| 【発明の名称】 |
車両用電動機の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋本 武典 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士重工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】差動制限装置を用いることなく車両の走行性を向上し、電動機により後輪を駆動するハイブリット車両の走行性を向上する。
【解決手段】車両に搭載される電動モータ14の出力は、差動装置により左右の駆動輪に差動分配して伝達される。左右の駆動輪の回転速度はそれぞれ車輪速度センサ33a,33bによって検出され、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量はアクセル開度センサ32によって検出される。これらのセンサの検出信号が送られる電子制御ユニット31は、左右駆動輪の回転差が規定値以下のときにはアクセル開度センサ32からの信号によって算出される駆動力値に基づいて電動モータ14を制御する一方、回転数の差が規定値以上のときには電動モータ14の出力を制限する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機とこの電動機の出力を左右駆動輪に差動分配する差動装置を有する車両用電動機の制御装置であって、左右の駆動輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速度センサと、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサと、前記左右駆動輪の回転数の差が規定値以下のときには前記アクセル開度センサからの信号によって算出される駆動力値に基づいて前記電動機を制御する一方、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機の出力を制限する制御手段とを有することを特徴とする車両用電動機の制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の車両用電動機の制御装置において、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機への通電を停止することを特徴とする車両用電動機の制御装置。 【請求項3】 請求項1記載の車両用電動機の制御装置において、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機へ逆転方向に通電することを特徴とする車両用電動機の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は車両の駆動輪を駆動する原動機として電動機を有する車両用電動機の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電動機を原動機とする車両には電動機のみを原動機とする電気自動車や、電動機に加えて内燃機関を有するハイブリット車両があり、四輪駆動式のハイブリット車両には前輪を内燃機関により駆動し、後輪を電動機により駆動するようにしたものがある。電気自動車やハイブリット車両のように電動機つまり電動モータを備えた車両においては、電動機と左右駆動輪との間に、旋回走行時の左右駆動輪の回転差を吸収するためにデファレンシャル装置つまり差動装置を設け、電動機の出力を差動装置を介して左右の駆動輪に伝達するようにしている。 【0003】一方、ハイブリット車両においては、たとえば、特開平5-131858号公報に開示されるように、エンジンの出力トルクと目標トルクとの偏差分のトルクを制御トルクとして電動機を制御するようにしたり、特開平11-318001号公報に開示されるように、前後輪の回転差に応じてオルタネータの発電を制御することにより前後輪の駆動力を配分するようにしている。 【0004】四輪駆動式のハイブリット車両が凍結路面や雪道のような低μ路を走行する際に、後輪駆動用の電動機の出力が過大となると、後輪の左右一方が空転を起こして駆動力が空転した車輪に伝達されて、他方の車輪の駆動力がほぼゼロとなることがある。このため、四輪駆動車両としての走破性や走行性、そして差動装置の耐久性の面で問題が生じる。つまり、第1に後輪の駆動力分がなくなるので走破性が悪化し、第2に低μ路から通常の路面に戻ったときなどのように空転車輪のグリップ力が復帰したときには車両挙動が不安定になり、第3に差動装置が焼き付きを起こすことなどが想定される。 【0005】このような問題点を解決するために、従来では、ビスカスカップリングを備えた回転数感応式差動制限装置や湿式多板クラッチを備えた予圧式差動制限装置などが用いられている。このような差動制限装置を用いない場合には、デファレンシャルケースの回転変化率を算出し、電動機の出力を制限するようにした技術がたとえば、特開平10-75506号公報に開示されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】電動機の出力を差動装置を介して駆動輪に伝達する場合、特に、四輪駆動車両の場合には、前後輪の駆動力を適正化し、車両の走破性ないし走行性を確保し、さらに差動装置の耐久性を向上するには、前述のような差動制限装置を車両に搭載する必要があるが、差動制限装置を搭載すると車両の製造コストが高くなるという問題点がある。 【0007】本発明の目的は、差動制限装置を用いることなく車両の走行性を向上することにある。 【0008】本発明の他の目的は、電動機により後輪を駆動するハイブリット車両の走行性を向上することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明の車両用電動機の制御装置は、電動機とこの電動機の出力を左右駆動輪に差動分配する差動装置を有する車両用電動機の制御装置であって、左右の駆動輪の回転速度をそれぞれ検出する車輪速度センサと、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサと、前記左右駆動輪の回転数の差が規定値以下のときには前記アクセル開度センサからの信号によって算出される駆動力値に基づいて前記電動機を制御する一方、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機の出力を制限する制御手段とを有することを特徴とする。 【0010】本発明の車両用電動機の制御装置は、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機への通電を停止することを特徴とする。 【0011】本発明の車両用電動機の制御装置は、前記回転数の差が規定値以上のときには前記電動機へ逆転方向に通電することを特徴とする。 【0012】本発明の車両用電動機の制御装置にあっては、電動機の出力を左右の駆動輪に伝達するための差動装置として差動制限装置を使用することなく、車輪速度センサからの信号によって、駆動輪が空転したときには電動機の出力を制限することができるので、差動装置に過負荷が加わることを防止できる。これにより、差動装置の潤滑を簡素化することができるとともに耐久性を向上することができる。車輪速度センサによって駆動輪の空転が解消されたことを直ちに検出することができるので、空転解消時に迅速に通常制御状態に復帰させることができる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はハイブリット車両の駆動系を示す概略斜視図であり、図2は図1に示された後輪駆動装置を示すスケルトン図である。 【0014】図1に示すハイブリット車両は、左右の前輪11a,11bと左右の後輪12a,12bとを駆動する四輪駆動車であり、車両には前輪11a,11bを駆動する内燃機関13と、後輪12a,12bを駆動する電動機つまり電動モータ14とを有している。内燃機関13の動力は変速機および差動装置などを有するトランスミッション15を介して左右の前輪に伝達される。一方、電動モータ14の動力は差動装置16を介して左右の後輪に伝達される。 【0015】図2に示すように、リヤデファレンシャルつまり後輪用の差動装置16は、終減速大歯車17が設けられたデファレンシャルケース18を有し、このデファレンシャルケース18にはドライブシャフト19aを介して後輪12aに連結されたアクスルシャフト21aに固定されるサイドギヤ22aと、ドライブシャフト19bを介して後輪12bに連結されたアクスルシャフト21bに固定されるサイドギヤ22bとが回転自在に組み込まれ、これらのサイドギヤ22a,22bは相互に対向し合っている。デファレンシャルケース18には、それぞれのアクスルシャフト21a,21bに対して直角方向にピニオンシャフト23が取り付けられ、このピニオンシャフト23には相互に対向してそれぞれ両方のサイドギヤ22a,22bに噛合うピニオンギヤ24a,24bが回転自在に装着されている。 【0016】この差動装置16は差動制限装置を備えていない通常の差動装置であり、車体に取り付けられるギヤケース25内に組み込まれており、ギヤケース25に装着されるモータケース26内には電動モータ14が組み込まれている。この電動モータ14の主軸に固定された終減速小歯車27は終減速大歯車17に噛合っており、電動モータ14の動力は差動装置16を介して左右の後輪12a,12bに伝達され、車両が旋回走行する際には、左右の駆動輪としての後輪12a,12bの回転差を差動装置16が吸収する。なお、図2にあっては、電動モータ14がアクスルシャフト21a,21bに対して直角となって配置されているが、アクスルシャフト21a,21bに平行に電動モータ14を配置するようにしても良く、差動装置16と電動モータ14とを1つのケース内に組み込むようにしても良い。 【0017】図3は電動機の制御回路を示すブロック図であり、電子制御ユニット(ETC)31には、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ32からの検出信号が送られるとともに、左右の後輪の回転速度に応じた信号が第1と第2の車輪速度センサ33a,33bから送られるようになっている。電子制御ユニット31からはインバータ回路を有するモータ制御ユニット34に制御信号が送られ、このモータ制御ユニット34からの信号によって電動モータ14の作動が制御される。それぞれの車輪速度センサ33a,33bとしては、ABS(アンチロックブレーキシステム)に使用されるセンサを使用することができる。したがって、ABS搭載車両にあっては、ABS用の車輪速度センサからの信号を電動機の制御に共用することができる。 【0018】電子制御ユニット31は、アクセル開度センサ32などからの検出信号に基づいてモータ制御ユニット34に対して送られる制御信号を演算するマイクロプロセッサ(CPU)と、制御プログラム、演算式、マップデータなどが格納されるメモリ(ROM)と、一時的にデータを格納するメモリ(RAM)とを有している。読み出し専用のメモリ(ROM)には、アクセル開度と要求トルクとの関係を示すマップデータやテーブルなどが格納されており、運転者のアクセルペダルの踏み込む量をアクセル開度センサ32により検出することよって運転者の要求トルクを算出することができる。要求トルクが算出されると、その要求トルクの値に基づいて電動モータ14の駆動力(Fr)を算出することができる。図4(A)はアクセル開度と要求トルクとの関係の一例を示す特性線図である。 【0019】一方、左右の後輪12a,12bの回転差は、それぞれの車輪速度センサ33a,33bからの信号により算出することができる。車両が旋回走行する時には左右の前輪のみならず左右の後輪も回転差が発生するが差動装置16によって回転差が吸収されて円滑な走行が確保される。これに対して、雪道や凍結路面などの低μ路で車両が走行しているときには一方の後輪が空転した状態となることがあり、その場合には左右の後輪は旋回走行時と比較して大きな回転差となる。そこで、大きな回転差が発生したときには、電動モータ14に供給される電力を制限してモータ出力を制限するようにしている。 【0020】図4(B)は左右の後輪の一方が空転して回転差が規定値以上となったときにおけるモータ出力の制限例を示す特性線図である。この特性線図は、回転差が規定値Aよりも大きくなったときには電動モータ14に対する電力を停止し、回転差が規定値Aよりも大きな規定値Bを越えたら電動モータ14に対して逆転方向の電力を供給するようにし、その逆転方向の電力を回転差に応じて大きくなるようにした制御特性を示す。 【0021】図2に示した制御装置を有する車両にあっては、差動制限装置を用いることなく、簡単な差動装置16を使用することができるとともに、ABS用に使用される車輪速度センサから信号を共用することができるので、機器類を追加することなく、低コストで差動装置16の差動制限を行うことができる。また、差動装置16として差動制限装置を用いると、回転差がある程度大きくならないと空転を抑制することができないが、この制御装置を有する車両にあっては、車輪速度センサ33a,33bからの信号によって迅速に車輪の空転を止めることができ、しかも、空転を抑制する回転差を任意の値に設定することができる。 【0022】図5は電動機の制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、このルーチンは所定の周期で実行される。まず、ステップS1ではアクセル開度センサ32からの信号を読みとって、運転者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量から運転者の要求トルクを算出する。この算出結果に基づいて後輪の駆動力FrをステップS2において算出する。一方、車輪速度センサ33a,33bから送られる信号によって左右の後輪12a,12bの回転速度が求められ、それぞれの回転速度に基づいて両方の後輪の回転差がステップS3において算出される。ステップS4では回転差が規定値よりも大きいか否かが判定され、規定値に達していないと判定されたときには、ステップS5が実行されて電動モータ14に対しては、ステップS2で算出された後輪駆動力Frに対応するモータ出力Fmotを出力値として電動モータ14を制御する。 【0023】一方、ステップS4において回転差が規定値よりも大きいと判定されたときには、ステップS6において、左右後輪の回転差に応じた制限値Fstopに設定する。この制限値Fstopは回転差が図4(B)における規定値Aと規定値Bとの間であれば、電動モータ14に対する通電を停止するようにFstop=0に設定され、規定値Bよりも回転差が大きければ、電動モータ14に対して逆転方向に通電するようにFstop<0に設定される。そして、逆転方向の通電量は回転差が大きい程大きく設定される。ステップS7では設定された制限値を出力値として電動モータ14が制御され、回転差が規定値A以下となって空転が解消されると、直ちに通常の制御に復帰する。ステップS6で示すように、回転差に応じて通電停止や逆方向の通電が行われるので、図5に示す制御方式では回転差に応じたフィードバック制御が達成される。 【0024】図6は電動機の制御ルーチンの他の具体例を示すフローチャートであり、図5に示す場合と同様に、ステップS1からS4が実行される。ステップS4で回転差が規定値Aよりも小さいと判定されたときには、図5に示す場合と同様に、ステップS2で算出された後輪駆動力Frに対応するモータ出力Fmotが設定される。一方、回転差が規定値以上であると判定されたときには、ステップS8が実行されてモータ出力FmotをFmot=0に設定する。このように、回転差が規定値A以上であれば、モータ出力を停止して回転数ゼロの指示を出力することによって、電動機の制御はオープンループ式の制御となる。回転差が規定値以下となれば、直ちに通常の制御に復帰する。 【0025】上述した図5および図6に示すいずれの制御方式においても、差動制限装置を使用することなく、通常の差動装置16を使用しても、左右の駆動輪の回転差に応じて空転が防止されるので、差動装置に過負荷が加わることなく、差動装置の耐久性を向上させることができる。 【0026】本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、図1に示す車両は前輪を内燃機関13により駆動し、後輪を電動モータ14により駆動するハイブリット車両を示すが、前輪を電動モータ14により駆動するようにしたハイブリット車両や、内燃機関を有することなく、前輪ないし後輪および前後輪を電動モータ14により駆動するようにした車両にも本発明を適用することが可能である。 【0027】 【発明の効果】本発明によれば、車輪速度センサによって駆動輪の空転が検出されたときには電動機の出力を制限するようにしたので、差動装置に過負荷が加わることを防止でき、差動装置の潤滑を簡素化することができるとともに耐久性を向上することができる。電動機の出力を左右の駆動輪に伝達するための差動装置として差動制限装置を使用する必要がなく、電動機を有する車両を低コストで製造することができる。 【0028】車輪速度センサからの信号によって、車輪速度センサによって駆動輪の空転が解消されたことを直ちに検出することができるので、空転解消時に迅速に通常制御状態に復帰させることができる。車輪速度センサとしてはABSの車輪速度センサを共用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005348 【氏名又は名称】富士重工業株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号
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| 【出願日】 |
平成14年4月19日(2002.4.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080001 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 大和 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−319506(P2003−319506A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月7日(2003.11.7) |
| 【出願番号】 |
特願2002−117077(P2002−117077) |
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