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【発明の名称】 電力回生装置
【発明者】 【氏名】佐原 良通
【住所又は居所】静岡県湖西市梅田390番地 アスモ株式会社内

【要約】 【課題】本発明の目的は、車両が走行中に受ける走行風により得られる風力エネルギによって電力を発生させることができる電力回生装置を提供することにある。

【解決手段】本発明は、回転電機で発生した電力を回生するための車両用電力回生装置に関する。本発明の電力回生装置1は、車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファン10と、このファン10の走行風による回転に伴って電力を発生するファンモータ20と、このファンモータ20で発生した電力を回生する電力回生回路30と、この電力回生回路30によって回生された電力を蓄積するバッテリ40と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファンと、該ファンの走行風による回転に伴って電力を発生する回転電機と、該回転電機で発生した電力を回生する電力回生回路と、該電力回生回路によって回生された電力を蓄積するバッテリと、を備えたことを特徴とする電力回生装置。
【請求項2】 前記ファンは、車両に配設されたラジエータを冷却させるためのラジエータ冷却用ファンで構成され、前記回転電機は、前記ラジエータ冷却用ファンを回転駆動させるために車両に配設されたラジエータ冷却用ファンモータで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力回生装置。
【請求項3】 前記電力回生回路は、前記回転電機と直列に接続されると共に前記回転電機で発生した電圧を昇圧させる昇圧用コイルと、該昇圧用コイルと並列に接続されると共に前記昇圧用コイルに流れる短絡電流のスイッチング動作を行うチョップ部と、該チョップ部をチョッパ制御する制御回路部と、を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力回生装置。
【請求項4】 前記回転電機は、ブラシレスモータで構成され、前記電力回生回路は、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子と各スイッチング素子に並列接続された複数のダイオードとからなるインバータ回路部と、前記複数のスイッチング素子に対して、前記ブラシレスモータを回転駆動させるための回転駆動制御信号を出力すると共に前記ブラシレスモータで発生した電力を回生させるための回生制御信号を出力する制御回路部と、を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電力回生装置。
【請求項5】 前記回転電機には、前記バッテリとは別に、前記回転電機に駆動電圧を出力する回転駆動用バッテリが接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電力回生装置。
【請求項6】 前記ファン及び前記回転電機が、それぞれ複数備えられ、複数の前記回転電機は、前記バッテリに直列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電力回生装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力回生装置に係り、特に、回転電機で発生した電力を回生するための車両用の電力回生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電気自動車、ハイブリッド車、内燃機関自動車等の車両には、電力を回生するための電力回生装置が備えられている。この電力回生装置は、車両の駆動軸に連結された回転電機を利用して、車両の制動時における機械的エネルギを電力に変換し、この電力を回生してバッテリを充電させるように構成されている。
【0003】そして、上記車両では、電力回生装置によって、バッテリを充電させることで、バッテリの消費電力に対する充電電力の電力収支の向上が図られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の電力回生装置では、バッテリを充電させるために、車両の駆動軸から得られる機械的エネルギが利用されており、車両が走行中に受ける走行風により得られる風力エネルギは利用されていなかった。
【0005】特に、ラジエータを有する車両には、ラジエータを冷却するためのファン及びファンを回転させるためのファンモータが設けられているが、車両の高速走行時に、ファンモータの電源がオフの状態になってファンが回転していても、ファンの回転により得られる風力エネルギは、電力を発生させるためのエネルギとして利用されていなかった。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、車両が走行中に受ける走行風により得られる風力エネルギによって電力を発生させることができる電力回生装置を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、車両における電力収支を向上させることができる電力回生装置を提供することにある。
【0008】また、本発明の他の目的は、部品コストを増加させることなく、電力を回生することができる電力回生装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題は、請求項1に記載の電力回生装置によれば、車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファンと、該ファンの走行風による回転に伴って電力を発生する回転電機と、該回転電機で発生した電力を回生する電力回生回路と、該電力回生回路によって回生された電力を蓄積するバッテリとを備えたこと、により解決される。
【0010】このように、車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファンと、このファンの走行風による回転に伴って電力を発生する回転電機と、を備えていると、車両が走行中に受ける走行風によってファンを回転させることができ、このファンの回転によって回転電機を回転させて電力を発生させることができるので、車両が走行中に受ける走行風により得られる風力エネルギを、電力を発生させるためのエネルギとして利用することができる。
【0011】また、回転電機で発生した電力を回生する電力回生回路と、この電力回生回路によって回生された電力を蓄積するバッテリと、を備えていると、回転電機で発生した電力が、電力回生回路を介してバッテリに回生されて蓄積されるので、車両における電力収支を向上させることができる。
【0012】また、請求項1に記載の電力回生装置において、ファンが車両に配設されたラジエータを冷却させるためのラジエータ冷却用ファンで構成され、回転電機がラジエータ冷却用ファンを回転駆動させるために車両に配設されたラジエータ冷却用ファンモータで構成されていると好適である。
【0013】このように構成すると、車両に備えられた既存のラジエータ冷却用ファンおよびラジエータ冷却用ファンモータと、本電力回生装置のファン及び回転電機とを兼用することができるので、部品コストを増加させることなく、電力を回生させることができる。
【0014】また、請求項1に記載の電力回生装置において、電力回生回路が、回転電機と直列に接続されると共に回転電機で発生した電圧を昇圧させる昇圧用コイルと、この昇圧用コイルと並列に接続されると共に昇圧用コイルに流れる短絡電流のスイッチング動作を行うチョップ部と、このチョップ部をチョッパ制御する制御回路部と、を有して構成されていると好適である。
【0015】このように構成すると、回転電機で発生した電圧を昇圧させることができるので、より大きな電力をバッテリに回生させることができる。また、車両が中低速で走行している場合でも、昇圧用コイルを用いて回転電機で発生した電圧を昇圧させることにより、回転電機で発生した電圧をバッテリの出力電圧よりも高く維持することができるので、バッテリに電力を回生させることができる。
【0016】また、請求項1に記載の電力回生装置において、回転電機がブラシレスモータで構成され、電力回生回路が、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子と各スイッチング素子に並列接続された複数のダイオードとからなるインバータ回路部と、複数のスイッチング素子に対して、ブラシレスモータを回転駆動させるための回転駆動制御信号を出力すると共にブラシレスモータで発生した電力を回生させるための回生制御信号を出力する制御回路部と、を有して構成されていると好適である。
【0017】このように、回転電機がブラシレスモータで構成されると、モータ駆動動作時には、比較的少ない電力でモータ駆動制御を行うことができるので、モータ駆動効率を向上させることができる。
【0018】また、電力回生回路がインバータ回路部と制御回路部とを備えると、電力を回生するだけでなく、モータの駆動制御を行うこともできるので、モータを駆動させるための駆動制御回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。さらに、インバータ回路部を用いて、発電動作と昇圧チョッパ動作とを同時に行わせることができるので、電力回生動作の効率を向上させることができる。
【0019】また、請求項1に記載の電力回生装置において、回転電機には、バッテリとは別に、回転電機に駆動電圧を出力する回転駆動用バッテリが接続されていると好適である。
【0020】このようにすると、バッテリの充電状態に依存することなく、回転駆動用バッテリを用いて回転電機を回転駆動させることができるので、電力回生動作時に、回転電機で発生した電圧を、バッテリの出力電圧よりも高くなるように昇圧させる昇圧回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。
【0021】また、請求項1に記載の電力回生装置において、ファン及び回転電機がそれぞれ複数備えられ、この複数の回転電機がバッテリに直列接続されていると好適である。
【0022】このようにすると、複数の回転電機で発生する合計電圧値を、1個あたりの回転電機の発生電圧値に、直列に接続された回転電機の個数を掛け合わせた値とすることができるので、車両が中低速で走行している場合でも、複数の回転電機で発生する合計電圧をバッテリの出力電圧よりも高く維持することができ、これにより、バッテリに電力を回生させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
【0024】図1乃至図4は、本発明の一実施形態を示す図で、図1は、電力回生装置の全体構成を示すブロック図であり、図2乃至図4は、電力回生回路の構成をより具体的に示す説明図で、図2は、第一実施形態に係る説明図、図3は、第二実施形態に係る説明図、図4は、第三実施形態に係る説明図である。
【0025】(第一実施形態)図1に示す本発明の第一実施形態に係る電力回生装置1は、内燃機関自動車等の車両において、電力の回生に用いられるものであり、ファン10と、回転電機としてのファンモータ20と、電力回生回路30と、バッテリ40と、を有して構成されている。
【0026】ファン10は、車両前方に搭載されたエンジン600のラジエータ610を冷却するためのもので、回転軸11と、この回転軸11に配設された複数枚の羽根12とから構成されている。また、ファン10は、ファンモータ20に連結され、車両が走行中に受ける走行風によって回転することができるように構成されている。
【0027】ファンモータ20は、図2に示すように、3相の電機子巻線21と各電機子巻線21に配線接続されたコンミテータ22とからなるロータ23と、ブラシ24a,24bと、永久磁石からなるステータ25と、を備えた直流型回転電機で構成され、ファン10を回転駆動させると共に、ファン10の走行風による回転に伴って電力を発生することができるように構成されている。
【0028】ブラシ24a,24bは、図示しないスプリング等でコンミテータ22に押圧当接され、これにより、バッテリ40から流れる電流がコンミテータ22を介して各電機子巻線21に流れるようになっている。
【0029】電力回生回路30は、切替スイッチ31と、ダイオード32と、制御回路部33と、各電源線34a,34b,35,36とからなる電気回路で構成され、ファンモータ20で発生した電力を回生すると共に、切替スイッチ31を切替動作させることにより、ファンモータ20に電力を供給することができるように構成されている。
【0030】切替スイッチ31は、端子31a,端子31b,共通端子31cを有して構成され、制御回路部33からの指令信号に応じて、共通端子31cとの接続を端子31a若しくは端子31bに切り替えることができるように構成されている。なお、切替スイッチ31は、好ましくはリレースイッチが用いられるが、他にも、トランジスタや、FET(電界効果トランジスタ)、IGBT(ゲート絶縁形バイポーラトランジスタ)が用いられても良い。
【0031】切替スイッチ31の端子31aは、陽極電源線34aを介してバッテリ40の陽極端子に接続され、端子31bは、ダイオード32のアノード端子に接続されている。切替スイッチ31の共通端子31cは、陽極電源線34bを介してファンモータ20のブラシ24aに接続され、ブラシ24bは、陰極電源線35を介してバッテリ40の陰極端子に接続されている。
【0032】ダイオード32は、順方向にのみ電流を流すことができる整流素子で構成され、そのカソード端子が電力回生用電源線36を介して陽極電源線34aに接続されることにより、バッテリ40からの電流の流れに対して逆方向になるように配線接続されている。
【0033】制御回路部33は、所定の入力信号に応じて電気的な処理を行うことが可能な電気回路で構成され、車両に搭載された中央制御装置620からの指令信号に基づいて、切替スイッチ31に、回路切替動作を行わせるための切替信号を出力することができるように構成されている。
【0034】バッテリ40は、直流型の蓄電池で構成され、ファンモータ20に所定の電圧を出力すると共に、切替スイッチ31の回路切替動作に応じて、電力回生回路30によって回生された電力を蓄積することができるように構成されている。
【0035】以上の各構成により、電力回生装置1は、中央制御装置620から出力される指令信号に応じて、ファンモータ20を駆動させる動作(以下、モータ駆動動作と言う)と、ファンモータ20からの電力を回生する動作(以下、電力回生動作と言う)とを切り替えて行うことができるようになっている。
【0036】以下に、本発明の第一実施形態に係る電力回生装置1の電力回生動作およびモータ駆動動作について説明する。
【0037】はじめに、電力回生装置1のモータ駆動動作について説明する。図1に示す中央制御装置620は、ラジエータ610の内部に配設された図示しない冷却水温度センサからの検出信号を所定の間隔で入力し、冷却水の温度が規定値を上回っていると判断した場合には、図2に示す電力回生装置1の制御回路部33に、ファンモータ20を駆動すべき旨のモータ駆動指令信号を出力する。
【0038】制御回路部33は、前記モータ駆動指令信号を入力すると、切替スイッチ31に、バッテリ40からの電流をファンモータ20に流すべき旨の切替信号を出力する。そして、切替スイッチ31は、前記切替信号に基づいて、端子31aと共通端子31cとを接続するように回路切替動作を行う。
【0039】この回路切替動作によって、端子31aと共通端子31cとが接続されると、バッテリ40の電圧が、ファンモータ20のブラシ24a,24b間に印加され、バッテリ40の陽極端子からブラシ24aに電流が流れる。
【0040】ブラシ24aに流れてきた電流は、コンミテータ22によって各電機子巻線21に整流され、これにより、電流が流れた電機子巻線21は磁界を発生する。そして、電機子巻線21から生ずる磁界と、ステータ25に発生する磁界との吸引、反発力によりロータ23が回転し、この回転力がファン10に伝達されてファン10が回転する。
【0041】このようにして、電力回生装置1は、ファン10を回転させることにより、ラジエータ610に冷却風を吹き付けて、ラジエータ610を冷却させることができる。
【0042】次に、電力回生装置1の電力回生動作について説明する。中央制御装置620は、前記冷却水温度センサからの検出信号に基づき、冷却水の温度が規定値を下回っていると判断した場合には、電力回生回路30の制御回路部33にファンモータ20を停止させる旨のモータ停止指令信号を出力する。
【0043】制御回路部33は、前記モータ停止指令信号を入力すると、切替スイッチ31に、ファンモータ20への電力供給を停止させるべく切替信号を出力する。そして、切替スイッチ31は、前記切替信号に基づいて回路切替動作を行う。
【0044】この回路切替動作によって、端子31aと共通端子31cとの接続が解除され、端子31bと共通端子31cとが接続されると、バッテリ40からファンモータ20への電力供給が停止されることにより、ファン10が外力により回転可能な状態になる。
【0045】この状態で、車両が高速走行を行うと、車両の前方から流入する走行風がラジエータ610を介してファン10に当り、これにより、ファン10がファンモータ20の駆動時における回転方向と同じ方向に回転する。
【0046】ファン10が走行風により回転すると、ファンモータ20のロータ23は、駆動時における回転方向と同じ方向に回転する。このようにして、ロータ23が回転すると、ステータ25の磁界中を3相の電機子巻線21が順次横切るので、各電機子巻線21を貫く磁束の変化し、これによりブラシ24a,24b間に、ブラシ24a側をプラスの電位とする誘導起電力が生じる。
【0047】そして、このブラシ24a,24b間に生ずる誘導起電力は、ロータ23の回転数に比して増大し、やがてブラシ24a,24b間に生じた誘導起電力による誘起電圧がバッテリ40の出力電圧を上回ると、ブラシ24aからバッテリ40の陽極端子に回生電流が流れ、バッテリ40が充電される。
【0048】このようにして、本実施形態の電力回生装置1は、車両が走行中に受ける走行風により得られる風力エネルギを利用してファンモータ20で電力を発生させ、この電力を電力回生回路30によって回生させることによりバッテリ40を充電させることができる。
【0049】このように本実施形態の電力回生装置1によれば、必要な電力がバッテリに回生されて蓄積されるので、車両における電力収支を向上させることができる。また、車両に備えられた既存のラジエータ冷却用ファンおよびラジエータ冷却用ファンモータと、本電力回生装置1のファン10およびファンモータ20とを兼用することができるので、部品コストを増加させることなく、電力を回生させることができる。
【0050】(第二実施形態)次に、本発明の第二実施形態に係る電力回生装置101について説明する。図3に示す本実施形態に係る電力回生装置101は、本発明の第一実施形態に係る電力回生装置1と同一のファン10、ファンモータ20、バッテリ40を有して構成されている。また、電力回生装置101には、第一実施形態に係る電力回生装置1の電力回生回路30とは異なる構成の電力回生回路130が用いられている。
【0051】電力回生回路130は、本発明の第一実施形態に係る電力回生回路30の概略同一の回路構成に、後述の昇圧用コイル137とチョップ部138とが所定位置に追加接続された構成となっている。また、電力回生回路130には、第一実施形態に係る電力回生回路30の制御回路部33とは異なる構成の制御回路部133が用いられている。
【0052】制御回路部133は、所定の入力信号に応じて電気的な処理を行うことが可能な電気回路で構成され、中央制御装置620からの指令信号に基づいて、切替スイッチ31に回路切替動作を行わせるための切替信号を出力し、チョップ部138にチョッパ制御させるためのチョッパ信号を出力することができるように構成されている。
【0053】昇圧用コイル137は、ファンモータ20で発生した電圧を昇圧させるためのもので、所定のインダクタンスを備えたインダクタで構成されている。昇圧用コイル137の端子137aは、ダイオード32のアノード端子に接続され、端子137bは、切替スイッチ31の端子31bに接続されている。なお、昇圧用コイル137のインダクタンスは、それを大きくすれば、より大きな昇圧効果が得られるが、インダクタでの電圧降下を考慮して、最適な値に設定されることが望ましい。
【0054】チョップ部138は、トランジスタで構成されており、制御回路部133からの切替信号をゲートに入力することにより、コレクタ−エミッタ間の導通、遮断を切り替えることができるように構成されている。すなわち、チョップ部138のゲートにHIGHレベル信号が入力されると、コレクタ−エミッタ間が導通し、チョップ部138のゲートにLOWレベル信号が入力されると、コレクタ−エミッタ間が遮断するように構成されている。
【0055】そして、チョップ部138において、ゲートは、制御回路部133に接続され、コレクタは、ダイオード32と昇圧用コイル137との間に接続され、エミッタは、陰極電源線35に接続されている。ところで、本実施形態では、チョップ部138にトランジスタが用いられているが、その他、FET(電界効果トランジスタ)、IGBT(ゲート絶縁形バイポーラトランジスタ)が用いられても良い。
【0056】なお、本発明の第二実施形態に係る電力回生装置101において、電力回生装置1と同一の構成要素であるファン10、ファンモータ20、バッテリ40についての説明は省略する。
【0057】そして、上記構成からなる電力回生装置101は、モータ駆動動作時に、制御回路部133から切替スイッチ31へ切替信号を出力することにより、切替スイッチ31の端子31aと共通端子31cとを接続するように回路切替動作を行い、これにより、ファンモータ20のブラシ24a,24b間にバッテリ40の電圧を印加してファン10を回転させることができる。
【0058】また、電力回生装置101は、電力回生動作時に、制御回路部133から切替スイッチ31へ切替信号を出力することにより、切替スイッチ31の端子31aと共通端子31cとの接続を解除し、端子31bと共通端子31cとを接続するように回路切替動作を行う。これにより、バッテリ40からファンモータ20への電力供給を停止させ、ファン10を外力により回転可能な状態にさせることができる。
【0059】この状態で、車両が走行を続けると、ファン10が走行風を受けることにより、ファンモータ20のロータ23は、駆動時における回転方向と同じ方向に回転し、これによりブラシ24a,24b間に、ブラシ24a側をプラスの電位とする誘導起電力が生じる。
【0060】ここで、車両の速度がそれほど速くないときには、ブラシ24a,24b間に生じる誘導起電力による誘起電圧が、バッテリ40の出力電圧よりも高くならない場合がある。
【0061】そこで、このような場合には、制御回路部133からチョップ部138のゲートにチョッパ信号を出力する。そして、チョップ部138は、ゲートにチョッパ信号が入力されると、その信号に応じて、コレクタ−エミッタ間の導通、遮断を行う。
【0062】このとき、チョップ部138のゲートに入力されたチョッパ信号がHIGHレベルになると、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間が導通するので、ブラシ24a,24b間に生じた誘起電圧によってブラシ24aから流れ出た電流は、昇圧用コイル137を通じて、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間を流れ、短絡電流としてブラシ24bに流れる。
【0063】このブラシ24bに流れてきた短絡電流は、電機子巻線21のうち、所定の電機子巻線を介して再びブラシ24aを通じ、昇圧用コイル137に流れる。このように、チョップ部138のゲートに入力されたチョッパ信号がHIGHレベルにあるときは、昇圧用コイル137に短絡電流が流れてエネルギが蓄積される。
【0064】そして、チョップ部138のゲートに入力されたチョッパ信号がLOWレベルになると、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間が遮断されるので、昇圧用コイル137に流れていた短絡電流は、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間を流れずに、バッテリ40の陽極端子に流れる。
【0065】このように、短絡電流がバッテリ40の陽極端子へ流れると、昇圧用コイル137に流れる短絡電流が減少するので、昇圧用コイル137の自己誘導作用により、昇圧用コイル137の両端子間に、端子137a側をプラスの電位とする誘導起電力が発生する。
【0066】従って、電力回生装置101の電力回生動作時には、ブラシ24a,24b間に生じた誘導起電力による誘起電圧に、昇圧用コイル137の両端子間に生じた誘導起電力による誘導電圧の分だけ昇圧させた電圧が、回生電圧としてバッテリ40に印加され、この回生電圧によって、バッテリ40に回生電流が流れる。
【0067】そして、バッテリ40に電力を効率よく回生させるためには、ロータ23の回転中に、制御回路部133からチョップ部138のゲートに出力するチョッパ信号を所定周波数のパルス信号にすればよい。このようすれば、昇圧用コイル137の昇圧チョッパ動作が盛んに行なわれるので、電機子巻線21で発生した電圧をより高く昇圧させることができる。
【0068】このようにして、電力回生装置101は、車両の速度がそれほど速くないときでも、ファンモータ20で発生した電圧を昇圧させることにより、回生電圧をバッテリ40の出力電圧よりも高く維持することができるので、バッテリ40を充電させることができる。
【0069】なお、回生電圧が、バッテリ40の定格電圧を超えてしまうような場合には、チョップ部138のゲートに出力するチョッパ信号のデューティ比(信号のHIGHレベルとLOWレベルの時間的比率)を下げればよい。このようにすれば、バッテリ40には、デューティ比に相応した平均電圧が印加されるため、回生電圧をバッテリ40の定格内に納めることが可能になる。
【0070】(第三実施形態)次に、本発明の第三実施形態に係る電力回生装置201について説明する。図4に示す本実施形態に係る電力回生装置201は、本発明の第一実施形態に係る電力回生装置1と同一のファン10およびバッテリ40を有して構成されている。また、電力回生装置201には、電力回生装置1のファンモータ20、第一実施形態に係る電力回生回路30とは異なる構成のファンモータ220、電力回生回路230がそれぞれ用いられている。
【0071】ファンモータ220は、U,V,Wの三相構造からなるブラシレスモータで構成され、永久磁石が複数配設されたロータ223と、星形結線された電機子巻線221U(U相)、221V(V相)、221W(W相)が巻回されたステータ225と、3極のホール素子が配設された位置検出器226とを有して構成されている。
【0072】ロータ223の回転軸にはファン10が連結されており、ファン10は、ロータ223の回転に伴って回転可能になっている。電機子巻線221U、221V、221Wの各末端部は、後述のインバータ回路部231の出力端子231U、231V、2321Wにそれぞれ接続され、位置検出器226の出力は、後述の制御回路部233に接続されている。
【0073】電力回生回路230は、インバータ回路部231と、制御回路部233と、各電源線234,235とからなる電気回路で構成され、ファンモータ220で発生した電力を回生すると共に、ファンモータ20を駆動制御することができるように構成されている。
【0074】インバータ回路部231は、トランジスタからなるスイッチング素子238a乃至238fと、ダイオード232a乃至232fとを有して構成されている。スイッチング素子238a乃至238fは、陽極電源線234と陰極電源線235との間で、U,V,Wの三相にブリッジ接続され、各ブリッジ接続部の中間部は、出力端子231U(U相)、231V(V相)、2321W(W相)にそれぞれ配線接続されている。また、スイッチング素子238a乃至238fのゲートは、制御回路部233にそれぞれ接続されている。
【0075】そして、スイッチング素子238a,238b,238cは、陽極電源線234から電機子巻線221U、221V、221Wへの電流の供給、停止をそれぞれスイッチングすることができるようになっており、スイッチング素子238d,238e,238fは、電機子巻線221U、221V、221Wから陰極電源線235への電流の流れをスイッチングすることができるようになっている。
【0076】なお、本実施形態では、チョップ部138にトランジスタが用いられているが、その他、FET(電界効果トランジスタ)、IGBT(ゲート絶縁形バイポーラトランジスタ)が用いられても良い。
【0077】ダイオード232a乃至232fは、順方向にのみ電流を流すことができる整流素子で構成され、各ブリッジ接続部において、各スイッチング素子238a乃至238fにそれぞれ並列接続されると共に、陽極電源線234から陰極電源線235への電流の流れに対して逆方向になるように配線接続されている。
【0078】制御回路部233は、所定の入力信号に応じて電気的な処理を行うことが可能な電気回路で構成され、車両に搭載された中央制御装置620からの指令信号に基づいて動作できるように構成されている。また、制御回路部233は、位置検出器226によるロータ位置検出信号に基づいて、スイッチング素子238a乃至238fのゲートに、所定の順序でスイッチング信号(チョッパ信号)を出力することができるようになっている。
【0079】なお、本発明の第三実施形態に係る電力回生装置201において、電力回生装置1と同一の構成要素であるファン10およびバッテリ40についての説明は省略する。
【0080】以上の各構成により、電力回生装置201は、中央制御装置620から出力される指令信号に応じて、ファンモータ220を駆動させる動作(以下、モータ駆動動作と言う)と、ファンモータ220からの電力を回生する動作(以下、電力回生動作と言う)とを切り替えて行うことができるようになっている。
【0081】以下に、本発明の第三実施形態に係る電力回生装置201の電力回生動作およびモータ駆動動作について説明する。
【0082】はじめに、電力回生装置201のモータ駆動動作について説明する。電力回生装置201は、中央制御装置620からのモータ駆動指令信号を入力すると、位置検出器226からのロータ位置検出信号に基づいて、制御回路部233からスイッチング素子238a乃至238fのゲートに、所定の順序でスイッチング信号を出力する。
【0083】スイッチング素子238a,238b,238cのゲートにそれぞれ入力されたスイッチング信号が、ロータ223の位置に応じて、HIGHレベルに順次切り替わると、スイッチング素子238a,238b,238cのコレクタ−エミッタ間が順次導通するので、バッテリ40の陽極から陽極電源線234に流れた電流が、所定の順序で電機子巻線221U、221V、221Wに流れる。
【0084】また、スイッチング素子238d,238e,238fのゲートにそれぞれ入力されたスイッチング信号が、ロータ223の位置に応じて、HIGHレベルに順次切り替わると、スイッチング素子238d,238e,238fのコレクタ−エミッタ間が順次導通するので、電機子巻線221U、221V、221Wに流れた電流が陰極電源線235に流れる。
【0085】このようにして、電機子巻線221U、221V、221Wに所定の順序で電流が流れると、電機子巻線221U、221V、221Wのうち、電流が流れた巻線とロータ223の永久磁石とが吸引、反発し、ロータ223が一定の速度で回転し、この回転力がファン10に伝達されてファン10が回転する。
【0086】このようにして、電力回生装置201は、ファン10を回転させることにより、ラジエータ610に冷却風を吹き付けて、ラジエータ610を冷却させることができる。
【0087】本実施形態では、ファンモータ20がブラシレスモータで構成されているので、比較的少ない電力でモータ駆動制御を行うことができ、モータ駆動効率を向上させることができる。
【0088】次に、電力回生装置201の電力回生動作について説明する。電力回生装置201の制御回路部233は、中央制御装置620からのモータ停止指令信号を入力すると、ファンモータ20への電力供給を停止させるべく、スイッチング素子238a,238b,238cのゲートへ出力するスイッチング信号を、すべてLOWレベルに切り替える。
【0089】これによって、バッテリ40から電機子巻線221U、221V、221Wへの電流の供給が停止されるので、ファンモータ220が停止し、ファン10が外力により回転可能な状態になる。そして、この状態から、ファン10が走行風を受けることにより回転すると、ファンモータ220のロータ223は、駆動時における回転方向と同じ方向に回転する。
【0090】このようにして、ロータ223が回転すると、ロータ223に配設された永久磁石によってステータ225に磁界の変化が与えられ、各電機子巻線221U,221V,221Wを貫く磁束の変化し、これにより各電機子巻線221U,221V,221Wに、インバータ回路部231に電流を流そうとする向きをプラスの電位とする誘導起電力が生じる。
【0091】そして、ロータ223が回転している状態において、スイッチング素子238d,238e,238fのゲートへ出力するスイッチング信号を全てHIGHレベルにすると、スイッチング素子238d,238e,238fの各コレクタ−エミッタ間が導通するので、電機子巻線221U、221V、221Wに生じた誘起電圧による電流が、対応するスイッチング素子およびダイオードを介して他の電機子巻線に流れた後、短絡電流として再び元の誘導起電力を発生した電機子巻線に流れる。この短絡電流は、当該電機子巻線において、エネルギとして蓄積される。
【0092】その後、スイッチング素子238d,238e,238fのゲートへ出力するスイッチング信号をLOWレベルにすると、上記ロータ223と特定の位置関係にある特定相の電機子巻線に流れる電流が減少するため、上記誘起電圧に、さらに当該電機子巻線における自己誘導作用による誘起電圧が加えられて昇圧される。そして、この昇圧された誘導電圧によって、上記特定相の電機子巻線から流れる電流が、ダイオード232a乃至232cのうち当該特定相の電機子巻線に接続されたダイオードを介して陽極電源線234に流れ、バッテリ40に回生される。
【0093】本例の電力回生装置201について、さらに具体的な例を用いて説明すれば、電機子巻線221Uに誘導起電力が生じた場合には、この誘導起電力による誘起電圧よって流れる電流が、スイッチング素子238dおよびダイオード232e、232fを介して電機子巻線221V、221Wに流れた後、短絡電流として再び電機子巻線221Uに流れ、この短絡電流が電機子巻線221Uにおいて、エネルギとして蓄積されることになる。その後、電機子巻線221Uから流れた電流は、ダイオード232a、陽極電源線234を介してバッテリ40に回生されることになる。
【0094】そして、バッテリ40に電流を効率よく回生させるためには、ロータ223の回転中に、スイッチング素子238d,238e,238fの各ゲートに所定の周波数のチョッパ信号を出力すればよい。このようすれば、ロータ223の位置に応じて、電機子巻線221U、221V、221Wによる発電動作と、昇圧チョッパ動作が同時に行なわれることになるので、電機子巻線221U、221V、221Wにて発電される回生電圧をバッテリの出力電圧よりも高く維持することができる。
【0095】このようにして、電力回生装置201は、車両の速度がそれほど速くないときでも、回生電圧をバッテリ40の出力電圧よりも高くなるように昇圧させることができ、これにより、バッテリ40を充電させることができる。
【0096】また、上述のように、電力回生回路230は、インバータ回路部231と制御回路部233とを備えているので、電力を回生するだけでなく、モータの駆動制御を行うこともできるため、モータを駆動させるための駆動制御回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。
【0097】なお、本実施形態において、回生電圧がバッテリ40の定格電圧を超えてしまうような場合には、スイッチング素子238d,238e,238fの各ゲートに出力するチョッパ信号のデューティ比を下げればよい。このようにすれば、バッテリ40には、デューティ比に相応した平均電圧が印加されるため、回生電圧をバッテリ40の定格内に納めることが可能になる。
【0098】また、本実施形態では、スイッチング素子238d,238e,238fの全てのゲートにチョッパ信号を出力して、電機子巻線221U、221V、221Wの誘起電圧を昇圧させていたが、スイッチング素子238d,238e,238fのうち、一つ又は二つのスイッチング素子のゲートにチョッパ信号を出力して所定の電機子巻線の誘起電圧を昇圧させても良い。
【0099】また、スイッチング素子238d,238e,238fをチョッパ制御するのと同じように、スイッチング素子238a,238b,238cのゲートにチョッパ信号を出力して所定のチョッパ制御を行うことにより、電機子巻線221U、221V、221Wのうち、所定の電機子巻線の誘起電圧を昇圧させても良い。
【0100】上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(イ)図1に示す電力回生装置1は、車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファン10と、このファン10の走行風による回転に伴って電力を発生するファンモータ20と、を備えているので、車両が走行中に受ける走行風によってファン10を回転させることができ、これによって得られた風力エネルギを、ファンモータ20を回転させて電力を発生させるためのエネルギとして利用することができる。
【0101】(ロ)また、電力回生装置1は、図2に示すように、ファンモータ20で発生した電力を回生する電力回生回路30と、この電力回生回路30によって回生された電力を蓄積するバッテリ40と、を備えているので、ファンモータ20で発生した電力を、電力回生回路30を介してバッテリ40に回生させて蓄積させることができるので、車両における電力収支を向上させることができる。
【0102】(ハ)また、電力回生装置1では、ファン10が車両に配設されたラジエータ610を冷却させるためのラジエータ冷却用ファンで構成され、ファンモータ20がラジエータ冷却用ファンを回転駆動させるために車両に配設されたラジエータ冷却用ファンモータで構成されているので、車両に備えられた既存のラジエータ冷却用ファンおよびラジエータ冷却用ファンモータと、本電力回生装置1のファン10およびファンモータ20とを兼用することができ、部品コストを増加させることなく、電力を回生させることができる。
【0103】(ニ)図3に示す電力回生装置101では、電力回生回路130が、ファンモータ20と直列に接続されると共にファンモータ20で発生した電圧を昇圧させる昇圧用コイル137と、この昇圧用コイル137と並列に接続されると共に昇圧用コイル137に流れる短絡電流のスイッチング動作を行うチョップ部138と、このチョップ部138をチョッパ制御する制御回路部133と、を有して構成されているので、ファンモータ20で発生した電圧を昇圧させることができ、より大きな電力をバッテリに回生させることができる。
【0104】(ホ)また、電力回生装置101では、昇圧用コイル137を用いてファンモータ20で発生した電圧を昇圧させることができるので、車両が中低速で走行している場合でも、ファンモータ20で発生した電圧をバッテリ40の出力電圧よりも高く維持することができ、バッテリ40に電力を回生させることができる。
【0105】(ヘ)図4に示す電力回生装置201では、ファンモータ220がブラシレスモータで構成されているので、比較的少ない電力でモータ駆動制御を行うことができ、モータ駆動効率を向上させることができる。また、電力回生回路230がインバータ回路部231と制御回路部233とを備えているので、電力を回生するだけでなく、ファンモータ20の駆動制御を行うこともできるため、モータを駆動させるための駆動制御回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。
【0106】(ト)また、電力回生装置201では、インバータ回路部231を用いて、発電動作と昇圧チョッパ動作とを同時に行わせることができるので、電力回生動作の効率を向上させることができる。
【0107】なお、本発明の実施の形態は、以下のように改変することができる。図5乃至図7は、本実施形態の改変例を示すもので、図5は、第一実施形態に係る電力回生装置1の第一改変例を示す図、図6は、第一実施形態に係る電力回生装置1の第二改変例を示す図、図7は、第二実施形態に係る電力回生装置101の改変例を示す図である。
【0108】(a)図1に示す電力回生装置1では、ファンモータ20が1機だけ用いられていたが、ファンモータ20が直列に複数接続されて構成されても良い。このように構成すると、複数のファンモータで発生する合計電圧値は、1個あたりのファンモータ20の発生電圧値に、直列に接続されたファンモータ20の個数を掛け合わせた値となるので、車両が中低速で走行している場合でも、複数のファンモータ20で発生する合計電圧をバッテリ40の出力電圧よりも高く維持することができ、バッテリ40に電力を回生させることができる。
【0109】上記改変例の一例として、図5に示す電力回生装置301では、電力回生回路30に2機のファンモータ20が直列に接続されている。
【0110】このような構成とすることにより、電力回生動作時には、ファンモータ20を1機備えた場合と比べて2倍の回生電圧を得ることができ、電力回収効率を向上させることができる。
【0111】(b)また、図1に示す電力回生装置1では、バッテリ40が電力回生動作とモータ駆動動作の両方を行わせるために用いられていたが、それぞれの動作を単独に行わせるためのバッテリが複数備えられていても良い。
【0112】上記改変例の一例として、図6に示す改変例に係る電力回生装置401では、電力回生回路30に2機のバッテリ440a,440bが並列に接続されている。
【0113】このようにすると、2機のバッテリのうち、例えば、一方のバッテリ440aを回生電力蓄積用として用い、他方のバッテリ440bをファンモータ20に電力を供給するための回転駆動用として用いることができる。従って、電力回生時において、ファンモータ20で発生した電圧を、バッテリ40の出力電圧よりも高くなるように昇圧させる必要がないため、電力回生回路に昇圧回路を設ける必要がなく、部品コストの増加を防ぐことができる。また、回生電力蓄積用のバッテリ440aの充電状態に依存することなく、モータ駆動用のバッテリ440bによりファンモータ20を回転駆動させることができる。
【0114】(c)また、図3に示す電力回生装置101では、電力回生回路130に昇圧用コイル137が直列に接続され、これにより電機子巻線21で発生した誘起電圧を昇圧させていたが、昇圧用コイル137を用いずに、電機子巻線21で発生した誘起電圧を昇圧するようにしても良い。
【0115】上記改変例の一例として、図7に示す改変例に係る電力回生装置501では、ダイオード32のアノード端子が切替スイッチ31の端子31bに配線接続されている。
【0116】このように構成しても、電力回生時にチョップ部138をチョッパ制御させることで、電機子巻線21の自己誘導作用により誘起電圧を昇圧させてバッテリ40を充電させることができる。
【0117】すなわち、制御回路部133からチョップ部138のゲートに入力されたチョッパ信号がHIGHレベルになると、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間が導通するので、ブラシ24a,24b間に生じた誘起電圧によってブラシ24aから流れ出た電流は、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間を流れ、短絡電流としてブラシ24bに流れる。
【0118】このブラシ24bに流れてきた短絡電流は、電機子巻線21のうち、所定の電機子巻線を介して再びブラシ24aに流れる。このように、ゲートに入力されたチョッパ信号がHIGHレベルにあるときは、電機子巻線21のうち、所定の電機子巻線に短絡電流が流れてエネルギが蓄積される。
【0119】そして、制御回路部133からチョップ部138のゲートに入力されたチョッパ信号がLOWレベルになると、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間が遮断されるので、電機子巻線21に流れていた短絡電流は、チョップ部138のコレクタ−エミッタ間を流れずに、バッテリ40の陽極端子に流れ、これにより、電機子巻線21に流れる短絡電流が減少する。
【0120】このように、電機子巻線21に流れる短絡電流が減少すると、電機子巻線21の自己誘導作用により、電機子巻線21の両端子間に、ブラシ24a側をプラスの電位とする誘導起電力が生じる。そして、この誘導起電力によって、電機子巻線21の誘起電圧が昇圧され、バッテリ40を充電させることができる。
【0121】(d)なお、図1に示す電力回生装置1において、ファン10およびファンモータ20は、ラジエータ610を冷却させるための機能と、風力エネルギにより電力を発生させる機能とを兼ねるように構成されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ファン10、ファンモータ20は、車両の外周部に取り付けられ、車両が走行中に受ける走行風によって得られる風力エネルギにより電力を発生させる機能のみを備えた構成としても良い。また、車両は、ラジエータを備えた内燃機関自動車等に限定されるものではなく、電気自動車であっても良い。
【0122】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、電力回生装置は、車両が走行中に受ける走行風によって回転可能なファンと、このファンの走行風による回転に伴って電力を発生する回転電機と、を備えているので、車両が走行中に受ける走行風によってファンを回転させることができ、これによって得られた風力エネルギを、回転電機を回転させて電力を発生させるためのエネルギとして利用することができる。
【0123】また、回転電機で発生した電力を回生する電力回生回路と、この電力回生回路によって回生された電力を蓄積するバッテリと、を備えているので、回転電機で発生した電力が、電力回生回路を介してバッテリに回生されて蓄積されるので、車両における電力収支を向上させることができる。
【0124】また、ファンが車両に配設されたラジエータを冷却させるためのラジエータ冷却用ファンで構成され、回転電機がラジエータ冷却用ファンを回転駆動させるために車両に配設されたラジエータ冷却用ファンモータで構成された場合には、車両に備えられた既存のラジエータ冷却用ファンおよびラジエータ冷却用ファンモータと、本電力回生装置のファン及び回転電機とを兼用することができるので、部品コストを増加させることなく、電力を回生させることができる。
【0125】また、電力回生回路が、回転電機と直列に接続されると共に回転電機で発生した電圧を昇圧させる昇圧用コイルと、この昇圧用コイルと並列に接続されると共に昇圧用コイルに流れる短絡電流のスイッチング動作を行うチョップ部と、このチョップ部をチョッパ制御する制御回路部と、を有して構成されている場合には、回転電機で発生した電圧を昇圧させることができるので、より大きな電力をバッテリに回生させることができる。
【0126】また、回転電機がブラシレスモータで構成されている場合には、比較的少ない電力でモータ駆動制御を行うことができるので、モータ駆動効率を向上させることができる。また、電力回生回路がインバータ回路部と制御回路部とを備えている場合には、電力を回生するだけでなく、回転電機の駆動制御を行うこともできるので、モータを駆動させるための駆動制御回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。
【0127】また、インバータ回路部を用いて、発電動作と昇圧チョッパ動作とを同時に行わせることができるので、電力回生動作の効率を向上させることができる。
【0128】また、回転電機には、バッテリとは別に、回転電機に駆動電圧を出力する回転駆動用バッテリが接続されている場合には、バッテリの充電状態に依存することなく、回転駆動用バッテリを用いて回転電機を回転駆動させることができるので、電力回生動作時に、回転電機で発生した電圧を、バッテリの出力電圧よりも高くなるように昇圧させる昇圧回路を不要とすることができ、これにより、部品コストの増加を防ぐことができる。
【0129】また、ファン及び回転電機がそれぞれ複数備えられ、この複数の回転電機がバッテリに直列接続されている場合には、複数の回転電機で発生する合計電圧値を、1個あたりの回転電機の発生電圧値に、直列に接続された回転電機の個数を掛け合わせた値とすることができるので、車両が中低速で走行している場合でも、複数の回転電機で発生する合計電圧をバッテリの出力電圧よりも高く維持することができ、これにより、バッテリに電力を回生させることができる。
【出願人】 【識別番号】000101352
【氏名又は名称】アスモ株式会社
【住所又は居所】静岡県湖西市梅田390番地
【出願日】 平成14年4月2日(2002.4.2)
【代理人】 【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦 (外1名)
【公開番号】 特開2003−299201(P2003−299201A)
【公開日】 平成15年10月17日(2003.10.17)
【出願番号】 特願2002−99760(P2002−99760)