| 【発明の名称】 |
車両用ヘッドレスト装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】チンモイ パル 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】小林 泉 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】車両の後面衝突時にヘッドレスト本体の頭部拘束部分が前方に押し出される際、この頭部拘束部分の上側を積極的に前傾させることにより、着座乗員の頭部をより早くかつ確実に拘束できる車両用ヘッドレスト装置の提供を図る。
【解決手段】後面衝突時に、前方拘束手段30によってヘッドレスト本体10の頭部拘束部分13を前方に押し出して、着座乗員の頭部Hが後方移動するのをより前方で支えるとともに、ヘッドレスト本体10に上側前傾手段70を設けて、頭部拘束部分13を前方に押し出す際に、この頭部拘束部分13の上側移動量を下側移動量よりも大きくして頭部拘束部分13を前傾させて、頭部が頭部拘束部分を乗り越えるのを防止する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を拘束するヘッドレスト本体を装着した車両用ヘッドレスト装置において、後面衝突時に前記ヘッドレスト本体の頭部拘束部分を前方に押し出して、着座乗員の頭部が後方移動するのをより前方で支える前方拘束手段と、前記頭部拘束部分を前方に押し出す際にこの頭部拘束部分の上側移動量を下側移動量よりも大きくする上側前傾手段と、を設けたことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。 【請求項2】 シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体を取付部材を介して装着した車両用ヘッドレスト装置において、前記ヘッドレスト本体を左右方向に分割し、その分割端部に対する反対側端部がそれぞれ前記取付部材に回動可能に取り付けられて、車両の後面衝突時に各分割端部側が前方に回動される左,右ヘッドレスト部材と、前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部間に跨って展開自在に張架され、左,右ヘッドレスト部材の前方回動に伴って展開して着座乗員の頭部を拘束する膜状体と、前記左,右ヘッドレスト部材に、これら左,右ヘッドレスト部材の前方回動時に前記膜状体の上側移動量を下側移動量よりも大きくする上側前傾手段と、を設けたことを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。 【請求項3】 ヘッドレスト本体は、前記左,右ヘッドレスト部材の反対側端部に設けた回動中心部材を前記取付部材に前方回動方向かつ上方移動方向に付勢する回動付勢機構と、前記左,右ヘッドレスト部材を前記回動付勢機構の付勢力に抗して前記取付部材側にロックして初期位置に保持するロック手段と、車両の後面衝突を検知して前記ロック手段による左,右ヘッドレスト部材のロックを解除する制御手段と、を備え、前記ロック手段のロック解除により、前記左,右ヘッドレスト部材は前記取付部材に対して上方移動しつつ前方に回動することを特徴とする請求項2に記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項4】 上側前傾手段は、前記回動中心部材を上下に分割した上側ピースおよび下側ピースと、これら上側ピースおよび下側ピースを折曲自在に連結したヒンジ部材と、前記取付部材の前記上側ピースを上方にガイドする部分を前方に傾斜した前傾部分と、を備えていることを特徴とする請求項3に記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項5】 ヒンジ部材は、前記上側ピースと前記下側ピースに跨ってそれら両者の周方向に複数箇所で取り付けたばね部材であることを特徴とする請求項4に記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項6】 ヒンジ部材は、前記上側ピースと前記下側ピースの対向部分を周方向に相互に結着した軟弾性部材であることを特徴とする請求項4に記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項7】 ヒンジ部材は、前記上側ピースと前記下側ピースの周方向に複数箇所設けたそれぞれのフックに跨って係止したリング状軟弾性部材であることを特徴とする請求項4に記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項8】 上側ピースが前記取付部材に設けた前傾部分の先端部に対応する部位に切欠部を備えていることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項9】 上側ピースの内径を下側ピースよりも大径に形成したことを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の車両用ヘッドレスト装置。 【請求項10】 上側ピースの内周にガイドリングを設け、このガイドリングを前記取付部材に嵌合して上方ピースの上方移動をガイドすることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の車両用ヘッドレスト装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などの車両に用いられる車両用ヘッドレスト装置に関する。 【0002】 【従来の技術】車両の後面衝突時に着座乗員の頭部を保護するようにした自動車のシートバックとしては、例えば特開平7−291005号公報に開示されるものがある。 【0003】これは、車両の後面衝突時に、着座乗員に作用する慣性による動的荷重をシートバックが受け、これによって変位する部材の動きをヘッドレスト支持アームに伝えてヘッドレスト本体を車両前方に押し出し、もって着座乗員の頭部が大きく後方移動するのを阻止できるようにしてある。 【0004】また、実開平6−59163号公報には、車両の後面衝突時に、シートバックに内蔵したセンサーが着座乗員の慣性力で強く押されることにより、ヘッドレスト本体に内蔵されたエアバッグを膨張させることにより、着座乗員の頸部とヘッドレスト本体との間に空間が存在しても、頭部が後方に移動するのを防止できるようにしたエアバック装置が開示されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者のシートバックは着座乗員の慣性力を利用してヘッドレストを作動させるものであって、乗員の車両後方への変位が大きくなった時点で始めてヘッドレスト本体が車両前方に移動されるものであるため、衝突直後の変位量が少ない時点ではヘッドレスト本体を十分に前方移動させることができない。更に、後者のエアバッグを用いるヘッドレストでは、着座乗員の耳元でエアバッグを展開させる際に爆発音が発生することになり、着座乗員の耳への負担が大きくなる可能性がある。 【0006】そこで、本発明は、車両の後面衝突時にヘッドレスト本体の頭部拘束部分が前方に押し出される際、この頭部拘束部分の上側を積極的に前傾させることにより、着座乗員の頭部をより早くかつ確実に拘束できる車両用ヘッドレスト装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明にあっては、シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を拘束するヘッドレスト本体を装着した車両用ヘッドレスト装置において、後面衝突時に前記ヘッドレスト本体の頭部拘束部分を前方に押し出して、着座乗員の頭部が後方移動するのをより前方で支える前方拘束手段と、前記頭部拘束部分を前方に押し出す際にこの頭部拘束部分の上側移動量を下側移動量よりも大きくする上側前傾手段と、を設けたことを特徴としている。 【0008】 【発明の効果】本発明によれば、車両の後面衝突時にヘッドレスト本体の頭部拘束部分は、前方拘束手段によって前方に押し出されるとともに、上側前傾手段によって上側移動量が下側移動量よりも大きくなるため、この頭部拘束部分の上側部分はより前方に押し出される状態で頭部拘束部分を前傾させることができる。 【0009】このため、着座乗員の後方移動する頭部を頭部拘束部分でより早くかつ、確実に拘束することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。尚、以下、各実施形態を説明するにあたって、前方とは車両前方を、後方とは車両後方を意味し、また、左右方向とは車幅方向を意味するものとする。 【0011】図1〜図9は本発明にかかる車両用ヘッドレスト装置の第1実施形態を示し、図1は初期状態にあるヘッドレスト本体を示す一部を断面とした透視斜視図、図2は作動完了状態にあるヘッドレスト本体をクッションパッドを取り外し一部を断面として示す斜視図、図3はヘッドレスト本体を装着したシートの全体斜視図、図4はヘッドレスト本体の要部構成を示す拡大斜視図、図5は制御手段の作動システムの説明図、図6は固定機構の背面斜視図、図7は固定機構の要部断面図、図8はヘッドレスト本体により乗員の頭部を拘束した状態を示す側断面図、図9はヘッドレスト装置による頸部下モーメントの比較特性図である。 【0012】本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10は、図1〜図3に示すように、乗員が着座する車両用シート100のシートバック101の上端部に設けられ、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体10aを取付部材としての1対のステー20を介して、シートバック101の上端部に設けられた取付穴101aに上下位置調節可能に装着してある。 【0013】前記1対のステー20の下端部間に跨って連結部材21が溶接により取付けられ、この連結部材21によって両ステー20を相互に結合するようになっている。そして、前記連結部材21から上方に突出したステー20の突出端部20aに、前記ヘッドレスト本体10aが取り付けられるようになっている。 【0014】前記ヘッドレスト本体10aは、図1に示すように左右方向の略中央部で分割した左,右ヘッドレスト部材11,12と、これら左,右ヘッドレスト部材11,12の分割端部11a,12a間に張架された頭部拘束部分としての膜状体13とによって構成してある。 【0015】左,右ヘッドレスト部材11,12は、分割端部11a,12aとは反対側の端部11b,12bが、前方拘束手段としての回動付勢機構30を介して前記ステー20に対して回動可能に取り付けられ、これら左,右ヘッドレスト部材11,12をそれぞれ前方(図中手前側)に回動付勢するようになっている。 【0016】前記左,右ヘッドレスト部材11,12は、上,下の横アーム14,14aと、これら横アーム14,14aの分割端部11a側および12a側をそれぞれ結合する縦アーム15と、反対側端部11b側および12b側をそれぞれ結合する回動中心部材としてのアウタシリンダー16と、によって略矩形状の骨格部分が形成される。 【0017】この骨格部分は、図1に示すようにクッションパッド10bによって覆われる。また、前記膜状体13は所定長さに形成され、その両端部が左,右ヘッドレスト部材11,12の縦アーム15に巻き取り状態で取り付けられ、前記クッションパッド10bの端末には膜状体13を挿通するために図外の縦長開口が設けられる。 【0018】アウタシリンダー16は、前記ステー20の突出端部20aの下部に固定状態で外嵌されるインナシリンダー17に回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合され、このインナシリンダー17を中心として左,右ヘッドレスト部材11,12は観音開き状に開閉可能となっている。 【0019】左,右ヘッドレスト部材11,12は、図2に示すように、予め設定した最大限の押し開き状態(最大回動状態)で、それぞれの縦アーム15が前方に突出されて左右方向に一定の間隔が設けられ、この一定の間隔が設けられた縦アーム15間で前記膜状体13が最大量展開されるようになっている。 【0020】尚、図2には前記巻取り機構を覆うように挟着するゴムなどの軟弾性部材で形成した挟着部材Cが設けられ、この挟着部材Cに着座乗員の頭部が干渉するなどして車両後方への押圧力が作用すると、膜状体13の繰り出し部分を挟圧して巻取り機構から繰り出されるのをロックするようになっている。 【0021】前記回動付勢機構30は、左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20に対して上昇させるリフト機構31と、このリフト機構31による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動案内する回動機構32とを備える。 【0022】前記リフト機構31は、図1に示すようにインナシリンダー17の上端面と、アウタシリンダー16の中間部内周に一体に形成されたリング状の縮径部16sとの間に、スプリング33を縮設して構成される。このスプリング33と縮径部16sとの間には、滑りを良くするためにワッシャ34が介装される。 【0023】従って、前記リフト機構31は、スプリング33によってアウタシリンダー16、つまり左,右ヘッドレスト部材11,12は常に上方に押し上げられる付勢力が与えられる。 【0024】前記回動機構32は、図1に示すようにインナシリンダー17の外周に形成される螺旋溝32aと、アウタシリンダー16に設けられる係合子としてのボルト32bとによって構成される。螺旋溝32は、上方に向かって左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動案内する方向に傾斜し、この螺旋溝32aにボルト32bが摺動自在に係合される。 【0025】従って、左,右ヘッドレスト部材11,12が前記リフト機構31のスプリング33によって上方に持ち上げられると、回動機構32のボルト32bはインナシリンダー17の螺旋溝32aに沿って上昇するため、結果的にボルト32bと一体のアウタシリンダー16を、左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に押し開かれる方向に回動する。 【0026】このため、螺旋溝32aの溝形状、つまり傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材11,12の回動量を予め任意に設定しておくことができ、この螺旋溝32aを備えることにより、左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を調整することができる。 【0027】ここで、本実施形態では左,右ヘッドレスト部材11,12に、これら左,右ヘッドレスト部材11,12の前方回動時に、上方の横アーム14の前方移動量を下方の横アーム14aの前方移動量より大きくして、膜状体13の上方側を前傾させる上側前傾手段70を設けてある。 【0028】上側前傾手段70は、前記アウタシリンダー16を上方の横アーム14の接続部分と下方の横アーム14aの接続部分との間、本実施形態では前記縮径部16sの直上部分から上下分割して、互いに独立した上側ピース16aと下側ピース16bとに分離し、上側ピース16aを下側ピース16bに対して前傾自在にすることにより構成される。 【0029】上側ピース16aと下側ピース16bは、これら両者の前側がヒンジ部材としてのヒンジ金具71を介して連結され、このヒンジ金具71によって上側ピース16aは下側ピース16bに対して前傾方向に屈曲自在となっている。このヒンジ金具71は、図8に示すように上側ピース16aに突設した上側ブラケット71aと、下側ピース16bに突設した下側ブラケット71bとをヒンジピン71cで回動自在に連結することにより構成される。 【0030】また、前記上側ピース16aを前傾させるために、アウタシリンダー16の回転中心に配置されるステー20の突出端部20aには、上側ピース16aを上方にガイドする上端部分に前方に傾斜する前傾部分72を形成してある。 【0031】そして、上側ピース16aの中間部内周には、前記前傾部分72の外周に略密接して摺動自在に嵌合するガイドリング73を形成し、アウタシリンダー16の上昇時にこのガイドリング73が前傾部分72の外周を摺動するようになっている。 【0032】ところで、前記上側ピース16aが前傾するため、図4に示すように上方の横アーム14の反対側端部11b,12b側をボールジョイント74を介して上側ピース16aに連結するとともに、分割端部11a,12a側を縦アーム15にピン75を介して連結して上下回動自在としてある。尚、前記縦アーム15の外周は回転自在となって膜状体13の巻取り機構を構成する。 【0033】前記1対のステー20間に設けた連結部材21の上側中央部には、図1,図2に示すように左,右ヘッドレスト部材11,12を前記回動付勢機構30の付勢力に抗してステー20側にロックして、図1に示す初期位置に保持するロック手段40を設けるとともに、図5に示すように、自動車Mの後面衝突を検知して、前記ロック手段40による左,右ヘッドレスト部材のロックを解除する制御手段50を設けてある。 【0034】ロック手段40は、図1〜図3に示すように、後面衝突の検知信号で回転駆動する駆動手段としてのモータ41と、このモータ41の回転軸41Sに取り付けた1対のウオームギア42,42aと、このウオームギア42,42aの回転によって車幅方向に移動する1対のラック43,43aと、このラック43,43aの移動によって左,右ヘッドレスト部材11,12をロック解除する係脱部分44,44aと、を備えている。 【0035】前記ロック手段40は、前記ウオームギア42,42a、前記ラック43,43aおよび前記係脱部分44,44aを1つの組として左,右ヘッドレスト部材11,12にそれぞれ設けるとともに、前記ウオームギア42,42aの螺旋方向を左,右ヘッドレスト部材11,12で互いに逆関係に形成し、それぞれのウオームギア42,42aを共通の1つのモータ41で回転するようになっている。 【0036】そして、前記モータ41は、後面衝突時に前記制御手段50から出力される電流が印加されることにより駆動され、1対のラック43,43aを互いに離反方向に移動して前記係脱部分44,44aの係合を離脱、つまりロック手段40をロック解除するようになっている。 【0037】制御手段50は、図5に示すように、自動車Mの後面に設けて後方車両mとの相対速度を音波などを用いて検知するVセンサー51、車体Bに加わる加速度を検知するGセンサー52、自動車Mのリアバンパーに設けて後方車両mの接触圧を検知する圧力センサー53と、これら各センサーの信号を入力するコントローラ54とで構成される。そして、このコントローラ54では前記センサー51,52,53の検出信号を基に後面衝突を検出して前記ソレノイド43aに電流を印加し、前記ロック手段40をロック解除するようになっている。 【0038】尚、Gセンサー52や圧力センサー53は実質的な衝突を検知する手段であるが、これら以外にも図示は省略したがタッチセンサーや歪ゲージなどを用いることができる。 【0039】また、本実施形態では図1に示すように、前記回動機構32に、左,右ヘッドレスト部材11,12に付加される後方への押圧力で、これら左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20側に固定する固定機構60を設けてある。 【0040】固定機構60は、まず、図6,図7に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12の下方の横アーム14aをアウタシリンダー16(下側ピース16b)と分離し、この分離した横アーム14aをアウタシリンダー16に結合したブラケット61にピン62を介して前後方向に回動自在に連結する。 【0041】そして、下方の横アーム14aの分離側端部に、アウタシリンダー16の略センター部分まで突出する係合部材63をボルト64固定する一方、このアウタシリンダー16に前記係合部材63の爪63aが挿通する窓部16bを形成してある。 【0042】一方、インナシリンダー17の外周の前記窓部16bに対応する部分には、前記係合部材63の爪63aが係合可能な複数の歯部を周方向に形成したラック65を形成する。この実施形態ではラック65をインナシリンダー17の全長に亘って形成してある。 【0043】また、前記横アーム14,14aとアウタシリンダー16との間には、矩形状のスプリング66が配置され、このスプリング66によって横アーム14,14aを前方に押圧付勢するようになっている。このスプリング66は、ばね鋼で形成された線材を略矩形状に形作り、その1対の対向辺をく字状に折曲して形成される。 【0044】そして、図7に示すように、前記スプリング66は、そのく字状の折曲部分66aを前記ピン62の前方側に係止して支点とし、一端部66bを横アーム14aの後方側に係止するとともに、他端部66cをアウタシリンダー16の後方側に係止し、これら両端部66b,66c間に前方への付勢力を付加するようになっている。 【0045】従って、前記固定機構32はスプリング66の付勢力により、常時は横アーム14,14aがピン62を中心として前方に回動された状態にあって、係合部材63の爪63aはラック65から離脱した状態にあり、アウタシリンダー16はインナシリンダー17に対して自由に回転できる状態にある。 【0046】尚、ピン62を中心とする横アーム14aの回動量は、横アーム14aの分離側端に形成されたV字状凹部14bの両端角部の一方が、アウタシリンダー16の外周に接触する僅かの範囲として設定されている。 【0047】そして、着座乗員の頭部Hが左,右ヘッドレスト部材11,12に触れて、これら左,右ヘッドレスト部材11,12に後方への押圧力が作用すると、横アーム14aはスプリング66の付勢力に抗して後方に回動し、係合部材63の爪63aがラック65に係合する。すると、アウタシリンダー16はインナシリンダー17にロックされるようになっている。 【0048】以上の構成により本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10にあっては、図5に示すように、車両Mが後方車両mによって後面衝突されると、これをVセンサー51,Gセンサー52および圧力センサー53や図外のタッチセンサーおよび歪ゲージなどで検知して、コントローラ54からロック手段40のモータ41に電流を印加して、ロック手段40によるロックを解除する。 【0049】すると、図1の初期位置にある左,右ヘッドレスト部材11,12は、リフト機構31のスプリング33による上方への付勢力によってアウタシリンダー16とともに上昇しつつ、回転機構32のボルト32bがインナシリンダー17の螺旋溝32aに沿って移動するため回転して、左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動する。 【0050】従って、このように左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動することにより、図2に示すように両者の縦アーム15間に張架した膜状体13は巻取り機構から引き出されて展開される。 【0051】ところで、前記アウターシリンダー16が上昇する際、このアウタシリンダー16を分割した上側ピース16aおよび下側ピース16bは共に上昇し、上側ピース16aはガイドリング73を介してステー20の前傾部分72を摺動しつつ上昇するため、上側ピース16aはこの前傾部分72の傾斜方向に沿ってスムーズに前傾することができる。 【0052】従って、上側ピース16aに接続した上方の横アーム14の移動量は、上側ピース16aが前傾した分だけ下方の横アーム14aの移動量よりも大きくなり、図8に示すように上方の横アーム14と下方の横アーム14aの前方突出量に差Lが設けられ、結果的に前記膜状体13は図2示すように展開完了した状態で上側が前方となるように前傾されることになる。尚、上側ピース16aの前傾状態は、ガイドリング73とステー20の傾斜部分72との間の摩擦力によりロックすることができる。 【0053】このため、図8に示すように着座乗員の後方移動する頭部Hを前傾した膜状体13の上側部分でより早く支えることができるとともに、膜状体13が前傾されることによって、追突後に円弧または楕円のような軌跡Tを描いて後方移動する頭部Hを確実に拘束し、頭部Hが膜状体13を乗り越えるのを防止することができる。 【0054】従って、前記膜状体13は、左,右ヘッドレスト部材11,12の前方回動により頭部Hをより前方位置で拘束できるとともに、この膜状体13が前傾されることにより頭部Hをより早くかつ確実に拘束して、保護性をより高めることができる。 【0055】また、本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10では、従来のように着座乗員の慣性による荷重変動を検知するものではなく、Vセンサー51,Gセンサー52,圧力センサー53などによって車両Mの後面衝突を検知するため、着座乗員の体重や着座姿勢に関係無く、確実かつ迅速にヘッドレスト本体10aを作動させることができる。 【0056】従って、シートバック101には着座乗員の荷重変動を検知するための機構が不要となるため、このシートバック101は幅寸法や高さおよび形状などに制約されること無く、本来の座り心地性を確保することができるとともに、シート100自体の軽量化を達成することができる。 【0057】図9は本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10を用いて実験した場合の比較特性図を示し、横軸に時間、縦軸に着座乗員の頸部に作用するモーメント(荷重)をとって表す。 【0058】同図中、aは衝突対応構造を持たない従来のヘッドレスト、つまりアクティブヘッドレスト構造を採らない場合、bは着座乗員の慣性による荷重移動を利用して後面衝突を検知する従来のアクティブヘッドレストの場合、cは本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10の場合をそれぞれ示す。 【0059】即ち、この比較特性図から、bの従来のアクティブヘッドレストは、aのアクティブヘッドレスト無しの場合に比較して着座乗員の頭部拘束に優れているが、このbのアクティブヘッドレストよりも、cの本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10が、頭部との接触時間が早く、かつ発生する最大頭部荷重を更に低減できることが理解される。 【0060】図10は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0061】図10はヘッドレスト本体のクッションパッドを取り外した要部拡大斜視図で、上側ピース16aの上端部にステー20の前傾部分72の先端部との干渉を避けて上部部材をガイドするガイド部である切欠部76を形成してある。 【0062】前記切欠部76は、上側ピース16aの周方向に前記傾斜部分72の直径よりも大きくなる幅Dをもって形成されるとともに、この切欠部76の底部76aは、初期状態で前記前傾部分72の先端部を受け入れる浅い部分76bから左,右ヘッドレスト部材11,12の前方回動とともに上昇した場合に受け入れる深い部分76cとに亘って傾斜して形成される。 【0063】従って、この第2実施形態の車両用ヘッドレスト装置10にあっては、上側ピース16aに切欠部76を形成したことにより、この切欠部76にステー20の傾斜部分72の先端部を配置することが可能となる。 【0064】このため、前記傾斜部分72は上側ピース16aの限られた内周スペースに捕らわれることなく、この傾斜部分72の傾斜角をより大きく設定することができるようになり、ひいては、上昇する上側ピース16aの前傾角度をより大きくして、展開された膜状体13を更に大きく前傾させることができる。 【0065】従って、膜状体13を前傾させる際の角度範囲をより広く選択でき、頭部Hの後方移動軌跡Tに合わせた膜状体13の傾斜角の設計自由度を高めることができる。 【0066】図11,図12は本発明の第3実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0067】図11は上側ピース16aと下側ピース16bの結合部分を示す断面図、図12はアウタシリンダー16の上昇に伴う上側ピース16aの傾斜挙動を順を追って示す説明図である。 【0068】この第3実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、図11に示すように上側ピース16aと下側ピース16bを、ヒンジ部材としての複数組のばね部材77によって連結してある。 【0069】ばね部材77は3本の引張りコイルばねが用いられ、上側ピース16aと下側ピース16bの対向部分近傍の外周にそれぞれ上下方向に対向するように複数組(本実施形態では3組)のフック77a,77bを突設し、それぞれ対向するフック77a,77b間に前記ばね部材77の両端部を係止してある。 【0070】従って、この第3実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、アウタシリンダー16の上昇に伴って、上側ピース16aが図12に示すようにステー20の前傾部分72に沿って上昇し、同図(a)の作動途中から(b)の作動完了に至るまで上側ピース16aが傾斜する際に、その傾斜反対側のばね部材77が伸張しつつ上側ピース16aの前傾が可能となる。 【0071】このように、第3実施形態では複数のばね部材77を上側ピース16aと下側ピース16bとの間に設けることによりヒンジ部材を構成したので、ばね部材77を上下各ピース16a,16bの外側に沿って配置できるようになり、アウタシリンダー16周りの小型化を図りつつ軽量化を達成することができる。 【0072】ところで、この実施形態にあっても上側ピース16aの上端部に、ステー20の前傾部分72の先端部を受け入れる切欠部76が形成され、前傾部分72の傾斜角を大きく設定できるようになっているが、この切欠部76は必ずしも必要とはしない。これは後述する第4実施形態および第5実施形態にあっても同様である。 【0073】図13,図14は本発明の第4実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0074】図13は上側ピース16aと下側ピース16bの結合部分を示す断面図、図14はアウタシリンダー16の上昇に伴う上側ピース16aの傾斜挙動を順を追って示す説明図である。 【0075】この第4実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、図13に示すように上側ピース16aと下側ピース16bを、これら両ピース16a,16bを結着するヒンジ部材としての軟弾性部材78によって連結してある。 【0076】軟弾性部材78は、上側ピース16aおよび下側ピース16bと同径の環状ゴム78aが用いられ、この環状ゴム78を上,下側両ピース16a,16bの対向面に加硫接着により一体に結着している。 【0077】従って、この第4実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、アウタシリンダー16の上昇に伴って、上側ピース16aが図14に示すようにステー20の前傾部分72に沿って上昇し、同図(a)の作動途中から(b)の作動完了に至るまで上側ピース16aが傾斜する際に、その傾斜反対側の環状ゴム78aが容易に伸張して上側ピース16aの前傾が可能となる。 【0078】このように、第4実施形態では上側ピース16aと下側ピース16bの対向面に加硫接着した環状ゴム78aをヒンジ部材としたので、このヒンジ部材となる環状ゴム78を上,下側ピース16a,16bに一体成形することが可能となって量産化に優れ、小型化は勿論のこと生産性をも向上することができる。 【0079】図15,図16は本発明の第5実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0080】図15は上側ピース16aと下側ピース16bの結合部分を示す断面図、図16はアウタシリンダー16の上昇に伴う上側ピース16aの傾斜挙動を順を追って示す説明図である。 【0081】この第5実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、図15に示すように上側ピース16aと下側ピース16bを、ヒンジ部材としてのリング状軟弾性部材79によって連結してある。 【0082】リング状軟弾性部材79は3本の輪ゴム79aが用いられ、上側ピース16aと下側ピース16bの対向部分近傍の外周にそれぞれ上下方向に対向するように複数組(本実施形態では3組)のフック79b,79cを突設し、それぞれ対向するフック79b,79c間に前記輪ゴム79aを引張状態で係止してある。 【0083】従って、この第5実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、アウタシリンダー16の上昇に伴って、上側ピース16aが図16に示すようにステー20の前傾部分72に沿って上昇し、同図(a)の作動途中から(b)の作動完了に至るまで上側ピース16aが傾斜する際に、その傾斜反対側の輪ゴム79aが伸張しつつ上側ピース16aの前傾が可能となる。 【0084】このように、第5実施形態では複数の輪ゴム79aを上側ピース16aと下側ピース16bとの間に設けることによりヒンジ部材を構成したので、前記第3実施形態と同様に輪ゴム79aを上下各ピース16a,16bの外側に沿って配置できるようになり、アウタシリンダー16周りの小型化を図りつつ軽量化を達成することができ、更には輪ゴム79aを用いることができるため製品のコストダウンを図ることができる。 【0085】図17,図18は本発明の第6実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0086】図17は上側ピース16aと下側ピース16bの結合部分を示す断面図、図18はアウタシリンダー16の上昇に伴う上側ピース16aの傾斜挙動を順を追って示す説明図である。 【0087】この第6実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、上側ピース16aの内径を下側ピース16bよりも大径に形成するようになっている。 【0088】即ち、本実施形態では上側ピース16aの内径を大径にするために、図17に示すようにこの上側ピース16aの外径D1が下側ピース16bの外径D2よりも大きくして、上側ピース16aの内径d1を十分に大きくとるようになっている。 【0089】従って、この第6実施形態の車両用ヘッドレスト装置にあっては、上側ピース16aの外径D1を大径化した場合にも、図12に示すようにアウタシリンダー16が上昇する際に、上側ピース16aは同図(a)の作動途中から(b)の作動完了に至るまでステー20の前傾部分72に沿って上昇して、上側ピース16aの前傾が可能となる。 【0090】このように本実施形態では、上側ピース16aを大径化することにより内径d1を十分に大きく設定できるため、第2実施形態(図10)に示したように上側ピース16aに切欠部76を形成することなく、ステー20の前傾部分72の傾斜角を上側ピース16aの内径部分で大きく設定することができる。 【0091】従って、上側ピース16aに切欠部76のような余分な加工を施すことなく、上側ピース16aの傾斜角を大きく、ひいては、膜状体13をより大きく前傾させることができる。 【0092】ところで、この実施形態ではヒンジ部材として第3実施形態(図11)に示したばね部材77を用いた場合を図示するが、これに限ることなく第1実施形態(図1)に示したヒンジ金具71、または第4実施形態(図13)に示した環状ゴム78、若しくは第5実施形態(図15)に示した輪ゴム79aのいずれを用いてもよい。 【0093】また、本発明の車両用ヘッドレスト装置10は、前記各実施形態に限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成13年12月27日(2001.12.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−191778(P2003−191778A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月9日(2003.7.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−397412(P2001−397412) |
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