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【発明の名称】 車両のハイブリッドシステム
【発明者】 【氏名】仁科 充広
【住所又は居所】埼玉県上尾市大字壱丁目1番地 日産ディーゼル工業株式会社内

【氏名】鈴木 祐次
【住所又は居所】埼玉県上尾市大字壱丁目1番地 日産ディーゼル工業株式会社内

【氏名】合田 英明
【住所又は居所】埼玉県上尾市大字壱丁目1番地 日産ディーゼル工業株式会社内

【要約】 【課題】車両のハイブリッドシステムにおいて、変速機のギヤ入れ時の回転合わせ(シンクロ)時間の短縮が図れ、シンクロ機構への負荷も大幅に軽減できるようにする。

【解決手段】車両の走行中に変速要求が発生するとクラッチを切断するか、または切断状態に保ちながら、変速機をニュートラルにセットする手段(S11〜S13)と、変速機がニュートラルにセットされると変速機の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ収束するを待って変速機をニュートラルから要求段へギヤセットする手段(S14〜S19)と、変速機がニュートラルにセットされると蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲で変速機の出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ変速機の入力側の回転速度が収束するまで回転電機を電動モードまたは発電モードに制御する手段(S14〜S18→S20〜S24)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】入力軸の回転を変速して出力軸から車輪へ伝達する変速機と、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両の停止時に発進段へのギヤセット要求が発生するとクラッチを切断する手段と、変速機の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ収束するを待って変速機をニュートラルから要求段へギヤセットする手段と、クラッチの切断後に蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲で変速機の入力側の回転速度が同期領域の0付近へ収束するまで回転電機を発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする車両のハイブリッドシステム。
【請求項2】入力軸の回転を変速して出力軸から車輪へ伝達する変速機と、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両の走行中に変速要求が発生するとクラッチを切断するか、または切断状態に保ちながら、変速機をニュートラルにセットする手段と、変速機がニュートラルにセットされると変速機の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ収束するを待って変速機をニュートラルから要求段へギヤセットする手段と、変速機がニュートラルにセットされると蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲で変速機の出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ変速機の入力側の回転速度が収束するまで回転電機を電動モードまたは発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする車両のハイブリッドシステム。
【請求項3】変速機がニュートラルにセットされると回転電機を電動モードまたは発電モードに制御する手段は、変速機の出力側の回転速度の検出値と要求段のギヤ比とから変速機の入力側の目標回転速度αを求める手段と、変速機の入力側の回転速度の検出値と動力伝達機構の変速比とから回転電機の回転速度βを求める手段と、回転電機の回転速度βと変速機の入力側の目標回転速度αとの回転差(α−β)に基づいて、目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域の上限値を回転差(α−β)が上回るときは、回転電機の回転速度βが同期領域へ収束するまで回転差(α−β)に応じた力行トルクを発生するように回転電機を電動モードに制御する手段と、同じく目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域の下限値を回転差(α−β)が下回るときは、回転電機の回転速度βが同期領域へ収束するまで回転差(α−β)に応じた回生トルクを発生するように回転電機を発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする請求項2の記載に係る車両のハイブリッドシステム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の動力源にエンジンと回転電機(モータジェネレータ)を備える、いわゆるパラレル方式のハイブリッドシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】パラレル方式のハイブリッドシステムとして、入力軸の回転を変速して出力軸から車輪へ伝達する変速機と、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備えるものがある。なお、特開平10−304513号および特開2001−103603号において、車両のハイブリッドシステムに関連する技術内容が開示される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなハイブリッドシステム(回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構を備える)においては、変速機の入力軸に回転電機の慣性が作用するため、変速時や発進時のギヤ入れ(ギヤセット)に伴う、変速機のシンクロ機構への負担が大きくなり、ギヤ入れ時間(シンクロ時間)も長くなることが考えられる。
【0004】この発明は、このような課題を解決するための対応手段の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、入力軸の回転を変速して出力軸から車輪へ伝達する変速機と、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両の停止時に発進段へのギヤセット要求が発生するとクラッチを切断する手段と、変速機の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ収束するを待って変速機をニュートラルから要求段へギヤセットする手段と、クラッチの切断後に蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲で変速機の入力側の回転速度が同期領域の0付近へ収束するまで回転電機を発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】第2の発明は、入力軸の回転を変速して出力軸から車輪へ伝達する変速機と、エンジンの出力軸と変速機の入力軸を断続するクラッチと、電動機と発電機を兼ねる回転電機と、回転電機の入出力軸と変速機の入力軸を連結する動力伝達機構と、回転電機から供給される電力を蓄える蓄電要素と、を備える車両のハイブリッドシステムにおいて、車両の走行中に変速要求が発生するとクラッチを切断するか、または切断状態に保ちながら、変速機をニュートラルにセットする手段と、変速機がニュートラルにセットされると変速機の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ収束するを待って変速機をニュートラルから要求段へギヤセットする手段と、変速機がニュートラルにセットされると蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲で変速機の出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域へ変速機の入力側の回転速度が収束するまで回転電機を電動モードまたは発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】第3の発明は、第2の発明に係る車両のハイブリッドシステムにおいて、変速機がニュートラルにセットされると回転電機を電動モードまたは発電モードに制御する手段は、変速機の出力側の回転速度の検出値と要求段のギヤ比とから変速機の入力側の目標回転速度αを求める手段と、変速機の入力側の回転速度の検出値と動力伝達機構の変速比とから回転電機の回転速度βを求める手段と、回転電機の回転速度βと変速機の入力側の目標回転速度αとの回転差(α−β)に基づいて、目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域の上限値を回転差(α−β)が上回るときは、回転電機の回転速度βが同期領域へ収束するまで回転差(α−β)に応じた力行トルクを発生するように回転電機を電動モードに制御する手段と、同じく目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域の下限値を回転差(α−β)が下回るときは、回転電機の回転速度βが同期領域へ収束するまで回転差(α−β)に応じた回生トルクを発生するように回転電機を発電モードに制御する手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】第1の発明においては、車両の発進時は、変速機がニュートラルでクラッチが接続の停車状態でエンジンが駆動される。このような場合においても、ギヤセット要求が発生すると、クラッチの切断後に回転電機が発電モードに制御され、その回生トルクが車両の駆動系(パワートレイン)に働くため、変速機の入力側の回転速度は、同期領域の0付近へ速やかに収束する。そして、変速機は、入力側の回転速度が0付近に低下すると、ニュートラルから要求段へギヤセットされるのである。その結果、発進時のギヤ入れ(ギヤセット)に伴う、変速機のシンクロ機構への負担が無くなり、ギヤ入れ時間(シンクロ時間)も大幅に短縮できる。
【0009】第2の発明においては、車両の走行中に変速要求が発生すると、クラッチが切断され、変速機がニュートラルにセットされる。その後、回転電機が電動モードまたは発電モードに制御され、その力行トルクまたは回生トルクが車両の駆動系(パワートレイン)に働くため、変速機の入力側の回転速度は、要求段の同期領域へ速やかに収束する。そして、変速機は、入力側の回転速度が同期領域に入ると、ニュートラルから要求段へギヤセットされるのである。その結果、変速時のギヤ入れ(ギヤセット)に伴う、変速機のシンクロ機構への負担が無くなり、ギヤ入れ時間(シンクロ時間)も大幅に短縮できる。
【0010】第3の発明においては、回転電機の運転モードは変速機の入力側の目標回転速度αと回転電機の回転速度βとの回転差(α−β)に基づいて制御される。(α−β)>+γのときは、回転電機が電動モードに制御され、回転差(α−β)に応じた力行トルクにより、目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域へ変速機の入力側の回転速度を上昇させる一方、(α−β)<−γのときは、回転電機が発電モードに制御され、回生トルクにより目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域へ変速機の入力側の回転速度を低下させるのである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1において、1はエンジン、2は歯車式の変速機であり、これらの間に摩擦クラッチ3が介装される。エンジン1としては、ディーゼルエンジンまたはCGNエンジン(圧縮天然ガスを燃料とする)が用いられる。4は回転電機(モータジェネレータ)であり、その入出力軸4aは動力伝達機構5(ギヤボックス)を介して変速機2の入力軸2aに連結される。
【0012】変速機2には、そのギヤシフト機構を制御するコントロールユニット6が備えられる。コントロールユニット6は、運転室のチェンジレバー装置7およびハイブリッド電子制御ユニット10(ハイブリッドECU)に接続され、チェンジレバー装置7がギヤシフト指令を発生すると、その指令に応じたギヤシフトをハイブリッドECU10の命令に従って制御する。
【0013】クラッチ3には、これを断続するクラッチアクチュエータ8が備えられる。クラッチアクチュエータ8は、ハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1から変速機2およびギヤボックス5への動力の伝達を断続する。エンジン1の燃料供給量を制御するのがエンジン電子制御ユニット15(エンジンECU)であり、エンジン1の回転速度を検出するエンジン回転センサ16が備えられる。エンジンECU15は、エンジン回転センサ16の検出信号およびハイブリッドECU10の要求に応じてエンジン1の燃料供給量を制御する。
【0014】車輪に制動力を発生させるブレーキアクチュエータ21は、ブレーキ電子制御ユニット20(ブレーキECU)により、ハイブリッドECU10からの情報(回転電機4の回生制動力)およびブレーキペダル22の踏み量(要求制動力)に基づいて、回生制動力で賄い切れない要求制動力の不足分を補うように制御される。23はブレーキペダル22の踏み量を検出するブレーキセンサである。
【0015】回転電機4は、高効率および小形軽量化の面から、永久磁石型同期電動機(IPM同期モータ)が使用され、蓄電要素9にインバータ11を介して接続される。蓄電要素9には、ブレーキエネルギを短時間で無駄なく高効率に回生するため、車両の電池許容質量に対して必要な出力密度を確保しやすい、電気二重層キャパシタが使用される。
【0016】インバータ11は、ハイブリッドECU10の要求に応じて回転電機4を電動モードまたは発電モードに制御する。電動モードにおいては、蓄電要素9の充電電力(直流電力)を交流電力に変換して回転電機4を駆動する一方、発電モードにおいては、回転電機4の発電電力(交流電力)を直流電力に変換して蓄電要素9を充電する。
【0017】ギヤボックス5は、回転電機4の入出力軸4aに連結されるドライブギヤ5aと、変速機2の入力軸2aに連結されるドリブンギヤ5bと、これらに噛み合うアイドラギヤ5cと、から構成される。回転電機4の入出力軸4aの回転は、ギヤボックス5により減速され、変速機2の入力軸2aへ伝達される一方、変速機2の入力軸2aの回転は、ギヤボックス5により増速され、回転電機4の入出力軸4aへ伝達される。
【0018】ハイブリッドECU10は、アクセルペダル12の踏み量(アクセル要求量)を検出するアクセルセンサ13と、クラッチ3の断続状態を検出するクラッチ位置センサ14と、変速機2のギヤポジションを検出するシフト位置センサ17と、変速機2の出力側の回転速度を検出する車速センサ18(変速機2の出力回転センサ)と、変速機2の入力側の回転速度として回転電機4の入出力軸4aに連結するドライブギヤ5aの回転速度を検出するギヤ回転センサ19(変速機2の入力回転センサ)と、が備えられる。
【0019】これらの検出信号および蓄電要素9のSOC(State Of Chage)を含む各種情報(エンジンECU15,ブレーキECU20,変速機2のコントロールユニット6,インバータ11、から得られる)に基づいて、ハイブリッドECU10は、クラッチアクチュエータ8,回転電機4のインバータ11、を制御する一方、エンジンECU15およびブレーキECU20への要求、変速機2のコントロールユニット6への命令、を送信する。
【0020】図2は、蓄電要素9のSOCをパラメータに回転電機4の出力とエンジン1の出力との分担比を設定する制御マップであり、ハイブリッドECU10に格納される。ハイブリッドECU10は、制御マップから蓄電要素9のSOC情報に応じた出力分担比を求め、この分担比とアクセルセンサ13の検出信号(アクセル操作量)に基づいて、回転電機4の出力およびエンジン1の出力を制御する。つまり、回転電機4が分担出力を発生するようにインバータ11を制御する一方、エンジンECU15への要求(エンジン1の分担出力に応じた燃料供給量)を送信するのである。
【0021】回転電機4の出力分担比=1(エンジン1の出力分担比=0)の場合、クラッチ3を切断した状態において、アクセル操作量に相当する出力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する。回転電機4の出力分担比<1(エンジン1の出力分担比>0)の場合、クラッチ3を接続した状態において、蓄電要素9のSOCの低下に連れて回転電機4の分担出力が小さくなり、それに応じてエンジン1の分担出力が大きくなるようにエンジンECUへの要求およびインバータ11を制御する。エンジン1の出力分担比が=1(回転電機の出力分担比=0)の場合、アクセル操作量に相当する出力がエンジン1から得られるようにエンジンECU15へ要求を制御する。
【0022】ハイブリッドECU10は、ブレーキECU20との協調制御により、蓄電要素9への充電が可能な(SOCとの関係から発電が許容される)限り、クラッチ3を切断した状態において、ブレーキ操作量に相当する回生制動力が回転電機4から得られるようにインバータ11を制御する一方、ブレーキ操作量に相当する要求制動力を回転電機4の回生制動力で賄い切れない場合、その分の制動力をブレーキアクチュエータ21の発生する制動力で補うようにブレーキECU20へ要求を送信する。また、蓄電要素9のSOC情報から、発電要求を判定すると、クラッチ3の接続状態において、エンジン1の出力に余裕がある場合、回転電機4の発電により、蓄電要素9を充電するようにインバータ11を制御するのである。
【0023】このような各種制御を司る機能のほか、ハイブリッドECU10は、車両の発進制御および変速制御を司る機能も備えられる。図3は、車両の発進制御を説明するフローチャートチャートであり、エンジン1がアイドル運転かつ変速機2がニュートラルの停車状態において、チェンジレバー操作に基づいて発進段へのギヤセット要求が発生するとクラッチ3を切断する(S1)。
【0024】クラッチ3の切断後に蓄電要素9への充電が可能な範囲において、回転電機4の発電モードにインバータ11を制御する(S2)。そして、変速機2の入力側の回転速度が出力側の回転速度との要求段に応じた同期領域(車両は停止状態のため、0付近となる)へ収束したら、変速機2をニュートラルから要求段へギヤセットする要求をコントロールユニット6へ送信する(S3,S4)。
【0025】その後は、アクセルペダル12が踏まれると、既述のように制御マップ(図2、参照)から蓄電要素9のSOC情報に応じた出力分担比を求め、この分担比とアクセル操作量に基づいて、クラッチ3の断続と共に回転電機4の出力およびエンジン1の出力を制御するのである。
【0026】このような構成により、車両の発進時は、発進段へのギヤセット要求が発生すると、クラッチ3の切断後に回転電機4が発電モードに制御され、その回生トルクが車両の駆動系(パワートレイン)に働くため、変速機2の入力側の回転速度は、同期領域の0付近へ速やかに収束する。変速機2は、入力側の回転速度が0付近に低下すると、ニュートラルから要求段へギヤセットされるのである。その結果、発進時のギヤ入れ(ギヤセット)に伴う、変速機2のシンクロ機構への負担が無くなり、ギヤ入れ時間(シンクロ時間)も大幅に短縮できる。
【0027】図4は、車両の変速制御を説明するフローチャートであり、走行状態(蓄電要素のSOC情報に応じた出力分担比およびアクセル操作量に基づいてクラッチ3の断続と共に回転電機4の出力およびエンジン1の出力を制御する)において、チェンジレバー操作に基づいて変速要求が発生すると、クラッチ3を切断するか、または切断状態に保持し、変速機2をニュートラルにセットする要求をコントロールユニット6へ送信する(S11〜S13)。
【0028】変速機2がニュートラルにセットされると、蓄電要素のSOCとの関係から許容される範囲において、変速機2の入力側の回転速度βをギヤ入れの目標回転速度αに合わせるように回転電機4をトルク制御する(S14〜S18→S20〜S24)。そして、変速機2の入力側の回転速度βが目標回転速度α±所定値γに設定される同期領域に入ると、ニュートラルから要求段へギヤセットする要求をコントロールユニットへ送信する(S18→S19)。その後、蓄電要素のSOC情報に応じた出力分担比およびアクセル操作量に基づくもとの制御に復帰するのである。
【0029】図4において、S15においては、車速センサ18の検出信号と要求段のギヤ比とから、変速機2の入力側の目標回転速度αを計算する。S16においては、ギヤ回転センサ19の検出信号(回転電機4の回転速度に相当する)とギヤボックス5の変速比とから変速機2の入力側の回転速度βを計算する。S17においては、目標回転速度αと回転速度βとの回転差(α−β)を計算する。
【0030】S18においては、回転速度βが目標回転速度αに所定値±γを加える同期領域にあるかどうか、回転差(α−β)が±γに納まるかどうかを判定する。S18の判定がyesのときは、S19へ進む一方、S18の判定がnoのときは、S20へ行く。
【0031】S20においては、回転差(α−β)>0(回転差が正側)かどうかを判定する。S20の判定がyesのときは、S21へ進み、回転差(α−β)に応じた力行トルク値を求め、S22において、その力行トルク値をインバータ11へ指令し、S18へ戻る。S20の判定がnoのときは、S23へ飛び、回転差(α−β)に応じた回生トルク値を求め、S24において、その回生トルク値をインバータ11へ指令し、S18へ戻るのである。
【0032】このような構成により、車両の変速時は、変速機2がニュートラルにセットされると、回転差(α−β)>+γのときは、回転電機4が回転差(α−β)に応じた力行トルク値を発生するため、変速機2の入力側の回転速度βが要求段に対応する目標回転速度αへ上昇する一方、回転差(α−β)<−γのときは、回転電機4が回転差(α−β)に応じた回生トルク値を発生するため、変速機2の入力側の回転速度βが要求段に対応する目標回転速度αへ低下するようになる。このため、変速機2の入力側の回転速度βは、要求段の同期領域へ速やかに収束するのである。
【0033】変速機2は、回転速度βが要求段の同期領域に入ると、ニュートラルから要求段へギヤセットされる。その結果、変速時のギヤ入れ(ギヤセット)に伴う、変速機2のシンクロ機構への負担が無くなり、ギヤ入れ時間(シンクロ時間)も大幅に短縮できる。
【0034】図3の発進制御および図4の変速制御において、変速機2のギヤ入れ時の回転合わせに回転電機4の発電モードが利用され、エネルギの回生率が向上するという効果も得られる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【住所又は居所】埼玉県上尾市大字壱丁目1番地
【出願日】 平成14年3月12日(2002.3.12)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2003−274510(P2003−274510A)
【公開日】 平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願番号】 特願2002−66855(P2002−66855)