| 【発明の名称】 |
原子炉による水素製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡 芳明
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| 【要約】 |
【課題】原子炉からの熱を利用して水素を製造する水素製造方法を提供する。
【解決手段】原子炉炉心1は原子炉圧力容器2の中で核分裂連鎖反応により発熱する。原子炉圧力容器2には原子炉冷却系3を接続し、原子炉冷却系ポンプ4により冷却材を供給する。原子炉炉心1により加熱され高温となった冷却材を熱交換器9に導き、超臨界圧水素製造系5に熱を伝えさせる。超臨界圧水素製造系5は超臨界圧に保ち、系内の超臨界圧水に炭化水素を混入し、超臨界圧水素製造系ポンプ6により循環させる。超臨界圧水中で炭化水素の加水分解により発生した水素は、水素抽出装置10により回収する。炭化水素は、炭化水素貯蔵タンク11から炭化水素注入系ポンプ8の駆動力により炭化水素注入系7を通り、超臨界圧水素製造系5に供給される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】原子炉から発生する熱を利用して超臨界圧水を加熱し、これに炭化水素を混入し、その分解反応により水素を製造する方法。 【請求項2】請求項1に記載の水素製造方法において、原子炉として超臨界圧軽水冷却炉を用いることを特徴とする水素製造方法。 【請求項3】請求項2に記載の水素製造方法において、超臨界圧軽水炉を冷却するために炉心内を流れている超臨界圧水に、直接炭化水素を混入することを特徴とする水素製造方法。 【請求項4】請求項1、2、3に記載の水素製造方法において、原子炉で発生する熱のうち所定の割合を発電に利用し、残りの熱を水素製造に用いることを特徴とする水素製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は原子炉による水素製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】超臨界圧水は化学結合を切断するので、ダイオキシン等有害有機廃棄物処理に用いることができる。これまで分解生成物には着目されなかったが、超臨界圧水を用いて炭化水素を分解し、水素を製造できる。(吉澤善男「超臨界圧状態の高効率エネルギー変換技術への応用」日本学術振興会未来開拓研究推進事業「革新的未来型エネルギーの生成・変換の方式、材料、システム化」研究プロジェクト平成12年度研究成果報告書、平成13年6月、ページ88−98)水素は二酸化炭素や有害物質を排出しないクリーンな燃料であり、ガソリンや軽油に代わる将来の自動車用燃料として注目されている。 【0003】しかしながら、水素製造に必要な熱源として、石炭や石油などの化石燃料の燃焼を利用する場合、化石燃料には資源量に限りがあるため、人類の将来にわたって長期に水素を供給することはできない。さらには、炭酸ガスの排出による地球温暖化や有害物質の放出による大気汚染などの問題がある。これでは、自動車による大気汚染の発生源が、自動車走行時から水素製造時に移動するに過ぎない。 【0004】原子炉は地球温暖化ガスをほとんど発生せず、大気汚染も生じないエネルギー源である。これまでに世界で多くの原子力発電所の運転実績があり、安全で低コストであることが実証されている。また、核燃料サイクルが確立されれば、人類の将来にわたって長期にエネルギーを安定供給できる。 【0005】なかでも、超臨界圧軽水冷却炉は研究開発が最近盛んにおこなわれている新しい原子炉システムである。(岡芳明「超臨界圧軽水炉の概念」原子力工業、第38巻11月号、ページ71−77(1992))その特徴は、冷却材に超臨界圧軽水を用いることと、給水ポンプで昇圧された冷却水の全量が原子炉を冷却した後タービンへと向かう貫流直接サイクルを採用していることである。そのため、システムの大幅な簡素化が期待でき、経済性に優れているとして注目されている。 【0006】世界の1次エネルギー消費の約3分の1は輸送目的に用いられており、エネルギーキャリアとしての水素の製造に原子力エネルギーを用いることは、地球温暖化防止上重要である。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】炭化水素を超臨界圧水に混入させて水素を製造するには熱源が必要である。しかしながら、化石燃料の燃焼では、人類の将来にわたって長期に熱源として利用することはできない。また、大気汚染や地球温暖化といった問題も生じる。 【0008】本発明の目的は、人類の将来にわたって長期にしかも経済的に、水素を製造する方法を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、本発明では、水素製造のための熱源として、原子炉で発生する熱を利用する。原子炉は大気汚染を引き起こすことが無く、地球温暖化ガスもほとんど発生しないという優れた性質を持つ。さらに、核燃料サイクルが確立されれば、人類の将来にわたって長期に利用することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】図1を用いて本発明の原子炉による水素製造方法の第1の実施形態を示す。原子炉炉心1は原子炉圧力容器2の中で核分裂連鎖反応により発熱する。原子炉圧力容器2には原子炉冷却系3を接続し、原子炉冷却系ポンプ4により冷却材を供給する。原子炉炉心1により加熱され高温となった冷却材を熱交換器9に導き、超臨界圧水素製造系5に熱を伝えさせる。超臨界圧水素製造系5は超臨界圧に保ち、系内の超臨界圧水に炭化水素を混入し、超臨界圧水素製造系ポンプ6により循環させる。超臨界圧水中で炭化水素の分解により発生した水素は、水素抽出装置10により回収する。炭化水素は、炭化水素貯蔵タンク11から炭化水素注入系ポンプ8の駆動力により炭化水素注入系7を通り、超臨界圧水素製造系5に供給される。 【0011】ここで、原子炉の冷却材としては、軽水、重水、液体ナトリウム、ヘリウムガス、炭酸ガスなどが考えられる。 【0012】超臨界圧水素製造系の超臨界圧水に混入する炭化水素としては、天然ガス、石油、石炭、メタン、エタン、メタノール、エタノールなどが考えられる。 【0013】次に図2を用いて本発明の原子炉による水素製造方法の第2の実施形態を示す。ここでの特徴は、第1の実施形態における原子炉として、超臨界圧軽水冷却炉を用いることである。すなわち、図1における原子炉炉心1として図2にように超臨界圧軽水冷却炉炉心12を使用し、図1における原子炉圧力容器2として図2にように超臨界圧軽水冷却炉圧力容器13を使用し、図1における原子炉冷却系3として図2にように超臨界圧軽水冷却炉冷却系14を使用し、図1における原子炉冷却系ポンプ4として図2にように超臨界圧軽水冷却炉冷却系ポンプ15を使用する。 【0014】超臨界圧軽水冷却炉では、亜臨界圧軽水を冷却材とする現行の軽水炉よりも炉心出口温度を高温にすることができ、水素製造には有利である。また、原子炉システムが単純であるため、水素製造コストを安価にすることができる。 【0015】次に図3を用いて本発明の原子炉による水素製造方法の第3の実施形態を示す。ここでの特徴は、第2の実施形態における超臨界圧軽水冷却炉冷却系と超臨界圧水素製造系を合わせて単一の系統にしたものである。すなわち、超臨界圧水素製造系14から直接冷却材を超臨界圧軽水冷却炉炉心12に供給する。この場合、超臨界圧水素製造系に混入された炭化水素も炉心を通過することになる。超臨界圧軽水冷却炉炉心12を出た冷却材は水素抽出装置10に導かれ、ここで水素を回収する。 【0016】これは、超臨界圧水素製造系と超臨界圧軽水冷却炉冷却系のどちらの圧力も、軽水に対する超臨界圧であることから可能となるシステムである。系統数が少なくなるので、経済性がさらに向上すると期待できる。 【0017】次に図4を用いて本発明の原子炉による水素製造方法の第4の実施形態を示す。現在の商用原子炉のほとんどは発電用の大型原子炉であり、原子炉の熱を利用して高温高圧の蒸気を発生させ、これによりタービンを回して発電している。そこで、原子炉で発生する熱のうち所定の割合を発電に利用し、残りの熱を水素製造に用いる。 【0018】図4では、図1に示す原子炉による水素製造方法と発電用の系統を併せ持つ。すなわち、原子炉炉心1には、超臨界圧水素製造系5を加熱するための原子炉冷却系3、および、発電用冷却系原子炉入口配管16の両者から冷却材を供給する。原子炉炉心1で加熱された冷却材の一部は発電用冷却系原子炉出口配管17より発電用の系統に向かい、残りの冷却材は水素製造の熱源として用いる。 【0019】原子炉で発生する熱のうち所定の割合を発電に利用し、残りの熱を水素製造に用いるため、原子炉冷却系ポンプ4に原子炉冷却系ポンプ制御装置18を設置し、流量を制御する。最大流量とすれば水素製造量は最大となり、流量をゼロとすれば水素製造量はゼロとなる。原子炉の出力が一定であるとすると、水素製造量を増加させるにつれて逆に発電量は減少する。 【0020】原子炉で発生する熱のうち所定の割合を発電に利用し、残りの熱を水素製造に用いる方法としては、他に、原子炉冷却系に弁を設置してその開度を制御する方法、分岐管を設置して流量をバイパスさせ、そのバイパス量を制御する方法などが考えられる。 【0021】この実施形態では、発電と水素製造の両機能が1基の原子炉で可能になる。既存の発電用原子炉に対しては、付加的に水素製造システムを設置することにより実現できる。電気と水素の需要の変化に対応して、それぞれの生産量を変化させることができるという利点がある。 【0022】図4では、実施形態1の水素製造方法に対して発電システムを付加したものであるが、同様に、実施形態2、および、実施形態3に対して発電システムを付加してもよい。 【0023】 【発明の効果】本発明により、人類の将来にわたって長期にかつ経済的に水素を製造する方法を提供することができる。化石燃料を用いる現在の自動車が水素を燃料とする自動車に切り替えられれば、水素の需要は飛躍的に増大する。本発明はその需要を満たすことができる。水素の燃焼では有害物質は発生せず、水が生じるだけである。また、本発明のように原子炉を用いて水素の製造をおこなえば、水素製造時においても地球温暖化をもたらす二酸化炭素はほとんど発生せず、有害物質による大気汚染も生じない。従って、地球環境の保全にも有利である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598124618 【氏名又は名称】岡 芳明
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| 【出願日】 |
平成13年8月23日(2001.8.23) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−63801(P2003−63801A) |
| 【公開日】 |
平成15年3月5日(2003.3.5) |
| 【出願番号】 |
特願2001−298496(P2001−298496) |
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