| 【発明の名称】 |
車両のシート構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】千村 正雄 【住所又は居所】大阪府池田市桃園2丁目1番1号 ダイハツ工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】車両のシート構造において、表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着する工法を採用した場合、乗り心地を良いものに維持しながら、送風装置の送風がシートに着座する乗員に適切に流れるように構成する。
【解決手段】シートの座部1又は背もたれ部2を構成するパッド部材10において、パッド部材10の表面に凹部10aを形成し、凹部10aに送風する為の送風通路10bをパッド部材10に形成する。通気性のある補助パッド部材14を凹部10aに入れ込み、表皮11を送風通路10bを除くパッド部材10の表面に接着剤により接着し、通気性のある補助表皮15を補助パッド部材14に被せる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートの座部又は背もたれ部を構成するパッド部材において、前記パッド部材の表面に凹部を形成し、前記凹部に送風する為の送風通路を前記パッド部材に形成すると共に、通気性のある補助パッド部材を前記凹部に入れ込み、表皮を前記送風通路を除く前記パッド部材の表面に接着剤により接着し、通気性のある補助表皮を前記補助パッド部材に被せてある車両のシート構造。 【請求項2】 シートの座部又は背もたれ部を構成するパッド部材において、前記パッド部材の表面に凹部を形成し、前記凹部に送風する為の送風通路を前記パッド部材に形成すると共に、通気性のある補助パッド部材を前記凹部に入れ込み、通気性のある表皮を前記パッド部材及び補助パッド部材の表面に被せ、前記補助パッド部材を除いて前記パッド部材の表面と表皮とを接着剤により接着してある車両のシート構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車や商用車、バス等の車両におけるシート構造に関する。 【0002】 【従来の技術】前述のような車両のシートでは、シートの座部又は背もたれ部を構成するパッド部材において、パッド部材の表面に達する送風通路をパッド部材に形成し、パッド部材の裏面側に備えられた送風装置の送風(温風や冷風、常温の風)を、送風通路に供給するように構成したものがある。これにより、送風装置の送風が送風通路から、パッド部材に被せられた表皮を通って、シートに着座する乗員に流れるのであり、シートに着座する乗員にとって快適性の高いものとなる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】シートの座部や背もたれ部は、クッション材としてのパッド部材の表面に、意匠としての表皮を被せたような構造をしており、近年では金具によって表皮をパッド部材の表面に留める工法に代わり、表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着する工法が採用され始めている。しかしながら従来の技術に記載のようなシートにおいて、前述のように表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着すると、表皮とパッド部材の表面との間に接着剤の層が形成されるので、送風装置の送風が接着剤の層により止められて、シートに着座する乗員に流れ難くなることがある。 【0004】この場合、送風通路をパッド部材の表面に完全に露出させ、表皮により送風通路(パッド部材の表面の送風通路の開口)を覆うだけに止めておき、送風通路(パッド部材の表面の送風通路の開口)を除くパッド部材の表面と表皮とを、接着剤により接着するように構成することも考えられる。このように構成すると、送風装置の送風が送風通路から、パッド部材に被せられた表皮を通って、シートに着座する乗員に流れることになるが、表皮の裏面に送風通路(パッド部材の表面の送風通路の開口)が接することになり、シートに着座する乗員の体に、送風通路(パッド部材の表面の送風通路の開口)が当たることになるので、乗り心地の面で好ましくない。 【0005】本発明は車両のシート構造において、表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着する工法を採用した場合、乗り心地を良いものに維持しながら、送風装置の送風がシートに着座する乗員に適切に流れるように構成することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】[I]請求項1(請求項2)の特徴によると、シートの座部又は背もたれ部を構成するパッド部材において、パッド部材の表面に凹部を形成し、凹部に送風する為の送風通路をパッド部材に形成しており、通気性のある補助パッド部材を凹部に入れ込んでいる。この場合、請求項1の特徴によると、表皮を送風通路を除くパッド部材の表面に接着剤により接着し、通気性のある補助表皮を補助パッド部材に被せており、請求項の2特徴によると、通気性のある表皮をパッド部材及び補助パッド部材の表面に被せ、補助パッド部材を除いてパッド部材の表面と表皮とを接着剤により接着している。 【0007】請求項1の特徴によると、通気性のある補助パッド部材に通気性のある補助表皮が被せられており、補助表皮は補助パッド部材に接着されていないので(補助表皮は補助パッド部材の表面の全面に接着されていないので)、送風が送風通路から凹部に供給されると、送風は補助パッド部材及び補助表皮を通って、シートに着座する乗員に流れる。請求項2の特徴によると、パッド部材及び補助パッド部材に表皮が被せられた状態で、パッド部材の表面と表皮とが接着剤により接着されており、補助パッド部材と表皮とは接着されていないので(表皮は補助パッド部材の表面の全面に接着されていないので)、送風が送風通路から凹部に供給されると、送風は補助パッド部材及び表皮を通って、シートに着座する乗員に流れる。 【0008】請求項1(請求項2)の特徴によると、表皮が送風通路を除くパッド部材の表面に接着剤により接着されているので(表皮が補助パッド部材を除くパッド部材の表面に接着剤により接着されているので)、表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着する工法を充分に満足している。 【0009】[II]請求項1(請求項2)の特徴によると、送風通路をパッド部材に形成する場合に、パッド部材の表面に凹部を形成し、凹部に送風するように送風通路をパッド部材に形成しており、通気性のある補助パッド部材を凹部に入れ込んでいる。 【0010】これにより、請求項1(請求項2)の特徴によると、送風通路(送風通路の開口)が補助表皮(表皮)からパッド部材の内部に入り込んだ状態となり、送風通路(送風通路の開口)と補助表皮(表皮)との間に、補助パッド部材が位置する状態となる。従って、請求項1(請求項2)の特徴によると、シートに着座する乗員の体に送風通路(送風通路の開口)が当たるような状態は生じ難い。 【0011】[III]請求項1の特徴によると、シートの座部又は背もたれ部を構成するパッド部材において、パッド部材の表面に凹部を形成し、補助パッド部材を凹部に入れ込んだ場合、表皮を送風通路を除くパッド部材の表面に接着剤により接着し、前述の表皮とは別の補助表皮を補助パッド部材に被せている。これにより、請求項1の特徴によると、補助パッド部材及び補助表皮がパッド部材及び表皮とは別体に構成されるので、補助パッド部材及び補助表皮を別のものに交換することが比較的容易に行える。 【0012】 【発明の実施の形態】図1及び図2は乗用車のシート(運転席及び助手席)を示しており、シートは座部1、背もたれ部2及びヘッドレスト3を備えて構成されている。フロア部4に左右一対のロアレール5が固定され、左右一対のアッパーレール6がロアレール5に沿って前後方向に移動自在に支持されており、右及び左のアッパーレール6に右及び左の横フレーム7が固定されている。背もたれ部2がリクライナ部8を介してアッパーレール6及び横フレーム7に取り付けられており、底パネル9が右及び左の横フレーム7に亘って取り付けられている。 【0013】図1及び図2に示すように、発泡ウレタン等のパッド部材16が用意されて、パッド部材16の表面に布製(又はビニールレザーや皮革製等)の表皮17が被せられており、パッド部材16の表面の略全面に接着剤が塗布されて、表皮17がパッド部材16の表面に接着されている。このようにしてシートの背もたれ部2が構成されている。 【0014】次にシートの座部1について説明する。図1及び図2に示すように、発泡ウレタン等のパッド部材10が用意されて、パッド部材10の表面に布製(又はビニールレザーや皮革製等)の表皮11が被せられており、パッド部材10の表面の略全面に接着剤が塗布されて、表皮11がパッド部材10の表面に接着されている。パッド部材10の表面において、シートに着座する乗員の臀部に対応する部分に、平面視長方形状の凹部10aが形成されており、パッド部材10の凹部10aとパッド部材10の裏面とに亘る複数の送風通路10bが、パッド部材10に形成されている。 【0015】図1及び図2に示すように、パッド部材10の凹部10aに表皮11が入り込んでいるが、表皮11はパッド部材10の送風通路10bに達しておらず、パッド部材10の送風通路10bは塞がれていない。パッド部材10の凹部10aにおいて送風通路10bの周囲の部分に、面状ファスナー13が取り付けられている。 【0016】図1及び図2に示すように、前述のようなパッド部材10が底パネル9に乗せ付けられて固定されており、底パネル9においてパッド部材10の送風通路10bに対向する部分に、開口9aが備えられている。ペルチェ素子(図示せず)を使用した熱交換機能及び送風ファン(図示せず)を備えた送風装置12が備えられて、送風装置12が底パネル9に固定されている。送風装置12の送風口12aが底パネル9の開口9a及びパッド部材10の送風通路10bに挿入されており、送風装置12の吸気口12bが下方に向いて、送風装置12の排気口12cが前方に向いている。 【0017】図1及び図2に示すように、繊維が網状に絡まったようなウレタンフォーム等の補助パッド部材14が用意され、通気性を充分に備えた布製の補助表皮15が補助パッド部材14に被せられており、補助パッド部材14の下面に面状ファスナー13が取り付けられている。この場合、補助パッド部材14は充分な通気性と弾性を備えており、補助表皮15は補助パッド部材14に接着されていない。以上のように構成された補助パッド部材14が、パッド部材10の凹部10aに入れ込まれ、面状ファスナー13によって固定されている。 【0018】補助表皮15を補助パッド部材14に被せる場合に、接着剤を使用するとしても、補助パッド部材14の表面の全面に接着剤を塗布するのではなく、補助パッド部材14の表面に部分的に接着剤を塗布して、補助表皮15を補助パッド部材14の表面に接着するように構成することも可能である。布製の補助表皮15ではなく、ビニールレザーや皮革等の通気性の無い補助表皮15を使用した場合には、小さな通気穴を補助表皮15に多数設ければよい。 【0019】以上の構造により、送風装置12の送風ファンを正転させることによって、空気が送風装置12の吸気口12bから吸引され、熱交換された冷風(又は温風)が送風装置12の送風口12aから出てくる。送風装置12の送風口12aから出てきた冷風(又は温風)が、パッド部材10の送風通路10b、補助パッド部材14及び補助表皮15を通って、シートに着座する乗員の臀部に流れていくのであり、送風装置12の排気口12cから温風(又は冷風)が排出される。 【0020】この場合、送風装置12の熱交換機能を停止させて、送風装置12の送風ファンを正転させることにより、常温の空気をシートに着座する乗員の臀部に流すようにすることが可能である。送風装置12の送風ファンを逆転させることにより、シートに着座する乗員の臀部の付近の空気を、補助パッド部材14及び補助表皮15、パッド部材10の送風通路10bを介して送風装置12の送風口12aから吸引し、送風装置12の排気口12cから排出することが可能である。 【0021】[発明の実施の第1別形態]シートの背もたれ部2において、図3に示すような構造を採用してもよい。図3に示すように、パッド部材16の表面において、シートに着座する乗員の背部の複数箇所に対応する部分に、正面視円形状の凹部16aが形成されており、パッド部材16の凹部16aとパッド部材16の裏面とに亘る送風通路16bが、パッド部材16に形成されている。繊維が網状に絡まったようなウレタンフォーム等の補助パッド部材18が用意されて、補助パッド部材18がパッド部材16の凹部16aに入れ込まれている。補助パッド部材18は充分な通気性と弾性を備えている。 【0022】図3に示すように、パッド部材16及び補助パッド部材18の表面に、通気性を充分に備えた布製の表皮17が被せられており、パッド部材18の表面の略全面に接着剤が塗布されて、表皮17がパッド部材16の表面に接着されている。この場合、パッド部材16の表面に接着剤が塗布されているが、補助パッド部材18の表面には接着剤は塗布されていない。補助パッド部材18の表面に接着剤を塗布するとしても、補助パッド部材18の表面に部分的に接着剤を塗布して、表皮17を補助パッド部材18の表面に接着するように構成することも可能である。布製の表皮17ではなく、ビニールレザーや皮革製等の通気性の無い表皮17を使用した場合には、小さな通気穴を表皮17に多数設ければよい。 【0023】図3に示すように、パッド部材16の裏面側に後パネル19が取り付けられており、ペルチェ素子(図示せず)を使用した熱交換機能及び送風ファン(図示せず)を備えた送風装置12が、後パネル19の下部の内側に固定されている。送風装置12の送風口12aが上方に向いており、送風装置12の吸気口12b及び排気口12cが後方に向いて、後パネル19から出ている。送風装置12の送風口12aに送風パイプ20が接続され、送風パイプ20が上方に延出されており、送風パイプ20の送風口20aがパッド部材16の送風通路16bに挿入されている。 【0024】以上の構造により、送風装置12の送風ファンを正転させることによって、空気が送風装置12の吸気口12bから吸引され、熱交換された冷風(又は温風)が送風装置12の送風口12aから出てくる。送風装置12の送風口12aから出てきた冷風(又は温風)が、送風パイプ20、パッド部材16の送風通路16b、補助パッド部材18及び表皮17を通って、シートに着座する乗員の背部に流れていくのであり、送風装置12の排気口12cから温風(又は冷風)が排出される。 【0025】この場合、送風装置12の熱交換機能を停止させて、送風装置12の送風ファンを正転させることにより、常温の空気をシートに着座する乗員の背部に流すようにすることが可能である。送風装置12の送風ファンを逆転させることにより、シートに着座する乗員の背部の付近の空気を、補助パッド部材18及び表皮17、パッド部材16の送風通路16b、送風パイプ20を介して送風装置12の送風口12aから吸引し、送風装置12の排気口12cから排出することが可能である。 【0026】[発明の実施の第2別形態]前述の[発明の実施の形態]において、パッド部材10の凹部10a、及び補助パッド部材14を、シートに着座する乗員の臀部に対応する部分ばかりではなく、シートに着座する乗員の太股部に対応する部分に設置するように構成してもよい。前述の[発明の実施の形態]において、補助パッド部材14及び補助表皮15を、材質や形状の異なる補助パッド部材14及び補助表皮15に交換することにより、シートに着座する乗員の臀部に流れる冷風(又は温風)を、乗員の好みによって多くしたり少なくしたりすることが可能になる。 【0027】[発明の実施の第3別形態]前述の[発明の実施の形態]及び[発明の実施の第2別形態]の構成をシートの背もたれ部2に採用したり、前述の[発明の実施の第1別形態]の構成をシートの座部1に採用したりすることが可能である。本発明はシート(運転席及び助手席)ばかりではなく、後側のシートにも採用可能である。 【0028】 【発明の効果】請求項1(請求項2)の特徴によると、車両のシート構造において表皮をパッド部材の表面に接着剤により接着する工法を採用した場合、送風が送風通路から凹部に供給されると、送風が補助パッド部材及び補助表皮(補助パッド部材及び表皮)を通って、シートに着座する乗員に流れるように構成することができて、シートの快適性を向上させることができた。 【0029】請求項1(請求項2)の特徴によると、送風通路(送風通路の開口)が補助表皮(表皮)からパッド部材の内部に入り込んだ状態となり、送風通路(送風通路の開口)と補助表皮(表皮)との間に補助パッド部材が位置する状態となって、シートに着座する乗員の体に送風通路(送風通路の開口)が当たるような状態は生じ難いので、パッド部材に送風通路を形成することによる乗り心地の低下を伴うものではない。 【0030】請求項1の特徴によると、補助パッド部材及び補助表皮がパッド部材及び表皮とは別体に構成されており、補助パッド部材及び補助表皮を別のものに交換することが比較的容易に行えるので、シートのメンテナンスと言う面でも有利なものとなる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002967 【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社 【住所又は居所】大阪府池田市ダイハツ町1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月18日(2002.2.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2003−237444(P2003−237444A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月27日(2003.8.27) |
| 【出願番号】 |
特願2002−39797(P2002−39797) |
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