トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 回生装置の制御装置
【発明者】 【氏名】河合 高志
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】辻井 啓
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】呉竹 健
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】杉浦 雅宣
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】花田 秀人
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】装置の部品点数を増加することなく、電力の回収量を増加することができる回生装置の制御装置を提供する。

【解決手段】第1の発電機で発生される電力を第1の蓄電装置に供給するとともに、第1の蓄電装置と、第1の蓄電装置とは別に設けられている第2の蓄電装置との間で、中継装置を介して電力が行き来する回生装置の制御装置において、第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段(ステップS1ないしステップS6)と、発電量判断手段(ステップS1ないしステップS6)の判断結果に基づいて、第2の蓄電装置の電力を中継装置を介して第1の蓄電装置に供給するか否かを判断する蓄電性能制御手段(ステップS7およびステップS8)とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の発電機で発生される電力を第1の蓄電装置に供給するとともに、前記第1の蓄電装置と、この第1の蓄電装置とは別に設けられている第2の蓄電装置との間で、中継装置を介して電力が行き来する回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、前記発電量判断手段の判断結果に基づいて、前記第2の蓄電装置の電力を中継装置を介して前記第1の蓄電装置に供給するか否かを判断する蓄電性能制御手段とを備えていることを特徴とする回生装置の制御装置。
【請求項2】 前記第2の蓄電装置は2次電池であり、前記第1の発電機とは別に第2の発電機が設けられているとともに、この第2の発電機で発生される電力が、前記第2の蓄電装置に供給されることを特徴とする請求項1に記載の回生装置の制御装置。
【請求項3】 第1の発電機の電力を第1の蓄電装置に蓄電するとともに、第2の発電機の電力を第2の蓄電装置に蓄電する回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、この発電量判断手段の判断結果に基づいて、この第1の発電機の電力を前記第2の蓄電装置に供給して、前記第1の発電機の発電量を増加させるか否かを判断する発電状態制御手段とを備えていることを特徴とする回生装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、発電機で発生した電力を蓄電装置に供給する回生装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、蓄電装置の電力により電動機を駆動させ、電動機のトルクを車輪に伝達して駆動力を発生させる車両が知られている。このような車両においては、車両の惰力走行時に、車輪の運動エネルギを電動機に伝達するとともに、電動機を発電機として機能させ、発生した電力を蓄電装置に蓄電する制御もおこなわれており、その一例が特開2000−59903号公報に記載されている。この公報に記載された回生エネルギ充電装置は、車輪に動力伝達可能に連結された発電機と、発電機に電気的に接続された複数のキャパシタ(または二次電池)と、複数のキャパシタの接続状態を切り替える接続切り替え装置とを備えている。
【0003】そして、車両の減速時に車輪の運動エネルギを発電機に伝達して回生制動をおこない、その回生エネルギを複数のキャパシタに充電する。また、発電電圧とキャパシタの電圧とを比較し、発電電圧が複数のキャパシタの電圧未満である場合は、複数のキャパシタの接続を、直列接続から並列接続に切り替えることで、回生率を向上できるものとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載されている回生エネルギ充電装置においては、既存の部品の他に接続切り替え装置を設けなければならならず、充電装置の部品点数が増加していた。その結果、生産効率が低下し、かつ、製造コストが上昇し、かつ、装置が大型化および大重量化する問題があった。
【0005】この発明は上記課題を解決するためのもので、装置の部品点数を増加することなく、電力の回収量を増加することができる回生装置の制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するために、第1の発電機で発生される電力を第1の蓄電装置に供給するとともに、前記第1の蓄電装置と、この第1の蓄電装置とは別に設けられている第2の蓄電装置との間で、中継装置を介して電力が行き来する回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、前記発電量判断手段の判断結果に基づいて、前記第2の蓄電装置の電力を中継装置を介して前記第1の蓄電装置に供給するか否かを判断する蓄電性能制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0007】請求項1の発明によれば、第1の発電機の発電量が所定量以上である場合に、第2の蓄電装置の電力が中継装置を経由して第1の蓄電装置に供給される。ここで、第1の蓄電装置が、電圧が高まるほど蓄電性能(静電容量)が向上するという特性を備えていれば、第1の発電機の発電量が増加する。また、中継装置は、第1の蓄電装置と第2の蓄電装置との間で、電力の行き来をさせるために、予め設けられている部品であるため、既存の装置に加えて、他の部品を新たに設ける必要はない。
【0008】請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第2の蓄電装置は2次電池であり、前記第1の発電機とは別に第2の発電機が設けられているとともに、この第2の発電機で発生される電力が、前記第2の蓄電装置に供給されることを特徴とするものである。
【0009】請求項2の発明によれば、第2の蓄電装置は2次電池であり、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に電力が供給されて、第2の蓄電装置の電圧が低下する。この第2の蓄電装置が、電圧が低下するほど蓄電性能が向上する(充電抵抗が低下する)特性を備えていれば、第2の発電機から第2の蓄電装置に蓄電する場合の効率が向上する。
【0010】請求項3の発明は、第1の発電機の電力を第1の蓄電装置に蓄電するとともに、第2の発電機の電力を第2の蓄電装置に蓄電する回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、この発電量判断手段の判断結果に基づいて、この第1の発電機の電力を前記第2の蓄電装置に供給して、前記第1の発電機の発電量を増加させるか否かを判断する発電状態制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0011】請求項3の発明によれば、第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かが判断され、その判断結果に基づいて、“第1の発電機の電力を第2の蓄電装置に供給して第1の発電機の発電量を増加させるか否か”が判断される。第2の蓄電装置は、予め設けられている部品であるため、新たな部品を設ける必要はない。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1の実施例)つぎに、この発明の実施例を説明する。図2は、この発明を適用した車両1のパワートレーン、電気系統、制御系統の構成を示す概念図である。まず、車両1のパワートレーンの構成を説明する。車両1は、駆動力源としてエンジン2およびモータ・ジェネレータ(回生ジェネレータ)3を有している。エンジン2としては、内燃機関、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。エンジン2の出力側にはトランスミッション4が設けられており、トランスミッション4の回転部材5と車輪6とが動力伝達可能に連結されている。
【0013】また、前記モータ・ジェネレータ3と回転部材5とが動力伝達可能に連結されている。モータ・ジェネレータ3は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有している。モータ・ジェネレータ3としては、例えば3相交流形のものを用いることができる。さらに、エンジン2とトランスミッション4との間の動力伝達経路には、流体伝動装置16とロックアップクラッチ17とが並列に配置されている。なお、ロックアップクラッチ17の係合圧を制御するアクチュエータ(図示せず)が設けられている。さらに、車輪6には摩擦ブレーキ18が設けられている。この摩擦ブレーキ18は、ブレーキペダル14のストローク量などに基づいて、車輪6を制動するものであり、摩擦ブレーキ18としては、ディスクブレーキまたはドラムブレーキを用いることができる。また、摩擦ブレーキ18の制動力を、ブレーキペダル14のストローク量およびその他の条件に基づいて、その制動力するためのアクチュエータ(図示せず)が設けられている。
【0014】つぎに、車両1の電気系統について説明する。エンジン2のクランクシャフト(図示せず)には、伝動装置7を介してオルタネータ8が接続されている。このオルタネータ8にはバッテリ(例えば鉛バッテリ)9が接続されているとともに、バッテリ9の電力を12V負荷10に供給する回路が形成されている。バッテリ9は電気エネルギを化学エネルギに変換して貯蔵するシステムである。
【0015】また、バッテリ9以外の蓄電装置としてキャパシタ(コンデンサ)11が設けられており、モータ・ジェネレータ3により発電された電力を、キャパシタ11に充電することができる。キャパシタ11は、導電部材(金属板)同士の間に絶縁物を介在させて構成されており、各導電部材に電荷が蓄えられる。そして、バッテリ9の電圧は12Vであり、キャパシタの電圧は36Vである。このように、バッテリ9とキャパシタ11とを比較すると、電力の貯蔵原理および受け入れ電力などの特性が異なる。さらに、キャパシタ11と、バッテリ9および12V負荷10とを接続する回路が形成され、バッテリ9とキャパシタ11との間の回路には、DC/DCコンバータ(変圧器)12が配置されている。
【0016】さらに、車両1の全体を制御する制御系統について説明する。電子制御装置(ECU)13が設けられており、電子制御装置13により、加速要求および制動状態、車速、モータ・ジェネレータ3の回転数、バッテリ9の電圧・充放電電流、キャパシタ11の電圧などが判断される。前記制動状態には、ドライバーによる制動要求、および車両1に作用する実際の制動力などが含まれており、この制動状態は、ブレーキペダル14のストローク量、ブレーキマスタシリンダ15の油圧、車速変化量などに基づいて判断される。これに対して、電子制御装置13からは、モータ・ジェネレータ3の発電量、オルタネータ8の発電量DC/DCコンバータ12の動作、摩擦ブレーキ18用のアクチュエータ、ロックアップクラッチ17用のアクチュエータなど、を制御する信号が出力される。
【0017】つぎに、車両1の制御について説明する。まず、エンジン2が駆動された場合は、エンジントルクがトランスミッション4を経由して車輪6に伝達されて、駆動力が発生する。ここで、電子制御装置13により、エンジン1に供給する燃料の噴射量および噴射時期などが制御され、エンジン出力が調整される。また、キャパシタ11の電力がモータ・ジェネレータ3に供給されて、モータ・ジェネレータ3が電動機として駆動された場合は、モータ・ジェネレータ3のトルクが車輪6に伝達される。このように、車両1は、エンジン2またはモータ・ジェネレータ3のうちの少なくとも一方を駆動力源とすることができる、いわゆるハイブリッド車である。なお、エンジントルクの一部をモータ・ジェネレータ3に供給して、そのトルクによりモータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることもできる。
【0018】さらに、車両1の惰力走行時には、車輪6の運動エネルギをモータ・ジェネレータ3に伝達してモータ・ジェネレータ3を発電機として機能させることができる。このように、車輪6の運動エネルギによりモータ・ジェネレータ3を発電機として機能させた場合は、発電量に対応する制動力、すなわち回生制動力が車両1に対して作用する。
【0019】さらにまた、車両1の惰力走行時には、車輪6の運動エネルギがトランスミッション4を経由してエンジン1に伝達され、エンジン1の回転抵抗による制動力、いわゆるエンジンブレーキ力が、車両1に対して作用する。また、車両1の惰力走行時において、エンジン回転数が所定回転数以上である場合は、エンジン2に対する燃料の供給を停止する制御、いわゆるフューエルカット制御をおこなうことができる。なお、フューエルカット制御の実行中に、エンジン回転数が所定回転数未満になった場合は、エンジン2に対する燃料の供給が開始される。
【0020】前記電子制御装置13には、ロックアップクラッチ17のトルク容量を制御するマップが記憶されている。このマップに定められているパラメータ、例えば車速およびアクセル開度などに基づいて、ロックアップクラッチ17の係合圧が制御され、ロックアップクラッチ17が係合またはスリップまたは解放される。このように、ロックアップクラッチ8が係合された場合は、エンジン2とトランスミッション4との間で摩擦力により動力伝達がおこなわれ、ロックアップクラッチ8が解放された場合は、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。このように、ロックアップクラッチ17が係合されている場合は、車輪6の運動エネルギによりオルタネータ8で発電をおこなうことができる。オルタネータ8の発電量は、12V負荷10で要求される電力、その他の条件に基づいて制御することができる。
【0021】また、12V負荷10に電力を供給するバッテリ9の電力が低下した場合は、キャパシタ11の電力をDC/DCコンバータ12により降圧してバッテリ9に供給することができる。また、モータ・ジェネレータ3を発電機として駆動するキャパシタ11の電力が低下した場合は、バッテリ9の電力をDC/DCコンバータ12により昇圧してキャパシタ11に供給することもできる。
【0022】つぎに、車両1の減速時におこなわれる制御例を、図1のフローチャートに基づいて説明する。まず、加速要求がなく、車両1が減速状態にある場合は、ロックアップクラッチ17が係合され、かつ、車輪6の運動エネルギによりモータ・ジェネレータ3が発電機として機能して回生制動力が発生し、かつ、車輪6の運動エネルギがエンジン2を経由してオルタネータ8に伝達され、オルタネータ8で発生した電力がバッテリ9に蓄電され、かつ、フューエルカット制御がおこなわれる。(ステップS1)。
【0023】このステップS1についで、ドライバーによる制動要求が判断される(ステップS2)。この制動要求は、ブレーキマスターシリンダ15の油圧、ブレーキペダル14のストローク量、車速変化量などが、あるしきい値を越えたか否かで判断する。車速変化量の一例を、図3の特性線図に示す。図3に示すように、時刻t1では車速v1であったものが、時刻t1から所定時間が経過した時刻t2においては車速v2となる。この車速v2は車速v1よりも低速である。
【0024】上記ステップS2についで、モータ・ジェネレータ3の発電およびオルタネータ8の発電にともない発生する回生制動力が判断され、前記ドライバーの制動要求に対応する制動力の方が、回生制動力よりも大きいか否かが判断される(ステップS3)。このステップS3で肯定的に判断された場合は、現在の車速およびキャパシタ11の実際の電圧を判断するとともに(ステップS4)、動作回転数Nを算出する(ステップS5)。モータ・ジェネレータ3の発電量は回転数により変化するため、この実施例では、動作回転数Nとを基準としてDC/DCコンバータ12を制御している。以下、この動作回転数Nの算出方法の一例を、図4を参照しながら説明する。
【0025】図4は、モータ・ジェネレータ3の回転数と、モータ・ジェネレータ3の発電量との関係を示す特性線図である。なお、この実施例では、車速からモータ・ジェネレータ3の回転数を間接的に判断しているため、図4では、モータ・ジェネレータ3の回転数の代わりに“車速”と記されている。なお、モータ・ジェネレータ3の回転数を直接検知するレゾルバなどが設けられている場合は、その検知信号をそのまま用いてもよい。
【0026】図4には、便宜上、2種類の発電特性A1,B1が実線で示されている。発電特性A1に対応するキャパシタ11の電圧は、発電特性B1に対応するキャパシタ11の電圧よりも低い。このような発電特性A1,B1は、以下のようにして算出したものである。まず、モータ・ジェネレータ3は、回転数が上昇するほど発電量が増加する特性を備えている。一方、キャパシタ11は、その電圧により、蓄電性能(静電容量)が変化するという特性を備えている。
【0027】ここで、発電特性A1に相当するモータ・ジェネレータ3の発電量pは、例えば、p=f(n,V) ・・・(式1)
で算出することができる。これに対して、発電特性B1に相当するモータ・ジェネレータ3の発電量pは、p=f(n,V+ΔV)
≒f(n*V/(V+ΔV),V)*(V+ΔV)/V ・・・(式2)
で算出することができる。
【0028】上記各式において、fは発電時の出力特性を示す関数であり、Vはキャパシタ11の電圧であり、nはモータ・ジェネレータ3の回転数である。この実施例では、発電特性A1に相当するモータ・ジェネレータ3の発電量pを、モータ・ジェネレータ3の回転数およびキャパシタ11の電圧に基づいて算出している。これに対して、発電特性B1に相当するモータ・ジェネレータ3の発電量pは、発電特性A1を基準として算出している。具体的には、発電特性A1に比べて、キャパシタ11の電圧を2倍とし、かつ、モータ・ジェネレータ3の回転数を2倍として算出している。
【0029】すなわち、式2の“(V+ΔV)/V” の項が、キャパシタ11の電圧を2倍とした場合における発電量の増加分であり、式2の“V/(V+ΔV)”の項が、モータ・ジェネレータ3の回転数を2倍としていることを意味している。このようにして算出した2つの発電特性A1,B1は、共にモータ・ジェネレータ3の回転数が高まるほど、発電量が多くなる傾向を示している。2つの発電特性A1,B1を示す線分の交点D1は、発電特性A1に対応する発電量p=f(n,V)と、発電特性B1に対応する発電量p=f(n,V+ΔV)とが、f(n,V)=f(n,V+ΔV)
の関係になることを意味している。この交点D1に対応するモータ・ジェネレータ3の回転数が、動作回転数Nである。
【0030】そして、モータ・ジェネレータ3の回転数が、動作回転数N未満では、発電特性A1に対応する発電量の方が、発電特性B1に対応する発電量よりも多くなっている。これに対して、モータ・ジェネレータ3の回転数が、動作回転数Nを越えた場合は、発電特性B1に対応する発電量の方が、発電特性A1に対応する発電量よりも多くなっている。なお、動作回転数N以上において、発電特性A1のキャパシタ11の電圧に、さらに電圧ΔVを加えて発電特性B1に切り替えた場合の発電量の増加分が、図4では斜線の領域C1として示されている。
【0031】上記のようにして、ステップS5で動作回転数Nを算出した後、現在のモータ・ジェネレータ3の回転数が動作回転数Nを越えているか否かが判断される(ステップS6)。このステップS6で肯定的に判断された場合は、バッテリ9からキャパシタ11に供給する電力の電圧を、DC/DCコンバータ12で昇圧させ、その電力をキャパシタ11に供給し(ステップS7)、ステップS2に戻る。すなわち、モータ・ジェネレータ3により発生された電力をキャパシタ11に蓄電する場合に、モータ・ジェネレータ3の発電量が、発電特性B1に対応する発電量に制御される。
【0032】一方、前記ステップS6で否定的に判断された場合は、DC/DCコンバータ12の動作をオフし(ステップS8)、ステップS2に戻る。すなわち、バッテリ9の電力はキャパシタ11には供給されないとともに、モータ・ジェネレータ3の発電量が、発電特性A1に対応する発電量に制御される。また、前記ステップS3で否定的に判断された場合も、ステップS8に進む。
【0033】以上のように、この実施例によれば、制動要求に基づいて、モータ・ジェネレータ3およびオルタネータ8により回生制動力を発生させ、かつ、モータ・ジェネレータ3により発生した電力をキャパシタ11に蓄電する場合に、モータ・ジェネレータ3の発電量がなるべく多くなるように、DC/DCコンバータ12の動作を制御している。したがって、キャパシタ11による電力の回収量が増加する。
【0034】また、この実施例では、バッテリ9の電力の電圧を、DC/DCコンバータ12で昇圧させてキャパシタ11に供給しているが、このDC/DCコンバータ12は、バッテリ9とキャパシタ11との間で電力を行き来させるために設けられている既存の部品であり、モータ・ジェネレータ3の発電量を増加するために、部品を新たに設ける必要はない。したがって、車両1の生産効率が低下すること、製造コストが上昇すること、装置が大型化および大重量化することを、それぞれ抑制できる。
【0035】また、バッテリ9からキャパシタ11に電力を供給すれば、バッテリ9の電圧が低下する。このバッテリ9は2次電池であり、図5に示すように、電圧が低下するほど、蓄電性能が向上する(充電抵抗が低下する)特性を備えている。したがって、オルタネータ8で発生した電力をバッテリ9に蓄電する場合に、電力の回収量が増加する。
【0036】上記のように、この実施例では、モータ・ジェネレータ3の回転数が動作回転数Nよりも高くなるような高車速において、モータ・ジェネレータ3およびオルタネータ8の発電による電力の回収量が増加する。したがって、エンジン出力によりモータ・ジェネレータ3またはオルタネータ8を発電機として駆動させ、その電力をキャパシタ11またはバッテリ9に蓄電する機会(具体的には蓄電回数、蓄電時間)が少なくなり、燃費が向上する。
【0037】ところで、ドライバーの制動要求に基づいて車両1に対して制動力を作用させる場合に、要求制動力に対して、モータ・ジェネレータ3およびオルタネータ8で発生する回生制動力で負担できない分は、摩擦ブレーキ18で負担することになる。これに対して、この実施例では摩擦ブレーキ18で負担する制動力をなるべく少なくすることができる。したがって、制動エネルギが摩擦ブレーキ18で摩擦熱として失われる量の増加を抑制できる。なお、図4およびその説明では、発電特性A1を基準として、他の発電特性を算出する方法を例示しているが、予めキャパシタ11の電圧毎に動作回転数をマップ化し、そのマップを電子制御装置13に記憶しておいてもよい。
【0038】ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS1ないしステップS6が、この発明の発電量判断手段に相当し、ステップS7およびステップS8が、この発明の蓄電性能制御手段に相当する。また、この実施例で説明した事項と、各請求項に記載された事項との対応関係を説明すれば、モータ・ジェネレータ3がこの発明の第1の発電機に相当し、キャパシタ11がこの発明の第1の蓄電装置に相当し、オルタネータ8がこの発明の第2の発電機に相当し、バッテリ9がこの発明の第2の蓄電装置に相当し、DC/DCコンバータ12が、この発明の中継装置に相当する。また、ステップS6でモータ・ジェネレータ3の実際の回転数と動作回転数Nとを比較して、第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かが判断される。
【0039】(第2の実施例)図6は、車両1の概略構成を示す概念図である。図6において、図2の構成と同じ部分については、図2と同じ符号を付してその説明を省略する。図6においては、オルタネータ8とバッテリ9との間の回路に、電源切り替え部(切り替えスイッチ)20が設けられている。この電源切り替え部20の切り替えにより、オルタネータ8により発電された電力を、バッテリ9またはキャパシタ11に対して選択的に充電することができる。そして、図6のシステムにおいて、図1の制御例以外の制御および作用は、図2のシステムについて述べた場合と同じである。
【0040】つぎに、図6のシステムにおいて、実施可能な制御例を図7のフローチャートに基づいて説明する。まず、“モータ・ジェネレータ3を発電機として機能させ、その電力をキャパシタ11に蓄電するべき状態にあるか否か”が判断される(ステップS11)。このステップS11では、ブレーキマスタシリンダ15の油圧、ブレーキペダル14のストローク、車速変化量などの物理量が、あるしきい値を越えたか否かが判断基準として用いられる。
【0041】例えば、加速要求がなく、かつ、制動要求があり、車両1が惰力走行している場合は、ステップS11で肯定的に判断されてステップS12に進む。ステップS12では、車輪6の運動エネルギがモータ・ジェネレータ3に伝達され、そのモータ・ジェネレータ3で発生した電力が、キャパシタ11に蓄電される。
【0042】このステップS12についで、要求制動力が、モータ・ジェネレータ3の機能により発生する回生制動力の最大値を越えているか否かが判断される(ステップS13)。前記要求制動力は、ブレーキマスタシリンダ15の油圧、ブレーキペダル14のストローク量などにより判断される。言い換えれば、ステップS13では、オルタネータ8の発電により回生制動力を増加する要求の有無が判断される。このステップS13で肯定的に判断されるということは、オルタネータ8による発電量の要求が、所定量以上であることを意味する。そして、ステップS13で肯定的に判断された場合は、ロックアップクラッチ17が係合されているか否かが判断される(ステップS14)。このステップS14で肯定的に判断されるということは、車輪6の運動エネルギの一部がオルタネータ8に伝達されて、オルタネータ8により発電がおこなわれていることを意味している。そこで、オルタネータ8の発電量が最大となっているか否かが判断される(ステップS15)。
【0043】このステップS15で否定的に判断された場合は、オルタネータ8で発生した電力をキャパシタ11に充電する場合の発電量の予測値と、オルタネータ8で発生した電力をバッテリ9に充電している場合の発電量の現状値とを比較し、発電量の予測値の方が発電量の現状値よりも多いか否かが判断される(ステップS16)。
【0044】前記発電量の予測値は、F(Vcap,Nalt,Ialtmax) ・・・(式1)
で求められる。また、発電量の現状値は、F(Vbat,Nalt,Ialt ) ・・・(式2)
で求められる。上記の各式において、式1のF(a、b、c)はモータ・ジェネレータ3の出力特性の関数であり、式2のF(a,b,c)はオルタネータ8の出力特性の関数である。また、Vcap はキャパシタ11の電圧であり、Nalt はオルタネータ8の回転数であり、Ialtmaxはオルタネータ8の最大励磁電流であり、Vbat はバッテリ9の電圧であり、Ialt はオルタネータ8の現在の励磁電流である。
【0045】そして、ステップS16で肯定的に判断された場合は、ステップS17を経由してこの制御ルーチンを終了する。前記ステップS16で肯定的に判断されるということは、オルタネータ8で実行可能な発電量が、現状の発電量(所定値)以上であることを意味している。そこで、ステップS17では、まず、キャパシタ11の電力を、その電圧をDC/DCコンバータ12で降圧してバッテリ9に供給する。つぎに、オルタネータ8の発電を一旦停止し、かつ、電源切り替え装置20を制御して、オルタネータ8とキャパシタ11との間の回路を接続する。その後、オルタネータ8による発電を再開し、その電力をキャパシタ11に充電する。なお、オルタネータ8およびモータ・ジェネレータ3により発生する回生制動力を、要求制動力に近づけるように、オルタネータ8およびモータ・ジェネレータ3の発電量を制御する。
【0046】これに対して、前記ステップS16で否定的に判断された場合は、ステップS18を経由してこの制御ルーチンを終了する。このステップS18では、オルタネータ8とバッテリ9との間の回路が接続された状態が継続される。また、キャパシタ11の充電量により、以下のように異なる制御がおこなわれる。まず、キャパシタ11の充電量が所定値以上である場合は、キャパシタ1の電力を、その電圧をDC/DCコンバータにより降圧してバッテリ9に供給する。このとき、オルタネータ8による発電は停止する。一方、キャパシタ11の充電量が所定値未満である場合は、キャパシタ11の電力はバッテリ9に供給されない。また、オルタネータ8により発生された電力により、バッテリ9を満充電する制御がおこなわれる。
【0047】なお、ステップS15で肯定的に判断された場合はステップ18に進む。また、ステップS14で否定的に判断された場合もステップS18に進むが、ロックアップクラッチ17が解放されているため、前述したステップS18の制御のうち、オルタネータ8による発電制御はおこなえない。さらに、ステップS13で否定的に判断された場合もステップS18に進むが、要求制動力を、モータ・ジェネレータ3の回生制動力で確保することができるため、ステップS18の制御のうち、“キャパシタ11の電力をバッテリ9に供給し、かつ、オルタネータ8の発電を停止する制御”のみをおこなう。さらに、ステップS11で否定的に判断された場合もステップS18に進む。
【0048】このように、図7の制御例においては、オルタネータ8に対する要求発電量が所定量以上となった場合に、オルタネータ8の電力の蓄電対象として、キャパシタ11を選択している。そして、キャパシタ11の電圧はバッテリ9の電圧よりも高く、かつ、電力の受け入れ性が高いという特性を有しているため、オルタネータ8の実際の発電量を増加することができる。
【0049】したがって、オルタネータ8の発電により発生する電力の回収量が増加する。また、キャパシタ11は、モータ・ジェネレータ3との間で電力の行き来をおこなうために、予め設けられている部品であるため、オルタネータ8の発電量を増加するために、新たな部品を増加する必要はない。したがって、車両1の生産効率が低下すること、製造コストが上昇すること、装置が大型化および大重量化することを、それぞれ抑制できる。
【0050】さらに、電源切り替え部20として、オルタネータ8の発電を継続したまま、その切り替えをおこなうことのできるもの、例えば半導体素子を用いたものを使用することもできる。このように構成すれば、前記ステップS17でオルタネータ8による発電を一旦停止する必要がなくなるため、車両1に作用する制動力の変化が抑制され、ドライバーが違和感を持ちにくくなる。
【0051】さらにまた、図7の制御例では、オルタネータ8で発電される電力量が増加し、その電力をキャパシタ11に蓄電したり、キャパシタ11からバッテリ9に供給したりできるため、エンジン出力によりモータ・ジェネレータ3またはオルタネータ8を発電機として駆動させ、その電力をキャパシタ11またはバッテリ9に蓄電する機会(具体的には蓄電回数、蓄電時間)が少なくなり、燃費が向上する。さらに、オルタネータ8の発電量を可及的に増加し、その電力をキャパシタ11に供給するため、キャパシタ11に電力を供給するモータ・ジェネレータ3の出力が低くて(少なくて)も済み、モータ・ジェネレータ3の体格を小型化できる。
【0052】ここで、図7に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS13、ステップS16がこの発明の発電量判断手段に相当し、ステップS17、ステップS18がこの発明の発電状態制御手段に相当する。また、図6および図7で説明した事項と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、オルタネータ8がこの発明の第1の発電機に相当し、バッテリ9がこの発明の第1の蓄電装置に相当し、モータ・ジェネレータ3がこの発明の第2の発電機に相当し、キャパシタ11がこの発明の第2の蓄電装置に相当する。
【0053】なお、図2、図6に示す車両1は、エンジン2およびモータ・ジェネレータ3が、共に同じ車輪6に対して動力伝達可能に構成されているパワートレーンを有しているが、エンジンが動力伝達可能に連結される車輪と、モータ・ジェネレータが連結される車輪とが異なるように、パワートレーンが構成されている車両(図示せず)に対しても、図1、図7の制御例を適用できる。また、各実施例において、蓄電装置の一例として挙げているキャパシタ11およびバッテリ9は、共に2次電池であるが、蓄電装置が1次電池である場合にも、請求項2以外の発明を適用できる。
【0054】ここで、第1の実施例に開示された特徴的な構成を記載すれば、以下のとおりである。すなわち、第1の発電機で発生される電力を第1の蓄電装置に供給するとともに、前記第1の蓄電装置と、この第1の蓄電装置とは別に設けられている第2の蓄電装置との間で、中継装置を介して電力が行き来するとともに、第1の蓄電装置は電圧が高くなるほど、蓄電性能が高まる特性を備えている回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、前記第1の発電機の発電量が所定量以上である場合に、前記第2の蓄電装置の電力を中継装置を介して前記第1の蓄電装置に供給し、第1の蓄電装置の電圧を高める蓄電性能制御手段とを備えていることを特徴とする回生装置の制御装置である。
【0055】また、第2の実施例に開示された特徴的な構成を記載すれば、以下のとおりである。すなわち、第1の発電機の電力を第1の蓄電装置に蓄電するとともに、第2の発電機の電力を第2の蓄電装置に蓄電するとともに、前記第1の蓄電装置よりも前記第2の蓄電装置の方が、電力の受入量が多い特性を有する回生装置の制御装置において、前記第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かを判断する発電量判断手段と、前記第1の発電機の発電量が所定量以上である場合は、この第1の発電機の電力を前記第2の蓄電装置に供給して、前記第1の発電機の発電量を増加させるか否かを判断する発電状態制御手段とを備えていることを特徴とする回生装置の制御装置である。
【0056】なお、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された“発電量判断手段”を“発電量判断器”または“発電量判断用コントローラ”と読み替え、“蓄電性能制御手段”を“蓄電性能制御器”または“蓄電性能制御用コントローラ”と読み替えることもできる。この場合、電子制御装置13が、発電量判断器、蓄電性能制御器、発電量判断用コントローラ、蓄電性能制御用コントローラに相当する。また、特許請求の範囲の請求項1、2に記載された“発電量判断手段”を“発電量判断ステップ”と読み替え、“蓄電性能制御手段”を“蓄電性能制御ステップ”と読み替え、かつ、“回生装置の制御装置”を“回生装置の制御方法”と読み替えることもできる。
【0057】また、特許請求の範囲の請求項3に記載された“発電量判断手段”を“発電量判断器”または“発電量判断用コントローラ”と読み替え、“発電状態制御手段”を“発電状態制御器”または“発電状態制御用コントローラ”と読み替えることもできる。この場合、電子制御装置13が、発電量判断器、発電状態制御器、発電量判断用コントローラ、発電状態制御用コントローラに相当する。また、特許請求の範囲の請求項3に記載された“発電量判断手段”を“発電量判断ステップ”と読み替え、“発電状態制御手段”を“発電状態制御ステップ”と読み替え、かつ、“回生装置の制御装置”を“回生装置の制御方法”と読み替えることもできる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、第2の蓄電装置の電力を中継装置を介して第1の蓄電装置に供給し、第1の蓄電装置の電圧を高めることができる。したがって、第1の発電機の発電量が増加し、第1の発電機により発生する電力の回収量が増加する。また、中継装置は、第1の蓄電装置と第2の蓄電装置との間で、電力の行き来をさせるために、予め設けられている部品であるため、既存の部品に加えて他の部品を設ける必要はない。したがって、制御装置の生産効率が低下すること、製造コストが上昇すること、制御装置が大型化および大重量化することを、それぞれ抑制できる。
【0059】請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、第2の蓄電装置から第1の蓄電装置に電力を供給することにより、第2の蓄電装置の電圧が低下する。この第2の蓄電装置は電圧が低下するほど、蓄電性能が向上する(充電抵抗が低下する)特性を備えているため、第2の発電機から第2の蓄電装置に蓄電する場合の電力量が増加する。
【0060】請求項3の発明によれば、第1の発電機の発電量が所定量以上であるか否かが判断され、その判断結果に基づいて、第1の発電機の電力を第2の蓄電装置に供給して第1の発電機の発電量を増加させるか否かが判断される。したがって、第1の発電機を起動して回収できる電力量を増加することができる。また、第2の蓄電装置は、予め設けられている部品であるため、新たな部品をも受ける必要はない。したがって、制御装置の生産効率が低下すること、製造コストが上昇すること、制御装置が大型化および大重量化することを、それぞれ抑制できる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年4月9日(2002.4.9)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2003−304601(P2003−304601A)
【公開日】 平成15年10月24日(2003.10.24)
【出願番号】 特願2002−107071(P2002−107071)