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【発明の名称】 電力制御装置
【発明者】 【氏名】杉浦 雅宣
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】辻井 啓
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】呉竹 健
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】花田 秀人
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】河合 高志
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】駆動力源が停止する毎に、駆動力源の停止タイミングと、補機装置の機能変化タイミングとの時間的な関係が不規則となること、を抑制できる電力制御装置を提供する。

【解決手段】駆動力源の動力により駆動される発電機と、発電機から出力される電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置から出力される電力により機能する機能装置とを有する電力制御装置において、駆動力源の出力が変化するタイミングと、駆動力源の出力の変化にともない、蓄電装置から機能装置に供給される電力が変化して、その機能装置の機能が変化するタイミングとの時間的な対応関係が、蓄電装置の電力量に応じて変化することを抑制する対応関係制御手段(ステップS1、ステップS2、ステップS3)を備えていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発電機から出力される電力を、蓄電装置を経由させて機能装置に供給する電力制御装置において、前記発電機を駆動する動力装置の出力が変化して、前記蓄電装置から前記機能装置に供給される電力が変化する場合に、前記動力装置の出力が変化するタイミングと、前記機能装置の機能が変化するタイミングとの時間的な対応関係が、前記蓄電装置の電力量に応じて変化することを抑制する対応関係制御手段を備えていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項2】 車両の駆動力源の動力により駆動される第1の発電機と、この第1の発電機から出力される電力を蓄電する第1の蓄電装置と、前記駆動力源と車輪との間に形成されている動力伝達経路の動力により駆動される第2の発電機と、この第2の発電機から出力される電力を蓄電する第2の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置から供給される電力により機能する機能装置とを有し、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に電力を供給する電力制御装置において、前記駆動力源の出力を判断する出力判断手段と、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に供給される電力を、前記出力判断手段の判断結果に基づいて制御する電力制御手段とを備えていることを特徴とする電力制御装置。
【請求項3】 前記第1の蓄電装置がバッテリであり、前記第2の蓄電装置がキャパシタであることを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【請求項4】 前記第2の発電機は、車両の運動エネルギを電力に変換し、かつ、その電力を前記第2の蓄電装置に充電する機能と、前記第2の蓄電装置の電力により電動機として駆動され、そのトルクを前記車輪に伝達する機能とを備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の電力制御装置。
【請求項5】 前記機能装置は照明装置を含むことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の電力制御装置。
【請求項6】 前記出力制御手段により、前記駆動力源が停止されることが判断された場合に、前記電力制御手段は、前記第2の蓄電装置の電力に関わりなく、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に供給する電力の制御を同じにする機能を、更に備えていることを特徴とする請求項2に記載の電力制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発電機により発生される電力を機能装置に供給する電力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンから車輪に至る動力伝達経路にモータ・ジェネレータを設けるとともに、そのモータ・ジェネレータに蓄電装置を接続した車両が知られている。この車両においては、蓄電装置の電力をモータ・ジェネレータに供給して、モータ・ジェネレータを電動機として駆動させ、そのトルクを車輪に伝達することができる。これに対して、車両の惰力走行時には車輪の運動エネルギをモータ・ジェネレータに伝達してモータ・ジェネレータを発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置に充電することができる。一方、車両には、補機装置、例えば、照明装置、ワイパー、エアコンなどが設けられており、この補機装置に供給する電力は蓄電装置に充電されている。ところで、モータ・ジェネレータとの間で電力の授受を行なう蓄電装置と、補機装置に電力を供給する蓄電装置とでは、設定電圧が異なる。
【0003】このように、複数の蓄電装置および補機装置を有する車両の一例が、特開2000−156919号公報に記載されている。この公報においては、各蓄電装置同士の間にDCDCコンバータを設けて、蓄電装置同士の間で電力の授受をおこなう場合に、DCDCコンバータにより電圧を変換している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報には記載されていないが、エンジンの動力により駆動されるオルタネータを設けるとともに、オルタネータにより発生した電力を、補機装置用の蓄電装置に充電することが知られている。このオルタネータはエンジンの動力により駆動されるため、エンジンが停止したときに、補機装置が動作していると、補機装置用の蓄電装置(第1の蓄電装置)の電力が低下する。そこで、第1の蓄電装置の電力が低下することを防止するために、モータ・ジェネレータに接続されている蓄電装置(第2の蓄電装置)の電力を、第1の蓄電装置に供給することも考えられる。すると、第2の蓄電装置の電力が低下して、この第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給される電力が低下し、補機装置の機能も低下する。
【0005】しかしながら、エンジンが停止されるタイミング毎に、第2の蓄電装置の電力が同じであるとは限らないので、エンジンの停止タイミングと、補機装置の機能が低下するタイミングとの時間的な対応関係が不規則となる。その結果、ドライバーが違和感を持つ可能性があった。
【0006】この発明は上記課題を解決するためのもので、駆動力源が停止する毎に、駆動力源の停止タイミングと、補機装置の機能変化タイミングとの時間的な関係が不規則となることを抑制できる電力制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、発電機から出力される電力を、蓄電装置を経由させて機能装置に供給する電力制御装置において、前記発電機を駆動する動力装置の出力が変化して、前記蓄電装置から前記機能装置に供給される電力が変化する場合に、前記動力装置の出力が変化するタイミングと、前記機能装置の機能が変化するタイミングとの時間的な対応関係が、前記蓄電装置の電力量に応じて変化することを抑制する対応関係制御手段を備えていることを特徴とするものである。
【0008】請求項1の発明によれば、駆動力源の出力変化が複数回発生する場合に、駆動力源の出力変化が発生する毎に、駆動力源の出力変化タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとの時間的な対応関係が不規則となることを抑制できる。言い換えれば、駆動力源の出力変化が発生する毎に、駆動力源の出力変化タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとの時間的な差の変化幅が、所定範囲内に納められる。
【0009】請求項2の発明は、車両の駆動力源の動力により駆動される第1の発電機と、この第1の発電機から出力される電力を蓄電する第1の蓄電装置と、前記駆動力源と車輪との間に形成されている動力伝達経路の動力により駆動される第2の発電機と、この第2の発電機から出力される電力を蓄電する第2の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置から供給される電力により機能する機能装置とを有し、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に電力を供給する電力制御装置において、前記駆動力源の出力を判断する出力判断手段と、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に供給される電力を、前記出力判断手段の判断結果に基づいて制御する電力制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0010】請求項2の発明によれば、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給される電力は、駆動力源の出力の判断結果に基づいて制御される。このため、例えば、駆動力源の運転と停止とが、交互に繰り返されるされる場合は、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給される電力が制御される。したがって、駆動力源の運転と停止との繰り返し毎に、駆動力源の停止タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとの時間的な対応関係は、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、規則的に制御される。
【0011】請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記第1の蓄電装置がバッテリであり、前記第2の蓄電装置がキャパシタであることを特徴とするものである。
【0012】請求項3の発明によれば、第1の蓄電装置がバッテリであり、第2の蓄電装置がキャパシタであるとともに、請求項2の発明と同様の作用が生じる。
【0013】請求項4の発明は、請求項2または3の構成に加えて、前記第2の発電機は、車両の運動エネルギを電力に変換し、かつ、その電力を前記第2の蓄電装置に充電する機能と、前記第2の蓄電装置の電力により電動機として駆動され、そのトルクを前記車輪に伝達する機能とを備えていることを特徴とするものである。
【0014】請求項4の発明によれば、請求項2または3の発明と同様の作用が生じる他に、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給する電力が抑制されれば、第2の蓄電装置から第2の発電機に供給される電力の低下が抑制される。したがって、車両の駆動力不足を抑制できる。
【0015】請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの構成に加えて、前記機能装置は照明装置を含むことを特徴とするものである。
【0016】請求項5の発明によれば、請求項2ないし4のいずれかの発明と同様の作用が生じる他に、駆動力源の出力変化タイミングと、照明装置の機能の低下タイミングとの時間的な対応関係が、規則的に制御される。
【0017】請求項6の発明は、請求項2の構成に加えて、前記出力制御手段により、前記駆動力源が停止されることが判断された場合に、前記電力制御手段は、前記第2の蓄電装置の電力に関わりなく、前記第2の蓄電装置から前記第1の蓄電装置に供給する電力の制御を同じにする機能を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0018】請求項6の発明によれば、請求項2の発明と同様の作用が生じる他に、駆動力源が停止される場合には、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給する電力の制御が同じにされる。
【0019】
【発明の実施の形態】(第1の実施例)つぎに、この発明の第1の実施例を説明する。図2は、この発明を適用した車両1のパワートレーン、電気系統、制御系統の構成を示す概念図である。まず、車両1のパワートレーンの構成を説明する。車両1は、駆動力源としてエンジン2およびモータ・ジェネレータ3を有している。エンジン2としては、内燃機関、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。エンジン2の出力側にはトランスミッション4が設けられており、トランスミッション4の回転部材5と車輪6とが動力伝達可能に連結されている。また、前記モータ・ジェネレータ3と回転部材5とが動力伝達可能に連結されている。モータ・ジェネレータ3は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有している。
【0020】つぎに、車両1の電気系統について説明する。エンジン2のクランクシャフト(図示せず)には、伝動装置7を介してオルタネータ8が接続されている。このオルタネータ8にはバッテリ(例えば鉛バッテリ)9が接続されているとともに、バッテリ9の電力を補機装置10に供給する回路が形成されている。補機装置10としては、照明装置、ワイパ、空調装置などが挙げられる、バッテリ9は電気エネルギを化学エネルギに変換して貯蔵するシステムである。また、バッテリ9以外の蓄電装置としてキャパシタ(コンデンサ)11が設けられており、モータ・ジェネレータ3により発電された電力を、キャパシタ11に充電することができる。
【0021】キャパシタ11は、導電部材(金属板、活性炭など)同士の間に絶縁物を介在させて構成されており、各導電部材に電荷が蓄えられる。ここで、バッテリ9の電圧は12Vであり、キャパシタの電圧は36Vである。このように、バッテリ9とキャパシタ11とを比較すると、電力の貯蔵原理および受け入れ電力などの特性が異なる。さらに、キャパシタ11とバッテリ9との間には回路が形成されており、その回路にはDC/DCコンバータ12が配置されている。したがって、キャパシタ1とバッテリ9との間で、電圧を変換して電力の授受をおこなうことができる。
【0022】さらに、車両1の全体を制御する制御系統について説明する。電子制御装置(ECU)13が設けられており、電子制御装置13により、加速要求および制動要求、車速、トランスミッション4のシフトポジション、イグニッションキーの操作状態、エコラン用メインスイッチの操作状態、バッテリ9の電圧・充放電電流、キャパシタ11の電圧などが判断される。また、電子制御装置13により、エンジン2の出力、モータ・ジェネレータ3の出力、オルタネータ8の発電量、DC/DCコンバータ12の出力、エンジン2をクランキングするスタータモータ14などが制御される。
【0023】つぎに、エンジン2の始動(運転)・停止制御について説明する。まず、エコラン用メインスイッチがオフされている場合は、イグニッションキーの操作に基づいて、エンジン1が始動・停止される。例えば、イグニッションキーがオン位置を経由してスタート位置に操作された場合は、スタータモータ14によりエンジン2がクランキングされる。ここで、エンジン2がガソリンエンジンであれば、吸入空気量、燃料噴射量、点火時期などが制御されて、エンジン2が自律回転する。なお、イグニッションキーをスタート位置に保持する操作力が解除された場合は、イグニッションキーは自動的にオン位置に復帰する。これに対して、エンジン2が運転されている状態から、イグニッションキーがオン位置からアクセサリ位置に切り替えられた場合は、燃料噴射制御および点火制御が停止されてエンジン2が停止する。
【0024】これに対して、エコラン用メインスイッチがオンされている場合は、イグニッションキーの操作状態以外の条件に基づいて、エンジン2の始動・停止が制御される。エンジン2が運転されている状態で、所定の停止条件が成立した場合は、エンジン2が停止される。所定の停止条件は、例えば、加速要求がなくなったこと、制動要求が発生したこと、所定のシフトポジションにあること、車速が所定値以下であること、などの事項が、全て検知された場合に成立する。また所定の停止条件が成立してエンジン2が停止している状態で、前記事項のうちの少なくとも1つが解消された場合(始動条件成立)は、エンジン2が始動される。このように、エコラン用メインスイッチがオンされて、停止条件および始動条件に基づいてエンジン2の停止・始動をおこなう制御を、便宜上、エコラン制御(またはアイドルストップ制御)と呼ぶ。
【0025】上記のようにしてエンジン2が駆動された場合は、エンジントルクがトランスミッション4を経由して車輪6に伝達されて、駆動力が発生する。また、キャパシタ11の電力がモータ・ジェネレータ3に供給されて、モータ・ジェネレータ3が電動機として駆動された場合は、モータ・ジェネレータ3のトルクが車輪6に伝達される。このように、車両1は、エンジン2またはモータ・ジェネレータ3のうちの少なくとも一方を駆動力源とすることができる、いわゆるハイブリッド車である。なお、エンジントルクの一部をモータ・ジェネレータ3に伝達して、そのトルクによりモータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることもできる。さらに、エンジントルクの一部をオルタネータ8に伝達して発電させ、その電力をバッテリ9に充電することもできる。
【0026】さらに、車両1の減速時(惰力走行時)には、車輪6の運動エネルギをモータ・ジェネレータ3に伝達してモータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることができる。また、車輪6の運動エネルギをエンジン2を経由してオルタネータ8に伝達し、オルタネータ8で発生した電力をバッテリ9に蓄電することもできる。
【0027】つぎに、エコラン制御に関連する制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、エンジン2が運転されている状態において、キャパシタ11の電力(回生エネルギー)が所定量以上であるか否かが判断される(ステップS1)。すなわち、キャパシタ11に、補機装置10で使用できる程度の電力が貯蔵されているか否かを判断している。このステップS1で肯定的に判断された場合は、エコラン用メインスイッチがオンされ、かつ、現在、停止条件が成立しているか否かが判断される(ステップS2)。
【0028】このステップS2で肯定的に判断された場合は、回生エネルギー供給制御■を実行し(ステップS3)、この制御ルーチンを終了する。回生エネルギー供給制御■では、キャパシタ11の電力を、DC/DCコンバータで降圧してバッテリ9に供給する制御が停止される。このため、バッテリ9の電力が補機装置10で使用されて、バッテリ9は放電状態になる。
【0029】前記ステップS2で否定的に判断された場合は、現時点でエコラン制御によりエンジン2が停止されているか否かが判断される(ステップS4)。このステップS4で肯定的に判断された場合は、バッテリ9の電圧が安定したか否かが判断される(ステップS5)。例えば、バッテリ9の電圧の低下が収まり、かつ、バッテリ電圧が所定値となった場合、または、エコラン制御が開始され、かつ、エンジン2が停止した時点から、所定時間αsecが経過した場合は、ステップS5で肯定的に判断されてステップS6に進む。ステップS6では回生エネルギー供給制御■をおこない、この制御ルーチンを終了する。
【0030】回生エネルギー供給制御■において、キャパシタ11からバッテリ9に供給される電力が、バッテリ9から補機装置10に供給される電力(バッテリ9からの持ち出し電力分)と同じになるように制御される。例えば、バッテリ9の端子の電流値をセンサで検知することができる場合は、バッテリ9における充放電電流が“零アンペア”となるように制御すればよい。これに対して、このようなセンサがない場合は、キャパシタ11の電力をバッテリ9に供給し始めた時点の電圧を目標電圧として、バッテリ9の電圧が一定となるように制御すればよい。
【0031】一方、前記ステップS5で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了し、ステップS4で否定的に判断された場合は、ステップS7に進む。このステップS7では回生エネルギー供給制御■をおこない、この制御ルーチンを終了する。回生エネルギー供給制御■では、キャパシタ11の電力をバッテリ9に供給して、バッテリ9が満充電となるように制御される。さらに、前記ステップS1で否定的に判断された場合は、ステップS3に進む。
【0032】図1に示す制御例に対応するタイムチャートの一例を図3に示す。時刻t1以前においては、エンジン2が運転状態にあり、かつ、DC/DCコンバータ12の出力電流が所定値に制御され、かつ、バッテリ9が充電状態にあり、かつ、バッテリ9の電圧が所定電圧に制御されている。ついで、時刻t1になると、エコラン制御によりエンジン2が停止され、かつ、DC/DCコンバータ12の出力電流が低下して零に制御される。その結果、バッテリ9は充電状態から放電状態に変化し、バッテリ9の電圧が低下している。
【0033】そして、時刻t1から所定時間が経過して時刻t2になり、バッテリ9の電圧が安定した時点でDC/DCコンバータ12の出力電流が高められて、バッテリ9の電圧が略一定に制御され、かつ、バッテリ9の充放電電流が“零アンペア”に維持されている。ここで、負荷印加電圧が低いため、消費電力が小さく、時刻t2以後に、キャパシタ11からバッテリ9に供給する電気エネルギーは、時刻t1以前よりも低い。そして、キャパシタ11の電力が低下する時刻t3以降は、DC/DCコンバータ12の出力電流が低下し、かつ、バッテリ9の電圧も更に低下する。そして、時刻t4で始動条件が成立してエンジン2が始動されると、オルタネータ8による発電、およびバッテリ9に対する充電が開始され、バッテリ9の電圧が上昇する。
【0034】上記のように、この実施例によれば、運転されているエンジン2を停止する場合は、キャパシタ11の電力はバッテリ9には供給されず、エンジン2の停止直後に、バッテリ9の電圧が低下する。したがって、エンジン2の運転と停止とが、交互に複数回繰り返される場合に、エンジン2を停止する毎に、エンジン2の停止タイミングと、補機装置10の機能変化タイミングとの時間的な対応関係が不規則となることを抑制できる。言い換えれば、エンジン2の停止タイミングと、補機装置10の機能変化タイミングとの時間的な差の変化幅を、所定範囲内に納めることができる。また、補機装置10が照明装置であれば、エンジン2を停止する毎に、エンジン2の停止タイミングと、夜間に点灯する照明装置の減光タイミングとの対応関係が同じになるため、ドライバーが違和感を持つことを回避できる。
【0035】また、時刻t3と時刻t4との間でキャパシタ11からバッテリ9に電力が供給されなくなるため、バッテリ9の電圧が低下するが、時刻t1から時刻t2の間に第1回目の電圧低下が発生しているため、時刻t3以降に発生する第2回目の電圧低下は少なく、補機装置10の機能変化にドライバーが違和感を持つことはない。
【0036】さらに、エンジン2を停止する場合は、キャパシタ11の電力残量に関わりなく、キャパシタ11からバッテリ9に電力を供給する制御が停止される。このため、その後に、キャパシタ11からバッテリ9に電力の供給を開始した場合でも、エンジン2を停止してからキャパシタ11の電力がなくなるまでの時間を可及的に長くすることができる。したがって、エンジン2の停止中に車両1を走行させる要求が発生した場合に、キャパシタ11の電力をモータ・ジェネレータ3に供給して駆動力を発生させることができる。
【0037】ここで、比較例の制御を図4のタイムチャートに基づいて説明する。この比較例の制御とは、エンジンを停止した後も、キャパシタからバッテリに電力を供給する制御を意味している。なお、比較例の制御も、図2のシステムでおこなうものと仮定する。図4のタイムチャートにおいては、時刻t1でエンジン2が停止されても、時刻t1以後におけるDC/DCコンバータの出力電流は、時刻t1以前と同じである。つまり、時刻t1以降もバッテリに対する充電が継続され、時刻t1以降のバッテリ電圧も、時刻t1以前と同じとなっている。
【0038】そして、時刻t2でDC/DCコンバータの出力電流が実線で示すように低下すると、時刻t2からバッテリが充電状態から放電状態に変化し、時刻t2からバッテリの電圧も急激に低下する。その後、時刻t3を経て時刻t4になり、エンジンが始動されて、オルタネータによる発電された電力がバッテリに充電されて、バッテリの電圧が上昇している。この比較例においては、エンジンが停止されるか否かに関わりなく、キャパシタの電力残量に応じて、DC/DCコンバータの出力電流が成り行きで変化する。
【0039】例えば、破線で示すように、時刻t1でDC/DCコンバータの出力電流が低下した場合は、時刻t1でバッテリが充電状態から放電状態に変化し、かつ、バッテリ電圧が急激に低下する。これに対して、2点鎖線で示すように時刻t3でDC/DCコンバータの出力電流が低下した場合は、時刻t1でバッテリが充電状態から放電状態に変化し、かつ、バッテリ電圧が急激に低下する。このように、エンジンの停止後も、キャパシタからバッテリに電力を供給する場合は、エンジン停止時におけるキャパシタの電力残量に対応して、その後に発生するバッテリ電圧の低下タイミングが成り行きで変化する。このため、比較例の制御をおこなった場合は、エンジンを停止する毎に、エンジンの停止タイミングと、補機装置の機能が低下するタイミングとの時間的な関係が不規則的に変化する。したがって、ドライバーが違和感を持つ。
【0040】ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1、ステップS2、ステップS3がこの発明の対応関係制御手段に相当し、ステップS2がこの発明の出力判断手段に相当し、ステップS3がこの発明の電力制御手段に相当する。また、この実施例で述べた事項と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、エンジン2がこの発明の駆動力源に相当し、オルタネータ8が、この発明の発電機および第1の発電機に相当し、モータ・ジェネレータ3がこの発明の第2の発電機に相当し、バッテリ9が、この発明の蓄電装置および第1の蓄電装置に相当し、補機装置10がこの発明の機能装置に相当する。
【0041】また、エンジン2の回転数およびトルクが、この発明の駆動力源の出力に相当し、駆動力源の出力変化の具体例として、“運転されているエンジンを停止すること”が挙げられている。また、この発明の“車速が所定値以下”の一例として、“車速零”が挙げられ、この発明の“第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給する電力の制御を同じにする機能”の一例として、“DC/DCコンバータ12の出力電流を零にすること”が挙げられ、この発明の機能装置の機能の一例として、照明装置の光量が挙げられている。
【0042】(第2の実施例)ところで、エコラン制御の停止条件が成立した時点で、即座にエンジン2を停止すると、オルタネータ8の発電が停止されて、バッテリ9の電圧が急激に低下する可能性がある。この場合、補機装置10が照明装置であれば、その減光が激しく、ドライバーが違和感を持つ。このような不都合を解消するために、停止条件が成立してから、エンジン2を停止するまでの停止開始時間と、バッテリ9の電圧を制御するために必要な所定時間αsecとを比較し、停止開始時間の方が所定時間よりも短い場合に、前記ステップS6の制御をおこなう時期を、推定により判断するような制御をおこなうことも考えられる。しかしながら、このような制御をおこなった場合は、前記推定に誤差が生じて、前記違和感を充分に解消できない場合がある。このような場合に対処する制御例が、この第2の実施例である。
【0043】この第2の実施例を、図5のタイムチャートに基づいて説明する。まず、時刻t1以前においては、車速は一定であり、かつ、オルタネータ8の発電量は零であり、DC/DCコンバータ12の出力も一定であり、バッテリ9の電圧も一定である。すなわち、キャパシタ11からバッテリ9に供給される電力により、バッテリ9の電圧が一定に制御されている。
【0044】ついで、時刻t1以降に車速が低下すると、DC/DCコンバータ12の出力が零となり、オルタネータ8による発電が開始される。そして、時刻t2で車速が零になり、かつ、エンジン2が停止すると、オルタネータ8による発電量が零となる一方、DC/DCコンバータ12の出力が高められる。その後、DC/DCコンバータ12の出力が低下される。したがって、時刻t2以降はバッテリ9の電圧も実線で示すように徐々に低下する。そして、時刻t3でDC/DCコンバータ12の出力が零となっている。
【0045】この第2実施例では、補機装置10が照明装置であれば、その照明装置が点灯している場合に、停止条件が成立してエンジン2を停止し、かつ、その後にスタータモータ14によりエンジン2を始動する場合を想定して、スタータモータ14に供給する電力と、時刻t2から時刻t3の間にキャパシタ11からバッテリ9に供給する電力とに相当する分の電力を、キャパシタ11に残しておく必要がある。なお、照明装置が消灯されている場合は、スタータモータ14を駆動する分の電力をキャパシタ11に残し、それ以上の余裕電力がキャパシタ11にある場合は、その余裕電力を随時バッテリ9に供給する。
【0046】これに対して、比較例の制御をおこなった場合について説明する。比較例の制御とは、時刻t2以降も、DC/DCコンバータの出力を零に維持する制御を意味している。この第2の比較例を実行した場合は、バッテリの電圧が破線で示すように急激に低下する。
【0047】このように、第2の実施例によれば、車両1が停止し、エコラン制御によりエンジン2を停止する場合でも、オルタネータ8の発電停止と同時に、所定時間DC/DCコンバータ12の機能によりバッテリ9の電圧を制御すれば、そのバッテリ9の電圧が急激に低下することを抑制でき、ドライバーが違和感を持つことを、確実に回避できる。
【0048】(その他の制御例)この制御例は、図2に示す要素のうち、モータ・ジェネレータおよびキャパシタおよびDC/DCコンバータを備えていない車両における制御である。このような車両において、前述した停止条件が成立した時点で即座にエンジンを停止させると、オルタネータの発電がおこなわれなくなり、バッテリの電圧が急激に低下する。その結果、点灯している照明装置が急激に減光し、ドライバーが違和感を持つ可能性がある。この制御例は、このような不都合に対処する制御例であり、停止条件が成立した時点から、所定時間が経過したに後にエンジンを停止する第1の場合と、これ以外の第2の場合とに分けて制御を説明する。
【0049】(第1の場合)第1の場合に相当する制御例を、図6のフローチャートに基づいて説明する。まず、エンジンが運転され、かつ、照明装置が点灯している場合に、前述の停止条件が成立したか否かが判断される(ステップS31)。このステップS31で肯定的に判断された場合は、停止条件が成立した時点からの経過時間を計測するカウンターscecoex が、所定時間α未満であるか否かが判断される(ステップS32)。このステップS32で肯定的に判断された場合は、オルタネータの発電によるバッテリの目標電圧を徐々に低下させる制御をおこない(ステップS33)、この制御ルーチンを終了する。
【0050】このステップS33の制御を具体的に説明する。図7のタイムチャートに示すように、時刻t1から車速が低下し始め、時刻t4で車速が零となった時点で、停止条件が成立する。このとき、時刻t4から所定時間αが経過し、時刻t5でエンジンを停止する制御であれば、時刻t4から時刻t5に至る間に、ステップS33の制御がおこなわれる。例えば、実線で示すように時刻t4からオルタネータの発電量を徐々に低下させれば、バッテリの電圧を実線で示すように徐々に低下させることができる。ここで、バッテリの目標電圧Vtgの算出方法としては、例えば、Vtg=Vtgold ×β ・・・(式1)
またはVtg=Vtgold −γ ・・・(式2)
の2方法が挙げられる。
【0051】上記各式において、Vtgold は目標電圧の前回値であり、βは定数(β<1)であり、γは定数(γ>零)である。なお、ステップS32で否定的に判断された場合は、この制御ルーチンを終了する。また、前記ステップS31で否定的に判断された場合は、カウンターscecoex を零にリセットし(ステップS34)、この制御ルーチンを終了する。このように、照明装置の点灯中にエンジンを停止する場合に、図6の制御例を実行すれば、バッテリの電圧が徐々に低下するため、照明装置が徐々に減光し、ドライバーの違和感を解消できる。
【0052】(第2の場合)つぎに、停止条件が成立すると同時にエンジンを停止する場合、または停止条件が成立してから、エンジンを停止するまでの時間α′が、所定時間α未満となるように制御される場合の制御例を、図7のタイムチャートに基づいて説明する。
【0053】(制御例1)現在の時刻および車速から、車速が零となる時刻t4を推定し、ある時刻から時刻t4までの時間が、バッテリの電圧制御に必要な所定時間α(α−α′)になった時刻で、バッテリの目標電圧を徐々に低下させる制御をおこなう。例えば、時刻t4よりも所定時間α前の時刻t3になった時点で、破線で示すようにオルタネータの発電量を低下させると、破線で示すようにバッテリ電圧を徐々に低下することができる。
【0054】(制御例2)この制御例においては、バッテリの目標電圧を徐々に低下させる車速を、予め設定、例えば、車速V1に設定しておき、時刻t1以後、例えば時刻t2において、実際の車速が車速V1以下になった場合に、実際の車速の変化割合に応じて、バッテリの目標電圧を2点鎖線で示すように徐々に低下させる制御が実行される。
【0055】なお、図7のタイムチャートにおいて、時刻t5でエンジンを停止すると同時に、3点鎖線で示すようにオルタネータの発電を停止した場合は、時刻t5からバッテリ電圧が3点鎖線で示すように急激に低下し、ドライバーが違和感を持つ。
【0056】(制御例3)この制御例は、照明装置が点灯しているか否かにより、エコラン制御の内容を異ならせるものである。すなわち、照明装置が点灯している場合は、停止条件が成立してから所定時間αが経過した時点で、エンジンを停止させる。所定時間が経過するまでの間に、バッテリの電圧を徐々に低下する。これに対して、照明装置が点灯していない場合は、停止条件が成立した時点で、エンジンを停止させる。
【0057】このように、制御例1ないし制御例3を実行した場合も、照明装置の減光が徐々におこなわれて、ドライバーが違和感を持つことを回避できる。また、これらの各制御例において、バッテリの目標電圧を徐々に低下させている途中で、加速要求などが生じて始動条件が成立してエンジンを始動する場合は、オルタネータの発電量を徐々に増加して、バッテリの目標電圧を徐々に上昇させる。なお、図3、図4、図5、図7の各タイムチャートにおいて、各時刻同士の対応関係はない。
【0058】また、特許請求の範囲に記載された“対応関係制御手段”を“対応関係制御器”または“対応関係制御用コントローラ”と読み替え、“出力判断手段”を“出力判断器”または“出力判断用コントローラ”と読み替え、“電力制御手段”を“電力制御器”または“電力制御用コントローラ”と読み替えることもできる。この場合、電子制御装置13が、対応関係制御器、対応関係制御用コントローラ、出力判断器、出力判断用コントローラ、電力制御器、電力制御用コントローラに相当する。さらに、特許請求の範囲に記載された“対応関係制御手段”を“対応関係制御ステップ”と読み替え、“出力判断手段”を“出力判断ステップ”と読み替え、“電力制御手段”を“電力制御ステップ”と読み替え、電力制御装置を電力制御方法と読み替えることもできる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、駆動力源の出力変化が複数回繰り返される場合でも、駆動力源の出力変化が発生する度に、駆動力源の出力変化タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとの時間的な対応関係が不規則となることを抑制できる。したがって、例えば、駆動力源の運転と停止とを複数回繰り返す場合に、駆動力源を停止する毎に、駆動力源の停止タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとが、常に同じタイミングで発生することになり、ドライバーが違和感を持つことを回避できる。
【0060】請求項2の発明によれば、駆動力源の出力変化が複数回繰り返される場合でも、例えば、駆動力源を停止する毎に、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給される電力が制御される。したがって、駆動力源を停止する毎に、駆動力源の停止タイミングと、機能装置の機能変化タイミングとの時間的な対応関係を、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、規則的に制御することができ、ドライバーの違和感を解消できる。
【0061】請求項3の発明によれば、第1の蓄電装置がバッテリであり、第2の蓄電装置がキャパシタであるとともに、請求項2の発明と同様の効果を得られる。
【0062】請求項4の発明によれば、請求項2または3の発明と同様の効果を得られる他に、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給する電力を抑制すれば、第2の蓄電装置から第2の発電機に供給される電力の低下を抑制できる。したがって、車両の駆動力不足を抑制できる。
【0063】請求項5の発明によれば、請求項2ないし4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、駆動力源の出力変化が複数回発生した場合でも、駆動力源の出力変化毎に、駆動力源の出力変化タイミングと、照明装置の機能の低下タイミングとの時間的な対応関係を、規則的に制御できる。
【0064】請求項6の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得られる他に、駆動力源が停止する毎に、第2の蓄電装置の電力に関わりなく、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に供給する電力が同じとなる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年4月22日(2002.4.22)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2003−319502(P2003−319502A)
【公開日】 平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願番号】 特願2002−119776(P2002−119776)