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【発明の名称】 電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラム
【発明者】 【氏名】久田 秀樹
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社内

【氏名】小島 博幸
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社内

【要約】 【課題】電動機械駆動制御装置の応答性を高くすることができ、バッテリ電流に大きなオーバシュートが発生することがないようにする。

【解決手段】電動機械と、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段91と、前記電動機械の効率を算出する効率算出処理手段92と、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段93と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段94と、前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段95とを有する。この場合、電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値が算出され、該トルク制限値に基づいて電動機械目標トルクが算出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動機械と、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段と、前記電動機械の効率を算出する効率算出処理手段と、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段と、前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【請求項2】 バッテリ電流及びバッテリ電圧に基づいて、前記電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力を算出する電力算出処理手段と、前記電動機械回転速度、及び電動機械トルクの大きさを表す指標値に基づいて電動機械の出力を算出する出力算出処理手段とを有するとともに、前記効率算出処理手段は、前記電力及び出力に基づいて効率を算出する請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項3】 第1、第2の電動機械と、第1の電動機械の電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段と、第1の電動機械の効率を算出する効率算出処理手段と、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段と、前記トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【請求項4】 バッテリ電流、前記第2の電動機械が駆動されるのに伴って流れる電流、及びバッテリ電圧に基づいて前記第1の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力を算出する電力算出処理手段と、前記第1の電動機械の電動機械回転速度、及び第1の電動機械の電動機械トルクの大きさを表す指標値に基づいて第1の電動機械の出力を算出する出力算出処理手段とを有するとともに、前記効率算出処理手段は、前記電力及び出力に基づいて効率を算出する請求項3に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項5】 前記バッテリ状態はバッテリ残量である請求項1又は3に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項6】 前記バッテリ状態はバッテリ温度である請求項1又は3に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項7】 電動機械回転速度を検出し、電動機械の効率を算出し、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出し、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出し、該トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出することを特徴とする電動車両駆動制御方法。
【請求項8】 第1の電動機械の電動機械回転速度を検出し、第1の電動機械の効率を算出し、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出し、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出し、該トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出することを特徴とする電動車両駆動制御方法。
【請求項9】 コンピュータを、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段、電動機械の効率を算出する効率算出処理手段、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段、並びに前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段として機能させることを特徴とする電動車両駆動制御方法のプログラム。
【請求項10】 コンピュータを、第1の電動機械の電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段、第1の電動機械の効率を算出する効率算出処理手段、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段、並びに前記トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段として機能させることを特徴とする電動車両駆動制御方法のプログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気自動車、ハイブリッド型車両等の電動車両においては、回転自在に配設され、磁極対を備えたロータ、及び該ロータより径方向外方に配設され、U相、V相及びW相のコイルを備えたステータから成る駆動モータが使用される。そして、駆動モータ制御装置によって発生させられたU相、V相及びW相の電流を前記各相のコイルに供給し、かつ、所定の電圧を印加することにより、前記駆動モータを駆動し、駆動モータのトルク、すなわち、駆動モータトルクを発生させ、該駆動モータトルクを駆動輪に伝達して電動車両を走行させるようになっている。そのために、バッテリとインバータとが接続され、バッテリから直流の電流がインバータに供給され、前記駆動モータ制御装置によって、前記インバータを構成するスイッチング素子が適宜スイッチングさせられ、前記各相の電流が発生させられる。
【0003】ところで、前記バッテリにおいては、電流が流れ出たり、供給されたりして電力の充電及び放電が行われるが、過剰な充電、又は過剰な放電が行われると、バッテリの寿命が短くなってしまう。特に、バッテリにおける充電状態を表すバッテリ残量(SOC)が低い場合に放電が行われたり、バッテリ残量が高い場合に充電が行われたりすると、バッテリの内部のセル間のバッテリ残量の差によって、一部のセルの電圧が著しく低くなったり、高くなったりして、電解液漏れ等の問題が発生する。
【0004】そこで、バッテリから流れ出たりバッテリに供給されたりする電流(以下「バッテリ電流」という。)を制限するために電流制限値を設定し、バッテリ電流と電流制限値との電流偏差に基づいて、PI制御又はPID制御によるフィードバック制御を行うようにした電動車両駆動制御装置が考えられる。該電動車両駆動制御装置においては、バッテリ電流が電流制限値を超えると、駆動モータトルクが電流偏差に対応する分だけ小さくされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の電動車両駆動制御装置において、駆動モータトルクを変化させたときの、駆動モータを駆動することによって消費される電力の変化量は、駆動モータの回転速度、すなわち、駆動モータ回転速度(又は駆動モータ回転速度に比例する車速)によって変動するので、駆動モータトルクをフィードバック制御しても、電力が変動する分だけバッテリ電流が変動し、バッテリ電流に大きなオーバシュートが発生したり、バッテリ電流が電流制限値を超えなくなるまでの時間が長くなったりしてしまう。
【0006】図2は従来の電動車両駆動制御装置の動作を示す第1のタイムチャート、図3は従来の電動車両駆動制御装置の動作を示す第2のタイムチャートである。
【0007】図2に示されるように、タイミングt1で運転者がアクセルペダルを踏み込むと、電動車両を走行させるのに必要な車両要求トルクTO* が立ち上がり、タイミングt2で値aにされる。それに伴って、駆動モータトルクTMの目標値を表す駆動モータ目標トルクTM* が大きくされ、駆動モータトルクTMが徐々に大きくされる。その後、タイミングt3でバッテリ電流IBがあらかじめ設定された電流制限値IBxを超えると、電流偏差に対応させて駆動モータ目標トルクTM* が小さくされるが、前述されたように、駆動モータ回転速度NMによって電力の変化量が異なり、電力が変動する分だけバッテリ電流IBが変動するので、タイミングt4になるまで駆動モータ目標トルクTM* が小さくされない。すなわち、タイミングt3からタイミングt4まで駆動モータ目標トルクTM* のオーバシュートが発生し、バッテリ電流IBに大きなオーバシュートが発生する。なお、TM* fはオーバシュートが収束する値である。
【0008】これに伴って、図3に示されるように、バッテリ電流IBは電流制限値IBxを超え、タイミングt11からタイミングt12までの間、バッテリに過剰なバッテリ電流IBが流れ、過電流状態が形成される。
【0009】そこで、バッテリ電流IBだけでなく、バッテリ電圧VBを検出し、バッテリ電流IB及びバッテリ電圧VBに基づいて電力を算出し、該電力をフィードバック制御することによってバッテリ電流IBを制限することが考えられるが、フィードバック制御における入力、演算、出力等において電動車両駆動制御装置の応答性が低いので、バッテリ電流IBに前述されたような大きなオーバシュートが発生してしまう。
【0010】本発明は、前記従来の電動車両駆動制御装置の問題点を解決して、応答性を高くすることができ、バッテリ電流に大きなオーバシュートが発生することがなく、わずかな時間でバッテリ電流が電流制限値を超えなくすることができる電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の電動車両駆動制御装置においては、電動機械と、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段と、前記電動機械の効率を算出する効率算出処理手段と、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段と、前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段とを有する。
【0012】本発明の他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、バッテリ電流及びバッテリ電圧に基づいて、前記電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力を算出する電力算出処理手段と、前記電動機械回転速度、及び電動機械トルクの大きさを表す指標値に基づいて電動機械の出力を算出する出力算出処理手段とを有する。
【0013】そして、前記効率算出処理手段は、前記電力及び出力に基づいて効率を算出する。
【0014】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、第1、第2の電動機械と、第1の電動機械の電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段と、第1の電動機械の効率を算出する効率算出処理手段と、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段と、前記トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段とを有する。
【0015】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、バッテリ電流、前記第2の電動機械が駆動されるのに伴って流れる電流、及びバッテリ電圧に基づいて前記第1の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力を算出する電力算出処理手段と、前記第1の電動機械の電動機械回転速度、及び第1の電動機械の電動機械トルクの大きさを表す指標値に基づいて第1の電動機械の出力を算出する出力算出処理手段とを有する。
【0016】そして、前記効率算出処理手段は、前記電力及び出力に基づいて効率を算出する。
【0017】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記バッテリ状態はバッテリ残量である。
【0018】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記バッテリ状態はバッテリ温度である。
【0019】本発明の電動車両駆動制御方法においては、電動機械回転速度を検出し、電動機械の効率を算出し、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出し、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出し、該トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する。
【0020】本発明の他の電動車両駆動制御方法においては、第1の電動機械の電動機械回転速度を検出し、第1の電動機械の効率を算出し、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出し、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出し、該トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する。
【0021】本発明の電動車両駆動制御方法のプログラムにおいては、コンピュータを、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段、電動機械の効率を算出する効率算出処理手段、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段、並びに前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段として機能させる。
【0022】本発明の他の電動車両駆動制御方法のプログラムにおいては、コンピュータを、第1の電動機械の電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段、第1の電動機械の効率を算出する効率算出処理手段、バッテリ状態及び第2の電動機械が駆動されるのに伴って消費される電力に基づいて第1の電動機械の電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段、並びに前記トルク制限値に基づいて第1の電動機械の電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段として機能させる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】図1は本発明の第1の実施の形態における電動車両駆動制御装置の機能ブロック図である。
【0025】図において、31は電動機械としての駆動モータ、91は電動機械回転速度としての駆動モータ回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段、92は前記駆動モータ31の効率を算出する効率算出処理手段、93はバッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段、94は前記駆動モータ回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクとしての駆動モータトルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段、95は前記トルク制限値に基づいて駆動モータトルクの目標値を表す電動機械目標トルクとしての駆動モータ目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段である。
【0026】図4は本発明の第1の実施の形態における電動車両駆動制御装置のブロック図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるモータ制御部のブロック図である。
【0027】図において、10は、図示されないCPU、記録装置等を備え、各種のプログラム、データ等に従ってコンピュータとして機能し、第1の電動機械としての駆動モータ31の制御を行う駆動モータ制御装置、11は、同様に図示されないCPU、記録装置等を備え、各種のプログラム、データ等に従ってコンピュータとして機能し、電動車両の全体の制御を行う車両制御装置であり、前記駆動モータ制御装置10は、図5に示されるモータ制御部45及び図示されないドライブ回路を備える。なお、前記駆動モータ31としてDCブラシレス駆動モータが使用される。前記駆動モータ31は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設された図示されないステータを備える。前記ロータは、前記駆動モータ31の図示されないシャフトに取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備える。本実施の形態においては、前記ロータコアの円周方向における12箇所にN極及びS極を交互に外周面に向けて永久磁石が配設され、6個の磁極対が形成される。
【0028】また、前記ステータは、ステータコア、及び該ステータコアに巻装されたU相、V相及びW相のコイルを備え、前記ステータコアの円周方向における複数箇所には、径方向内方に向けて突出させてティースが形成される。
【0029】そして、前記駆動モータ31を駆動して電動車両を走行させるために、直流電源としてのバッテリ14、及び該バッテリ14から直流の電流としてのバッテリ電流IBが供給され、該バッテリ電流IBを交流の電流としてのU相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwに変換するインバータ40が配設され、電流Iu、Iv、Iwが駆動モータ31に、すなわち、各コイルにそれぞれ供給される。また、前記駆動モータ31を回生する場合、ロータが回転させられるのに伴って各コイルに電流Iu、Iv、Iwが発生させられ、該電流Iu、Iv、Iwがインバータ40においてバッテリ電流IBに変換され、該バッテリ電流IBがバッテリ14に供給される。
【0030】そのために、前記インバータ40は、6個のスイッチング素子としての図示されないトランジスタを備え、該各トランジスタが選択的にスイッチング(オン・オフ)させられることによって、前記電流Iu、Iv、Iw又はバッテリ電流IBが発生させられる。なお、インバータ40とバッテリ14との間に図示されない平滑用のコンデンサが配設され、コンデンサには、静電容量に対応する電荷が蓄積されている。
【0031】また、前記シャフトに磁極位置検出部としてのレゾルバ43が取り付けられ、該レゾルバ43によって、ロータの磁極位置θが検出され、該磁極位置θは制御装置10に送られる。なお、本実施の形態においては、前記磁極位置検出部としてレゾルバ43が使用されるようになっているが、該レゾルバ43に代えて図示されないホール素子及び磁極位置検出回路を使用することもできる。その場合、該ホール素子は、前記ロータの回動に伴って、所定の角度ごとに位置検出信号を発生させ、前記磁極位置検出回路は、前記位置検出信号を受けると、位置検出信号の信号レベルの組合せに基づいて磁極位置θを検出する。
【0032】ところで、前記各コイルはスター結線されているので、各相のうちの二つの相の電流の値が決まると、残りの一つの相の電流の値も決まる。したがって、電流Iu、Iv、Iwを制御するために、例えば、U相及びV相の各コイルのリード線にU相及びV相の電流Iu、Ivを検出する電流検出部としての電流センサ33、34が配設され、該電流センサ33、34は、検出された電流Iu、Ivを駆動モータ制御装置10に送る。
【0033】そして、該駆動モータ制御装置10の電動機械回転速度検出処理手段91(図1)は、電動機械回転速度検出処理を行い、前記磁極位置θに基づいて電動機械回転速度としての駆動モータ回転速度NMを検出し、該駆動モータ回転速度NMを車両制御装置11に送る。
【0034】また、前記駆動モータ制御装置10の図示されない車速検出処理手段は、車速検出処理を行い、前記駆動モータ回転速度NMに対応する車速Vを検出し、検出された車速Vを前記車両制御装置11に送る。
【0035】該車両制御装置11の指令値発生処理手段としての図示されない指令値発生部は、指令値発生処理を行い、前記車速V、及び図示されないアクセルセンサによって検出されたアクセルペダル12の踏込量、すなわち、アクセル開度αに基づいて車両要求トルクTO* を算出する。また、前記車両制御装置11の電動機械目標トルク算出処理手段95は、電動機械目標トルク算出処理を行い、前記車両要求トルクTO* に対応させて、かつ、後述されるトルク制限値に基づいて、電動機械トルクとしての駆動モータトルクTMの目標値を表す電動機械目標トルクとしての駆動モータ目標トルクTM* を算出し、該駆動モータ目標トルクTM*を前記駆動モータ制御装置10に送る。
【0036】ところで、該駆動モータ制御装置10においては、ロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっている。そのために、駆動モータ制御装置10の図示されない指令値変換処理手段は、指令値変換処理を行い、前記駆動モータ目標トルクTM* を読み込むと、前記記録装置に記録された電流指令値マップを参照し、ベクトル表示された電流指令値isのd軸成分を表すd軸電流指令値ids、及びq軸成分を表すq軸電流指令値iqsを決定する。また、駆動モータ制御装置10の第1の相変換処理手段としてのUV−dq変換器61は、第1の相変換処理を行い、前記電流Iu、Iv及び磁極位置θを読み込み、電流Iu、Iv及び磁極位置θに基づいて、所定のd−q変換式に基づいて三相/二相変換を行い、電流Iu、Ivをd軸電流id及びq軸電流iqに変換する。
【0037】そして、d軸電流idは減算器62に送られ、該減算器62において前記d軸電流idと前記d軸電流指令値idsとのd軸電流偏差Δidが算出され、該d軸電流偏差Δidが第1の電圧指令値発生処理手段としてのd軸電圧指令値発生部64に送られる。一方、q軸電流iqは減算器63に送られ、該減算器63において前記q軸電流iqと前記q軸電流指令値iqsとのq軸電流偏差Δiqが算出され、該q軸電流偏差Δiqが第2の電圧指令値発生処理手段としてのq軸電圧指令値発生部65に送られる。
【0038】そして、前記d軸電圧指令値発生部64及びq軸電圧指令値発生部65は、電圧指令値発生処理を行い、パラメータ演算部71から送られたq軸インダクタンスLq及びd軸インダクタンスLd、並びに前記d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqに基づいて、d軸電流偏差Δid及びq軸電流偏差Δiqが零(0)になるように、2軸上のインバータ出力としてのd軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を発生させ、該d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* を第2の相変換処理手段としてのdq−UV変換器67に送る。
【0039】そして、該dq−UV変換器67は、第2の相変換処理を行い、前記d軸電圧指令値Vd* 、q軸電圧指令値Vq* 及び磁極位置θに基づいて二相/三相変換を行い、d軸電圧指令値Vd* 及びq軸電圧指令値Vq* をU相、V相及びW相の電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* に変換する。さらに、駆動モータ制御装置10のPWM発生処理手段としてのPWM発生器68は、PWM発生処理を行い、前記電圧指令値Vu* 、Vv* 、Vw* 及びバッテリ電圧VBに基づいて各相のパルス幅変調信号SU、SV、SWを発生させ、前記ドライバ回路に送る。該ドライバ回路は、前記パルス幅変調信号SU、SV、SWを受けると、駆動信号を発生させ、該駆動信号を前記インバータ40を構成するトランジスタに送り、トランジスタをスイッチングさせ、前記電流Iu、Iv、Iwを発生させる。
【0040】なお、インバータ40とバッテリ14との間に、バッテリ電流IBを検出するために電流検出部としてのバッテリ電流センサ21、及びバッテリ電圧VBを検出するために電圧検出部としてのバッテリ電圧センサ22が配設され、バッテリ14における充電状態を表すバッテリ残量(SOC)をバッテリ状態として検出するためにバッテリ残量検出部23が配設される。また、バッテリ状態としてバッテリ温度を検出することができ、その場合、バッテリ温度検出部としての図示されないバッテリ温度センサが配設される。
【0041】ところで、前記バッテリ14においては、電流が流れ出たり、供給されたりして電力の充電及び放電が行われるが、過剰な充電、又は過剰な放電が行われると、バッテリ14の寿命が短くなってしまう。特に、バッテリ残量が低い場合に放電が行われたり、バッテリ残量が高い場合に充電が行われたりすると、バッテリの内部の図示されないセル間のバッテリ残量の差によって、一部のセルの電圧が著しく低くなったり、高くなったりして、電解液漏れ等の問題が発生する。
【0042】そこで、バッテリ電流IBを制限するために、バッテリ残量に対応する電力Pの制限値を表す電力制限値Px1を算出し、電力Pが電力制限値Px1を超えないように駆動モータ目標トルクTM* を制限し、駆動モータトルクTMを制限するようにしている。
【0043】図6は本発明の第1の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すフローチャート、図7は本発明の第1の実施の形態における電力制限値マップを示す図である。なお、図7において、横軸にバッテリ残量を、縦軸に電力制限値Px1を採ってある。
【0044】まず、車両制御装置11(図4)は、バッテリ電流センサ21によって検出されたバッテリ電流IB、及びバッテリ電圧センサ22によって検出されたバッテリ電圧VBを読み込む。続いて、車両制御装置11の図示されない電力算出処理手段は、電力算出処理を行い、前記バッテリ電流IB及びバッテリ電圧VBを乗算することによって、駆動モータ31が駆動されるのに伴って消費される電力P1P1=IB・VBを算出する。
【0045】続いて、前記車両制御装置11の図示されない出力算出処理手段は、出力算出処理を行い、前記電動機械回転速度検出処理手段91(図1)によって検出された駆動モータ回転速度NMを読み込むとともに、電動機械目標トルク算出処理手段95によって算出された駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータトルクTMの大きさを表す指標値として読み込み、駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* に基づいて、すなわち、駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を乗算することによって、駆動モータ31の駆動に伴い現在発生させられている出力WW=NM・TM*を算出する。本実施の形態においては、駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を乗算することによって出力Wが算出されるようになっているが、駆動モータ目標トルクTM* に代えて、現在発生させられている駆動モータトルクTMの推定値、図示されないトルクセンサによって検出された実測値等を駆動モータトルクTMの大きさを表す指標値として使用することもできる。
【0046】また、前記車両制御装置11の効率算出処理手段92は、効率算出処理を行い、前記出力Wを電力P1によって除算することにより、駆動モータ31の効率η1η1=W/P1を算出する。
【0047】続いて、前記車両制御装置11の電力制限値算出処理手段93は、電力制限値算出処理を行い、バッテリ残量検出部23によって検出されたバッテリ残量を読み込み、図7の電力制限値マップを参照し、バッテリ残量に対応する電力制限値Px1を算出する。該電力制限値Px1は、バッテリ残量が所定の値b1以下である場合、バッテリ残量に比例して変化させられ、バッテリ残量が大きくなるほど電力制限値Px1は大きくなり、バッテリ残量が前記値b1を超えると一定の値にされる。
【0048】次に、前記車両制御装置11のトルク制限値算出処理手段94は、トルク制限値算出処理を行い、前記駆動モータ回転速度NM、効率η1及び電力制限値Px1に基づいて、駆動モータ31によって発生させることができる最大の駆動モータトルクTM、すなわち、トルク制限値TMx1TMx1=η1・Px1/NMを算出する。このようにして、現在の運転状況下において、効率η1を前提として、電力制限値Px1に対して発生させることができる最大の駆動モータトルクTMが算出される。
【0049】続いて、前記車両制御装置11の図示されない電動機械目標トルク決定処理手段は、電動機械目標トルク決定処理を行い、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* 、及び駆動モータ31から図示されない駆動輪までのトルク伝達系におけるギヤ比に基づいて、駆動モータ31に要求される駆動モータ要求トルクTOG* を算出し、該駆動モータ要求トルクTOG* とトルク制限値TMx1とを比較し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1より大きいかどうかを判断し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1以下である場合、駆動モータ要求トルクTOG* をそのまま使用し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1より大きい場合、トルク制限値TMx1を駆動モータ要求トルクTOG* とする。
【0050】次に、前記電動機械目標トルク算出処理手段95は、電動機械目標トルク算出処理を行い、前記駆動モータ要求トルクTOG* に基づいて駆動モータ目標トルクTM* を算出するとともに、駆動モータ目標トルクTM* の変化量を制限してなまし処理を行い、なまし処理が行われた後の値を駆動モータ目標トルクTM*として決定する。
【0051】このように、駆動モータトルクTMを変化させたときの、電力P1の変化量が駆動モータ回転速度NM(又は駆動モータ回転速度NMに比例する車速V)によって変動しても、電力P1及び駆動モータトルクTMのいずれについてもフィードバック制御が行われず、バッテリ残量に対応する電力制限値Px1が算出され、効率η1を前提として、電力制限値Px1に対して発生させることができる最大の駆動モータトルクTMがトルク制限値TMx1として算出されるので、電力P1が電力制限値Px1を超えて消費されることはなく、駆動モータ目標トルクTM* がトルク制限値TMx1を超えて発生させられることはない。
【0052】したがって、電力P1及びバッテリ電流IBに大きなオーバシュートが発生することがなく、わずかな時間でバッテリ電流IBが電流制限値を超えなくすることができる。
【0053】また、駆動モータ31の個体差、駆動モータ31の温度の変化、永久磁石の減磁等によって、駆動モータ要求トルクTOG* と、駆動モータ31によって実際に発生させられる駆動モータトルクTMとの間にトルク誤差が生じ、例えば、永久磁石の減磁が発生すると、バッテリ電流IBに対応するだけの駆動モータトルクTMを発生させることができなってしまう。ところが、本実施の形態においては、現在の実際に発生させられる駆動モータトルクTMに基づいて効率η1が算出され、該効率η1に基づいてトルク制限値TMx1が算出されるので、前記トルク誤差による影響を最小限にすることができる。したがって、電動車両駆動制御装置において、駆動モータトルクTMを発生させるための応答性を高くすることができ、バッテリ電流IBに大きなオーバシュートが発生するのを防止することができる。
【0054】また、現在の駆動モータ31の効率η1と、駆動モータ目標トルクTM* による目標の運転ポイントにおける駆動モータ31の効率とは異なる可能性があるが、駆動モータ目標トルクTM* の変化率が規制され、常に効率η1が算出されるので、その影響は少ない。
【0055】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 バッテリ電流IB及びバッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS2 電力P1を算出する。
ステップS3 駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS4 出力Wを算出する。
ステップS5 効率η1を算出する。
ステップS6 バッテリ残量を読み込む。
ステップS7 トルク制限値TMx1を算出する。
ステップS8 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS9 駆動モータ要求トルクTOG* を算出する。
ステップS10 駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1より大きいかどうかを判断する。駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1より大きい場合はステップS11に、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx1以下である場合はステップS12に進む。
ステップS11 駆動モータ要求トルクTOG* にトルク制限値TMx1をセットする。
ステップS12 駆動モータ目標トルクTM* を算出し、かつ、その変化量を制限する。
ステップS13 駆動モータ目標トルクTM* を決定し、処理を終了する。
【0056】図8は本発明の第1の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示す第1のタイムチャート、図9は本発明の第1の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示す第2のタイムチャートである。
【0057】図8に示されるように、タイミングt21で運転者がアクセルペダルを踏み込むと、車両要求トルクTO* が立ち上がり、タイミングt22で値aにされる。それに伴って、駆動モータ目標トルクTM* がトルク制限値TMx1を超えないように大きくされ、駆動モータトルクTMが徐々に大きくされる。タイミングt23で駆動モータ目標トルクTM* は、トルク制限値TMx1になると、それより大きくされない。
【0058】これに伴って、図9に示されるように、電力P1は電力制限値Px1を超えることがない。したがって、バッテリ14に過剰なバッテリ電流IBが流れることがなくなり、過電流状態が形成されることはない。
【0059】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0060】図10は本発明の第2の実施の形態における電力制限値マップを示す図である。なお、図において、横軸にバッテリ温度tbを、縦軸に電力制限値Px1を採ってある。
【0061】電力制限値Px1は、バッテリ温度tbが所定の値c1以下である場合、バッテリ温度tbに比例して変化させられ、バッテリ温度tbが高くなるほど電力制限値Px1は大きくされ、バッテリ温度tbが前記値c1より大きく、かつ、値c2より小さい場合、一定の値にされ、バッテリ温度tbが前記値c2より大きい場合、バッテリ温度tbに比例して変化させられ、バッテリ温度tbが高くなるほど電力制限値Px1は小さくされる。
【0062】次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0063】図11は本発明の第3の実施の形態における電動車両駆動制御装置のブロック図である。
【0064】図において、31は第1の電動機械としての駆動モータ、35は第2の電動機械としての発電機であり、発電機35を駆動することによって発電を行うことができる。前記駆動モータ31、発電機35及び図示されないエンジンは、差動歯車装置としての図示されないプラネタリギヤユニットを介して機械的に連結され、かつ、駆動モータ31は図示されないディファレンシャル装置を介して図示されない駆動輪と機械的に連結される。なお、前記プラネタリギヤユニットは、第1の歯車要素としてのサンギヤ、該サンギヤと噛(し)合するピニオン、該ピニオンと噛合する第2の歯車要素としてのリングギヤ、及び前記ピニオンを回転自在に支持する第3の歯車要素としてのキャリヤを備え、前記サンギヤは発電機35と、リングギヤは駆動モータ31と、キャリヤはエンジンと連結される。
【0065】また、46は図示されないCPU、記録装置等を備え、各種のプログラム、データ等に従ってコンピュータとして機能し、発電機35の制御を行う発電機制御装置である。前記発電機35は、回転自在に配設された図示されないロータ、及び該ロータより径方向外方に配設された図示されないステータを備える。前記ロータは、前記発電機35の図示されないシャフトに取り付けられたロータコア、及び該ロータコアの円周方向における複数箇所に配設された永久磁石を備える。本実施の形態においては、前記ロータコアの円周方向における12箇所にN極及びS極を交互に外周面に向けて永久磁石が配設され、6個の磁極対が形成される。
【0066】また、前記ステータは、ステータコア、及び該ステータコアに巻装されたU相、V相及びW相のコイルを備え、前記ステータコアの円周方向における複数箇所には、径方向内方に向けて突出させてティースが形成される。
【0067】そして、前記発電機35を駆動することによって各コイルに発生させられた交流の電流としてのU相、V相及びW相の電流Iu、Iv、Iwを直流の発電機電流IGに変換するために、インバータ44が配設される。また、該インバータ44において得られた発電機電流IGは、バッテリ電流IBとしてバッテリ14に供給される。
【0068】なお、バッテリ電流IBを検出するために、インバータ40とバッテリ14との間に第1の電流検出部としてのバッテリ電流センサ25が、発電機電流IGを検出するために、バッテリ14とインバータ44との間に第2の電流検出部としての発電機電流センサ47が配設される。
【0069】次に、前記構成の電動車両駆動制御装置の動作について説明する。
【0070】図12は本発明の第3の実施の形態における電動車両駆動制御装置の動作を示すフローチャートである。
【0071】まず、コンピュータとして機能する車両制御装置11(図11)は、バッテリ電流センサ25によって検出されたバッテリ電流IB、発電機35が駆動されるのに伴って流れ、発電機電流センサ47によって検出される電流を表す発電機電流IG、及び電圧検出部としてのバッテリ電圧センサ22によって検出されたバッテリ電圧VBを読み込む。次に、前記車両制御装置11の図示されない電力算出処理手段は、電力算出処理を行い、前記バッテリ電流IBと発電機電流IGとの差電流(駆動モータ電流)IMIM=IB−IGを算出するとともに、該差電流IM及びバッテリ電圧VBを乗算することによって、駆動モータ31が駆動されるのに伴って消費される電力P2P2=IM・VBを算出する。なお、この場合、バッテリ電流IBはバッテリ14からインバータ40に供給される場合に正の値を、インバータ40からバッテリ14に供給される場合に負の値を採り、発電機電流IGはバッテリ14からインバータ44に供給される場合に正の値を、インバータ44からバッテリ14に供給される場合に負の値を採る。
【0072】また、本実施の形態においては、発電機35の発電に伴って発生させられた発電機電流IGをバッテリ14に供給することなく、インバータ40に直接供給することもできる。
【0073】続いて、前記車両制御装置11の図示されない出力算出処理手段は、出力算出処理を行い、コンピュータとして機能する駆動モータ制御装置10の電動機械回転速度検出処理手段91(図1)によって検出された電動機械回転速度としての駆動モータ回転速度NM、及び車両制御装置11の電動機械目標トルク算出処理手段95によって算出された電動機械目標トルクとしての駆動モータ目標トルクTM* を駆動モータトルクTMの大きさを表す指標値として読み込み、駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を乗算することによって、駆動モータ31の駆動に伴い現在発生させられている出力WW=NM・TM*を算出する。本実施の形態においては、駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を乗算することによって出力Wが算出されるようになっているが、駆動モータ目標トルクTM* に代えて、現在発生させられている駆動モータトルクTMの推定値、トルクセンサによって検出された実測値等を駆動モータトルクTMの大きさを表す指標値として使用することもできる。
【0074】また、前記車両制御装置11の効率算出処理手段92は、効率算出処理を行い、前記出力Wを電力P2によって除算することにより、駆動モータ31の効率η2η2=W/P2を算出する。
【0075】続いて、前記車両制御装置11の電力制限値算出処理手段93は、バッテリ残量検出部23によって検出されたバッテリ残量を読み込み、図7の電力制限値マップを参照し、バッテリ残量に対応する電力制限値Px1を算出する。該電力制限値Px1は、バッテリ残量が所定の値b1以下である場合、バッテリ残量に比例して変化させられ、バッテリ残量が大きくなるほど電力制限値Px1は大きくなり、バッテリ残量が前記値b1を超えると一定の値にされる。
【0076】次に、前記電力制限値算出処理手段93の図示されない電動機械最大電力算出処理手段は、電動機械最大電力算出処理を行い、発電機電流IGとバッテリ電圧VBとを乗算することによって、発電機35が駆動されることにより消費される電力PGPG=IG・VBを算出するとともに、前記電力制限値Px1から電力PGを減算することによって、駆動モータ31における電力制限値Px2Px2=Px1−PGを算出する。
【0077】続いて、前記車両制御装置11のトルク制限値算出処理手段94は、トルク制限値算出処理を行い、駆動モータ回転速度NM、効率η2及び電力制限値Px2に基づいて、駆動モータ31によって発生させることができる最大の駆動モータトルクTM、すなわち、トルク制限値TMx2TMx2=η2・Px2/NMを算出する。このようにして、現在の運転状況下において、効率η2を前提として、電力制限値Px2に対して発生させることができる最大の駆動モータトルクTMが算出される。
【0078】続いて、車両制御装置11の図示されない電動機械目標トルク決定処理手段は、電動機械目標トルク決定処理を行い、車両要求トルクTO* を読み込み、該車両要求トルクTO* 、及び駆動モータ31から駆動輪までのトルク伝達系におけるギヤ比に基づいて、駆動モータ31に要求される駆動モータ要求トルクTOG* を算出し、該駆動モータ要求トルクTOG* とトルク制限値TMx2とを比較し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2より大きいかどうかを判断し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2以下である場合、駆動モータ要求トルクTOG* をそのまま使用し、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2より大きい場合、トルク制限値TMx2を駆動モータ要求トルクTOG* とする。
【0079】次に、前記電動機械目標トルク算出処理手段95は、電動機械目標トルク算出処理を行い、前記駆動モータ要求トルクTOG* に基づいて駆動モータ目標トルクTM* を算出するとともに、駆動モータ目標トルクTM* の変化量を制限してなまし処理を行い、なまし処理が行われた後の値を駆動モータ目標トルクTM*として決定する。
【0080】このように、駆動モータトルクTMを変化させたときの、電力P2の変化量が駆動モータ回転速度NM(又は駆動モータ回転速度NMに比例する車速V)によって変動しても、電力P2及び駆動モータトルクTMのいずれについてもフィードバック制御が行われず、バッテリ残量に対応する電力制限値Px2が算出され、効率η2を前提として、電力制限値Px2に対して発生させることができる最大の駆動モータトルクTMがトルク制限値TMx2として算出されるので、電力P2が電力制限値Px2を超えて消費されることはなく、駆動モータ目標トルクTM* がトルク制限値TMx2を超えて発生させられることはない。
【0081】したがって、電力P2及びバッテリ電流IBに大きなオーバシュートが発生することがなく、わずかな時間でバッテリ電流IBが電流制限値を超えなくすることができる。
【0082】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 バッテリ電流IB、発電機電流IG及びバッテリ電圧VBを読み込む。
ステップS22 電力P2を算出する。
ステップS23 駆動モータ回転速度NM及び駆動モータ目標トルクTM* を読み込む。
ステップS24 出力Wを算出する。
ステップS25 効率η2を算出する。
ステップS26 バッテリ残量を読み込む。
ステップS27 トルク制限値TMx2を算出する。
ステップS28 車両要求トルクTO* を読み込む。
ステップS29 駆動モータ要求トルクTOG* を算出する。
ステップS30 駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2より大きいかどうかを判断する。駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2より大きい場合はステップS31に、駆動モータ要求トルクTOG* がトルク制限値TMx2以下である場合はステップS32に進む。
ステップS31 駆動モータ要求トルクTOG* にトルク制限値TMx2をセットする。
ステップS32 駆動モータ目標トルクTM* を算出し、かつ、その変化量を制限する。
ステップS33 駆動モータ目標トルクTM* を決定し、処理を終了する。
【0083】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0084】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動車両駆動制御装置においては、電動機械と、電動機械回転速度を検出する電動機械回転速度検出処理手段と、前記電動機械の効率を算出する効率算出処理手段と、バッテリ状態に対応する電力制限値を算出する電力制限値算出処理手段と、前記電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値を算出するトルク制限値算出処理手段と、前記トルク制限値に基づいて電動機械トルクの目標値を表す電動機械目標トルクを算出する電動機械目標トルク算出処理手段とを有する。
【0085】この場合、電動機械回転速度、効率及び電力制限値に基づいて電動機械トルクのトルク制限値が算出され、該トルク制限値に基づいて電動機械目標トルクが算出される。そして、電動機械トルクを変化させたときの、電力の変化量が電動機械回転速度によって変動しても、電力及び電動機械トルクのいずれについてもフィードバック制御が行われず、バッテリ状態に対応する電力制限値が算出され、電動機械の効率を前提として、電力制限値に対して発生させることができる最大の電動機械トルクがトルク制限値として算出されるので、電力が電力制限値を超えて消費されることはなく、電動機械目標トルクがトルク制限値を超えて発生させられることはない。したがって、電動車両駆動制御装置において、電動機械トルクを発生させるための応答性を高くすることができる。
【0086】その結果、電力及びバッテリ電流に大きなオーバシュートが発生することがなく、わずかな時間でバッテリ電流が電流制限値を超えなくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地
【出願日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外2名)
【公開番号】 特開2003−259509(P2003−259509A)
【公開日】 平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願番号】 特願2002−52613(P2002−52613)