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【発明の名称】 作業用車両の駆動制御装置
【発明者】 【氏名】糟谷 博嗣
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】落合 正巳
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】榑沼 透
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】山下 誠二
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】大平 修司
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【氏名】江川 栄治
【住所又は居所】茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株式会社土浦工場内

【要約】 【課題】作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、走行駆動方式を電動駆動とエンジン駆動とに適宜切り換え可能とし、走行条件が変わってもエンジンの動力を効率良く使用することができるようにする。

【解決手段】走行指示切換装置30が後進位置にあるとき、或いは走行指示切換装置30が前進位置にあり、動作モード設定装置50が作業位置にあるときは、クラッチ20をOFF、クラッチ21をONにし、電動モータ5の動力により作業用車両を前進駆動させ、走行指示切換装置30が前進位置にあり、動作モード設定装置50が走行位置にあるときは、回転センサ60の検出値が低速であるとクラッチ20をOFF、クラッチ21をONにして電動モータ5の動力により作業用車両を前進駆動させ、回転センサ60の検出値が高速であるとクラッチ20をON、クラッチ21をOFFにし、エンジン1の動力により作業用車両を前進駆動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、前記第1動力伝達機構と前記第2動力伝達機構を選択的に動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項2】エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、前記作業装置を駆動することを主とする第1モードと、前記走行装置を駆動することを主とする第2モードのいずれかを選択可能なモード設定装置と、前記モード設定手段が前記第1モードを選択しているときは前記第1動力伝達機構を動作させ、前記モード設定手段が前記第2モードを選択しているときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項3】エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、作業用車両の速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段により検出した作業用車両の速度が低速のときは前記第1動力伝達機構を動作させ、作業用車両の速度が高速のときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項4】エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、低速走行と高速走行の何れにするかを指示する第1走行指示手段と、前記第1走行指示手段が低速走行を指示しているときは前記第1動力伝達機構を動作させ、前記第1走行指示手段が高速走行を指示しているときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項5】請求項2記載の作業用車両の駆動制御装置において、作業用車両の速度を検出する速度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記モード設定手段が前記第1モードを選択しているときは前記作業用車両の速度に係わらず前記第1動力伝達機構を動作させ、前記モード設定手段が前記第2モードを選択しているときは、前記速度検出手段により検出した作業用車両の速度が低速のときは前記第1動力伝達機構を動作させ、作業用車両の速度が高速のときに前記第2動力伝達機構を動作させることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項6】請求項2〜4のいずれか1項記載の作業用車両の駆動制御装置において、前進走行と後進走行の何れにするかを指示する第2走行指示手段を更に備え、前記制御手段は、前記第2走行指示手段が前進走行を指示しているときは前記第1動力伝達機構と第2動力伝達機構を選択的に動作させ、前記第2走行指示手段が後進走行を指示しているときは、前記第1動力伝達機構を動作させることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【請求項7】請求項1〜4のいずれか1項記載の作業用車両の駆動制御装置において、前記第1動力伝達機構は低速設定のギヤ比を有する歯車機構を介して前記電動モータに接続され、前記第2動力伝達手段は高速設定のギヤ比を有する歯車機構を介して前記エンジンに接続されていることを特徴とする作業用車両の駆動制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホイールローダ等の作業用車両の駆動制御装置に係わり、特に、油圧駆動の作業装置と電動駆動の走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ホイールローダ等の作業用車両の走行装置としては、一般的に油圧駆動方式が採用されている。しかし、近年、例えば特開平11−158937号公報に記載のように電動駆動方式が検討されている。この走行装置は、エンジンの駆動によって発電機と油圧ポンプが駆動され、発電機によって発電した電力により電動モータが駆動され、この電動モータの駆動により車体を走行駆動させる方式である。
【0003】また、このような駆動方式において用いる電動モータは、通常、交流式の電動モータであるため、インバータを必要とする。また、無走行時等の軽負荷時に余った電力を蓄え、走行時等の重負荷時に利用するため電力を蓄えるバッテリも必要となる。
【0004】図7はそのような電動駆動システムを模式化して示すものである。
【0005】図7において、エンジン201の駆動により発電機202が駆動され、電力を発生する。発電機202により発生した電力は、インバータ/コンバータ203によりバッテリ204に蓄えられる制御とバッテリ204の電力により電動モータ205を駆動させる制御が行われ、電動モータ205が駆動される。この電動モータ205の駆動によりミッション206が駆動され、車輪207,207が駆動し、車体が前・後進動作する。
【0006】以上の構成からなる電動モータによる駆動方式では、車両減速時において、電動モータ205を発電機として作動させ、車両減速時の運動エネルギーを電力として回収し、インバータ/コンバータ203によりバッテリ204に蓄える。回収した電力は、走行駆動時に電動モータ205を騒動させるために使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術には次のような問題がある。
【0008】作業装置が備えられた作業用車両、例えばホイールローダの走行形態には、作業現場で土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合と、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合がある。
【0009】ここで、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合は、掘削対象物への移動及び積み込んだ土砂の移動が走行目的となるため、走行に係わる動力は少なく、エンジンの動力は負荷がかかる作業装置に主に使用することになる。よって、図7に示すような電動駆動システムにおいては、作業装置にかかる負荷状況が軽いときに発電機により電力を多く発生させ、余分な電力をバッテリに蓄えて走行に使用することができるため、エンジンの動力を効率良く使用することが可能となる。
【0010】しかしながら、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合は、作業装置の駆動はなく、エンジンの動力は走行のみに使用することになる。よって、図7に示すような電動駆動システムでは、エンジンの動力を走行のみに使用するにも係わらず、エンジンの動力により発電機を駆動させ、発生した電力により電動モータを駆動させ走行するため、各機器による動力変換によるロスが生じ、エンジンの動力を効率良く使用できない。
【0011】また、ホイールローダ等の作業用車両は、一般に2速又は3速の切り換え可能なミッションを備え、前進走行に際しては走行状態に合わせてオペレータがシフトレバーを切り換え操作することでミッションを切り換える。このようにシフトレバーによりミッションを切り換えることで走行形態を変える場合にも上記と同様な問題がある。
【0012】つまり、シフトレバーを低速側に切り換えて行う走行は、車体発進時、停止時の動作過程時や、上記のようにフロントの作業装置を駆動させ土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行する短時間の走行であり、シフトレバーを高速側に切り換えて行う走行は、上記のように道路などを作業現場まで移動するための長時間の走行である場合が多い。
【0013】シフトレバーを低速側に切り換え、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら低速走行駆動する場合は、走行に係わる動力は少ないので、図12に示すような電動駆動システムでは、作業装置にかかる負荷状況が軽いときに発電機により発生させバッテリに蓄えた電力を走行に使用することができるため、エンジンの動力を効率良く使用することが可能となる。
【0014】しかしながら、シフトレバーを高速側に切り換え、道路などを作業現場まで移動するために高速走行駆動する場合は、エンジンの動力は走行だけに使用するにも係わらず、エンジンの動力により発電機を駆動させ、発生した電力により電動モータを駆動させ走行するため、各機器による動力変換によるロスが生じ、エンジンの動力を効率良く使用できていない。
【0015】本発明の第1の目的は、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、走行駆動方式を電動駆動とエンジン駆動とに適宜切り換え可能とし、走行条件が変わってもエンジンの動力を効率良く使用することができる作業用車両の駆動制御装置を提供することである。
【0016】本発明の第2の目的は、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合と、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合のいずれの場合にも、最適の駆動方式とすることができ、エンジンの動力を効率良く使用することができる作業用車両の駆動制御装置を提供することである。
【0017】本発明の第3の目的は、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、低速走行時と高速走行時の何れの場合にも、最適の駆動方式とすることができ、エンジンの動力を効率良く使用することができる作業用車両の駆動制御装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、前記第1動力伝達機構と前記第2動力伝達機構を選択的に動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えるものとする。
【0019】このように蓄電装置と、第1及び第2動力伝達機構と、制御手段を設け、第1動力伝達機構と第2動力伝達機構を選択的に動作させるとともに、第1動力伝達機構を動作させるときは蓄電装置の電力で電動モータを駆動し、第2動力伝達機構を動作させるときは電動モータを停止させることにより、走行駆動方式を電動駆動とエンジン駆動とに適宜切り換え可能となり、走行条件が変わってもエンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0020】(2)また、上記第1及び第2の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、前記作業装置を駆動することを主とする第1モードと、前記走行装置を駆動することを主とする第2モードのいずれかを選択可能なモード設定装置と、前記モード設定手段が前記第1モードを選択しているときは前記第1動力伝達機構を動作させ、前記モード設定手段が前記第2モードを選択しているときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えるものとする。
【0021】このように蓄電装置と、第1及び第2動力伝達機構と、モード設定装置と、制御手段を設け、モード設定手段が第1モードを選択しているときは第1動力伝達機構を動作させ、モード設定手段が第2モードを選択しているときは第2動力伝達機構を動作させるとともに、第1動力伝達機構を動作させるときは蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、第2動力伝達機構を動作させるときは電動モータを停止させることにより、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合はモード設定手段で第1モードを選択すると電動モータ駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合はモード選定手段で第2モードを選択するとエンジン駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0022】(3)更に、上記第1〜第3の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、作業用車両の速度を検出する速度検出手段と、前記速度検出手段により検出した作業用車両の速度が低速のときは前記第1動力伝達機構を動作させ、作業用車両の速度が高速のときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えるものとする。
【0023】このように蓄電装置と、第1及び第2動力伝達機構と、速度検出手段と、制御手段を設け、速度検出手段により検出した作業用車両の速度が低速のときは第1動力伝達機構を動作させ、作業用車両の速度が高速のときは第2動力伝達機構を動作させるとともに、第1動力伝達機構を動作させるときは蓄電装置の電力で電動モータを駆動し、第2動力伝達機構を動作させるときは電動モータを停止させることにより、低速走行時は電動モータ駆動となり、高速走行時はエンジン駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0024】また、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合で低速走行するときは電動モータ駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合で高速走行するときはエンジン駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0025】(4)また、上記第1〜第3の目的を達成するために、本発明は、エンジンと、このエンジンにより駆動される油圧ポンプ及び発電機と、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動する作業装置と、前記発電機が発生した電力により回転駆動する電動モータと、この電動モータにより駆動される走行装置とを備えた作業用車両の駆動制御装置において、前記発電機が発生した電力を蓄える蓄電装置と、前記電動モータの動力を前記走行装置に伝達する第1動力伝達機構と、前記エンジンの動力を前記走行装置に伝達する第2動力伝達機構と、低速走行と高速走行の何れにするかを指示する第1走行指示手段と、前記第1走行指示手段が低速走行を指示しているときは前記第1動力伝達機構を動作させ、前記第1走行指示手段が高速走行を指示しているときは前記第2動力伝達機構を動作させるとともに、前記第1動力伝達機構を動作させるときは前記蓄電装置の電力で前記電動モータを駆動し、前記第2動力伝達機構を動作させるときは前記電動モータを停止させる制御手段とを備えるものとする。
【0026】このように蓄電装置と、第1及び第2動力伝達機構と、第1走行指示手段と、制御手段を設け、第1走行指示手段が低速走行を指示しているときは第1動力伝達機構を動作させ、第1走行指示手段が高速走行を指示しているときは第2動力伝達機構を動作させるとともに、第1動力伝達機構を動作させるときは蓄電装置の電力で電動モータを駆動し、第2動力伝達機構を動作させるときは電動モータを停止させることにより、低速走行時は第1走行指示手段で低速走行を指示すると電動モータ駆動となり、高速走行時は第1走行指示手段で高速走行を指示するとエンジン駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0027】また、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合で低速走行するときは第1走行指示手段で低速走行を指示すると電動モータ駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合で高速走行するときは第1走行指示手段で高速走行を指示するとエンジン駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0028】(5)上記(2)において、好ましくは、作業用車両の速度を検出する速度検出手段を更に備え、前記制御手段は、前記モード設定手段が前記第1モードを選択しているときは前記作業用車両の速度に係わらず前記第1動力伝達機構を動作させ、前記モード設定手段が前記第2モードを選択しているときは、前記速度検出手段により検出した作業用車両の速度が低速のときは前記第1動力伝達機構を動作させ、作業用車両の速度が高速のときに前記第2動力伝達機構を動作させるものとする。
【0029】これによりモード設定手段で第1モードを選択したときは、作業用車両が高速に変化しても電動モータ駆動が維持され、土砂の掘削、積み込み作業を行いながらの走行駆動中に駆動方式が切り換わることが防止され、良好な走行性能が得られる。また、モード設定手段で第2モードを選択したときは、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合であっても、低速走行時には電動モータ駆動に切り換わり、良好な走行性能が得られる。
【0030】(6)また、上記(2)〜(4)において、好ましくは、前進走行と後進走行の何れにするかを指示する第2走行指示手段を更に備え、前記制御手段は、前記第2走行指示手段が前進走行を指示しているときは前記第1動力伝達機構と第2動力伝達機構を選択的に動作させ、前記第2走行指示手段が後進走行を指示しているときは、前記第1動力伝達機構を動作させるものとする。
【0031】これにより前進走行時に上記(2)〜(4)で述べた作用が得られ、後進走行時は常に電動モータ駆動となり、良好な走行性能が得られる。
【0032】(7)更に、上記(1)〜(4)において、好ましくは、前記第1動力伝達機構は低速設定のギヤ比を有する歯車機構を介して前記電動モータに接続され、前記第2動力伝達手段は高速設定のギヤ比を有する歯車機構を介して前記エンジンに接続されるものとする。
【0033】これにより電動モータ駆動を低速用に最適化し、エンジン駆動を高速用に最適化し、良好な走行性能が得られる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0035】まず、本発明の第1の実施の形態を図1及び図2により説明する。
【0036】図1は、本発明の第1の実施の形態に係わる作業用車両の駆動制御装置を示す図である。
【0037】図1において、1は原動機、例えばディーゼルエンジン(以下単にエンジンという)であり、燃料噴射量制御装置1aを備え、燃料噴射量を制御することによりエンジン回転数が制御される。エンジン1の駆動により回転する軸10には3つの歯車11,13,15が固設してあり、歯車11は歯車12と噛み合わされて、軸10の動力を発電機2に伝達し、発電機2はエンジン1の回転により電力を発生する。
【0038】また、歯車13は歯車14と噛み合わされて、軸10の動力を油圧ポンプ8に伝達し、油圧ポンプ8はエンジン1の回転により回転して圧油を吐出し、図示しない作業装置を駆動する。
【0039】また、歯車15は歯車16と噛み合わされており、歯車16はクラッチ20を介して出力軸22に軸10の動力を伝達する。歯車15と歯車16のギヤ比(動力伝達比)は高速用に設定されている。
【0040】発電機2はインバータ/コンバータ3を介してバッテリ4と電動モータ5に接続され、インバータ/コンバータ3により、発電機2により発生した電力をバッテリ4に蓄えらる制御と、発電機2により発生した電力又はバッテリ4に蓄えられた電力により電動モータ5を駆動する制御が行われる。
【0041】電動モータ5の駆動により回転する軸17には歯車18が固設してあり、歯車18は歯車19と噛み合わされており、歯車19はクラッチ21を介して出力軸22に軸17の動力を伝達する。歯車18と歯車19のギヤ比(動力伝達比)は低速用に設定されている。
【0042】出力軸22は、車体前方のアクスル23aを介して車体前輪7a,7aを回転させるとともに、車体後方のアクスル23bを介して車体後輪7b,7bを回転させ、作業用車両を前・後進する。出力軸22と、アクスル23a,23bと、前輪7a,7a及び後輪7b,7bは走行装置を構成する。
【0043】作業用車両の前進、後進の切り換えを指示する手段としてシフトレバー31を備えた走行指示切換装置30が設けられ、エンジン1と電動モータ5の回転数を指示する手段としてアクセルペダル70が設けられ、作業用車両の動作モードを指示する手段として走行モードボタン51と作業モードボタン52を備えた動作モード設定装置50が設けられている。走行指示切換装置30の位置信号、アクセルペダル70の操作量信号及び動作モード設定装置50の指示信号はコントローラ40に入力される。
【0044】オペレータは、作業用車両を後進させる場合は、走行指示切換装置30のシフトレバー31の位置を初期位置”N”の位置から”R”の位置に切り換え、前進走行する場合は”F”の位置に切り換える。
【0045】また、オペレータは、走行速度を上げる場合や作業装置の作業速度を上げる場合は、アクセルペダル70の踏み込み量を増し、その踏み込み量を加減することで速度を調整する。
【0046】更に、オペレータは、作業用車両の動作として、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合は動作モード設定装置50の走行モードボタン51をONにし、作業装置を駆動して土砂の掘削、積み込み作業を行う場合は動作モード設定装置50の作業モードボタン52をONにする。
【0047】また、作業用車両の走行速度を検出する手段として出力軸22の回転数を検出する回転数センサ60が設けられている。回転数センサ60の検出信号もコントローラ40に入力される。
【0048】本発明が適用される作業用車両は、例えばホイール式クレーン、ホイール式ショベル、ホイールローダ、テレハンドラー等であり、図示に実施の形態は例えばホイール式ショベルに本発明を適用したものである。
【0049】コントローラ40は、シフトレバー31の位置と動作モード設定装置50の指示(モード選択状況)と回転数センサ60の検出値に応じてクラッチ20,21のON、OFFを切り換え制御する。また、コントローラ40は、シフトレバー31の位置により電動モータ5の回転方向を切り換え制御し、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1及び電動モータ5の回転数を制御する。これらの制御のため、コントローラ40は、走行指示切換装置30の位置信号、動作モード設定装置の指示信号、アクセルペダル70の操作量信号、回転数センサ60の検出信号を入力し、所定の演算処理を行い、クラッチ20,21、インバータ/コンバータ3及び燃料噴射量制御装置1aに制御信号を出力する。
【0050】図2は、コントローラ40で行われるクラッチ20,21の切り換え制御、電動モータ5の回転方向制御、エンジン及び電動モータ5の速度制御についての処理内容を示すフローチャートである。
【0051】ここで図2において、クラッチ20,21は、”ON”の時に出力軸22とそれぞれのクラッチに対応する歯車16,19が繋がり動力を伝達することとし、”OFF”の時には出力軸22とそれぞれのクラッチに対応する歯車16,19が繋がらず、動力の伝達が行われないものとする。また、クラッチ21が”ON”となり、歯車19の動力が出力軸22に伝達されているとき、電動モータ5の回転方向が正回転の場合に作業用車両が前進、逆回転の場合に作業用車両が後進駆動するものとする。
【0052】図2において、コントローラ40は、シフトレバー31の位置と動作モード設定装置50のモード設定状態と回転数センサ60の検出値とアクセルペダル70の踏み込み量を読み込む(ステップS100)。次いで、シフトレバー31の位置が”N”であるかどうかを判断し(ステップS102)、”N”である場合はクラッチ20,21を共に”OFF”にし(ステップS104)、電動モータ5を停止させる(ステップS106)。また、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数を制御する(ステップS108)。このようにシフトレバー31の位置が”N”の場合には、出力軸22とクラッチ20,21に対応する歯車16,19との接続は切り離され、出力軸22は回転せず、作業用車両は走行しない。また、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0053】ステップS102でシフトレバー31の位置が”N”でないと判断されると、次に、シフトレバー31の位置が”R”であるかどうかを判断し(ステップS110)、シフトレバー31の位置が”R”である場合には、クラッチ20を”OFF”、クラッチ21を”ON”の位置に切り換える(ステップS112)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を逆回転にする(ステップS114)。さらに、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数と電動モータ5の回転数を制御する(ステップS116)。このようにシフトレバー31の位置が”R”の場合には、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19は接続され、動作モード設定装置50のモード設定状態や回転数センサ60の検出値に係わらず電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輸7a,7bを動かし、作業用車両を後進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数もアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0054】ステップS110でシフトレバー31の位置が”R”でないと判断されると、シフトレバー31の位置が”F”の位置にあると判断し、このときは、動作モード設定装置50のモード設定状態が”作業”に選択されているかどうかを判断し(ステップS120)、”作業”に選択されている場合には、クラッチ20を”OFF”、クラッチ21を”ON”の位置に切り換える(ステップS122)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を正回転にする(ステップS124)。さらに、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数と電動モータ5の回転数を制御する(ステップS126)。このようにシフトレバー31が”F”の位置にあり、動作モード設定装置50のモード設定状態が”作業”に選択されている場合においても、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19は接続され、回転数センサ60の検出値(実際の走行速度)に係わらず電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数もアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0055】これにより、作業装置を駆動させ、土砂の掘削、積み込み作業を行う場合の低速の前進走行においては、動作モード設定装置50の作業モードボタン52をONすることにより、エンジン1の動力は負荷がかかる作業装置に主に使用し、作業装置にかかる負荷状況が軽い場合に発電機2により発生させた電力をバッテリ4に蓄えて走行に使用することができるため、エンジン1の動力を効率良く使用することができる。
【0056】また、動作モード設定装置50の作業モードボタン52をONにすることにより、実際の走行速度に係わらず、電動モータ5の動力により作業用車両を前進駆動させることができるので、作業中に走行装置の駆動方式が切り換わる違和感がなくなり、良好な走行性能が得られる。
【0057】ステップS120で動作モード設定装置50のモード設定状態が”作業”に選択されていないと判断されると、シフトレバー31は”F”の位置にありかつ動作モード設定装置50のモード設定状態が”走行”に選択されていると判断し、このときは、回転数センサ60の検出値が例えば1000rpm以下の低い回転数であるかどうかを判断し(ステップS130)、回転数センサ60の検出値が低い回転数であれば、クラッチ20を”OFF”、クラッチ21を”ON”の位置に切り換える(ステップS132)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を正回転にする(ステップS134)。さらに、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数と電動モータ5の回転数を制御する(ステップS116)。このようにフトレバー31が”F”の位置にあり、動作モード設定装置50のモード設定状態が”走行”に選択され、低速走行の場合は、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19は接続され、電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数もアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0058】これにより、走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0059】ステップS130で回転数センサ60の検出値が例えば1000rpm以下の低い回転数でない(1000rpmよりも高い回転数である)と判断されると、クラッチ20を”ON”、クラッチ21を”OFF”の位置に切り換える(ステップS140)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を停止させる(ステップS142)。また、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数を制御する(ステップS108)。このようにシフトレバー31が”F”の位置にある高速走行の場合は、エンジン1の動力により高速設定の歯車15,16を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。
【0060】これにより走行のみを行う走行単独動作時の前進走行で、車体がある程度の車速で走行している場合は、エンジン1の効率の良い回転数領域において、エンジン1の動力で直接出力軸22を回転し、作業用車両を前進駆動させるので、電動モータ5を駆動させるときに生じる各機器による動力変換によるロスを発生させず、効率の良い走行駆動を行うことが可能となる。
【0061】また、走行のみを行う走行単独動作時の前進走行において、走行速度が低速から高速に変化するときは、回転センサ60により走行速度を検出し、クラッチ20,21を切り換えるので、電動モータ5の動力による駆動からエンジン1の動力による駆動に自動で切り換えることができる。
【0062】以上のように構成した本実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0063】(1)土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合は、動作モード設定装置50の作業モードボタン52をONすることにより電動モータ5の動力による駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために高速で走行駆動する場合は、動作モード設定装置50の走行モードボタン51をONすることによりエンジン1による駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0064】(2)作業装置を駆動させ、土砂の掘削、積み込み作業を行う場合の低速の前進走行においては、動作モード設定装置50の作業モードボタン52をONにすることにより、作業中に走行装置の駆動方式が切り換わる違和感がなくなり、良好な走行性能が得られる。
【0065】(3)走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0066】(4)走行のみを行う走行単独動作時の前進走行において、走行速度が低速から高速に変化するときは、電動モータ5の動力による駆動からエンジン1の動力による駆動に自動で切り換えることができる。
【0067】本発明の第2の実施の形態を図3及び図4により説明する。本実施の形態は、図1及び図2に示した第1の実施の形態において、動作モード設定装置を用いずに走行装置の駆動方式を切り換えるようにしたものである。図中、図1及び図2に示す部材或いは部分と同等のものには同じ符号を付している。
【0068】図3は、本発明の第2の実施の形態に係わる作業用車両の駆動制御装置を示す図である。本実施の形態に係わる作業用車両の駆動制御装置は、図1に示した動作モード設定装置50が備えられていない点を除いて、第1の実施の形態のものと同じである。図中、コントローラは符号40Aで示されている。
【0069】図4は、コントローラ40Aで行われるクラッチ20,21の切り換え制御、電動モータ5の回転方向制御、エンジン及び電動モータ5の速度制御についての処理内容を示すフローチャートである。
【0070】図4において、コントローラ40Aは、シフトレバー31の位置と回転数センサ60の検出値とアクセルペダル70の踏み込み量を読み込む(ステップS100A)。この後のステップS102〜ステップS116の処理内容は第1の実施の形態と同じである。
【0071】ステップS110でシフトレバー31の位置が”R”でないと判断されると、シフトレバー31の位置が”F”であると判断し、このときは、回転数センサ60の検出値が例えば1000rpm以下の低い回転数であるかどうかを判断する(ステップS130)。この後のステップS132〜ステップS44の処理内容は第1の実施の形態と同じである。
【0072】このようにフトレバー31が”F”の位置にある場合においても、低速走行の場合は、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19は接続され、電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数もアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0073】これにより、作業装置を駆動させ、土砂の掘削、積み込み作業を行う場合の低速の前進走行においては、エンジン1の動力は負荷がかかる作業装置に主に使用し、作業装置にかかる負荷状況が軽い場合に発電機2により発生させた電力をバッテリ4に蓄えて走行に使用することができるため、エンジン1の動力を効率良く使用することができる。
【0074】また、走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0075】一方、シフトレバー31が”F”の位置にある高速走行の場合は、エンジン1の動力により高速設定の歯車15,16を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。
【0076】これにより走行のみを行う走行単独動作時の前進走行で、車体がある程度の車速で走行している場合は、エンジン1の効率の良い回転数領域において、エンジン1の動力で直接出力軸22を回転し、作業用車両を前進駆動させるので、電動モータ5を駆動させるときに生じる各機器による動力変換によるロスを発生させず、効率の良い走行駆動を行うことが可能となる。
【0077】また、走行のみを行う走行単独動作時の前進走行において、走行速度が低速から高速に変化するときは、回転センサ60により走行速度を検出し、クラッチ20,21を切り換えるので、電動モータ5の動力による駆動からエンジン1の動力による駆動に自動で切り換えることができる。
【0078】本実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0079】(1)土砂の掘削、積み込み作業を行いながら低速で走行駆動する場合は電動モータ5の動力による駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために高速で走行駆動する場合は、エンジン1による駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0080】(2)土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合でも、高速で駆動する場合はエンジン1による駆動に切り換わり、走行のみを行う走行単独動作で前進走行する場合でも、低速で駆動する場合は電動モータ5の動力による駆動に切り換わるため、低速走行時と高速走行時とでそれぞれに適した最適の駆動方式となり、エンジン1の動力を効率良く使用することができる。
【0081】(3)走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0082】(4)走行のみを行う走行単独動作時の前進走行において、走行速度が低速から高速に変化するときは、電動モータ5の動力による駆動からエンジン1の動力による駆動に自動で切り換えることができる。
【0083】本発明の第3の実施の形態を図5及び図6により説明する。本実施の形態は、図3及び図4に示した第2の実施の形態において回転数センサを設ける代わりに、走行指示切換装置のシフトレバーを”F(Lo)”と”F(Hi)”の二速に切り換え可能としたものである。図中、図1及び図2に示す部材或いは部分と同等のものには同じ符号を付している。
【0084】図5において、本発明の第3の実施の形態に係わる作業用車両の駆動制御装置は、作業用車両の前進、後進の切り換えを指示する手段としてシフトレバー31を備えた走行指示切換装置30Aを備え、エンジン1と電動モータ5の回転数を指示する手段としてアクセルペダル70を備えている。走行指示切換装置30Aの位置信号及びアクセルペダル70の操作量信号はコントローラ40Bに入力される。
【0085】オペレータは、作業用車両を後進させる場合は、走行指示切換装置30のシフトレバー31の位置を初期位置”N”の位置から”R”の位置に切り換え、低速前進走行する場合は”F(Lo)”の位置、高速前進走行する場合は”F(Hi)”の位置に切り換える。
【0086】また、オペレータは、走行速度を上げる場合や作業装置の作業速度を上げる場合は、アクセルペダル70の踏み込み量を増し、その踏み込み量を加減することで速度を調整する。
【0087】コントローラ40Bは、シフトレバー31の位置に応じてクラッチ20,21のON、OFFを切り換え制御する。また、コントローラ40Bは、シフトレバー31の位置により電動モータ5の回転方向を切り換え制御する。さらに、コントローラ40Bは、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1及び電動モータ5の回転数を制御する。これらの制御のため、コントローラ40Bは、走行指示切換装置30の位置信号、アクセルペダル70の操作量信号を入力し、所定の演算処理を行い、クラッチ20,21、インバータ/コンバータ3及び燃料噴射量制御装置1aに制御信号を出力する。
【0088】図6は、コントローラ40Bで行われるクラッチ20,21の切り換え制御、電動モータ5の回転方向制御、エンジン及び電動モータ5の速度制御についての処理内容を示すフローチャートである。
【0089】図6において、コントローラ40Bは、シフトレバー31の位置とアクセルペダル70の踏み込み量を読み込む(ステップS200)。次いで、シフトレバー31の位置が”R”であるかどうかを判断し(ステップS202)、”R”である場合には、クラッチ20を”OFF”、クラッチ21を”ON”の位置に切り換える(ステップS202)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を逆回転にする(ステップS206)。さらに、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数と電動モータ5の回転数を制御する(ステップS208)。このようにシフトレバー31が”R”の位置にある場合には、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19とは接続され、電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輸7a,7bを動かし、作業用車両を後進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0090】ステップS110でシフトレバー31の位置が”R”でないと判断されると、次に、シフトレバー31の位置が”F(Lo)”であるかどうかを判断し(ステップS210)、”F(Lo)”の場合には、クラッチ20を”OFF”、クラッチ21を”ON”の位置に切り換える(ステップS212)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を正回転にする(ステップS214)。さらに、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数と電動モータ5の回転数を制御する(ステップS216)。このようにフトレバー31が”F(Lo)”の位置にある場合においても、出力軸22とクラッチ20に対応する歯車16との接続は切り離され、出力軸22とクラッチ21に対応する歯車19とは接続され、電動モータ5の動力により低速設定の歯車18,19を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、電動モータ5の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。一方、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0091】これにより、作業装置を駆動させ、土砂の掘削、積み込み作業を行う場合の低速の前進走行においては、シフトレバー31を”F(Lo)”の位置に切り換えることにより、エンジン1の動力は負荷がかかる作業装置に主に使用し、作業装置にかかる負荷状況が軽い場合に発電機2により発生させた電力をバッテリ4に蓄えて走行に使用することができるため、エンジン1の動力を効率良く使用することができる。
【0092】また、シフトレバー31を”F(Lo)”の位置に切り換えることにより、実際の走行速度に係わらず、電動モータ5の動力により作業用車両を前進駆動させることができるので、作業中に走行装置の駆動方式が切り換わる違和感がなくなり、良好な走行性能が得られる。
【0093】更に、走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、シフトレバー31を”F(Lo)”の位置に切り換えることにより低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0094】ステップS210でシフトレバー31の位置が”F(Lo)”でないと判断されると、次にシフトレバー31の位置が”F(Hi)”であるかどうかを判断し(ステップS220)、”F(Hi)”の場合には、クラッチ20を”ON”、クラッチ21を”OFF”の位置に切り換える(ステップS222)。また、この切り換え操作に伴って電動モータ5を停止する(ステップS224)。また、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数を制御する(ステップ226)。このようにシフトレバー31が”F(Hi)”の位置にある場合は、エンジン1の動力により高速設定の歯車15,16を介して出力軸22を回転し、車輪7a,7bを動かし、作業用車両を前進駆動させる。また、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、走行速度を任意に調整することができる。
【0095】これにより走行のみを行う走行単独動作時の前進走行で、高速走行を行う場合は、エンジン1の効率の良い回転数領域において、エンジン1の動力で直接出力軸22を回転し、作業用車両を前進駆動させるので、電動モータ5を駆動させるときに生じる各機器による動力変換によるロスを発生させず、効率の良い走行駆動を行うことが可能となる。
【0096】ステップS220でシフトレバー31の位置が”F(Hi)”でないと判断されると、シフトレバー31は”N”の位置にあり、このときは、クラッチ20,21を共に”OFF”にし(ステップS230)、電動モータ5を停止させる(ステップS232)。また、アクセルペダル70の踏み込み量に応じてエンジン1の回転数を制御する(ステップS234)。このようにシフトレバー31の位置が”N”の場合には、出力軸22とクラッチ20,21に対応する歯車16,19との接続は切り離され、出力軸22は回転せず、作業用車両は走行しない。また、エンジン1の回転数はアクセルペダル70の踏み込み量に応じて増減し、油圧ポンプ8の吐出油により駆動される図示しない作業装置の作業速度を任意に調整することができる。
【0097】本実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0098】(1)土砂の掘削、積み込み作業を行いながら低速で走行駆動する場合は、シフトレバー31を”F(Lo)”の位置にすることにより電動モータ5の動力による駆動となり、道路などを作業現場まで移動するために高速で走行駆動する場合は、シフトレバー31を”F(Hi)”の位置にすることによりエンジン1による駆動となるため、何れの場合も最適の駆動方式となり、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0099】(2)土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合でも、高速で駆動する場合はシフトレバー31を”F(Hi)”の位置に切り換えることによりエンジン1による駆動に切り換わり、走行のみを行う走行単独動作で前進走行する場合でも、低速で駆動する場合はシフトレバー31を”F(Lo)”の位置に切り換えることにより電動モータ5の動力による駆動に切り換わるため、低速走行時と高速走行時とでそれぞれに適した最適の駆動方式となり、エンジン1の動力を効率良く使用することができる。
【0100】(3)作業装置を駆動させ、土砂の掘削、積み込み作業を行う場合の低速の前進走行においては、シフトレバー31を”F(Lo)”の位置に切り換えることにより、実際の走行速度に係わらず、電動モータ5の動力により駆動するので、作業中に走行装置の駆動方式が切り換わる違和感がなくなり、良好な走行性能が得られる。
【0101】(4)走行のみを行う走行単独動作時の前進走行であっても、車体発進時や車体停止に向けて速度を減速する時や登り斜面を走行し速度が低下する走行時は、シフトレバー31を”F(Hi)”の位置に切り換えることにより低回転から制御できる電動モータ5の動力による駆動となるため、良好な走行性能が得られる。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、走行駆動方式を電動駆動とエンジン駆動とに適宜切り換え可能とし、走行条件が変わってもエンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0103】また、本発明によれば、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、土砂の掘削、積み込み作業を行いながら走行駆動する場合と、道路などを作業現場まで移動するために走行駆動する場合のいずれの場合にも、最適の駆動方式で走行駆動することができ、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【0104】さらに、本発明によれば、作業装置と走行装置を備えた作業用車両において、低速走行時と高速走行時の何れの場合にも、最適の駆動方式で走行駆動することができ、エンジンの動力を効率良く使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
【住所又は居所】東京都文京区後楽二丁目5番1号
【出願日】 平成14年4月12日(2002.4.12)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓 (外1名)
【公開番号】 特開2003−309904(P2003−309904A)
【公開日】 平成15年10月31日(2003.10.31)
【出願番号】 特願2002−110335(P2002−110335)