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【発明の名称】 車両のシート格納構造
【発明者】 【氏名】野中 健次
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】森野 敏峰
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】村上 泰一
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】豊田 稔
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【氏名】甲原 靖裕
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ株式会社内

【要約】 【課題】前方へ大きく移動されるシートのシートクッションが、インストルメントパネルに対して車幅方向および上下方向において干渉しないようにする。

【解決手段】助手席用シート4を通常の着座使用位置からそのまま前方動させたのでは、シートクッション10の左右一対のサイド部10Bのうち車幅方向内端部側のサイド部がインストルメントパネル1に対して車幅方向において干渉すると共に、サイド部10Bの上端部がインストルメントパネル1の下端部に対して上下方向において干渉する。シート4の支持台14がリンク機構として構成されて、シート4は、前方動されるのに伴って車幅方向外方側および下方へと変位される。シート4を一旦車幅方向外方側へオフセットし、その後の前方動により低くなるように設定することもできる。シートクッション10をその車幅方向内方側の突出量が小さくなる挟幅状態に変更して、シート4が前方動されるのに伴って低くなるように設定することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車室内前部に設けられたインストルメントパネルの後方にシートが設けられた車両のシート格納構造において、前記インストルメントパネルは、車幅方向に伸びるパネル本体部と、該パネル本体部の車幅方向略中間部において略上下方向に伸びるコンソール部とを有しており、前記シートは、前後方向に移動可能とされて、通常の着座使用範囲の他に、該着座使用範囲よりも大きく前方へ移動された格納位置をとり得るようにされ、前記着座使用範囲においては、前記シートクッションの車幅方向内方側の端部が前記コンソール部に対して車幅方向にオーバラップするようにされると共に、前記シートクッションの上端部が前記インストルメントパネルに対して上下方向にオーバラップするようにされており、少なくとも前記格納位置において前記シートクッションとインストルメントパネルとの干渉を回避するために、該シートクッションの車幅方向内方側への突出量を小さくする第1回避手段と、前記シートクッションの高さを低くする第2回避手段とが設けられている、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項2】請求項1において、前記第1回避手段は、前記シートクッションをその幅が小さくなる挟幅状態に変更する、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項3】請求項2において、前記シートクッションは、着座部と、該着座部の左右端部に配設された左右一対のサイド部とを有し、前記第1回避手段は、前記左右一対のサイド部のうち車幅方向内方側に位置する内方側サイド部を上方に向けて変位させることにより前記挟幅状態とする、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項4】請求項1において、前記第2回避手段が、車室床面を構成するフロアパネルと前記シートクッションとの間に配設されたリンク機構によって構成されて、該シートクッションを前方動させるのに連動して該シートクッションが全体的に下方へ変位されるように設定されている、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項5】請求項1において、前記各回避手段が、前記シートクッションと車室床面を構成するフロアパネルとの間に配設された同一のリンク機構によって構成されて、該シートクッションを前方動させるのに連動して、該シートクッションが全体的に下方へ変位されつつ全体的に車幅方向外方側に向けて変位されるように設定されている、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項6】請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記シートは、前記シートバックの上端部に連結されたヘッドレストを有し、前記インストルメントパネルには、凹部が形成され、前記シートバックを前記格納位置において前方へ傾倒させたときに、前記凹部内に少なくとも前記ヘッドレストが収納される、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記シートが助手席用シートとされ、前記助手席用シートの後方に後席用シートが配設されている、ことを特徴とする車両のシート格納構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両のシート格納構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用のシートは、通常、シートクッションとシートバックとヘッドレストとを有する。車室前部に配置されたインストルメントパネルの後方には、通常、運転席用シートの他に、運転席用シートの側方において助手席用シートが配置される。そして、運転席用シートと助手席用シートの後方の車室内には、後席用シートが配置される場合も多い。そして、シート、特に運転席用シートは勿論のこと、助手席用シートも、スライド機構によって前後方向に移動可能とされて、規制手段によって所望の前後位置でもって規制(ロック)できるようになっているのが一般的である。
【0003】助手席用シートを使用しない場合、つまり助手席用シートに乗員が着座する必要のない場合も多々生じる。このように助手席用シートを使用しない場合に、助手席用シート後方の車室内空間を極力有効に利用できるように、助手席用シートを、乗員が着座される通常の使用範囲よりも大きく前方へ移動させた格納位置とすることが提案されている(例えば特開2000−238560号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インストルメントパネルとしては、車幅方向に伸びるパネル本体部の他に、パネル本体部の車幅方向略中間部において上下方向に伸びるコンソール部を別途設けることが考えられる。この場合、シートを格納位置に向けてそのまままっすぐ大きく前方へ移動させようとすると、シートクッションの車幅方向内方側端部がコンソール部と干渉してしまい、シートを大きく前方へ移動させることが困難になる。特に、シートクッションの幅(車幅方向長さ)が大きい場合に、このような傾向が顕著となる。なお、格納位置を、シートクッションとコンソール部とが干渉しない範囲で設定することも考えられるが、この場合は、シートの後方空間を十分に拡大するという点において好ましくないものとなる。
【0005】以上に加えて、シートを通常の使用範囲よりも大きく前方へ移動させて格納位置をとり得るようにした場合、格納位置でのシートの後方空間を十分に拡大するために、少なくともシートの前端部がインストルメントパネルの後端よりも前方へ位置させることが望まれることになる。この一方、シートの通常の使用位置では、そのシートクッションの上端部がインストルメントパネルに対して上下方向にオーバラップするような関係とされることが多い。すなわち、シートクッションは、通常、乗員が着座される着座部と、着座部の左右に設けられた左右一対のサイド部とを有して、この左右一対のサイド部の高さが着座部の高さよりも高くされていて、シートを格納位置に向けて大きく前方へ移動させようとしたとき、このサイド部がインストルメントパネルに対して上下方向において干渉してしまうことが考えられる。
【0006】本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、シートを大きく前方へ移動させても、シートとインストルメントパネルとの車幅方向および上下方向の各方向における干渉を防止できるようにした車両のシート格納構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明はその解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、車室内前部に設けられたインストルメントパネルの後方にシートが設けられた車両のシート格納構造において、前記インストルメントパネルは、車幅方向に伸びるパネル本体部と、該パネル本体部の車幅方向略中間部において略上下方向に伸びるコンソール部とを有しており、前記シートは、前後方向に移動可能とされて、通常の着座使用範囲の他に、該着座使用範囲よりも大きく前方へ移動された格納位置をとり得るようにされ、前記着座使用範囲においては、前記シートクッションの車幅方向内方側の端部が前記コンソール部に対して車幅方向にオーバラップするようにされると共に、前記シートクッションの上端部が前記インストルメントパネルに対して上下方向にオーバラップするようにされており、少なくとも前記格納位置において前記シートクッションとインストルメントパネルとの干渉を回避するために、該シートクッションの車幅方向内方側への突出量を小さくする第1回避手段と、前記シートクッションの高さを低くする第2回避手段とが設けられている、ようにしてある。上記解決手法によれば、第1回避手段によってシートクッションの車幅方向内方側への突出量を小さくすることにより、シートクッションとコンソール部との干渉を避けることができる。また、第2回避手段によってシートクッションを低くすることにより、シートクッションとインストルメントパネルとの上下方向の干渉を避けることができる。この結果、シートを十分に前方へ移動させること、つまり格納位置を十分前方に設定することができ、格納位置にあるシートの後方空間を十分に拡大することができる。
【0008】上記解決手法を前提として、次のような解決手法を合わせて採択することができる。前記第1回避手段は、前記シートクッションをその幅が小さくなる挟幅状態に変更する、ようにすることができる(請求項2対応)。この場合、シートクッションの幅を小さくするという手法によって、車幅方向の干渉を避けることができる。
【0009】前記シートクッションは、着座部と、該着座部の左右端部に配設された左右一対のサイド部とを有し、前記第1回避手段は、前記左右一対のサイド部のうち車幅方向内方側に位置する内方側サイド部を上方に向けて変位させることにより前記挟幅状態とする、ようにすることができる(請求項3対応)。この場合、シートクッションのうち車幅方向内方側サイド部を部分的に上方へ変位させることにより、挟幅状態とすることができる。
【0010】前記第2回避手段が、車室床面を構成するフロアパネルと前記シートクッションとの間に配設されたリンク機構によって構成されて、該シートクッションを前方動させるのに連動して該シートクッションが全体的に下方へ変位されるように設定されている、ようにすることができる(請求項4対応)。この場合、シートを全体的に低くするというシートの高さ調整によって、上下方向の干渉を避けることができる。とりわけ、シート高さの下方への調整量を、通常のシート高さ調整範囲よりも大きくなるように設定するだけで、上下方向の干渉を避けることができる。
【0011】前記各回避手段が、前記シートクッションと車室床面を構成するフロアパネルとの間に配設された同一のリンク機構によって構成されて、該シートクッションを前方動させるのに連動して、該シートクッションが全体的に下方へ変位されつつ全体的に車幅方向外方側に向けて変位されるように設定されている、ようにすることができる(請求項5対応)。この場合、車幅方向の干渉と上下方向の干渉とをシートクッションの動きのみによって一挙に避けることができる。
【0012】前記シートは、前記シートバックの上端部に連結されたヘッドレストを有し、前記インストルメントパネルには、凹部が形成され、前記シートバックを前記格納位置において前方へ傾倒させたときに、前記凹部内に少なくとも前記ヘッドレストが収納される、ようにすることができる(請求項6対応)。この場合、ヘッドレストあるいはシートバックの一部とインストルメントパネルとの干渉を避けて、シートをより一層前方へ位置させることが可能になり(格納位置をより前方位置に設定することが可能になり)。格納位置にあるシートの後方空間をより十分に拡大することができる。
【0013】前記シートが助手席用シートとされ、前記助手席用シートの後方には、後席用シートが配設されている、ようにすることができる(請求項7対応)。この場合、後席の乗員が、格納位置にある助手席用シートの後方空間を有効に利用することが可能となる。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、シートとインストルメントパネルとの干渉を避けて、格納位置を極力前方位置に設定して、格納位置にあるシートの後方空間を十分に拡大することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図3において、1はインストルメントパネルであり、車室2の前部に配設されて車幅方向に長く伸びている。車室2内には、インストルメントパネル1の後方において、前席としての運転席用シート3(図2参照)および助手席用シート4が互いに車幅方向に間隔をあけて配設されている。車室2内にはさらに、前席としての上記各シート3,4の後方において、後席用シート5が配設されている。後席用シート5は、例えば車幅方向ほぼ全長に渡って伸びるベンチ式とされている。
【0016】実施形態では、助手席用シート4が、後述する格納位置をとり得るようにされたシートとされており、以下この助手席用シート4について説明する。まず、助手席用シート4は、既知のように、シートクッション10と、シートクッション10の後端部に連結されたシートバック11と、シートバック11の上端部に連結されたヘッドレスト12とを有する。シートバック11は、シートクッション10に対して前後方向に揺動可能に連結されて、起立位置から少なくとも前方へ向けて傾倒できるようになっている。
【0017】助手席用シート4は、前後方向に移動可能とされている。すなわち、フロアパネル6には、前後方向に長く伸びるスライドレール13が固定されて、シートクッション10の下面に固定された支持台14の下部が、スライドレール13に対して前後方向にスライド可能に係合されている。このスライドレール13と支持台14とが、スライド機構を構成する。
【0018】図1において、助手席用シート4は、その前後方向移動範囲として、着座して使用することが許容される範囲となる着座保証範囲と、着座保証範囲よりも大きく前方へ移動された所定位置としての格納位置とをとり得るようになっている。着座保証範囲のうちもっとも後方に位置された助手席用シート4が一点鎖線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP1で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α1で示される。着座保証範囲のうちもっとも前方に位置された助手席用シート4が波線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP2で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α2で示される。また、格納位置にある助手席用シート4が実線で示され、このときの基準ヒップポイントが符号HP3で示されると共に、シートバック11の揺動支点が符号α3で示される。
【0019】助手席用シート4用のシートベルト(実施形態では3点式)を車体側に固定するアンカのうち、助手席用シート4の側方下部に位置されるアンカ(通常は左右一対設けられる)が符号15で示される。このアンカ15は、助手席用シート4に着座される乗員の腰部付近を押さえる腰ベルト部分の各端部を保持するものとなる。
【0020】着座保証範囲について説明すると、基本的には、助手席用シート4に着座している乗員に対して、上記腰ベルト部が後方および下方という両方向において乗員を拘束できるような範囲とされる。換言すれば、後方への拘束が過度になったり(下方への拘束が不足する場合)や、下方への拘束が過度になったり(後方への拘束が不足する場合)することがない範囲とされる。
【0021】着座保証範囲についてより具体的に説明すると、各基準ヒップポイントHP1、HP2、HP3とアンカ15の車体への取付部とを結ぶ仮想線β1、β2、β3を想定する。各仮想線β1、β2、β3がフロアパネル6(水平面)に対してなす傾斜角度をそれぞれθ1、θ2、θ3とする。着座保証範囲は、上記傾斜角度θ1とθ2とが所定角度範囲(例えば25度〜70度)となるように設定される。しかしながら、助手席用シート4が着座保証範囲よりも大きく前方へ移動された格納位置にあるときの傾斜角度θ3は、上記所定角度範囲から外れた状態となる。なお、格納位置にあるときの助手席用シート4は、実施形態では、そのシートクッション10の少なくとも前端部がインストルメントパネル1の下方にもぐり込んだ状態とされるが、シートクッション10がより深く(より前方へ)移動された状態とすることもでき、また実施形態の場合よりも後方に位置された状態とすることもできる。
【0022】図1〜図5において、インストルメントパネル1のうち、助手席用シート4の前方に相当する部分には、凹部21が形成されている。この凹部21は、インストルメントパネル1の上面に向けて開口されると共に車室後方に向けても開口されている。このような凹部21とくにその開口縁部の輪郭形状は、助手席用シート4のヘッドレスト12の輪郭形状に対応していて、ヘッドレスト12よりも若干大きく形成されている。
【0023】インストルメントパネル1には、上記凹部21を上方から覆うリッド部材20が設けられている。このリッド部材20は、薄板状とされて、その前端部に設けた車幅方向に伸びる回動支点20aを中心にした揺動によって開閉されるようになっており、実施形態では後開きとされている。このリッド部材20は、凹部21を上方から覆うと共に、凹部21の車体後方への開口部分のうち少なくとも上部をも覆うようになっている。リッド部材20は、その閉状態が図1実線、図4一点鎖線、図5実線、図7実線で示される一方、その開状態が図1一点鎖線、図4実線、図7一点鎖線で示される。リッド部材20は、閉状態のときは、その上面がインストルメントパネル1の上面と略面一となるように設定されている。
【0024】図2、図3に特に示すように、インストルメントパネル1には、ステアリングハンドル22、シフトノブ23が保持される他、車幅方向略中間部において、オーディオ等の操作部24、空調操作部25が装備されている。また、インストルメントパネル1には、前記凹部21の下方において、グローブボックス26が形成され、その開閉リッドが符号26aで示される。さらに、インストルメントパネル1内には、助手席用シート4用のエアバッグユニット45が装備されている(図1、図7参照)。
【0025】インストルメントパネル1内には、その車幅方向中間部において、後述するような空調ユニット30が装備されている。この空調ユニット30からの空調エアは、インストルメントパネル1に設けた各種の吹出口から車室内へと供給される。空調エアの吹出口としては、実施形態では、次のようなものがある。まず、車幅方向略中間部の上部位置において、乗員用の吹出口31が形成される他、車幅方向各端部の上部位置において乗員用の吹出口32が形成されている。また車幅方向各端部において、サイドウインドのくもり止め用の空調エアの吹出口33が形成されている。勿論、インストルメントパネル1には、上述の吹出口の他に、車室内下部への吹出口や、フロントウインドのくもり止め用の吹出口等も形成されているものである。
【0026】空調ユニット30は、車幅方向長さが通常よりも短くされる一方、前後方向長さが通常よりも長くなるように形成されている(図2参照)。なお、ダクト34のうち、凹部21を通る部分は、凹部21の直下方を通って配設されているが、凹部21の前方を通るように配設してもよい。
【0027】図6には、空調ユニット30の一例が示される。この図6において、36はブロアが配設されるブロア室であり、ブロア室36からのエアは、エバポレータ37で一旦冷却される。エバポレータ37を通過したエアは、直接ミックス室38へと流れる一方、ダンパ39の切換位置によっては、その一部がヒータコア39を通過した後にミックス室38へと流れる。ミックス室38から、各吹出口へと空調エアが流れる。図6において、ダクト40が吹出口31用であり、ダクト41が車室下部へ向けて空調エア供給用であり、ダクト42がフロントウインド7へ向けての空調エア供給用である。また、吹出口33用のダクト43は、上記ダクト42から分岐して形成されている(図1、図7をも参照)。
【0028】なお、各ダクトを開閉するダンパは図示を略してある。また、実施形態では、前述したような空調ユニット30、ステアリングハンドル22、各操作部24、25、エアバッグユニット45等はインストルメントパネル1にあらかじめ組み込まれた後(モジュール化)、車体に組み付けられるようになっている。さらに、図1、図6、図7中、符号46は、車幅方向ほぼ全長に渡って伸びる車体強度部材としてのステアリング支持部材である。
【0029】次に、助手席用シート4の移動規制を行う規制手段について説明する。まず、図8、図9には、助手席用シート4の支持台14がスライドレール13によって前後方向にガイドされる部分の断面構造が示されている。図9に示すように、支持台14には、ブラケット51、保持ピン52を利用して、ロック部材53が上下方向にのみ摺動自在に保持されている。一方、スライドレール13には、前後方向に小ピッチ毎(例えば5mm毎)に、孔形状の係止部54が多数形成されている。ロック部材53は、図示を略すスプリングによって常時下方に付勢されている。ロック部材53が、図9に示すように係止部54に係合されたとき、助手席用シート4の前後動が規制される。ロック部材53を、図9の状態から上方へ変位させることにより、係止部54との係合を解除させたときは、助手席用シート4は前後方向に動き得ることになる(ロック解除)。上記ロック部材53と係止部54とを利用した助手席用シート4の移動規制および規制解除された状態での前後動は、着座保証範囲においてのみ行われる(着座保証範囲で助手席用シート4を前後動させたときのロック部材53の移動範囲においてのみ、係止部54が形成されている)。
【0030】図10に示すように、上記ロック部材53の規制解除(ロック解除)のための操作部材55が、シートクッション10の下方に配設されている。この操作部材55は、シートクッション10の下面に対して、ブラケット56、保持ピン57を介して、揺動自在に保持されている。この操作部材55は、ケーブル58を介してロック部材53と連結されている(図9をも参照)。手動操作によって、操作部材55の操作部55aを上方に引き上げると、ケーブル58が引張されて、ロック部材53が上方へ変位される(ロック解除)。なお、ケーブル58は、実際には内外2重ケーブルにおけるインナケーブルによって構成されている。前述したようなロック部材53、係止部54、操作部材55、ケーブル58等によって第1規制手段が構成される。なお、ロック部材53の設定位置は、例えば図1の矢印Aで示す部分とされる。
【0031】スライドレール13の前端部には、助手席用シート4が格納位置にあるとき、ロック部材53が係合される係止部54が1つだけ形成されている。すなわち、助手席用シート4が後述のようにして格納位置とされたとき、ロック部材53がスライドレール13の前端部にある係止部54に係合することにより、格納位置にある助手席用シート4の前後動が規制される。このように、実施形態では、着座保証範囲における前後位置調整用となるロック部材53が、格納位置にある助手席用シート4の前後動規制用として利用されるように設定されている。
【0032】助手席用シート4は、着座保証範囲を越えてさらに前方へ移動するのが規制される。このため、スライドレール13には、図11、図12に示すように係止部材61が一体化されている。一方、支持台14には、ブラケット62、保持ピン63を介して、ロック部材64が上下方向にのみ変位可能に保持されている。ロック部材64は、図示を略すスプリングによって、常時下方に向けて付勢されている。
【0033】着座保証範囲にある助手席用シート4が、前方へ移動されて、着座保証範囲の前端位置にまで移動されたとき、ロック部材64がストッパ部材61に対して後方から当接されて、助手席用シート4のこれ以上の前方移動が規制される(図11、図12の状態)。この規制状態(ロック状態)から、ロック部材64を上方へ変位させると、ロック部材64とストッパ部材61とが前後方向において干渉しない位置関係となり、助手席用シート4は格納位置に向けてさらに前方へ移動することが可能となる。
【0034】ロック部材64をストッパ部材61に当接させることによる規制を解除するための機構が、シートバック11に関連して設けられている。すなわち、図13に示すように、助手席用シート4の側部に設けられるシートブラケット71は、シートクッション10に固定される第1ブラケット部71Aと、シートバック11に固定される第2ブラケット部71Bとを有し、両ブラケット部71Aと71Bとが、連結ピン72によって揺動可能に連結されている。この連結ピン72は、シートバック11の揺動支点を構成する。そして、シートバック11は、図示を略すスプリングによって常時前方へ向けて傾倒する方向に付勢されている。
【0035】第2ブラケット部71Bには、略円板状のロック部材73が一体化されている。このロック部材73の外周面には、連結ピン72を中心とする所定円弧範囲に渡って多数の爪状の係止部74が形成されている。一方、第1ブラケット部71Aには、保持ピン75によって、操作部材76が揺動自在に保持されている。この操作部材76の一端部には、上記係止部74に係脱可能な爪状の係合部77が形成されている。そして、操作部材76は、図示を略すスプリングによって、上記係合部77が係止部74に係合する方向に常時付勢されている。操作部材76の操作部76aを手動操作によって上方へ引き上げると、係合部77の係止部74に対する係合が解除されて、シートバック11は前方へ傾倒可能となる。シートバック11の傾倒角度が所望角度となった位置で操作部76aから手を離せば、係合部77が再び係止部74に係合されて、シートバック11の所望傾倒角度が維持される。
【0036】上記ロック部材73の外周縁部と、前述のロック部材64とが、ケーブル78によって連結されている(図11、図12をも参照)。これにより、シートバック11が前方へ傾倒するとき、ケーブル78が引張されて、ロック部材64が上方へ変位される。シートバック11が所定角度以上前方へ傾倒したとき、つまり助手席用シート4に乗員が着座することが不可能な状態となったとき、ロック部材64とストッパ部材61との干渉(ロック)が解除されて、助手席用シート4は格納位置へ向けて前方へ移動可能とされる。なお、ケーブル78は、実際には内外2重ケーブルにおけるインナケーブルによって構成されている。前述したようなストッパ部材61、ロック部材64、操作部材76、ケーブル78等によって第2規制手段が構成される。なお、ロック部材64の設定位置は、例えば第1規制手段用のロック部材53とほぼ同じ位置、あるいは離れた位置等、適宜の位置に設定できる。
【0037】次に、助手席用シート4の使用形態について、その前後移動に着目して説明する。まず、助手席用シート4が着座保証範囲にあるときは、操作部材55を操作することにより、係止部54に対するロック部材53の係合を解除した状態で助手席用シート4を前後方向に移動させて、所望の前後位置となった時点で操作部材55から手を離すことにより、この位置でもって助手席用シート4の前後移動が規制される。
【0038】着座保証範囲にある助手席用シート4を格納位置にすべく、前方へ移動させると、助手席用シート4が着座保証範囲の前端位置となった時点で、ロック部材64がストッパ部材61に当接することにより、助手席用シート4の前方への移動が規制された状態となる。この規制状態から、操作部材76を操作することにより、シートバック11を前方へ所定以上傾倒させると、上記ロック部材64とストッパ部材61との当接状態が解除される。この解除状態を維持したまま、助手席用シート4を前方へ大きく移動させることにより、助手席用シート4は格納位置とされる。そして、格納位置においては、前述のように、ロック部材53が、スライドレール13の前端部に1つだけ設けた係合部54に係合されて、助手席用シート4が格納位置でロックされる。なお、格納位置での助手席用シート4のロックは、第2規制手段側の部材であるロック部材64を利用するようにしてもよい。
【0039】格納位置にある助手席用シート4のシートバック11は、前方へ傾倒された状態であるので、乗員が着座できないものとなる。また、リッド部材20をあらかじめ開いた状態で、シートバック11を前方へ傾倒させることにより、図1、図5に示すように、ヘッドレスト12がインストルメントパネル1の凹部21内に収納されることになる。凹部21にヘッドレスト12が収納された状態では、ヘッドレスト12の上面がインストルメントパネル1の上面と略面一となる。凹部21にヘッドレスト12が収納された状態で、リッド部材20が閉じられる。これにより、凹部21内に収納されたシートの一部(実施形態ではヘッドレスト12)が、リッド部材20によって上方から覆われてインストルメントパネル1の上面側に露出しないようにされるので、外観上の見栄えがよいものとなる。
【0040】格納位置にある助手席用シート4の後方は、大きな空間となる。この助手席用シート4後方の大きな空間は、例えば、後席用シート5に着座している乗員のレッグスペース拡大用として利用したり、荷物を収納したりする等、適宜の用途に利用される。また、助手席用シート4の後方に後席用シート5が存在しない場合、例えば運転席用シート3、助手席用シート4の後方空間が荷室として設定されている場合は、格納位置にある助手席用シート4後方の大きな空間を、その後方にある荷室と連通された拡大荷室として利用すればよい。
【0041】図14は、本発明の別の実施形態を示すもので、助手席用シート4を着座保証範囲から格納位置に向けて前方動させるのに連動させて、シートバック11が自動的に着座不能状態となる前方へ大きく傾倒されるようにしたものである。図14は、図13の変形となるものであり、図13での構成要素と同一構成要素には同一符号を付してその重複した説明は省略する。なお、シートバック11が前方へ向けて常時付勢されていること、操作部材76が、その係合部77が係止部74に係合される方向に常時付勢されていることは、図13の場合と同様である。
【0042】以上のことを前提として、ブラケット部71Aには、保持ピン81によって中間リンク82が揺動自在に保持されている。この中間リンク82の一端部と操作部材76のうち係合部77付近とが、連結リンク83によって連結されている。中間リンク82の他端部には、上下方向にのみ変位可能として助手席用シート4に保持されたロッド部材84の上端部が連結されている。
【0043】これにより、操作部材76を操作しない状態で、かつロック部材84に対して上方への外力が作用しない状態では、操作部材76の係合部77が係止部74に係合されている(シートバック11の前後方向の傾倒角度の変更不可)。操作部材76を操作しない状態でも、ロッド部材84を上方へ押圧変位させると、この変位が、中間リンク82、連結リンク83を介して、操作部材76の係合部77を係止部74から係合解除させる方向の変位として伝達されて、シートバック11が前方へ傾倒される(前述した付勢力による前方への傾倒動)。
【0044】スライドレール13には、図14に示す助手席用シート4が着座保証範囲の前端位置にある状態において、ロック部材84の直前方位置から前方へ長く伸びるガイドバー85が一体化されている。このガイドバー85は、一種のカムを構成するもので、助手席用シート4を、着座保証範囲の前端からさらに前方へ移動させると、ロッド部材84がガイドバー85の上面に乗り上げて、当該ロッド部材84が上方へ変位され、これによりシートバック11が自動的に前方へ大きく傾倒される。助手席用シート4が格納位置になると(図5の状態)、ロッド部材84は、ガイドバー85の上面に開口させた孔状の係止部86に係合されて、再び下方へと変位された状態となる(格納位置での助手席用シート4の前後動規制)。
【0045】格納位置にある助手席用シート4を、着座保証範囲に向けて後方動させる場合は、まず、操作部材76の操作部76aを手動操作によって上方へ引き上げる。これにより、ロッド部材84が上方へ変位されて、係止部86に対する係合が解除されて、助手席用シート4の後方動が可能となる。助手席用シート4が着座保証範囲にまで後退した状態で、手動によってシートバック11を起立位置に戻すことにより、助手席用シート4に着座可能とされる。
【0046】なお、係止部86を設けないようにすることもできる。この場合は、格納位置にあるときは、係合部77が常に係止部74に対して係合解除された状態となる。つまり、シートバック11をその付勢力に抗して手動で起立位置に戻しても、シートバック11から手を離した後は再び自動的にシートバック11はその前方への付勢力によって自動的に前方へ傾倒されてしまうことになる。
【0047】次に、インストルメントパネル1と助手席用シート4との車幅方向での干渉、およびこの車幅方向干渉を避ける手法について、図15〜図18を参照しつつ説明する。まず、インストルメントパネル1は、車幅方向ほぼ全長に渡って伸びるパネル本体部1Aと、パネル本体部1Aの車幅方向略中間部から上下方向に伸びるコンソール部1Bとを有する(図2、図3参照)。コンソール部1Bは、例えばフロアパネル6にまで下方に伸びている。
【0048】図15に示すように、助手席用シート4のシートクッション10は、着座部10Aと、左右一対のサイド部10B、10Cとを有する。各サイド部10B、10Cの高さは、着座部10Aの高さよりも高くされている。図2に示すように、車幅方向内方側に位置する内方側サイド部10Bは、着座使用範囲となる着座保証範囲において、コンソール部1Bに対して寸法L1分だけ車幅方向にオーバラップしている。つまり、格納位置を極力前方位置に設定しようとした場合、助手席用シート4をまっずぐ前方へ移動したのでは、内方側サイド部10Bがやがてコンソール部1Bと干渉してしまう関係となっている。実施形態では、着座保証範囲にある助手席用シート4をそのまままっすぐ前方へ移動させた場合は、格納位置となる前に、内方側サイド部10Bがコンソール部1Bに干渉してしまう位置となるように当該格納位置が設定されている。
【0049】内方側サイド部10Bとコンソール部1Bとの干渉を避けるために、内方側サイド部10Bを車幅方向内方側に向けて変位させるようにしてあり、この変位分だけ、シートクッション10はその幅が小さくなる挟幅状態とされる。実施形態では、内方側サイド部10Bを上方へ揺動変位させることにより、その車幅方向内方側への突出量が小さくなるようにしてある。
【0050】図15〜図17において、符号16は、シートクッション10の剛性を確保するために設けられたシートパンである。このシートパン16は、左右2分割構成とされて、着座部10Aと車幅方向外方側のサイド部10C用となる本体パン部16Aと、内方側サイド部10B用となる内方側サイドパン部16Bとを有する。各パン部16Aと16Bとは、それぞれ、鉄板、合成樹脂等剛性の優れた部材によって形成されている。
【0051】内方側サイドパン部16Bは、本体パン部16Aに対して、ヒンジ17によって上下方向に揺動可能に連結され、その揺動支点が、符号17aで示される。これにより、内方側サイドパン部16Bを、支点17aを中心にして上方へ揺動させると、内方側サイド部10Bは、図15二点鎖線で示すように、その車幅方向内方側への突出量が小さくされる。
【0052】内方側サイド部16Bの上方への揺動は、助手席用シート4(のシートクッション10)が下方へ変位することに伴って自動的に行われるようになっている。この点について説明すると、図18において、内方側サイドパン部16Bの下面には、車幅方向内方側に向けて伸びる揺動アーム91の一端部が固定されている。この揺動アーム91にはその長手方向に伸びるガイド孔91aが形成されている。
【0053】一方、リンク101が、上下方向にまっすぐ伸びるようにして、助手席用シート4の支持台14に保持されている。また、本体パン部16Aの下面には、下方に伸びる保持ブラケット102が一体化されている。この保持ブラケット102とリンク101とが、2本のリンク103、104によって連結されている。リンク101、保持ブラケット102、リンク103、リンク104によって平行リンク機構が構成されている。なお、符各リンク等の回動支点となる各連結部位が符号aで示される。上記リンク104の一端部が、内方側サイド部10Bに固定された揺動アーム91のガイド孔91aに対して、連結ピン105によって摺動自在に連結されている。
【0054】助手席用シート4が下方へ変位すると、リンク101がフロアパネル6側から下方への押圧力を受けて、上方へ変位される。リンク101の上方への変位は、リンク104を介して、揺動アーム91を押し下げる動きとなる。これにより、内方側サイド部10Bが上方へ揺動されることになる。
【0055】図19〜図24は、シートクッション10の高さを全体的に低くして、サイド部10Bとインストルメントパネル1との上下方向の干渉を避ける手法例を示す。本実施形態では、助手席用シート4(のシートクッション10)に支持台14が、ガイドレール13に対してスライドされるスライド部14Aと、このスライド部14Aとシートクッション10とを連結する前後一対の支持脚部14Bとを有する。各支持脚14Bのスライド部14Aおよびシートクッション10に対する各連結部bは、それぞれ車幅方向に伸びる軸線を中心とする回動支点を構成する。そして、スライド部14Aおよび前後一対の支持脚部14Bは、左右対称に2組設けられて、シートクッション10つまり助手席用シート4が、合計4本の支持脚部14Bによって支承されている(図22、図23をも参照)。
【0056】スライド部14Aとシートクッション10と各支持脚部14Bとで平行リンクが構成される。これにより、助手席用シート4は全体的に、着座使用位置となる状態(図19二点鎖線の状態、図22の状態)では、支持脚部14Bがほぼまっすぐ上下方向に伸びて高い位置とされる。また、助手席用シート4は、各支持脚部14Bをそれぞれ前方へ傾倒させることにより、格納位置において低い位置とされる(図19実線で示す状態、図23の状態)。このように、低い位置とすることによって、サイド部10Bとインストルメントパネル1との上下方向の干渉が防止される。なお、助手席用シート4を全体的に低い位置とするには、格納位置とする前にあらかじめ低い位置とされ、その後格納位置に向けて前方へ移動されることになる。
【0057】助手席用シート4を、図19二点鎖線で示す高い位置に保持するために、例えば図21に示すようなロック機構が設けられる。このロック機構は、支持脚部14Bの下面に形成された凹部97と、スライド部14Aにピン98を中心に揺動可能に保持された操作部材99とを有する。操作部材99は、その一端部99aが凹部97に嵌合される方向に常時付勢されている。
【0058】支持脚部14Bがほぼ上下方向に伸びる起立位置のときに、操作部材99の一端部99aが凹部97に嵌合させることにより、この起立位置が保持される。操作部材99の他端部に設けた操作部99bを手動操作して、操作部材99を図21時計方向に揺動させることにより、その一端部99aの凹部97に対する嵌合が解除され(ロック解除)。支持脚部14Bは前方へ傾倒可能とされる。なお、支持脚部14Bを起立位置に保持しておくロック機構は、上述の例に限らず、適宜の構造のものを採択し得る。
【0059】図24は、車両のシート配列の一例をより具体的に示すものである。この図24において、格納位置にある助手席用シート4が一点鎖線で示される。また、後席用シート5は3人掛けとされている。さらに、後席用シート5の後方に、さらに3列目のシート8が配設されている。助手席用シート4は、前述のように、シートクッション10が、挟幅とされることおよび全体的に低くされることとによって、インストルメントパネル1に対する車幅方向および上下方向の干渉を避けることができる。なお、図24中、符号9は、車幅方向略中間部において前後方向に長く伸びるトンネル部である。
【0060】図25は、図19〜図24の実施形態の変形例を示すものである。本実施形態では、格納位置が前述した各実施形態の場合よりもより前方位置に設定される。そして、図19〜図23に示す支持脚部14Bがほぼ水平近くにまで大きく前方へ傾倒されるようになって、シートクッション10が十分に低い位置をとり得るようになっている。また、シートバック11は、シートクッション10上に重合するように大きく前方へ傾倒可能とされている。
【0061】図25において、助手席用シート4を格納位置とする前に、あらかじめ前方位置においてシートバック11がシートクッション10上に重合され、かつ支持脚部14Bが大きく前方へ傾倒されて、助手席用シート4が全体的にインストルメントパネル1の下面よりも低い位置とされる。この状態から、助手席用シート4を格納位置に向けて前方動させることにより、シートクッション10(の前端部)と、シートバック11(起立位置における上部に相当する部分)と、ヘッドレスト12とがインストルメントパネル1の下方に収納される。これにより、格納位置にある助手席用シート4の後方空間がより十分に拡大されるだけでなく、上方空間も大きく拡大されることになる。なお、本実施形態では、インストルメントパネル1に凹部21を設けないようにしてある。
【0062】図26〜図29は、本発明のさらに別の実施形態を示すものである。本実施形態では、格納位置とするとする前に、助手席用シート4を全体的に一旦車幅方向外方側にオフセットさせると共に(車幅方向の干渉を避ける位置)、全体的に低くし(上下方向の干渉を避ける位置)、その後に格納位置に向けて前方動させるようにしてある。そして、このような助手席用シート4の動きを、シートクッション10とフロアパネル6との間に配設されたリンク機構によって達成するようにしてある。
【0063】まず、助手席用シート4(のシートクッション10)の支持台14が、スライドレール13に対してスライドされる下スライド部14Aと、前後一対の支持脚部14Bとを有する点においては、図19〜図23の場合と同様である。ただし、シートクッション10の下面には、前後方向に伸びる左右一対のスライドレール120が固定される一方、このスライドレール120に対して、支持台14の上スライド部14Cが前後方向にスライド可能に嵌合されている。そして、支持脚部14Bは、その下端部が連結ヒンジ121を介して左右方向に揺動可能に連結されると共に、その上端部が連結ヒンジ122を介して左右方向に揺動自在に連結されている。
【0064】フロアパネル6に固定されたスライドレール13は、着座保証範囲の前端位置において、前後一対の切欠部123が形成されている。助手席用シート4を着座保証範囲の前端位置に位置させたとき、上記切欠部123に対して支持脚部14Bが整合される。
【0065】切欠部123に支持脚部14Bを整合させた状態で助手席用シート4を全体的に車幅方向外方側に向けて押圧すると、図28に示すように、スライドレール120つまり助手席用シート4が全体的に、車幅方向外方側に向けて変位しつつ、低い位置とされる。この状態から、助手席用シート4に対して前方への押圧力を加えると、上スライド部14Cに対してスライドレール120が摺動しつつ、助手席用シート4が前方動されて、格納位置とされる。助手席用シート4が前方動されるとき、助手席用シート4は車幅方向外方側に向けてオフセットされており、また全体的に低くされているので、インストルメントパネル1に対する車幅方向および上下方向の干渉を避けることができる。図24に対応した図29において、助手席用シート4が格納位置に向けて変位されるときの動きを示してある。なお、切欠部123に支持脚部14Bが整合した状態で、支持脚部14Bが車幅方向外方側へ向けて揺動するのを規制するロック機構を別途設けて、このロック機構を解除した場合にのみ支持脚部14Bが車幅方向外方側へ揺動できるようにしてもよい。また、スライドレール120と上スライド部14Cとの相対的な前後動を規制するロック機構(例えば図19に示すようなロック機構)が設けられて、このロック機構のロックが解除された状態で上スライド部14Cとスライドレール120との相対的な前後動が行われるようになっている。
【0066】図30、図31は、図19〜図26に示す実施形態を変形させた例を示すものである。本実施形態では、各支持脚部14Bの下スライド部14Aに対する揺動支点bを、傾斜設定したものである。すなわち、揺動支点bの軸線は、車幅方向外方側に向かうにつれて、徐々に後方に向かうように傾斜設定されている。なお、助手席用シート4が着座保証範囲にあるときは、図22の状態と実質的に同じである。
【0067】これにより、図19二点鎖線で示す着座保証範囲から、支持脚部14Bを前方へ傾倒させることにより助手席用シート4を前方動させると、助手席用シート4が全体的に低くされると共に、支持脚部14Bの上端部(シートクッション10への連結部)が徐々に車幅方向外方側に向かうことにより、助手席用シート4が徐々に車幅方向外方側にオフセットされていくことになる。これにより、助手席用シート4を、インストルメントパネル1に対して車幅方向および上下方向に干渉させることなく、格納位置とすることができる。格納位置に向けての上述した助手席用シート4の動きを上方から見た状態が、図31に示される。
【0068】以上実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず例えば次のような場合をも含むものである。格納位置をとり得るようにされたシートは、助手席用シートに限らず、運転席シートであってもよい。また、車両としては、後席用シートを有しないものであってもよい。さらに、ロック部材53、64は、例えば揺動変位される形式のもの等、シートの前後動を規制する機構は適宜の構造のものを採択し得る。凹部21に収納されるシートの一部は、ヘッドレスト以外に、シートバック11の一部(上部)とすることもできる。また、凹部21を別途形成しない場合、あるいはリッド部材20を有しないものであってもよい。さらに、図25に示すような格納状態は、図26以下の実施形態においても採択し得るものである。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【住所又は居所】広島県安芸郡府中町新地3番1号
【出願日】 平成14年2月13日(2002.2.13)
【代理人】 【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
【公開番号】 特開2003−237437(P2003−237437A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−35959(P2002−35959)