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【発明の名称】 車両の回生制御装置および自動車
【発明者】 【氏名】灘 光博
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【氏名】牟田 浩一郎
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】車両の走行状態や操作者の意図を反映した回生制御を行なう。

【解決手段】アクセル開度APが値0、即ちアクセルオフとなったときには(S102)、アクセルオフの直前に前回加速度として格納した加速度が大きいほど大きな回生トルクTm2*を設定して(S106)、モータMG2を回生制御する(S108)。このように回生トルクTm2*を設定することにより、同じ車速でもアクセルオフした直前の加速度が大きいほど大きな制動力を作用させること、即ち、低速度領域で急加速をしているときには大きな制動力を作用させ、高速巡航運転をしているときには小さな制動力を作用させることができる。この結果、車両の走行状態や運転者の意図に応じた制動力の制御、即ち回生制御を行なうことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の運動エネルギーの回生を制御する車両の回生制御装置であって、前記車両の運動エネルギーを回生可能な回生手段と、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、回生要求がなされたとき、該要求された直前に前記加速度検出手段により検出された加速度に基づいて前記回生手段を制御する回生制御手段と、を備える車両の回生制御装置。
【請求項2】 前記回生制御手段は、前記検出された加速度が大きいほど前記回生手段による回生量が大きくなる傾向に該回生手段を制御する手段である請求項1記載の車両の回生制御装置。
【請求項3】 請求項1または2記載の車両の回生制御装置であって、操作者の操作により前記車両の駆動力を指示する駆動力指示手段を備え、前記回生制御手段は、前記駆動力指示手段による駆動力の指示が負の駆動力になったときに前記回生要求がなされたとして制御する手段である車両の回生制御装置。
【請求項4】 請求項3記載の車両の回生制御装置であって、前記車両は自動車であり、前記駆動力指示手段は、アクセルペダルの踏み込みに基づいて駆動力を指示する手段である車両の回生制御装置。
【請求項5】 前記回生手段は、前記車両に駆動力を出力可能な手段である請求項1ないし4いずれか記載の車両の回生制御装置。
【請求項6】 請求項1ないし5いずれか記載の車両の回生制御装置であって、前記車両は、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と駆動輪に接続された駆動軸とに接続され該出力軸に出力された動力の少なくとも一部を該駆動軸に伝達すると共に電力と動力との変換を伴って該駆動軸に動力を入出力可能な動力伝達電力変換手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、要求動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記動力伝達電力変換手段と前記電動機とを制御する動力制御手段とを備え、前記回生手段は、前記電動機であり、前記回生制御手段は、前記動力制御手段の一部として機能する手段である車両の回生制御装置。
【請求項7】 前記動力伝達電力変換手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちの2軸に動力を入出力したときに該2軸に従属した動力を残余の軸から入出力する3軸式動力分配統合手段と、前記回転軸に接続された発電可能な発電電動機とを備える請求項6記載の車両の回生制御装置。
【請求項8】 動力入出力装置からの動力により走行する自動車であって、車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、アクセルオフを検出するアクセルオフ検出手段と、該アクセルオフ検出手段によりアクセルオフが検出されたとき、前記運転状態検出手段により検出されたアクセルオフの直前の運転状態に基づいて減速度を設定する減速度設定手段と、該設定された減速度により減速するよう前記動力入出力装置を駆動制御する駆動制御手段と、を備える自動車。
【請求項9】 請求項8記載の自動車であって、前記運転状態検出手段は、車両の加速度を運転状態の一つとして検出する手段であり、前記減速度設定手段は、前記アクセルオフの直前の車両の加速度に基づいて減速度を設定する手段である自動車。
【請求項10】 前記減速度設定手段は、前記アクセルオフの直前の車両の加速度が大きいほど大きくなる傾向で減速度を設定する手段である請求項9記載の自動車。
【請求項11】 前記動力入出力装置は、車軸に動力を入出力可能な電動機を備える請求項8ないし10いずれか記載の自動車。
【請求項12】 請求項8ないし10いずれか記載の自動車であって、前記動力出力装置は、内燃機関と、車軸に接続された駆動軸に動力の入出力が可能な駆動軸用電動機と、前記内燃機関の出力軸の動力を電気的エネルギに基づく動力の入出力を伴って前記駆動軸に伝達する動力伝達手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記設定された減速度に対応する動力が前記駆動軸に作用するよう前記内燃機関と前記駆動軸用電動機と前記動力伝達手段とを制御する手段である自動車。
【請求項13】 前記動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に応じた動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機とを備える手段である請求項12記載の自動車。
【請求項14】 前記動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1のロータと、前記駆動軸に接続され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第2のロータとを有し、該第1のロータと該第2のロータとの電磁気的な作用に基づいて前記電気的エネルギに基づく動力の入出力が可能な対ロータ電動機を備える手段である請求項12記載の自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の回生制御装置および自動車に関し、詳しくは、車両の運動エネルギーの回生を制御する車両の回生制御装置および動力入出力装置からの動力により走行する自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両の回生制御装置としては、通常のガソリンエンジンを搭載する自動車におけるエンジンブレーキと同様なフィーリングを得るよう回生制動力を調整する電気自動車が提案されている(例えば特開昭51−125819号公報など)。この装置では、エンジンブレーキがポンプ仕事とフリクショントルクとによりエンジン回転数が低い状態を除いてほぼ一定の制動力となることに着目し、電動機により駆動する電気自動車においても回生制動力がほぼ一定になるように制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した車両の回生制御装置では、ほぼ一定の回生制動力を作用させるから、車両の走行状態や操作者の意図を反映することができない。即ち、操作者がアクセルペダルを大きく踏み込んだ状態から大きな制動力を必要と感じてアクセルペダルから足を素早く離してブレーキペダルを踏み込む場合でも、アクセルペダルから足を離した時点では、ほぼ一定の制動力しか得られない。
【0004】本発明の車両の回生制御装置は、車両の走行状態を反映した回生制御を行なうことを目的の一つとする。また、本発明の車両の回生制御装置は、操作者の意図を反映した回生制御を行なうことを目的の一つとする。
【0005】本発明の自動車は、アクセルオフ時の減速度をより適切なものとすることを目的の一つとする。また、本発明の自動車は、運転フィーリングの向上を図ることを目的の一つとする。
【0006】なお、出願人は、上述の目的の少なくとも一部を達成する手法として減速直前の車速やアクセルペダルの戻し速度、路面勾配などにより回生制動力を制御するものを提案している(特願平7−181461号)。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の車両の回生制御装置および自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0008】本発明の車両の回生制御装置は、車両の運動エネルギーの回生を制御する車両の回生制御装置であって、前記車両の運動エネルギーを回生可能な回生手段と、前記車両の加速度を検出する加速度検出手段と、回生要求がなされたとき、該要求された直前に前記加速度検出手段により検出された加速度に基づいて前記回生手段を制御する回生制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0009】この本発明の車両の回生制御装置では、回生要求がなされた直前の車両の加速度に基づいて回生手段を制御する。車両の加速度は車両の走行状態の一つであるから、車両の走行状態に応じた回生制御を行なうことができるものとなる。また、車両の加速度は操作者による操作に基づくから、操作者の意図に応じた回生制御を行なうことができるものとなる。なお、運動エネルギーの回生には、電力としての回生が含まれる他、油圧畜圧などの利用可能な他の物理量への回生も含まれる。
【0010】こうした本発明の車両の回生制御装置において、前記回生制御手段は、前記検出された加速度が大きいほど前記回生手段による回生量が大きくなる傾向に該回生手段を制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、同じ車速では、回生要求がなされる直前の車両の加速度が大きいときには大きな制動力が作用し、加速度が小さいときには小さな制動力が作用するよう制御することができる。
【0011】また、本発明の車両の回生制御装置において、操作者の操作により前記車両の駆動力を指示する駆動力指示手段を備え、前記回生制御手段は、前記駆動力指示手段による駆動力の指示が負の駆動力になったときに前記回生要求がなされたとして制御する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の車両の回生制御装置において、前記車両は自動車であり、前記駆動力指示手段はアクセルペダルの踏み込みに基づいて駆動力を指示する手段であるものとすることもできる。こうすれば、アクセルペダルの踏み込みに基づいて回生制御を行なうことができる。
【0012】本発明の車両の回生制御装置において、前記回生手段は、前記車両に駆動力を出力可能な手段であるものとすることもできる。こうすれば、回生手段により車両を走行させることができる。こうした回生手段の一例としては電動発電機を挙げることができる。
【0013】本発明の車両の回生制御装置において、前記車両は、内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と駆動輪に接続された駆動軸とに接続され該出力軸に出力された動力の少なくとも一部を該駆動軸に伝達すると共に電力と動力との変換を伴って該駆動軸に動力を入出力可能な動力伝達電力変換手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、要求動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記動力伝達電力変換手段と前記電動機とを制御する動力制御手段とを備え、前記回生手段は前記電動機であり、前記回生制御手段は前記動力制御手段の一部として機能する手段であるものとすることもできる。この態様の本発明の車両の回生制御装置において、前記動力伝達電力変換手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちの2軸に動力を入出力したときに該2軸に従属した動力を残余の軸から入出力する3軸式動力分配統合手段と、前記回転軸に接続された発電可能な発電電動機とを備えるものとすることもできる。
【0014】本発明の自動車は、動力出力装置からの動力により走行する自動車であって、車両の運転状態を検出する運転状態検出手段と、アクセルオフを検出するアクセルオフ検出手段と、該アクセルオフ検出手段によりアクセルオフが検出されたとき、前記運転状態検出手段により検出されたアクセルオフの直前の運転状態に基づいて減速度を設定する減速度設定手段と、該設定された減速度により減速するよう前記動力出力装置を駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0015】この本発明の自動車では、アクセルオフが検出されたときにはアクセルオフの直前の運転状態に基づいて減速度を設定して動力出力装置を駆動制御するから、アクセルオフ時の減速度をより適切なものとすることができる。これは、加速状態でのアクセルオフ時に要求される減速度が巡航状態でのアクセルオフ時に要求される減速度と異なることに基づく。これにより、運転者に与える運転フィーリングを向上させることができる。
【0016】こうした本発明の自動車において、前記運転状態検出手段は車両の加速度を運転状態の一つとして検出する手段であり、前記減速度設定手段は前記アクセルオフの直前の車両の加速度に基づいて減速度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、アクセルオフの直前の加速度に基づいて減速度を設定することができる。この態様の本発明の自動車において、前記減速度設定手段は、前記アクセルオフの直前の車両の加速度が大きいほど大きくなる傾向で減速度を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、発進時のように比較的大きな加速度で走行しているときのアクセルオフ時における減速度を巡航時のように比較的小さな加速度で走行しているときのアクセルオフ時における減速度に比して大きくすることができ、運転者に与える運転フィーリングの向上を更に図ることができる。
【0017】また、本発明の自動車において、前記動力入出力装置は、車軸に動力を入出力可能な電動機を備えるものとすることもできる。こうすれば、電動機からの出力トルクを制御することによって設定された減速度により減速することができる。
【0018】さらに、本発明の自動車において、前記動力出力装置は、内燃機関と、車軸に接続された駆動軸に動力の入出力が可能な駆動軸用電動機と、前記内燃機関の出力軸の動力を電気的エネルギに基づく動力の入出力を伴って前記駆動軸に伝達する動力伝達手段と、を備え、前記駆動制御手段は、前記設定された減速度に対応する動力が前記駆動軸に作用するよう前記内燃機関と前記駆動軸用電動機と前記動力伝達手段とを制御する手段であるものとすることもできる。
【0019】この動力出力装置が内燃機関と駆動軸用電動機と動力伝達手段とを備える態様の本発明の自動車において、前記動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に応じた動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な回転軸用電動機とを備える手段であるものとすることもできる。
【0020】また、動力出力装置が内燃機関と駆動軸用電動機と動力伝達手段とを備える態様の本発明の自動車において、前記動力伝達手段は、前記内燃機関の出力軸に接続された第1のロータと、前記駆動軸に接続され該第1のロータに対して相対的に回転可能な第2のロータとを有し、該第1のロータと該第2のロータとの電磁気的な作用に基づいて前記電気的エネルギに基づく動力の入出力が可能な対ロータ電動機を備える手段であるものとすることもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、同じく動力分配統合機能30に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0022】エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0023】動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸34aを介してモータMG2がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、モータMG2から入出力された動力と共にリングギヤ軸34aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
【0024】モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0025】バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0026】ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号やシフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度AP,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,加速度センサ89からの車両の加速度αなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0027】こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Adrvと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
【0028】次に、実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に運転者によるアクセルペダル83の操作(いわゆるアクセルワーク)に伴って生じさせる回生時の制御について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される回生制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、20msec毎)に繰り返し実行される。
【0029】回生制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度APと加速度センサ89からの加速度αを読み込む処理を実行する(ステップS100)。続いて、読み込んだアクセル開度APが値0、即ちアクセルオフの状態であるか否かを判定する(ステップS102)。アクセル開度APが値0でないときには、運転者によりアクセルペダル83が踏み込まれている状態であると判断し、読み込んだ加速度αを前回加速度としてRAM76の所定アドレスに格納して(ステップS104)、本ルーチンを終了する。
【0030】一方、ステップS102でアクセル開度APが値0のとき、即ちアクセルオフの状態のときには、RAM76の所定アドレスに格納された前回加速度、即ちアクセルオフの直前の加速度αに基づいてこの加速度が大きいほど大きくなるようモータMG2の回生トルクTm2*を設定し(ステップS106)、設定した回生トルクT2*でモータMG2が駆動するようモータMG2の駆動制御を行なって(ステップS108)、本ルーチンを終了する。図3にアクセルオフの直前の加速度と回生トルクとの関係の一例を示す。このようにモータMG2の回生トルクTm2*を設定すると、同じ車速ではアクセルオフした直前の加速度αが大きいほど大きな回生量を設定することになり、車両に対して同じ車速でもアクセルオフした直前の加速度αが大きいほど大きな制動力を作用させることになる。即ち、低速度領域で急加速をしているときにアクセルオフすれば大きな制動力が作用し、高速巡航運転をしているときにアクセルオフすれば小さな制動力が作用することになる。したがって、ハイブリッド自動車20の走行状態に応じた回生量および制動力を得ることができると共に運転者の意図に応じた回生量および制動力を得ることができる。この結果、運転者の運転フィーリングを向上させることができる。なお、モータMG2の駆動制御処理は、ハイブリッド用電子制御ユニット70では設定した回生トルクTm2*をモータECU40に送信する処理となり、回生トルクTm2*を受信したモータECU40ではこの回生トルクTm2*をモータMG2のトルク指令としてインバータ42のスイッチング制御信号を送信する処理となる。
【0031】ここで、実施例のハイブリッド自動車20では、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される図示しないトルク制御ルーチンにより、アクセル開度APと車速Vとに基づいて駆動輪63a,63bに出力すべき出力を演算してエンジン22を運転制御すると共にモータMG1およびモータMG2を駆動制御している。実施例では、説明の容易のために回生制御についてだけ説明したが、この回生制御はトルク制御に含まれた状態で行なわれる。即ち、トルク制御ルーチンでは、アクセル開度APが値0、即ちアクセルオフの状態になると、上述した回生制御ルーチンによる処理の他に、エンジン22をアイドル回転数で運転するか運転停止するなどのエンジン運転制御と、こうしたエンジン22の運転を可能とすると共にエンジン22およびモータMG1側からリングギヤ軸34a側にトルクが出力されないようにモータMG1の駆動制御を行なっている。こうしたエンジン22の運転制御とモータMG1の駆動制御とを行なうことにより、モータMG2の回生制御が可能となる。
【0032】以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、アクセルオフ状態となる直前の車両の加速度αが大きいほど大きな回生トルクを設定してモータMG2を回生制御することにより、車両の走行状態に応じた回生量および制動力を得ることができると共に運転者の意図に応じた回生量および制動力を得ることができる。この結果、運転者の運転フィーリングを向上させることができる。
【0033】実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフする直前の加速度αに基づいてモータMG2の回生トルクTm2*を設定したが、アクセルオフする直前の加速度αに加えてアクセルオフする直前の車速Vやアクセルペダル83の戻し速度,路面勾配などを考慮してモータMG2の回生トルクTm2*を設定するものとしてもよい。
【0034】次に、本発明の第2実施例としてのハイブリッド自動車20Bについて説明する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bは、図1に例示して説明した第1実施例のハイブリッド自動車20と同一の構成をしている。したがって、重複記載を回避するため、第2実施例のハイブリッド自動車20Bの構成については、第1実施例のハイブリッド自動車20の構成に付した符号と同一の符号を用い、その説明は省略する。第2実施例のハイブリッド自動車20Bでは、図4に例示する要求トルク設定処理ルーチンが実行される。このルーチンは、所定時間毎(例えば、20msec毎)に繰り返し実行される。
【0035】要求トルク設定処理ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Adrvや車速センサ88からの車速V,加速度センサ89からの加速度α,減速度βなどの処理に必要なデータを読み込む処理を実行する(ステップS200)。ここで、減速度βは、このルーチンで加速度αに基づいて設定されるものであり、減速度βの読み込み処理は前回までに設定されRAM76の所定領域に書き込まれたその値を読み込む処理となる。なお、減速度βの設定処理については後述する。
【0036】こうしてデータを読み込むと、読み込んだアクセル開度Adrvが値0であるか否か、即ち運転者がアクセルオフしているか否かを判定する(ステップS210)。アクセル開度Adrvが値0ではないときには、読み込んだ加速度αに基づいて減速度βを設定すると共に(ステップS220)、アクセル開度Adrvと車速Vとに基づいて要求トルクT*を設定して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。減速度βの設定処理は、第2実施例では、加速度αと減速度βとの関係を定めて減速度設定マップとして予めROM74に記憶しておき、加速度αが与えられると記憶したマップから対応する減速度βを導出して設定するものとした。減速度設定マップの一例を図5に示す。図5の例では、加速度αが大きいほど大き久なる傾向で減速度βが設定されるようになる。このように減速度βを設定する理由については後述する。要求トルクT*の設定処理は、実施例では、アクセル開度Adrvと車速Vと要求トルクT*との関係を予め定めてアクセルオン時要求トルク設定マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Adrvと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクT*を導出して設定するものとした。図6にアクセルオン時要求トルク設定マップの一例を示す。なお、要求トルクT*が設定されると、実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される図示しないトルク制御ルーチンにより、運転モードを設定すると共に設定された運転モードで要求トルクT*に対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。以下でも、要求トルクT*が設定された後の処理については同様である。
【0037】一方、ステップS100でアクセル開度Adrvが値0のときには、減速度βに基づいて要求トルクT*を設定する(ステップS240)。要求トルクT*の設定処理は、第2実施例では、減速度βと要求トルクT*との関係を定めてアクセルオフ時要求トルク設定マップとして予めROM74に記憶しておき、加速度αが与えられるとマップから対応する減速度βを導出して設定するものとした。アクセルオフ時要求トルク設定マップの一例を図7に示す。図7の例では、読み込んだ減速度βに応じたトルクが駆動軸としてのリングギヤ軸32aに作用するよう要求トルクT*が設定される。このステップS140では、アクセルオフする直前に実行されたこのルーチンのステップS120で設定された減速度βを用いて要求トルクT*が設定されるから、アクセルオフ時の要求トルクT*は、アクセルオフの直前の車両の加速度αに応じたものとなる。例えば、発進時のように比較的大きな加速度αで走行しているときにアクセルオフすると、比較的大きな加速度αに基づいて設定された比較的大きな減速度βとなるように要求トルクT*が設定され、巡航しているときのように加速度αが値0や小さいときにアクセルオフすると、値0や小さな加速度αに基づいて設定された比較的小さな減速度βとなるように要求トルクT*が設定されるのである。こうして設定された要求トルクT*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが制御されるから、アクセルオフ時の車両の減速度はアクセルオフの直前の車両の加速度αに応じたものとなる。
【0038】以上説明した第2実施例のハイブリッド自動車20によれば、アクセルオフ時の車両の減速度βをアクセルオフの直前の車両の加速度αに応じたものにすることができる。したがって、車両の減速度を、発進時のように比較的大きな加速度αで走行しているときにアクセルオフしたときには比較的大きなものとし、巡航しているときのように加速度αが値0や小さいときにアクセルオフしたときには比較的小さなものとすることができる。この結果、運転フィーリングを向上させることができる。
【0039】第2実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時に用いる減速度βを加速度αに応じてリニアに設定するものとしたが、減速度βを加速度αに対してステップ上に複数段として設定するものとしてもよい。
【0040】また、第2実施例のハイブリッド自動車20では、アクセルオフ時に用いる減速度βをアクセルオフの直前に実行された要求トルク設定処理ルーチンで加速度αに基づいて設定するものとしたが、アクセルオフ時に用いる減速度をアクセルオフの直前に実行された要求トルク設定処理ルーチンで読み込んだ加速度を用いて設定するものとしてもよい。
【0041】第1実施例や第2実施例では、エンジン22と動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とを備えるハイブリッド自動車20を具体例として説明したが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に示すように、エンジン122と、エンジン122のクランクシャフト126に接続されたインナーロータ132と駆動輪159a,159bに結合された駆動軸152に取り付けられたアウターロータ134とを有しインナーロータ132とアウターロータ134との電磁的な作用により相対的に回転するモータ130と、駆動軸152に直接動力を出力可能なモータ140とを備えるハイブリッド自動車120に適用するものとしてもよい。
【0042】第1実施例や第2実施例では、各処理を、リングギヤ軸34aに動力を出力可能な動力源としてモータMG2の他に動力分配統合機構30を介して接続されたエンジン22やモータMG1を備えるハイブリッド自動車20に適用するものとして説明したが、動力分配統合機構30やモータMG1およびエンジン22を備えず、バッテリ50からの電力を用いてモータMG2から出力される動力により走行する電気自動車に適用するものとしてもよい。即ち、回生可能な電動機や発電機を備える自動車であれば、如何なる駆動方式の自動車にも適用することができる。また、自動車以外の車両、例えば列車などの車両に適用するものとしてもよい。さらに、回生可能な電動機や発電機により車両の運動エネルギーを電力として回生する場合に適用するだけでなく、油圧畜圧などの他の物理量として回生する場合に適用するものとしてもよい。
【0043】以上、第1実施例の回生制御と第2実施例の要求トルク設定処理とを分けて説明したが、第1実施例で説明した回生制御と第2実施例で説明した要求トルク設定処理とを同時に行なうものとしてもよい。
【0044】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年6月14日(2002.6.14)
【代理人】 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
【公開番号】 特開2003−250202(P2003−250202A)
【公開日】 平成15年9月5日(2003.9.5)
【出願番号】 特願2002−174777(P2002−174777)