| 【発明の名称】 |
鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】清水 秀幸 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
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| 【要約】 |
【課題】リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適な制御ゲインが得、リニア誘導電動機を安定に制御する。
【解決手段】リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置の出力電圧および出力電流から電流フィードバック制御ゲインを求める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リニア誘導電動機を駆動源とし、前記リニア誘導電動機を電力変換装置によって駆動する鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機の制御装置において、前記リニア誘導電動機に電力を供給する電力変換装置の出力電流指令値を演算して出力する電流指令演算手段と、前記電力変換装置の出力電流をフィードバックして、前記出力電流指令値に対して電流フィードバック制御演算によって前記電力変換装置の出力電圧を調整する電流制御手段と、前記リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の前記電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいて、前記電流フィードバック制御演算用のゲインを演算して出力するゲイン演算手段と、を備えて成ることを特徴とするリニア誘導電動機の制御装置。 【請求項2】 前記請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記電流指令演算手段としては、前記電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、前記リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算して出力するようにしたことを特徴とする鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。 【請求項3】 前記請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記電流指令演算手段としては、前記電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、前記リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算すると共に、当該出力電流指令値の大きさを制限して出力するようにしたことを特徴とする鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。 【請求項4】 前記請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記ゲイン演算手段としては、前記電流フィードバック制御ゲインの演算値を所定値内に制限する手段を有することを特徴とする鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。 【請求項5】 前記請求項1に記載の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、前記電流制御手段としては、フィードフォワード電圧を演算して前記リニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償する手段を有することを特徴とする鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機の制御装置に係り、特にリニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化や、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質、1次側コイルの温度によって変化する等価回路パラメータに対応して、リニア誘導電動機の電流フィードバック制御の安定性の低下を抑制し、最適な電流制御応答を維持してリニア誘導電動機を安定に制御できるようにした鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図4は駆動用電動機としてリニア誘導電動機を適用した鉄道車両の駆動システムの構成例を示す概要図である。 【0003】図4に示すように、本駆動システムは、車両の駆動用電動機としてリニア誘導電動機を有している。 【0004】そして、台車30に取り付けられたリニア誘導電動機の1次側コイル3に、電力変換装置から三相交流電流が供給されることによって、軌道に設置されたリニア誘導電動機の2次側リアクションプレート4との間に推進力を発生して、車両の駆動力を得るシステムである。 【0005】車両重量は、車輪6にて支持されるが、通常の鉄道車両と異なり、車輪6自体が推進力を伝達するものではない。 【0006】また、車軸には、速度検出器5が備えられ、車輪6の回転数を検出するようにしている。 【0007】図5は、従来の鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置の全体構成例を示すブロック図である。 【0008】図5に示すように、リニア誘導電動機の1次側コイル3に三相交流電流を供給する電力変換装置1は、架線8から集電器7を介して供給される電源の直流電圧を三相交流電圧に変換する機能を有しており、一般にインバータと称されている。 【0009】また、電力変換装置1の直流入力側には、フィルタコンデンサ11が接続されている。 【0010】さらに、電力変換装置1の3相交流出力側には、リニア誘導電動機の1次側コイル3が接続され、電力変換装置1からU相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwがそれぞれ供給される。 【0011】また、この時、リニア誘導電動機の各端子には、線間電圧Vuv、Vuw、Vwuが印加されている。 【0012】リニア誘導電動機の1次側コイル3に供給されている3相電流のうち、少なくとも2相の電流を電流検出器12によって検出して制御部2に入力し、当該制御部2にてリニア誘導電動機内部の磁界に同期したdq軸座標系のd軸電流Idおよびq軸電流Iqに座標変換する。 【0013】図6は、図5に示す従来の鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置における制御部2の構成例を示すブロック図である。 【0014】図6に示すように、電流指令演算部16は、リニア誘導電動機の磁束指令値φRefおよび推進力指令値TorqRefを入力として、d軸電流指令値IdRefとq軸電流指令値IdRefとすべり角周波数ωsとを演算して出力する。 【0015】 【数1】
【0016】ここで、M、l2、R2は、図8に示すリニア誘導電動機の等価回路における等価回路パラメータである。 【0017】ロータ角周波数演算部19は、速度検出器5からの出力である車輪の回転数ωを入力として、リニア誘導電動機のロータ角周波数ωrを、下記の(2)式により演算して出力する。 【0018】ωr=K×ω ・・・・・・・・・(2) ωr:ロータ角周波数K:車輪回転数−ロータ角周波数変換係数インバータ出力角周波数(1次角周波数)ωlは、下記の(3)式で求められる。 【0019】ωl=ωr+ωs ・・・・・・・・・(3) ωl:インバータ出力角周波数ωr:ロータ角周波数ωs:すべり角周波数位相角演算部20は、インバータ角周波数ωlを時間積分して、位相角θを演算して出力する。 【0020】座標変換部17は、電流検出器12からの出力であるU相電流IuおよびW相電流Iwと、前記位相角演算部20からの出力である位相角θとを入力として、下記の(4)式の演算を行なって、インバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqを出力する。 【0021】 【数2】
I u U相電流I v V相電流I w W相電流I a 2相変換後a相電流I b 2相変換後b相電流I d d軸電流I q q軸電流θ 位相角電流制御演算部18は、前記電流指令演算部16からの出力であるd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqとを入力として、電流フィードバック制御の比例・積分演算によって、インバータ出力電圧のd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを出力する((5)式)。 【0022】すなわち、この場合、比例・積分演算によって、d軸電流指令値IdRef、q軸電流指令値IqRefに対して、実際のd軸電流Id、q軸電流Iqが一致するように、d軸電圧Vd、q軸電圧Vqが調整される。 【0023】 【数3】
【0024】相電圧指令演算部21は、d軸電圧Vd、q軸電圧Vq、位相角θ、フィルタコンデンサ電圧Vdcを入力として、各相の電圧指令値であるU相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、W相電圧指令値Vwを出力する。 【0025】ゲート信号発生部23は、相電圧指令演算部21からの出力であるU相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、W相電圧指令値Vwとを入力として、電力変換装置1(インバータ)のスイッチング素子14U〜14ZへのPWMゲート信号を発生して出力する。 【0026】なお、上述した各相の電圧指令値であるU相電圧指令値Vu、V相電圧指令値Vv、W相電圧指令値Vwの演算、およびPWM制御については、周知の技術であるので、ここではその詳細な説明を省略する。 【0027】 【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のようなリニア誘導電動機では、車体31または台車30に搭載された1次側コイル3と、地上(軌道)に設置された2次側リアクションプレート4との間に推進力が発生して、車両の駆動源となる。 【0028】この1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙は、例えば5ミリメートルから10ミリメートル程度に設計される。 【0029】しかしながら、1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙は、車体31の重量(荷重)の変化や、2次側リアクションプレート4の設置誤差等のために、一定とはならず、実際には数ミリメートルの範囲で変動する。 【0030】図7は、2次側リアクションプレートの構成例を示す概要図である。 【0031】図7に示すように、2次側リアクションプレート4は、推進力を発生する過電流を流すための非磁性体(アルミニウムや銅)製のプレート4aと、1次側コイル3から誘起される磁束を通し易くするための磁性体(鉄等)製のバックアイアン4bとから構成される。 【0032】このバックアイアン4bの材質や厚みは、路線(レール)9全体で同一とは限らず、路線9の区間によってバックアイアン4bの材質や厚みの異なる2次側リアクションプレート4が設置される場合がある。 【0033】そして、この1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との空隙や、2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bが変化すると、リニア誘導電動機の特性、すなわち図8に示すようなリニア誘導電動機の等価回路における等価回路パラメータが変化する。 【0034】そこで、リニア誘導電動機を安定に制御するためには、電流フィードバック制御が有効である。 【0035】また、制御される実際の電流の制御応答が速く、かつ実際の電流が指令値に対してオーバーシュートを生じないことが望ましい。 【0036】そして、電流フィードバック制御を安定に行なうためには、実際の電流の応答(電流指令値に対する追従)が1次遅れとなるように、制御ゲインが選定される。 【0037】図9は、リニア誘導電動機の電圧と電流をベクトルで表わし、2次磁束の方向の電圧をVd、電流をId、また2次磁束と直交する方向の電圧をVq、電流をIqと表現した場合の、リニア誘導電動機のdq軸等価回路を示すブロック図である。 【0038】なお、図9に示すブロックは、リニア誘導電動機の場合にも、回転形誘導電動機の場合にも同様である。 【0039】図9に示すように、電流フィードバック制御は、誘導電動機の等価回路ブロックの「1/(R1+pσL1)」の項に対して1次遅れ応答となるように、比例・積分演算で構成される。 【0040】ここで、比例・積分演算において、比例ゲインGpが小さすぎ、積分ゲインGiが大きすぎる場合には、電流指令値の変化に対して電流の応答がオーバーシュートする。 【0041】また、比例ゲインGpが大きすぎ、積分ゲインが小さすぎる場合には、電流の応答が1次遅れとならず、かつ電流指令値への収束が遅くなり、電流制御の安定には望ましくない電流制御応答になる(図10)。 【0042】前述の(5)式で示した比例・積分演算の場合、その比例ゲインGp、および積分ゲインGiは、下記の(6)式で求められる。 【0043】 【数4】
【0044】ここで、上記の(6)式から、比例ゲインGpの最適値は、誘導電動機の相互インダクタンスMと漏れインダクタンスlに関係し、積分ゲインGiは、誘導電動機の1次抵抗R1に関係することがわかる。 【0045】鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機では、等価回路の相互インダクタンスMが、1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙の変化、または2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bの材質によって変化する。 【0046】また、1次抵抗R1は、1次側コイル3の温度によって変化する。 【0047】従って、電流フィードバック制御を安定して行なうためには、比例ゲインGpと積分ゲインGiは、常に上記の(6)式の値(最適値)であることが望ましい。 【0048】しかしながら、従来の鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機の制御装置においては、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化を正確に把握できないことから、比例ゲインGpと積分ゲインGiは、予想される等価回路パラメータの変動範囲内で一定の値に設定されている。 【0049】すなわち、車両の走行に伴なって逐次変化するリニア誘導電動機の等価回路パラメータに対して、常に安定に制御するための最適な電流フィードバック制御ゲインを得ることができない。 【0050】その結果、リニア誘導電動機を安定に制御することが難しい。 【0051】本発明の目的は、リニア誘導電動機を駆動源とする鉄道車両の制御装置において、リニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化や、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質、1次側コイルの温度によって変化する等価回路パラメータに対応して、リニア誘導電動機の電流フィードバック制御の安定性の低下を抑制し、最適な電流制御応答を維持してリニア誘導電動機を安定に制御することが可能な鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置を提供することにある。 【0052】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、リニア誘導電動機を駆動源とし、リニア誘導電動機を電力変換装置によって駆動する鉄道車両駆動用のリニア誘導電動機の制御装置において、リニア誘導電動機に電力を供給する電力変換装置の出力電流指令値を演算して出力する電流指令演算手段と、電力変換装置の出力電流をフィードバックして、出力電流指令値に対して電流フィードバック制御演算によって電力変換装置の出力電圧を調整する電流制御手段と、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいて、上記電流フィードバック制御演算用のゲインを演算して出力するゲイン演算手段とを備えている。 【0053】従って、請求項1に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置においては、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置の出力電圧および出力電流から電流フィードバック制御ゲインを求めることにより、リニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化や、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質の変化、また1次側コイルの温度変化に伴なうリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。 【0054】また、請求項2に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、電流指令演算手段としては、電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算して出力するようにしている。 【0055】従って、請求項2に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置においては、電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算することにより、前述したリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することができる。 【0056】さらに、請求項3に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、電流指令演算手段としては、電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算し、かつ当該出力電流指令値の大きさを制限して出力するようにしている。 【0057】従って、請求項3に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置においては、電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算し、かつ当該出力電流指令値の大きさを制限することにより、前述したリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することができる。 【0058】また、請求項4に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、ゲイン演算手段としては、電流フィードバック制御ゲインの演算値を所定値内に制限する手段を有するものとしている。 【0059】従って、請求項4に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置においては、電流フィードバック制御ゲインの演算値を所定値内に制限することにより、前述したリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することができる。 【0060】さらに、請求項5に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置において、電流制御手段としては、フィードフォワード電圧を演算してリニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償する手段を有するものとしている。 【0061】従って、請求項5に対応する発明の鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置においては、フィードフォワード電圧を演算してリニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償することにより、前述したリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られると共に、リニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償して、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することができる。 【0062】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0063】(第1の実施の形態)図1は、本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置における制御部2の構成例を示すブロック図であり、図6と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0064】図1において、電流指令演算部16は、前記リニア誘導電動機に電力を供給する電力変換装置1の出力電流指令値を演算して出力する。 【0065】電流制御演算部18は、電力変換装置1の出力電流をフィードバックして、出力電流指令値に対して電流フィードバック制御演算によって電力変換装置1の出力電圧を調整する。 【0066】ゲイン演算手段22は、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置の出力電圧および出力電流に基づいて、上記電流フィードバック制御演算用のゲインを演算して出力する。 【0067】次に、以上のように構成した本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の作用について説明する。 【0068】図1において、電流指令演算部16では、リニア誘導電動機の磁束指令値φRefと推進力指令値TorqRefとが入力され、前述の(1)式によって、d軸電流指令値IdRefとq軸電流指令値IqRefとすべり角周波数ωsとが演算されて出力される。 【0069】ゲイン演算手段22では、電流制御演算部18からの出力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ロータ角周波数演算部19からの出力であるロータ角周波数ωrと、磁束指令値φRefとが入力され、電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiが演算されて出力される。 【0070】ここで、図8に示すリニア誘導電動機の等価回路図から、微分演算子pを含む過度成分項を除き、2次磁束に関してφ2=φ2d、φ2q=0が成立していると、リニア誘導電動機の電圧・電流方程式は、下記の(7)式で表わされる。 【0071】 【数5】
【0072】本実施の形態のように、電流フィードバック制御を行なっている場合には、2次磁束に関してφ2=φ2d、φ2q=0が成立している時、下記の(8)式が成立する。 【0073】 【数6】
【0074】リニア誘導電動機の「すべり」がゼロ、すなわちすべり角周波数ωsがゼロ(ωs=0)の時には、上記の(7)式からq軸電流Iq=0となる。 【0075】上記の(7)式に、上記の(8)式とIq=0とを代入すると、下記の(9)式が導かれる。 【0076】 【数7】
【0077】ゲイン演算手段22では、上記の(9)式から導かれる下記の(10)式と上記の(6)式とによって、比例ゲインGpおよび積分ゲインGiが演算されて出力される。 【0078】 【数8】
【0079】電流制御演算部18では、電流指令演算部16からの出力であるd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ゲイン演算手段22からの出力である比例ゲインGpおよび積分ゲインGiとが入力され、上記の(5)式の比例・積分演算によって、インバータ出力電圧のd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqが演算されて出力される。 【0080】以上のような作用により、リニア誘導電動機の1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の空隙の変化や、2次側リアクションプレート4のバックアイアン4bの材質の変化、または1次コイル3の温度変化に伴なうリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適な制御ゲインが得られるため、リニア誘導電動機を安定に制御することができる。 【0081】なお、その他の作用については、前述した図6に示す従来の鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置における制御部2と同様であるので、ここではその説明を省略する。 【0082】上述したように、本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置では、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置1の出力電圧および出力電流から電流フィードバック制御ゲインを求めるようにしているので、リニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化や、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質の変化、また1次側コイルの温度変化に伴なうリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機を安定に制御することが可能となる。 【0083】(変形例1)上記第1の実施の形態では、ゲイン演算手段22の入力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqとしては、電流制御演算部18からの出力を用いているが、これに限らず、電力変換装置1の三相出力回路に電圧検出器を設置することにより、線間電圧Vuv、Vvw、Vwuのうちの少なくとも2つを直接検出して、前記座標変換部17と同様な座標変換によって、d軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqを求めるようにしてもよい。 【0084】(変形例2)上記第1の実施の形態では、電流指令演算部16においてリニア誘導電動機の相互インダクタンスMを演算に用いているが、これに限らず、このリニア誘導電動機の相互インダクタンスMは、あらかじめ設定した値の場合でも、制御部2にリニア誘導電動機の相互インダクタンスMの変化を補償する機能を付与した場合においても、本発明の特徴であるゲイン演算手段22の作用は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。 【0085】(変形例3)上記第1の実施の形態では、リニア誘導電動機の2次側リアクションプレート4のプレート4aの材質によって、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの2次抵抗R2が異なることが一般的に知られているが、2次抵抗R2が変化する場合の例については説明していない。 【0086】しかし、上記制御部2に、この2次抵抗R2の変化を補償する機能を付与した場合においても、本発明の特徴であるゲイン演算手段22の作用は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。 【0087】(第2の実施の形態)本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置は、前述した図1に示す第1の実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置の制御部2において、前記電流指令演算部16として、電力変換装置(インバータ)1の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算して出力する手段を付加した構成としている。 【0088】次に、以上のように構成した本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の作用について、図2に示すタイムチャート図を参照して説明する。 【0089】なお、図1と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。 【0090】電流指令演算部16では、電力変換装置(インバータ)1の動作開始(インバータゲートスタート)時に、あらかじめ設定した任意の期間T1に、下記の(11)式によってd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefが演算されて出力される。 【0091】 【数9】
【0092】また、あらかじめ設定した任意の期間T1が経過した後は、前記の(1)式によってd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefが演算されて出力される。 【0093】なお、d軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefは、その変化をステップ状(図2(a)の例1)としても、乗り心地を考慮して変化率制限(図2(b)の例2)等を設けた場合においても、本発明の特徴である電流指令演算部16において、T1の任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなる出力電流指令値を演算する作用は同様である。 【0094】ゲイン演算手段22では、電流制御演算部18からの出力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ロータ角周波数演算部19からの出力であるロータ角周波数ωrと、磁束指令値φRefとが入力され、リニア誘導電動機のすべりがゼロの任意の期間T1において、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiが演算されて出力される。 【0095】上述したように、本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置では、電力変換装置1の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算するようにしているので、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することが可能となる。 【0096】(第3の実施の形態)本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置は、前述した図1に示す第1の実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置の制御部2において、前記電流指令演算部16として、電力変換装置(インバータ)1の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算すると共に、当該すべりがゼロとなる期間の出力電流指令値の大きさを制限して出力する手段を付加した構成としている。 【0097】次に、以上のように構成した本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の作用について説明する。 【0098】なお、図1と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。 【0099】電流指令演算部16では、前述した第2の実施の形態の場合と同様に、前記図2に示すように、電力変換装置(インバータ)1の動作開始(インバータゲートスタート)時に、あらかじめ設定した任意の期間T1に、前記の(11)式によってd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefが演算されて出力される。 【0100】この時、T1の任意の期間のd軸電流指令値IdRefは、次の演算によってあらかじめ設定された値Ilimtに制限される。 【0101】 I dRef≦I limitの時 : I dRef=I dRefI dRef>I limitの時 : I dRef=I limitここで、I limit:あらかじめ設定した電流指令値の上限本電流指令演算部16の機能によって、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間に、電力変換装置(インバータ)1とリニア誘導電動機に過大な電流が流れるのを防止すると共に、すべりがゼロの場合に発生する1次側コイル3と2次側リアクションプレート4との間の過大な吸引力を防止することができる。 【0102】ゲイン演算手段22では、電流制御演算部18からの出力であるd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ロータ角周波数演算部19からの出力であるロータ角周波数ωrと、磁束指令値φRefとが入力され、リニア誘導電動機のすべりがゼロの任意の期間T1において、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiが演算されて出力される。 【0103】上述したように、本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置では、電力変換装置の動作開始時に、任意の期間、リニア誘導電動機のすべりがゼロとなるような出力電流指令値を演算し、かつ当該出力電流指令値の大きさを制限するようにしているので、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することが可能となる。 【0104】(第4の実施の形態)本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置は、前述した図1に示す第1の実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置の制御部2において、ゲイン演算手段22として、前記電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiの演算値を所定値内に制限する手段を追加した構成としている。 【0105】次に、以上のように構成した本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の作用について説明する。 【0106】なお、図1と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。 【0107】ゲイン演算手段22では、前記演算された電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiの値が所定値内に制限されて出力される。 【0108】 GpLimitL≦Gp≦GpLimitUの時 : Gp=GpGp>GpLimitUの時 : Gp=GpLimitUGp<GpLimitLの時 : Gp=GpLimitLGiLimitL≦Gi≦GiLimitUの時 : Gi=GiGi>GiLimitUの時 : Gi=GiLimitUGi<GiLimitLの時 : Gi=GiLimitLここで、GpLimitU:あらかじめ設定した比例ゲインGpの上限値GpLimitL:あらかじめ設定した比例ゲインGpの下限値GiLimitU:あらかじめ設定した積分ゲインGiの上限値GiLimitL:あらかじめ設定した積分ゲインGiの下限値本ゲイン演算手段22の機能によって、電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインGpおよび積分ゲインGiの演算結果が、予想される所定値の範囲を逸脱した場合に制限を与えて、電流フィードバック制御が異常な動作となるのを防止することができる。 【0109】上述したように、本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置では、電流フィードバック制御ゲインである比例ゲインおよび積分ゲインの演算値を所定値内に制限するようにしているので、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られるため、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することが可能となる。 【0110】(第5の実施の形態)図3は、本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置における制御部2の構成例を示すブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0111】すなわち、図3に示すように、本実施の形態による鉄道車両用のリニア誘導電動機の制御装置は、前記図1における電流制御手段18に、フィードフォワード電圧を演算してリニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償する手段を追加した構成としている。 【0112】次に、以上のように構成した本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置の作用について説明する。 【0113】なお、図1と同一部分の作用についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の作用についてのみ述べる。 【0114】電流制御手段18では、電流指令演算部16からの出力であるd軸電流指令値IdRefおよびq軸電流指令値IqRefと、座標変換部17からの出力であるインバータ出力電流のd軸電流Idおよびq軸電流Iqと、ゲイン演算手段22からの出力である比例ゲインGpおよび積分ゲインGiと、1次角周波数ωlとが入力され、インバータ出力電圧のd軸電圧Vdおよびq軸電圧Vqが演算されて出力される。 【0115】 【数10】
VdFF d軸フィードフォワード電圧VqFF q軸フィードフォワード電圧Vd d軸電圧Vq q軸電圧Gp 比例ゲインGi 積分ゲインp 微分演算子IdRef d軸電流指令IqRef q軸電流指令Id d軸電流Iq q軸電流ωl 1次角周波数φRef 磁束指令R1 1次抵抗l1 1次漏れインダクタンスl2 2次漏れインダクタンスM 相互インダクタンス本電流制御手段18の機能によって、d軸電流指令値IdRef、d軸電流指令値IqRef、磁束指令値φRefから演算したフィードフォワード電圧によって、リニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償して、電流フィードバック制御をより一層安定に行なうことができる。 【0116】上述したように、本実施の形態による鉄道車両駆動用リニア誘導電動機の制御装置では、フィードフォワード電圧を演算してリニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償するようにしているので、リニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適なゲインが得られると共に、リニア誘導電動機の誘起電圧をあらかじめ補償して、リニア誘導電動機をより一層安定に制御することが可能となる。 【0117】(その他の実施の形態)尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。また、各実施の形態は可能な限り適宜組合わせて実施してもよく、その場合には組合わせた作用効果を得ることができる。さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより、種々の発明を抽出することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。【0118】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄道車両用リニア誘導電動機の制御装置によれば、リニア誘導電動機のすべりがゼロで制御される期間の電力変換装置の出力電圧および出力電流から電流フィードバック制御ゲイン(比例ゲインおよび積分ゲイン)を求めるようにしているので、リニア誘導電動機の1次側コイルと2次側リアクションプレートとの間の空隙の変化や、2次側リアクションプレートのバックアイアンの材質の変化、または1次コイルの温度変化に伴なうリニア誘導電動機の等価回路パラメータの変化に対応して、常に電流フィードバック制御の最適な制御ゲインが得られるため、リニア誘導電動機を安定に制御することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年3月7日(2002.3.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−264907(P2003−264907A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月19日(2003.9.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−62510(P2002−62510) |
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