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【発明の名称】 電池の満充電容量計測装置、計測方法、その計測装置を搭載した車両の制御装置および制御方法
【発明者】 【氏名】本野 誠
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】エコノミーランニングシステムを採用する車両に搭載された電池の満充電容量を正確に把握する。

【解決手段】ハイブリッドECU400は、交差点などで停止中にエンジン100を停止する車両に搭載された高圧バッテリ600の満充電容量を計測する。このハイブリッドECU400は、高圧バッテリ600の満充電容量を記憶するメモリと、エンジン100の再始動時に高圧バッテリ600の電圧を検知する回路と、計測された高圧バッテリの電圧が、エンジン100の再始動時に必要であるとして設定された電圧を下回ると、メモリに記憶された満充電容量を小さくするように修正するための回路を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の停止中に走行動力源を停止する車両に搭載された、充放電可能な電池の満充電容量を計測するための満充電容量計測装置であって、前記走行動力源の再始動に必要な電力を算出するための電力算出手段と、前記電池の満充電容量を記憶するための記憶手段と、前記走行動力源の再始動時に前記電池の電圧を計測するための電圧計測手段と、前記記憶手段と前記電圧計測手段とに接続され、前記走行動力源の停止中に、前記走行動力源の始動により前記電池の電力が消費された後に前記電力算出手段により算出された以上の電力を前記電池が有すると推定された後の再始動時に、前記計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、前記記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための処理手段とを含む、電池の満充電容量計測装置。
【請求項2】 前記処理手段は、前記計測された再始動時の電圧が、前記走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、前記記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための手段を含む、請求項1に記載の電池の満充電容量計測装置。
【請求項3】 前記処理手段は、前記記憶手段に記憶された満充電容量に1未満の係数を乗算するための手段を含む、請求項1または2に記載の電池の満充電容量計測装置。
【請求項4】 車両の停止中に走行動力源を停止する車両に搭載された、充放電可能な電池の満充電容量を計測するための満充電容量計測方法であって、前記走行動力源の再始動に必要な電力を算出する電力算出ステップと、前記電池の満充電容量を記憶する記憶ステップと、前記走行動力源の再始動時に前記電池の電圧を計測する電圧計測ステップと、前記走行動力源の停止中に、前記走行動力源の始動により前記電池の電力が消費された後に前記電力算出ステップにて算出された以上の電力を前記電池が有すると推定された後の再始動時に、前記計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、前記記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正する処理ステップとを含む、電池の満充電容量計測方法。
【請求項5】 前記処理ステップは、前記計測された再始動時の電圧が、前記走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、前記記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正するステップを含む、請求項4に記載の電池の満充電容量計測方法。
【請求項6】 前記処理ステップは、前記記憶ステップにて記憶した満充電容量に1未満の係数を乗算するステップを含む、請求項4または5に記載の電池の満充電容量計測方法。
【請求項7】 車両の停止中に走行動力源を停止する車両の制御装置であって、前記制御装置は、前記車両に搭載された、充放電可能な電池の満充電容量を計測するための満充電容量計測手段を含み、前記満充電容量計測手段は、前記走行動力源の再始動に必要な電力を算出するための電力算出手段と、前記電池の満充電容量を記憶するための記憶手段と、前記走行動力源の再始動時に前記電池の電圧を計測するための電圧計測手段と、前記記憶手段と前記電圧計測手段とに接続され、前記走行動力源の停止中に、前記走行動力源の始動により前記電池の電力が消費された後に前記電力算出手段により算出された以上の電力を前記電池が有すると推定された後の再始動時に、前記計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、前記記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための処理手段とを含み、前記制御装置はさらに、前記電池の開放電圧を計測するための開放電圧計測手段と、前記開放電圧計測手段に接続され、前記計測された開放電圧と前記記憶された満充電容量とに基づいて、前記電池の初期残存容量を算出するための初期残存容量算出手段と、前記走行動力源の再始動時に必要な残存容量と前記算出された初期残存容量とに基づいて、前記車両が停止してから再始動するまでに使用可能な容量を算出するための使用可能容量算出手段と、前記走行動力源の停止時の前記電池の放電容量を計測するための放電容量計測手段と、前記計測された放電容量が前記算出された使用可能な容量以下になると、前記走行動力源の再始動を指示するための指示手段とを含む、制御装置。
【請求項8】 車両の停止中に走行動力源を停止する車両の制御方法であって、前記制御方法は、前記車両に搭載された、充放電可能な電池の満充電容量を計測する満充電容量計測ステップを含み、前記満充電容量計測ステップは、前記走行動力源の再始動に必要な電力を算出する電力算出ステップと、前記電池の満充電容量を記憶する記憶ステップと、前記走行動力源の再始動時に前記電池の電圧を計測する電圧計測ステップと、前記走行動力源の停止中に、前記走行動力源の始動により前記電池の電力が消費された後に前記電力算出ステップにて算出された以上の電力を前記電池が有すると推定された後の再始動時に、前記計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、前記記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正する処理ステップとを含み、前記制御方法はさらに、前記電池の開放電圧を計測する開放電圧計測ステップと、前記計測された開放電圧と前記記憶された満充電容量とに基づいて、前記電池の初期残存容量を算出する初期残存容量算出ステップと、前記走行動力源の再始動時に必要な残存容量と前記算出された初期残存容量とに基づいて、前記車両が停止してから再始動するまでに使用可能な容量を算出する使用可能容量算出ステップと、前記車両の走行動力源の停止時の前記電池の放電容量を計測する放電容量計測ステップと、前記計測された放電容量が前記算出された使用可能な容量以下になると、前記走行動力源の再始動を指示する指示ステップとを含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池の劣化度を検出するとともに、検出した電池の劣化度を考慮した満充電容量を算出する装置および方法に関し、特にエコノミーランニングシステムを採用する車両に搭載される電池の満充電容量を算出する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地球温暖化の防止や省資源化の観点から、車両が赤信号で交差点等で停止するとエンジンを自動的に停止させて、再び走行を始めようとアクセルペダルを踏むと、エンジンが再始動するエコノミーランニングシステム(アイドリングストップシステム、エンジンオートマチックストップアンドスタートシステムとも呼ばれる。)が、バスなどの大型車を中心に採用されている。このシステムにおいては、車両の停止中における補機類(エアコンディショナ、ヘッドランプ、オーディオなど)への電力供給のために、リチウム電池などの2次電池を搭載する。車両の停止中は、この2次電池からこれらの補機類に電力を供給する。また、この2次電池の電力を用いて、エンジンを再始動させる。この再始動時に、2次電池の充電容量が規定値を下回っていると、必要な電気量を得ることができずエンジンを再始動させることができなくなる。そのため、エコノミーランニングシステムにおいては、車両に搭載した2次電池の充電容量を正確に把握する必要がある。さらに、この2次電池は、主として経時的な理由により、満充電容量が低下する。
【0003】特開平6−242193号公報は、このような2次電池の充電容量(残存容量)を正確に検出する残存検出計を開示する。この公報に開示された残存検出計は、電気自動車に搭載されたモータ駆動用の電池の残存容量を検出する。残存検出計は、車両の停止時の電池電圧に基づいて電池の開放電圧を検出する開放電圧検出回路と、検出した開放電圧より電池の残存容量を検出する停止時残存容量検出回路と、電池の放電電流の積算値に基づいて電池の放電電気容量を検出する放電電気容量検出回路と、停止時残存容量および放電電気容量に基づいて電池の満充電容量を算出する満充電容量算出回路と、算出された満充電容量と放電電気容量検出回路による検出値から電池の残存容量を算出する残存容量検出回路とを含む。
【0004】電池の電圧は、本来その電池の残存容量に依存するが、通常計測する電池電圧は、放電電流等の影響で変化してしまう。ところが、電気自動車においては、車両の停止時には、放電電流も回生制動による充電電流も存在しない。このため、電池の開放電圧を計測することができる。この公報に開示された残存検出計によると、車両停止時の電池電圧から開放電圧を求め、これから停止時残存容量を検出する。また、この残存検出計は、電池の放電電流量を積算する放電電気容量を検出する。この放電電気容量を満充電容量から減算することで残存容量を検出でき、残存容量を満充電容量で除算することにより、SOC(States Of Charge)を検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公報に開示された残存検出計では、電池の開放電圧を検出する電圧計の測定誤差および電池の放電電流を検出する電流計の測定誤差により、満充電容量を正確に算出できない。さらに、電池の内部抵抗の上昇に基づいて電池電圧が低下すると、満充電容量を正確に算出できない。
【0006】本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、エコノミーランニングシステムを採用する車両に搭載された電池の満充電容量を正確に把握することができる満充電容量算出装置および方法を提供することである。さらに、本発明は、電池の満充電容量計測装置を搭載した車両の制御装置および方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る満充電容量計測装置は、車両の停止中に走行動力源を停止する車両に搭載された電池の満充電容量を計測する。この満充電容量計測装置は、走行動力源の再始動に必要な電力を算出するための電力算出手段と、電池の満充電容量を記憶するための記憶手段と、走行動力源の再始動時に電池の電圧を計測するための電圧計測手段と、記憶手段と電圧計測手段とに接続され、走行動力源の停止中に、走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出手段により算出された以上の電力を電池が有すると推定された後の再始動時に、計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための処理手段とを含む。
【0008】第1の発明によると、記憶手段には、電池の満充電容量が記憶される。このような電池は繰返し充放電を行なうことにより、経時的に劣化し、満充電容量が低下する。車両の停止時に車両の補機類への電力が電池から供給される。走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出手段により算出された以上の電力を電池が有すると推定された後、エンジンなどの走行動力源が再始動される。このときの電池の電圧を計測し、予め定められた電圧を下回ると、満充電容量が小さくなるように修正される。これにより、エンジンの再始動時に、予め定められた電圧を得ることができないと、電池が劣化して満充電容量が低下したものと判断して、記憶された満充電容量を低下させる。その結果、エコノミーランニングシステムを採用した車両に搭載された電池の満充電容量を正確に把握することができる。
【0009】第2の発明に係る満充電容量計測装置は、第1の発明の構成に加えて、処理手段は、計測された再始動時の電圧が、走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための手段を含む。
【0010】第2の発明によると、処理手段は、エンジンなどの走行動力源の再始動に必要な電圧を下回ると、満充電容量を小さくする。エンジンなどの走行動力源が再始動できなくなることを回避できる。
【0011】第3の発明に係る満充電容量計測装置は、第1または2の発明の構成に加えて、処理手段は、記憶手段に記憶された満充電容量に1未満の係数を乗算するための手段を含む。
【0012】第3の発明によると、処理手段は、記憶された満充電容量に1未満の係数(たとえば、0.99)を乗算して、その結果を記憶手段に記憶する。それでも、走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、1未満の係数を乗算した結果に、さらに1未満の係数を乗算して、その結果を記憶手段に記憶する。
【0013】第4の発明に係る満充電容量計測方法は、車両の停止中に走行動力源を停止する車両に搭載された電池の満充電容量を計測する。この満充電容量計測方法は、走行動力源の再始動に必要な電力を算出する電力算出ステップと、電池の満充電容量を記憶する記憶ステップと、走行動力源の再始動時に電池の電圧を計測する電圧計測ステップと、走行動力源の停止中に、走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出ステップにて算出された以上の電力を電池が有すると推定された後の再始動時に、計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正する処理ステップとを含む。
【0014】第4の発明によると、記憶ステップにて、電池の満充電容量が記憶される。車両の停止時に車両の補機類への電力が電池から供給される。走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出ステップにて算出された以上の電力を電池が有すると推定された後、エンジンなどの走行動力源が再始動される。このときの電池の電圧を計測し、予め定められた電圧を下回ると、満充電容量が小さくなるように修正される。これにより、エンジンの再始動時に、予め定められた電圧を得ることができないと、電池が劣化して満充電容量が低下したものと判断して、記憶した満充電容量を低下させる。その結果、エコノミーランニングシステムを採用した車両に搭載された電池の満充電容量を正確に把握することができる。
【0015】第5の発明に係る満充電容量計測方法は、第4の発明の構成に加えて、処理ステップは、計測された再始動時の電圧が、走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正するステップを含む。
【0016】第5の発明によると、処理ステップは、エンジンなどの走行動力源の再始動に必要な電圧を下回ると、満充電容量を小さくする。エンジンなどの走行動力源が再始動できなくなることを回避できる。
【0017】第6の発明に係る満充電容量計測方法は、第4または5の発明の構成に加えて、処理ステップは、記憶ステップにて記憶した満充電容量に1未満の係数を乗算するステップを含む。
【0018】第6の発明によると、処理ステップは、記憶された満充電容量に1未満の係数(たとえば、0.99)を乗算して、その結果を記憶する。それでも、走行動力源の再始動時に必要な電圧を下回ると、1未満の係数を乗算した結果に、さらに1未満の係数を乗算して、その結果を記憶する。
【0019】第7の発明に係る制御装置は、車両の停止中に走行動力源を停止する車両を制御する。この制御装置は、車両に搭載された電池の満充電容量を計測するための満充電容量計測手段を含む。この満充電容量計測手段は、走行動力源の再始動に必要な電力を算出するための電力算出手段と、電池の満充電容量を記憶するための記憶手段と、走行動力源の再始動時に電池の電圧を計測するための電圧計測手段と、記憶手段と電圧計測手段とに接続され、走行動力源の停止中に、走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出手段により算出された以上の電力を電池が有すると推定された後の再始動時に、計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、記憶手段に記憶された満充電容量が小さくなるように修正するための処理手段とを含む。制御装置はさらに、電池の開放電圧を計測するための開放電圧計測手段と、開放電圧計測手段に接続され、計測された開放電圧と記憶された満充電容量とに基づいて、電池の初期残存容量を算出するための初期残存容量算出手段と、走行動力源の再始動時に必要な残存容量と算出された初期残存容量とに基づいて、車両が停止してから再始動するまでに使用可能な容量を算出するための使用可能容量算出手段と、走行動力源の停止時の電池の放電容量を計測するための放電容量計測手段と、計測された放電容量が算出された使用可能な容量以下になると、走行動力源の再始動を指示するための指示手段とを含む。
【0020】第7の発明によると、満充電容量計測手段により、エンジンなどの走行動力源の再始動時に計測された電池電圧に基づいて、電池の満充電容量が修正されて、経時的な劣化を考慮した正確な満充電容量が記憶される。制御装置は、エンジン停止前の、初期の残存容量を、開放電圧から算出したSOCに、劣化を考慮した満充電容量を乗算することにより算出する。初期の残存容量からエンジンの再始動に必要な残存容量を減算して、エンジンの停止中に使用できる容量を算出する。制御装置は、エンジンの停止中の電池の放電容量を計測し、その放電容量が使用可能容量以下になると、エンジンの始動ができなくなることを防止すべく、指示手段がエンジンの始動を指示する。これにより、経時的な劣化を考慮して算出された正確な満充電容量に基づいて、エンジンの停止中に使用可能な容量が算出できる。その結果、エンジンの再始動ができなくなることがない車両の制御装置を提供することができる。
【0021】第8の発明に係る制御方法は、車両の停止中に走行動力源を停止する車両を制御する。この制御方法は、車両に搭載された電池の満充電容量を計測する満充電容量計測ステップを含む。満充電容量計測ステップは、走行動力源の再始動に必要な電力を算出する電力算出ステップと、電池の満充電容量を記憶する記憶ステップと、走行動力源の再始動時に電池の電圧を計測する電圧計測ステップと、走行動力源の停止中に、走行動力源の始動により電池の電力が消費された後に電力算出ステップにて算出された以上の電力を電池が有すると推定された後の再始動時に、計測された再始動時の電圧が予め定められた電圧を下回ると、記憶ステップにて記憶した満充電容量が小さくなるように修正する処理ステップとを含む。制御方法はさらに、電池の開放電圧を計測する開放電圧計測ステップと、計測された開放電圧と記憶された満充電容量とに基づいて、電池の初期残存容量を算出する初期残存容量算出ステップと、走行動力源の再始動時に必要な残存容量と算出された初期残存容量とに基づいて、車両が停止してから再始動するまでに使用可能な容量を算出する使用可能容量算出ステップと、車両の走行動力源の停止時の電池の放電容量を計測する放電容量計測ステップと、計測された放電容量が算出された使用可能な容量以下になると、走行動力源の再始動を指示する指示ステップとを含む。
【0022】第8の発明によると、満充電容量計測ステップにより、エンジンなどの走行動力源の再始動時に計測された電池電圧に基づいて、電池の満充電容量が修正されて、経時的な劣化を考慮した正確な満充電容量が記憶される。制御方法は、エンジン停止前の、初期の残存容量を、開放電圧から算出したSOCに、劣化を考慮した満充電容量を乗算することにより算出する。初期の残存容量からエンジンの再始動に必要な残存容量を減算して、エンジンの停止中に使用できる容量を算出する。制御方法は、エンジンの停止中の電池の放電容量を計測し、その放電容量が使用可能容量以下になると、エンジンの始動ができなくなることを防止すべく、指示ステップにてエンジンの始動を指示する。これにより、経時的な劣化を考慮して算出された正確な満充電容量に基づいて、エンジンの停止中に使用可能な容量が算出できる。その結果、エンジンの再始動ができなくなることがない車両の制御方法を提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0024】図1を参照して、本実施の形態に係るハイブリッドECU(Electronic Control Unit)を搭載した車両の制御ブロック図を示す。図1に示すように、この車両は、エンジン100と、エンジン100に接続されたモータジェネレータ200と、モータジェネレータ200に接続されたインバータ300とそれらを制御するハイブリッドECU400と、高圧バッテリ600と、エンジン100、モータジェネレータ200およびインバータ300により電力が供給されるか、または、高圧バッテリ600により電力が供給される負荷500とを含む。
【0025】負荷500とインバータ300との間には、DC/DCコンバータ510と、12Vバッテリ610とが接続される。12Vバッテリ610には、DC/DCコンバータ510を介して、高圧バッテリ600から電力が供給される。エンジン100は、エンジン100に接続されたエンジンECU410により制御される。エンジンECU410は、ハイブリッドECU400に接続される。エンジンECU410は、ハイブリッドECU400からの制御信号などに基づいて、エンジン100を制御する。
【0026】モータジェネレータ200は、エンジン100を再起動させる場合に、クランキング動作を行なう。また、エンジン100が回転中の場合には、モータジェネレータ200は、発電機として機能し、発電された電力をインバータ300を介して負荷500および高圧バッテリ600に供給する。インバータ300は、ハイブリッドECU400と制御信号ライン800により接続され、ハイブリッドECU400によりその動作が制御される。インバータ300は、モータジェネレータ200、負荷500および高圧バッテリ600と、電力供給ライン700を介して接続される。負荷500は、補機関係といわれる電装装置であって、車両のエアコン、ヘッドライトおよびオーディオなどである。高圧バッテリ600は、電圧信号ライン900および電流信号ライン902により、ハイブリッドECU400に接続される。
【0027】図1に示す制御ブロックを有する車両は、ハイブリッドECU400により、エコノミーランニングシステムを実現する。このエコノミーランニングシステムは、車両が赤信号などにより交差点で停止すると、エンジン100の回転を止める。ハイブリッドECU400にアクセルペダルが踏まれたなどの信号が入力されると、インバータ300を介してモータジェネレータ200を駆動して、エンジン100のクランキング動作が行なわれる。エンジン100は再始動し、駆動系に駆動力が伝達され車両が走行する。
【0028】車両の停止中であって、エンジン100が停止中である場合には、負荷500には高圧バッテリ600から電力が供給される。このとき、ハイブリッドECU400は、高圧バッテリ600の電流を電流信号ライン902により検知し、それを時間積分することにより、放電容量を算出する。ハイブリッドECU400は、その放電容量が予め定められた値になる前に、エンジン100の再始動をインバータ300に指示する。また、ハイブリッドECU400は、そのエンジン100の再始動時の高圧バッテリ600の電圧を、電圧信号ライン900を介して検知する。
【0029】ハイブリッドECU400は、検知した高圧バッテリ600の電圧に基づいて、満充電容量に対する補正値δを参照し、そのδに基づいて満充電容量を算出する。また、ハイブリッドECU400は、内部にメモリを有し、そのメモリには、高圧バッテリ600の満充電容量を含む各種のデータが記憶される。
【0030】図2を参照して、本実施の形態に係るハイブリッドECU400で実行されるプログラムは、以下のような制御構造を有する。
【0031】ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、ハイブリッドECU400は、イグニッションキーがオンされたか否かを判断する。この判断は、メインコンピュータからハイブリッドECU400に入力される制御信号に基づいて行なわれる。イグニッションキーがオフ状態からオン状態になると(S100にてYES)、処理はS102へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100へ戻され、イグニッションキーがオンされるまで待つ。
【0032】S102にて、ハイブリッドECU400は、無負荷状態の高圧バッテリ600のOCV(Open Current Voltage)を検知する。このとき、高圧バッテリ600とハイブリッドECU400とを接続する電圧信号ライン900を介して、高圧バッテリ600からハイブリッドECU400が受信した電圧信号に基づいて、高圧バッテリ600のOCVが検知される。
【0033】S104にて、ハイブリッドECU400は、検知したOCVに基づいて、初期SOC値を算出する。S106にて、ハイブリッドECU400は、エコラン再始動用に設定されたSOC下限値をメモリから読出す。S108にて、ハイブリッドECU400は、エコラン再始動時の高圧バッテリ600の電圧しきい値をメモリから読出す。
【0034】S110にて、ハイブリッドECU400は、満充電容量CAPをメモリから読出す。このとき読出されるCAPは、高圧バッテリ600が初期状態である場合、CAP=CAP(0)、高圧バッテリ600が使用されている場合、CAP=δ×CAP(0)である。δについては後述する。
【0035】S112にて、ハイブリッドECU400は、エコラン使用制限値Yを算出する。このとき、エコラン使用制限値Yは、Y=CAP×(初期SOC値−SOC下限値)により算出される。
【0036】図3を参照して、S114にて、ハイブリッドECU400は、エコラン条件を満足しているか否かを判断する。この判断は、ハイブリッドECU400に入力される各種の状態信号に基づいて行われる。たとえば、アクセルペダルが踏まれておらず、かつパーキングブレーキが作動しているなどであるか否かにより判断する。エコラン条件が満足されていると(S114にてYES)、処理はS116へ移される。もしそうでないと(S114にてNO)、処理はS100へ戻される。
【0037】S116にて、ハイブリッドECU400は、エコラン動作を開始する。すなわち、エンジン100の回転を停止し、高圧バッテリ600から負荷500への電力の供給を開始する。S118にて、ハイブリッドECU400は、高圧バッテリ600の放電容量Xを算出する。このとき、ハイブリッドECU400は、電力信号ライン902を介して高圧バッテリ600から受信した電流値を時間積分することにより、放電容量Xを算出する。
【0038】S120にて、ハイブリッドECU400は、放電容量Xがエコラン使用制限値Yよりも大きいか否かを判断する。放電容量Xがエコラン使用制限値Yよりも大きい場合には(S120にてYES)、処理はS122へ移される。もしそうでないと(120にてNO)、処理はS114へ移される。
【0039】S122にて、ハイブリッドECU400は、エコラン再始動を行なう。このとき、ハイブリッドECU400は、インバータ300に対して、インバータ300に高圧バッテリ600から供給される電力を用いて、モータジェネレータ200を回転させ、エンジン100のクランキング動作を行なうように指示する。
【0040】S124にて、ハイブリッドECU400は、高圧バッテリ600の電圧値を検知する。このとき、ハイブリッドECU400は、電圧信号ライン900を介して、高圧バッテリ600からハイブリッドECU400が受信した電圧信号に基づいて、電圧値が検知される。
【0041】S126にて、ハイブリッドECU400は、検知した電圧値が電圧しきい値よりも小さいか否かを判断する。検知した電圧値が電圧しきい値よりも小さい場合には(S126にてYES)、処理はS128へ移される。もしそうでないと(S126にてNO)、処理は図2のS110へ戻される。
【0042】S128にて、ハイブリッドECU400は、δ=δ×0.99の演算を行なう。S130にて、ハイブリッドECU400は、CAP=δ×CAP(0)の演算を行なう。S132にて、ハイブリッドECU400は、算出したCAPをメモリに格納する。その後、処理は図2のS110へ戻される。
【0043】以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係るハイブリッドECU400を搭載した車両の動作について説明する。
【0044】この車両の運転者がイグニッションキーをオンにすると(S100にてYES)、無負荷状態の高圧バッテリ600のOCVが検知される(S102)。検知したOCVに基づいて、初期SOC値が算出される(S104)。エコラン再始動用に設定されたSOC下限値がメモリから読出され(S106)、エコラン再始動時の高圧バッテリ600の電圧しきい値がメモリから読出される(S108)。
【0045】満充電容量CAPがメモリから読出される(S110)。このとき、高圧バッテリ600の使用状態が初期状態である場合には、CAP=CAP(0)と、高圧バッテリ600の使用状態が初期状態でない場合には、CAP=δ×CAP(0)となっている。
【0046】エコラン使用制限値Yが、Y=CAP×(初期SOC値−SOC下限値)として算出される。このエコラン使用制限値Yは、エコノミーランニングシステムにおいて車両が停止中に、エンジン100を停止させた状態で、高圧バッテリ600から放電できる制限容量である。
【0047】車両の運転中に、車両が赤信号で交差点などに停止するとエコラン条件が満足される(S114にてYES)。エコラン動作が開始され、エンジン100の回転が停止し、高圧バッテリ600から負荷500へ電力の供給が開始される(S116)。高圧バッテリ600の放電容量Xが算出される。このとき、高圧バッテリ600の電流値を時間積分することにより、放電容量Xが算出される(S118)。
【0048】高圧バッテリ600の放電容量Xがエコラン使用制限値Yを下回っていると(S120にてNO)、さらにエコラン条件を満足しているか否かが判断される(S114)。このとき、交差点の信号が青信号となり、運転者がアクセルペダルを踏むとエコラン条件が満足されなくなる(S114にてNO)、このときには、エコラン再始動される(S122)。
【0049】交差点の信号が赤信号の状態で、高圧バッテリ600の放電が続いて、高圧バッテリ600の放電容量Xがエコラン使用制限値Yを上回ると(S120にてYES)、この場合にも、エコラン再始動が行なわれる(S122)。エコラン再始動時には、高圧バッテリ600の電圧値が検知され(S124)、検知した電圧値が電圧しきい値よりも小さいか否かが判断される(S126)。検知した電圧値が電圧しきい値よりも小さいと(S126にてYES)、係数δが、δ=δ×0.99と演算される(S128)。さらに、CAP=δ×CAP(0)と演算され(S130)、算出されたCAPがメモリに格納される(S132)。
【0050】その後、処理はS110へ戻され、新たに算出された満充電容量CAPに基づいて、エコラン使用制限値Yが算出される(S112)。
【0051】図4に、初期状態の高圧バッテリ600のSOC曲線を示す。図4に示すように、CAP(0)=10Ah、δ=1.00、SOC下限値=30%であり、OCVより算出される初期SOC値は75%であると想定する。ハイブリッドECU400がメモリから読み出すCAPは10Ahであり、エコラン使用制限値Yは、CAP×(初期SOC値−SOC下限値)によりY=10×(0.75−0.30)=4.5Ahになる。エンジン100の停止中に高圧バッテリ600が放電されて、その放電容量が4.5Ahを上回ると(S120にてYES)、エンジン100がエコラン再始動される(S122)。このとき、検知される電圧値は、電圧しきい値を上回る。
【0052】図5に、継続的に使用されて劣化した状態の高圧バッテリ600のSOC曲線を示す。ただし、図5においては、満充電容量を修正していない。図5に示すように、CAP(0)=10Ah、δ=1.00として、CAP=10Ahであると算出されるが、実際には、満充電容量は9Ahしかないものと想定する。また、図4と同様、SOC下限値=30%であり、OCVより算出される初期SOC値は75%であると想定する。ハイブリッドECU400がメモリから読み出すCAPは10Ahであり、エコラン使用制限値Yは、CAP×(初期SOC値−SOC下限値)によりY=10×(0.75−0.30)=4.5Ahになる。エンジン100の停止中に高圧バッテリ600が放電されて、その放電容量が4.5Ahを上回ると(S120にてYES)、エンジン100がエコラン再始動される(S122)。このとき、すでに、高圧バッテリ600の残容量は、2.25Ahであり、検知される電圧値は、電圧しきい値を下回る。
【0053】図6に、継続的に使用されて劣化した状態の高圧バッテリ600のSOC曲線を示す。図6においては、満充電容量が修正されている。図6に示すように、CAP(0)=10Ah、δ=0.9として、CAP=9Ahであると算出され、実際、満充電容量は9Ahしかないものと想定する。また、図4と同様、SOC下限値=30%であり、OCVより算出される初期SOC値は75%であると想定する。ハイブリッドECU400がメモリから読み出すCAPは9Ahであり、エコラン使用制限値Yは、CAP×(初期SOC値−SOC下限値)によりY=9×(0.75−0.30)=4.05Ahになる。エンジン100の停止中に高圧バッテリ600が放電されて、その放電量が4.05Ahを上回ると(S120にてYES)、エンジン100がエコラン再始動される(S122)。このとき、高圧バッテリ600の残容量は、2.7Ahであり、検知される電圧値は、電圧しきい値を上回る。
【0054】以上のようにして、本実施の形態に係るECUにて実現される満充電容量計測装置によると、エコノミーランニングシステムにおいてエンジンの再始動時に、電池の電圧を計測する。計測された電池の電圧が予め定められた電圧を下回ると、メモリに記憶された満充電容量を小さくするように修正する。これにより、エコノミーランニングシステムを採用する車両に搭載された電池の満充電容量を正確に把握することができる。
【0055】なお、上述した図3のS120における処理においては、放電容量Xがエコラン使用制限値Y以上であるか否かを判断するものであってもよい。さらにS126における処理においては、検知された電圧値が電圧しきい値以下であるか否かを判断するものであってもよい。さらに、S128における処理において、算出されるδは、δ=δ×0.99に限定されるものではなく、他の定数値を乗算するものであっても、他の定数値を減算するものなどであってもよい。
【0056】今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年2月15日(2002.2.15)
【代理人】 【識別番号】100064746
【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外5名)
【公開番号】 特開2003−244805(P2003−244805A)
【公開日】 平成15年8月29日(2003.8.29)
【出願番号】 特願2002−38250(P2002−38250)