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【発明の名称】 カスタムカー用エアロパーツとその製造法
【発明者】 【氏名】古舘 忠夫
【住所又は居所】埼玉県さいたま市宮原町2丁目30番地1 ジョイボンド株式会社内

【要約】 【課題】軽量で、量産だけでなく一品生産も比較的容易かつ低コストで行うことのできる、カスタムカー用エアロパーツとその製造法を提供する。

【解決手段】発泡樹脂材によって所望形状に形成された芯材1と、芯材の表面を覆うグラスクロスなどの補強シート材2と、補強シート材の表面にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層3と、コーティング層を覆うパテ層6と、パテ層の外面に塗布された塗料層7とを備える。補強シート材とコーティング層が芯材表面に一体化されて樹脂硬化膜を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】発泡樹脂材によって所望形状に形成された芯材と、芯材の表面を覆う補強シート材と、補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層と、コーティング層を覆うパテ層と、パテ層の外面に塗布された塗料層とを備えたことを特徴とする、カスタムカー用エアロパーツ。
【請求項2】発泡樹脂材によって所望形状に形成された芯材と、芯材の表面を覆う補強シート材とこの補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層とから成る基本補強層と、基本補強層の外面の全体もしくは一部を覆う単数もしくは複数の重ね補強層であって、補強シート材とこの補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層とから成り、最も内側の重ね補強層の補強シート材が基本補強層のコーティング層を覆い、他の重ね補強層の補強シートが内側の重ね補強層のコーティング層の表面を覆う、重ね補強層と、最も外側の重ね補強層のコーティング層を覆うパテ層と、パテ層の外面に塗布された塗料層とを備えたことを特徴とする、カスタムカー用エアロパーツ。
【請求項3】前記発泡樹脂材が、発泡スチロール材である、請求項1もしくは2記載のカスタムカー用エアロパーツ。
【請求項4】前記補強シート材が、グラスクロスである、請求項1もしくは2記載のカスタムカー用エアロパーツ。
【請求項5】前記表面コーティング層が、エポキシ樹脂層である、請求項1もしくは2記載のカスタムカー用エアロパーツ。
【請求項6】発泡樹脂材を所望のデザイン形状に形成することによってエアロパーツ用芯材を作成する工程と、上記芯材の表面に補強シート材を貼着する工程と、上記補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布してコーティング層を形成する工程と、上記コーティング層の表面をパテ塗りする工程と、パテ塗り工程により形成されたパテ層の外面に塗料を塗布する工程とを備えたことを特徴とする、カスタムカー用エアロパーツの製造法。
【請求項7】請求項6記載のカスタムカー用エアロパーツの製造法において、前記コーティング層を形成する工程とパテ塗り工程との間に、前記補強シートをコーティング層の表面に更に貼着しかつこの補強シートの表面に熱硬化性樹脂を塗布して更にコーティング層を形成する重ね補強工程を、単数回もしくは複数回繰り返す工程を有する、カスタムカー用エアロパーツの製造法。
【請求項8】前記重ね補強工程が、前記芯材の全体もしくは一部について行われる、請求項7記載のカスタムカー用エアロパーツの製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カスタムカーを製作するときに用いられるエアロパーツとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】カスタムカーの中には、車体のデザイン形状をカスタム化したものがある。こうしたカスタムカーは、図4に見られるように、車輌のバンパー、ボディー、あるいはルーフなどに特異なデザイン形状をしたパーツ材(エアロパーツと称する)A, B, Cを、外観的に車体と一体化するようにして取付けて成る。こられのエアロパーツA〜Cは、量産品の場合、通常、FRP(Fiber ReinforcedPlastics 繊維強化熱硬化樹脂)によって型成形される。また、一品生産の場合には、木材をベースにしたものもある。そして、表面に車体の色と一致する塗料を塗布し、ボルトなどの締結具や接着剤などを介して車体の所定位置に固定される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のエアロパーツは、いずれの場合も比較的に高価で、しかも重量が重く、装着作業がやっかいであるばかりでなく、装着車輌の燃費も悪くなる。
【0004】また、FRP製の場合、型費償却などの採算ベースを考慮して同一品を多数生産する関係上、注文生産品という本来のカスタムカーとしての概念要求を十分に満足するものではない。木製の場合には、切断及び切削などの外形製作に時間と手間がかかり、著しく高価なものとなる。
【0005】本発明の目的は、軽量で、量産だけでなく一品生産も比較的容易かつ低コストで行うことのできる、カスタムカー用エアロパーツとその製造法を提供することにある。
【0006】
【課題を達成するための手段】本発明は、上記した目的を達成するために次の構成を備える点に特徴がある。すなわち、このエアロパーツは、発泡樹脂材によって所望形状に形成された芯材と、芯材の表面を覆う補強シート材と、補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層と、コーティング層を覆うパテ層と、パテ層の外面に塗布された塗料層とを備えて成る(請求項1)。
【0007】また、補強シート材とコーティング層は、これらを一対の層として、単層ではなく、複数層にして芯材の外側を覆うようにしても良い(請求項2)。複数層にする場合、芯材の表面を覆う補強シート材とこの補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層とから成る基本補強層と、基本補強層の外面の全体もしくは一部を覆う単数もしくは複数の重ね補強層とから成る。重ね補強層は、基本補強層と同じように、補強シート材とこの補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布して形成したコーティング層とから成り、最も内側の重ね補強層の補強シート材が基本補強層のコーティング層を覆い、他の重ね補強層の補強シート材が内側の重ね補強層のコーティング層の表面を覆う。
【0008】芯材となる発泡樹脂材は、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルなど種々の樹脂の発泡体を選択できるが、芯材としての強度や軽量性の点で、極微小の独立気泡から成るものが望ましく、発泡スチロール材が最適である。
【0009】補強シート材は、芯材表面のもろさをなくして強度を補強するとともに、芯材表面を樹脂化させるコーティング層を付着させる下地材となるもので、グラスクロスやグラスウールが望ましい。
【0010】表面コーティング層は、芯材の表面を上記補強シート材を介して硬い樹脂の層にする。フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂が用いられる。発泡樹脂材を発泡スチロールとした場合、表面コーティング層を形成する熱硬化性樹脂としては、発泡スチロールを溶かすことのない常温硬化性のエポキシ樹脂が最適である。芯材を構成する発泡樹脂材との化学的相性を考慮して具体的な熱硬化性樹脂が選定される。また、この熱硬化樹脂を覆うパテ層は、マイクロバルーン、特にグラスマイクロバルーンを添加したエポキシパテが望ましい。
【0011】また、本発明方法は、次の構成を備える点に特徴がある。すなわち、このエアロパーツ製造法は、発泡樹脂材を所望のデザイン形状に形成することによってエアロパーツ用芯材を作成する工程と、芯材の表面に補強シート材を貼着する工程と、補強シート材の表面に熱硬化性樹脂を塗布してコーティング層を形成する工程と、コーティング層の表面をパテ塗りする工程と、パテ塗り工程により形成されたパテ層の外面に塗料を塗布する工程とを備える(請求項6)。
【0012】また、本発明に係る製造法は、前記コーティング層を形成する工程とパテ塗り工程との間に、前記補強シートをコーティング層の表面に更に貼着しかつこの補強シートの表面に熱硬化性樹脂を塗布して更にコーティング層を形成する重ね補強工程を、単数回もしくは複数回繰り返す工程を有する、ものをも含む(請求項7)。重ね補強工程は、耐衝撃性を要求される箇所など、芯材の全体もしくは一部について行われる。
【0013】
【実施の最良の形態】以下、本発明を図示した実施例に基づいて詳説する。図1は、本発明の一実施例に係るエアロパーツの部分断面図を示す。図中符合1は、エアロパーツの芯材で、発泡スチロール材によってウィング型、流線型、異形膨出型など、車体の装着位置に応じて任意の外形形状に形成されている(図4参照)。具体的には、この芯材1は、発泡スチロールの角材や平板材を、切断もしくは溶断及び切削等することによって任意のデザイン形状に形成される。車輌ボディー外表面に当接される一面は、当該表面の湾曲形状と一致する形状に形成される。発泡スチロール材の他面は、所望のデザイン形状に形成される。ボディーやルーフのフロント側からリア側にかけて長くあるいは幅広で厚みのあるエアロパーツ(図4中、Bなど)の場合、複数の発泡スチロールの角材や平板材を接合あるいは重合し、全体として一つのエアロパーツの芯材1を構成する。
【0014】2は、芯材1の外表面を覆う補強シート材で、グラスクロスから成る。補強シート材2は、スプレー糊などの接着剤を介して芯材1の外表面全体に貼着される。表面積が小さなエアロパーツの場合など、車輌ボディー外表面に当接される芯材1の上記一面側は、補強シート材2によって覆わないようにしても良い。なお、補強シート材2のメッシュの程度は、別段制限されるものではなく、後述するコーティング層3と芯材1との付着性やエアロパーツの強度などを考慮して適宜のものが選定される。また、補強シート材2は、複数枚を重ねて芯材表面に貼着するようにしても良い。
【0015】3は、補強シート材2の表面全体にエポキシ樹脂を塗布することにより形成されたコーティング層である。エポキシ樹脂は、塗布される時点では液状で、補強シート材2に浸透して芯材1の表面に付着され、時間の経過と共に硬化して、芯材表面を覆う硬い膜となる。この補強シート材2とコーティング層3との組み合わせは、一層に限らない。バンパー部など大きな耐衝撃性が要求される部分に取付けられるエアロパーツの場合、図2に示すように複数層設けられる。芯材1に隣接する最下層の補強シート材21とコーティング層31は基本補強層4を成し、その上の同じ組み合わせから成る補強シート材22とコーティング層32は、重ね補強層5を成す。重ね補強層5は、重ねるほどに表面強度と硬度が増すため、芯材表面の必要箇所、上記した耐衝撃性を要求される部分や取付け用のボルトやネジ類を挿通する部分には更に多数層が設けられる。
【0016】6は、最も外がわに位置するコーティング層3あるいは32を覆うパテ層である。このパテ層6は、樹脂のコーティング層表面を滑らかにするとともにコーティング層内の補強シート材2あるいは22のメッシュが外部から視認できなくするためのものである。パテの材料として、マイクロバルーンを添加したエポキシパテが用いられる。7は、パテ層6の表面に吹き付け塗布された塗料層で、通常、エアロパーツが取付けられる車体と同じ色彩の塗料が用いられる。
【0017】上記構造のエアロパーツは、図3に示す手順で、製作される。すなわち、先ず発泡スチロールの角材あるいは平板材を必要に応じ、接合しあるいは重合して、ブロック体を形成する。このブロック体を切断あるいは溶断及び切削等して、外形を希望するデザイン形状に整えることにより、芯材1が形成される。芯材1の一面側は、装着される車体部位の曲面に一致する凹状に形成される。発泡スチロールを所望形状に整えるには、加熱した線材を用いると、作業を正確にしかも比較的楽に行うことができる。
【0018】次いで、形の整えられた芯材1の表面全体に、スプレー糊を吹付けながらグラスクロス2を貼着する。強度の要求される部位については、グラスクロス2を重ね貼りする。そして、グラスクロス2の上からグラスクロス2に浸透するようにエポキシ樹脂を塗ってコーティング層3を形成する。グラスクロス全体を覆ったエポキシ樹脂によるコーティング層3は、自然乾燥もしくは強制乾燥によって硬化し、芯材表面にグラスクロス2と一体化された樹脂硬化膜を形成する。グラスクロス2とエポキシ樹脂コーティング層3による補強層は、必要に応じて芯材外表面全体にあるいは部分的に複数回形成され、多層硬化膜を成す。
【0019】樹脂硬化膜及び重ね補強された多層の樹脂硬化膜に、仕上げ用のパテ塗りとパテとぎを行って、樹脂硬化膜の表面を平滑にする。最後に塗装を行って、エアロパーツが完成する。エアロパーツは、必要な部位に形成された通孔に装着用ボルトを挿通して、あるいは接着剤を介してボディの適宜位置に固定される。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、次の効果を奏する。芯材として発泡樹脂材を用いているので、所望の外形形状への加工が容易で、しかも軽量のエアロパーツを提供できる。芯材表面に、補強シート材と熱硬化性樹脂によるコーティング層とによる樹脂硬化膜を形成してあるので、芯材が発泡樹脂材であるにもかかわらず、衝撃力に強く、強度の大きなエアロパーツを提供できる。また、構成材料が比較的安価に入手でき、加工自体にもそれほどの時間と手間を要することがないので、経済的なエアロパーツを提供できる。
【出願人】 【識別番号】598096245
【氏名又は名称】ジョイボンド株式会社
【住所又は居所】埼玉県さいたま市宮原町2丁目30番地1
【出願日】 平成14年2月14日(2002.2.14)
【代理人】 【識別番号】100085475
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 茂樹
【公開番号】 特開2003−237640(P2003−237640A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−36275(P2002−36275)