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【発明の名称】 カップホルダー
【発明者】 【氏名】杉江 信二
【住所又は居所】愛知県安城市今池町三丁目1番36号 株式会社イノアックコーポレーション安城事業所内

【要約】 【課題】部品点数を少なくし低コストにしてコンパクト化を図り、さらに結露対策を講じたカップホルダーを提供する。

【解決手段】車両内装部品に取り付けられるカップホルダーにあって、板状のホルダー本体2と、これとほぼ同一面を保って一体的に形成される弾性変形可能な板状のカップ受け部3と、を具備し、さらにこのカップ受け部3に窪み31が設けられ、カップ8に付着した結露の水滴9が窪み31に入り込むようにすると共に、その窪み周りのカップ受け部3にスリット32が複数形成されて、カップ受け部3にカップ9を載置することによりカップ重量で前記スリット32が開き、カップ受け部3が下降してカップ9を受け支えるようにし、またカップ9がカップ受け部3から離れることにより前記スリット32が閉じ、元の状態に復元するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両内装部品に取り付けられるカップホルダーにあって、板状のホルダー本体と、これとほぼ同一面を保って一体的に形成される弾性変形可能な板状のカップ受け部と、を具備し、さらにこのカップ受け部にスリットが複数形成されて、カップ受け部にカップを載置することによりカップ重量で前記スリットが開き、カップ受け部が下降してカップを受け支えるようにし、またカップがカップ受け部から離れることにより前記スリットが閉じ、元の状態にほぼ復元することを特徴とするカップホルダー。
【請求項2】 前記カップ受け部に窪みが設けられ、カップに付着した結露の水滴がその窪みに入り込むようにした請求項1記載のカップホルダー。
【請求項3】 前記カップ受け部に円弧状の隆起部が同心円上に形成され、その隆起部でカップ下部の外周縁を係止し得るようにした請求項1又は2に記載のカップホルダー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インストルメントパネル等の車両内装部品に取り付けられるカップホルダーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年の自動車は、車両内装部品たるインストルメントパネルのパネルクラスター面やコンソール上部等にカップホルダーが設けられるようになっている。カップホルダーは文字通りジュース缶,コップ等を車中で一時保管するものである。特に最近はその構造に工夫が施され、カップホルダーは使い勝手重視の設計が採られており、インストルメントパネル71への取付けタイプでは特開平2000−63438等のものが採用されている。これらのカップホルダー6は、通常、図8(イ)のようにインストルメントパネル71に収納されている。そして、使用時にカップホルダー前面部6aを押すと、図8(ロ)のごとくホルダーケース6Aからカップ保持部61と落下を防ぐサポート板62を有するカップホルダー6が飛び出して、ジュース缶8等を保持することができる。その後、用済みとなればホルダー前面部6aをまた押すことでカップホルダー6がインストルメントパネル71内へと収納されていく。小型モータの採用で、ホルダー前面部6aを軽く押すだけで出し入れを自由に行うことができ重宝になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、これまでのカップホルダー6は使い勝手が良い一方で、総じて部品点数が多く高価であった。また、カップ8を保持することができても、結露対策は講じられてこなかった。暖かい車室内で冷たい飲料缶等を持ち込めば当然、缶表面が結露しその水滴が垂れる問題がある。そして、水滴がついたままカップホルダー6をインストルメントパネル71に収納すれば、自動車には数多くの電気系配線が走っていることから電気部品のショート原因になる虞があった。
【0004】本発明は上記問題点を解決するもので、部品点数を少なくし低コストにしてコンパクト化を図り、さらに結露対策を講じたカップホルダーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、請求項1に記載の発明の要旨は、車両内装部品に取り付けられるカップホルダーにあって、板状のホルダー本体と、これとほぼ同一面を保って一体的に形成される弾性変形可能な板状のカップ受け部と、を具備し、さらにこのカップ受け部にスリットが複数形成されて、カップ受け部にカップを載置することによりカップ重量で前記スリットが開き、カップ受け部が下降してカップを受け支えるようにし、またカップがカップ受け部から離れることにより前記スリットが閉じ、元の状態にほぼ復元することを特徴とするカップホルダーにある。ここで、「弾性変形可能なカップ受け部」とは、カップ受け部全体が弾性変形可能な状態のものに限るのでなく、少なくともスリットが形成されるカップ受け部の部分が弾性変形可能であれば弾性変形可能なカップ受け部とする。請求項2の発明たるカップホルダーは、請求項1で、前記カップ受け部に窪みが設けられ、カップに付着した結露の水滴がその窪みに入り込むようにしたことを特徴とする。請求項3の発明たるカップホルダーは、請求項1又は2で、カップ受け部に円弧状の隆起部が同心円上に形成され、その隆起部でカップ下部の外周縁を係止し得るようにしたことを特徴とする。
【0006】請求項1の発明のごとく、弾性変形可能な板状のカップ受け部にスリットを複数形成して、このカップ受け部にカップを載置することによりカップ重量で前記スリットが開き、カップ受け部が下降してカップを受け支えるようにすると、製品たるカップホルダーを板状に成形できる。製造段階でカップを保持するための立体的なカップ受け部を要せず、部品点数も少なくでき、低コストでカップホルダーを製造できるようになる。また、請求項2の発明のごとく、カップに付着した結露の水滴が入り込む窪みをそのカップ受け部に設けると、その水滴を窪みに捕集できるようになり、カップホルダーが収納される状態になっても電気部品のショートを防ぐことが可能になる。請求項3の発明のごとく、カップ受け部に円弧状の隆起部が同心円上に形成され、その隆起部でカップ下部の外周縁を係止できるようにすれば、カップ受け部の位置ズレが規制されるので、カップがカップ受け部により安定保持される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るカップホルダーについて詳述する。図1〜図7は、本発明のカップホルダーの一形態で、図1はその全体斜視図、図2は車両内装部品内に在るホルダーケースから引き出された状態のカップホルダーの縦断面図、図3は図2のカップ受け部にカップを載置した様子を示す縦断面図、図4はスリットが開口する変化を模式的に表した平面図、図5はスリットの拡大図、図6は(イ)が隆起部の斜視図で(ロ)が隆起部周りの縦断面図、図7は別態様のカップホルダーの縦断面図である。
【0008】本実施形態のカップホルダー1は、車両内装部品であるインストルメントパネル71に通常カップホルダーユニットとして格納され、必要な時に引き出して缶入り飲料等のカップ8を保持する引き出し式のカップホルダー1になっている。このカップホルダー1はレール4でガイドしてインストルメントパネル71前に引き出される。
【0009】カップホルダー1は板状のホルダー本体2とカップ8が載るカップ受け部3とを備える。ホルダー本体2は方形の板状体で、両側縁がレール4に嵌合し、前面部の把手部分22を手前に引き寄せることで、ホルダー本体2がレール4を摺動し手前に移動する。ホルダー本体2は例えばABS樹脂,ポリプロピレン樹脂(充填補強材入りも含む)等で成形される。ホルダー本体2の板状主部21にはカップ受け部3用の円孔が2箇所にくり抜かれ、両円孔にカップ受け部3が収まる。両カップ受け部3はホルダー本体2に一体的に形成される。
【0010】カップ受け部3は円板状体で、カップ8を載せてこれを保持するところである。カップ受け部3には中央部分に窪み31が形成され、カップ受け部3で保持されるカップ8の表面が結露し水滴9が付着する場合、その垂れた水滴9が前記窪み31に入り込むように設けられる。ここでは、カップ受け部3の下面側に短管ノズル31aを突出させ、ノズル下端をキャップ31bで蓋をすることによりカップ受け部3の上面中央に窪み31が形成される。
【0011】カップ受け部3は保持しようとするカップ8の底面より一回り大きな円板状体で、弾性変形可能な材質で造られる。カップ受け部3には円弧状の隆起部33が同心円上に形成され、該隆起部33でカップ下部81の外周縁を係止し得るようにしている。カップ8には大きさの違うものがあり、ここでは窪み31を中心に大小二つの同心円上に配された隆起部33a,33bが設けられる。各同心円に配された隆起部33は約180°間隔で円弧状に形成され、それぞれ二つの隆起部33が対で大カップ用或いは小カップ用になる。大カップ用隆起部33aは小カップ用隆起部33bより高く設定してその外側に配し、小カップ8bのみならず大カップ8aも係止できるようにする(図6)。S,Lサイズ、或いは缶ジュース,ペットボトル等のごとく形状の異なるカップ8をカップ受け部3に保持させた場合に、隆起部33がそのカップ8の動きを規制しズレなくする。
【0012】また、前記窪み31周りのカップ受け部3にスリット32が複数設けられる。ここでは、隆起部33の外側に位置するカップ受け部3にスリット32が同心円状に多数設けられる。図1では図面が複雑になるので簡略図示するが、実際には半径が異なる同心円が幾重にも連なり、それぞれの同心円上にスリット32が所定ピッチで形成される。スリット32は隣接するスリット32に対し例えば図4のように千鳥配設される。
【0013】そして、カップ受け部3にカップ8を載置することによりカップ重量でスリット32が開き、カップ受け部3が下降して有底筒部3aを形成する。この有底筒部3aがカップ下部81を収容してカップ8を受け支える。ここで、カップ8が載っていない無負荷状態にあるカップ受け部3は板状にして、ホルダー本体2とほぼ同一面上に一体形成されており、ホルダー本体2,カップ受け部3は図2のごとく一枚板状になっている。カップホルダー1の厚みtはペットボトル保持時等の剛性を考慮しても高々5mm程度である(図1)。それが、カップ受け部3にカップ8を載せると、カップ8の重みでスリット32が図4(イ)の状態から図4(ロ)のように開口する。開口32aに伴い、当初Lであったカップ受け部3の一辺長さがLの長さ(L>L)へと伸長し、カップ受け部3が図3のごとく沈み込んでカップ8が倒れないような立体的な有底筒部3aを形成するのである。カップ8の重みで沈み込んでカップ8を保持する有底筒部3aの深さhは、スリット32の個数,パターン,配設領域等によって適宜選定される。
【0014】カップ受け部3に置かれた前記カップ8は、その後、カップ8内の飲料水が飲み干されてカップ受け部3から取り除かれることになるが、カップ8がカップ受け部3から離れれば、スリット32が閉じ、元の状態に弾性復元するようになる。
【0015】こうしたことから、カップ受け部3は軟らかくて柔軟性に富み、弾性変形可能な熱可塑性エラストマーやゴム等の材料で成形される。弾性変形可能なゴム等からなるカップ受け部3はホルダー本体2と別個に作製し、熱カシメや爪嵌合等の後加工で両者を接合し一体形成することができる。しかし、カップ受け部3がオレフィン系,スチレン系の熱可塑性エラストマーで成形されれば、カップ受け部3を前記ホルダー本体2と同系の材質として一体成形できるようになり、低コスト化が図れより好ましくなる。前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしてはJSR株式会社製の商品名EXCELINK等がある。またスチレン系の熱可塑性エラストマーとしては株式会社クラレの商品名セプトン等があり、これらは優れたゴム弾性と抗張力を有する。本実施形態はカップ受け部3の全体を弾性変形可能な熱可塑性エラストマーで成形するが、カップ受け部3で弾性変形可能にする範囲は、スリット32が開口して有底筒部3aを形成できれば満足することから、スリット32が形成される主部領域30に限定してもよい。
【0016】ところで、前記スリット32は後加工処理できるが、本実施形態ではカップ受け部3の成形の際に隆起部33と一緒に射出成形される。スリット32がカット処理やレーザ処理の後加工で形成されると、カップ受け部3にカップ8を載置し、カップ8の重量で前記スリット32が開いたときにスリット端321が破断する虞があるからである。射出成形時にスリット32を形成するのであれば、図5のスリット拡大図にあるようにスリット端321に丸みをつけたり、スリット端321に厚肉部322を設けたりして前記スリット端321の破断を防止できる。
【0017】また、カップ受け部3を成形するにあたっては、少なくとも隆起部33からカップ受け部3の中心部にある窪み31に向け、傾斜αをつけてすり鉢状に窪ませるのがより好ましくなる(図6)。四季を問わず、冷たいカップ8がカップ受け部3に置かれると、暖かい車室内の空気中水分がカップ8の表面に結露し、その水滴9がカップ下部81に向けて流れ落ちる。カップ下部81に流れ落ちた水滴9は、傾斜αがついたカップ受け部3であれば、窪み31に向けて容易に流れ込むようになるからである。また、スリット32周りに結露の水滴9が落ちても、傾斜αがついておれば、水滴9がスリット32を通り抜けて自然落下する前にカップ受け部3をつたって下方の窪み31へ流れていくことになる。窪み31に水滴9が溜まれば適宜キャップ31bを外して、そのキャップ31bにテッシュ等を当てて吸い取る。かくして、水滴9が除去されることにより、使い終わったカップホルダー1がインストルメントパネル71内に収納されても、カップホルダー1の水滴9が原因で電気部品のショートが発生することはなくなる。
【0018】また、図7に別態様のカップホルダー1を示す。カップ受け部2は前述のごとく弾性変形可能な熱可塑性エラストマー等で構成されているが、カップ8をカップ受け部3に長時間放置したり或いは夏期炎天下のもとでカップ受け部3にカップ8を放置したりすると、その後、カップ8をカップ受け部3から取り除いても、開口32aが閉じて元のスリット32にならない虞がある。すなわち、カップ受け部3が元の状態に復元できない虞がある。図7のカップホルダーはこうした事態に対処できるよう補助具5を設けている。補助具5は、インストルメントパネル71に収まるホルダーケースSBに近い側で、ホルダー本体2の板部21の下面にヒンジ部51を介して板状又は棒状の持上げ部52を吊設したものである。カップ受け部3にカップ8を長時間放置したケース等で、カップ8を取り除いてもカップ受け部3が完全な元の状態に復元できず、有底筒部の垂れ下り部3bを残しても、カップホルダー1が収納される際にカップ受け部3を補助具5で自動的に持上げるようになっている。カップ受け部3がホルダーケースSBに収納される過程で、持上げ具52がホルダーケースSBの端部に当接してヒンジ部51を支点に図7の白抜き矢印のごとく回動し、垂れ下り部3bを下から押し上げるしくみである。カップ受け部3の弾性復元が低下し、垂れ下り部3bの弛みεが多少あっても持上げ部52で矯正され、カップホルダー1がホルダーケースSBに円滑に収容される。他の構成は図1〜図6と同様で、その説明を省く。
【0019】このように構成したカップホルダー1は、ホルダー本体2とカップ8を受け支えるカップ受け部3が同一面上で板状に一体的に形成されるので、薄くてコンパクトなカップホルダー1になる。カップ8を受け支える立体的な有底筒部3aは、カップ受け部3を弾性変形可能にし且つスリット32を設けているので、カップ受け部3にカップ8が載ったときにカップ重量でスリット32が自動的に開き、その立体的な有底筒部3aを造ることができる。無負荷状態にあるカップ受け部3とホルダー本体2は板状で薄いだけでなく、カップホルダー1として部品点数が少なく、また成形時にスライドを必要とするような複雑な形状にならないので、低コスト化が図れる。さらに、カップ受け部3とホルダー本体2とに同系の材料を使用し、両者が一体成形されるようになれば更なる低コストを実現できる。無人成形が可能になる。
【0020】また、カップ受け部3に窪み31を設けて、カップ8に付着した結露の水滴9がこの窪み31に入り込むようにすれば、水滴9が垂れ落ちることがないので、使い終えたカップホルダー1がインストルメントパネル71等の車両用内装部品内に収納されても、電気系統にショートを引き起こすことはない。実施形態のごとく、キャップ31bがノズル31aから取り外せるようにすれば、キャップ31b内に溜まった水を簡単に除去できる。前記隆起部33を設けてカップ下部81を係止させれば、カップ受け部3に載せたカップ8のズレが規制されるので、車両走行中でもカップ8がより安定した状態で保持される。補助具5を設ければ、カップ受け部3の弾性復元力が低下し垂れ下り部3bができても、持上げ部52でその垂れ下り部3bを持上げ矯正するので、カップホルダー1をホルダーケースSBに円滑に収納できる。
【0021】さらに、カップ受け部3を着色成形すれば、スリット32が開口32aして有底筒部3aの状態に伸びたときと、元の状態に復元したときとで色調,濃度が変化するのでアクセサリーとして活用できる。また、カップ受け部3に例えば灰皿の蓋などを利用してスリット32を開口32aさせて有底筒部3aをより深く伸ばせば紙くず等を入れるゴミ箱としても活用できる。
【0022】尚、本発明においては、前記実施形態に示すものに限られず、目的,用途に応じて本発明の範囲で種々変更できる。カップホルダー1,ホルダー本体2,カップ受け部3,窪み31,スリット32,隆起部33,レール4等の形状,大きさ,個数,材質等は用途に合わせて本発明の範囲内で適宜選択できる。実施形態のカップホルダー1は引出し式であったが、例えばホルダー本体2の側縁両端部に支軸を設け、該支軸を中心に回動させ開閉式のカップホルダー1等とすることもできる。
【0023】
【発明の効果】以上のごとく、本発明のカップホルダーは、板状でコンパクト化が図られ、部品点数も少なく低コストにしてさらに結露の対策も講じられているなど優れた効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
【出願日】 平成13年12月27日(2001.12.27)
【代理人】 【識別番号】100101627
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 宜延
【公開番号】 特開2003−191783(P2003−191783A)
【公開日】 平成15年7月9日(2003.7.9)
【出願番号】 特願2001−397712(P2001−397712)