| 【発明の名称】 |
車両用乗員検知装置およびエアバッグ展開制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】世戸 孝幸 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
【氏名】西本 洋介 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】複雑、高コストなセンサを用いることなく、車両のシート座面の荷重を検知することのみにより、乗員を正確に検知、判定することができる装置を提供することを目的としている。
【解決手段】車両シートの荷重により、乗員の荷重領域を判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、過去の判定結果を記憶しておいて、過去と現時点での判定結果を用いて、乗員の荷重領域を判定する車両用乗員検知装置。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両座席の荷重により、乗員の荷重領域を判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、過去の判定結果を記憶しておいて、過去と現時点での判定結果を用いて、乗員の荷重領域を判定する車両用乗員検知装置。 【請求項2】車両座席の前方およびその他の部分の荷重を測定する荷重検出手段と、車両座席全体の荷重により乗員の荷重領域を判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、過去の判定結果を記憶しておいて現時点での判定結果と比較して、異なった判定結果が出されたときには、車両座席の前方の荷重の変化のみを用いて判定する車両用乗員検知装置。 【請求項3】車両座席の前方および後方の荷重を測定する荷重検出手段と、座席全体の荷重が第1のしきい値以上であれば、第1の荷重領域であると判定し、第1のしきい値以下でかつ第2のしきい値以上であれば、第2の荷重領域であると判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、第2の荷重領域であると判定している状態で、座席上の荷重変化により第1の荷重領域と判定した場合において、前方の荷重が減少したときには、第1の荷重領域であると判定し、前方の荷重が減少しなかったときには、第2の荷重領域であるとの判定を維持する車両用乗員検知装置。 【請求項4】車両座席の前方および後方の荷重を測定する荷重検出手段と、座席全体の荷重が第1のしきい値以上であれば、第1の荷重領域であると判定し、第1のしきい値以下でかつ第2のしきい値以上であれば、第2の荷重領域であると判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、第1の荷重領域であると判定している状態で、座席上の荷重変化により第2の荷重領域と判定した場合において、前方の荷重が増加しなかったときには、第2の荷重領域であると判定し、前方の荷重が増加したときには、第1の荷重領域であるとの判定を維持する車両用乗員検知装置。 【請求項5】車両衝突時に荷重領域の判定結果に基づいて作動態様を選択する請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置。 【請求項6】車両衝突時に荷重領域の判定結果に基づいて作動圧力を選択する請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置。 【請求項7】衝突時に第1の荷重領域と判定している場合には作動させ、第2の荷重領域と判定している場合には作動させない請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置。 【請求項8】衝突時に第1の荷重領域と判定している場合には高圧でエアバッグを作動させ、第2の荷重領域と判定している場合には低圧でエアバッグを作動させるとともに、荷重が第2のしきい値にも満たない場合には、エアバッグを作動させない、請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】この発明は、例えば、車両の座席上に着座している乗員の体格を判別する車両用乗員検知装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、特開2001−74542号公報に開示されるように、車両の乗車シートの座面の前部、および/又は後部に作用する荷重、若しくはそれらの和を検出して、着座乗員が大人であるか否かを判別する着座乗員検知装置は、公知である。 【0003】この着座乗員検知装置は、車両の乗車シートの座面前部に作用する荷重と、後部に作用する荷重を検出して、それらの和によって、一定以上であれば着座乗員が大人であると判定する。また、これとともに、前部のみの荷重が、一定以上であれば、および/又は後部のみの荷重が一定以上であれば、着座乗員が大人であると判定することとしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の着座乗員検知装置では、前後の荷重の合計値および、前部のみ、および/又は後部のみの荷重によって判定をする。 【0005】この検知手段によると、例えば、着座乗員が、前のめりになり、足を車体床面に踏ん張った場合には、乗員の体重が床面に逃げるため、車両の乗車座席にかかる全体の荷重は小さくなってしまい、実際には大人が乗車しているにもかかわらず、子供と判定してしまうことがある。 【0006】また、例えば、後方部の座席の乗員が、前方部座席の荷重検知装置に、足をかけたりした場合や、チャイルドシートが設置され、乳幼児が乗せられている場合であって、保護者などが後方部の座席から、乳幼児の世話をするために該前方部座席のシートバックにもたれかかったりしたときには、実際には乳幼児などの子供が乗車しているにもかかわらず、座席全体の荷重又は座席後方の荷重増加により、大人と判定してしまうことがある。 【0007】これらの誤った乗員判定は、乗員の体格・体重によって、適格なエアバッグ作動態様、つまり、車両衝突時にエアバッグを展開作動させるか否か、展開作動させる場合にはエアバッグ展開圧力をどのようにするか、という判断を誤ったものにする原因である。 【0008】このような、エアバッグの展開作動の判断の誤りにより、エアバッグ装置により乗員の安全を確保できないという問題が生じ、また、エアバッグ展開圧力の判断の誤りにより、不十分な保護、若しくは、過剰な展開により乗員を傷つけるという問題が生ずる。 【0009】また、かかる誤った乗員判定を防止するために、荷重検知手段以外にも種々のセンサを設けることは可能であるが、装置がさらに複雑化し、コストが高くなってしまうという問題がある。 【0010】そこで、本願発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、車両のシート座面の荷重を検知することのみにより、乗員を正確に検知、判定することができる装置を提供することを目的としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、車両座席の荷重により、乗員の荷重領域を判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、過去の判定結果を記憶しておいて、過去と現時点での判定結果を用いて、乗員の荷重領域を判定する車両用乗員検知装置であることを特徴とする。 【0012】請求項2に記載の発明は、車両座席の前方およびその他の部分の荷重を測定する荷重検出手段と、座席全体の荷重により乗員の荷重領域を判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、過去の判定結果を記憶しておいて現時点での判定結果と比較して、異なった判定結果が出されたときには、車両座席の前方の荷重の変化のみを用いて判定する車両用乗員検知装置であることを特徴とする。 【0013】請求項3に記載の発明は、車両座席の前方および後方の荷重を測定する荷重検出手段と、座席全体の荷重が第1のしきい値以上であれば、第1の荷重領域であると判定し、第1のしきい値以下でかつ第2のしきい値以上であれば、第2の荷重領域であると判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、第2の荷重領域であると判定している状態で、座席上の荷重変化により第1の荷重領域と判定した場合において、前方の荷重が減少したときには、第1の荷重領域であると判定し、前方の荷重が減少しなかったときには、第2の荷重領域であるとの判定を維持する車両用乗員検知装置であることを特徴とする。 【0014】請求項4に記載の発明は、車両座席の前方および後方の荷重を測定する荷重検出手段と、座席全体の荷重が第1のしきい値以上であれば、第1の荷重領域であると判定し、第1のしきい値以下でかつ第2のしきい値以上であれば、第2の荷重領域であると判定する手段を備えた車両用乗員検知装置であって、第1の荷重領域であると判定している状態で、座席上の荷重変化により第2の荷重領域と判定した場合において、前方の荷重が増加しなかったときには、第2の荷重領域であると判定し、前方の荷重が増加したときには、第1の荷重領域であるとの判定を維持する車両用乗員検知装置であることを特徴とする。 【0015】請求項5に記載の発明は、車両衝突時に荷重領域の判定結果に基づいて作動態様を選択する請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置であることを特徴とする。 【0016】請求項6に記載の発明は、車両衝突時に荷重領域の判定結果に基づいて作動圧力を選択する請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置であることを特徴とする。 【0017】請求項7に記載の発明は、衝突時に第1の荷重領域と判定している場合には作動させ、第2の荷重領域と判定している場合には作動させない請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置であることを特徴とする。 【0018】請求項8に記載の発明は、衝突時に第1の荷重領域と判定している場合には高圧でエアバッグを作動させ、第2の荷重領域と判定している場合には低圧でエアバッグを作動させるとともに、荷重が第2のしきい値にも満たない場合には、エアバッグを作動させない、請求項1、2、3および4に記載の車両用乗員検知装置のうち、少なくとも一に記載の装置を備えたエアバッグ展開制御装置であることを特徴とする。 【0019】 【発明の作用・効果】この請求項1に記載の発明によれば、過去の判定結果を記憶することにより、外部からの足載せなどによる荷重変化や、着座乗員の姿勢変化による荷重変化と、本当の乗員変化との区別が可能となり、正確な乗員判定ができる効果がある。 【0020】また、荷重検知手段以外にも種々のセンサを設けることなく、装置を単純、簡単で、かつ低コストのまま、正確な乗員判定を実現することができる効果がある。 【0021】この請求項2に記載の発明によれば、過去の判定結果を記憶しておいて現時点での判定結果と比較するとともに、異なった判定結果が出されたときには、車両シートの前方の荷重の変化を用いて判定することにより、前方の荷重の変化の特性を活かして、より正確な乗員判定ができる効果がある。 【0022】この請求項3および4に記載の発明によれば、上記請求項1または2に記載の発明の効果と併せて、第1のしきい値、および第2のしきい値を基準として、乗員が荷重の大きな乗員であるか、荷重の小さな乗員であるか、または誰も乗っていないかを判定する手段を備えることにより、乗員判定の基準を明確化し、画一化する効果がある。 【0023】この請求項5、6、7および8に記載の発明によれば、上記請求項1、2、3または4に記載の発明の車両用乗員検知手段による正確な乗員判定の結果を、エアバッグ装置に適用することができ、乗員の有無、又は乗員の荷重に対応させて、エアバッグの展開作動の許可・不許可、および展開圧力の調節を、正確に行なうことができる効果がある。 【0024】これにより、必要なときにエアバッグ装置が作動しないという危険な不都合を防止することができるとともに、エアバッグ展開圧力の判断の誤りにより、不十分な保護、または、過剰な展開により乗員を傷つけるという危険な不都合をも防止することができる。 【0025】また、荷重検知手段以外にも種々のセンサを設けることなく、装置を単純、簡単で、かつ低コストのまま、正確な乗員判定によるエアバッグ装置を実現することができる効果がある。 【0026】 【発明の実施の形態】この発明の実施例を以下図面に基づいて詳述する。図1は、車両用乗員検知装置及び、これを用いたエアバッグ展開制御装置をブロック図によって表わしている。この車両乗員検知装置は、一つの車両用座席について荷重検出手段が、例えば、前方左側(FL)、前方右側(FR)、後方左側(RL)、後方右側(RR)の4箇所なとどいうように、前方から後方まで複数個所設けられている。ここでは、一例として、上記4箇所に設けた場合について説明する。 【0027】それぞれの荷重検出手段(12〜15)によって、それぞれの箇所にかかる荷重が検出され、中央処理装置10に送られる。記憶手段RAM20を有する中央処理装置10では、かかる荷重信号に基づいて、Gセンサ11からの入力によって補正され、乗員判定、エアバッグ作動制御処理を行い、荷重信号、判定結果などをRAM20に一時記憶する。 【0028】ここで、車両の衝突など、エアバッグを展開することが必要である場合には、インフレータドライバ16にエアバッグ展開命令信号が発せられ、インフレータドライバ16により、エアバッグ17が展開される。またこのとき、後述する低圧、又は高圧によるエアバッグ展開命令信号に対応して、インフレータドライバ16は、対応する圧力により、エアバッグ17を展開することとしている。 【0029】また、中央処理装置10は、衝突などの際に、乗員を保護するため、プリテンショナ18に命令信号を送り、作動させることとしている。 【0030】加えて、中央処理装置10は後述するように、運転手、又はその他の乗員に対して、必要に応じて、エアバッグ装置によって安全を確保できない乗車状態である旨を警告することとしている。この警告は、警告用表示部19によって行われる。例としては、メータパネル内に表示、警告灯点灯などが挙げられる。 【0031】図2は、車両の座席構造の一例を表わしている。この車両の座席構造は、フロアパネル21にシートブラケット22、23および、荷重検出手段24、シートスライド装置25を介して、前部座席26を前後スライド可能に配設し、この前部座席26の後方には後部座席27を配設している。上述の前部座席26は、シートクッション28、シートバッグ29、ヘッドレスト30を有している。 【0032】また、上述の前部座席26は、前方荷重検出手段24fが含まれ、この場合は一例として、後方荷重検出手段24bとによって構成されており、前方荷重検出手段24fは図1の荷重検出手段FL12と荷重検出手段FR13に、後方荷重検出手段24bは図1の荷重検出手段RL14と荷重検出手段RR15に対応している。なお、この荷重検出手段24は、例えば、歪センサ、感圧センサなどにより構成される。後部座席27は、後部座席シートクッション32、後部座席シートバッグ33を有し、フロアパネル21に配設されている。 【0033】また、この図2は、前部座席乗員31が、通常の乗車姿勢で着座している状態を表わしており、これにより、前方荷重検出手段24f、後方荷重検出手段24bには、それぞれ略均等に荷重がかかっている。つまり、前方荷重検出手段24fには荷重G1fが、後方荷重検出手段24bには荷重G1bが、それぞれかかっている。 【0034】図3は、図2の前部座席乗員31が、前屈みに屈み込み、足でフロアパネル21に踏ん張っている前部座席乗員34の状態を表わしている。これにより、前部座席乗員34の荷重の一部は、前部座席乗員34の足を介してフロアパネル21に逃げる(G2x)。また、前屈みになるため、前部座席乗員34の荷重は前に傾き、前方荷重検出手段24fにかかる荷重が大きくなる(G2f)。 【0035】一方、後方の後方荷重検出手段24bにかかるG2bは小さくなる。つまり、前部座席乗員31、34の全体の体重による荷重は一定であるが、その態勢、姿勢によって、荷重検出手段24全体にかかる荷重が異なっていることを表している。 【0036】従って、荷重検出手段24全体の荷重によって、大人か子供か、又はエアバッグ展開圧力が高圧であるか低圧であるかの判定することとしている場合には、このフロアパネル21への荷重の逃げが過大になると、前部座席26に乗車している人が、大人、又は高圧に対応する体重であるにも関わらず子供、又は低圧に対応する体重であると、誤った判定をしてしまう場合があり得ることを表している。 【0037】図4は、別の場合として、前部座席26にはチャイルドシート36が配設され、乳幼児37が寝かされている状態を表わしている。 【0038】保護者などは、後部座席27に乗車し(35)、後方から世話、介護などを行うことがしばしばある。このとき、チャイルドシート36と、乳幼児37の体重による荷重は、略均等に荷重検出手段24にかかるため、前方荷重検出手段24fと、後方荷重検出手段24bには、G3fと、G3bとがそれぞれかかっている。 【0039】図5は、上述の後部座席乗員35が、後方から世話、介護を行っている状態を表わしている(38)。このとき、チャイルドシート36は、通常大人が乗車するスペースよりも小さいことから、後部座席乗員38の乗車スペース確保のため、前部座席を前方にスライドさせて使用されることがあるが、世話、介護などの際に、荷重検出手段24に対して、足をかける態勢がとられる場合がある。これにより、本来の前部座席26の荷重に加えて、足載せにより追加された荷重G4yをも検出してしまう。 【0040】また、後部座席乗員38が世話、介護をする際、前部座席26のヘッドレスト30や、シートバック29にもたれかかったり、身をあずけたりする場合もある。 【0041】これにより、荷重検出手段24には、もたれることによる荷重が追加されてしまう(G4z)。この結果、前方荷重検出手段24fには、追加される荷重はほとんどなく、G4fがかかるが、後方荷重検出手段24bには、大きな荷重(G4y、G4z)が追加されるため、大きなG4bがかかる。 【0042】従って、この追加される荷重が過大になると、上述と逆の問題が生じ、子供であるにも関わらず、大人、又は高圧に対応する体重であると、誤って判定してしまう場合があることを表わしている。 【0043】次に、図面に基づいて、乗員の乗車体勢、乗車姿勢に応じて、検知する荷重にどのような変化があるかを、グラフによって説明する。図6は、ケースAとして、乗員の乗車体勢が図2の状態から図3の状態に変化した場合の荷重検出手段24にかかる荷重の変化を表わしている。 【0044】ここで、前方荷重検出手段24fにかかる荷重は、前方にかかる荷重39、後方荷重検出手段24bにかかる荷重は、後方にかかる荷重40として表わしており、荷重検出手段24にかかる荷重は、全体にかかる荷重41によって表わしている。またここでは、一例として、原則として第1のしきい値42を基準に、全体にかかる荷重41がこれよりも大きければ、第1の荷重領域43であると、つまり、大人が着座していると判定し、これよりも小さければ、第2の荷重領域44であると、つまり子供が着座しているまたは、誰も乗車していないと判定する場合を表わす。 【0045】ここで、前方にかかる荷重39の増加、および後方にかかる荷重40の大幅な減少に伴って、全体にかかる荷重41は検出する荷重が変化するポイント45において、第1の荷重領域43から第2の荷重領域44へ変化している。つまり、同じ乗員31、34が乗車しているにも関わらず、全体にかかる荷重41のみによる判定では、誤った判定を下してしまう状況が発生している。この誤判定は、上述のような危険な不都合を発生させる要因である。 【0046】逆に図7は、ケースBとして、乗員の乗車体勢が図3の状態から、図2の状態に変化した場合の、荷重検出手段24にかかる荷重の変化を表わしている。本来、大人が乗車し続けているにも関わらず、全体にかかる荷重48だけを検出して判断すると、第2の荷重領域から第1の荷重領域に変化している。従って、誤った判定をしている場合には、速やかに、正しい判定をし直すべきである。 【0047】別の場合として、図8は、ケースCとして、乗員の乗車体勢が図4の状態から、図5の状態に変化した場合を表わしている。ここで、前方荷重検出手段24fにかかる荷重は、前方にかかる荷重49、後方荷重検出手段24bにかかる荷重は、後方にかかる荷重50として表わしており、荷重検出手段24にかかる荷重は、全体にかかる荷重51によって、表わしている。 【0048】ここでは、図5の説明で述べたように、前方にかかる荷重49は、あまり変化しないものの、後方にかかる荷重50は、大幅に増加しこれに伴って、全体にかかる荷重51は、大幅に増加する。これによって、第2の荷重領域44から第1の荷重領域43へ変化していることを表わしている。つまり、前部座席26には、乳幼児が乗車し続けているにも関わらず、全体にかかる荷重51のみによる判定では、誤った判定を下してしまう状況が発生している。この誤判定は、上述のような危険な不都合を発生させる要因である。 【0049】逆に図9は、ケースDとして、乗員の乗車体勢が図5の状態から、図4の状態に変化した場合の、荷重検出手段24にかかる荷重の変化を表している。本来、子供である乳幼児が乗車し続けているにも関わらず、全体にかかる荷重54だけ検出して判断すると、第1の荷重領域43から第2の荷重領域44に変化している。従って、誤った判定をしている場合には、速やかに、正しい判定をし直すべきである。 【0050】ここから、本願発明の車両用乗員検知装置が行う荷重検出、および、乗員判定処理の流れと、エアバッグ展開制御装置の処理の流れを、図10から図14に表わすフローチャートに基づいて説明する。まず、図10は、エアバッグ展開制御装置の、車両運転開始から、車両の衝突などによるエアバッグ作動までの処理の流れを表わしている。 【0051】まず、車両運転開始に伴う、装置への処理開始命令により処理が開始される。そしてすぐに、ステップS1で、例えば後述するように、中央処理装置10内のRAM20に記憶された乗員判定結果、つまり、後述する荷重の検出によって行われる乗員判定処理の判定結果の読込が実行される。例えば、この図で表わすエアバッグ展開制御装置の場合は、エアバッグの展開作動を許可する大人と判定するのか、許可しない子供、または不在と判定するのかという結果を読込む。 【0052】次に、ステップS2は、車両が衝突などをして、エアバッグを展開作動する必要があるか否かを判断する。このとき、衝突などが起っていない場合には、ステップS1に戻り、乗員判定結果の読込みを行い、衝突などが起らない限り、これを繰返し行う。衝突などのエアバッグ展開作動の要請があった場合には、ステップS3に進み、読込んでいる乗員の判定結果に基づいて、判断が行われる。ここで、大人という判定を読込んでいる場合には、ステップS4に進み、エアバッグ作動許可信号をインフレータドライバ16に発信し、終了する。 【0053】また、子供、又は不在という判定を読込んでいる場合には、ステップS5に進み、エアバッグ作動不許可信号を、インフレータドライバ16に発信、又は何の信号をも発信せずに終了する。 【0054】他の例として、図11に表わすフローチャートのように、エアバッグ展開に高圧作動と低圧作動という複数の作動態様を設けることができる(S8、S9)。つまり、例えば、所定重量以上、つまり、第1のしきい値を越える第1の荷重領域と判定される乗員である場合には(S8)、高圧で作動させ(S10)、所定重量以下、つまり、第1のしきい値には満たないが、第2のしきい値以上の荷重があり、不在と判断できない小柄な大人、又は子供などが乗員である場合には(S9)、低圧で作動させることができる(S11)。第2のしきい値にも満たない場合には(S9)、誰も乗車していないとして、エアバッグを作動させない(S12)こととすることができる。 【0055】次に図12のフローチャートに基づいて、荷重検出、及び、乗員判定処理の流れについて説明する。まず、車両運転開始に伴う装置への処理開始命令により、処理が開始され、ステップQ1で、フラグであるFを0にする。このフラグは、一度でも乗員判定を行った場合には1、行ったことがない場合には0という値をとり、過去に行った判定結果を参照するか否かの判断(Q9、Q10、Q15、Q16)に利用するためのものである。 【0056】ステップQ2では、タイマTをリセットして、0にし、スタートさせる。これは、一定時間(例えば10秒程度)毎に、乗員判定を行うタイマの役割を果たしており、後述するステップQ4と対になっている。 【0057】ステップQ3では、乗員判定を行うために必要な各荷重センサ(この場合には12〜15)の値を読込み、例えば中央処理装置10内のRAM20に記憶する。 【0058】ステップQ4では、上記のように、一定時間T0が経過しているか否かを判断して、未だ経過していない場合には、再度、荷重センサの値を読込み、経過している場合には、読込まれたセンサの値に基づいて、以下の乗員判定処理を行う(Q5)。 【0059】ステップQ5では、ステップQ3で読込んだ各荷重センサの値を合計して、荷重検出手段24にかかる全体の荷重41、48、51、54を、Wallとして計算する。 【0060】ステップQ6では、第1のしきい値であるW1よりも、Wallが大きいか否かを判断している。これにより、第1のしきい値よりも大きい場合には、第1の荷重領域であるとして、第1荷重領域判定処理において処理が行われる(後述の図13)。この処理内において判定が下され、判定結果を例えば中央処理装置10内のRAM20に記憶するとともに、ステップQ20に進みフラグFを判定済みの値1にする。 【0061】ステップQ7では、第2のしきい値であるW2よりも、Wallが大きいか否かを判断している。これにより、第1のしきい値よりも小さいが、第2のしきい値よりも大きい場合には、第2の荷重領域であるとして、第2荷重領域判定処理において処理が行われる(後述の図14)。この処理内において判定が下され、判定結果を例えば中央処理装置10内のRAM20に記憶するとともに、ステップQ20に進みフラグFを判定済みの値1にする。 【0062】第2のしきい値よりも小さい場合には、ステップQ8に進み、誰も乗車していないと判定を下し、判定結果を、例えば中央処理装置10内のRAM20に記憶するとともに、ステップQ20に進みフラグFを判定済みの値1にする。そして、次回の判定を行うために、タイマTをリセットすべく、ステップQ2に戻ることとしている。 【0063】図13は、上述した第1荷重領域判定処理を表わしている。ステップQ6で、第1の荷重領域であると判断された後、ステップQ9に進む。 【0064】ここでは、フラグFが0であるか否か、つまり、車両運転開始から初めて乗員判定を行うか否かを判断する。フラグFが0であるときには、初めて判定を行う場合であり、過去の判定結果を利用できないため、ステップQ6の全体の荷重のみによる判定結果に従い、そのままステップQ14に進み、大人、または所定以上の荷重を有する乗員である判定を下す。これに対し、フラグFが1であるときには、既に過去に乗員判定を行ったことがある場合であり、過去の判定結果を利用できる。 【0065】従って、ステップQ10に進み、今回の第1荷重領域、つまり大人等という全体の荷重のみによる判定結果に対して、第1の荷重領域、つまり大人等であるか否かを判断する。前回の結果も、やはり同じであった場合には、全体の荷重のみによる判定でも信頼性があるため、そのままステップQ14に進み、大人等であるという判定を下す。 【0066】但し、前回の判定結果が大人等でない場合には、図7に表わすケースB、若しくは、図8に表わすケースCのように、乗員の乗車体勢、乗車姿勢に変化が生じている場合が想定されるため、更なる判断が必要となる。この場合には、ステップQ11に進む。 【0067】このステップQ11では、前方にかかる荷重の変化に基づいて、正確な判断を下す。つまり、ケースBのように、前方にかかる荷重46が減少している場合には、大人等の前部座席乗員31、34が、図3の状態から、図2の状態に体勢を変化させたことに伴う荷重の変化であると判断する。従って、前回の判定結果である子供等の判定結果は誤りであり、大人等の判定に直ちに正すこととしている(Q14)。 【0068】これに対して、ケースCのように、前方にかかる荷重49にはほとんど変化がなく、荷重が減少していない場合には、本来は乳幼児等の子供が乗車しているにも関わらず、後部座席乗員38から荷重が追加された変化、つまり、図4の状態から、図5の状態に体勢を変化させたことに伴う荷重の変化であると判断する。従って、今回の全体の荷重のみによる判定結果は誤りであり、子供、又は、所定重量以下の乗員、つまり、第2荷重領域であるという判定を維持し、ステップQ12によって、子供等の判定を下す。 【0069】この本願発明の構成により、特別な他のセンサを設けることなく、乗員の着座姿勢の変化による荷重の変化と、本当の乗員変化との区別が可能となり、正確な乗員判定ができる効果がある。また、必要なときにエアバッグが作動しない、または、不適当な圧力での作動などの危険な不都合を容易に防止することができる効果がある。 【0070】加えてこのケースの場合、エアバッグ装置によって安全を確保できない可能性があるため、かかる乗車状態である旨を警告用表示部19によって、足載せ等警告表示をする(Q13)。 【0071】図14は、上述した第2荷重領域判定処理を表わしている。ステップQ7で、第2の荷重領域であると判断された後、ステップQ15に進む。 【0072】ここでは、フラグFが0であるか否か、つまり、車両運転開始から初めて乗員判定を行うか否かを判断する。フラグFが0であるときには、初めて判定を行う場合であり、過去の判定結果を利用できないため、ステップQ7の全体の荷重のみによる判定結果に従い、そのままステップQ19に進み、大人、または所定以上の荷重を有する乗員である判定を下す。 【0073】これに対し、フラグFが1であるときには、既に過去に乗員判定を行ったことがある場合であり、過去の判定結果を利用できる。従って、ステップQ16に進み、今回の第2荷重領域、つまり子供等という全体の荷重のみによる判定結果に対して、第2の荷重領域、つまり子供等であるか否かを判断する。 【0074】前回の結果も、やはり同じであった場合には、全体の荷重のみによる判定でも信頼性があるため、そのままステップQ19に進み、子供等であるという判定を下す。 【0075】但し、前回の判定結果が子供等でない場合には、図6に表わすケースA、若しくは、図9に表わすケースDのように、乗員の乗車体勢、乗車姿勢に変化が生じている場合が想定されるため、更なる判断が必要となる。この場合には、ステップQ17に進む。 【0076】このステップQ17では、前方にかかる荷重の変化に基づいて、正確な判断を下す。つまり、ケースAのように、前方にかかる荷重39が増加している場合には、大人等の前部座席乗員31、34が、図2の状態から、図3の状態に体勢を変化させたことに伴う荷重の変化であると判断する。従って、今回の全体の荷重のみによる判定結果は誤りであり、大人等、つまり、第1荷重領域であるという判定を維持し、ステップQ18によって、大人等の判定を下す。 【0077】これに対して、ケースDのように、前方にかかる荷重52にはほとんど変化がなく、荷重が増加していない場合には、本来は乳幼児等の子供が乗車しているところに、後部座席乗員38が荷重を追加していたが、これがなくなった、つまり、図5の状態から、図4の状態に体勢を変化させたことに伴う荷重の変化であると判断する。従って、前回の判定結果である大人等の判定結果は誤りであり、子供等の判定に直ちに正すこととしている(Q19)。 【0078】上述の場合と同様に、この本願発明の構成により、特別な他のセンサを設けることなく、乗員の着座姿勢の変化による荷重の変化と、本当の乗員変化との区別が可能となり、正確な乗員判定ができるとともに、必要なときにエアバッグが作動しない、または、不適当な圧力での作動などの危険な不都合を容易に防止することができるという効果がある。 【0079】なお、この発明は、実施例の構成に限定されるものではなく、可能な限りの組み合わせによって、多くの実施態様を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003137 【氏名又は名称】マツダ株式会社 【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月19日(2002.2.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067747 【弁理士】 【氏名又は名称】永田 良昭 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−237445(P2003−237445A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−41794(P2002−41794) |
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