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【発明の名称】 有機物排水臭気の軽減材と軽減方法
【発明者】 【氏名】出口 泰宏

【氏名】山田島 常方

【要約】 【課題】各種残査排水、下水等の有機物排水臭気の軽減課題に関し、殊に有機物排水処理で使用されているグリーストラップ装置に用いて、臭気を簡単に、効率良く、安価に軽減する軽減材および軽減方法の課題に関する。

【解決手段】無害無毒で生分解性のある天然素材の脱核トルラ酵母の粉末を85%〜99%とし、不純物の少なく品質の安定した合成雲母の粉末を15%〜1%の範囲で混錬混和してなる平均粒度は1から150ミクロンの粉体を使用し、PH5〜9、温度摂氏5〜30℃の範囲の使用条件で用いると共に、軽減材の投入量が、投入槽の容積の0.5〜15%からなることを特徴として、有機物排水臭気の軽減を図れる利点を奏するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】脱核トルラ酵母を85%〜99%の主材とし、合成雲母を15%〜1%の範囲で混錬混和させて粉末状としてなることを特徴とする有機物排水臭気の軽減材。
【請求項2】脱核トルラ酵母がキャンディタ・ウチリス属のトルラ酵母から核酸を抽出除去して得られる高蛋白質の酵母(脱核酵母)の粉体を使用し、また混和する合成雲母はタルクを原料とした高純度フッ素雲母で、天然雲母と同一の結晶構造で不純物の少ない粉体を使用することを特徴とする請求項1記載の有機物排水臭気の軽減材。
【請求項3】平均粒度は1〜150μの粉体を使用し、PH5〜9、温度摂氏5〜30℃の範囲の使用条件で用いると共に、軽減材の投入量が、投入層の容積の0.5〜15%からなることを特徴とする請求項1または2に記載の有機物排水臭気用の軽減材。
【請求項4】請求項1から3に記載の臭気軽減材を有機物排水処理のグリーストラップ装置の排水中に投入して、その機器から発生する異臭を軽減してなることを特徴とする有機物排水臭気の軽減方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種残査排水、下水等の処理に好適な臭気処理剤に関し、殊に有機物排水処理で使用されているグリーストラップ装置に用いると、臭気を簡単に、効率良く、安価に軽減できる有機物排水臭気の軽減材およびこれを用いた排水臭気の軽減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】営業用厨房や社員・従業員用厨房等の有機物排水処理には、法令上、グリーストラップ装置を設置することが義務付けられている。このグリーストラップに流入す廃水から発生する異臭を軽減すべく各種の高分子・多価金属化合物または塩素系化合物等からなる臭気軽減材を使用している例があり、これらは環境上の有害物質が含まれている傾向が多かった。上記の軽減材は一般的に生分解性がないことから、処理水をそのまま河川湖沼へ放流した場合の環境汚染が懸念されている。また処理工程で収集する固形物にも軽減材残査分が混和されることから、埋め立てや焼却処理の場合も有害物質を排出する恐れがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は上記事情に鑑みて創案されたものであり、その主たる課題は無害無毒で生分解性がある粉末状の物質を用いることにより有機物排水処理工程のグリーストラップ装置の臭気を軽減させ、なお且つ残査の埋め立てや焼却の場合にも有害物質を排出せず、放流水の河川湖沼への影響の抑制を図る事ができる臭気軽減材の提供をすることにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を達成するために、請求項1の臭気軽減材の発明では、無害無毒で生分解性のある天然素材の脱核トルラ酵母の粉末を85%〜99%とし、不純物が少なく品質の安定した合成雲母の粉末を15%〜1%の範囲で混錬混和してなる、という技術的手段を講じている。請求項2の発明では、上記天然素材の脱核トルラ酵母は、各種の酵母群の中からキャンディタ・ウチリス属で核酸を除去抽出した高蛋白質の酵母を選択する技術的手段を講じている。
【0005】また請求項3の発明では、上記粉末粒度が1〜150μからなり、PHが5〜9、温度が摂氏5〜30℃の範囲の使用条件で用いられ、臭気軽減材の投入量が、投入槽の0,5〜15%からなる、という技術的手段を講じている。
【0006】請求項4の臭気軽減材を用いた臭気軽減方法の発明では、上記の臭気軽減材をグリーストラップ装置に投入して流入物や沈澱の臭気を軽減してなる、という技術的手段を講じている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の有機物排水処理におけるグリーストラップ方式に用いた臭気軽減材およびこれを用いた廃水の臭気軽減方法の実施実態について説明をする。この臭気軽減材は、天然素材で生分解性のある脱核トルラ酵母の粉末を85%〜99%とし、合成雲母を15%〜1%の範囲で混錬混和させたものである。この発明では、脱核トルラ酵母はキャンディタ・ウチリス属のトルラ酵母から核酸を抽出除去して得られる高蛋白質の酵母(脱核酵母)で、例えば、日本製紙株式会社製の商品名「酵母B」の粉体を使用し、また混和する合成雲母はタルクを原料とした高純度フッ素雲母で、天然雲母と同一の結晶構造で不純物の少ないものであり、例えばコープケミカル株式会社製の雲母、商品名「ソマシフ」の粉体を使用する。この発明での混錬混和方法は、脱核トルラ酵母と合成雲母の粉体を乾燥状態でミキサーまたは定量供給機付き混錬混和機で混錬混和をさせる。この場合比率は重量比とする。
【0008】ここで、天然素材の酵母群の中から脱核トルラ酵母(キャンディタ・ウチリス属であり、核酸を抽出除去したもの)を選択し、そしてタルクを原料とし高純度フッ素雲母合成品と混錬混和させたものを使用される。粉末粒度は1〜150μの範囲が好ましく、PHが5〜9、温度が摂氏5〜30℃の範囲で使用される。
【0009】このように混錬混和された臭気軽減材は、「空気調和・衛生工学会規格HASS−217−1991」に表示されている許容流入流量および標準阻集グリース量に従って設置されたグリーストラップ装置の廃水中に投入される。図1に示すグリーストラップ装置は投入層Tの上流側に流入口1を有し、流入された廃水は食物残査をバスケット2にて捕捉させた後、廃水、廃水に含まれるグリースをトラップする仕切り板3,4,5にて阻集させ、この廃水を投入槽Tの下流側のトラップ管6にて流出させる方式である。流入量や処理量により投入槽Tの容積が多仕様に亘って製品化されており、現状では60〜3000リットル容量の投入槽Tを備えたグリーストラップ装置が比較的多く製造または設置されており、容量の大小に関係なく殆どのものが図1と同様の方式を採用している。
【0010】そして、これらグリーストラップ装置の廃水のPH値は5〜9、温度は季節の変遷、流入廃水の温度により摂氏5〜30℃の範囲に変動しており、このグリーストラップ装置の投入槽Tのバスケット2、また仕切り板3の廃水中に、前述の平均粒度が1〜150μの粉体状の有機物排水臭気の軽減材を、投入量が対象投入槽Tの容積の0.5〜15%の範囲になるように投入をする。臭気軽減のメカニズムは脱核トルラ酵母に含まれるリグニンのフェノール性構造の巨大な分子構造(リグニンスルホン酸)による酸化還元性と、合成雲母が保持するインターカレーション(置換能力)によるものである。
【0011】以下に、この臭気軽減材を用いた実施例について説明をする。
「実施例」臭気軽減材は、脱核トルラ酵母99%と合成雲母1%からなる混錬混和品を用いた。そして脱核トルラ酵母は日本製紙株式会社製の商品名「酵母B」を用い、合成雲母はコープケミカル株式会社製の商品名「ソマシフ」を用いた。固液成分が98%の水分からなる厨房排水に対し、上記軽減材を流入量100リットル/日量のグリーストラップ(投入槽Tの容量100リットル仕様)に、脱核トルラ酵母(99%)と合成雲母(1%)混錬混和の臭気軽減材を500g(投入槽Tの容積の0.5%)を粉末状のまま排水に投入した。排水温度が摂氏25℃、流入PHは6であった。投入10日経過で、グリーストラップとその周辺配管からアンモニア等かなりの嫌悪臭気が感じられていたが、投入10日経過で、グリーストラップとその周辺からの臭気を軽減でき、且つグリーストラップ内の残査油分の軽減が見られた。これは脱核トルラ酵母に含まれるリグニンフェノール製構造を持つ巨大な分子構造(リグニンスルホン酸)による酸化還元性と合成雲母の持つインターカレーション(置換能力)が発揮された結果である。なお、脱核トルラ酵母と合成雲母の比率を1〜15%としているが、1〜5%の場合、100リットル(日量)
5〜10%の場合、100〜500リットル(日量)
10〜15%の場合、500〜3000リットル(日量)の範囲で使用する。これは流入速度が速いため、投入分が廃水中に停留する確率が低下し、本来の効果を発揮できない場合があることを勘案している。また廃水に含まれる油分(特にカップ即席麺)が日量0.3リットル以上の場合は、油分から発生する臭気と排水トラップに付着する油分を分解させるためにも必要である。投入量を増加させることによりこの臭気軽減材の保持する酸化還元能力と置換作用を速やかに作用させることができるので、使用側の要求に併せた使用が出来る。
【0012】以上の実施例では、その臭気、排水色の点において、従来法により得られた臭気軽減より優秀であるとのパネラーテスト結果を得た。
【表1】にその結果を示す。(パネラー15名)

【0013】
【発明の効果】上記のようにこの発明の臭気軽減材は、天然素材で生分解性のある脱核トルラ酵母の粉末と合成雲母粉末の混錬混和物を使用するので、取り扱いが容易で、安価に提供できると共にこれを使用するに必要な大規模な改良等を必要としない。また、生分解性を有するので残査の埋め立てや焼却した場合にも有害物質を排出せず、且つ放流による河川湖沼などの二次汚染の懸念が少ない。更に、脱核酵母の保持する肥料成分が残査へ混入する為、畑地などへの循環利用が可能となり、極めて有益な臭気軽減材と臭気軽減方法である。
【出願人】 【識別番号】501405971
【氏名又は名称】大田 忠司
【識別番号】500497788
【氏名又は名称】加藤 洋二
【識別番号】500498257
【氏名又は名称】尾崎 優
【識別番号】500497777
【氏名又は名称】石村 公宏
【識別番号】500497766
【氏名又は名称】山田島 常方
【出願日】 平成13年9月10日(2001.9.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−80235(P2003−80235A)
【公開日】 平成15年3月18日(2003.3.18)
【出願番号】 特願2001−319974(P2001−319974)