トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 車両用シートバック
【発明者】 【氏名】江部 一成

【要約】 【課題】金属製バックフレームシートパッド本体が取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分表面部に、このシートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成してなることを特徴とする車両用シートバック。

【解決手段】本発明の車両用シートバックは、人体に伝わる振動を低減することができ、しかもシートバックを重くするなどの不利もなく、組み立て作業性を悪化させることもない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分表面部に、このシートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成してなることを特徴とする車両用シートバック。
【請求項2】 上記フォーム部が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%、厚さが5mm以上の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用シートバック。
【請求項3】 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分に軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成してなることを特徴とする車両用シートバック。
【請求項4】 上記フォーム部が、25%圧縮時の硬度が5〜15kgf/φ200、密度が25〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜70%の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用シートバック。
【請求項5】 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をシートカバーのワディングとして配設したことを特徴とする車両用シートバック。
【請求項6】 上記フォーム体が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%、厚さが5mm以上の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項5記載の車両用シートバック。
【請求項7】 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、袋体を上下方向に揺動可能に配設すると共に、この袋体内に上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をワディングとして上下方向に移動可能に充填したことを特徴とする車両用シートバック。
【請求項8】 上記フォーム体が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項7記載の車両用シートバック。
【請求項9】 金属性バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に多数のひだ部がそれぞれ上下方向に揺動可能に形成されたひだ状部材を設けたことを特徴とする車両用シートバック。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用シートバックに関し、更に詳述すると、シートバックからこれに着座する乗員に伝わる振動を可及的に低減させたシートバックに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来より、自動車等の車両用シートバックは、着座する乗員に金属製バックフレームからの振動を伝達し易いことが問題となっており、この点を解決するために、シートバックフレームの上部に肉厚鉄板製の質量体を設けたり、或いはパイプ状のアップフレームの内部に一体物として固化した低融点金属を充填して(特開平11−208330号公報)、フレームの共振周波数を低下させる、いわゆるマスダンパ(ダイナミックダンパ)が用いられていた。
【0003】しかし、これら両方法は、いずれもフレームに付加的な錘を装着するので、シート、ひいては車両全体の重量増につながり、車両の燃費や動力性能に悪影響を及ぼす。また、フレーム自体が重くなるので、シートを組み立てる際の作業性の悪化ももたらし、コストアップにもつながる。
【0004】本発明は、上記事情を改善するためになされたもので、上記不利を解消し、振動を可及的に低減させたシートバックを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、マスダンパによって共振周波数を操作するのではなく、シートフレームと人体の間に介在するシートパッド或いはシートカバーの減衰性を高めることにより、フレームの振動が人体に伝達するのを防ぐことを確認し、本発明をなすに至った。
【0006】即ち、本発明は下記車両用シートバックを提供する。
[請求項1] 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分表面部に、このシートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成してなることを特徴とする車両用シートバック、[請求項2] 上記フォーム部が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%、厚さが5mm以上の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用シートバック、[請求項3] 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分に軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成してなることを特徴とする車両用シートバック、[請求項4] 上記フォーム部が、25%圧縮時の硬度が5〜15kgf/φ200、密度が25〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜70%の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用シートバック、[請求項5] 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をシートカバーのワディングとして配設したことを特徴とする車両用シートバック、[請求項6] 上記フォーム体が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%、厚さが5mm以上の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項5記載の車両用シートバック、[請求項7] 金属製バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、袋体を上下方向に揺動可能に配設すると共に、この袋体内に上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をワディングとして上下方向に移動可能に充填したことを特徴とする車両用シートバック、[請求項8] 上記フォーム体が、25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることを特徴とする請求項7記載の車両用シートバック、[請求項9] 金属性バックフレームにシートパッド本体が取り付けられ、その上にシートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に多数のひだ部がそれぞれ上下方向に揺動可能に形成されたひだ状部材を設けたことを特徴とする車両用シートバック。
【0007】上記シートバックによれば、シートバックから人体に伝わる振動が良好に低減される。
【0008】即ち、シートバックから人体に入力される振動は、シートの構造上、上下方向の振動が多く、この場合シートと人体との間には、図1に示すように剪断方向の振動が生ずることになる。ここで、1はフロアー、2はシートクッション、3が人体であり、10がシートバックである。
【0009】従って、シートバックから人体に入ってくる上下方向の振動Aを低減させるためには、シートパッド或いはシートカバーが剪断方向の減衰特性を有する必要がある。
【0010】また、シートバックは搭乗者がもたれかかりやすいように傾斜角(α)がついているが、これにより上下方向の入力振動が前後方向にも転換されるため、シートバック面直方向での振動(B)の吸収性も重要である。
【0011】図2にシートバック接触面の拡大図を示す。図2において、11は金属性バックフレーム、12はシートパッド本体、13はシートカバーである。ここで、剛体であるフレーム部の上下方向並びに前後方向の振動は、主にフロアーの上下振動が原因となって生じる。実際に人体(上半身)とフレームの間には、ウレタンパッドと表皮カバーが介在しており、これらが剪断方向並びに面直方向の減衰特性を有するためには、適度の厚みと減衰性、そして硬度を付与する必要がある。
【0012】本発明のシートバックは、上記構成により上記剪断方向及び面直方向において、良好な減衰効果を与えるものである。
【0013】
【発明の実施の形態及び実施例】本発明の車両用シートバックは、図2に示したように、金属性バックフレーム11と、これに取り付けられたシートパッド本体12と、通常、このシートパッド本体12上に取り付けられたシートカバー13とを備えたものである。
【0014】この場合、本発明においては、振動を低減するため、(i)上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分表面部に、このシートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成する、(ii)上記シートパッド本体の少なくとも背もたれ部分に、軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部を形成する、(iii)上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をシートカバーのワディングとして配設する、(iv)上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に、袋体を上下方向に揺動可能に配設すると共に、この袋体内に上記シートパッド本体より軟らかくかつ減衰性の高いフォーム体をワディングとして上下方向に移動可能に充填する、(v)上記シートカバーが取り付けられた車両用シートバックにおいて、上記シートカバーの少なくとも背もたれ部分に多数のひだ部がそれぞれ上下方向に揺動可能に形成されたひだ状部材を設けるという、(i)〜(v)のいずれか1の構成又は2以上を組み合わせた構成とするものである。
【0015】ここで、上記フォーム部又はフォーム体は、特に軟質ポリウレタンフォームにて形成することが好ましく、特に上記(i)のフォーム部、(iii),(iv)のフォーム体の場合は25%圧縮時の硬度が3〜15kgf/φ200、密度が15〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%、厚さが5mm以上の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることが好ましい。より好ましくは、25%圧縮時の硬度が5〜10kgf/φ200、密度20〜50kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜50%である。なお、ボールリバウンド値(反発弾性)は、JIS K 6400に準拠して測定した値である。また、厚さは5〜30mm、特に15〜25mmであることが更に好ましい。
【0016】一方、上記(ii)のフォーム部の場合は25%圧縮時の硬度が5〜15kgf/φ200、密度が25〜80kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜70%の軟質ポリウレタンフォームにて形成されていることが好ましく、より好ましくは25%圧縮時の硬度が5〜10kgf/φ200、密度が25〜50kgf/m3、ボールリバウンド値が30〜60%である。また、その厚さは、通常15〜50mm、特に25〜40mmとすることが好ましい。
【0017】これらの場合、硬度が小さすぎると、シートバックとして人体を支えられなくなるおそれがあり、大きすぎると、振動吸収性が悪くなり、座り心地も悪化するおそれがある。密度が低すぎると、フォームがへたりやすくなったり、また振動吸収性も悪くなる場合があり、高すぎると、コストアップにつながることがある。ボールリバウンド値が小さすぎると、硬度との兼合いで振動吸収性が悪化する場合があり、大きすぎると、振動を吸収しなくなるおそれがある。また、厚さが厚すぎると、シートバックとしてのサポート性が悪くなるおそれがあり、薄すぎると、振動吸収性が悪くなるおそれがある。
【0018】また、上記(i)において、シートパッド本体は、25%圧縮時の硬度が5〜20kgf/φ200、特に8〜15kgf/φ200であることが好ましく、上記フォーム部の硬度はこのシートパッド本体の硬度より2〜10kgf/φ200、特に2〜5kgf/φ200軟らかいものであることが好ましい。更にシートパッド本体のボールリバウンド値は30〜70%、特に30〜60%であることが好ましく、上記フォーム部のボールリバウンド値は、このシートパッド本体のボールリバウンド値より5〜30%、特に5〜20%低いことが好ましい。
【0019】なお、上記シートパッド本体の特性は、上記(iii)〜(v)の態様におけるシートパッド本体でも同様とすることができ、フォーム体との特性値の差異も上記と同様とすることができる。また、(ii)の態様において、軟らかくかつ減衰性の高いフォーム部以外の部分の特性及びこれとフォーム部との特性値の差異についても上記と同様である。
【0020】上記態様について、図面を参照して説明すると、図3は上記(i)の態様の例であり、これはシートパッド本体12の作成時に一体発泡によりフォーム部(減衰層)12aをシート状に一体化したものである。なお、このフォーム部(減衰層)12aは、一体発泡によるほか、後貼り等の方法によって形成することもできる。
【0021】また、図4は、高減衰配合により減衰フォーム部12bを形成した上記態様(ii)の一例である。
【0022】更に、図5は、態様(iv)の一例であり、図中13はシートカバー、14は袋状の表皮(袋体)であり、この袋状表皮14は、その上下面がそれぞれジャバラ状に形成され、上下方向に揺動し得るようにフレーム側表皮に設けられていると共に、上記袋状表皮14内に減衰フォーム体15を上記袋状表皮14の揺動と共に、上下方向移動可能に充填されたものである。
【0023】図6は、態様(v)の一例を示し、16は多数のひだ部16aを有し、これらひだ部16aが上下方向に揺動可能に形成されたジャバラ状のひだ状部材であり、このひだ状部材16は、シートカバー13に取り付けられている。
【0024】なお、図6のジャバラ形状はキノコ状であるが、形状はこれに限定されるものではなく、例えば三角形状(図7)、矩形状(図8)、半円状(図9)等とすることができる。また、図6では中央部の腰椎近辺にひだ状部材を設けているが、ひだ状部材の位置は腰椎部のみに限定されるものではない。
【0025】更に、上記ジャバラ状のひだ状部材内に,上述した(i)の態様におけるフォーム部と同様の性状の軟質ポリウレタンフォームのチップ等を充填させるようにしてもよい。
【0026】なお、上記の高減衰軟質ポリウレタンフォームは、公知の高減衰配合組成の発泡原料を用いて製造することができる。
【0027】[実験例]図10,11にそれぞれシートバック座面部にスラブ材(密度:40kg/m3、25%硬度:10kgf/φ200、BR(ボールリバウンド)値:35%、厚さ:20mm)を一体発泡した場合としない場合との、シートバック座面(シートカバー無し)上下方向と前後方向の加速度をそれぞれ示す。
【0028】各々の加速度は、身長170cm、体重の70kgの男性被験者が加振台の上に取り付けられた自動車用シートに着座し、周波数成分1〜100Hzのフラットなパワースペクトラムを有する、マグニチュード1.0m/s2の上下方向の加速度が加振台上で再現された時の被験者の胸骨の位置での加速度である。
【0029】図10,11に示すとおり、低硬度・高減衰のスラブの影響により、上下・前後方向とも被験者に入ってくる加速度が低減されていることがわかる。
【0030】
【発明の効果】本発明の車両用シートバックは、人体に伝わる振動を低減することができ、しかもシートバックを重くするなどの不利もなく、組み立て作業性を悪化させることもない。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成14年2月14日(2002.2.14)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司 (外1名)
【公開番号】 特開2003−237442(P2003−237442A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−36524(P2002−36524)