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【発明の名称】 電動車輌用鉛蓄電池の充・放電制御方法
【発明者】 【氏名】塩見 正昭
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地 日本電池株式会社内

【氏名】足立 昌司
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地 日本電池株式会社内

【要約】 【課題】フォークリフト等の電動車輌では、通常、鉛蓄電池の単電池(セル)が多数接続されて使用されているため、蓄電池性能のばらつきや蓄電池毎の温度分布のばらつきにより、特定のセルのみが過放電あるいは過充電を受け、そのセルが早期に性能低下し、その結果、単電池(セル)1個のために組電池全体の性能が早期に低下する事がある。

【解決手段】正極格子にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛蓄電池多セルを組み合わせた組電池を、いくつかのセルからなるブロック(ブロック蓄電池)毎の状態検知データに基づいて充・放電を制御する制御弁式鉛蓄電池群の充・放電制御方法において、蓄電池の残存容量に応じて走行中に警報信号および/又は蓄電池の負荷を軽減させるための出力低下の信号を車体に送り、過放電を防止する、さらに、充電不足気味の充電を行い、蓄電池の状態に応じて回復充電の指示を行うことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 正極格子にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛蓄電池の単電池(セル)を複数組み合わせた組電池を、いくつかのセルからなるブロック(ブロック蓄電池)毎の状態検知データに基づいて充・放電を制御する充・放電制御方法において、蓄電池の残存容量に応じて走行中に警報信号および/又は蓄電池の負荷を軽減するための出力低下の信号を車体に送ることを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項2】 前記鉛蓄電池の単電池(セル)の残存容量と放電時の電流・温度・電圧との関係を求めたデータを保有し、実測したブロック蓄電池の電圧値、電流値、電池温度と前記データと照合することにより、各ブロック蓄電池の残存容量を検知することを特徴とする請求項1に記載の電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項3】 走行中、いずれかのブロック蓄電池の電圧が、所定の残存容量に相当するまで低下した時点で、車体に信号を送り、蓄電池からの放電を軽減させる共に、前記放電においてブロック蓄電池の残存容量が5%以下に至らないように管理することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項4】 走行後の充電において放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行うことを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項5】 放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った後の放電において、各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の放電電圧から算出される残存容量と電動車輌走行時の放電量(Ah)から算出された蓄電池全体の残存容量との差が所定の値以上に広がった場合に、X%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項6】 放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った時に、各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の充電後の無負荷時の電圧から算出される蓄電池容量が、完全充電状態の無負荷電圧から算出される容量より低く、その差が所定の容量以下に達した場合に、放電後の次の充電では、X%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項7】 放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った後の放電において、放電中のブロック電圧から算出される残存容量について各ブロック蓄電池間で所定量以上の差が発生した場合に、X%より多い電気量の充放電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項8】 放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った時に、充電後の無負荷時のブロック電圧から算出される蓄電池容量について各ブロック蓄電池間で所定量以上の差が発生した場合に、放電後の次の充電ではX%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とする電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【請求項9】 多い電気量の充電(回復充電または均等充電)が連続あるいは不連続で設定された回数に達した場合には、異常と判断して、回復充電を実施しないことを特徴とする請求項5,6、7又は8に記載の電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車輌用鉛蓄電池の充・放電制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フォークリフト等の電動車輌では、通常、鉛蓄電池の単電池(以降セルという)が多数接続されて使用されているため、蓄電池性能のばらつきや蓄電池毎の温度分布ばらつきにより、特定のセルが過放電あるいは過充電を受け、そのセルが早期に性能低下し、その結果、1個のセルのために組電池全体の性能が低下する事がある。このような現象は、正極にPb−Sb系の鉛合金からなる正極格子を用いた開放型の液式鉛蓄電池に比べて正極にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛電池で起こりやすい傾向にある。近年、正極にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛電池は、無漏液・無保守といった優れた特性を有していることから電動車輌への搭載が増える傾向にある。我々が調査した結果でもセルの劣化により組電池全体の性能が低下する現象が散見された。さらに深く原因を調査すると、劣化した蓄電池では、使用中に過放電あるいは過充電されて、活物質の劣化や電解液の枯渇が起こっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、多数のセルが接続された組電池において、充・放電制御方法により特定のセルが過放電あるいは過充電を受けるのを防止し、安定した寿命性能を有する電動車輌用制御弁式鉛蓄電池を提供する事ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者は、多数のセルが接続された組電池において、特定のセルが過放電あるいは過充電を受けるのを防止するために、所定のセルを単位としたブロック蓄電池毎に充・放電を管理する方法について試験を行い、それによって得た知見に基づいて課題を解決するもので、請求項1によれば、正極格子にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛蓄電池の単電池(セル)を複数組み合わせた組電池を、いくつかのセルからなるブロック(ブロック蓄電池)毎の状態検知データに基づいて充・放電を制御する充・放電制御方法において、蓄電池の残存容量に応じて走行中に警報信号および/又は蓄電池の負荷を軽減するための出力低下の信号を車体に送ることを特徴とするものである。
【0005】本発明では、ブロック(ブロック蓄電池)毎の状態検知データに基づいて残存容量を検知し、車体にその信号を送ると共に、蓄電池の負担軽減のための出力低下の信号をも送り蓄電池の過放電を防止するものである。具体的には、いずれかのブロック蓄電池の残存容量が25〜35%以下になった時点で、信号を車体に送ると共に、電動車輌の負荷を40〜50%以下に下げる信号を送るものである。
【0006】請求項2によれば、前記電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の充・放電制御方法において、前記鉛蓄電池の単電池(セル)の残存容量と放電時の電流・温度・電圧との関係を求めたデータを保有し、実測したブロック蓄電池の電圧値、電流値、電池温度と前記データとを照合することにより、各ブロック蓄電池の残存容量を検知することを特徴とするものである。
【0007】本発明では、ブロック蓄電池の残存容量を検知する方法を示すもので、残存容量と放電時の電流・温度・電圧との関係をあらかじめ求め、そのデータをもとに走行中のブロック蓄電池の残存容量を算出するものである。
【0008】請求項3によれば、走行中、いずれかのブロック蓄電池の電圧が、所定の残存容量にまで低下した時点で、車体に信号を送り、蓄電池からの放電を軽減させると共に、前記放電では、ブロック蓄電池の残存容量が5%以下には至らないように管理することを特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、特定のブロック蓄電池の残存容量が低下すれば、車体に信号を送ると共に負荷を軽減し、さらに、特定のブロック蓄電池の残存容量が5%になった時点で電動車輌の作動を停止させ、特定のセルの過放電を防止するものである。
【0010】請求項4によれば、走行後の充電において放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行うことを特徴とするものである。
【0011】請求項1から3は蓄電池の過放電を防止するためのものであったが、請求項4は過充電の防止対策として放電量の95〜110%の充電を行うもので、若干充電不足傾向にある。すなわち、Pb−Ca合金格子のようにアンチモンを含まない正極格子を用いた鉛蓄電池では、過充電を行うと、正極格子の酸化が進みすぎるため、放電時にその部分が優先的に放電して、正極板の格子と活物質との界面に硫酸鉛の絶縁層が形成され、容量が低下するという問題が生じることがあるので過充電は極力避けなければならない。組電池で使用する場合には、特定のセルが大きな過充電を受ける可能性があるので上記のような充電を行うことが好ましい。
【0012】請求項5によれば、放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った後の放電において、各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の放電電圧から算出される残存容量と電動車輌走行時の放電量(Ah)から算出された蓄電池全体の残存容量との差が所定の値以上に広がった場合に、X%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とするものである。
【0013】本発明によれば、各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の放電電圧から算出される残存容量と電動車輌走行時の放電量(Ah)から算出される蓄電池全体の残存容量との差が所定の値以上に広がったことは、その低いブロック蓄電池あるいは組電池は充電不足状態であることを意味し、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行う必要がある。電動車輌走行時の放電量(Ah)から算出した残存容量と放電電圧から算出した残存容量との差が15〜25%になった時点で回復充電または均等充電をするのが好ましい。
【0014】請求項6によれば、放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った時に、各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の充電後の無負荷時の電圧から算出される蓄電池容量が、完全充電状態の無負荷電圧から算出される容量より低く、その差が所定の容量以下に達した場合に、放電後の次の放電ではX%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とするものである。
【0015】本発明によれば、完全充電状態であるということは、規定の電解液比重にまで回復していることであり、電解液比重と無負荷時の電圧には相関性があるので、前記電圧を測定することによって充電状態を知ることができる。したがって、充電したにもかかわらず充電後の無負荷電圧が完全充電状態の無負荷電圧より低いことは電解液比重が完全に戻っておらず充電不足を意味しており、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行う必要がある。完全充電状態での蓄電池容量に対してして各ブロックあるいは組電池全体の充電後の容量が85%以下になった時点で回復充電または均等充電を行うのが好ましい。
【0016】請求項7によれば、放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った後の放電において、放電中のブロック電圧から算出される残存容量について各ブロック蓄電池間で所定量以上の差が発生した場合に、X%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とするものである。
【0017】本発明によれば、各ブロック蓄電池間において放電中のブロック電圧から算出される残存容量に所定量以上の差が発生することは、いずれかのブロック蓄電池が充電不足になっていることを示すもので、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)をおこない、充電不足のブロック蓄電池の容量を回復させる必要がある。各ブロック間の残存容量の差が15%〜25%以上になった時点で回復充電または均等充電を行うのが好ましい。
【0018】請求項8によれば、放電量に対してX%(95%≦X≦110%)の充電を行った時に、充電後の無負荷時のブロック電圧から算出される蓄電池容量について各ブロック蓄電池間で所定量以上の差が発生した場合に、放電後の次の充電ではX%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことを特徴とするものである。
【0019】本発明によれば、充電を行ったにもかかわらず、充電後の無負荷時のブロック電圧から算出される蓄電池容量においてブロック蓄電池間に差が発生した場合、容量の低いブロック蓄電池が充電不足であることを意味し、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行う必要がある。ブロック間の充電後の算出した容量差が15〜25%以上になった時点で回復充電または均等充電を行うのが好ましい。
【0020】請求項9によれば、前記の多い電気量の充電(回復充電または均等充電)が連続あるいは不連続で設定された回数に達した場合には、異常と判断して、回復充電を実施しないことを特徴とするものである。
【0021】本発明によれば、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を連続して行う必要が発生したことは、いずれかの蓄電池に異常が発生していることを意味し、この場合は蓄電池の調査が必要である。連続の場合は、3回以上回復充電または均等充電の必要が発生した場合、異常と判断する必要がある。また、不連続の場合では、2回に1回の割合で回復充電または均等充電の必要が発生した場合に異常と判断するのが適切である。
【0022】以上のように、電動車輌用制御弁式鉛蓄電池の残存容量(放電状態)を管理することにより、セルの劣化を組電池全体の問題にしないようにするのが目的で、所定の残存容量に達したら、電動車輌に信号を与えて蓄電池の負荷を軽減するために出力を制限するものである。そのためには、あらかじめ蓄電池の残存容量と放電時の電流・温度・電圧との関係のデータ、あるいは無負荷時の温度・電圧と蓄電池容量との関係のデータを管理装置内に保有し、実測したブロック蓄電池電圧値、蓄電池温度、電流値と前記データとを照合することにより残存容量を求める。特に、過放電を防止すために、負荷を軽減した放電においてもブロック蓄電池の残存容量が5%を下回ることのないように管理する。以上の管理を行うことによって特定のセルの過放電を抑制することができ、1セルの蓄電池が悪いため組電池全体が不具合になることを防止できる。
【0023】また、制御弁式鉛蓄電池の安定したサイクル寿命を得るためには、過充電を極力避ける必要があり、充電量95〜110%の範囲の充電を実施する。この条件は、充電不足傾向にあるので、走行時のブロック毎の蓄電池の残存容量や充電後の完全充電状態等の検知データを監視し、ブロック間に所定の差が発生した場合には、その後の充電では、通常の放電量の95〜110%より多い電気量の充電(回復充電または均等充電)を行うことにより充電不足を避けることができ、安定した寿命性能が得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
【実施例】正極格子にPb−Ca系合金を使用した制御弁式鉛蓄電池を多セル組み合わせた組電池をいくつかのブロック(ブロック蓄電池)毎の電圧、電流あるいは温度等の状態検知データで監視し、蓄電池の状態に応じて、走行中に警報信号や蓄電池の負荷を軽減させる出力低下の信号を車体に送る、一方、充電に関しては充電不足気味の充電を行い、充電状態に応じて回復充電を行うことにより、高い信頼性の電動車輌用制御弁式鉛蓄電池が得られることを実施例でもって具体的に示す。
【0025】[実施例1]本発明の効果を明確にするための試験を行うにあたって、下記の試験用蓄電池を製作した。
【0026】正・負極板にPb−0.07wt%Ca−1.3wt%Sn合金からなるエキスパンド格子をそれぞれ用い、通常の活物質を塗布した正極板5枚、負極板6枚を微細ガラス繊維セパレータを介して交互に積層し、電槽に挿入する。該蓄電池に所定量の希硫酸を注液して化成し、通常の安全弁を装着したいわゆるリテーナ式制御弁式鉛蓄電池を製作した。定格容量は、2V、400Ahでこれらの蓄電池を24セル直列に接続した組電池をフォークリフトに搭載した。
【0027】まずこのセルを種々の温度および電流で放電し、放電時の電圧と残存容量との関係を示すデータを作成した。次に、上記フォークリフトに搭載し24セルからなる組電池を6セル単位のブロック蓄電池に分け、管理装置で電圧、電流、温度を監視した。
【0028】上記組電池および管理装置システムの概要を図1に示す。1は24セルからなる組電池、2は管理装置、3は電圧、電流、温度を測定するため、ブロック蓄電池と管理装置2とを接続するケーブル、4はフォークリフト、5は充電器、6は蓄電池温度を測定するために組電池の中央に貼られた熱電対をそれぞれ示す。
【0029】図に示すように、管理装置を蓄電池の傍に設置し、蓄電池から得た情報を元に、この管理装置からフォークリフトあるいは充電器に信号を送り出す。この管理装置の管理プログラムの一例を以下に示す。
【0030】(1)4つのブロック蓄電池のブロック電圧のいずれかが、電流、温度データと併せて計算した所定の残存容量データにおいて、残存容量が30%の状態に相当する電圧になった時点で、組電池全体の残存容量にかかわらず、フォークリフトに対する出力を50%に低減し、同時に警報を出す。ブロック電圧が残存容量25%に相当する電圧まで低下した時点で、出力を20%まで低下させる。ブロック電圧が残存容量20%相当まで低下した時点で、出力を10%にまで低下させる。最終的にいずれかのブロック蓄電池の残存容量が5%に至った時点で蓄電池からの出力はほぼゼロになるようにする。
【0031】(2)充電は放電量の95〜110%の比較的少ない充電量の充電を行う。本実施例では、管理装置でフォークリフト走行中の電流を測定し、放電したAh量を計算し、放電量の100%の電気量を充電するように充電器に対し指示を与える。
【0032】(3)本管理装置には、充電器に対し所定のタイミングで回復充電を行うよう指示をしている。
【0033】回復充電を実施する条件を具体的に示す。
【0034】(a)各ブロック蓄電池の放電中のブロック電圧から算出される残存容量がフォークリフト走行時の放電量(Ah)から算出された蓄電池の残存容量に比べ20%以下に低下した場合。
【0035】(b)各ブロック蓄電池あるいは組電池全体の充電後の無負荷電圧から算出される容量が、完全充電状態の無負荷電圧から算出される容量に対して80%以下にまで低下した場合。
【0036】(c)各ブロック蓄電池間の放電中のブロック電圧から算出される残存容量の差が最大20%以上になった場合。
【0037】(d)各ブロック蓄電池間の充電後の無負荷電圧から算出される残存容量の差が最大20%以上になった場合。
【0038】本試験の充電は、準定電圧方式の充電器を用いておこなった。本充電器は3相交流電源を入力電源にしているが、2.4V/セルの蓄電池電圧に至った時点で2相交流に移行し、充電電流を大きく低減させ、制御弁式鉛電池に適した充電器に改良したものである。
【0039】なお、本実施例での回復充電は通常の準定電圧充電時間をさらに4h延長するもので、定格容量に対しおよそ20%の充電量にあたるように設定している。
【0040】試験では、同じ内容の組電池で管理装置を搭載せず、充電量を約115%に設定したフォークリフトと、上記本発明の管理装置を搭載し、充電量を100%に設定したフォークリフトの2台を用いて走行試験をおこなった。
【0041】本実施例でのフォークリフト使用期間と共に変化する各ブロック蓄電池の0.1CA(C:定格容量、A:電流単位)放電での放電終期時の放電電圧値の推移を図2に示す。本発明の充・放電管理を行ったフォークリフトではあるブロック蓄電池の容量が僅か低下しているが、決して過放電にはなっていないことがわかる。一方、管理装置のないフォークリフトでは、早期に過放電になっているブロック蓄電池が出てきている。
【0042】組電池は、半年に1回、回復充電後に容量の確認を行っている。放電容量の推移を図3に示す。組電池全体の性能を見ても、やはり本発明のフォークリフトは3年経過後もほとんど容量低下がないが、管理装置のないフォークリフトは容量が低下している。
【0043】以上のように、本発明の正極格子にPb−Ca系合金を使用した制御弁式鉛蓄電池を搭載し、それらの充・放電状態を管理する管理装置を設置したフォークリフトは、長期にわたり非常に高い信頼性を有することが明らかになった。
【0044】
【発明の効果】正極格子にPb−Ca系合金を用いた制御弁式鉛蓄電池多セルを組み合わせた組電池を、いくつかのセルからなるブロック(ブロック蓄電池)毎の状態検知データに基づいて充・放電を制御する制御弁式鉛蓄電池群の充・放電制御方法において、蓄電池の残存容量に応じて走行中に警報信号および/又は蓄電池の負荷を軽減させるための出力低下の信号を車体に送り、過放電を防止し、さらに、通常は充電不足気味の充電を行い、過充電を防止し、ブロック蓄電池の充電状態を管理し、適時回復充電の指示を行うことにより、組電池の寿命性能の向上・安定化に非常に有効であり、その工業的効果は大である。
【出願人】 【識別番号】000004282
【氏名又は名称】日本電池株式会社
【住所又は居所】京都府京都市南区吉祥院西ノ庄猪之馬場町1番地
【出願日】 平成14年2月27日(2002.2.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−259501(P2003−259501A)
【公開日】 平成15年9月12日(2003.9.12)
【出願番号】 特願2002−52094(P2002−52094)