| 【発明の名称】 |
誘導集電用コイル装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】長谷川 均
【氏名】村井 敏昭
【氏名】松江 仁
【氏名】深川 敏広
【氏名】葭谷 明彦
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| 【要約】 |
【課題】誘導集電用コイルの軽量化を図るとともに、誘導集電用コイルと超電導磁石外槽表面とを強固に固定することにより、超電導磁石の全体剛性の向上を図ることができる誘導集電用コイル装置を提供する。
【解決手段】磁気浮上用車両の超電導磁石低温容器外槽3表面に実装される誘導集電用コイル装置6において、誘導集電用コイル5の構造材3に絶縁性を持たせた高弾性材料を使用し、誘導集電用コイル5の軽量化を図るとともに、誘導集電用コイル5と超電導磁石外槽1表面とを強固に固定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁気浮上用車両の超電導磁石低温容器外槽表面に実装される誘導集電用コイル装置において、誘導集電用コイルの構造材に絶縁性を持たせた高弾性材料を使用し、前記誘導集電用コイルの軽量化を図るとともに、前記誘導集電用コイルを超電導磁石外槽表面に固定した場合に、前記超電導磁石が高剛性となることを特徴とする誘導集電用コイル装置。 【請求項2】 請求項1記載の誘導集電用コイル装置において、前記誘導集電用コイルの構造材が、一方向の繊維を有する炭素繊維強化プラスチックの複合体からなることを特徴とする誘導集電用コイル装置。 【請求項3】 請求項1記載の誘導集電用コイル装置において、前記誘導集電用コイルの構造材が、絶縁シートを挟んだ炭素繊維強化プラスチックの複合体からなることを特徴とする誘導集電用コイル装置。 【請求項4】 請求項3記載の誘導集電用コイル装置において、前記炭素繊維強化プラスチックが一方向の繊維からなることを特徴とする誘導集電用コイル装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気浮上用車両の超電導磁石低温容器外槽表面に実装される誘導集電用コイル装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、以下に示すようなものがあった。 【0003】図12はかかる従来の誘導集電装置の基本構成図であり、図12(a)はその横断模式図、図12(b)は図12(a)のA部拡大図である。 【0004】これらの図において、101は車両、102は台車、103はその台車102に設けられる超電導磁石低温容器外槽、104はその超電導磁石低温容器外槽103内に配置される超電導コイル、105はその超電導磁石低温容器外槽103表面に設けられる誘導集電用コイル、106は力率改善及び電力制御用コンバータ、107は蓄電池、108は車内負荷、110は軌道、111はその軌道110に配置される浮上コイルである。 【0005】ここで、図12(b)に示すように、超電導コイル104によって生じる移動磁界(太線)が浮上コイル111に作用して車両101は浮上する。また、浮上コイル111によって生じる高調波磁界(細線)は、誘導集電用コイル105に速度起電力を発生させ、この速度起電力が、誘導集電用コイル105に電流を発生させるが、電力制御用コンバータ106によって誘導集電用コイル105の電流の力率及び振幅を制御して、車内負荷108及び蓄電池107に電力を供給する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の誘導集電装置では、超電導磁石低温容器外槽表面に誘導集電用コイルを設ける場合には、その誘導集電用コイルに構造材としてガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を用いて構成するようにしていた。 【0007】したがって、GFRPを構造材とした誘導集電装置は、その重量が重くなり、また、そのために超電導磁石低温容器外槽の機械的剛性も弱くなるといった問題があった。 【0008】本発明は、上記状況に鑑みて、誘導集電用コイルの軽量化を図るとともに、誘導集電用コイルと超電導磁石外槽表面とを強固に固定することにより、超電導磁石の全体剛性の向上を図ることができる誘導集電用コイル装置を提供することを目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、〔1〕磁気浮上用車両の超電導磁石低温容器外槽表面に実装される誘導集電用コイル装置において、誘導集電用コイルの構造材に絶縁性を持たせた高弾性材料を使用し、前記誘導集電用コイルの軽量化を図るとともに、前記誘導集電用コイルと超電導磁石外槽表面に固定した場合に、前記超電導磁石を高剛性にすることを特徴とする。 【0010】〔2〕上記〔1〕記載の誘導集電用コイル装置において、前記誘導集電用コイルの構造材が、一方向の繊維を有する炭素繊維強化プラスチックの複合体からなることを特徴とする。 【0011】〔3〕上記〔1〕記載の誘導集電用コイル装置において、前記誘導集電用コイルの構造材が、絶縁シートを挟んだ炭素繊維強化プラスチックの複合体からなることを特徴とする。 【0012】〔4〕上記〔3〕記載の誘導集電用コイル装置において、前記炭素繊維強化プラスチックが一方向の繊維からなることを特徴とする。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。 【0014】高磁場を発生する超電導機器では鉄心を使用することができないため、漏れ磁束が周囲の金属に鎖交し、渦電流損失を生じる。CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)は強化繊維に導電性があり、構造材に使用すると、金属と同様に渦電流が発生する可能性がある。電気機器としての効率は、損失をいかに低減するかにかかっており、炭素強化繊維の構成に異方性を持たせたり、絶縁物を介在させることで渦電流の発生を防ぎ、渦電流損が増加しないようにすることが重要である。 【0015】本発明では、渦電流損の発生を防いだCFRPを構造材に使用することで、超電導磁石の剛性が高くなり、かつ誘導集電能力に低下がない装置を提案するものである。 【0016】〔CFRP材の交流損失の検討〕 ■ CFRPの各繊維構成CFRPは高弾性で軽量なため、高剛性を要求される構造材として使用される一方、炭素繊維に導電性があるため、電気電子部品にも応用されている。このような導電体に交流磁束が鎖交すると、渦電流損失(交流損失)が発生する。そこで、CFRPを超電導機器で使用する場合は、渦電流が低減するように工夫する必要がある。 【0017】発生する渦電流を抑えるためには、素材自体の抵抗率を高くするか、渦電流の流路を遮るようにすればよい。 【0018】このような観点から、炭素繊維の方向を変化させたり、絶縁シート(薄いガラスシート)を介在させたCFRPを提案する。 【0019】図1にCFRPの構造を模式的に示す。図1(a)はCFRPの等方積層構造、図1(b)はCFRPの一方性積層構造、図1(c)は絶縁シートを挟んだCFRP等方配置の積層複合構造、図1(d)は絶縁シートを挟んだCFRP一方性配置の積層複合構造を示している。 【0020】■ 抵抗率の検討繊維方向と繊維直角方向で、数百倍程度の抵抗の差が生じることが文献(1)〔河田他編:「最新複合材料・技術総覧」、産業技術サービスセンター、pp.400、1990年〕に公表されている。 【0021】■ 渦電流損失の検討CFRPの渦電流損失がどの程度あるのか、測定を行った結果、次のことに考慮すべきことが分かった。 【0022】(1)等方CFRP〔図1(a)〕では、積層間で炭素繊維の接触があるため、渦電流路が構成されている。 【0023】(2)一方向CFRP〔図1(b)〕では、繊維間の接触が多いため抵抗率が大きくなり渦電流が流れにくい。 【0024】(3)等方でも積層間に絶縁物を挟み込むことで積層間で炭素繊維が接触せず渦電流が流れなくなるため、一方向CFRPと同等の効果がある。 【0025】このように、導電性のある強化繊維を使用したCFRPでも繊維方向に異方性を持たせたり、絶縁物を介在させることにより渦電流の発生を防ぐことができる。このため、繊維の構成を工夫することで渦電流損失の少ないCFRPを製作可能である。 【0026】〔誘導集電装置にCFRPを適用した場合〕上記の結果をもとに、超電導磁気浮上式鉄道用誘導集電装置の誘導集電能力と、超電導磁石の性能について検討した。 【0027】■ 誘導集電装置の構成とCFRPの必要性誘導集電装置は図2に示すように、車両の各台車Aに設置された超電導磁石B表面に集電用コイル装置Cを取り付け、走行に伴って発生する浮上コイルからの高調波磁界による集電用コイルの誘起電圧から電力を得る。高調波磁界は浮上コイルが走行路に集中巻きで設置されているために発生するもので、例えば現状の超電導磁気浮上式車両では同期周波数の6倍の周波数である。仮に500km/hで走行した場合、約300Hzに達するため、集電用コイルの交流抵抗増加(渦電流損失)は商用周波数に比べて大きなものとなる。このため、集電用コイルは交流抵抗の増加をできるだけ抑えるため素線を細分化するなどの対策が打たれている。 【0028】また、超電導磁石外槽の交流磁気遮蔽効果による誘導電圧の低下を防ぐために、超電導磁石外槽と集電用コイル間に空隙を設けたり、上下非対称にするなどの工夫もなされている。なお、図2において、DはPWMコンバータである。 【0029】また、超電導磁石の性能を表す一つの指標として、内槽の発熱量がある。内槽の発熱量増加は、超電導コイルの冷媒である液体ヘリウムの蒸発量の増加となり、冷凍機の負担となる。このため内槽の発熱量は低いほど好ましい。内槽の発熱原因の一つは、超電導磁石外槽に発生する電磁力により、外槽振動が発生し、この外槽振動が加振力となり、内槽にねじり運動が生じることにある。この内槽のねじり運動により、支持部材等に局所的な摩擦が生じ、発熱となる。 【0030】電磁力は外槽に発生する渦電流と超電導コイルからの磁界により生じるもので、この電磁力による振動を抑えるためには、外槽の剛性を高くすることが効果的である。 【0031】集電用コイルは、超電導磁石外槽に強固に固定されるため、集電用コイルは外槽の構造部材と考えられる。GFRPに比べて軽量かつ高剛性の素材として、CFRPを集電用コイル構造材に使用することで、集電用コイルの剛性が高くなり、外槽剛性を高めることができると考えられる。 【0032】■ 構造解析における剛性評価CFRPを集電用コイルの構造材に使用した場合の超電導磁石外槽の剛性について構造計算を行った。解析には有限要素法を使用し、各要素はシェル要素にて近似した。対称性を考慮して、1/2モデルとした。 【0033】図3に解析モデルと表1に解析諸元を示す。 【0034】 【表1】
【0035】外槽の剛性は、ある荷重を与えたときの変位を比較すればよい。通常、ねじりや上下、左右方向に荷重を与えるが、ここでは、左右方向(図Y方向)に誘導集電装置動作時の外槽に働く電磁力を分布荷重として図3のように入力を与えた。 【0036】超電導磁石外槽には、浮上コイル磁界と集電用コイル磁界による渦電流がそれぞれ発生する。これらの渦電流と超電導磁石の主磁束により電磁力に外槽に働く。ところが、集電用コイル渦電流による電磁力は、集電電流による電磁力に相殺されるため、浮上コイルによる電磁力のみが残り、外槽の振動を発生させる。 【0037】この振動による外槽の変位は蒸発量に関連するため、実際の荷重分布で与えることにより、外槽の加振力の変化が比較できる。これにより、振動時の変位が分かり、蒸発量増減の判断ができる。 【0038】そこで、解析による、外槽にかかる電磁力(最大電磁力により規格化し荷重条件とした)によるCFRPを使用したコイル〔図4(b)〕とGFRP〔図4(a)〕を使用したコイルの変形の違いを図4に示す。与えられた電磁力により、超電導コイルに対してねじれの変形を起こすことが分かる。このねじれ変形の最大変位で比較すると、誘導集電用コイル構造材がGFRPの場合とCFRPの場合では、約20%CFRPの場合の方が剛性が高くなっている。 【0039】集電用コイルは超電導磁石外槽表面に強固に固定されているため、外槽の構造部材の一部として考えられる。このため、集電用コイルが高弾性のものとなれば、外槽全体の剛性が上がり、集電能力の低下なしに集電用コイルの高弾性化ができれば、超電導磁石の機械的な発熱低減が実現できる。 【0040】■ 各CFRPにおける集電電力誘導集電用コイル構造材にCFRPを適用した場合の集電電力について検討を行った結果を図5に示す。この図5において、横軸は速度(km/h)、縦軸は出力(kw)である。 【0041】計算では片台車あたりの出力を計算し、PWMコンバータの効率を90%、力率1制御を行った場合のものである。 【0042】図5から明らかなように、渦電流対策を施したCFRP(曲線a)では、現状のGFRPと同等の集電能力を示し、約300km/hから必要電力を発生させている。しかし、渦電流対策なしのCFRP(曲線b)では、350km/h以上にならないと必要電力が得られない結果となった。このように、高速域ではCFRPによる損失が大きくなるため、渦電流対策が不可欠であることが分かる。 【0043】なお、GFRP(測定値○印)はコンバータが必要電力を得られると電力一定運転を行うため、300km/h以上で一定の出力となる。 【0044】このように、本発明では、繊維構成の異なるCFRPを製作し、一次コイルの交流抵抗を測定し、解析と同様の結果が得られることを確認した。この測定および解析により異方性CFRPまたは絶縁物を積層したCFRPを使用することで渦電流損増加のない材料を製作できることが分かった。 【0045】上記した結果より、超電導磁気浮上式鉄道用誘導集電装置にCFRPを使用した場合について検討を行った。CFRPを構造材に採用することで、外槽の剛性が従来のGFRPを構造材とする集電用コイルを使用したものに比べて高くなることが分かった。さらに、誘導集電装置の電気的特性を計算し、集電装置の性能低下がないことが分かった。また、GFRPに比べて重量が30%以上削減できるため、本システムのような移動体には有用であると考えられる。 【0046】〔実施例〕図6は本発明の第1実施例を示す誘導集電用コイル装置の構成図であり、図6(a)はその誘導集電用コイル装置の分解断面図、図6(b)はその誘導集電用コイル装置の実装状態を示す断面図、図7は本発明の第1実施例を示す誘導集電用コイルの構造材の構成図である。 【0047】これらの図に示すように、内部に超電導コイル2が設けられる超電導磁石低温容器外槽1の表面へ、本発明の絶縁性を持たせた高弾性材料である構造材3を用いて誘導集電用コイル装置6を構成する。31は地上コイルである。 【0048】この実施例では、図7に示すように、構造材3としては、一方向炭素繊維強化プラスチック(異方性炭素繊維強化プラスチック)4を用いる。このような異方性炭素繊維強化プラスチック4を接着材(図示なし)により誘導集電用コイル5と一体化して誘導集電用コイル装置6を得ることができる。 【0049】図8は本発明の第2実施例を示す誘導集電用コイル装置の構成図であり、図8(a)はその誘導集電用コイル装置の分解断面図、図8(b)はその誘導集電用コイル装置の実装状態を示す断面図、図9は本発明の第2実施例を示す誘導集電用コイルの構造材の構成図である。 【0050】これらの図に示すように、内部に超電導コイル2が設けられる超電導磁石低温容器外槽1の表面へ絶縁性を持たせた高弾性材料である構造材11を用いて誘導集電用コイル装置15を構成する。31は地上コイルである。 【0051】そこで、この実施例では、図9に示すように、構造材11としては、ここでは、方向が異なった炭素繊維強化プラスチック12を絶縁シート13で挟んだ複合したCFRP複合体を用いる。このような複合したCFRP複合体を接着材(図示なし)により誘導集電用コイル14と一体化して誘導集電用コイル装置15を得ることができる。 【0052】図10は本発明の第3実施例を示す誘導集電用コイル装置の構成図であり、図10(a)はその誘導集電用コイル装置の分解断面図、図10(b)はその誘導集電用コイル装置の実装状態を示す断面図、図11は本発明の第3実施例を示す誘導集電用コイルの構造材の構成図である。 【0053】この実施例では、これらの図に示すように、構造材16としては順次一方性を有する炭素繊維強化プラスチックの複合体(異方性炭素繊維強化プラスチック)17を絶縁シート18で挟んだCFRP複合体を用いる。このような複合CFRP複合体を接着材(図示なし)により誘導集電用コイル19と一体化して誘導集電用コイル装置20を得ることができる。 【0054】第3実施例によれば、第2実施例の構造材よりは、耐渦電流特性を向上させることができる。 【0055】このように構成したので、軽量で、絶縁性を有するとともに機械的に強度の高い高弾性材料からなる構造材を有する誘導集電用コイル装置を得ることができる。 【0056】さらに、より耐渦電流特性が向上した誘導集電用コイル装置を得ることができる。 【0057】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。 【0058】 【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。 【0059】(A)分散型誘導集電装置の誘導集電用コイルの構造材に絶縁性を有する高弾性材料を使用することにより、誘導集電用コイルの軽量化を図るとともに、誘導集電用コイルが超電導磁石外槽に強固に固定することにより、超電導磁石の全体剛性の向上を図ることができる。 【0060】(B)また、誘導集電能力の低下を抑えることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000173784 【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所 【識別番号】000236159 【氏名又は名称】三菱化学産資株式会社
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| 【出願日】 |
平成14年3月12日(2002.3.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089635 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 守 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−274507(P2003−274507A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月26日(2003.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2002−66680(P2002−66680) |
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