサーがなく、上記のようなデメリットもあるため、あまり積極的に適用されていなかった。
【0024】しかし、オンライン型蛍光分析計が開発され、蛍光強度と各種水質項目との相関、特に有機物やフルボ酸類に代表されるトリハロメタン前駆物質との相関が明らかになるに従い、オゾン処理を始め各種水質制御・監視系への適用が検討されるようになってきた。
【0025】蛍光強度とトリハロメタン前駆物質や有機物との相関については、特開平10−43776に示されている。
【0026】そこで、本発明の目的は、高度浄水処理において、前オゾン処理による凝集性の最適ポイントを凝集処理前後の蛍光強度差から把握し、前オゾン注入率を最適に制御可能にする水質制御システムを提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、被処理水にオゾンを注入する前オゾン処理工程部と、前記前オゾン処理工程部でオゾンを注入された水に凝集剤を添加する凝集処理工程部と、前記凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差を検出する蛍光強度差検出手段と、前記蛍光強度差検出手段による検出信号に基づいて、前記凝集剤による凝集効果が最大となるように前記前オゾン処理工程部における前オゾン注入率を求める制御手段と、前記制御手段で求めた前記オゾン注入率で、前記前オゾン処理工程部においてオゾンを注入するオゾン発生手段と、を備えることを特徴とする。
【0028】また、前記蛍光強度差検出手段は、前記前オゾン処理工程部でオゾンを注入された水の蛍光強度を検出する第1蛍光センサーと、前記凝集処理工程部で凝集剤を添加された水の蛍光強度を検出する第2蛍光センサーとを有することを特徴とする。
【0029】また、前記制御手段は、前記凝集処理工程部で添加される凝集剤の添加率を演算するを凝集剤添加率演算機能を有することを特徴とする。
【0030】また、前記制御手段は、前記凝集処理工程部で添加される凝集剤の添加率と、前記凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差と、前記前オゾン処理工程部における前オゾン注入率との間で得られた関係データを記録したデータベースを有し、前記制御手段は、前記データベースを参照して、前記蛍光強度差検出手段による検出信号に基づいて、前記前オゾン注入率を求めることを特徴とする。
【0031】また、前記凝集剤を添加する前の水と後の水との間で採水を切り替える採水切替手段を備え、前記蛍光強度差検出手段は、前記採水切替手段によって切り替えられた前記凝集剤を添加する前の水と後の水の蛍光強度を検出する単一の蛍光センサーを有することを特徴とする。
【0032】同一の凝集剤の添加率であっても前処理である前オゾン注入率の大きさによって凝集性が変化するので、最適の凝集性を得るための前オゾン注入率を求める必要があるが、上述の発明においては、凝集剤の添加前後の蛍光強度の差が最適の前オゾン注入率を得るための指標になることに着目し、凝集剤の添加前後の蛍光強度の差の検出データを参照し凝集剤による凝集性が最大になるように最適の前オゾン注入率を求める。
【0033】
【発明の実施の形態】以下本発明における第1の実施形態を、図1を参照して説明する。
【0034】図1において、水質制御システムは、凝集処理工程部3と、沈殿処理工程部4と、前オゾン処理工程部9と、前オゾン処理工程部9の直後に設置された蛍光センサー10と、凝集処理工程部3に設置された蛍光センサー11と、凝集剤添加設備12と、制御装置13と、オゾン発生設備14と、被処理水量計15と、発生オゾン濃度計16と、送気ガス量計17とを備えている。
【0035】次に、本実施の形態の作用について示す。なお、図9(b)に示す従来の高度処理と同じ構成要素である着水井1及び砂ろ過処理工程部5以降の図示と詳細な説明は省略する。
【0036】本実施例において、蛍光センサー10は前オゾン処理水の相対蛍光強度を測定するものであり、測定値FL1として制御装置13へ出カしている。
【0037】蛍光センサー11は凝集剤添加直後の相対蛍光強度を測定するものであり、測定値FL2として制御装置13へ出力している。
【0038】蛍光センサー10及び11は各処理水の相対蛍光強度を測定するものであるが、有機物濃度の代替指標としても利用可能である。
【0039】凝集剤注入設備12は、規定量の凝集剤を前オゾン処理水に添加するための設備であり、本実施例では凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いている。もちろん他の凝集剤、硫酸バンド、塩化鉄系、ポリシリカ鉄系、ポリアクリルアミド系の凝集剤も被処理水質や浄水施設の対応により適用が可能である。
【0040】凝集処理工程部3における凝集剤添加率は、20〜40mg/Lの範囲でオペレータがその日の原水や沈殿水・砂ろ過水の水質(濁度等)に応じて経験値やジャーテスト等により設定しているが、概ね25〜35mg/Lの範囲に入ることが多い。
【0041】制御装置13には前記FL1及びFL2の他に、被処理水量計15の測定値Q1、発生オゾン濃度計16の測定値Pinと、送気ガス量計17の測定値Qgとが入力されおり、最適前オゾン注入率Rma、最適オゾン発生量Dma、データの蓄積(データベースの構築)など種々の演算及び制御が行われる。また、制御装置13には凝集剤添加設備12における凝集剤添加量Gが監視信号として入力され、凝集剤添加率C(C=G/Q1)が計算されている。
【0042】制御装置13では、前オゾン処理後(凝集剤添加前)の相対蛍光強度FL1と凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2との相対蛍光強度の差△FL(△FL=FL1−FL2)と、そのときの前オゾン注入率R(R=Pin*Qg/Q1)が計算されている。
【0043】制御装置13において、△FLが最大値(△FLmax)を維持するような最適前オゾン注入率Rmaを求めるための演算ロジックを図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)を用いて説明する。
【0044】図2(a)及び図2(b)は、本実施例における前オゾン注入率による典型的な△FLの変化特性を表したものである。なお、図2(b)は△FLを拡大縮尺で示したものである(△FLは、以後同様)。図2(c)〜図2eは本実施例における△FLmaxを求める制御アルゴリズムを模式的に示したものである。
【0045】これら変化特性は、データベースとして制御装置13に蓄積されている。
【0046】■ 図2(c)に示すように制御開始時では、△FLmaxに対応した最適前オゾン注入率Rmaが不明なので、制御装置13の内部に蓄積されたデータベースとFL1とからフィードフォアード(FF)制御にて前オゾン注入率の初期値Rjが設定される。
【0047】■ このとき得られる相対蛍光強度差△FLjは、△FLmaxではない可能性があるので前オゾン注入率Rを段階的に増減させて、各前オゾン注入率Rと△FLの関係を制御装置13の中に記録し、近似曲線(関数)を作成することにより、△FLが最大値(△FLmax)となる最適前オゾン注入率Rmaをフィードフォアード(FB)制御により求めることができる。なお、前オゾン注入率の増減幅は任意に設定可能である。詳細なロジックを■〜■に示す通りである。
【0048】■ 前オゾン注入率の初期値が最適オゾン注入率に対して不足の場合(Rj)、前オゾン注入率Rを減少させると対応する△FLは減少する。
【0049】前オゾン注入率Rjに対してオゾン注入率を減じてRi1とした場合、対応する△FLは△FLjから△FLi1になり、△FLj>△FLi1である。
【0050】この場合、前オゾン注入率RをRjより増加させるべきと判断できるため、前オゾン注入率R=Rk1とし対応する△FLk1が得られる。
【0051】順次、前オゾン注入率をRk2、Rk3、‥‥、Rkn(n整数)、と増加させると、それらに対応する各△FL、つまり△FLk2、△FLk3、‥‥、△FLknが得られる。
【0052】■ このように得られた各前オゾン注入率Rと△FLの関係を制御装置13の中に記録し、図2(c)に示すような近似曲線を作成し最大値(△FLmax)を求め、それに対応する前オゾン注入率が最適前オゾン注入率Rmaとなる。
【0053】■ 図2(d)に示したように、前オゾン注入率の初期値が最適オゾン注入率に対して過剰の場合(Rp)、前オゾン注入率Rを増加させると対応する△FLは減少する。
【0054】前オゾン注入率Rpに対してオゾン注入率を増加させてRh1とした場合、対応する△FLは△FLpから△FLh1になり、△FLp>△FLh1である。
【0055】この場合、前オゾン注入率RをRpより減少させるべきと判断できるため、前オゾン注入率R=Rs1とし対応する△FLs1が得られる。
【0056】順次、前オゾン注入率をRs2、Rs3、‥‥、Rsn(n整数)、と減少させると、それらに対応する各△FL、つまり△FLs2、△FLs3、‥‥、△FLsnが得られる。
【0057】上記■と同様にして図2(d)のように、最適前オゾン注入率Rmaを求めることができる。
【0058】■ 図2eに示すように原水の水質変動やPAC添加率の変更に伴い、各前オゾン注入率Rと△FLの関係が、近似曲線1から近似曲線2のように変化した場合でも上記■〜■の制御動作を繰り返すことにより、新たな△FLmaxに対応した最適前オゾン注入率Rmaが求めることができる。
【0059】上記■〜■は、制御装置13における最適前オゾン注入率Rmaを求める演算ロジックの基本部分であるが、過去の前オゾン注入率Rと△FLの関係及びその近似曲線が順次蓄積されていくため、制御装置13の学習効果により制御精度が高まり、応答時間が早くなっていく。
【0060】なお、FL1及びFL2の測定値、△FLの最大値(△FLmax)及びその値を示す前オゾン注入率は被処理水質の性状及び凝集剤添加率によって異なってくるが、本実施例ではFL1は20〜50、△FL(相対蛍光強度の差)の値は2〜6程度、そのときの前オゾン注入率は0.3〜1mg/Lの範囲に入ることが多い。
【0061】制御装置13では、前記のように被処理水量計15の測定値Q1、発生オゾン濃度計16の測定値Pinと、送気ガス量計17の測定値Qgとが入力されおり、最適前オゾン注入率Rmaから最適オゾン発生量Dmaを順次演算・更新しており、オゾン発生設備14に出力している。オゾン発生設備14では最適オゾン発生量Dmaに基づき前オゾン処理のためのオゾン発生を行い、前オゾン処理工程9にて前オゾン処理が行われる。
【0062】このように殺藻及凝集性の改善が図るための最適な前オゾン注入制御が、常時実施されている。
【0063】なお、図9(a)に示した従来の通常処理において、前塩素処理工程部2にて除去したい鉄・マンガン等の無機物、アンモニア性窒素は、後オゾン処理工程部7及びBAC処理工程部8で除去を行うため、本実施例において特に問題となることはない。
【0064】以上説明したように相対蛍光強度を指標にして前オゾン注入率を最適に制御することにより、オゾンの有する強力な殺菌・酸化作用から、凝集性を阻害する藻類を除去するとともに、オゾンがコロイド粒子表面に作用してゼータ電位を低下させ凝集性を改善する効果を最大限に発揮させることができる。凝集沈殿水の水質が改善するため、砂ろ過処理工程部5以降の負荷を低減できる。
【0065】また、有機物やトリハロメタン前駆物質との相関が強い蛍光強度が効果的に低減できるため、実際に生成されるトリハロメタン量も低減することができる。
【0066】さらに、前オゾン注入の過不足による処理水質の低下を防止することができ、オゾン過剰注入によるランニングコスト(オゾン発生及び排オゾン処理)が低減できる。
【0067】次に、本発明における第2の実施の形態を、図3を参照して説明する。
【0068】図3において、水質制御システムは、凝集処理工程部3と、沈殿処理工程部4と、前オゾン処理工程部9と、前オゾン処理工程部9の直後に設置された蛍光センサー10と、凝集処理工程3に設置された蛍光センサー11と、凝集剤添加設備12と、オゾン発生設備14と、被処理水量計15と、発生オゾン濃度計16と、送気ガス量計17と、オゾン注入率演算装置18、データベース記録装置19、オゾン発生量演算装置20、とから構成されている。
【0069】以上説明したように、本実施例は図1に示す実施例1において制御装置13の代わりに、オゾン注入率演算装置18、データベース記録装置19、オゾン発生量演算装置20が付加された構成となっている。
【0070】次に、本発明の作用について示す。なお、図9(b)に示す従来の高度処理と同じ構成要素である着水井1及び砂ろ過処理工程部5以降の図示、詳細な説明は省略する。
【0071】本実施例において、蛍光センサー10は前オゾン処理水の相対蛍光強度を測定するものであり、測定値FL1としてオゾン注入率演算装置18へ出力している。
【0072】蛍光センサー11は凝集剤添加直後の相対蛍光強度を測定するものであり、測定値FL2としてオゾン注入率演算装置18へ出力している。
【0073】蛍光センサー10及び11は各処理水の相対蛍光強度を測定するものであるが、有機物濃度の代替指標としても利用可能である。
【0074】凝集剤注入設備12は、規定量の凝集剤を前オゾン処理水に添加するための設備であり、本実施例では凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(PAC)を用いている。もちろん他の凝集剤、硫酸バンド、ポリシリカ鉄系、ポリアクリルアミド系の凝集剤も被処理水質や浄水施設の対応により適用が可能である。
【0075】凝集処理工程部3おける凝集剤添加率は、20〜40mg/Lの範囲でオペレータがその日の原水水質(濁度等)に応じて経験値により設定しているが、概ね25〜35mg/Lの範囲こ入ることが多い。
【0076】オゾン注入率演算装置18は、現在の前オゾン注入率R、前オゾン処理後(凝集剤添加前)の相対蛍光強度FL1と凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2との相対蛍光強度の差△FL(△FL=FL1−FL2)と、データベース記録装置19に蓄積されたデータとから、最適前オゾン注入率Rmaを演算しオゾン発生量演算装置20へ出力する。
【0077】データベース記録装置19には、凝集剤注入設備12における凝集剤添加量Gが監視信号として入力され、凝集剤添加率C(C=G/Q1)の計算を行い、過去の前オゾン注入率Rと△FL(△FL=FL1−FL2)の関係及びそのデータから得られる近似曲線がデータベースとして構築され順次蓄積されている。また、オゾン注入率演算装置18と連動して最適前オゾン注入率Rmaを演算するに必要な各種水質データを提供する。
【0078】オゾン発生量演算装置20は、被処理水量計15の測定値Q1、発生オゾン濃度計16の測定値Pinと、送気ガス量計17の測定値Qgとが入力されおり、これらの計測値と前記オゾン注入率演算装置18にて求められた最適前オゾン注入率Rmaから、必要とするオゾン発生量Dmaを演算しオゾン発生設備14に出力している。また、現在の前オゾン注入率R(R=Pin*Qg/Q1)が計算されている。
【0079】オゾン注入率演算装置18にて、△FLが最大値(△FLmax)を維持するような最適前オゾン注入率Rmaを求める演算ロジックを実施例1と同様に図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)を用いて説明する。
【0080】図2(a)及び図2(b)は、本実施例における前オゾン注入率による典型的な△FLの変化特性を表したものである。図2(c)〜図2(e)は本実施例における△FLmaxを求める制御アルゴリズムを模式的に示したものである。これらは実施例1と同様である。
【0081】なお、これら変化特性はデータベース記録装置19に蓄積されている。
【0082】■ 図2(c)に示すように制御開始時では、△FLmaxに対応した最適前オゾン注入率Rmaが不明なので、データベース記録装置19に蓄積された各種水質データとFL1とからフィードフォアード(FF)制御によって前オゾン注入率の初期値Rjが設定される。
【0083】■ このとき得られる相対蛍光強度差△FLjは、△FLmaxではない可能性があるので前オゾン注入率Rを段階的に増減させて、各前オゾン注入率Rと△FLの関係をデータベース記録装置19の中に記録し、近似曲線(関数)を作成する。
【0084】オゾン注入率演算装置18は、データベース記録装置19上に作成された近似曲線から△FLが最大値(△FLmax)となる最適前オゾン注入率Rmaをフィードフォアード(FB)制御により求めることができる。なお、前オゾン注入率の増減幅は任意に設定可能である。詳細なロジックを■〜■に示す通りである。
【0085】■ 前オゾン注入率の初期値が最適オゾン注入率に対して不足の場合(Rj)、前オゾン注入率Rを減少させると対応する△FLは減少する。
【0086】前オゾン注入率Rjに対してオゾン注入率を減じてRi1とした場合、対応する△FLは△FLjから△FLi1になり、△FLj>△FLi1である。
【0087】この場合、前オゾン注入率RをRjより増加させるべきと判断できるため、前オゾン注入率R=Rk1とし対応する△FLk1が得られる。
【0088】順次、前オゾン注入率をRk2、Rk3、‥‥、Rkn(n整数)、と増加させると、それらに対応する各△FL、つまり△FLk2、△FLk3、‥‥、△FLknが得られる。
【0089】■ このように得られた各前オゾン注入率Rと△FLの関係をデータベース記録装置19の中に蓄積し、図2(c)に示すような近似曲線を作成しその最大値(△FLmax)を求め、それに対応する前オゾン注入率が最適前オゾン注入率Rmaとなる。
【0090】■ 図2(d)に示したように、前オゾン注入率の初期値が最適オゾン注入率に対して過剰の場合(Rp)、前オゾン注入率Rを増加させると対応する△FLは減少する。前オゾン注入率Rpに対してオゾン注入率を増加させてRh1とした場合、対応する△FLは△FLpから△FLh1になり、△FLp>△FLh1である。
【0091】この場合、前オゾン注入率RをRpより減少させるべきと判断できるため、前オゾン注入率R=Rs1とし対応する△FLs1が得られる。
【0092】順次、前オゾン注入率をRs2、Rs3、‥‥、Rsn(n整数)、と減少させると、それらに対応する各△FL、つまり△FLs2、△FLs3、‥‥、△FLsnが得られる。
【0093】上記■と同様にして図2(d)のように、最適前オゾン注入率Rmaを求めることができる。
【0094】■ 図2(e)に示すように原水の水質変動やPAC添加率の変更に伴い、各前オゾン注入率RとΔFLの関係が、近似曲線1から近似曲線2のように変化した場合でも上記■〜■の制御動作を繰り返すことにより、新たなΔFLmaxに対応した最適前オゾン注入率Rmaが求めることができる。
【0095】上記■〜■はオゾン注入率演算装置18における最適前オゾン注入率Rmaを求める演算ロジックの基本部分であるが、過去の前オゾン注入率RとΔFLの関係及びその近似曲線がデータベース記録装置19に順次蓄積されていくため、オゾン注入率演算装置18とデータベース記録装置19が連動した学習効果により制御精度高まり、応答時間が早くなっていく。
【0096】なお、FL1及びFL2の測定値、ΔFLの最大値(ΔFLmax)及びその値を示す前オゾン注入率は被処理水質の性状及び凝集剤添加率によって異なってくるが、本実施例ではFL1は20〜50、ΔFL(相対蛍光強度の差)の値は2〜6程度、そのときの前オゾン注入率は0.3〜1mg/Lの範囲に入ることが多い。
【0097】オゾン発生量演算装置20では、前記のように被処理水良計15の測定値Q1、発生オゾン濃度計16の測定値Pinと、送気ガス量計17の測定値Qgとが入力されており、最適前オゾン注入率Rmaから最適オゾン発生量Dmaを順次演算・更新しており、オゾン発生設備14に出力している。オゾン発生設備14では最適オゾン発生量Dmaに基づき前オゾン処理のためのオゾン発生を行い、前オゾン処理工程9にて前オゾン処理が行われる。
【0098】このように殺藻及凝集性の改善が図るための最適な前オゾン注入制御が、常時実施されている。
【0099】なお、図9(a)に示した従来の通常処理において、前塩素処理工程部2にて除去した鉄・マンガン等の無機物、アンモニア性窒素は、後オゾン処理工程部7及びBAC処理工程部8で除去を行うため、本実施例において特に問題となることはない。
【0100】以上説明したように、実施例1と同様な効果が得られる。
【0101】次に、本発明における第3の実施形態を、図4を参照して説明する。
【0102】図4において、水質制御システムは、凝集処理工程部3と、沈殿処理工程部4と、前オゾン処理工程部9と、前オゾン処理工程部9の直後に設置された蛍光センサー10と、凝集処理工程部3に設置された蛍光センサー11と、凝集剤添加設備12と、オゾン発生設備14と、被処理水量計15と、発生オゾン濃度計16と、送気ガス量計17と、凝集剤添加率演算機能を備えた制御装置21と、から構成されている。
【0103】次に、本実施例の作用について示す。なお、図9(b)に示す従来の高度処理と同じ構成要素である着水井1及び砂ろ過処理工程5以降の図示、実施例1と同じ構成要素の詳細な説明は省略する。
【0104】本実施例は、実施例1の最適前オゾン注入率制御機能に付加して凝集剤添加率の制御も統括して行うものであり、制御装置21にて最適前オゾン注入率Rmaを求める制御ロジックは、実施例1と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0105】実施例1における最適前オゾン注入率制御は、凝集処理工程3における凝集性を最大限向上させるのには非常に効果てきであるが、凝集不良が起こらない条件下では浮遊物質やコロイド等の除去量は凝集剤添加率に依存する。
【0106】実施例1では、凝集剤添加率はオペレーターの手入力に設定されており、その設定値もジャーテストやオペレータの経験値に頼っている。
【0107】原水の水質変動が生じた場合、濁度や有機物負荷に応じて凝集処理工程3における凝集剤添加率Cを適宜増減できれば、凝集処理水の水質を安定させることができる。
【0108】次に凝集剤添加率演算機能を備えた制御装置21の作用について説明する。
【0109】制御装置21には、制御装置13と同等の計測値が入力されており、前オゾン処理水の相対蛍光強度FL1及び凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2、被処理水量計15の測定値Q1、発生オゾン濃度計16の測定値Pinと、送気ガス量計17の測定値Qg、凝集剤添加量G、とが入力されおり、最適前オゾン注入率Rma、最適オゾン発生量Dma、凝集剤添加率C及び最適凝集剤添加率Ca、データの蓄積(データベースの構築)など種々の演算及び制御が行われる。
【0110】制御装置21のには、相対蛍光強度の残存率Tf1、前オゾン注入率R、凝集剤添加率Cとの関係(相関式)がデータベースとして蓄積されており、また、相対蛍光強度の除去目標値FLcoが設定されている。
【0111】図5は、前オゾン処理なし(注入率0)の場合における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度FL0の関係、最適前オゾン注入率制御を行った場合(注入率Rma)における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度FL1との関係をそれぞれ示す。
【0112】図5に示すように最適前オゾン処理による相対蛍光強度差△FLz(=FL0−FL1)は、初期値(凝集剤添加率C=0の時の△FLz)を△FLz0とすると、凝集剤添加率Cの増加と共に、その差△FLzc(任意の凝集剤添加率Cにおける△FLz)が大きくなることが確認されている。
【0113】つまり、最適前オゾン注入率制御により、同一凝集剤添加率における凝集効果が向上していることが分かる。
【0114】
△FLz=FL0−FL1 ‥‥(1)
△FLz0≦FLzc ‥‥(2)
次に、最適前オゾン処理後(注入率Rma)における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度の残存率Tf1との関係を(3)式に示す。
【0115】
Tf1(%)=exp(−B*C)*100 ‥‥(3)
従って、最適前オゾン処理を行った後、凝集剤添加後における相対蛍光強度の予測値FLdは、以下のように計算される。
【0116】

図6(a)は、凝集剤添加率による相対蛍光強度の予測値を示したものであり、相対蛍光強度の除去目標値FLcoに対して、最適前オゾン処理水の相対蛍光強度FL1をFLcoにまで除去する必要な最適凝集剤添加率の目標値Cfが、(4)式にC=Cfを代入して変形した(5)式に示すような相関式用いてをフィードフォアード制御により求められている。
【0117】
Cf=−Ln(FLco/FL1)/B ‥‥(5)
制御装置21ではこのように求められた最適凝集剤添加率の目標値Cfを実際の添加量Gfに変換して凝集剤添加設備12に出力し、凝集剤添加設備12から凝集処理工程3へ凝集剤の添加が実施される。
【0118】ただし、図6(b)に示したようにフィードフォアード制御により求た最適凝集剤添加率の目標値CfがCaに対して、多少少ない場合(Cf1)や多い場合(Cf2)もあるので、凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2を指標としたフィードバック制御により凝集剤添加率の補正を行い最適凝集剤添加率Caを求め、それに応じてGfを最適添加量Gaに補正する。
【0119】前記のように最適前オゾン注入率制御を実施して凝集性を最大限に高め、凝集剤添加率Cに関しては最適前オゾン処理水(注入率Rma)の相対蛍光強度FL1を指標にフィードフォアード(FF)制御と、凝集剤添加前後の相対蛍光強度FL2を指標としたフィードフォアード(FB)制御の複合制御を行う。
【0120】なお、制御装置21では、最適前オゾン注入率Rmaを求める演算ロジック及、過去の前オゾン注入率Rと△FLの関係及びその近似曲線、凝集剤添加率Cf、Caの演算結果が順次蓄積されていくため、制御装置21の学習効果により制御精度高まり、応答時間が早くなっていく。
【0121】以上説明したように実施例1の効果に付加して、過不足のない凝集剤添加制御が行えると共に、最適前オゾン制御の効果により凝集性がより高まるため、同等の凝集除去効果を得るのに必要な凝集剤の低減が行える。
【0122】次に、本発明における第4の実施の形態を、図7を参照して説明する。本実施例は図7において、水質制御システムは、凝集処理工程部3と、沈殿処理工程部4と、前オゾン処理工程部9と、前オゾン処理工程部9の直後に設置された蛍光センサー10と、凝集処理工程部3に設置された蛍光センサー11と、凝集剤添加設備12と、オゾン発生設備14と、被処理水量計15と、発生オゾン濃度計16と、送気ガス量計17と、オゾン注入率演算装置18、データベース記録装置19、オゾン発生量演算装置20、凝集剤添加率演算装置22、とから構成されている。
【0123】以上説明したように、本実施例は図3に示す実施例2において、凝集剤添加率演算装置22が付加された構成となっている。
【0124】次に本明の作用について示す。従来例や実施例1〜3と同じ構成要素の詳細な説明は省略する。本実施例は、実施例2の最適前オゾン注入率制御機能に付加して凝集剤添加率の制御も統括して行うものであり、オゾン注入率演算装置18にて最適前オゾン注入率Rmaを求める制御ロジック及びオゾン発生量演算装置20の作用は、実施例2と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0125】次に凝集剤添加率演算装置22の作用について説明する。
【0126】凝集剤添加率演算装置22には凝集剤添加量Gが直接、オゾン注入率演算装置18経由で前オゾン処理水の相対蛍光強度FL1及び凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2が、オゾン発生量演算装置20経由で被処理水量計15の測定値Q1が、それぞれ入力されおり、凝集剤添加率C及び最適凝集剤添加率Ca、各種水質データの蓄積(データベースの構築)など種々の演算及び制御が行われる。
【0127】データベース記録装置19には、相対蛍光強度の残存率Tf1、前オゾン注入率R、凝集剤添加率Cとの関係(相関式)がデータベースとして蓄積されており、凝集剤添加率演算装置22には、相対蛍光強度の除去目標値FLcoが設定されている。
【0128】図5は、前オゾン処理なし(注入率0)の場合における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度FL0関係、最適前オゾン注入率制御を行った場合(注入率Rma)における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度FL1との関係をそれぞれ示す。
【0129】図5に示すように最適前オゾン処理による相対蛍光強度差△FLz(=FL0−FL1)は、初期値(凝集剤添加率C=0の時の△FLz)を△FLz0とすると、凝集剤添加率Cの増加と共に、その差△FLzc(任意の凝集剤添加率Cにおける△FLz)が大きくなることが確認されている。
【0130】つまり、最適前オゾン注入率制御により、同一凝集剤添加率における凝集効果が向上していることが分かる。
【0131】
△FLz=FL0−FL1 ‥‥(1)
△FLz0≦FLzc ‥‥(2)
次に、最適前オゾン処理後(注入率Rma)における凝集剤添加率Cと相対蛍光強度の残存率Tf1との関係を(3)式に示す。
【0132】

従って、最適前オゾン処理を行った後、凝集剤添加後における相対蛍光強度の予測値FLdは、以下のように計算される。
【0133】
FLd=FL1*exp(−B*C) ‥‥(4)
図6(a)は、凝集剤添加率による相対蛍光強度の予測値を示したものであり、相対蛍光強度の除去目標値FLcoに対して、最適前オゾン処理水の相対蛍光強度FL1をFLcoにまで除去する必要な最適凝集剤添加率の目標値Cfが、(4)式にC=Cfを代入して変形した(5)式に示すような相関式用いてをフィードフォアード制御により求められている。
【0134】
Cf=−Ln(FLco/FL1)/B ‥‥(5)
凝集剤添加率演算装置22ではこのように求められた最適凝集剤添加率の目標値Cfを実際の添加量Gfに変換して凝集剤添加設備12に出力し、凝集剤添加設備12から凝集処理工程3へ凝集剤の添加が実施される。
【0135】ただし、図6(b)に示したようにフィードフォアード制御により求た最適凝集剤添加率の目標値CfがCaに対して、多少少ない場合(Cf1)や多い場合(Cf2)もあるので、凝集剤添加直後の相対蛍光強度FL2を指標としたフィードバック制御により凝集剤添加率の補正を行い最適凝集剤添加率Caを求め、それに応じてGfを最適添加量Gaに補正する。
【0136】前記のように最適前オゾン注入率制御を実施して凝集性を最大限に高め、凝集剤添加率Cに関しては最適前オゾン処理水(注入率Rma)の相対蛍光強度FL1を指標にフィードフォアード(FF)制御と、凝集剤添加前後の相対蛍光強度FL2を指標としたフィードフォアード(FB)制御の複合制御を行う。
【0137】なお、データベース記録装置19には、最適前オゾン注入率Rmaを求める演算ロジック及、過去の前オゾン注入率Rと△FLの関係及びその近似曲線、凝集剤添加率Cf、Caの演算結果が順次蓄積されていくため、オゾン注入率演算装置18及び凝集剤添加率演算装置22の学習効果により制御精度高まり、応答時間が早くなっていく。
【0138】以上説明したように実施例2の効果に付加して、過不足のない凝集剤添加制御が行えると共に、最適前オゾン制御の効果により凝集性がより高まるため、同等の凝集除去効果を得るのに必要な凝集剤の低減が行える。
【0139】次に、本発明における第5の実施形態を、図8を参照して説明する。
【0140】図8において、水質制御システムは、凝集処理工程部3と、沈殿処理工程部4と、前オゾン処理工程部9と、蛍光センサー10と、凝集剤添加設備12と、制御装置13と、オゾン発生設備14と、被処理水量計15と、発生オゾン濃度計16と、送気ガス量計17と、採水切替装置23とから構成されている。
【0141】図8に示したように、本実施例は実施例1に対して、蛍光センサー23を省略して採水切替装置23を付加し、前オゾン処理工程9直後の相対蛍光強度FL1と、凝集処理工程3直後の相対蛍光強度FL2とを1台の蛍光センサー11にて計測する構成である。
【0142】次に本明の作用について示す。従来例や実施例1〜4と同じ構成要素の詳細な説明は省略する。
【0143】蛍光センサー11には、前オゾン処理工程部9の試料水と凝集処理工程部3の試料水が独立して送水されており、採水切替装置23にて一定の周期モードにより交互に試料水を切替て相対蛍光強度FL1及びFL2の測定を行う。
【0144】もちろん、蛍光センサー11による測定動作は採水切替装置23と連動しており、測定識別信号a、bのやり取りにより試料水の混合や誤測定(試料水の取り違い)を防止している。
【0145】蛍光センサー11にて測定されたFL1及びFL2はそれそれ測定識別信号a、bを含んで制御装置13に出力され、実施例1と同様の制御動作が実施される。
【0146】上記以外の作用は、実施例1と同一なため省略する。
【0147】以上説明したように実施例1〜4の効果に付加して、蛍光センサーが1台にて同等の制御が実施できるため、本実施例を導入するための初期コストが低減できる。
【0148】以上説明したように、本発明では、最適前オゾン注入制御により凝集性を阻害する藻類を除去するとともに、オゾンがコロイド粒子表面に作用してゼータ電位を低下させ凝集性を改善する効果が最大限に発揮させることができ、凝集沈殿水の水質が改善するため、砂ろ過処理工程以降の負荷が低減できる。また、凝集処理前後の蛍光強度を指標とした前オゾン注入制御により、凝集阻害を引き起こす藻類の除去、コロイド粒子表面の改質等による凝集性の改善を効果的に行い、水質向上をはかることができる。
【0149】また、有機物やトリハロメタン前駆物質との相関が強い蛍光強度が効果的に低減できるため、実際に生成されるトリハロメタン量も低減することができる。
【0150】さらに、前オゾン注入の過不足による処理水質の低下を防止することができ、オゾン過剰注入によるランニングコスト(オゾン発生及び排オゾン処理)を低減することができる。
【0151】また、最適前オゾン注入制御により、殺藻及凝集性の改善が図られる。
【0152】また、過不足のない凝集剤添加制御が行えると共に、最適前オゾン制御の効果により凝集性がより高まるため、同等の凝集除去効果を得るのに必要な凝集剤の低減が行える。前オゾン注入制御と凝集剤添加制御を統括して行うことにより、同等の処理効果が得られる凝集剤添加率を引き下げることができ、凝集剤のコスト削減が実現できる。
【0153】また、凝集剤を添加する前の水と後の水との間で採水を切り替える採水切替装置23を備えることにより、蛍光センサーが1台にて同等の制御が実施できるため、初期コストが低減できる。
【0154】また、制御装置13は、凝集剤を添加する前と後との間の蛍光強度の差が最大となるように前オゾン注入率を求めるようにすることにより、凝集効果が最大なる判断基準を具体的に規定し、制御手法の具体化が行うことができる。
【0155】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の構成によれば、前オゾン処理による凝集性の最適ポイントを凝集処理前後の蛍光強度差から把握し、前オゾン注入率を最適に制御可能にする水質制御システムを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成13年9月6日(2001.9.6)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次 (外5名)
【公開番号】 特開2003−80278(P2003−80278A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−270742(P2001−270742)