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【発明の名称】 電源分配制御装置および制御方法
【発明者】 【氏名】渡邉 信也
【住所又は居所】埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエンジニアリング株式会社内

【氏名】城戸 洋恒
【住所又は居所】埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエンジニアリング株式会社内

【氏名】合葉 司
【住所又は居所】埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエンジニアリング株式会社内

【氏名】能島 章央
【住所又は居所】埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエンジニアリング株式会社内

【氏名】深澤 英樹
【住所又は居所】埼玉県狭山市新狭山1−10−1 ホンダエンジニアリング株式会社内

【要約】 【課題】1つの電力供給源から複数の異なる電圧を生成し、電力供給源の電圧が低下したときでも複数の異なる電圧を確保する。

【解決手段】電源Vbが9[V]以上のとき、電源Vc12にはFET50、52を介して電力が供給される。電源Vc5には降圧変換器54とFET56を介して5[V]が供給される。電源Vbが5〜9[V]のとき、電源Vc12にはFET58、昇圧変換器60およびFET62を介して12[V]が供給される。電源Vc5には降圧変換器54とFET56を介して5[V]が供給される。電源Vbが3.3〜5[V]のとき、電源Vc12には降圧変換器64、FET66、昇圧変換器68およびFET70を介して12[V]が供給される。電源Vc5には降圧変換器64、FET72、昇圧変換器74およびFET76を介して5[V]が供給される。また、電源Vc3には、常に降圧変換器64から3.3[V]が供給される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】最大電圧を使用する1つの第1電力使用部、最小電圧を使用する1つの第2電力使用部および1以上の制御電圧の中間電圧を使用する1以上の第3電力使用部に電力供給源から電力を分配して供給する電源分配制御装置において、前記電力供給源を基準にして直列に接続され、制御電圧を順次降下させ、前記第3電力使用部および前記第2電力使用部の制御電圧を生成して供給する降圧変換器と、前記降圧変換器の各出力部に接続され、前記降圧変換器の出力電圧よりも高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部のそれぞれの制御電圧を生成する1以上の昇圧変換器と、前記電力供給源と前記第1電力使用部との間、並びに前記第3電力使用部の制御電圧を生成する前記降圧変換器と前記第3電力使用部との間に設けられ、制御信号により開閉可能な1以上の第1スイッチと、前記第1電力使用部の制御電圧を生成する前記昇圧変換器と前記第1電力使用部との間、並びに前記第3電力使用部の制御電圧を生成する前記昇圧変換器と前記第3電力使用部との間に設けられ、制御信号により開閉可能な1以上の第2スイッチと、前記第1および第2スイッチと制御信号を伝達する信号線によって接続され、前記電力供給源の電圧を監視し、該電圧に応じて前記第1および第2スイッチをそれぞれ遮断または導通させる電源切換制御部とを有することを特徴とする電源分配制御装置。
【請求項2】請求項1記載の電源分配制御装置において、前記電源切換制御部は、前記電力供給源の電圧が規定電圧より低下したときに、前記第1スイッチのうち前記規定電圧より高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部に接続されている第1スイッチを遮断させるとともに他の第1スイッチを導通させ、前記第2スイッチのうち前記規定電圧より高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部に接続されている第2スイッチを導通させるとともに他の第2スイッチを遮断させることを特徴とする電源分配制御装置。
【請求項3】請求項1または2記載の電源分配制御装置において、前記第1および第2スイッチは、FET素子であることを特徴とする電源分配制御装置。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の電源分配制御装置において、前記昇圧変換器の入力部に制御信号により開閉可能な第3スイッチを設け、前記第3スイッチは、対応する前記昇圧変換器の出力部に接続された前記第2スイッチと同時に導通および遮断されることを特徴とする電源分配制御装置。
【請求項5】電力供給源と第1電力使用部との間に備えられ、制御信号により開閉可能な第1スイッチと、入力部が前記電力供給源に接続され、出力部が第2電力使用部に接続され、入力部の電圧を規定電圧に降圧させて出力部から出力する降圧変換器と、入力部が前記降圧変換器の出力部に接続され、入力部の電圧を昇圧し出力部から出力する昇圧変換器と、前記昇圧変換器の出力部と前記第1電力使用部との間に備えられ、制御信号により開閉可能な第2スイッチと、前記第1および第2スイッチと制御信号を伝達する信号線によって接続され、前記電力供給源の電圧を監視し、該電圧が前記規定電圧より大であるとき前記第1スイッチを導通させるとともに前記第2スイッチを遮断し、前記電力供給源の電圧が前記規定電圧より小であるとき前記第1スイッチを遮断させるとともに前記第2スイッチを導通させる電源切換制御部とを有することを特徴とする電源分配制御装置。
【請求項6】電力供給源の電圧を監視するステップと、前記電力供給源の電圧が規定電圧より大であるとき前記電力供給源と第1電力使用部との間を導通させるとともに、前記電力供給源の電圧を降圧させる降圧変換器の出力電圧に基づいて電圧を昇圧させる昇圧変換器と前記第1電力使用部との間を遮断するステップと、前記電力供給源の電圧が前記規定電圧より小であるとき前記電力供給源と前記第1電力使用部との間を遮断させるとともに、前記昇圧変換器と前記第1電力使用部との間を導通させるステップと、前記降圧変換器により第2電力使用部へ電力を供給するステップとを有することを特徴とする電源分配制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源分配制御装置および制御方法に関し、特に、複数の異なる電圧で用いられる機器に対して1つの電力供給源から電力を供給する電源分配制御装置および制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、バッテリの電力によりモータを駆動させて走行する電気自動車やコミュータなどの電動車両が開発されている。これらの電動車両で使用するモータは、走行のための高出力が必要とされることから、大容量、大電圧の主バッテリの電圧と同じ電圧仕様のモータが採用されている。
【0003】一方、モータ等を制御するための制御機器は、ICが主体であるので低電圧(一般的には5[V]または3.3[V])で動作する。また制御機器は電圧の揺動を受けないことが望ましいので、前記モータ用のバッテリとは別の補助バッテリが設けられていることが多い。
【0004】補助バッテリの電圧が所定の基準電圧よりも低下するときに制御機器の動作を補償することを目的として、主バッテリの電気エネルギーを変換して補助バッテリに充電を行う技術が提案されている(例えば、特開2001−320807号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の従来技術においては、主バッテリと補助バッテリの2つのバッテリを搭載することから、広い搭載スペースを確保する必要があるとともに高コストとなる。
【0006】また、主バッテリはモータの駆動によって放電し、電解液の比重が低下するとともに出力電圧が低下する。このとき、たとえ補助バッテリが十分に充電されていても制御機器のみが動作可能であり、補助バッテリからモータへ電力供給をすることができない。
【0007】さらに、主バッテリと補助バッテリとを1つのバッテリに置き換えた場合、置き換えたバッテリの電圧が低下すると、制御機器のみが動作可能であってもモータを駆動することができない状態になりうる。
【0008】本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、1つの電力供給源から複数の異なる電圧を生成するとともに電力供給源の電圧が低下したときでも、複数の異なる電圧を確保することを可能にする電源分配制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電源分配制御装置は、最大電圧を使用する1つの第1電力使用部、最小電圧を使用する1つの第2電力使用部および1以上の制御電圧の中間電圧を使用する1以上の第3電力使用部に電力供給源から電力を分配して供給する電源分配制御装置において、前記電力供給源を基準にして直列に接続され、制御電圧を順次降下させ、前記第3電力使用部および前記第2電力使用部の制御電圧を生成して供給する降圧変換器と、前記降圧変換器の各出力部に接続され、前記降圧変換器の出力電圧よりも高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部のそれぞれの制御電圧を生成する1以上の昇圧変換器と、前記電力供給源と前記第1電力使用部との間、並びに前記第3電力使用部の制御電圧を生成する前記降圧変換器と前記第3電力使用部との間に設けられ、制御信号により開閉可能な1以上の第1スイッチと、前記第1電力使用部の制御電圧を生成する前記昇圧変換器と前記第1電力使用部との間、並びに前記第3電力使用部の制御電圧を生成する前記昇圧変換器と前記第3電力使用部との間に設けられ、制御信号により開閉可能な1以上の第2スイッチと、前記第1および第2スイッチと制御信号を伝達する信号線によって接続され、前記電力供給源の電圧を監視し、該電圧に応じて前記第1および第2スイッチをそれぞれ遮断または導通させる電源切換制御部とを有することを特徴とする。
【0010】このようにすることにより、降圧変換器の作用によって1つの電力供給源から複数の異なる電圧を生成するとともに、電力供給源の電圧が低下したときであっても、昇圧変換器の作用によって複数の異なる電圧を確保することができる。
【0011】前記電源切換制御部は、前記電力供給源の電圧が規定電圧より低下したときに、前記第1スイッチのうち前記規定電圧より高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部に接続されている第1スイッチを遮断させるとともに他の第1スイッチを導通させ、前記第2スイッチのうち前記規定電圧より高い制御電圧で動作する前記第1電力使用部および前記第3電力使用部に接続されている第2スイッチを導通させるとともに他の第2スイッチを遮断してもよい。
【0012】前記第1および第2スイッチは、FET素子であってもよい。
【0013】前記昇圧変換器の入力部に制御信号により開閉可能な第3スイッチを設け、前記第3スイッチは、対応する前記昇圧変換器の出力部に接続された前記第2スイッチと同時に導通および遮断するようにしてもよい。
【0014】また、本発明に係る電源分配制御装置は、電力供給源と第1電力使用部との間に備えられ、制御信号により開閉可能な第1スイッチと、入力部が前記電力供給源に接続され、出力部が第2電力使用部に接続され、入力部の電圧を規定電圧に降圧させて出力部から出力する降圧変換器と、入力部が前記降圧変換器の出力部に接続され、入力部の電圧を昇圧し出力部から出力する昇圧変換器と、前記昇圧変換器の出力部と前記第1電力使用部との間に備えられ、制御信号により開閉可能な第2スイッチと、前記第1および第2スイッチと制御信号を伝達する信号線によって接続され、前記電力供給源の電圧を監視し、該電圧が前記規定電圧より大であるとき前記第1スイッチを導通させるとともに前記第2スイッチを遮断し、前記電力供給源の電圧が前記規定電圧より小であるとき前記第1スイッチを遮断させるとともに前記第2スイッチを導通させる電源切換制御部とを有することを特徴とする。
【0015】さらに、本発明に係る電源分配制御方法は、電力供給源の電圧を監視するステップと、前記電力供給源の電圧が規定電圧より大であるとき前記電力供給源と第1電力使用部との間を導通させるとともに、前記電力供給源の電圧を降圧させる降圧変換器の出力電圧に基づいて電圧を昇圧させる昇圧変換器と前記第1電力使用部との間を遮断するステップと、前記電力供給源の電圧が前記規定電圧より小であるとき前記電力供給源と前記第1電力使用部との間を遮断させるとともに、前記昇圧変換器と前記第1電力使用部との間を導通させるステップと、前記降圧変換器により第2電力使用部へ電力を供給するステップとを有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る電源分配制御装置および制御方法の実施形態例を、図1〜図6Bを参照しながら説明する。
【0017】まず、第1の実施形態例を図1〜図3を参照しながら説明する。
【0018】第1の実施形態に係る電源分配制御装置および制御方法は、基本的には、1つのバッテリを用いて電動車両のモータ駆動回路および制御機器を動作させるものであり、通常時、モータ駆動回路にはバッテリから電力を直接供給し、制御機器には降圧変換器を介して電力を供給する。バッテリの出力電圧が低下したときには、昇圧変換器を介してモータ駆動回路に電力を供給する。
【0019】図1に示すように、第1の実施形態に係る電源分配制御装置10は、電動車両100に対して適用されている。電動車両100は、例えば、標準電圧仕様が12[V](制御電圧)のモータ102を動力源として走行するものであり、モータ102の回転軸が、変速機能をもつディファレンシャルギア104に接続されている。モータ102の回転は、ディファレンシャルギア104および車軸106を介して前輪108に伝えられる。
【0020】モータ102は、例えば、標準の電圧使用が12[V]であり、これよりある程度低い電圧(例えば、9[V])でも動作可能である。
【0021】電源分配制御装置10は、鉛蓄電池であるバッテリ12から電力の供給を受け、電源分配制御装置10内の平滑回路14により電圧を安定させる。平滑回路14によって安定した電源(電力供給源)Vbは電源制御回路16を介して電源電圧に変成され、9〜12[V]の電源Vc12、5[V](制御電圧)の電源Vc5および3.3[V](制御電圧)の電源Vc3を生成する。
【0022】すなわち、モータ102を駆動するためには電源Vc12が必要であり、また、アナログ回路およびロジック回路には電源Vc5が必要であるので、それぞれの電圧を個別に生成する。さらに、電源分配制御装置10内のマイコン(電源切換制御部)20を制御するCPU(第2電力使用部)20bは3.3[V]で駆動されるので、このCPU20b用に電源Vc3を生成する必要がある。電源Vc12、Vc5およびVc3を生成する手順については後述する。
【0023】マイコン20には、電源Vbの電圧値をデジタル値に変換するADC(Analog-Digital Converter)20aが備えられている。マイコン20の制御を行うCPU20bは、プログラム20cによって動作し、ADC20aの出力する信号によって電源制御回路16を制御する制御信号C1、C2、C3およびC4を出力する。
【0024】具体的には、制御信号C1は、電源Vbの電圧が9[V]以上であるときに論理値「0」となり、9[V]未満のときに論理値「1」となる。制御信号C2は、ADC20aの電圧が5[V]以上であるときに論理値「0」となり、5[V]未満のときに論理値「1」となる。制御信号C3は、電源Vbの電圧が5[V]以上、9[V]未満であるときに論理値「0」となり、9[V]以上または5[V]未満のときに論理値「1」となる。制御信号C4は、電源Vbの電圧が3.3[V]以上、5[V]未満であるときに論理値「0」となり5[V]以上のときに論理値「1」となる。
【0025】また、CPU20bは、モータ102の磁極位置を検出する磁極位置検出部22の信号を、ロジック回路で構成される第1入力インターフェース(I/F、第3電力使用部)24を介して読み込む。CPU20bは、読み込んだ磁極位置に基づいてモータ102に与える電流値およびタイミングを算出し、指令信号として、ロジック回路から構成される第1出力インターフェース(第3電力使用部)26に供給する。第1出力インターフェース26は、指令信号をモータドライバ(第1電力使用部)28へ供給する。モータドライバ28は、電源Vc12を電圧源として、指令信号に基づきモータ102を駆動する。
【0026】さらに、CPU20bは、図示しないアクセルやハンドルの状態をスイッチ、ボリューム等によりロジック回路から構成される第2入力インターフェース(第3電力使用部)30を介して読み込む。CPU20bは、第2入力インターフェース30から読み込んだ信号を、所定の信号変換を行った後に、アナログ回路から構成される第2出力インターフェース(第3電力使用部)32に出力する。第2出力インターフェース32は、供給された信号に基づいてメータ類に信号表示を行う。
【0027】図2に示すように、電源制御回路16において、平滑回路14(図1参照)の出力である電源Vbの第1分岐はFET50(第1スイッチ)のソース端子に接続されており、FET50のドレイン端子はFET52(第1スイッチ)のドレイン端子に接続されている。FET52のソース端子は、12[V]の電源Vc12としてモータドライバ28へ電力供給を行う。
【0028】FET52は、何らかの要因によって電源Vc12が高電圧になったときに、この高電圧が電源Vbに伝達されることを防ぐ作用をもつ。すなわち、FET50は内部に寄生ダイオードが存在することから、電源Vc12から電源Vb方向への電流を阻止することができないので、FET50と逆向きのFET52が設けられている。
【0029】FET50および52の各ゲート端子は、マイコン20から出力される制御信号C1と接続されており、FET50および52は制御信号C1が論理値「0」のときにオン、論理値「1」のときにオフとなる。
【0030】電源Vbの第2分岐は、電源Vbの電圧を降圧して5[V]の電圧を生成する降圧変換器54の入力端子に接続されている。降圧変換器54の出力の第1分岐は、FET56(第1スイッチ)のドレイン端子に接続されており、FET56のソース端子は5[V]の電源Vc5として第1、第2入力インターフェース24、30及び第1、第2出力インターフェース26、32へ電力供給を行う。
【0031】FET56のゲート端子は、マイコン20から出力される制御信号C2と接続されており、FET56は制御信号C2が論理値「0」のときにオン、論理値「1」のときにオフとなる。
【0032】降圧変換器54は、入力電圧が5[V]以上であるときに電圧を降下させて出力電圧が5[V]となるように作用し、入力電圧が5[V]未満であるときには入力電圧をバイパスさせて、その電圧のまま出力する。
【0033】降圧変換器54の出力の第2分岐は、FET58(第3スイッチ)のソース端子と接続されており、FET58のドレイン端子は、入力電圧を昇圧して12[V]の電圧を生成する昇圧変換器60の入力部に接続されている。
【0034】昇圧変換器60は、入力電圧が5〜12[V]の範囲であるときに効率よく12[V]の電圧を生成することができる構成となっている。
【0035】昇圧変換器60の出力部は、FET62(第2スイッチ)のドレイン端子に接続され、FET62のソース端子は12[V]の電源Vc12と合流している。
【0036】FET58およびFET62の各ゲート端子は、マイコン20から出力される制御信号C3と接続されており、FET58および62は制御信号C3が論理値「0」のときにオン、論理値「1」のときにオフとなる。
【0037】降圧変換器54の出力の第3分岐は、入力電圧を降圧し3.3[V]の電圧を生成する降圧変換器64の入力部に接続されており、降圧変換器64の出力の第1分岐は、3.3[V]の電源Vc3としてCPU20bへ電力供給を行う。
【0038】降圧変換器64は、入力電圧が3.3[V]以上であるときに電圧を降下させて出力電圧が3.3[V]となるように制御し、入力電圧が3.3[V]未満であるときには入力電圧をバイパスさせて、その電圧のまま出力する。また、降圧変換器64は、入力電圧が3.3〜5[V]の範囲であるときに効率よく3.3[V]電源を生成することができる構成となっている。
【0039】降圧変換器64の出力の第2分岐は、FET66(第3スイッチ)のソース端子と接続されており、FET66のドレイン端子は、入力電圧を昇圧して12[V]の電圧を生成する昇圧変換器68の入力部に接続されている。
【0040】昇圧変換器68は、入力電圧が3.3[V]未満であるときに効率よく12[V]の電圧を生成することができる構成となっている。
【0041】昇圧変換器68の出力部は、FET70(第2スイッチ)のドレイン端子に接続され、FET70のソース端子は12[V]の電源Vc12と合流している。
【0042】FET66およびFET70の各ゲート端子は、マイコン20から出力される制御信号C4と接続されており、FET66および70は制御信号C4が論理値「0」のときにオン、論理値「1」のときにオフとなる。
【0043】降圧変換器64の出力の第3分岐は、FET72(第3スイッチ)のソース端子と接続されており、FET72のドレイン端子は、入力電圧を昇圧して5[V]の電圧を生成する昇圧変換器74の入力部に接続されている。
【0044】昇圧変換器74は、入力電圧が3.3[V]未満であるときに効率よく5[V]の電圧を生成することができる構成となっている。
【0045】昇圧変換器74の出力部は、FET76(第2スイッチ)のドレイン端子に接続され、FET76のソース端子は5[V]の電源Vc5と合流している。
【0046】FET72およびFET76の各ゲート端子は、マイコン20から出力される制御信号C4と接続されており、FET72および76は制御信号C4が論理値「0」のときにオン、論理値「1」のときにオフとなる。
【0047】次に、このように構成される電源分配制御装置10の動作について、図3を参照しながら説明する。
【0048】なお、図3に示される処理は、実際上は主にCPU20bがプログラム20cに従って行う処理であり、微小時間毎に繰り返し実行される。
【0049】ステップS1において、ADC20aを介して電源Vbの電圧値を読み込む。
【0050】次に、ステップS2において、読み込んだ電源Vbの電圧値を規定電圧、すなわち9[V]および5[V]とそれぞれ比較する。電源Vbが9[V]以上であるときにはステップS3に移り、電源Vbが5〜9[V]の範囲であるときにはステップS4に移る。電源Vbが3.3〜5[V]の範囲であるときにはステップS5に移る。なお、CPU20bは、電圧が3.3[V]未満では動作しないので、3.3[V]の電圧比較判断は不要である。
【0051】ステップS3、つまり電源Vbが9[V]以上のときは、制御信号C1を論理値「0」、制御信号C2を論理値「0」、制御信号C3を論理値「1」、制御信号C4を論理値「1」として出力する。これにより、FET50および52は導通となり、電源Vbの電力が電源Vc12に供給される。このとき、降圧変換器54は、9[V]以上の電源Vbを5[V]に降圧している。
【0052】また、FET56は導通となり、降圧変換器54により生成された5[V]の電圧が電源Vc5に供給される。
【0053】FET58、62、66、70、72および76は遮断となるので、昇圧変換器60、68および74は、それぞれ入力側と出力側が遮断されることとなり、電圧生成動作および電力供給を行わない。
【0054】なお、降圧変換器64は、降圧変換器54により生成された5[V]の電圧を3.3[V]に降圧して電源Vc3へ供給する。電源Vc3は、降圧変換器64と直接接続されているので、電源供給経路が変わることなく常に降圧変換器64から電源供給を受ける。
【0055】このようにステップS3においては、電源Vc12は電源VbとFET50、52を介して導通しているので、電源Vbの電力が低損失で供給される。電源Vc5はFET56を介して降圧変換器54の出力部と接続されており、降圧変換器54が生成する電圧の供給を受けることができる。
【0056】また、昇圧変換器60、68、74はFET62、70、76によって出力部が遮断されているので無負荷となっている。一般に、昇圧変換器60、68、74は無負荷でも多少の電力損失があるが、入力部をFET58、66、72により遮断することによってこの電力損失を防止している。
【0057】ステップS4、つまり、電源Vbが5〜9[V]の範囲であるときは、制御信号C1を論理値「1」、制御信号C2を論理値「0」、制御信号C3を論理値「0」、制御信号C4を論理値「1」として出力する。これにより、FET50および52は遮断となり、電源Vbと電源Vc12は遮断される。このとき、降圧変換器54は、5〜9[V]の電源Vbを5[V]に降圧している。
【0058】また、前記ステップS3と同様に、FET56は導通となり、降圧変換器54により生成された5[V]の電圧が電源Vc5に供給される。
【0059】さらに、FET58および62は導通となり、昇圧変換器60が動作する。昇圧変換器60は、降圧変換器54により生成された5[V]の電圧を12[V]に昇圧して電源Vc12に供給する。
【0060】ここで、電源Vc12は降圧変換器54および昇圧変換器60の直列接続によって電源が供給されている。降圧変換器54は、無負荷状態より負荷電流がある状態の方が変換効率がよいので、降圧変換器54は高効率で動作することができる。
【0061】降圧変換器64は、前記ステップS3と同様に、降圧変換器54により生成された5[V]の電圧を3.3[V]に降圧して電源Vc3へ供給する。
【0062】このようにステップS4においては、電源Vbの電圧が5〜9[V]の範囲であっても、電源Vc12には、昇圧変換器60を介して12[V]の電圧が供給される。また、昇圧変換器60の入力は降圧変換器54によって5[V]となっているので、電圧変換を効率よく行うことができる。
【0063】ステップS5、つまり、電源Vbが3.3〜5[V]の範囲であるときは、制御信号C1を論理値「1」、制御信号C2を論理値「1」、制御信号C3を論理値「1」、制御信号C4を論理値「0」として出力する。これにより、FET50、52、56、58および62は遮断となり、電源Vbと電源Vc12との間および昇圧変換器60の出力と電源Vc12との間が遮断される。
【0064】FET56は遮断となるので、降圧変換器54の出力部と電源Vc5は遮断される。
【0065】降圧変換器64は、降圧変換器54から出力された3.3〜5[V]の電圧を3.3[V]に降圧して電源Vc3へ供給する。
【0066】また、FET66および70は導通となり、昇圧変換器68が動作する。昇圧変換器68は、降圧変換器64により生成された3.3[V]の電圧を12[V]に昇圧して電源Vc12に供給する。
【0067】FET72および76は導通となり、昇圧変換器74が動作する。昇圧変換器74は、降圧変換器64が生成する3.3[V]の電圧を5[V]に昇圧して電源Vc5に供給する。
【0068】ここで、電源Vc12は降圧変換器54、降圧変換器64および昇圧変換器68の直列接続によって電源が供給され、電源Vc5は降圧変換器54、降圧変換器64および昇圧変換器74の直列接続によって電源が供給されている。このうち、降圧変換器54は、電圧をダイオードなどのバイパス素子によって、電源Vbの電圧3.3〜5[V]をそのまま出力している。従って、降圧変換器54による電力損失は低レベルに抑えられる。降圧変換器64は、無負荷状態より負荷電流がある状態の方が変換効率がよいので、降圧変換器64は高効率で動作することができる。
【0069】このようにステップS5においては、電源Vbの電圧が3.3〜5[V]の範囲であっても、電源Vc12および電源Vc5には、それぞれ昇圧変換器68および74を介して12[V]および5[V]の電圧が供給される。このとき昇圧変換器68および74の入力は降圧変換器64によって3.3[V]となっているので、効率よく電圧変換ができる。
【0070】また、昇圧変換器60は、FET58および62により入力部および出力部が遮断されているので、昇圧変換器60による電力損失が全くない。
【0071】なお、CPU20bは、ステップS1〜S5の処理の他に、上述のとおり第1入力インターフェース24に基づく第1出力インターフェース26の制御および第2入力インターフェース30に基づく第2出力インターフェース32の制御を行う。
【0072】このように第1の実施形態に係る電源分配制御装置10および制御方法によれば、1つの電圧源であるバッテリ12から複数の電圧を生成することができ、また、バッテリ12が放電することによって出力電圧が低下し、モータドライバ28を駆動するために必要な9[V]を下回っても、昇圧変換器60または昇圧変換器68によって12[V]電源を生成して、モータドライバ28に電力供給することができる。
【0073】バッテリ12がさらに放電して出力電圧が第1および第2入力インターフェース24、30および第1および第2出力インターフェース26、32を駆動するために必要な5[V]を下回っても昇圧変換器74によって5[V]電源を生成して、第1および第2入力インターフェース24、30および第1および第2出力インターフェース26、32に電力供給することができる。
【0074】各電圧を供給する電源、すなわち12[V]の電源Vc12、5[V]の電源Vc5、3.3[V]の電源Vc3は、電力を供給する変換器が1つになるように制御されており、複数の電力供給源が互いに競合することがない。例えば、電源Vc5には電力供給源として降圧変換器54または昇圧変換器74のいずれか一方のみが接続されることとなり、降圧変換器54と昇圧変換器74のそれぞれの出力が短絡することはない。
【0075】バッテリ12を1つにすることができるので、バッテリ12の搭載スペースを狭くすることができるとともに低コストになる。さらに、メンテナンスの手間を軽減できる。
【0076】スイッチ素子としてFETを用いているので、FETの特性上、FETの開閉動作に要する駆動電力は極めて小さい。
【0077】昇圧変換器60および68が生成する電圧は、12[V]に限らず、9〜12[V]の範囲の任意の電圧でもよい。
【0078】さらに、第1の実施形態に係る電源分配制御装置10では、電源Vc12、Vc5、Vc3の3種類の電源を生成および供給する例について示したが、電源の種類は4種類以上であってもよい。例えば、電源Vc12、Vc5、Vc3に加えて2[V]の電源Vc2が必要であるときには、降圧変換器64と電源Vc3との間にスイッチ素子としてFETを設けるとともに降圧変換器64の出力の第4分岐を設け、この第4分岐に2[V]を生成する降圧変換器を配設する。この2[V]を生成する降圧変換器の出力に2[V]からそれぞれ12[V]、5[V]、3.3[V]を生成する3つの昇圧変換器を設ける。この3つの昇圧変換器の入力部および出力部にスイッチ素子としてのFETを設けて、これらのFETをCPU20bの制御信号により開閉制御すればよい。
【0079】制御信号C1、C2、C3およびC4と各FETのゲート端子との間に、適当な増幅器を配設してもよい。
【0080】制御信号C1〜C4は、それぞれ独立した信号線として設けられている必要はなく、例えば、電源Vbの電圧レベルをコード信号として1本のシリアル信号線により供給し、電源制御回路16において適当なデコード回路によって各FETに信号分配してもよい。
【0081】次に、本発明に係る電源分配制御装置および制御方法の第2の実施形態例を図4および図5を参照しながら説明する。
【0082】第2の実施形態に係る電源分配制御装置および制御方法では、CPU20bは5[V]で駆動し、3.3[V]を使用する箇所がないものとする。従って、図4に示すように、電源制御回路16aは、電源Vc12およびVc5の2つの電源だけを生成する。具体的には、第1の実施形態における電源制御回路16の降圧変換器64、昇圧変換器68および74、FET56、66、70、72、76が不要となる。降圧変換器54と電源Vc5はFETを介することなく直接接続されている。
【0083】さらに、マイコン20は制御信号C1およびC3を出力する。なお、第1の実施形態における制御信号C2およびC4は不要である。
【0084】電源制御回路16aにおいて、上記した電源制御回路16と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0085】第2の実施形態においては、使用する電源の種類が電源Vc12と電源Vc5の2つだけなので、電源Vc12を用いるモータドライバ28が最大電圧使用部(第1電力使用部)であり、電源Vc5を用いる第1、第2入力インターフェース24、30及び第1、第2出力インターフェース26、32が最小電圧使用部(第2電力使用部)となる。
【0086】次に、マイコン20によって行う電源分配制御方法について、図5を参照しながら説明する。
【0087】図5のステップS101において、ADC20aを介して電源Vbの電圧値を読み込む。
【0088】次に、ステップS102において、読み込んだ電源Vbの電圧値を規定電圧、すなわち9[V]と比較する。電源Vbが9[V]以上であるときにはステップS103に移り、電源Vbが5〜9[V]の範囲であるときにはステップS104に移る。
【0089】ステップS103、つまり電源Vbが9[V]以上のときは、制御信号C1を論理値「0」、制御信号C3を論理値「1」として出力する。これにより、FET50および52は導通となり、電源Vbの電力が電源Vc12に供給される。このとき、降圧変換器54は、9[V]以上の電源Vbを5[V]に降圧している。
【0090】FET58、62は遮断となるので、昇圧変換器60は、それぞれ入力側と出力側が遮断されることとなり、電圧生成動作および電力供給を行わない。
【0091】なお、降圧変換器54は、5[V]の電圧を電源Vc5へ供給する。電源Vc5は、降圧変換器54と直接接続されているので、電源供給経路が変わることなく常に降圧変換器54から電源供給を受ける。
【0092】このようにステップS103においては、電源Vc12は電源VbとFET50、52を介して導通しているので、電源Vbの電力が低損失で供給される。
【0093】また、昇圧変換器60はFET62、70によって入力部、出力部とも遮断されているので電力損失がない。
【0094】ステップS104、つまり、電源Vbが5〜9[V]の範囲であるときは、制御信号C1を論理値「1」、制御信号C3を論理値「0」として出力する。これにより、FET50および52は遮断となり、電源Vbと電源Vc12は遮断される。このとき、降圧変換器54は、5〜9[V]の電源Vbを5[V]に降圧している。
【0095】また、FET58および62は導通となり、昇圧変換器60が動作する。昇圧変換器60は、降圧変換器54が生成する5[V]の電圧を12[V]に昇圧して電源Vc12に供給する。
【0096】降圧変換器54は、ステップS103と同様に、5[V]電源を電源Vc5へ供給する。
【0097】このようにステップS104においては、電源Vbの電圧が5〜9[V]の範囲であっても、電源Vc12には、昇圧変換器60を介して12[V]の電圧が供給される。また、昇圧変換器60の入力は降圧変換器54によって5[V]となっているので、電圧変換を効率よく行うことができる。
【0098】第2の実施形態においては、制御信号C1およびC3は常に逆論理なので、いずれか一方の制御信号だけを用いて、他方は反転回路により生成するようにしてもよい。
【0099】上述の第1および第2の実施形態においては、各FETは、トランジスタまたはサイリスタ等の半導体素子や機械的な接点を有するリレーで置き換えてもよい。
【0100】電源切換時の限界的な状態(例えば、電源Vbがちょうど5[V]のとき)で、多少のノイズによってFETが頻繁に開閉動作する、所謂、チャタリング現象を防止するためには、電源切換処理にヒステリシス性をもたせるようにしてもよい。
【0101】降圧変換器54、64および昇圧変換器60、68、74は、図6Aに示すように、1つのユニット200で構成されていてもよいし、図6Bに示すように、複数の素子から構成される素子群202であってもよい。この素子群202の素子としては変換IC204、コンデンサ206、コイル208、ダイオード210等を挙げることができる。
【0102】電源Vbの電圧を検出する手段は、ADC20aやマイコン20を用いたデジタル的な検出手段に限らず、コンパレータを用いたアナログ回路で構成してもよい。
【0103】上述の第1および第2の実施形態例は、少ない電力で、より長い距離を走行することを競う競技用車両に適用してもよい。
【0104】なお、この発明に係る電源分配制御装置および制御方法は、上述の実施形態例に限らず、この発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成およびステップを採り得ることはもちろんである。
【0105】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る電源分配制御装置および制御方法によれば1つの電力供給源から複数の異なる電圧を生成できるとともに電力供給源の電圧が低下したときでも複数の異なる電圧を確保することができるという効果が達成される。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年2月28日(2002.2.28)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏 (外1名)
【公開番号】 特開2003−259507(P2003−259507A)
【公開日】 平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願番号】 特願2002−52551(P2002−52551)