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【発明の名称】 オイル加熱装置
【発明者】 【氏名】吉井 欣也
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】太田 隆史
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】加藤 真吾
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】モータのコイルに通電して発熱させ、その熱でオイルを加熱する場合に、モータの効率を制御することのできるオイル加熱装置を提供する。

【解決手段】モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱をオイルに伝達させてオイルを加熱するオイル加熱装置において、モータのコイルのうち、オイルに接触するコイルのみに通電する通電制御手段(ステップS6)を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、前記モータのコイルのうち、前記オイルに接触するコイルのみに通電する通電制御手段を備えていることを特徴とするオイル加熱装置。
【請求項2】 モータの動力により車両が走行可能に構成されているとともに、前記モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、前記モータのトルクが車輪に伝達されて車両が走行することを規制した状態で、前記モータのコイルに通電する通電制御手段を備えていることを特徴とするオイル加熱装置。
【請求項3】 モータの動力により車両が走行可能に構成されているとともに、前記モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、電力を前記モータの動力に変換する効率を判断し、その判断結果に基づいて、前記モータのコイルへの通電状態を制御する通電制御手段を備えていることを特徴とするオイル加熱装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、モータのコイルに通電してコイルを発熱させ、その熱でオイルを加熱するオイル加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両や各種の産業機械などにおいて、機能部品の作動油としてオイルが用いられているとともに、発熱・摩耗部位を潤滑および冷却するための潤滑油としてオイルが用いられている。これらのオイルは、温度に応じて粘度が変化する特性を備えている。そこで、オイルの粘度を低くしてオイルの流動性を確保するために、オイル加熱装置が用いられる。オイル加熱装置としては、専用のヒータを用いる場合もあるが、部品点数が増加し、かつ、ヒータを設けるスペースが必要となる。そこで、被駆動装置を駆動する動力源として、予め設けられているモータの熱を利用して、オイルを加熱するオイル加熱装置が提案されており、その一例が特開2000−14114号公報に記載されている。
【0003】この公報に記載されているオイル加熱装置は、三相ブラシレスモータを有している。この三相ブラシレスモータは、ステータコアに巻かれた駆動コイルと、ステータコアを取り囲んで配置されたロータとを有している。また、ロータと一体回転する回転軸が設けられており、この回転軸を支持する含油軸受が設けられている。この含油軸受には潤滑油が浸透されている。そして、回転軸は含油軸受により支持されながら滑らかに回転する。また、低温環境下においては、モータの起動に先立ち、駆動コイルに発熱電流を流して含油軸受を加熱することにより、潤滑油の粘度を低くして回転軸の回転抵抗の増加を抑制すれば、モータを短時間で確実に起動させることができるとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載されたオイル加熱装置においては、駆動コイルに通電する場合に、モータの効率に関して何ら考慮がなされておらず、その点で改善の余地が残されていた。
【0005】この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、モータのコイルに通電して発熱させ、その熱でオイルを加熱する場合に、モータの効率を制御することのできるオイル加熱装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記目的を達成するため請求項1の発明は、モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱をによりオイルを加熱するオイル加熱装置において、前記モータのコイルのうち、前記オイルに接触するコイルのみに通電する通電制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0007】請求項1の発明によれば、モータのコイルに通電されてコイルが発熱し、その熱がオイルに伝達される。また、モータのコイルのうち、オイルに接触するコイルに通電され、オイルに接触しないコイルには通電されない。このため、オイルを加熱するために消費される電力の増加が抑制される。
【0008】請求項2の発明は、モータの動力により車両が走行可能に構成されているとともに、前記モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、前記車両の走行を規制した状態で前記モータのコイルに通電する通電制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0009】請求項2の発明によれば、モータのコイルに通電されてコイルが発熱し、その熱がオイルに伝達される。また、車両の走行を規制した状態でモータのコイルに通電される。
【0010】請求項3の発明は、モータの動力により車両が走行可能に構成されているとともに、前記モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、電力を前記モータの動力に変換する効率を判断し、その判断結果に基づいて、前記モータのコイルへの通電状態を制御する通電制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0011】請求項3の発明によれば、モータのコイルに通電されてコイルが発熱し、その熱がオイルに伝達される。また、電力をモータの動力に変換する効率が判断され、その判断結果に基づいて、モータのコイルへの通電状態が制御される。
【0012】
【発明の実施の形態】この発明において、モータは、電力を動力に変換する機能、言い換えれば、電気エネルギを機械エネルギに変換する機能を備えた回転機である。このモータは、ステータおよびロータを有しており、ステータに巻かれたコイルに通電されると、コイルにジュール熱が発生する。そして、コイルの熱がオイルに伝達されて、オイルが加熱される。また、請求項1の発明は、車両または各種の産業機械などに適用できる。請求項1ないし請求項3の発明を車両に適用する場合、モータは、車両の駆動力源として使用されているモータ、または車両の駆動力源として使用されていないモータのいずれでもよい。
【0013】
【実施例】つぎに、この発明の具体例を図面に基づいて説明する。図2は、この発明の対象例である電気自動車Veのパワートレーンおよび制御系統を示す図であり、図3は、図2に示すパワートレーンの側面図である。図2および図3において、ケーシング1は、車体(図示せず)の下方に配置されている。このケーシング1の内部には、電動モータ2およびデファレンシャル3が設けられている。
【0014】この電動モータ2は、電気自動車Veの駆動力源としての機能を有している。電動モータ2は、回転軸4と一体回転するロータ5と、ロータ5の周囲に配置された複数のステータ30a,30bと、各ステータ30aに巻かれたコイル6aと、各ステータ30bに巻かれたコイル6bとを有している。回転軸3の回転軸線(図示せず)は、略水平に、かつ、車両の幅方向(左右方向)に配置されている。また、ステータ30a,30bおよびコイル6a,6bは、この実施例では4個ずつ設けられている。
【0015】各ステータ30a,30bおよびコイル6a,6bは、回転軸線を中心とする円周上に、所定間隔おきに配置されている。具体的には、図3に示すように、2個のステータ30aおよびコイル6aが略同じ高さに配置され、他の2個のステータ30bおよびコイル6bが、前記ステータ30aおよびコイル6aよりも低い位置に配置されている。また、2個のステータ30bおよび2個のコイル6bは、略同じ高さに配置されている。なお、回転軸6には1次減速用ドライブギヤ7が形成されている。
【0016】また、ケーシング1の内部には、回転軸4と平行に他の回転軸8が配置されている。回転軸8の回転軸線は、回転軸4の回転軸線よりも低い位置に配置されている。この回転軸8には、1次減速用ドリブンギヤ9と、2次減速用ドライブギヤ10と、パーキングギヤ11とが形成されている。そして、1次減速用ドライブギヤ7と1次減速用ドリブンギヤ9とが噛合されている。さらに、ケーシング1の内部には、回転軸8の回転を許容および防止するパーキング機構12が設けられている。パーキング機構12は、回転軸8の半径方向に移動することにより、パーキングギヤ11に係合・離脱するパーキングロックポール(図示せず)などを有している。
【0017】前記デファレンシャル3はデフケース13を有しており、デフケース13は、回転軸8と平行な回転軸線(図示せず)を中心として回転可能である。デフケース13の外周にはリングギヤ14が形成されており、2次減速用ドライブギヤ10とリングギヤ14とが噛合されている。デフケース13の内部にはピニオンシャフト(図示せず)により支持されたピニオンギヤ(図示せず)が設けられている。また、デフケース13の内部には、ピニオンギヤに噛合する一対のサイドギヤ15が設けられている。この一対のサイドギヤ15にはそれぞれドライブシャフト16が連結されており、各ドライブシャフト16と車輪17とが連結されている。なお、図3の例では、サイドギヤ15の回転軸線(図示せず)は、回転軸4の回転軸線よりも低く、かつ、回転軸8の回転軸線よりも高い位置に配置されているが、高さ方向における各回転軸線同士の位置関係は、図3のものには限定されない。
【0018】さらにまた、ケーシング1の内部にはオイルA1が貯溜されており、オイルA1の液面B1は、回転軸4よりも低い位置または、回転軸4の付近に設定されている。そして、回転軸4,8が停止している状態において、4個のステータ30a,30bおよび4個のコイル6a,6bのうち、高い位置に配置されている2個のステータ30aおよびコイル6aはオイルA1には接触しておらず、低い位置に配置されている2個のステータ30bおよびコイル6bは、その高さ方向の全部がオイルA1に浸漬されている。なお、ロータ5および1次減速用ドリブンギヤ9およびリングギヤ14もオイルA1に浸漬されている。
【0019】一方、電気自動車Veの全体を制御するコントローラとしての電子制御装置18が設けられており、蓄電装置19の電力を各コイル6a,6bに供給するインバータ20が設けられている。このインバータ20は電子制御装置18により制御される。また、車両の室内にはシフトレンジ選択装置21が設けられており、このシフトレンジ選択装置21により、例えば、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジなどを選択することができる。DレンジおよびRレンジが走行レンジであり、この走行レンジでは、電動モータ2のトルクを車輪17に伝達することができる。また、シフトレンジ選択装置21により選択されるシフトレンジは、シフトインジケータスイッチ22により検知され、その検知信号が電子制御装置18に送られる。さらに、シフトレンジ選択装置21の操作に基づいて、パーキング機構12が動作するように構成されている。
【0020】さらにまた、電子制御装置18に制御される警告装置23が設けられている。この警告装置23は、シフトレンジとしてPレンジを選択するように、車両の乗員に警告を発するものである。警告装置23は、音声、画像、光などの少なくとも一つを用いてを用いて車両の乗員に警告を発する装置であり、警告装置23としては、ランプ、ブザー、スピーカ、ディスプレイなどが挙げられる。さらに、オイルA1の温度を検知する温度検知センサ24の信号、加速要求検知センサ25の信号などが電子制御装置18に入力される。
【0021】つぎに、パワートレーンの動作について説明する。シフトレンジとして、DレンジまたはRレンジが選択され、かつ、加速要求がある場合は、蓄電装置19の電力がインバータ20を経由して電動モータ2のコイル6a,6bに供給される。すると、ロータ5および回転軸4が一体回転するとともに、回転軸4のトルクが、1次減速用ドライブギヤ7、1次減速用ドリブンギヤ9、回転軸8、2次減速用ドライブギヤ10、デファレンシャル3、ドライブシャフト16を経由して車輪17に伝達され、駆動力が発生する。なお、Dレンジが選択された場合と、Rレンジが選択された場合とでは、電動モータ2の回転方向は逆になる。
【0022】これに対して、Pレンジが選択された場合は、パーキング機構12のパーキングロックポールとパーキングギヤ11とが係合されて、回転軸8の回転が防止される。すなわち、電気自動車Veの走行(移動)が規制された状態となる。一方、Pレンジ以外のレンジが選択された場合は、パーキング機構12のパーキングロックポールとパーキングギヤ11との係合が解除される。すなわち、電気自動車Veの走行が可能な状態となる。
【0023】また、ケーシング3内に封入されているオイルは、例えば回転するリングギヤ14により掻き上げられて、オイル必要部に供給される。オイル必要部としては、ギヤ同士の噛み合い部分、軸受の摺動部分、機能装置を動作させる油圧室および油路などが挙げられる。このとき、オイルA1がギヤ同士の噛み合い部分、軸受の摺動部分に供給されると、ギヤ同士の噛み合い部分、軸受の摺動部分がオイルにより潤滑および冷却される。
【0024】これに対して、機能装置を動作させる油圧室および油路などにオイルが供給されると、そのオイルA1の油圧により機能装置が動作する。ところで、オイルA1は温度変化に応じて粘度が変化する特性を有しており、オイル必要部に対するオイル供給量は温度に応じて変化する。つまり、オイルA1の温度は、オイル必要部に供給されるオイル量に影響を及ぼす。具体的には、オイル必要部における潤滑性および冷却性、機能装置の動作応答性などが低下する可能性がある。また、ロータ5の一部がオイルA1に浸漬されているため、電気自動車時Veの走行時において、車両オイルA1の粘度に応じて、電動モータ2の回転抵抗が変化し、電動モータ2の効率が低下する可能性がある。
【0025】このような不都合を回避するために、図1に示す制御を実行する。まず、オイルA1の温度tが所定温度a未満であるか否かが判断される(ステップS1)。このステップS1で否定的に判断された場合は、オイルA1の粘度が低いためオイルA1の流動性がよい。したがって、オイルA1を温める(加熱する)必要はなく、そのままリターンする。
【0026】これに対して、ステップS1で肯定的に判断された場合は、オイルA1の温度tが所定温度b未満であるか否かが判断される(ステップS2)。ここで、所定温度bは所定温度aよりも低温である。ステップS2で肯定的に判断された場合は、Pレンジが選択されているか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3で否定的に判断された場合は、シフトレンジをPレンジに切り替えるように、警告装置23で警告をおこなうとともに(ステップS4)、再度、Pレンジが選択されているか否かが判断される(ステップS5)。なお、前記ステップS3で肯定的に判断された場合も、このステップS5に進む。
【0027】このステップS5で肯定的に判断された場合は、電動モータ2のコイル6bに電力を供給して、そのコイル6bを発熱させ、その熱によりオイルA1を加熱し(ステップS6)、ステップS1に戻る。このようにオイルが加熱されると、オイルA1の粘度が低下して流動性が向上する。したがって、オイルA1による潤滑性および冷却性、または機能装置の応答性が向上する。
【0028】ところで、このステップ6においては、電動モータ2から出力されるトルクが“零ニュートン・メートル”となるように、通電状態を制御することができる。つまり、電気自動車Veが停車した状態に維持される。通電状態としては、通電するべきコイル、コイルに通電する電流値などが挙げられる。このような通電制御をおこなうと、電力を動力に変換する効率が低下する。また、Pレンジが選択されているため、電動モータ2から仮にトルクが出力された場合でも、車輪17で発生する駆動力を抑制できる。したがって、電力を車両(車輪17)の駆動力に変換する効率、言い換えれば、モータの効率を制御することができる。
【0029】また、このステップS6においては、4個のコイルのうち、オイルA1に浸漬している2個のコイル6bのみに電力を供給し、オイルA1に浸漬していない2個のコイル6aには電力を供給しない。したがって、オイルA1を加熱するために消費される電力の増加を、抑制できる。つまり、電力を電動モータ2の動力に変換する効率、言い換えればモータの効率が低下することを抑制できる。
【0030】一方、ステップS5で否定的に判断された場合は、電動モータ2に通電する制御に用いるマップとして、電動モータ2の効率が低くなるマップを選択し(ステップS7)、ステップS1に戻る。このステップS7では、電動モータ2が回転する。このステップS7の制御により、電動モータ2のコイル6bの発熱量が増加して、オイルA1が加熱される。したがって、ステップS7の制御を実行した場合も、ステップS6の制御を実行した場合と同様の効果を得ることができる。また、DレンジまたはRレンジが選択されて、車両が走行する場合に、電動モータ2の熱によりオイルA1を加熱することができる。このため、電動モータ2の回転時におけるオイルA1の撹拌抵抗の増加が抑制される。したがって、車両の走行時に、電力を車両の駆動力に変換する効率、すなわち、モータの効率の低下を、可及的に抑制できる。
【0031】また、ステップS7において、モータの効率とは、電力を電動モータ2の動力に変換する効率を意味している。さらにモータの効率の低いマップとは、例えば、ステップS1で否定的に判断された場合に用いられる通電用のマップよりも、効率の低いマップを意味している。なお、前記ステップS2で否定的に判断された場合は、DレンジまたはRレンジが選択されているか否かが判断される(ステップS8)。このステップS8で否定的に判断された場合はステップS3に進み、ステップS8で肯定的に判断された場合は、ステップS7に進む。
【0032】さらに、この制御例においては、ステップS3,S5でPレンジが選択されているか否かを判断し、Pレンジが選択されてから、電動モータ2に電力を供給している。したがって、車両を発進させる要求もしくは加速する要求がない場合において、電動モータ2のトルクにより車輪17の駆動力が増加する不都合を、確実に防止できる。また、ステップS4において、“電動モータ2の効率が低い状態で車両が走行することをやめて、車両を停止してからオイルA1を加熱すること。”を、車両の乗員に促すことができる。
【0033】さらに、この実施例によれば、オイルA1を加熱するために、既存の電動モータ2を用いており、専用のヒータなどを設ける必要がない。このため、部品点数の増加を抑制でき、かつ、そのヒータを配置するスペースを確保する必要もない。したがって、ケーシング3の大型化、および装置の大重量化を抑制でき、装置の車載性が向上する。
【0034】ここで、図1に示す機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS6において、オイルA1に浸漬しているコイル6bのみに通電する制御が、請求項1の発明の通電制御手段に相当する。また、ステップS3,S4,S5,S6が、請求項2の発明の通電制御手段に相当する。さらに、ステップS3,S4,S5,S6,S7が、請求項3の発明の通電制御手段に相当する。
【0035】また、この実施例で説明した事項と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、電動モータ2がこの発明のモータに相当し、コイル6bが、この発明のオイルに接触するコイルに相当し、電気自動車Veがこの発明の車両に相当し、“Pレンジが選択されてパーキング機構12が動作することにより、パーキング機構12のパーキングロックポールとパーキングギヤ11とが係合されて、回転軸8の回転が防止された状態”が、この発明の“モータのトルクが車輪に伝達されて車両が走行することを規制した状態”に相当する。また、この実施例において、モータの効率とは、電力を電動モータ2の動力に変換する効率、および、電力を車輪17の駆動力に変換する効率という2種類の意味で用いられている。
【0036】この実施例に記載された特徴的な構成を列挙すれば以下のとおりである。すなわち、モータの動力により車両が走行可能に構成されているとともに、前記モータのコイルに通電してそのコイルを発熱させ、コイルの熱によりオイルを加熱するオイル加熱装置において、前記車両の状態が、モータのトルクが車輪に伝達されて車両が走行することを規制した状態であるか否かを判断する車両状態判断手段と、車両状態判断手段の判断結果に基づいて、前記モータのコイルへの通電状態を制御する通電制御手段とを備えていることを特徴とするオイル加熱装置である。この場合、図1のステップS3,S5が、車両状態判断手段に相当し、図1のステップS6,S7が、通電制御手段に相当する。つまり、車両状態判断手段は、シフトレンジに基づいて車両状態を判断する機能を有している。
【0037】また、通電制御手段は、車両が停車する場合に、モータの出力トルクが零となるような通電状態を選択するとともに、車両が走行する場合に、通常の通電マップよりもモータ効率が低いマップを用いる通電状態を選択する機能を、更に有している。さらに、車両状態判断手段により、“車両の状態が、モータのトルクが車輪に伝達されて車両が走行することを規制した状態ではない”と判断された場合に、“車両の状態を、モータのトルクが車輪に伝達されて車両が走行することを規制した状態”に変更するように警告をおこなう警告手段を、更に備えている。図1のステップS4がこの警告手段に相当する。なお、図1に示す制御例は、電動モータ以外の駆動力源(例えばエンジン)が設けられている車両に対しても適用可能である。さらに、図1の制御例は、エンジンの出力側に、変速比を変更可能な変速機が設けられている構成の車両に対しても適用可能である。この場合、変速機を制御するシフトポジションに基づいて、前記車両状態を判断することもできる。
【0038】なお、特許請求の範囲に記載されている通電制御手段を、通電制御器または通電制御用コントローラと読み替えることもできる。この場合、電子制御装置18が、通電制御器または通電制御用コントローラに相当する。また、通電制御手段を、通電制御ステップと読み替え、オイル加熱装置をオイル加熱方法と読み替えることもできる。さらに、特許請求の範囲に記載されているオイル加熱装置を、モータ制御装置またはモータ制御方法と読み替えることもできる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、コイルに通電してコイルを発熱させ、その熱によりオイルを加熱することができる。また、モータのコイルのうち、オイルに接触するコイルに通電し、オイルに接触しないコイルには通電しない。したがって、コイルに通電する際に、電力を動力に変換する効率、すなわちモータの効率の低下を抑制することができる。
【0040】請求項2の発明によれば、コイルに通電してコイルを発熱させ、その熱によりオイルを加熱することができる。また、車両の走行を規制した状態でモータのコイルに通電される。したがって、コイルに通電する際に、電力を車両の駆動力に変換する効率、すなわちモータの効率を制御できる。
【0041】請求項3の発明によれば、コイルに通電してコイルを発熱させ、その熱によりオイルを加熱することができる。また、電力をモータの動力に変換する効率を判断するとともに、その判断結果に基づいて、モータのコイルへの通電状態を制御する。したがって、コイルに通電する際に、電力を動力に変換する効率、すなわち、モータの効率を制御できる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年5月20日(2002.5.20)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2003−339101(P2003−339101A)
【公開日】 平成15年11月28日(2003.11.28)
【出願番号】 特願2002−145350(P2002−145350)