| 【発明の名称】 |
流出油回収装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 浩一
【氏名】山之内 博
【氏名】疋田 賢次郎
【氏名】前田 利雄
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| 【要約】 |
【課題】より確実かつ効率的に氷海上等に流出した油を回収できる流出油回収装置を提供する。
【解決手段】流出油回収船1は、水面に対して傾斜角3〜15度傾き、後ろ側に行くほど水面下に沈んでいるネット11を備える。流出油回収船1が進行すると、油35が付着した氷塊37は、ネット11の下方に入り込み、ネットの下方に押し下げられる。そして、船1の移動によって、氷塊37がネット11に対して転がったりスライドして、氷塊37とネット11がこすれ、氷塊37から油39が分離する。分離した油は、ネット11の網目を通って水面上に浮上し、堰13の手前で油層41を形成する。油層41は、油吸引装置15で吸引される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 氷塊やゴミ等の浮遊物の存在する水面に流出した油を回収する装置であって、前記水面に対して相対的に移動する、該水面に対して傾斜角3〜15度傾き、後ろ側に行くほど水面下に沈んでいるネット又は格子体(両者合わせてネット等という)と、該ネットの上に浮上する油を回収する手段と、を具備することを特徴とする流出油回収装置。 【請求項2】 前記ネット等の開口寸法が0.8cm〜10cmであり、前記ネット等の水平方向長さL(m)をその移動速度V(m/sec)で割った値(滞留時間、sec)T=L/Vが2.5〜20(sec)であることを特徴とする請求項1記載の流出油回収装置。 【請求項3】 前記流出油回収手段が、前記ネット等の後方に配置されている堰と、該堰手前の水面に溜まった油層を吸引回収する吸引管と、油水界面を検知するセンサと、該センサで検知された油水界面上の油層に前記吸引管の先端を位置させる位置制御手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の流出油回収装置。 【請求項4】 前記ネット等が移動機構を備え、該移動機構により前記ネットを5cm/sec以下の速度で移動させることを特徴とする請求項1、2又は3記載の流出油回収装置。 【請求項5】 氷塊やゴミ等の浮遊物の存在する水面に流出した油を回収する装置であって、前記ネット等の後方に配置されている堰と、該堰手前の水面に溜まった油層を吸引回収する吸引管と、油水界面を検知するセンサと、該センサで検知された油水界面上の油層に前記吸引管の先端を位置させる位置制御手段と、を有する流出油回収手段を備え、前記位置制御手段を駆動して前記吸引管の口を前記センサで検知される油水界面の位置に応じた位置に移動し、前記流出油回収手段を作動させることを特徴とする流出油回収装置。 【請求項6】 前記油水界面位置検知センサが接触式センサ又は非接触式センサであって、該センサが接触式センサであり、前記流出油の粘度が大きい場合には、前記流出油回収手段の吸引管の口の位置を、前記センサで検知された油水界面上の油面から1cm程度の高さとなるように前記位置制御手段を駆動させることを特徴とする請求項5記載の流出油回収装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、事故により氷海域等に流出した原油や重油等の油を回収する流出油回収装置に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】油田やタンカー等の事故により海域に流出した油は、一般に、油回収船で回収される。氷海域に流出した場合、油は氷塊の水面下及び水面上の表面に付着する。氷塊の表面に付着した油は、流出初期であれば、海水で洗い流すと水と一緒にきれいに洗い流すことができ、容易に氷塊から分離する。そこで、このような氷塊に付着した油を回収するには、海上に浮遊している氷塊から油を確実に分離して、油のみを吸引等によって回収する必要がある。 【0003】この方法の一例が、Status of the Program Mechanical Oil Recovery in IceInfested Water (MORICE) に提案されている。この論文に述べられている油回収装置は、格子状のエンドレスベルトを、同ベルトの一部が水面上に位置するように設置する。そして、ベルトを後方に向かって回転させて、前方に位置する油が付着した氷塊を水面上のベルト上に引き上げる。そして、このベルト上において、氷塊に対して水を吹き付けて、油を氷塊から洗い流す。油はベルト下方に配置された油回収ユニット内に回収される。氷塊はベルトの回転によって後方に送られ、水面に戻される。 【0004】油回収ユニットには、3本の回転ブラシが備えられている。ブラシはユニット内で回転し、ユニット内の氷塊から分離した油と吹き付けられた水からなる液体から、油のみを付着させる。ブラシ上の水油混合液体から分離した油はこすり取られて回収される。 【0005】この方法においては、氷塊はベルト上を上昇移動中に油によって下方(前方)に滑り落ち易い。ベルトから前方に滑り落ちた氷塊はそこで集まってしまい、氷塊がベルト上に引き上げられにくい状態となる。 【0006】また、他の例として、特開2001−279651号に開示されている方法がある。この方法は、格子で画された水路と、この水路上に配置されたシャワー装置と、水路の水面下に配置された上昇水流発生装置を備える。水路に導かれた氷塊の水面上の部分に付着した油はシャワー装置で洗い落とされ、氷塊の水面下の部分に付着した油は上昇水流発生装置から発生する上昇水流によって洗い流される。氷塊から分離した油は、上昇水流が水面で左右に分かれた水流にのり、格子を通って左右に位置する油溜りに達し、そこで回収される。なお、氷塊は格子で遮られて水路に留まる。 【0007】この方法においては、シャワー装置や、水流を発生させるための多くの動力装置が必要であり、エネルギコストが大きくなる。 【0008】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、より確実かつ効率的に氷海上等に流出した油を回収できる流出油回収装置を提供することを目的とする。特には、動粘性率が3000ストークス以下の油の回収装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の第1の流出油回収装置は、 氷塊やゴミ等の浮遊物の存在する水面に流出した油を回収する装置であって、 前記水面に対して相対的に移動する、該水面に対して傾斜角3〜15度傾き、後ろ側に行くほど水面下に沈んでいるネット又は格子体(両者合わせてネット等という)と、該ネットの上に浮上する油を回収する手段と、を具備することを特徴とする。油が付着した氷塊やゴミは、傾斜したネット等の下方に入り込み、ネット等の下方に押し下げられる。そして、ネット等の移動によって、氷塊がネット等に対して転がったりスライドして、氷塊とネット等がこすれ、氷塊から油が分離する。分離した油は、ネット等の網目を通って水面上に浮上する。この方法により、氷塊の全表面から油を確実に分離させることができる。また、装置も簡易化できる。 【0010】本発明においては、 前記ネット等の開口寸法が0.8cm〜10cmであり、 前記ネット等の水平方向長さL(m)をその移動速度V(m/sec)で割った値(滞留時間、sec)T=L/Vが2.5〜20(sec)、特には4〜12secであることが好ましい。この条件を満たすように氷塊がネット等と接触する時間(滞留時間)を設定することにより、効率的に氷塊と油を分離させることができる。 【0011】本発明においては、 前記流出油回収手段が、 前記ネット等の後方に配置されている堰と、 該堰手前の水面に溜まった油層を吸引回収する吸引管と、油水界面を検知するセンサと、該センサで検知された油水界面上の油層に前記吸引管の先端を位置させる位置制御手段と、を有することが好ましい。ネット等によって氷塊から分離して浮上した油や、ネットを通過した単体で浮遊している油は後方に流れ、堰によって堰き止められて、そこで油が集積して油層を形成する。したがって、この部分の油を回収することにより、油のみを効率的に回収できる。 【0012】本発明においては、 前記ネット等が移動機構を備え、該移動機構により前記ネットを5cm/sec以下の速度で移動させることとしてもよい。氷塊の滞留時間を上述のように維持し、さらに、ネット等を低速で移動させることにより、よりスムーズに氷塊を後方に送ることができる。 【0013】本発明の第2の流出油回収装置は、 氷塊やゴミ等の浮遊物の存在する水面に流出した油を回収する装置であって、 前記ネット等の後方に配置されている堰と、該堰手前の水面に溜まった油層を吸引回収する吸引管と、油水界面を検知するセンサと、前記センサで検知された油水界面上の油層に前記吸引管の口を位置させる位置制御手段と、を有する流出油回収手段を備え、 前記位置制御手段を駆動して前記吸引管の口を前記センサで検知される油水界面の位置に応じた位置に移動し、前記流出油回収手段を作動させることを特徴とする。堰手前に集積した油水界面の位置に応じて油を回収するため、吸引管が水面下に潜ってしまい、油とともに水を吸引することがなく、油のみを吸引させることができる。 【0014】本発明においては、 前記油水界面位置検知センサが接触式センサ又は非接触式センサであって、 該センサが接触式センサであり、前記流出油の粘度が大きい場合には、前記流出油回収手段の吸引管の口の位置を、前記センサで検知された油水界面上の油面から1cm程度の高さとなるように前記位置制御手段を駆動させることが好ましい。油面から吸引管の口までを1cm程度離して吸引することにより、油のみを確実に吸引させることができる。また、流出油の粘度が大きい場合で、接触式センサを使用する場合、吸引管の口を、同センサで検知された油水界面から1cm程度離すことにより、センサに油が付着して深く潜り、吸引管の口が水中へ潜ることを防止できる。油水界面位置検知センサとして非接触センサを使用すれば、センサの検知面に油が付着したりして、センサの応答性に影響を与えることがない。この場合、同センサは油面の位置を検知する。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ説明する。最初に、本発明の流出油回収装置の基本的な作用と効果について、実験結果を元にして説明し、その後、流出油回収装置の具体的な実施の形態について説明する。以下の実験は、氷塊に付着した油を確実に分離すること、及び、水と油が混在する液体から油のみを効率的に回収すること、を目的として行った。 【0016】図3は、第1の実験装置を模式的に説明する図である。この実験装置100は、氷板101を浮かべた水中に堰103を設け、この堰103の前方の水中にネット105を斜めに張ったものである。堰103の水没部分の長さL1は7.5cmである。ネット105は、前方から後方に向かって下方向に傾斜するように配置されている。ネット105の全長L2は160cm、幅は45cmである。ネット105の先端は水面上に位置し、後端は水面下の堰103の下端に位置する。ネット105の水没部分の長さL3は120cmであり、ネット105の静止水面に対する傾斜角度θは3.6度である。ネット105はポリエチレン製の網である。そして、堰103の前方に複数の氷板101を浮かべ、堰103の前方から堰に向かって、流速8cm/secの水流を形成する。水流の方向を矢印で示す。 【0017】この状態で、ネット105の上流の水面上に12リットルのB重油107を注ぎ、堰103に向かって流した。そして、ネット105の格子間隔を、0.8×1.3cm、2.6×2.6cm、5.3×5.3cm、10.5×10.5cmと変化させた場合、及び、堰103に向かう水流の流速を0.08m/sec〜0.47m/secまで変化させた場合について、氷板と油の分離状態を観察した。 【0018】この結果、油が付着した氷板101や単体で浮遊している油は、まず、ネット105の先端と水面との間109からネット105の下に進む。そして、氷板101は水流によってネット105の下面に潜り込んでいく。この間に、氷板101はネット105に対して転がったり、スライドして、氷板101の表面とネット105がこすられるなどして、氷板101に付着している油が同板から分離する。分離した油はネット105の格子に付着して塊となり、ネット上方へ浮上していく。なお、氷板に付着していない油は、ネット105の格子の間を通り抜けて上昇する。そして、堰103とネット105で囲まれた部分111で、ネット105の上方に浮上した油の塊が堰103の手前まで流れていき、堰103で止められる。塊は堰103から下流には流れず、水面上に、厚さが厚く、ある面積をもった油層113を形成する。なお、油が離れた氷板101は、ネット105に沿って下流に流れ、堰103の下端を越えてさらに下流に流される。 【0019】このように、氷板の存在する水面に流出させた油を、氷板から確実に分離するとともに、一ヶ所に集積させた油層を形成させることができた。 【0020】ネット105の格子の大きさを変化させて実験した結果、格子間隔が10.5×10.5cmのものは、氷板が格子に引っ掛かって氷板の移動が滑らかでなくなり、氷板と油の分離効果がよくない。また、堰103とネット105で囲まれた部分111では、ネット105が水流を緩衝して水流の速度が若干遅くなる。しかし、格子間隔が大きい場合はこの緩衝作用が小さいため、水流の速度が速い場合には、この部分で水流の速度を緩やかにできない。このため、浮上した油が堰103で堰き止められず、下流に流されてしまうことがある。一方、格子間隔が0.8×1.3cmの場合は、格子間に油が付着して膜を形成し、油の浮上を抑制してしまう。したがって、ネットの格子間隔は2.5〜5cm程度で、氷と油の分離性及び油の集積性が最も好ましい。 【0021】水流の流速に関しては、水流を速くすると、ネット105と氷板101との接触時間(滞留時間)が少なくなり、氷板と油との分離性が悪くなるおそれがある。また、堰103で滞留する油層113が堰103の下端から下流に流れ出してしまう場合がある。一方、水流を遅くすると、同接触時間は多くなるが、ネット105で氷板101を転がしたり、スライドさせる力が小さくなり、氷板101が移動しにくくなったり、氷板101がネット前部に滞留する場合がある。 【0022】このため、ネット105の上方に浮上した油が堰103の手前で塊となって浮遊するための最適な接触時間(滞留時間)が存在する。ここで、ネットの水没部分の長さL3(m)を船体の水面に対する相対移動速度V(m/sec)で割った値L/V(sec)を実質的な氷塊の滞留時間とする。この実験によると、船体の相対移動速度が0.1〜0.47m/secのときに氷塊と油が良好に分離した。また、氷塊とネットが接触するネットの水没部分の長さL3は120cmである。したがって、滞留時間は、長さ1.2(m)を移動速度0.1〜0.47(m/sec)で割った値2.5〜12secとなる。この滞留時間を2.5〜20sec、特には4〜12secとすることにより、油の分離性及び集積性がよくなる。 【0023】上述の実験により、ネット105の格子間隔が2.5〜5cm程度で、かつ、氷塊の滞留時間(相対移動速度/ネット長さ)が2.5〜20secの条件が、氷と油の分離性及び油の集積性が最も好ましい。 【0024】図4は、第2の実験装置を模式的に説明する図である。この実験装置150は、水面位置検知装置151、吸引装置153、アクチュエータ155、制御装置157を有する。水面位置検知装置151は、水面上に降ろされる触針センサ159と、水中に沈められるアース電極161を備える。触針センサ159はアクチュエータ155に取り付けられており、アクチュエータ155に作動されて水面方向に上下に移動する。アクチュエータ155の作動は制御装置157で制御される。アクチュエータ155で触針センサ159を下降し、触針センサ159の針159aが水面(油層と水層の二層の場合は界面)に接触すると、同センサとアース電極161間に電流が流れ、その信号が制御装置157に送られて、基準位置から触針センサ159の針159aまでの位置から油水界面位置が求められる。 【0025】吸引装置153は、フレキシブルなホース163と吸引口165からなる吸引管、吸引ポンプ、回収容器(いずれも図示されず)を備える。吸引口165は触針センサ159に取り付けられており、触針センサ159とともにアクチュエータ155に作動されて水面方向に上下に移動する。吸引口165は、触針センサ159で検知される油水界面の位置に対して、流出油が低粘度の場合は油水界面、高粘度の場合は油水界面上の油層内の1cmの高さとなるように設定される。吸引口165の径は8mm、長さは160mmである。吸引口165はフレキシブルホース163に接続し、同ホース163は回収容器に接続している。フレキシブルホース163の内径は30mm、長さは30mである。 【0026】制御装置157は、触針センサ159の針159aが常に油水界面位置に追随するように、アクチュエータ155を作動させる。これにより、吸引口165の位置も、常に油水界面上の油層内となるように作動される。つまり、波によって水面位置が変動しても、吸引口165が常に油層内に位置するように維持される。 【0027】この実験装置150を取り付けた模型船167を、水面上に油169を散布した水面に曳航して、油の回収実験を行った。回収された液体量(油と水を含む)に対する油の量の割合は100%であり、油のみを回収することができた。なお、粘性の低い(動粘性率が100センチストークス以下)油の場合、吸引口165と油水界面との距離は0〜0.2cm程度でもよい。 【0028】一方、上述のような触針センサ159の針位置の制御を行わない場合、粘性の高い(動粘性率が100〜2500センチストークス)の油の場合、触針センサの針が油層の表面に接触すると、針に油が付着し水中に潜ってしまう。このため、吸引口165も油水界面より下に潜ってしまい、回収された液体には油とともに多くの水も含まれ、回収液体量に対する油の量の割合は43%であった。 【0029】この方法においては、油の粘性が高い場合は、吸引中にフレキシブルホース内での流動抵抗が高くなるため、吸引ポンプは真空ポンプのような強力なポンプが好ましい。また、フレキシブルホースの長さは短い方が好ましい。 【0030】上述のように動粘性率が100〜2500センチストークス程度の、粘性の高い油の場合は、触針センサに付着しやすく、センサの応答性が悪くなるため、光や超音波を使用した非接触式のセンサを使用することが好ましい。 【0031】次に、以上の実験結果を基にして構成された、本発明の実施の形態に係る流出油回収装置の構造を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る油回収装置の構造を模式的に説明する側面断面図である。流出油回収船(流出油回収装置)1の船体3は、長手方向中央付近から船首に向かって二つに分かれて双胴部5を形成している。船尾にはプロペラ7や舵9が配置されている。 【0032】双胴部の2つの船体5の間には、ネット11が張られている。ネット11は、ポリエチレン製等の網で、格子の間隔は例えば2.5〜5cmである。ネット11は、船首から船尾に向かって下方向に傾斜するように配置されている。ネット11の静止水面に対する角度は3〜15度で、ネット11の先端は水面上に位置し、後端は水面下に沈んでいる。ネット11の全長は例えば160cm、ネット11の水没部分の長さは120cmである。 【0033】双胴部5の後端面には、水面に対してほぼ直角、及び、進行方向に対して直交する堰13が配置されている。堰13の下部は水面下に沈んでおり、堰13の下端とネット11は接続している。堰13の水没部の長さは0.08〜0.5mである。この堰13の手前(船首側)の部分が油溜まりとなる。 【0034】船体3上には油吸引装置15及び水面位置検知装置17が備えられている。水面位置検知装置17は、水面上に降ろされる触針センサ19と、水中に沈められるアース電極20を備える。触針センサ19にはアクチュエータ(位置制御装置)21が取り付けられており、アクチュエータ21に作動されて水面方向に上下に移動する。アクチュエータ21の作動は制御装置23で制御される。アクチュエータ21で触針センサ19を下降させ、触針センサ19の針19aが水面に接触したときの、基準位置から触針センサ19の針19aまでの位置から油水界面位置が求められる。 【0035】油吸引装置15は、真空ポンプ25、吸引管27、回収容器29を備える。吸引管27は、吸引口31とフレキシブルなホース33からなる。吸引口31は触針センサ19に取り付けられており、アクチュエータ21に作動されて触針センサ19とともに水面方向に上下に移動する。吸引口31の先端は、触針センサ19で検知される油水界面の位置に対して、流出油が低粘度の場合は油水界面、高粘度の場合は油水界面上の1cmの高さとなるように設定される。吸引口31は、例えば、幅が8mm、長さは430mmである。吸引口31はフレキシブルホース33に接続し、同ホース33は回収容器29に接続している。フレキシブルホース33の内径は30mmである。 【0036】制御装置23は、触針センサ19の針19aが常に油水界面に接した状態であるようにアクチュエータ21を作動させる。これにより、触針センサ19に取り付けられている吸引口31の位置は、水面位置の変動に関らず常に油水界面上の油層内に保たれる。 【0037】次に、この流出油回収装置の作用について説明する。流出油回収船1が対象となる氷海上に0.1〜0.5m/secの速度で進行すると、浮遊している油35や氷塊37は、双胴部5間に入り、ネット11の先端と水面との間39からネット11の下方に入り込む。そして、船体3の移動とともに、氷塊37はネット11の下面に対して回転又はスライドし、ネット11にこすられながらネット11の後方へ進む。この間に氷塊37から油がこすり落とされる。このような油や浮遊している油35は、ネット11の格子に付着して塊となり、ネット11の格子間からネット上方に浮上する。そして、この塊は後方に移動し、堰13の手前で集積し、堰13の手前で層の厚い油層41を形成する。 【0038】そして、油吸引装置15のポンプ25を作動させて、吸引管27の吸引口31から油層41の油を汲み上げる。汲み上げられた油はフレキシブルホース33を通って容器29内に回収される。この間、水面位置検知装置17によって検知される水面位置を基にして、吸引管27の吸引口31が油面上1cm程度となるようにアクチュエータ21を作動させている。これにより、堰13の手前の油層41の油のみが回収される。 【0039】図2は、本発明の第2の実施の形態に係る流出油回収装置の構造を模式的に示す図である。この例の流出油回収装置51は、図1の流出油回収装置とほぼ同様の構造であるが、ネット、水面位置検知装置のセンサの構造が異なる。なお、図1の流出油回収装置と同様の構造・作用を有する部品は、図1と同じ符号を付与し、説明を省略する。 【0040】この流出油回収装置51のネット61はエンドレスベルト状であり、双胴部5間に回転可能に張られている。すなわち、双胴部間の前方の水面上には駆動ローラ63が取り付けられており、後方の堰13の下端近傍には回転ローラ65が取り付けられている。ネット61はこれらのローラ63、65間を巻き回されて保持されている。ネット61の全長、水没部の長さ、ネット61の水面に対する傾斜角度等は図1の流出油回収装置のネットと同様に、氷塊の滞留時間が所定範囲内となるように設定されている。駆動ローラ63はベルト67を介してモータ69のシャフト71に接続している。モータ69の回転により、ネット61は下面が後方に移動する方向に回転する。ネット61の移動速度は、6cm/sec以下である。特には、5cm/sec以下が好ましい。 【0041】水面位置検知装置17は、非接触センサ73が用いられている。非接触センサ73は光や超音波を非検知面(海面)に照射して、その反射波の強度等により、非検知面の位置を非接触で検知する。 【0042】油回収装置15の吸引口31は、アクチュエータ21で作動されて水面方向に上下に移動する。そして、非接触センサ73で検知される水面位置を基にして、吸引管31の口が油水界面上の油層内に位置するようにアクチュエータ21を作動させる。 【0043】この例では、流出油回収船51は0.1〜1m/secの速度で進行するとともに、ネットを低速で回転させている。これにより、よりスムーズに氷塊等を後方に送ることができる。 【0044】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明によれば、氷塊から油を分離し、かつ、油のみを確実に回収できる流出油回収装置を提供することができる。また、大型の動力設備を必要とせず、簡易な構造とすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】501204525 【氏名又は名称】独立行政法人海上技術安全研究所
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| 【出願日】 |
平成14年3月25日(2002.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100413 【弁理士】 【氏名又は名称】渡部 温
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| 【公開番号】 |
特開2003−276680(P2003−276680A) |
| 【公開日】 |
平成15年10月2日(2003.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2002−82384(P2002−82384) |
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