| 【発明の名称】 |
自動列車運転装置および列車運転支援装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】結 城 和 明 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】大 場 義 和 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】南 陽太朗 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】小 山 敏 博 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】波多野 通 広 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内
【氏名】鎌 田 恵 一 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
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| 【要約】 |
【課題】走行中に生じるエネルギー損失を低減し得る省エネルギー運転を実現する。
【解決手段】本発明は、列車が所定位置に所定時刻に停止するための走行パターンを生成し、電気機器を有する駆動制動装置に走行パターンを実現するための推力指令を与える自動列車運転装置に関し、列車の走行中に駆動制動装置に生じるエネルギー損失を表す損失指標を演算する損失指標演算手段(16)と、列車が所定位置に停止するまでの時間を所定値にするように損失指標に基づいて走行パターンを補正する走行パターン補正手段(19)とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】列車が所定位置に所定時刻に停止するための走行パターンを生成し、インバータおよび主電動機を含む電気機器を有する駆動制動装置に前記走行パターンを実現するための推力指令を与える自動列車運転装置において、列車の走行中に前記駆動制動装置に生じるエネルギー損失を表す損失指標を演算する損失指標演算手段と、前記損失指標に基づいてエネルギー損失が低減するように前記走行パターンを補正する第1の走行パターン補正手段とを備えたことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項2】請求項1に記載の自動列車運転装置において、前記第1の走行パターン補正手段は、前記走行パターンを列車が所定位置に停止するまでの時間を所定値にするように補正することを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項3】請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、前記損失指標演算手段は、ブレーキ動作時に機械ブレーキにより生じるエネルギー損失を表すブレーキ損失指標を演算するブレーキ損失指標演算手段を含むことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項4】請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動列車運転装置において、前記損失指標演算手段は、前記インバータおよび主電動機を含む電気機器のエネルギー損失を表す機器損失指標を演算する機器損失指標演算手段を含むことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項5】請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、前記インバータおよび主電動機を含む電気機器の過負荷状態を表す過負荷指標を演算する過負荷指標演算手段と、前記過負荷指標に基づき、前記電気機器が過負荷とならないように前記走行パターンを補正する第2の走行パターン補正手段とを備えたことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項6】請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、前記第1の走行パターン補正手段は前記走行パターンの補正を列車の走行中にも実施することを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項7】請求項3に記載の自動列車運転装置において、前記ブレーキ損失指標演算手段は、前記ブレーキ損失指標を、同一き電区間内に在る力行負荷量の予測量あるいは実測量に基づいて演算することを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項8】請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、前記第1の走行パターン補正手段は、前記走行パターンを予め演算し記憶装置に記憶させる手段と、列車の走行時に対応する走行パターンを前記記憶装置から順次読み出す手段とを含むことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項9】列車が所定位置に所定時刻に停止するための走行パターンを演算し、インバータおよび主電動機を含む電気機器を有する駆動制動装置に対し、前記走行パターンを実現するための推力指令を与える列車運転支援装置において、列車の走行中に生じるエネルギー損失を表す損失指標を演算する損失指標演算手段と、前記損失指標に基づいてエネルギー損失が低減するように前記走行パターンを補正する走行パターン補正手段と、推力の推奨値を運転士に指示する推奨推力指示手段とを備えたことを特徴とする列車運転支援装置。 【請求項10】請求項9に記載の列車運転支援装置において、前記走行パターン補正手段は、前記走行パターンを列車が所定位置に停止するまでの時間を所定値にするように補正することを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項11】請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、マスターコントローラにサーボ機構を備え、前記推奨推力指示手段は、前記マスターコントローラの位置、速度、加速度、および力を制御することを特徴とする列車運転支援装置。 【請求項12】請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、前記推奨推力指示手段は、マスターコントローラの近傍に推奨推力を視覚的に表示する手段を含むことを特徴とする列車運転支援装置。 【請求項13】請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、前記推奨推力指示手段は、前記推奨推力を音声によって伝達する手段を含むことを特徴とする列車運転支援装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、運転士が介在せず電気車を定時刻に定位置に停車するように列車を自動運転する自動列車運転装置、および運転士に推奨推力あるいはマスコンノッチを指示する列車運転支援装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動列車運転装置(以下、「ATO」と称する)は、列車の駅間運転を自動で行い、次駅の所定の停車位置に定刻に停止させることを目的とするものである。この種のATOを備える電気車のシステム構成例を図15に示す。 【0003】自動列車運転装置1には、図示していない自動列車制御装置(ATC)から制限速度信号が入力され、データベース3から、勾配や曲率などの路線条件のほかに、車両条件、運行ダイヤ、走行抵抗などの既定の記憶情報が入力される。さらに自動列車運転装置1は、地上子検出器10により検出された車両位置や速度検出器9により検出された車両速度に基づき、現在の車両位置を推定し、その時点で与えるべき推力を推力指令Fcmd として駆動制動装置2へ出力する。ここに推力指令Fcmd とは、本明細書では、車両を加速する場合の引張力指令と、車両を減速する場合のブレーキ力指令との双方を含むものとして定義される。引張力の場合には、推力指令Fcmd>0 とし、ブレーキ力の場合には、推力指令Fcmd<0 とする。 【0004】駆動制動装置2は、VVVF(可変電圧・可変周波数)インバータ4、主電動機5、ブレーキ制御装置6、および機械ブレーキ8から構成される。主電動機5はレール11上を走行する車輪7に機械的に連結され、機械ブレーキ8は車輪7に機械ブレーキをかけることができるように配設されている。 【0005】推力指令Fcmd から実際の推力を得るまでの作用は、引張力を得る場合とブレーキ力を得る場合とで異なるため、以下にそれぞれ説明する。 【0006】引張力を得る場合、推力指令Fcmd (>0)はインバータ4に入力される。インバータ4は、推力指令Fcmd に一致した引張力が得られるように、主電動機5のトルクを制御する。このとき、ブレーキ制御装置6および機械ブレーキ8は動作しない。 【0007】ブレーキ力を得る場合、推力指令Fcmd (<0)は、インバータ4ではなくブレーキ制御装置6に入力される。ブレーキ制御装置6は、推力指令すなわちブレーキ力指令をまずインバータ4へ出力する。インバータ4では、主電動機5を介して出力する電気ブレーキ力Felecをブレーキ制御装置6ヘフィードバックする。ブレーキ制御装置6は、推力指令Fcmd すなわちブレーキ力指令を得るためにまず電気ブレーキ力Felecを作用させ、この電気ブレーキ力で賄いきれない不足分を機械ブレーキ8の機械ブレーキ力Fmechで補うように機械ブレーキ8を制御する。したがって、機械ブレーキ力Fmechは、 Fmech=Fcmd −Felec ・・・(1) となる。 【0008】自動列車運転装置1は、たとえば図16に示すように、暫定走行計画部12、最適走行計画部13、および推力指令生成部14を備えている。暫定走行計画部12は、最適な走行パターンを生成するための初期値として暫定走行パターン(F0(x),V0(x))を生成する。ここで走行パターンとは、路線上の位置xにおける推力Fn(x)や速度Vn(x)を一連の位置に対応させて表すものである。最適走行計画部13は、暫定走行パターン(F0(x),V0(x))とデータベース3の蓄積情報に基づき、列車の最適な走行パターンF1(x)を計画する。生成された最適走行パターンF1(x)は、推力指令生成部14において、列車の検出位置や検出速度、ATCからの制限速度信号に基づき、その時点で出力すべき推力を推力指令Fcmd としてインバータ4に対して出力する。 【0009】列車の最適走行パターンを計画する場合、一般的には実現可能な走行パターンは無数に存在する。特に、朝夕の過密ダイヤ時とは異なり、列車の運転本数が少ない日中あるいは早朝、深夜には、列車の運転間隔が長くて計画上余裕があり、走行計画上の制約が緩和される。 【0010】特開平8−216885号公報や特開平5−193502号公報には、省エネルギーを評価項目とした最適走行計画について記載されている。しかしながら、これらの公知例が示す省エネルギーというのは、駆動装置や制動装置など、列車の駆動/制動制御において生じるエネルギー損失の観点に立ったものではない。 【0011】これに対し、「ブレーキパターン変更による回生エネルギーの有効利用の効果の基礎的検討」(鉄道技術連合シンポジウム第7回)、「純電気ブレーキ実用化の検討」(電気学会全国大会5−244)では、列車の制動制御、特にブレーキ時に生じる機械ブレーキでのエネルギー損失に着目した走行パターンが検討されている。しかし、列車の駆動制動制御において生じるエネルギー損失は、駆動制御時にも生じるものであり、また、制動制御時は機械ブレーキによるもの以外にも発生する。しかるに、総合的なエネルギー損失の最少化を達成するには至っていない。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、列車の駆動制動制御時に生じるエネルギー損失を総合的に評価し、駅間走行におけるエネルギー損失を可及的に低減し、省エネルギー走行を実現することを意図するものである。そこで本発明で着目するエネルギー損失について以下に簡単に説明する。 【0013】列車の走行において生じる損失は走行パターンにより変化するが、発生機器的には主に次の二つに分類することができる。その一つは、駆動装置であるインバータ4や主電動機5等の電気機器でのエネルギー損失である。これらの損失は、推力や速度の関数として表される。他の一つは、機械ブレーキが動作する時に生じるエネルギー損失である。列車の加減速動作をエネルギーの流れという観点で見ると、前述の電気機器のエネルギー損失や走行抵抗を無視した場合、力行加速中にはインバータ4や主電動機5などの駆動装置により図示していない架線を介して供給される電気エネルギーを車両の運動エネルギーに変換し、電気ブレーキによる減速中には車両の運動エネルギーを電気エネルギーに変換し電源へ回生することになる。このような理想状熊ではエネルギー損失は発生しない。しかし、電気ブレーキによる減速中に、ATOあるいは運転士からのブレーキ力指令が、電気機器で出力できるブレーキ力を上回る場合、不足するブレーキ力を機械ブレーキ8で補って、減速度を所定値に維持する。このように機械ブレーキ8が動作するというは、車両の運動エネルギーを熱として消費するということであり、それはエネルギー損失となる。本発明では、機械ブレーキが動作することによって損失となった分をブレーキ損失と定義する。 【0014】このブレーキ損失は、ブレーキ力指令が電気機器すなわち駆動装置の許容量を上回る場合と、電源側に回生電力に見合う負荷が存在しない場合に生じる。後者に関して、駆動装置はブレーキ力指令を得ると、それに見合うブレーキ力を主電動機5が出力するようにインバータ4を制御する。このとき、車両の運動エネルギーは電源への回生エネルギーヘと変換されるが、電源側にこの回生電力に見合う負荷すなわち加速中の列車が存在しないような場合、余剰な回生電力が生じ、そのため架線電圧が上昇する。そこで駆動装置は、架線電圧の上昇を抑制するため、ブレーキ力を抑制する制御を行う。これを軽負荷回生制御という。この軽負荷回生制御の動作中には、ブレーキ力指令に比べ、小さいブレーキ力を主電動機5から出力する。このとき、不足したブレーキ力を機械ブレーキ8のブレーキ力が補う。 【0015】省エネルギー運転を行う場合、適正な走行パターンを計画することともに、その走行パターンに沿った走行を実際に行うことが重要である。走行パターンに一致した運転を実現する手段として、自動列車運転装置(ATO)や自動列車停止装置(TASC)など、運転士が介在せずに自動的に推力指令を生成する装置が知られている。これらの装置によれば、的確な推力を遅滞なく与えることにより最適走行パターンに追従した走行を実現することができる。しかしながら、車両の駆動制動装置に直接関与し、また、位置検出のための地上設備が不可欠であることなどから、システムが複雑となり、コストが高くなる。 【0016】一方、最適計画された推力を運転士に指示することにより、計画された走行パターンに近い列車走行を運転士の技能を通して達成することを期待することができる。それが運転支援装置である。このような運転支援装置による場合の省エネルギー効果は、運転士の反応遅れなどからATOやTASCによる場合に比べて劣るものの、運転士への指示を行うのみで、車両の駆動制動装置に直接関与しないことから、システムを簡略化することができるという利点がある。また、最終的には運転士の操作によるため、位置検出のための地上設備などを除去あるいは簡略化することも可能である。これらにより、コストダウンを期待することができ、コストパフォーマンスに優れる。さらに、近年ではATO化による運転士の運転技術の低下が懸念される中で、運転支援装置による場合には、常時、運転士の判断での推力調整が行われるため、運転技術低下の問題は生じない。 【0017】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、列車の駅間走行において、定刻に定位置に停止することを前提に、走行中に生じるエネルギー損失を低減し得る省エネルギー運転を実現するための自動列車運転装置および列車運転支援装置を提供することを目的とするものである。 【0018】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、列車が所定位置に所定時刻に停止するための走行パターンを生成し、インバータおよび主電動機を含む電気機器を有する駆動制動装置に走行パターンを実現するための推力指令を与える自動列車運転装置において、列車の走行中に駆動制動装置に生じるエネルギー損失を表す損失指標を演算する損失指標演算手段と、損失指標に基づいてエネルギー損失が低減するように走行パターンを補正する第1の走行パターン補正手段とを備えたことを特徴とする。 【0019】請求項2に係る発明は、請求項1に記載の自動列車運転装置において、第1の走行パターン補正手段は、走行パターンを列車が所定位置に停止するまでの時間を所定値にするように補正することを特徴とする。 【0020】請求項1,2に係る自動列車運転装置では、定時性・定位置停止性を確保した上で、駆動制動制御に関与するエネルギー損失を最少化する最適走行パターンを生成し、それにより、定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー効果を達成することができる。 【0021】請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、損失指標演算手段は、ブレーキ動作時に機械ブレーキにより生じるエネルギー損失を表すブレーキ損失指標を演算するブレーキ損失指標演算手段を含むことを特徴とする。 【0022】請求項3に係る自動列車運転装置では、定時性・定位置停止性を確保した上で、駆動制動制御のブレーキ時に機械ブレーキにより生じるエネルギー損失を最少化する最適走行パターンを生成し、それにより、定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー効果を達成することができる。 【0023】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の自動列車運転装置において、損失指標演算手段は、インバータおよび主電動機を含む電気機器のエネルギー損失を表す機器損失指標を演算する機器損失指標演算手段を含むことを特徴とする。 【0024】請求項4に係る自動列車運転装置では、定時性・定位置停止性を確保した上で、駆動制動制御時に電気機器により生じるエネルギー損失を最少化する最適走行パターンを生成し、それにより、定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー効果を達成することができる。 【0025】請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、インバータおよび主電動機を含む電気機器の過負荷状態を表す過負荷指標を演算する過負荷指標演算手段と、過負荷指標に基づき、電気機器が過負荷とならないように走行パターンを補正する第2の走行パターン補正手段とを備えたことを特徴とする。 【0026】請求項5に係る自動列車運転装置では、電気機器の定格を超えるような走行パターンを回避することにより、電気機器の過負荷による運転停止・故障を回避し、システム信頼性を向上させることができる。 【0027】請求項6に係る発明は、請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、第1の走行パターン補正手段は走行パターンの補正を列車の走行中にも実施することを特徴とする。 【0028】請求項6に係る自動列車運転装置では、最適走行計画を走行中に実施することにより、その時点での列車の位置・速度を初期条件とし、次駅までの定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー走行パターンを生成することができる。すなわち、当初の走行パターンから逸脱した不測の事態においても、その時点から最適な省エネルギー走行を実現することができる。また、位置・速度を初期条件とし、次駅までの定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー走行パターンを生成できるため、駅間の自動列車運転を行う自動列車運転装置(ATO)だけでなく、ブレーキ区間でのみ定位置停車制御を行う列車自動停止制御装置(TASC)への適用も可能となる。 【0029】請求項7に係る発明は、請求項3に記載の自動列車運転装置において、ブレーキ損失指標演算手段は、ブレーキ損失指標を、同一き電区間内に在る力行負荷量の予測量あるいは実測量に基づいて演算することを特徴とする。 【0030】請求項7に係る自動列車運転装置では、同一き電区間にある力行負荷量に応じて推力が補正されるため、力行負荷により変動するエネルギー損失を的確に把握することが可能であり、列車のより効果的な省エネルギー走行を実現することができる。 【0031】請求項8に係る発明は、請求項1または2に記載の自動列車運転装置において、第1の走行パターン補正手段は、走行パターンを予め演算し記憶装置に記憶させる手段と、列車の走行時に対応する走行パターンを記憶装置から順次読み出す手段とを含むことを特徴とする。 【0032】請求項8に係る自動列車運転装置では、予め最適走行計画を行うことにより、最適走行計画にかかる演算時間の制約を回避し、より最適性の高い走行パターンを得ることができ、省エネルギー効果を一層期待することができる。また、予め走行パターンを算出することにより、走行パターンを精査確認し、異常なパターンを排除することによりシステムの信頼性を向上させることができる。 【0033】請求項9に係る発明は、列車が所定位置に所定時刻に停止するための走行パターンを演算し、インバータおよび主電動機を含む電気機器を有する駆動制動装置に対し、走行パターンを実現するための推力指令を与える列車運転支援装置において、列車の走行中に生じるエネルギー損失を表す損失指標を演算する損失指標演算手段と、損失指標に基づいてエネルギー損失が低減するように走行パターンを補正する走行パターン補正手段と、推力の推奨値を運転士に指示する推奨推力指示手段とを備えたことを特徴とする。 【0034】請求項10に係る発明は、請求項9に記載の列車運転支援装置において、走行パターン補正手段は、走行パターンを列車が所定位置に停止するまでの時間を所定値にするように補正することを特徴とする。 【0035】請求項9,10に係る列車運転支援装置では、推力推奨値Frec に一致した推力指令Fcmd が得られるように推力推奨植を指示する。運転士が指示された推力推奨植に従って運転することにより、定位置停止性を確保した上で、エネルギー損失を低減させた省エネルギー走行を実現することができる。その場合、推力指令は常時、運転士が駆動制動装置へ与えるため、不測の事態が生じた場合でも速やかに対処でき、システム信頼性を向上させることができる。駆動制動装置への推力指令は、列車運転支援装置から直接制御されるものではなく、システムを簡易にすることが可能であり、したがってシステム信頼性の向上やコストダウンを図ることができる。また、直接的には運転士が推力指令を与えるものであり、定位置停止精度を厳密にする必要性はなく、装置を簡易に実現することができる。システムの信頼性の向上やコストダウンを図ることができる。また、直接的には、運転士が推力指令を与えるものであって、運転士の技能低下を防止し、自動列車運転装置を備えるシステムで問題視される運転士の操作技術の低下による不測の事熊への対処などの課題を回避することができる。 【0036】請求項11に係る発明は、請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、マスターコントローラにサーボ機構を備え、推奨推力指示手段は、マスターコントローラの位置、速度、加速度、および力を制御することを特徴とする。 【0037】請求項11に係る列車運転支援装置では、推力推奨値Frec に一致した推力指令Fcmd が得られるようにマスコンをサーボ機構で制御する。したがって、運転士が介在しない場合には、自動運転が可能であり、精度よく定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行を実現することができる。運転士が介在した場合にも、運転士は省エネルギー運転を実現するために取るべきマスコンの角度をマスコンからの反作用力として感じとることができ、結果的に省エネルギー運転の効果を達成することができる。 【0038】請求項12に係る発明は、請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、推奨推力指示手段は、マスターコントローラの近傍に推奨推力を視覚的に表示する手段を含むことを特徴とする。 【0039】請求項12に係る列車運転支援装置では、運転士が、定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行を実現するために設定すべき推力を、視覚的に知ることができ、定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行に実現に寄与させることができる。この支援手段は駆動制動制御系とは電気的機械的に直接の関連がなく、推力は運転士により操作されるため、不測の事態が生じた場合に運転士の判断により速やかな対処が可能であり、システム信頼性の向上に寄与させることができる。また、単にランプやLEDによる視覚的な表示装置は実現が簡易であり、システム信頼性を損なうこともなく、装置のコストダウンを図ることができる。 【0040】請求項13に係る発明は、請求項9または10に記載の列車運転支援装置において、推奨推力指示手段は、推奨推力を音声によって伝達する手段を含むことを特徴とする。 【0041】請求項13に係る列車運転支援装置では、運転士は、設定すべき推力を、音声によるアナウンスとして知ることができる。運転士はアナウンスに従った運転操作をすることにより、定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行を実現することができる。この場合は視覚的な指示によるものでないため、運転士の注意力が散漫になることもなく、運転士は運転に集中することができる。したがって、前方不注意等による事故の可能性を低減し、システムの信頼性を向上させることができる。 【0042】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形熊について図面を参照して詳細に説明する。 【0043】<第1の実施の形態>図1は、第1の実施の形熊による自動列車運転装置の概略構成を示すブロック図である。この実施の形態は自動列車運転装置の特に最適走行計画部に関わるものであるため、他の部分の図示は省略している。 【0044】図1に示す最適走行計画部13は、走行パターン補正指標演算部15、走行パターン補正部19、走行距離補正部20、および定時性判断部21から構成されている。走行パターン補正指標演算部15は、損失指標演算部16、過負荷指標演算部17、および加算器18から構成されている。損失指標演算部16は、暫定走行パターン(F0(x),V0(x))に基づき、列車位置xにおける損失指標CPL(x)を演算する。ここに、走行パターンとは、ある位置xにおける推力Fn(x)や速度Vn(x)を表すものである。 【0045】図2および図3に種々の損失指標の例を示す。図2は力行時の損失指標を示し、図3はブレーキ減速時の損失指標を示している。さらに詳細には、図2(a)は機器損失指標を、図2(b)はトータル損失指標を示し、図3(a)は機器損失指標を、図3(b)はブレーキ損失指標を、図3(c)はトータル損失指標をそれぞれ示している。ここで、機器損失指標とは電気機器の損失指標のことを意味し、具体的は変換器(インバータ)損失指標とモータ(主電動機)損失指標とを加算したものである。 【0046】これらの指標は速度vと推力Fの関数として与えられ、ある動作点(v,F)での損失[W]に速度[m/s]の逆数を乗算して算出したものである。速度の逆数を乗じることにより、ある動作点における速度v1[m/s]が微小変化△v[m/s]をする場合に生じる損失として正規化し評価することができる。 【0047】トータル損失指標CPL(x)は、機器損失指標とブレーキ損失指標を加算したものに、重み係数W1を乗じて算出される。重み係数W1は、どの程度、損失低減効果を得るかの観点から設定され、あるいは、他の指標とのバランスをとるように設定される。すなわち、 損失指標CPL(x) =W1×(機器損失指標+ブレーキ損失指標) ・・・(2) である。 【0048】過負荷指標演算部17では、暫定走行パターン(F0(x),V0(x))に基づき、列車位置xにおける過負荷指標COL(x)を演算する。 【0049】機器損失は変換器損失とモータ損失との和として算出する。図4(a),(b)は、各動作点での変換器損失[W]およびモータ損失[W]の一例を示すものである。暫定走行パターン(F0(x),V0(x))に従い、対応する変換器損失[W]とモータ損失[W]をそれぞれ積分することによって、駅間走行による時間を加味した変換器損失[J]とモータ損失[J]を算出することができる。これらが定格値[W]を超える過負荷である場合には、それに応じた過負荷指標を算出する。たとえば、重み係数をW2として、変換器損失指標COLC(x)を、 COLC(x) =W2×{変換器損失[J]/(走行時間+駅停車時間) −変換器定格[W]}×変換器損失指標(図5(a)) ・・・(3) により算出する。 【0050】同様にして、図5(b)に示すモータ損失指標を用いてモータ損失指標COLM(x)を求めることができる(ただし、重み係数はW3とし、独立に設定可能)。過負荷指標COL(x)は、これらの指標を加算し、 COL(x)=COLC(x)+COLM(x)・・・(4) として求める。 【0051】加算器18は、損失指標CPL(x)と過負荷指標COL(x)とを加算し、列車位置xにおけるトータル指標C(x)を、 C(x)=CPL(x)+COL(x) ・・・(5) として求める。 【0052】走行パターン補正部19は、暫定走行パターンの推力パターンF0(x)にトータル指標C(x)を加算することにより、第1の補正走行パターンF01(x)を出力する(この段階で速度パターンV0(x)は変化なし)。 【0053】第1の補正走行パターンF01(x)は、推力パターンだけが補正されたものであるため、走行距離が所定値に一致しない。走行距離補正部20は、走行距離xが所定値に一致するように、データベース3に記憶されている路線条件や車両条件、走行抵抗に基づき、第1の補正走行パターン(F01(x),V0(x))を補正し、第2の補正走行パターン(F02(x)、V02(x))および走行時間Trun を出力する。距離補正は、たとえば、惰行時間を調整するなどの方法で実現可能である。距離補正の方法はそれに限定されるものではない。 【0054】定時性判断部21では、走行時間Trun が所定値に対し、許容誤差以内であるか否かを判断する。走行時間Trun が許容誤差外である場合には、第2の補正走行パターン(F02(x)、V02(x))を新たな暫定走行パターン(F0’(x)、V0’(x))として、再計算を行う。走行時間Trun が許容誤差内に入った場合、それを最適走行パターン(F1(x),V1(x))として出力する。 【0055】以上の構成により、暫定走行パターン(F0(x),V0(x))は、損失指標CPL(x)および過負荷指標COL(x)により、効果が顕著に得られる位置xの推力が補正されていく。たとえば、図6は、本発明の実施の形態による走行パターン生成の結果を示すものである。この場合、過負荷状態には至らないとして、過負荷指標は影響を与えていない。「原パターン(A)」と示されているのが暫定パターンである。「指標適用(B)」と示されているのが、第1の補正走行パターン(F01(x),V01(x))である。損失指標が大きい高速ブレーキ時ほど大きな推力補正がかかり、ブレーキ力が弱められる。一方、力行加速側でも値は小さいものの、損失指標に応じた引張力が補正される。「ノッチ量子化(C)」は、本実施の発明の形態には現れていないが、ノッチが6段しかなく、連続的な推力を出力できない場合に対応したものであり、第1の補正走行パターンの推力F01(x)に対して、推力誤差が最小となるノッチに対応する推力を選択している。「距離調整(D)」は、「ノッチ量子化(C)」パターンに対し、走行距離を所定値1300mに合うように補正した第2の補正走行パターン(F02(x),V02(x))である。補正前の走行パターンの損失が2070[kJ]に対し、第2の補正走行パターンの損失は1650[kJ]と、エネルギー損失が相当低減されている。走行時間は、前者が84.5[sec]であるのに対し、後者は84.9[sec]と若干増加している。走行時間が所定値になるまで繰り返し演算を実施することにより、定時性・定位置停止性を確保した上で、駆動制動制御に関与するエネルギー損失を最少化する最適走行パターンF1(x)を生成することができる。このようにして、定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー効果を奏することができる。 【0056】トータルエネルギー損失を最少化するだけの走行パターンの場合、駆動制動装置2に含まれるインバータ4(変換器)や主電動機5(モータ)などの電気機器で生じるエネルギー損失が増大する可能性がある。電気機器は、定格として動作範囲が規定されるものであり、それを超えるような運転条件すなわち過負荷条件では、発熱による温度上昇により、保護動作あるいは故障・焼損等が生じ得る。過負荷指標演算部17は、暫定走行パターンから各機器の過負荷の程度を判断する。判断の結果、過負荷であった場合、電気機器でのエネルギー損失が抑制されるように、過負荷指標に応じて推力が補正される。エネルギー損失が大きな領域ほど推力が補正されるため、過負荷状態を効果的に回避することができる。このようにして、電気機器の過負荷による運転停止・故障を回避し、システムの信頼性を向上させることができる。 【0057】最適走行計画を列車の走行中にも実施することにより、各瞬時の位置・速度を初期条件とし、次駅までの定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー走行パターンを生成することができる。すなわち、ATCなどの速度制限等で、当初の走行パターンから逸脱した場合にも、その状態からの最適な省エネルギー走行パターンを得ることができる。当初の走行パターンに無理に追従させることは、損失の増大につながる可能性があり、エネルギー損失の観点からは望ましくない。したがって、当初の走行パターンから逸脱した不測の事態においても、その時点から最適な省エネルギー走行を実現することができる。 【0058】本実施の形態は、位置・速度を初期条件とし、次駅までの定時性・定位置停止性を確保した上で、最適な省エネルギー走行パターンを生成できるため、駅間の自動列車運転を行う自動列車運転装置(ATO)だけでなく、ブレーキ区間でのみ定位置停車制御を行う列車自動停止制御装置(TASC)への適用も可能となる。 【0059】なお、本実施の形態では、走行距離が所定値に一致することを前提に、走行時間が所定値になるまで、走行パターンを補正するアルゴリズムとした構成を示しているが、逆に、走行時間が所定値に一致することを前提に、走行距離が所定値になるまで走行パターンを補正するアルゴリズムとして構成することもできる。 【0060】<第2の実施の形態>図7は、第2の実施の形態による自動列車運転装置の概略構成例を示すブロック図であり、図1と同一の部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは図1のものと異なる部分について説明する。 【0061】損失指標演算部16には、データベース3から運行ダイヤが入力され、データベース36から力行負荷量が入力される。データベース36の力行負荷量としては、ある時刻におけるき電区間ごとの力行加速中の列車の電力すなわち力行負荷量が記憶されている。損失指標演算部16では、運行ダイヤと力行負荷のデータベース情報から、対応する力行負荷を抽出する。前述のように、ブレーキ損失は力行負荷に依存して値が変化するため、力行負荷量に応じた損失指標を算出する訳である。他は図1の場合と変わりがない。 【0062】以上により、以下のような作用・効果を奏することができる。 【0063】予測される力行負荷に応じて、損失指標CPL(x)、特にブレーキ損失指標が調整される。たとえば、図3(b)は、力行負荷が十分であるとした場合のブレーキ損失指標であり、インバータ4の電気的容量の制約により、高速高ブレーキ力であるほど損失指標が増大している。図8は、力行負荷が十分でない場合(125kW/主電動機)のブレーキ損失指標を示すものである。この場合、力行負荷が十分でないため、推力指令Fcmd と同等な電気ブレーキ力を出力できない領域がある。すなわち、より低速から損失指標が増大する。したがって、負荷状態によるエネルギー損失を的確に予測することが可能であり、より効果的な省エネルギー走行を実現することができる。 【0064】<第3の実施の形態>図9は、第3の実施の形態による自動列車運転装置の概略構成例を示すブロック図であり、図16と同一の部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について説明する。 【0065】図16の暫定走行計画部12および最適走行計画部13に代わり、図9の装置には、データベース34および走行パターン抽出部35が設けられている。データベース34には、各列車の各駅間走行時の走行パターンが記憶されている。走行パターン抽出部35は、運行ダイヤを記憶したデータベース3から、現在の駅間走行に対応した走行パターンF1(x)を抽出する。データベース34に記憶される走行パターンは、第1の実施の形態で示した最適走行計画を予め実施し、その結果の最適走行パターンを記憶しておくことによって実現することができる。 【0066】以上の構成により、以下のような作用・効果を奏することができる。 【0067】最適走行パターンの生成は、収束計算を繰り返して最適計画を行うため、演算に時間がかかる。そのため次駅への走行計画を発駅での停車中に実施する場合、演算時間の制約から、十分な最適性が得られない場合がある。これらの計画を予め行うことにより演算時間の制約を回避し、最適な走行パターンを得ることができる。このようにして、省エネルギー効果を、より一層向上させることができる。また、予め走行パターンを算出することにより、走行パターンを精査確認することが可能である。これにより、異常なパターンを排除することが可能であり、システムの信頼性を向上させることができる。 【0068】<第4の実施の形熊>図10は、第4の実施の形態による列車運転支援装置を備えた電気車システムの概略構成を示すブロック図であり、図15と同一の部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分について説明する。 【0069】ここには、第1の実施の形態における自動列車運転装置1に代わり、列車運転支援装置22が備えられている。列車運転支援装置22は、第1の実施の形態における自動列車運転装置1と同様な処理を実施し、推力推奨値Frec を生成出力する。すなわち、列車運転支援装置22は、自動列車運転装置1における推力指令Fcmd の代わりに、推力推奨値Frec を出力するようにしたものに相当する。この推力推奨値Frec は、マスコン23に付設された推力指示装置24に入力される。マスコン23は、マスコン角度あるいは位置に応じた推力指令Fcmd を駆動制動装置2へと出力する。 【0070】推力指示装置24の構成例を図11に示す。推力指示装置24は、角度指令演算部25、インピーダンス制御器26、サーボアンプ27、サーボモータ28、およびエンコーダ29から構成される。サーボモータ28はマスコン23と機械的に結合している。 【0071】列車運転支援装置22から出力された推力推奨値Frec は角度指令演算部25へ入力される。角度指令演算部25は、入力された推力推奨値Frec に対応したマスコン角度を算出し、角度指令θcmd として出力する。インピーダンス制御器26は、角度指令θcmd と、エンコーダ29により検出された実際のマスコン角度θとを入力し、後者(角度θ)を前者(角度指令θcmd )に一致させるためのトルク指令Tcmd をサーボアンプ27ヘ出力する。サーボアンプ27は、サーボモータ28の出力トルクがトルク指令Tcmd と一致するように、サーボモータ28を駆動する。 【0072】インピーダンス制御器26は、運転士がマスコン23に加えるトルクTope に対し、所望のインピーダンス(慣性モーメントJ、ダンピングD、スティフネスK)となるようにサーボモータ28を制御するものであり、制御系のブロック図は、たとえば図12に示すようになる。J0はサーボモータ28のロータおよびマスコン23を合わせた等価慣性モーメント、g1およびg2はノイズ除去のためのフィルタのカットオフ周波数に相当するものである。 【0073】角度指令θcmd を零(ゼロ)とした場合に、外部からマスコン23にかかるトルク、すなわち、運転士がマスコン23に加えるトルクTope からマスコン角度θまでの伝達関数θ(s)は、ノイズカットフィルタを無視すると次式で表現することができ、所望のインピーダンス(J,D,K)が得られることが分かる。 【0074】 【数1】
以上の構成により、以下のような作用・効果を奏することができる。 【0075】推力指示装置24は、列車運転支援装置22で演算された推力推奨値Frec に一致した推力指令Fcmd が得られるようにマスコン23の角度θをサーボモータ28で制御する。これにより、運転士がマスコン23を操作する場合、インピーダンス制御器26によるインピーダンス制御により、運転士は所望のインピーダンス(J,D,K)となったように感じることになる。すなわち、運転士がマスコン23に触らない状熊では、推力推奨値Frec に一致した推力指令Fcmd が得られる。一方、運転士がマスコン23を操作する場合、サーボモータ28から推力推奨値Frec 方向に力を受けるものの、任意の角度すなわち推力指令Fcmd に設定することができる。つまり、運転士が列車運転支援装置22に任せた運転も可能であり、必要に応じて運転士がマスコン23を操作して推力指令を任意に制御することもできる。省エネルギー運転を実現するために取るべきマスコン23の角度θをマスコン23からの反作用力として検知することができ、省エネルギーである定位置停止パターンを意識しながら運転することが可能にある。したがって、運転士の操作による省エネルギー走行や定位置停止走行を実現することができるとともに、不測の事態が生じた場合には速やかに対処することができる。 【0076】駆動制動装置2への推力指令Fcmd は、列車運転支援装置22から直接制御されるものではなく、既存のマスコン23の角度θにより与えられるものであり、システムを簡易にすることが可能である。また、列車運転支援装置の場合、最終的には運転士が介在するものであり、列車運転支援装置22の定位置停止精度を厳密にする必要性はなく、装置を簡易に実現することができる。これにより、システムの信頼性向上やコストダウンを図ることができる。 【0077】また、列車運転支援装置の場合、最終的には運転士が介在するものであり、運転士の操作技術が常に要求される。本実施の形態によれば、自動列車運転装置を備えるシステムで問題視される運転士の操作技術の低下による不測の事態への対処などの問題を回避することができる。 【0078】<第5の実施の形態>図12は、第5の実施の形熊による列車運転支授装置の概略構成例を示すブロック図である。本実施の形熊は第4の実施の形態と比べ、推力指示装置24の構成が異なるため、ここではその異なる部分について説明する。ただし、本実施の形態では、推力指令を力行加速6段(P1〜P6)、ブレーキ減速6段(B1〜B6)、ニュートラル(N)、および非常ブレーキ(EB)をマスコンノッチで与える方式とする。ここでノッチとは、速度対推力をパターン化したものを意味し、現行の電車駆動制御で用いられているものである。ノッチの段数は数段から30段以上にまで及び、システムにより種々のものが用いられる。なお、図12のマスコン23は、それを上から見た概略構成を示している。 【0079】推力指示装置24は、推奨ノッチ表示制御部30とランプ群31とから構成される。図示の実施の形態においては、ランプ群31は、力行加速ノッチP1〜P6に対応する6個のランプ、ブレーキ減速ノッチB1〜B6に対応する6個のランプ、ニュートラルノッチNに対応するランプ、および非常ブレーキノッチEBに対応するランプの都合14個のランプからなっている。推奨ノッチ表示制御部30は、推奨ノッチ指令Nrec を列車運転支援装置22から受け、対応するランプが点灯するように制御する。 【0080】以上の構成により、以下のような作用・効果を奏することができる。 【0081】運転士は、定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行を実現するために設定すべきノッチをランプの点灯により確認する。たとえば、推奨ノッチ指令Nrec の内容が力行加速ノッチP6であれば、それに対応するランプが点灯し、ブレーキ減速ノッチB3であれば、それに対応するランプが点灯する。運転士はランプの点灯状況を見て、それに対応させてマスコン23をノッチ操作することにより、エネルギー損失を抑制した省エネルギー走行を実現する。 【0082】推力指示装置24は、駆動制動制御系との間に電気的・機械的に直接の関連性はなく、運転士が介在するものであるため、不測事態の発生時に運転士の判断により速やかに対処することができ、システム信頼性を向上させることができる。ランプやLED(発光ダイオード)による表示装置は、第4の実施の形態のマスコン23のサーボ機構に比べ、さらに実現が簡易であり、システムの頼性を向上させるとともに、装置のさらなるコストダウンを図ることができる。 【0083】<第6の実施の形態>図14は、第6の実施の形態による列車運転支援装置の概略構成例を示すブロック図である。本実施の形態は第5の実施の形態と比べ、推力指示装置24の構成が異なるため、ここでは異なる部分について説明する。 【0084】本実施の形態における推力指示装置24は、推奨ノッチ表示制御部32と、音声出力部33とから構成される。推奨ノッチ表示制御部32は、推奨ノッチ指令Nrec を列車運転支援装置22から受け、対応するアナウンスが出力されるように音声出力部33を制御する。たとえば、推奨ノッチがB3である場合は、「ブレーキ3ノッチ」などとアナウンスする。 【0085】以上の構成により、以下のような作用・効果を奏することができる。 【0086】運転士は、定時性・定位置停止性を確保した省エネルギー走行を実現するために設定すべきノッチをアナウンスにより知ることができる。これにより、第5の実施の形態と同様な作用・効果を奏することができる。第5の実施の形態のようにランプによる推奨ノッチの表示の場合、その表示に運転士の注意が集中し、その結果、前方不注意等により事故発生につながらないとも限らない。それに対して、音声による指示伝達によれば、そのような問題を回避することができ、システムの信頼性を向上させることができる。 【0087】 【発明の効果】本発明は、列車の駅間走行において、定時刻に定位置に停止するという条件を確保した上で、走行中に生じるエネルギー損失を低減した省エネルギー運転を実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年3月14日(2002.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075812 【弁理士】 【氏名又は名称】吉武 賢次 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−274516(P2003−274516A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月26日(2003.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2002−70675(P2002−70675) |
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