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【発明の名称】 車両制御装置
【発明者】 【氏名】鈴木 直人
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】車両の運転者の意思に応じた車両走行を可能とする車両制御装置を提供すること。

【解決手段】エンジン2及びモータ3を搭載したハイブリッド車両に設置される車両制御装置1であって、モータ3に電力を供給するバッテリ5と、そのバッテリ5の充電量に応じてエンジン2を駆動させて発電を行うジェネレータ9とを備えて構成され、EV走行中にエンジン2を駆動させて発電を行う場合には、EV走行中でない場合に比べ発電目標値を低下させてエンジン2の駆動を行う。これにより、エンジン出力が制限され、運転者の意思に応じた走行が可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関及び電動機を搭載し前記内燃機関及び前記電動機の一方又は双方の駆動力により走行する車両に設置される車両制御装置であって、前記電動機に電力を供給する蓄電手段と、前記蓄電手段の充電量に応じて前記内燃機関を駆動させて発電を行う発電手段と、を備えて構成され、前記車両が所定の走行状態であるときに前記内燃機関を駆動させて前記発電手段の発電を行う場合には、前記車両が前記所定の走行状態でないときに比べ前記発電手段の発電目標値を低下させて前記内燃機関の駆動を行うこと、を特徴とする車両制御装置。
【請求項2】 前記発電目標値の上限値を設けることにより、前記発電目標値を低下させて前記内燃機関の駆動を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】 前記所定の走行状態は、前記内燃機関の駆動が制限されて車両走行している状態であること特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。
【請求項4】 前記所定の走行状態は、前記車両において前記電動機の駆動による走行が優先されている状態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項5】 前記所定の走行状態は、前記車両の運転者のスイッチ操作によって前記電動機の駆動による走行が優先されている状態であることを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
【請求項6】 前記所定の走行状態は、前記車両が所定の地域を走行している状態であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド車両の制御を行う車両制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ハイブリッド車両の制御装置としては、特開2000−204996号公報に記載されるように、エンジン及びモータの少なく一方を駆動させる複数のモードを設定可能としたハイブリッド車両の制御装置であって、車両の運転者又は車両点検の作業者などが操作可能なマニュアルカットスイッチを備えたものが知られている。この制御装置は、運転者などがマニュアルカットスイッチを操作することにより、運転者などの意思によりエンジンの駆動を禁止又は抑制させることを可能とするものである。このような制御装置を備えたハイブリッド車両によれば、車両走行時に適宜マニュアルカットスイッチを操作して、運転者の意思によりモータ駆動による走行(EV走行)を行うことも可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した制御装置にあっては、運転者などの意思通りに車両走行が行えない場合がある。例えば、運転者のスイッチ操作によりEV走行を行っているときに、モータに電力供給を行っているバッテリの充電量が低下すると、それを補うためにエンジンを駆動させて発電しバッテリ充電を行う必要がある。この場合、静寂に走行したいという運転者の意思に反して、エンジンが駆動され、運転者の意思に沿わない車両走行となってしまう。
【0004】そこで本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、車両の運転者の意思に応じた車両走行を可能とする車両制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に係る車両制御装置は、内燃機関及び電動機を搭載し内燃機関及び電動機の一方又は双方の駆動力により走行する車両に設置される車両制御装置であって、電動機に電力を供給する蓄電手段と、蓄電手段の充電量に応じて内燃機関を駆動させて発電を行う発電手段と、を備えて構成され、車両が所定の走行状態であるときに内燃機関を駆動させて発電手段の発電を行う場合には、車両が所定の走行状態でないときに比べ発電手段の発電目標値を低下させて内燃機関の駆動を行うことを特徴とする。
【0006】また本発明に係る車両制御装置は、発電目標値の上限値を設けることにより、発電目標値を低下させて内燃機関の駆動を行うことが望ましい。また、本発明に係る車両制御装置は、所定の走行状態が内燃機関の駆動が制限されて車両走行している状態であることが望ましい。また、所定の走行状態が車両において電動機の駆動による走行が優先されている状態であることが望ましい。例えば、車両の運転者のスイッチ操作によって、電動機の駆動による走行が優先されている状態である。更に、所定の走行状態が車両が所定の地域を走行している状態であることが望ましい。
【0007】これらの発明によれば、内燃機関の駆動が制限されるなどの所定の走行状態であるときに内燃機関を駆動させて発電を行う場合には、その所定の走行状態でないときに比べ発電手段の発電目標値を低下させて内燃機関の駆動が行われる。このため、内燃機関の出力を抑制することができ、内燃機関の駆動を制限し電動機の駆動走行を優先するという運転者の意思に応じた車両走行が可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】図1は本実施形態に係る車両制御装置の構成概要図である。
【0010】図1に示すように、本実施形態に係る車両制御装置1は、エンジン2及びモータ3を搭載してエンジン2又はモータ3の駆動により走行可能なハイブリッド車両に設置されている。モータ3は、バッテリ5から電力供給を受けて駆動する電動機であり、減速機6を介して駆動輪7に機械的に接続され、駆動輪7に駆動力を伝達する。エンジン2は、動力分配機構8及び減速機6を介して駆動輪7に機械的に接続され、駆動輪7に駆動力を伝達する。動力分配機構8としては、例えば遊星歯車機構が用いられる。
【0011】動力分配機構8には、ジェネレータ9が接続されている。ジェネレータ9は、エンジン2又は駆動輪7の駆動力を受けて発電する発電手段として機能する。ジェネレータ9及びモータ3は、インバータ10を介してバッテリ5に対し電気的に接続されている。ジェネレータ9により発電された交流電力は、インバータ10により直流変換されてバッテリ5に充電される。このとき、バッテリ5は、ジェネレータ9が発電した電力を蓄電しモータ3に電力供給する蓄電手段として機能する。バッテリ5の直流電力は、インバータ10により交流変換されてモータ3に供給され、その交流電力の供給によりモータ3が駆動する。
【0012】車両制御装置1が設置される車両としては、上述したようなハイブリッド車両に限られるものではなく、内燃機関及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なものであれば、モータとジェネレータの双方の機能を備えるモータジェネレータを搭載するものでもよい。また、車両制御装置1が設置される車両は、車輪駆動をモータで行いエンジンをジェネレータへの電力供給源として用いるシリーズタイプ、エンジンとモータの双方で車輪を駆動可能としたパラレルタイプなど、いずれのタイプのものであってもよい。
【0013】車両制御装置1には、エンジンECU20、ハイブリッドECU30及びモータECU40が設けられている。エンジンECU20は、ハイブリッドECU30からの駆動要求に従い、エンジン2のスロットル開度指令信号を出力する制御器である。モータECU40は、ハイブリッドECU30からの駆動要求に従い、インバータ10を通じてモータ3の駆動信号を出力する制御器であり、インバータ10と接続されている。
【0014】ハイブリッドECU30は、アクセル開度、車速などから必要なエンジン出力、モータトルクなどを演算し、エンジンECU20、モータECU40に駆動要求信号を出力し、エンジン2及びモータ3の駆動を制御する制御器である。また、ハイブリッドECU30は、バッテリ5の充電量、即ちSOC(State of Charge)を所定の目標値に保つように制御する制御器として機能する。例えば、バッテリ5のSOCを検出し、そのSOCが目標値となるように適宜エンジン出力を調整して発電を行い、その発電電力によってバッテリ5を充電してSOCを制御する。
【0015】なお、図1では、エンジンECU20、ハイブリッドECU30、モータECU40がそれぞれ別体に設けられているが、これらの全部又は一部が一体に構成されていてもよい。
【0016】車両には、EV(Electric Vehicle)走行スイッチ51が設置されている。EV走行スイッチ51は、車両の運転者の意思によりモータ走行を可能とするスイッチである。このEV走行スイッチ51が運転者によりオンされることにより、車両がEV走行モードとなり、モータ3の駆動によるモータ走行(EV走行)が可能となる。すなわち、EV走行スイッチ51のオンにより、車両が強制的にEV走行モード(モータ3のみの駆動力により走行するモード)となる。これにより、通常ではエンジン2が作動すべき状態であっても、強制的にエンジン2が停止され、それと同時にモータ3が駆動して車両走行が行われる。
【0017】次に本実施形態に係る車両制御装置の動作を説明する。
【0018】図2は、本実施形態に係る車両制御装置1の動作を示すフローチャートである。図2における処理は、例えば、車両のイグニッションオン後にハイブリッドECU30によって行われる。S10に示すように、発電要求量(PCHG)の算出が行われる。発電要求量は、バッテリ5に充電するために必要な発電量であり、バッテリ5のSOCに応じて算出される。例えば、予め設定される目標SOCから現在のSOCを減じた値に基づいて、発電要求量が算出される。また、目標SOCから現在のSOCを減じた値が大きいほど、発電要求量が大きくなるように設定される。
【0019】そして、S12に移行し、エンジン駆動制限条件が成立しているか否かが判断される。エンジン駆動制限条件が成立している場合とは、例えばEV走行スイッチ51がオンされている場合である。この場合、エンジン2が強制的に駆動停止され、優先的にモータ3を駆動して車両走行が行われる。
【0020】S12にてエンジン駆動制限条件が成立していないと判断されたときには、S16に移行する。一方、S12にてエンジン駆動制限条件が成立していると判断されたときには、エンジン2を駆動することが運転者の意思に沿わないことになることから、S14に移行し、発電要求量制限処理が行われる。
【0021】発電要求量制限処理は、S10にてバッテリ5の目標SOC及び現在のSOCに従って算出された発電要求量に対し、所定の制限を加える処理である。例えば、発電要求量制限処理として、発電要求量制限値(PCMX)とS10にて算出された発電要求量(PCHG)とが比較され、それらのうち小さい方の値が発電要求量(発電目標値)としてセットされる。これにより、発電要求量が発電要求量制限値(PCMX)より大きい値となることを防止できる。発電要求量制限値は、予め設定される発電要求量の上限値である。
【0022】そして、S16に移行し、エンジン出力が算出される。エンジン出力は、走行要求量とS14にてセットされた発電要求量との和に基づいて、算出される。走行要求量は、車両走行において要求されるエンジン出力量であり、アクセル開度、車速などにより算出される。S16のエンジン出力算出後、制御処理を終了する。
【0023】以上のように、本実施形態に係る車両制御装置1によれば、EV走行スイッチ51がオンされるなどしてエンジン駆動制限条件が成立しているときにエンジン2を駆動させてジェネレータ9の発電を行う場合には、ジェネレータ9の発電目標値(発電要求量)の上限値を設け、エンジン駆動制限条件が成立していないときに比べ発電目標値を低下させる。これにより、エンジン2の出力が抑制される。従って、エンジン駆動を制限するという運転者の意思に応じた車両走行が行える。
【0024】例えば、図3に示すように、郊外を走行しているときにはエンジン2又はモータ3を適宜駆動する通常走行を行い、その後、住宅地を走行するときにはエンジン駆動を制限するEV走行を行おうとする場合について説明する。
【0025】図3において、郊外における通常走行時には、バッテリ5のSOCは50%の目標SOCに維持される。その後、住宅地に入ったときには、EVスイッチ51がオンされて、エンジン2が停止状態にされ、かつ、モータのみのよって駆動されるEV走行とされる。これにより、バッテリ5のSOCは徐々に減少していく。その際、住宅地でのEV走行が長距離であると、SOCが使用下限値(例えば、SOC45%)に達し、バッテリ5を充電すべくエンジン駆動による発電が開始される。
【0026】このとき、バッテリ5のSOCが目標SOCに対し大きく低下しているため、現実のSOCと目標SOCのみに基づいて発電及びバッテリ充電を行うとすると、図3の破線Aで示すように、急速な発電が行われることとなり、エンジン出力が増大なものとなって静粛な車両走行が行えない。
【0027】これに対し、本実施形態に係る車両制御装置によれば、EVスイッチ51がオンされているようにエンジン駆動制限が設定されているときには、エンジンの出力が制限されるため、緩やかに発電及び充電が行われ(図3の実線B)、エンジン2の駆動により発生する騒音を低下させることができ、静粛な車両走行が可能となる。また、エンジン2の駆動により発生する排気ガスの低減が図れる。
【0028】本実施形態に係る車両制御装置1は、EV走行スイッチ51などを有し運転者の意思によりEV走行が行える車両に設置される場合に、特に有用なものとなる。例えば、運転者の意思によりEV走行が行われると、バッテリ5のSOCが目標SOCに対し大きく下回る場合がある。このような場合には、EV走行スイッチ51がオンである状況でも停止していたエンジン2を駆動させて発電を行う必要があるが、発電時のエンジン出力が制限されるため、静粛に車両走行させたいという運転者の意思に沿った車両走行が実現でき、非常に有用となる。
【0029】なお、本実施形態では、車両の所定の走行状態として、EV走行モードとなる場合について説明したが、本発明に係る車両制御装置はこのようなものに限られるものではなく、所定の走行状態として、車両が所定の地域、例えば市街地を走行する場合に適用してもよい。例えば、図2のS12において、エンジン駆動制限条件成立判断として、ナビゲーションシステムからの情報などにより車両の走行地域が市街地であるか否かを判断し、市街地を走行しているときにはS14のごとく発電要求量を制限すればよい。この場合であっても、前述の車両制御装置と同様に、エンジン駆動を制限するという運転者の意思に応じた車両走行が可能となる。
【0030】また、所定の走行状態として、車両が急加速している場合、登板走行している場合に、本発明に係る車両制御装置を適用してもよい。例えば、図2のS12において、エンジン駆動制限条件成立判断に代えて、車両が急加速しているか又は登板走行しているか否かを判断し、そのような走行をしているときには、S14のごとく発電要求量を制限する。この場合、発電要求量を制限することにより、走行動力としてエンジン出力をより多く用いることができ、急加速や登板走行しようとする運転者の意思に応じた適切な車両走行が可能となる。
【0031】また、所定の走行状態として、バッテリ5の温度が所定以上の高温であるときに車両走行している場合に適用してもよい。例えば、図2のS12において、バッテリ5の温度が予め設定された所定以上の温度であるか否かを判断し、所定以上の温度であるときには、S14のごとく発電要求量を制限する。この場合、発電要求量を制限することにより、高温時におけるバッテリ5の過充電が防止され、バッテリ5の保護が図れる。
【0032】更に、上述した実施形態では、EV走行スイッチ51がオンされたときにEV走行モードとなる場合について説明したが、本発明に係る車両制御装置はそのようなものに限られるものではなく、運転者の指示によりEV走行モードの設定が行えるものであれば、その他のスイッチ、ボタンなどの操作、音声入力等によってEV走行モードとするものであってもよい。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車両の運転者の意思に応じた車両走行が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年5月16日(2002.5.16)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外1名)
【公開番号】 特開2003−333705(P2003−333705A)
【公開日】 平成15年11月21日(2003.11.21)
【出願番号】 特願2002−141986(P2002−141986)