| 【発明の名称】 |
複数パンタグラフの異常検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】今津 知也 【住所又は居所】茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業株式会社鹿島製鉄所内
【氏名】高村 君男 【住所又は居所】茨城県鹿嶋市大字光3番地 住友金属工業株式会社鹿島製鉄所内
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| 【要約】 |
【課題】トロリ線とパンタグラフの集電異常を直接的に実際の集電機能を損なう前に検出でき、装置自体の信頼性も高く、比較的簡易で安価な複数パンタグラフの異常検出装置を提供する。
【解決手段】軌道上部に張られたトロリ線1から2組のパンタグラフ2で並列に集電する直流の集電電車10の場合、パンタグラフ毎に電流センサ3を設置し、これの読みを電流バランス異常判定装置4に取り込み、例えば、2組のパンタグラフ2のトータル電流(I1 +I2 )と各パンタグラフの電流I1 ,I2 の%を計算し、電流のアンバランスがある値以上になった場合に当該パンタグラフを異常と判断する。乗り継ぎ部における一瞬の電流アンバランスにより誤検出しないよう、電車10の移動速度に応じた遅延手段を挿入して検出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する複数のパンタグラフの電流信号を2つのグループに分けて多数の組み合わせのA組信号とB組信号を作成し、その多数のグループ分けの一部または全部についてA組信号とB組信号の波形の比較を行い、異常を検出するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項2】 請求項1に記載の異常検出装置において、一方の組が1つの信号で他方の組が残りの全ての信号のグループ分けで異常が検出された場合、前記の1つの信号の方を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項3】 請求項1に記載の異常検出装置において、異常が検出されたグループ分けにおいて、信号数の少ない方の組を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項4】 請求項1に記載の異常検出装置において、複数のグループ分けで異常が検出された場合、それらのグループに共通して含まれる信号を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項5】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号のアンバランスがある値以上になった場合に異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項6】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形をローパスフィルタでフィルタリングして低周波成分振幅が同一となるように調整し、調整された元信号同士の差をとることによりノイズ成分を抽出し、このノイズ成分のレベルが一定以上になったとき、異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項7】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形のスペクトルをそれぞれ求め、その高周波成分同士を比較して大きい方を異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項8】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形のスペクトルをそれぞれ求め、その低周波成分で振幅が合致するようにスペクトルを重ね合わせ、その高周波成分同士を比較して大きい方を異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項9】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の差から逆位相成分を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項10】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通して得られた高周波成分の差から逆位相成分を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項11】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通した後、それぞれの変化率を求め、これらが同程度で逆向きなら異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項12】 地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通して一方を反転し、他方との相関を求めて相関が強くなれば異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項13】 請求項1から請求項12までのいずれか1つに記載された異常検出装置において、複数のN相給電システムからM組のパンタグラフで集電する場合、(N×M−(N−1))個の電流センサを用いることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。 【請求項14】 請求項1から請求項13までのいずれか1つに記載された異常検出装置において、同一の絶対位置で、複数のパンタグラフが同時に異常を検出し、あるいは複数回異常を検出した場合、トロリ線側の異常と判断することを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出するための複数パンタグラフの異常検出装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術と発明が解決しようとする課題】地上側に設置されたトロリ線から電車上に設置されたパンタグラフを用いて集電する装置は、パンタグラフの舟形集電板やトロリ線の摩耗や腐食あるいは位置の狂いなどの原因で集電状態が不安定であり、接触抵抗の増大あるいはパンタグラフの外れや破損などの不具合で集電機能を失う場合がある。この時、電車側では、基幹の電力を失うことになるので、電車としての主要な機能を全て失うことになり重大な問題である。そのため、トロリ線やパンタグラフの異常を未然に検出する装置が必要とされている。 【0003】特開昭54−88510号では、パンタグラフの支持押し付け機構に押し付け力検出器を設置し、これによりパンタグラフの異常を検出する技術が開示されている。しかし、押し付け力の異常は、トロリ線やパンタグラフ舟形集電板の表面状態との直接の相関がなく、表面状態に起因する電気的接触異常を検出することは原理的に不可能である。「押し付け力小=集電機能不良」とはならない。また、外部に露出しているパンタグラフ本体に検出器を設置する必要があるので、パンタグラフ自体や設置したセンサの信頼性に問題がある。 【0004】特開昭63−16212号では、パンタグラフの変位(位置の変化)を検出して離線を検出する技術が開示されている。これも上記と全く同じで、「表面状態に起因する電気的接触異常」を検知できず、かつ、検出器を追加したことでパンタグラフ装置の信頼性を損なうという問題がある。 【0005】特開昭53−128374号では、パンタグラフ装置自体の対地電位を計測し、離線を検出する技術が開示されている。しかし、パンタグラフ・対地は絶縁されているので高インピーダンスであり、検出方法自体が外来ノイズに弱く、誤検出(必要がないのに検出してしまう)・誤不検出(検出すべき時にしない)を発生するという問題点がある。 【0006】特開昭59−81251号では、2本のパンタグラフが電気的に並列に設置されている場合に、この2本のパンタグラフとトロリ線とで構成される閉ループ回路に高周波を重畳し、トロリ線表面に傷がある場合は表皮効果により閉ループ回路の高周波インピーダンスが大きく変化するため、これを検出するという技術が開示されている。しかし、この方法では、閉ループ回路はループアンテナとして機能するので、外来ノイズを拾うことで誤検知・誤不検知が発生しやすく、また、装置構成が複雑であるという問題点がある。 【0007】その他、パンタグラフを車上のテレビカメラで監視する、パンタグラフの離線り際に発生する火花や電磁波を監視する、などの技術があるが、いずれも実際の電気的接触異常との相関が小さいため、異常状態を判定するための基準が明確に規定できず、誤検知・誤不検知の懸念がある。 【0008】最後に、以上の既存技術では、実際の電気的異常(集電機能不全)が発生する前に未然に検知できるかどうかについては全く保証がない(電気的集電機能が損なわれる前に検知できる保証がない)、という問題点がある。 【0009】本発明は、上記のような従来の問題点、(a) 実際の電気的異常を直接検出していないため電気的な異常を正確に判断できない、(b) ノイズに弱い、(c) 未然に検出できない、(d) パンタグラフ装置や検出装置の信頼性が低い、(e) 装置構成が複雑になる、などを解消することのできる複数パンタグラフの異常検出装置を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明では、多くの集電装置において、信頼性を増すために、またトロリ線乗り継ぎ部での瞬間的な停電を防止するために、2個ないしそれ以上のパンタグラフが設置されていること、に着目する。正常時はこれらの複数パンタグラフに電流が同程度かつ係数倍を除いて同一波形で流れているが、そのうち一部のパンタグラフに異常が発生した場合、アンバランスな電流が流れる、という事実に基づきパンタグラフの異常を検知する。このアンバランスには、同電位から集電するパンタグラフ電流同士のアンバランスと、異なる電位(「相」と呼ぶ。3相以上の多相電源で給電されるトロリ)から集電する場合の相と相との間でのバランスがある。これらのアンバランス及びバランスを各種の信号処理と異常検出に用いることで、未然に集電機能不良を検出することができる(請求項1〜13)。また、パンタグラフの異常ではトロリ線上の絶対位置に依存せずに異常が発生し、逆にトロリ線の異常であれば、トロリ線上の絶対位置に依存して異常が発生する(いつも同じ場所で異常が発生する)、ということに着目する(請求項14)。 【0011】従来技術では電気的な機能の異常を直接測定していないため、間接的な検出値、例えばパンタグラフの押し付け力では電気的な異常を正確に判断できないという問題があった。そのため、電気的な異常を直接反映する電流値をパンタグラフ毎にとることとした。また、電流値自体は車上の電力消費状態によって刻一刻変化するため異常検出に使用できない。一方、パンタグラフ間の電流バランスは、トータルの負荷状態に依らず各パンタグラフの値によって決まるので、これが正常範囲からずれることにより当該パンタグラフの電気的異常を検出することができる。また、電流バランスが変化した状態でも相ごとのトータルの電流は不変であり、集電機能は損なわれていない。よって、前記の電流バランスの変化を検知することで、集電機能不全が発生する以前に、電気的な異常を未然に検出できる。 【0012】本発明の請求項1は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する複数のパンタグラフの電流信号(1,2,3,…,m)を2つのグループに分けて多数の組み合わせのA組信号とB組信号(Ak ,Bk )を作成し、その多数のグループ分けの一部または全部についてA組信号とB組信号の波形の比較を行い、異常(集電機能不良)を検出するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0013】請求項1:[多数の電流センサの読みから2信号を作る方法] この請求項1は、同電位のトロリ線に3個以上のパンタグラフが設置されている場合に、パンタグラフ電流同士のアンバランスを検知できるようにしたものである。同電位のトロリ線から集電するM組の電流信号(1,2,3,…,m)がある場合、M個を2つのグループに分け(A組とB組とする)、A組の和とB組の和の差をとることにより、A組信号とB組信号との例えば逆位相分をとることができる。このグループ分けは、[ mC1 + mC2 + … + mC(m-1)/2 ] 通りあり、これの一部または全部について異常判定する。これらの処理は、図5に示すように行列で行うのが簡便である。図5は、信号数すなわちパンタグラフが4個の場合であり、A組信号とB組信号の組み合わせは、等価のものを除くと7種類ある。 【0014】本発明の請求項2は、請求項1に記載の異常検出装置において、一方の組が1つの信号で他方の組が残りの全ての信号のグループ分けで異常が検出された場合、前記の1つの信号の方を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0015】請求項2:[異常の組み合わせから異常信号を同定する方法1] この請求項2は、例えば図5に示すように、(1,2,3,4)の信号があり、例えばA組信号とB組信号の(1,234)の組み合わせで異常が検出された場合、1つの信号の方、即ち信号1を異常と判断する。 【0016】本発明の請求項3は、請求項1に記載の異常検出装置において、異常が検出されたグループ分けにおいて、信号数の少ない方の組を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0017】請求項3:[異常の組み合わせから異常信号を同定する方法2] この請求項3は、例えば図5に示すように、(1,2,3,4)の信号があり、例えばA組信号とB組信号の(1,234)の組み合わせで異常が検出された場合、信号の少ない方、即ち信号1を異常と判断する。 【0018】本発明の請求項4は、請求項1に記載の異常検出装置において、複数のグループ分けで異常が検出された場合、それらのグループに共通して含まれる信号を異常とすることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0019】請求項4:[異常の組み合わせから異常信号を同定する方法3] この請求項4は、例えば図5に示すように、(1,2,3,4)の信号があり、例えば(1,234)と(12,34)の組み合わせで異常が検出された場合、共通して含まれている信号1を異常と判断する。 【0020】以上の請求項1〜4において、電流信号は各パンタグラフ毎に設置した電流センサで検出し、この検出信号が取り込まれる電流バランス異常判定装置において前述の信号処理と異常判定を行う。異常判定には、以下に示す請求項5〜12に記載の異常判定法を用いることができる。以上の請求項1〜4によれば、2つの組み合わせ信号を作成して異常を判定するため、同電位から集電するパンタグラフが多数(M≧3)ある場合でも、異常の発生したパンタグラフを容易に確実に検出することができる。 【0021】本発明の請求項5は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号のアンバランスがある値以上になった場合に異常(集電機能不良)と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0022】請求項5:[2信号が選ばれた場合の処理法1] この請求項5は、例えば図1に示すように、直流集電電車において、2個のパンタグラフにそれぞれ電流センサを設置し、この2電流を電流バランス異常判定装置に取り込み、トータル電流と各パンタグラフの電流%を計算し、電流のアンバランスがある値以上となった場合に異常と判断する。図2、図3に示す3相交流の2組パンタグラフによる集電の場合、R1とR2、S1とS2、T1とT2のアンバランスを計算し、アンバランスの著しいパンタグラフを異常と判断する。トロリ線の乗り継ぎ部などではオンディレイなどの手段で不感とする。なお、前述のような2電流に限らず、請求項1の2つの組み合わせ信号(A組信号とB組信号)を用いても、同様に異常の判断を行うことができる。 【0023】本発明の請求項6は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形をローパスフィルタでフィルタリングして低周波成分振幅が同一となるように調整し、調整された元信号同士の差をとることによりノイズ成分を抽出し、このノイズ成分のレベルが一定以上になったとき、異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0024】請求項6:[2信号が選ばれた場合の処理法2] 図6に示すように、同電位から複数点で集電する場合、瞬時値の測定できる電流センサで得られた電流波形を比較すると、若干のアンバランスはあるものの、波形としてはほぼ同一であるが、接触に異常のある側に高周波のノイズが見られることがある。これを検出するため、図7に示すように、2電流または2つの組み合わせ信号の波形をローパスフィルタでフィルタリングして低周波成分振幅が同一となるようにそれぞれに係数を掛けるなどして調整し、調整された元信号同士の差をとることによりノイズ成分を抽出し、このレベルが一定以上となったときをもって異常とする。言うまでもなく高周波ノイズの乗っている方が異常である。また、「振幅を合わせる」実計算としては、図7のように、整流した波形をローパスフィルタで処理することで振幅同士の比較ができ、低周波の振幅比を求めることができる。通常の交流給電では、電流の波形も電源周波数を基本波とするため、ローパスフィルタの設計は容易である。 【0025】本発明の請求項7は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形のスペクトルをそれぞれ求め、その高周波成分同士を比較して大きい方を異常と判断する(高周波成分の差が大きいとき異常と判断する)ように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0026】請求項7:[2信号が選ばれた場合の処理法3] 図8に示すように、2電流または2信号波形をスペクトル分解し、高周波部分の比較で異常を検出する。実際のオンライン計算ではFFT(高速フーリエ変換)を用い、得られたスペクトル分布自体を若干スムージングして利用する。これは、複数の電流波形が同一であることを用いており、通常よく行われているところである「時系列波形をスペクトル分解し、高周波ノイズが出れば異常」という検出法とは根本的に異なる。 【0027】本発明の請求項8は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の波形のスペクトルをそれぞれ求め、その低周波成分で振幅が合致するようにスペクトルを重ね合わせ、その高周波成分同士を比較して大きい方を異常と判断する(高周波成分の差が大きいとき異常と判断する)ように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0028】請求項8[2信号が選ばれた場合の処理法4] 図9に示すように、2電流または2信号波形をスペクトル分解し、低周波成分で振幅が合致するようにスペクトルを重ね合わせ、高周波部分の比較で異常を検出する。この場合も、実際のオンライン計算ではFFTを用い、得られたスペクトル分布自体を若干スムージングして利用する。これは、複数の電流波形が低周波的には同一であることを用いており、通常の「時系列波形をスペクトル分解し、高周波ノイズが出れば異常」とは根本的に異なる。 【0029】本発明の請求項9は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号の差から逆位相成分を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0030】請求項9:[2信号が選ばれた場合の処理法5] 図10に示すように、同電位から集電する複数パンタグラフ系において、負荷のインダクンスが大きい場合には、一部のパンタグラフの集電不良が全てのパンタグラフ電流に影響を及ぼすことがある。この場合、負荷電流は一種の定電流特性を示すため、一部のパンタグラフでの電流減少→他のパンタグラフの電流増加、即ち、一部のパンタグラフ電流と、他のパンタグラフ電流とは、「逆位相」となるのが特徴である。この「逆位相」性を効果的に利用することができる。即ち、図11に示すように、2電流または2信号波形を単に引き算して逆位相成分(ノイズ)を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断する。図11では、検出された「ノイズ」はオンラインで処理するため、整流・ローパスフィルタで処理し、「閾値以上」+オンディレイタイマにより異常検出している。 【0031】本発明の請求項10は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通して得られた高周波成分の差から逆位相成分を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0032】請求項10:[2信号が選ばれた場合の処理法6] 図12に示すように、2電流または2信号波形をハイパスフィルタを通して引き算し、逆位相成分(高周波ノイズ)を求め、この逆位相成分が閾値以上で異常と判断する。この場合も、図12では、検出された「高周波ノイズ」はオンラインで処理するため、整流・ローパスフィルタで処理し、「閾値以上」+オンディレイタイマにより異常検出している。 【0033】本発明の請求項11は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通した後、それぞれの変化率を求め、これらが同程度で逆向きなら異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0034】請求項11:[2信号が選ばれた場合の処理法7] 例えば、図13に示すように、2電流または2信号波形をハイパスフィルタを通した後、微分した信号を互いに掛け合わせ、これが負であることをもって「逆向き」を検出し、また、これらの絶対値の差をとることで「同程度の大きさ」を検出する。 【0035】本発明の請求項12は、地上側のトロリ線から車上の複数のパンタグラフで集電する際の異常を検出する異常検出装置であり、同電位のトロリ線から集電する2電流または請求項1の2組の組み合わせ信号をハイパスフィルタを通して一方を反転し、他方との相関を求めて相関が強くなれば異常と判断するように構成されていることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0036】請求項12:[2信号が選ばれた場合の処理法8] 例えば、図14に示すように、2電流または2信号波形をハイパスフィルタを通して一方の高周波成分を反転し、他方の高周波成分との相関を求めて相関が強くなれば(あるいは負の相関が強くなれば)異常とする。相関の取り方には、相関係数、二乗誤差、絶対値誤差などがある。また、ハイパス処理した時系列信号を同一サンプル長だけ抽出し相関を取れば足りる。 【0037】本発明の請求項13は、請求項1から請求項12までのいずれか1つに記載された異常検出装置において、複数のN相給電システムからM組のパンタグラフで集電する場合、(N×M−(N−1))個の電流センサを用いることを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0038】請求項13:[多層給電の場合のセンサ数削減] 以上のような異常検出システムでは、各々のパンタグラフに電流センサが必要となり、特に多相給電の場合にコスト・信頼性の点で問題を抱えている。この欠点を克服するために、多相給電の場合、相ごとのトータル電流はほぼ等しい、という性質を利用する。即ち、例えば3相給電で各々の相に2個のパンタグラフがある場合、全部で6個の電流センサを必要とすることになるが、図4に示すように、2個のパンタグラフのアンバランスを検出するため各相に一つずつのセンサと、相によらない相トータルの電流値を求めるためのセンサ一つ、合計4個のセンサで検出することができる。一般に、N相給電システムからM組のパンタグラで集電する場合、(N×M−(N−1))個の電流センサでアンバランス検出システムを構築できる。 【0039】本発明の請求項14は、請求項1から請求項13までのいずれか1つに記載された異常検出装置において、同一の絶対位置で、複数のパンタグラフが同時に異常を検出し、あるいは複数回異常を検出した場合、トロリ線側の異常と判断することを特徴とする複数パンタグラフの異常検出装置である。 【0040】即ち、複数のパンタグラフが同位置の位置で異常となる場合、トロリ側の異常であると判断する。また、未然に異常検出されたときのトロリ上の絶対位置(番地)を記録し、同じ位置で複数回異常が繰り返されるならトロリ側の異常であると判断し、位置に依らず異常が発生しているならパンタグラフ側の異常と判断する。 【0041】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する一実施形態に基づいて詳細に説明する。この実施形態は、2組のパンタグラフで集電を行う場合の例である。図1は、直流集電電車に本発明に係る異常検出システムを適用した例である。図2は、3相交流集電電車に本発明に係る異常検出システムを適用した例である。 【0042】図1において、直流集電電車10は、車輪11により線路12上を走行可能とされ、軌道上部に張られたトロリ線1から2組のパンタグラフ2で並列に集電され、車上の各種負荷に給電される。本発明では、パンタグラフ毎に電流センサ3を設置し、これの読みを電流バランス異常判定装置4に取り込み、各種の信号処理と異常判定を行う。 【0043】電流バランス異常判定装置4では、例えば、2組のパンタグラフ2のトータル電流(I1 +I2 )と各パンタグラフの電流I1 ,I2 の%を計算し、電流のアンバランスがある値以上になった場合に当該パンタグラフを異常と判断する。この際、乗り継ぎ部における一瞬の電流アンバランスにより誤検出しないよう、電車10の移動速度に応じた遅延手段を挿入して検出する必要がある。 【0044】図2の3相交流集電電車の場合も、各相の2組のパンタグラフ2のそれぞれに電流センサ3を設置し、電流バランス異常判定装置4において、各相間での電流バランス、及び、R1とR2、S1とS2、T1とT2のアンバランスを計算することにより、当該パンタグラフの異常を検出できる。 【0045】図3は、3相交流の2組のパンタグラフによる集電システムにおける実効値測定電流センサによる実施例を示す。この例では、R2がパンタグラフの異常で欠相しており、R1とR2とのアンバランスが著しい。他の相でもアンバランスはあるが、R相に比べて程度は小さい。また、負荷の消費電力が変動しても、アンバランスの著しさは変わらない。そのため、負荷電流によらず、アンバランスによりパンタグラフあるいはトロリ線の異常を確実に検出することができる。また、電流バランスが変化した場合でも、相ごとのトータルの電流はほぼ同じであり、集電機能は損なわれておらず、集電機能不全が発生する以前に異常(集電機能不良)を検出できる。 【0046】以上のように、同電位・同相のトロリ線から集電している複数のパンタグラフにそれぞれ電流センサを設置することで、直流集電でも多相交流集電でも区別なく異常を検出することができる。また、電流センサは、瞬時値測定でも実効値測定でもよく、同タイプの検出であれば、適用することができる。 【0047】以上のような異常検出に加え、複数のパンタグラフが同位置の位置で異常となる場合、トロリ側の異常であると判断できる。また、未然に異常検出されたときのトロリ上の絶対位置(番地)を記録し、同じ位置で複数回異常が繰り返されるならトロリ側の異常、位置に依らず異常が発生しているならパンタグラフ側の異常、というように判断することができる。従来方法においては未然に異常が確実に検出されるという保証がないため、番地の記録とそれによる判断は信頼性が低かった。本発明の複数パンタグラフ電流のアンバランスを用いることで、番地の記録とそれによるトロリ・パンタグラフ異常の切り分け判断が現実的で意味あるものとなった。 【0048】検出装置としての電流センサ・異常判定装置は、パンタグラフ自体に設置する必要はなく、車内に収納できるため、高い信頼性で実装できる。 【0049】図4は、多層給電でセンサ数を削減できる例を示したものである。これは、3相2組の場合を示しており、IR1+IR2=IS1+IS2=IT1+IT2という相どうしのバランスの式から、(N−1)個のセンサを削減することができる。 【0050】なお、以上は、直流・交流の2個のパンタグラフの異常検出について説明したが、これに限らず、直流・交流の3個以上のパンタグラフの異常検出にも本発明を適用できることはいうまでもない。この場合、請求項1に記載したように多数の電流信号を2つのグループに分けて2つの組み合わせ信号を作成し、異常を検出し、請求項2〜4に記載したような異常信号同定方法で集電機能不良のパンタグラフを特定すればよい。また、各パンタグラフ別に設置する電流センサは、瞬時値、実効値、交流、直流のいずれでもよい。 【0051】 【発明の効果】(1) 同電位から集電する複数のパンタグラフの電流信号を検出し、このパンタグラフ電流同士のアンバランス等から異常を検出するため、実際の電気的異常を直接的に正確に判断できる。 (2) 電流バランスが変化した状態でもトータルの電流は不変であり、パンタグラフ電流同士のアンバランス等から異常を検出することで、集電機能不全が発生する以前に、電気的な異常を未然に検出できる。 (3) パンタグラフ電流同士のアンバランス等から異常を検出するため、ノイズの影響を受けない。 (4) 検出装置としての電流センサ・異常判定装置を車内に収納できるため、パンタグラフ装置や検出装置の信頼性が高い。 (5) 電流センサ・異常判定装置から検出装置を構成でき、また、多相交流では電流センサの削減も可能となり、比較的簡易で安価な検出装置とすることができる。 (6) トロリ側の異常かパンタグラフ側の異常かを判断できる。 (7) 2つの組み合わせ信号を作成して異常を判定することにより、同電位から集電するパンタグラフが多数(M≧3)ある場合でも、異常の発生したパンタグラフを容易に確実に検出することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
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| 【出願日】 |
平成14年4月19日(2002.4.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070091 【弁理士】 【氏名又は名称】久門 知 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−319505(P2003−319505A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月7日(2003.11.7) |
| 【出願番号】 |
特願2002−117689(P2002−117689) |
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