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【発明の名称】 ハイブリッドシステム、ハイブリッドシステムの制御方法およびハイブリッドシステムの制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体
【発明者】 【氏名】松木 務
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】ハイブリッド自動車のクランキング時に駆動モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサを簡単、かつ、低コストな構成で充電可能なハイブリッドシステムを提供する。

【解決手段】ハイブリッドシステム100においては、ハイブリッド自動車のクランキング時、スタータ23はエンジン22を起動し、エンジン22は駆動モータ21を回転し、駆動モータ21は発電する。また、制御装置30は、直流電源10の出力電圧V1、およびコンデンサ12の両端の電圧V2をそれぞれ電圧センサー11,13から受け、電圧V1と電圧V2との差が所定値よりも大きいとき駆動モータ21が発電した電力によりコンデンサ12を充電するようにインバータ14を制御する。そして、電圧V1と電圧V2との差が所定値よりも小さくなると、制御装置30はシステムリレー20をオンする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッドシステムであって、エンジンを始動する始動用モータと、前記エンジンと接続されたモータジェネレータと、前記モータジェネレータを駆動するインバータと、前記インバータに入力電圧を与えるコンデンサとを備え、前記コンデンサは、前記ハイブリッド自動車のクランキング時、前記始動用モータが前記エンジンを始動することにより前記モータジェネレータが発電した電力によって充電される、ハイブリッドシステム。
【請求項2】 前記始動用モータに電圧を与える第1の電源と、前記モータジェネレータに電圧を与える第2の電源とをさらに備え、前記モータジェネレータは、前記クランキング時、前記第1の電源からの電圧を利用して回転する、請求項1に記載のハイブリッドシステム。
【請求項3】 前記第2の電源から前記コンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをさらに備え、前記システムリレーは、前記コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したときオンされる、請求項2に記載のハイブリッドシステム。
【請求項4】 前記第2の電源から出力される第1の電圧を検出する第1の電圧センサーと、前記コンデンサの両端の第2の電圧を検出する第2の電圧センサーと、前記第1の電圧と前記第2の電圧との差が所定値よりも小さいとき前記システムリレーをオフからオンに切替える制御回路とをさらに備える、請求項3に記載のハイブリッドシステム。
【請求項5】 前記所定値は、前記第2の電源から前記コンデンサまでの抵抗値に基づいて決定される、請求項4に記載のハイブリッドシステム。
【請求項6】 前記第1の電源は、前記第2の電源に比較して低圧である、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のハイブリッドシステム。
【請求項7】 ハイブリッド自動車のクランキング時における制御方法であって、始動用モータによってエンジンを起動する第1のステップと、前記起動されたエンジンによりモータジェネレータを回転する第2のステップと、前記モータジェネレータが回転することにより発電した電力を用いて、前記モータジェネレータを駆動するインバータに入力電圧を供給するコンデンサを充電する第3のステップとを備える制御方法。
【請求項8】 前記モータジェネレータは、前記始動用モータに与えられる電圧により回転される、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】 前記コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する第4のステップと、前記プリチャージ状態に達したとき、直流電源から前記コンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをオフからオンに切替える第5のステップとをさらに備える、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】 前記直流電源から出力される第1の電圧と前記コンデンサの両端の第2の電圧との差が所定値よりも小さいか否かを検出することにより、前記コンデンサが前記所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する、請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】 ハイブリッド自動車のクランキング時における制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、始動用モータによってエンジンを起動する第1のステップと、前記起動されたエンジンによりモータジェネレータを回転する第2のステップと、前記モータジェネレータが回転することにより発電した電力を用いて、前記モータジェネレータを駆動するインバータに入力電圧を供給するコンデンサを充電する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項12】 前記モータジェネレータは、前記始動用モータに与えられる電圧により回転される、請求項11に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項13】 前記コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する第4のステップと、前記プリチャージ状態に達したとき、直流電源から前記コンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをオフからオンに切替える第5のステップとをさらにコンピュータに実行させる、請求項12に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項14】 前記直流電源から出力される第1の電圧と前記コンデンサの両端の第2の電圧との差が所定値よりも小さいか否かを検出することにより、前記コンデンサが前記所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する、請求項13に記載のコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッドシステム、ハイブリッドシステムの制御方法、およびハイブリッドシステムの制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
【0003】このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流に変換し、その変換した交流によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0004】このようなハイブリッド自動車は、図6に示すモータ駆動装置110を搭載している。図6を参照して、モータ駆動装置110は、直流電源111と、システムリレー112,114と、抵抗113と、コンデンサ115と、インバータ116と、駆動モータ117とを備える。
【0005】直流電源111は、システムリレー112および抵抗113、またはシステムリレー114を介して直流電圧をコンデンサ115に供給する。コンデンサ115は、直流電源111からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を入力電圧としてインバータ116に供給する。
【0006】インバータ116は、コンデンサ115から供給された直流電圧を制御装置(図示せず)からの信号に基づいてスイッチングして交流電圧に変換し、その変換した交流電圧により所定のトルクを発生するように駆動モータ117を駆動する。
【0007】ハイブリッド自動車においては、始動時、モータ駆動装置110により駆動モータ117を駆動し、駆動モータ117によって発生された所定のトルクを駆動輪に伝達する。この場合、コンデンサ115の充電量が少ないと、始動時にシステムリレー114をオンすると、直流電源111から出力される直流電圧V1とコンデンサ115の両端の電圧V2との差が大きいため、直流電源111からコンデンサ115に突入電流が流れ、それによってシステムリレー114の接点寿命を短くしてしまう可能性があった。
【0008】そこで、このような問題を解決するために、ハイブリッド自動車の始動時には、直流電源111からコンデンサ115への突入電流を防止するために、システムリレー114をオフしたまま、システムリレー112をオンして抵抗113を介して直流電源111からコンデンサ115に直流電圧を供給してコンデンサ115を充電し、直流電源111からの直流電圧V1とコンデンサ115の両端の電圧V2との差が小さくなった時点で、システムリレー112をオフし、システムリレー114をオンして直流電源111からコンデンサ115に直流電圧を供給することが行なわれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図6に示した従来の方法では、直流電源111からコンデンサ115への突入電流を防止するためには、システムリレー112および抵抗113が別途必要になり、部品点数を少なくしてハイブリッド自動車の低コスト化を図ることが困難であるという問題がある。
【0010】図6に示すシステムリレー112および抵抗113を用いずにインバータに入力電圧を供給するコンデンサをプリチャージする方法が特開平5−336611号公報に記載されている。特開平5−336611号公報には図7に示す電気システム200が開示されている。図7を参照して、電気システム200は、主電池210と、主スイッチ220と、ヒューズ230と、コンデンサ240と、インバータ250と、車輪駆動用の交流電動機260と、補助スイッチ270と、DC−DCコンバータ280と、補助電池290と、直流負荷300とを備える。
【0011】電気システム200においては、直流電源210は、主スイッチ220がオンされると直流電圧をヒューズ230を介してコンデンサ240に供給し、コンデンサ240は、直流電圧を平滑化してインバータ250に供給する。インバータ250は、直流電圧をスイッチングして交流電圧に変換し、その変換した交流電圧により交流電動機260を駆動する。
【0012】また、電気システム200においては、補助スイッチ270、DC−DCコンバータ280、補助電池290および直流負荷300から成る電気系統がコンデンサ240、インバータ250および交流電動機260から成る電気系統と並列に接続されている。そして、DC−DCコンバータ280は、補助スイッチ270がオンされると、直流電源210からの直流電圧に基づいて補助電池290を充電する。また、DC−DCコンバータ280は、補助電池290を充電した後、補助電池290からの直流電圧に基づいてコンデンサ240を充電する。すなわち、DC−DCコンバータ280は、補助電池290を充電する回路と、コンデンサ240を充電する回路とから成る。補助電池290は、直流負荷300に直流電圧を供給する。
【0013】電気自動車が起動されると、電気システム200においては、補助スイッチ270がオンされる。そして、DC−DCコンバータ280は、直流電源210からの直流電圧を用いて補助電池290を充電する。補助電池290の充電が完了すると、補助スイッチ270がオフされ、DC−DCコンバータ280は、補助電池290からの直流電圧を用いてコンデンサ240を充電する。
【0014】その後、コンデンサ240の充電が完了すると、主スイッチ220がオンされ、コンデンサ240は、直流電源210からの直流電圧を平滑化して直流電圧をインバータ250に供給する。そして、インバータ250は、直流電圧を交流電圧に変換して交流電動機260を駆動する。
【0015】したがって、電気システム200においては、交流電動機260を駆動する直流電源210、コンデンサ240およびインバータ250から成る電気系統と別の電気系統であるDC−DCコンバータ280および補助電池290を用いてインバータ250の入力側に設けられたコンデンサ240が充電される。
【0016】そうすると、特開平5−336611号公報に開示された従来の電気システムにおいては、電気自動車の始動時に交流電動機を駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサを充電するには、昇圧機能と降圧機能とを兼ね備えたDC−DCコンバータが必要である。その結果、高価なDC−DCコンバータを用いなければならず、低コストな電気システムを実現することができないという問題がある。
【0017】そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ハイブリッド自動車のクランキング時に駆動モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサを簡単、かつ、低コストな構成で充電可能なハイブリッドシステムを提供することである。
【0018】また、この発明の別の目的は、ハイブリッド自動車のクランキング時に駆動モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサを簡単、かつ、低コストな構成で充電可能なハイブリッドシステムの制御方法を提供することである。
【0019】さらに、この発明の別の目的は、ハイブリッド自動車のクランキング時に駆動モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサを簡単、かつ、低コストな構成で充電可能なハイブリッドシステムの制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段および発明の効果】この発明によれば、ハイブリッドシステムは、ハイブリッド自動車に搭載されるハイブリッドシステムであって、エンジンを始動する始動用モータと、エンジンと接続されたモータジェネレータと、モータジェネレータを駆動するインバータと、インバータに入力電圧を与えるコンデンサとを備え、コンデンサは、ハイブリッド自動車のクランキング時、始動用モータがエンジンを始動することによりモータジェネレータが発電した電力によって充電される。
【0021】好ましくは、ハイブリッドシステムは、始動用モータに電圧を与える第1の電源と、モータジェネレータに電圧を与える第2の電源とをさらに備え、モータジェネレータは、クランキング時、第1の電源からの電圧を利用して回転する。
【0022】より好ましくは、ハイブリッドシステムは、第2の電源からコンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをさらに備え、システムリレーは、コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したときオンされる。
【0023】さらに、好ましくは、ハイブリッドシステムは、第2の電源から出力される第1の電圧を検出する第1の電圧センサーと、コンデンサの両端の第2の電圧を検出する第2の電圧センサーと、第1の電圧と第2の電圧との差が所定値よりも小さいときシステムリレーをオフからオンに切替える制御回路とをさらに備える。
【0024】さらに、好ましくは、所定値は、第2の電源からコンデンサまでの抵抗値に基づいて決定される。
【0025】さらに、好ましくは、第1の電源は、第2の電源に比較して低圧である。この発明によれば、制御方法は、ハイブリッド自動車のクランキング時における制御方法であって、始動用モータによってエンジンを起動する第1のステップと、起動されたエンジンによりモータジェネレータを回転する第2のステップと、モータジェネレータが回転することにより発電した電力を用いて、モータジェネレータを駆動するインバータに入力電圧を供給するコンデンサを充電する第3のステップとを備える。
【0026】好ましくは、モータジェネレータは、始動用モータに与えられる電圧により回転される。
【0027】より好ましくは、制御方法は、コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する第4のステップと、プリチャージ状態に達したとき、直流電源からコンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをオフからオンに切替える第5のステップとをさらに備える。
【0028】さらに、好ましくは、直流電源から出力される第1の電圧とコンデンサの両端の第2の電圧との差が所定値よりも小さいか否かを検出することにより、コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する。
【0029】この発明によれば、ハイブリッド自動車のクランキング時における制御をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、始動用モータによってエンジンを起動する第1のステップと、起動されたエンジンによりモータジェネレータを回転する第2のステップと、モータジェネレータが回転することにより発電した電力を用いて、モータジェネレータを駆動するインバータに入力電圧を供給するコンデンサを充電する第3のステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0030】好ましくは、モータジェネレータは、始動用モータに与えられる電圧により回転される。
【0031】より好ましくは、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体は、コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する第4のステップと、プリチャージ状態に達したとき、直流電源からコンデンサへの電圧の供給を制御するシステムリレーをオフからオンに切替える第5のステップとをさらにコンピュータに実行させる。
【0032】さらに、好ましくは、直流電源から出力される第1の電圧とコンデンサの両端の第2の電圧との差が所定値よりも小さいか否かを検出することにより、コンデンサが所定のプリチャージ状態に達したか否かを検出する。
【0033】したがって、この発明によれば、直流電源から出力される電圧と、モータジェネレータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサの両端の電圧との差が所定値よりも小さくなるまで、ハイブリッド自動車のクランキング時にスタータでエンジンを起動してモータジェネレータを回転することによりモータジェネレータで発電させ、モータジェネレータが発電した交流電圧を用いてコンデンサを充電するので、従来のように高価なDC−DCコンバータ、またはシステムリレーおよび抵抗を別途設けなくても直流電源からコンデンサへの突入電流の発生を防止できる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0035】図1を参照して、この発明の実施の形態によるハイブリッドシステム100は、直流電源10,25と、電圧センサー11,13と、コンデンサ12と、インバータ14と、システムリレー20,24と、駆動モータ21と、エンジン22と、スタータ23と、電流センサー26と、制御装置30とを備える。なお、駆動モータ21は、「モータジェネレータ」とも言う。
【0036】直流電源10,25は、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。直流電源10は、たとえば、36Vの直流電圧を出力する。また、直流電源25は、たとえば、12Vの直流電圧を出力する。直流電源10,25は、これらの電圧値以外の直流電圧を出力してもよいが、直流電源25は、直流電源10よりも低い直流電圧を出力する。
【0037】電圧センサー11は、直流電源10から出力される直流電圧V1を検出し、その検出した直流電圧V1を制御装置30へ出力する。コンデンサ12は、システムリレー20がオンされると直流電源10からの直流電圧を受け、その受けた直流電圧を平滑化してインバータ14に供給する。電圧センサー13は、コンデンサ12の両端の電圧V2を検出し、その検出した電圧V2を制御装置30へ出力する。
【0038】インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、電源ラインとアースとの間に並列に設けられる。
【0039】U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0040】各相アームの中間点は、駆動モータ21の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、駆動モータ21は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0041】電流センサー26は、駆動モータ21の各相を流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。
【0042】制御装置30は、電圧センサー13により検出された電圧V2と、電流センサー26により検出されたモータ電流MCRTと、トルク指令値TRとに基づいて、後述する方法によりインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御して駆動モータ21の駆動を制御する。また、制御装置30は、ハイブリッド自動車のクランキング時におけるコンデンサ12の充電を制御し、電圧センサー11により検出された電圧V1と電圧センサー13により検出された電圧V2とに基づいてインバータ14への直流電圧の供給を制御する。
【0043】システムリレー20は、電圧センサー11により検出された電圧V1と電圧センサー13により検出された電圧V2との差が所定値よりも小さいとき、制御装置30からの信号RSによりオンされ、直流電源10から出力された直流電圧をコンデンサ12に供給する。駆動モータ21は、入出力軸を介してエンジン22と接続され、ハイブリッド自動車のクランキング時にエンジン21が起動されることにより発電し、その発電した電力によりインバータ14を介してコンデンサ12を充電する。また、駆動モータ21は、インバータ14により駆動されたとき所定のトルクを発生し、その発生したトルクを駆動輪(図示せず)に伝達する。エンジン22は、スタータ23により起動されると入出力軸を介して駆動モータ21を回転する。スタータ23(「始動モータ」とも言う。)は、入出力軸を介してエンジン22と接続され、システムリレー24がオンされると直流電源25からの直流電圧によりエンジン22を起動する。なお、エンジン22とスタータ23との接続は、ピニオンギアタイプおよびベルトタイプのいずれで行なわれても良く、一般的には、どんな方法で行なわれてもよい。
【0044】システムリレー24は、イグニッションキー(図示せず)のオンに応じて、オンされ、直流電源25からの直流電圧をスタータ23に供給する。直流電源25は、直流電圧を出力する。
【0045】図2は、制御装置30の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置30は、トルク制御部31と、充電制御部32とを含む。トルク制御部31は、トルク指令値TR、直流電源10の出力電圧V1、モータ電流MCRT、モータ回転数MRNおよびインバータ入力電圧V2に基づいて、後述する方法によりインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をオン・オフするためのPWM(Pulese Width Modulation)信号を生成し、その生成したPWM信号をインバータ14へ出力する。
【0046】充電制御部32は、イグニッションキーがオンされるとハイブリッド自動車がクランキングされたことを示す信号KRを外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)から受け、その受けた信号KRに応じて電圧センサー11からの電圧V1と電圧センサー13からの電圧V2との差を演算する。そして、充電制御部32は、演算した差が所定値よりも大きいとき駆動モータ21によって発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにインバータ14のNPNトランジスタQ4,Q6,Q8をスイッチング制御するためのPWC信号を生成してインバータ14へ出力する。
【0047】この場合、充電制御部32は、駆動モータ21のV相で発電されるときインバータ14のNPNトランジスタQ4,Q8をオンし、駆動モータ21のU相で発電されるときインバータ14のNPNトランジスタQ6,Q8をオンし、駆動モータ21のW相で発電されるときインバータ14のNPNトランジスタQ4,Q6をオンするためのPWC信号を生成する。つまり、充電制御部32は、駆動モータ21が発電するとき、駆動モータ21により発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにインバータ14を制御する。
【0048】また、充電制御部32は、演算した差が所定値よりも小さいときシステムリレー20をオンするための信号RSを生成してシステムリレー20に出力する。
【0049】図3を参照して、トルク制御部31は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42とを含む。
【0050】モータ制御用相電圧演算部40は、インバータ14への入力電圧V2を電圧センサー13から受け、駆動モータ21の各相に流れるモータ電流MCRTを電流センサー26から受け、トルク指令値TRを外部ECUから受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、これらの入力される信号に基づいて、駆動モータ21の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ供給する。インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8をオン・オフするPWM信号を生成し、その生成したPWM信号をインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ供給する。
【0051】これにより、各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、駆動モータ21が指令されたモータトルクを出すように駆動モータ21の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値に応じたモータトルクが出力される。
【0052】このようにして、制御装置30のトルク制御部31は、外部のECUから入力されたトルク指令値によって指定されたトルクを駆動モータ21が発生するようにインバータ14を制御する。これにより、駆動モータ21は、トルク指令値によって指定されたトルクを発生する。
【0053】図4を参照して、ハイブリッド自動車のクランキング時におけるハイブリッドシステム100の動作について説明する。クランキング時における動作がスタートすると、イグニッションキーIGがオンされ(ステップS1)、トルク指令値TRが「0」に設定される(ステップS2)。そして、ステップS1においてイグニッションキーIGがオンされたことに応じてシステムリレー24がオンされ、直流電源25から直流電圧が供給されると、スタータ23はオンされる(ステップS3)。
【0054】その後、スタータ23は始動し(ステップS4)、エンジン22を起動する。制御装置30に含まれる充電制御部32は、イグニッションキーIGがオンされたことに応じて、ハイブリッド自動車がクランキングされたことを示す信号KRを外部ECUから受け、信号KRに応じて電圧センサー11からの電圧V1と電圧センサー13からの電圧V2との差を演算し、その演算した差(電圧V1と電圧V2との差の絶対値|V1−V2|を言う。)が所定値αよりも小さいか否かを判定する(ステップS5)。演算された差が所定値αよりも小さいとき、システムリレー20をオンしても直流電源10からコンデンサ12に突入電流が流れないので、充電制御部32は、システムリレー20をオンするための信号RSを生成してシステムリレー20へ出力する。そして、システムリレー20は、充電制御部32からの信号RSに応じてオンされる(ステップS6)。
【0055】そうすると、直流電源10は、直流電圧をコンデンサ12に供給し、コンデンサ12は、直流電源10からの直流電圧を平滑化してインバータ14に供給する。一方、制御装置30のトルク制御部31は、トルク指令値TR、直流電源10の出力電圧V1、モータ電流MCRT、モータ回転数MRNおよびインバータ入力電圧V2に基づいて、上述したように駆動モータ21がトルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するようにインバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8をスイッチング制御するためのPWM信号を生成してインバータ14へ出力する。
【0056】これにより、インバータ14は、コンデンサ12から供給された直流電圧を交流電圧に変換して駆動モータ21を駆動する。そして、駆動モータ21/エンジン22が始動されたか否かが判定され(ステップS7)、駆動モータ21/エンジン22が始動されたとき、駆動モータ21/エンジン22を起動するシーケンスが終了する(ステップS8)。一方、ステップS7において駆動モータ21/エンジン22が始動されていないと判定されたとき、駆動モータ21が発生すべきトルクをΔTだけ増加させ(ステップS9)、その後、ステップS7が繰返し行なわれる。
【0057】ステップS5において、電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さくないと判定されたとき、駆動モータ21/エンジン22が始動されたか否かが判定され(ステップS10)、駆動モータ21/エンジン22が始動されていると判定されたときステップS5に戻る。一方、ステップS10において駆動モータ21/エンジン22が始動されていないと判定されたとき、スタータ動作が継続される(ステップS11)。ステップS5において、電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さいと判定された場合のみシステムリレー20がオンされて駆動モータ21が起動される。したがって、ステップS5において電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さくないと判定されたときシステムリレー20がオンされることはないので、ステップS10においては、通常、駆動モータ21/エンジン22は始動されていないと判定され、スタータ動作が継続される。
【0058】この場合、スタータ23がエンジン22を起動すると、エンジン22は駆動モータ21を回転させ、駆動モータ21は発電する。一方、充電制御部32は、駆動モータ21で発電された交流電圧を直流電圧に変換するためにインバータ14のNPNトランジスタQ4,Q6,Q8をスイッチング制御するためのPWC信号を生成してインバータ14へ出力する。そして、NPNトランジスタQ4,Q6,Q8は、PWC信号によってスイッチング制御され、駆動モータ21のV相で発電されるときNPNトランジスタQ4,Q8がオンされ、駆動モータ21のU相で発電されるときNPNトランジスタQ6,Q8がオンされ、駆動モータ21のW相で発電されるときNPNトランジスタQ4,Q6がオンされる。これにより、インバータ14は、駆動モータ21が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧によりコンデンサ12を充電する。
【0059】スタータ動作が継続された後、ステップS5に戻り、直流電源10から出力される電圧V1とコンデンサ12の両端の電圧V2との差が所定値よりも小さいか否かが繰返し判定される。そして、その判定結果に応じて、上述したステップS6〜S9の動作またはステップS10,S11の動作が繰返し行なわれる。
【0060】なお、所定値αは、直流電源10からコンデンサ12までの抵抗値に応じて決定される。直流電源10からコンデンサ12への突入電流は、直流電源10からコンデンサ12までの抵抗値に依存するからである。
【0061】このように、ハイブリッド自動車の起動時、ハイブリッドシステム100においては、直流電源10から出力される電圧V1とインバータ14の入力側に設けられたコンデンサ12の両端の電圧V2との差が所定値αよりも小さいか否かが判定され、電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さい場合に限り、システムリレー20がオンされてインバータ14により駆動モータ21が駆動される。一方、電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さくないとき、駆動モータ21はエンジン22により回転されて発電し、その発電した電力によりコンデンサ12を充電する。電圧V1と電圧V2との差が所定値αよりも小さくなるとシステムリレー20がオンされて駆動モータ21がトルクを発生するように駆動される。
【0062】したがって、この発明によるハイブリッドシステム100においては、直流電源10から出力される電圧V1とコンデンサ12の両端の電圧V2との差が所定値αよりも小さい場合に限りシステムリレー20がオンされるので、従来のように突入電流の発生を防止するためのDC−DCコンバータ、またはシステムリレーおよび抵抗を別途設けなくても直流電源10からコンデンサ12への突入電流の発生を防止できる。
【0063】上述した充電制御部32は、具体的には図5に示すブロック図から成る。図5を参照して、充電制御部32は、CPU(Central Processing Unit)321と、RAM(Random Access Memory)322と、ROM(Read Only Memory)323と、バスBSとを含む。
【0064】ROM323は、図4を参照して説明したハイブリッド自動車のクランキング時におけるハイブリッドシステム100の動作を制御するためのプログラムを格納する。RAM322は、CPU321が演算処理を行なう際のワークメモリである。CPU321は、ROM323に格納されたプログラムをバスBSを介して読出し、その読出したプログラムに従って電圧センサー11からの電圧V1と電圧センサー13からの電圧V2との差を演算し、|V1−V2|<αを判定する。そして、CPU321は、|V1−V2|<αが成立しないと判定したとき、上述したPWC信号を生成してインバータ14へ出力する。また、CPU321は、|V1−V2|<αが成立すると判定したときシステムリレー20をオンするための信号RSを生成してシステムリレー20へ出力する。
【0065】このように、充電制御部32は、CPU321、RAM322、ROM323およびバスBSによって容易に構成され、ROM323は、ハイブリッドシステム100の制御をコンピュータ(CPU321)に実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ(CPU321)が読取り可能な記録媒体である。
【0066】上述したように、ハイブリッド自動車のクランキング時の動作について説明したが、この発明において「クランキング」とは、イグニッションキーがオンされてからエンジンが完爆するまでの間を言う。「クランキング」の意味については、より詳細には、本出願人により先に出願された特開昭60−173367号公報に記載されている。
【0067】この発明によれば、ハイブリッドシステムは、ハイブリッド自動車のクランキング時に、駆動モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサの電圧と直流電源から出力される電圧との差が所定値よりも大きい場合、エンジンの起動により駆動モータで発電させ、その発電させた電力によりコンデンサを充電し、コンデンサの電圧と直流電源から出力される電圧との差が所定値よりも小さくなるとシステムリレーをオンして所定のトルクを発生するように駆動モータを駆動するように制御する充電制御部を備えるので、従来のように高価なDC−DCコンバータ、またはシステムリレーおよび抵抗を別途設けなくても直流電源からコンデンサへの突入電流の発生を防止できる。
【0068】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年4月19日(2002.4.19)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外5名)
【公開番号】 特開2003−319507(P2003−319507A)
【公開日】 平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願番号】 特願2002−117529(P2002−117529)