| 【発明の名称】 |
車両のアイドルストップ制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】安藤 誠二 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】永山 和俊 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】後藤 泰尚 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】アイドルストップ時に補機駆動用モータの回転速度が変動するのを低減する。
【解決手段】少なくともエンジンENGから走行駆動力を得る状態を有する車両に搭載されるアイドルストップ制御装置において、補機駆動用モータMG3と、エンジンENG動作中はエンジンENGによって駆動され、エンジンENGがアイドルストップした時には補機駆動用モータMG3によって駆動されるエアコンコンプレッサーCMPと、補機駆動用モータMG3の駆動状態が安定したか否かを判定する判定装置M/C3とを備え、エンジンENGがアイドルストップした時にはエアコンコンプレッサーCMPの駆動を停止し、補機駆動用モータMG3の駆動状態が安定したと判定すると、徐々にエアコンコンプレッサーCMPの駆動を停止前の駆動状態に復帰させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくともエンジンから走行駆動力を得る状態を有する車両に搭載されるアイドルストップ制御装置において、補機駆動用モータと、前記エンジン動作中は前記エンジンによって駆動され、前記エンジンがアイドルストップした時は前記補機駆動用モータによって駆動される補機と、前記補機駆動用モータの駆動状態が安定したか否かを判定する判定装置と、前記エンジンがアイドルストップした時に前記補機の負荷を低減し、前記判定装置により前記補機駆動用モータの駆動状態が安定したと判定されると、前記補機の負荷を低減させる前の状態に徐々に復帰させる制御装置とを備えることを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。 【請求項2】請求項1に記載の車両のアイドルストップ制御装置において、前記制御装置は、前記エンジンがアイドルストップした時に前記補機を停止させることを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。 【請求項3】請求項1または2に記載の車両のアイドルストップ制御装置において、前記補機の負荷を低減させる前の状態に徐々に復帰させる時間は、前記アイドルストップ時に前記補機駆動用モータを駆動させている時の応答時定数よりも小さいことを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の車両のアイドルストップ制御装置において、前記補機駆動用モータの回転速度を検出する回転速度センサをさらに備え、前記判定装置は、前記回転速度センサによって検出された回転速度に基づいて、前記補機駆動用モータの駆動状態が安定したか否かを判定することを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。 【請求項5】請求項2〜4のいずれかに記載の車両のアイドルストップ制御装置において、前記制御装置は、前記補機が停止するまでは前記エンジンの作動を継続させ、前記補機が停止した後に前記エンジンを停止させることを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。 【請求項6】請求項2〜5のいずれかに記載の車両のアイドルストップ制御装置において、前記アイドルストップ時に駆動を停止させる補機は、エアコンコンプレッサーであることを特徴とする車両のアイドルストップ制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両のアイドルストップ制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】信号待ちなどで一時停車するときに、エンジンを停止する車両のアイドルストップ制御装置が知られている(例えば特開平11−187502号公報参照)。この装置では、走行時はエンジンの駆動力により補機を駆動し、アイドルストップ時は、エンジンと連結した補機駆動用モータを回転駆動させることにより補機を駆動している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の車両のアイドルストップ制御装置では、エンジンをアイドルストップする時に、補機を駆動するための駆動源をエンジンから補機駆動用モータへと切り換えるため、切り換えの際に補機駆動用モータの回転数が変動し、乗員に違和感を与えていた。この理由について説明する。 【0004】補機駆動用モータは、構成および制御を簡略化するために、一定回転数で駆動するように制御している。この場合、アイドルストップ時の補機の駆動状態が高負荷・低負荷のいずれの場合でも、補機駆動用モータが一定の回転数となるような指令値が初期値として補機駆動用モータに入力され、この指令値と実際のモータの回転数とが一致するように回転数制御が行われている。しかし、補機が高負荷の場合には、指令値と実際のモータの回転数との差異により生ずる回転数の変動をすばやく吸収することができず、乗員に違和感を与えていた。 【0005】上述した問題を防ぐために、補機が高負荷の状態でも回転数の変動を吸収できるような大容量のモータを採用することが考えられるが、消費電力が大きくなるという問題がある。 【0006】本発明の目的は、大容量のモータを使用することなく、アイドルストップ時における補機駆動用モータの安定性を向上させる車両のアイドルストップ制御装置を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図1を参照して本発明を説明する。 (1)請求項1の発明は、少なくともエンジンENGから走行駆動力を得る状態を有する車両に搭載されるアイドルストップ制御装置において、補機駆動用モータMG3と、エンジン動作中はエンジンENGによって駆動され、エンジンENGがアイドルストップした時は補機駆動用モータMG3によって駆動される補機P/S、CMP、ATPと、補機駆動用モータMG3の駆動状態が安定したか否かを判定する判定装置M/C3と、エンジンENGがアイドルストップした時に補機P/S、CMP、ATPの負荷を低減し、判定装置M/C3により補機駆動用モータMG3の駆動状態が安定したと判定されると、補機P/S、CMP、ATPの負荷を低減させる前の駆動状態に徐々に復帰させる制御装置A/C,M/C3,ECU,HCMとを備えることにより、上記目的を達成する。 (2)請求項2の発明は、請求項1の車両のアイドルストップ制御装置において、制御装置A/C,M/C3,ECU,HCMは、エンジンENGがアイドルストップした時に補機P/S、CMP、ATPを停止させることを特徴とする。 (3)請求項3の発明は、請求項1または2の車両のアイドルストップ制御装置において、補機P/S、CMP、ATPの負荷を低減させる前の状態に徐々に復帰させる時間は、アイドルストップ時に補機駆動用モータMG3を駆動させている時の応答時定数よりも小さいことを特徴とする。 (4)請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの車両のアイドルストップ制御装置において、補機駆動用モータMG3の回転速度を検出する回転速度センサPSをさらに備え、判定装置M/C3は、回転速度センサPSによって検出された回転速度に基づいて、補機駆動用モータMG3の駆動状態が安定したか否かを判定することを特徴とする。 (5)請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれかの車両のアイドルストップ制御装置において、制御装置A/C,M/C3,ECU,HCMは、補機P/S、CMP、ATPが停止するまではエンジンENGの作動を継続させ、補機P/S、CMP、ATPが停止した後にエンジンENGを停止させることを特徴とする。 (6)請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれかの車両のアイドルストップ制御装置において、アイドルストップ時に駆動を停止させる補機P/S、CMP、ATPは、エアコンコンプレッサーCMPであることを特徴とする。 【0008】なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図1と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。 【0009】 【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏する。 (1)請求項1〜6の発明によれば、アイドルストップ直後に補機駆動用モータに補機の駆動負荷が急激にかかるのを防ぐことができ、補機駆動用モータの回転速度が変動するのを低減することができる。 (2)請求項2の発明によれば、エンジンがアイドルストップした時に補機の駆動を停止させるので、さらに補機駆動用モータの回転速度の変動を低減することができる。 (3)請求項3の発明によれば、徐々に補機の駆動を復帰させる時の補機駆動用モータへの影響を抑制することができる。 (4)請求項4の発明によれば、補機駆動用モータの駆動状態が安定したか否かを確実に判定することができるので、補機駆動用モータの回転速度の変動を確実に低減することができる。 (5)請求項5の発明によれば、補機の停止に伴う補機駆動用モータへの影響をエンジンにて吸収することができ、さらに補機駆動用モータの回転速度の変動を低減することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】図1は、本発明によるアイドルストップ制御装置を適用した一実施の形態のハイブリッド車両の主要部の構成を示す。一実施の形態のハイブリッド車両は、エンジンENGとモータジェネレータMG1とを備え、エンジンENGとモータジェネレータMG1の両方またはいずれか一方の駆動力により走行する。なお、ハイブリッド車両の構成はこの一実施の形態の構成に限定されず、エンジンとモーターの両方またはいずれか一方の駆動力により走行するハイブリッド車両であればどのような構成のものでも本発明を適用することができる。また、本実施の形態では、ハイブリッド車両にアイドルストップ制御装置を適用したものとして説明するが、モータを備えずエンジンの駆動力のみで走行し、信号待ちなどでエンジンがアイドルストップを行う車両にも適用することができる。 【0011】一般に、電動機(モータ)は、電力を駆動力に変換して力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。また、発電機(ジェネレータ)は、駆動力を電力に変換して発電運転(回生運転と同等)するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。つまり、電動機(モータ)と発電機(ジェネレータ)とは基本的に同一構造であり、どちらも駆動(力行)と発電(回生)とが可能である。したがって、本明細書では、電気エネルギー(電力)を回転エネルギー(駆動力)に変換する電動機(モータ)の機能と、回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機(ジェネレータ)の機能を合わせ持つ回転電機を、モータジェネレータまたは単にモータと呼ぶ。一方、内燃機関はガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料を燃やしたときに発生する燃焼エネルギーを回転エネルギー(駆動力)に変換するものであり、この明細書ではこれらの内燃機関をエンジンと総称する。 【0012】エンジンENGの出力軸はモータジェネレータMG1の出力軸と連結されており、さらにモータジェネレータMG1の出力軸は自動変速機T/Mの入力軸と連結されている。自動変速機T/Mの出力軸は、減速機(不図示)および駆動軸(不図示)を介して駆動輪DWに連結されており、エンジンENGとモータジェネレータMG1の駆動力が駆動輪DWに伝達される。 【0013】エンジンENGの出力軸はまた、プーリー&ベルト動力伝達機構P/B1とワンウェイクラッチCLを介してモータジェネレータMG3の出力軸と連結される。さらに、モータジェネレータMG3の出力軸は、プーリー&ベルト動力伝達機構P/B2を介して補機と連結される。本実施の形態では、補機として、パワーステアリングP/S、エアコン(空調装置)A/CのコンプレッサーCMPおよび自動変速機オイルポンプATPを例に上げて説明するが、これらに限定されることはない。ワンウェイクラッチCLは、一方向のみに駆動力を伝達するクラッチであり、本実施の形態では、エンジンENGとモータジェネレータMG1からモータジェネレータMG3と補機P/S、CMP、ATPへ駆動力を伝達する。 【0014】エンジンENGの駆動時には、エンジンENGの駆動力がプーリー&ベルト動力伝達機構P/B1とワンウェイクラッチCLを介してモータジェネレータMG3へ伝達され、モータジェネレータMG3がエンジンENGの回転に連れ回るとともに、エンジンENGの駆動力により補機P/S、CMP、ATPが駆動される。 【0015】一方、信号待ちなどでエンジンENGがアイドルストップすると、モータジェネレータMG3により補機P/S、CMP、ATPが駆動される。このとき、モータジェネレータMG3の駆動力は、ワンウェイクラッチCLの作用によりエンジンENGおよびモータジェネレータMG1には伝達されない。 【0016】車両コントローラHCMは、エンジンENGの始動指令、停止指令およびトルク指令値Te*をエンジンコントローラECUへ出力し、エンジンENGを制御する。車両コントローラHCMはまた、モータジェネレータMG1の駆動(力行)指令および回生制動(発電制動)指令と、回転速度指令またはトルク指令をモータコントローラM/C1へ出力し、モータジェネレータMG1を制御する。車両コントローラHCMはさらに、モータジェネレータMG3の駆動(力行)指令および発電指令と、回転速度指令をモータコントローラM/C3へ出力し、モータジェネレータMG3を制御する。車両コントローラHCMは、エアコンコンプレッサーCMPの作動/停止制御を行うために、エアコンコンプレッサーCMPの制御指令をエアコンコントローラA/Cへ出力する。 【0017】エンジンコントローラECUは、エンジンENGの始動および停止制御を行うと共に、エンジントルクがトルク指令値Te*に一致するように不図示のスロットルバルブ開閉装置、燃料噴射装置および点火時期制御装置を制御する。 【0018】インバータINV1は、バッテリBattの直流電力を3相交流電力に変換してモータジェネレータMG1へ供給し、モータジェネレータMG1を駆動(力行)運転するとともに、モータジェネレータMG1が回生(発電)運転することにより発電する3相交流電力を直流電力に逆変換してバッテリBattへ供給する。モータコントローラM/C1は、車両コントローラHCMからの駆動(力行)指令および回生制動(発電制動)指令と、回転速度指令またはトルク指令に基づいてインバータINV1を制御し、モータジェネレータMG1を駆動する。 【0019】インバータINV3は、バッテリBattの直流電力を3相交流電力に変換してモータジェネレータMG3へ供給し、モータジェネレータMG3を駆動(力行)運転するとともに、モータジェネレータMG3が回生運転することにより発電する3相交流電力を直流電力に逆変換してバッテリBattへ供給する。モータコントローラM/C3は、車両コントローラHCMからの駆動(力行)指令および発電指令と、回転速度指令に基づいてインバータINV3を制御し、モータジェネレータMG3を駆動する。 【0020】なお、車両コントローラHCM、エンジンコントローラECU、モータコントローラM/C1およびM/C3、エアコンコントローラA/Cはそれぞれ、マイクロコンピュータとメモリやインタフェースなどの周辺部品から構成され、通信線を介して相互に種々の情報の授受を行う。 【0021】図2は、ハイブリッド車両の走行中とアイドルストップ時のエンジンENG、補機駆動用モータMG3、エアコンコンプレッサーCMPの動作を示す表である。一実施の形態のハイブリッド車両のアイドルストップ制御装置では、アイドルストップ時にエアコンコンプレッサーCMPの作動を一時的に停止する。エアコンコンプレッサーCMPの作動が停止すると、エンジンENGを停止させる。車両走行中、エンジン連れ周り制御が行われていた補機駆動用モータMG3は、アイドルストップ時には目標回転速度N*で駆動するようにフィードバック制御が行われる。その後、モータジェネレータMG3の回転速度が目標回転速度N*と一致して駆動状態が安定すると、停止させていたエアコンコンプレッサーCMPの作動を停止前の状態まで復帰させる。これらの制御について、図3〜図6を用いて詳しく説明する。 【0022】図3は、補機駆動用のモータコントローラM/C3およびエアコンコントローラA/Cの詳細な構成を示す制御ブロック図である。車両コントローラHCMは、エンジンENGの駆動中は、エアコンコントローラA/CへエアコンコンプレッサーCMPの制御指令値を出力するとともに、モータコントローラM/C3へトルク指令値(=0)を出力する。 【0023】ハイブリッド車両が後述する所定のアイドルストップ条件を満たしたと判定すると、車両コントローラHCMは、モータジェネレータMG3の起動要求信号RQをONに設定して、モータコントローラM/C3とエアコンコントローラA/Cへ出力する。同時に、アイドルストップ時のモータジェネレータMG3の目標回転速度N*をモータコントローラM/C3に出力する。 【0024】ここで、所定のアイドルストップ条件とは、車速センサSSにより検出された車速が0km/hであり、かつ、アクセルペダルセンサAPSにより検出されたアクセルペダル操作量が0でブレーキスイッチがオンとなる状態が所定時間継続し、さらにバッテリBattの充電状態SOCが70%以上となる場合である。 【0025】<モータジェネレータMG3の駆動制御>車両コントローラHCMから送られる起動要求信号RQを受信したモータコントローラM/C3は、この起動要求信号RQに基づいて、モータジェネレータMG3のトルク指令値T3*を制御する。すなわち、スイッチ部SW1が起動要求信号RQのオン・オフに応じて、トルク指令値T3*の切り替え制御を行う。 【0026】−エンジン駆動中−起動要求指令RQがオフのとき、つまりエンジンENGの駆動時には、トルク指令値T3*を0にしてモータジェネレータMG3のトルク制御を行う。この場合、モータコントローラM/C3内の電流制御部CCUは、インバータINV3を介して、モータジェネレータMG3にトルク指令値T3*=0に応じた電流を供給する。インバータINV3は、ベクトル制御によりモータジェネレータMG3を駆動しており、モータジェネレータMG3に流れるトルク分電流を0とし、励磁分電流のみを供給する。その結果、モータジェネレータMG3は、プーリー&ベルト動力伝達機構P/B1とワンウェイクラッチCLを介してエンジンENGの回転に連れ回り、さらに補機P/S、CMP、ATPもプーリー&ベルト動力伝達機構P/B2を介してエンジン駆動力により駆動される。 【0027】−アイドルストップ時−一方、モータジェネレータMG3の起動要求指令RQがオンのとき、つまりアイドルストップ時には、スイッチ部SW1は、回転速度制御部RSUから入力されるトルク指令値T3*を電流制御部CCUに出力する。回転速度制御部RSUは、車両コントローラHCMから入力される目標回転速度N*と、回転速度センサPSにより検出されたモータジェネレータMG3の回転速度N3とに基づいて、回転速度フィードバック制御を行うことにより、トルク指令値T3*を算出する。 【0028】モータジェネレータMG3の回転速度フィードバック制御は、次のようにして実現される。モータジェネレータMG3の出力軸に連結された回転速度センサPSによりモータジェネレータMG3の回転速度N3を検出し、目標回転速度N*との偏差(N*−N3)に比例・積分制御(PI制御)を施す。そして、モータジェネレータMG3の回転速度N3を目標回転速度N*に一致させるためのトルク指令値T3*を、次式(1)により演算する。モータコントローラM/C3は、インバータINV3を制御して、演算したトルク指令値T3*に応じた電流をモータジェネレータMG3に供給する。 【数1】 T3*(n)=Kp3・(N*−N3(n))+Ki3・∫(N*−N3(n))dt …(1) ここで、Kp3、Ki3はそれぞれ、モータジェネレータMG3の回転速度フィードバック制御における比例ゲインと積分ゲインであり、nはサンプリング数である。 【0029】モータジェネレータMG3の回転速度が目標回転速度に近づいて、安定した状態になると、モータコントローラM/C3内の回転速度制御部RSUは、車両コントローラHCMに後述するエアコン出力復帰許可信号RACを送信する。モータジェネレータMG3の安定判別条件を次式(2)に示す。 【数2】 |(N*−N3(n))|<Nref をt2(sec)連続で検出 …(2) ただし、Nrefは安定判別回転速度しきい値であり、t2は安定判別時間である。式(2)の条件が満たされた場合に、モータジェネレータMG3の回転速度N3が目標回転速度N*に到達して安定したと判定する。なお、モータジェネレータMG3の回転速度N3は、モータジェネレータMG3の出力軸に連結される回転速度センサPSにより検出される。 【0030】<エアコンコンプレッサーCMPの駆動制御>エアコンコントローラA/Cは、車両コントローラHCMから入力される起動要求指令RQに応じて、スイッチ制御部SW2およびスイッチ制御部SW3により、エアコンコンプレッサーCMPの制御を切り替える。すなわち、起動要求指令RQがオンの時(アイドルストップ時)には、駆動出力制限/復帰制御部DRUにより、エアコンコンプレッサーCMPの出力を一時的に制限する制御を行い、起動要求指令RQがオフの時(エンジン駆動時)には、常時駆動制御部ADUによりエアコンコンプレッサーCMPの出力を制限しない制御を行う。 【0031】起動要求指令RQがオンになると、駆動出力制限/復帰制御部DRUは、エアコン出力指令値Wac*を0にすることにより、エアコンコンプレッサーCMPの出力を低下させて0にする。その後、車両コントローラHCMからエアコン出力復帰許可信号RAC=ONが送信されてくると、駆動出力制限/復帰制御部DRUは、次式(3)にてエアコン出力指令値Wac*を徐々に増大させる。これにより、エアコンコンプレッサーCMPの出力は、停止前の出力状態まで復帰される。 【数3】 Wac*(n) =Wac*(n−1)+ΔWac …(3) ただし、ΔWacは出力復帰量である。このΔWacは、エアコン出力復帰制御時の出力の傾きを示すものであり、出力の復帰に要する時間が、モータジェネレータMG3の回転速度を目標回転速度N*に一致させる制御を行っている時の出力応答時定数より小さくなるように設定する。式(3)にて算出される出力指令値Wac*(n)が目標出力値Wac*以上に到達すると、Wac*(n) =Wac*に設定する。 【0032】コンプレッサー駆動制御部CDUは、起動要求指令RQがオンの時には、駆動出力制限/復帰制御部DRUで演算されるエアコン出力指令値Wac*に基づいて、エアコンコンプレッサーCMPの制御を行い、起動要求指令RQがオフの時には、常時駆動制御部ADUから送信されるエアコン出力指令値Wac*に基づいて、エアコンコンプレッサーCMPの制御を行う。 【0033】図4は、モータコントローラM/C3で行われる制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、アイドルストップ時のモータジェネレータMG3の動作を説明する。モータコントローラM/C3は、ハイブリッド車両のメインスイッチがオンされると、この制御プログラム(ステップS100〜ステップS160)を繰り返し実行する。なお、以下で単にエアコンと呼んでいるのは、エアコンコンプレッサーCMPのことである。 【0034】ステップS100では、車両コントローラHCMから送信されきたモータジェネレータMG3の起動要求指令RQがオンであるか否かを判定する。オンであると判定するとステップS110に進み、オフであると判定するとステップS150に進む。ステップS110では、起動要求指令RQがオフからオンとされてから経過した時間を計測するためのカウンタt1cntが所定時間t1を経過したか否かを判定する。所定時間t1は、エアコンの出力を停止させる制御を行った時に、出力が0となるまでに要する時間であり、予め実験等により求めておく。カウンタt1cntの値が所定時間t1以上であると判定するとステップS120に進み、所定時間t1を経過していないと判定するとステップS160に進む。 【0035】ステップS120では、モータジェネレータMG3の回転速度N3が目標回転速度N*と一致するように、モータジェネレータMG3のトルク指令値T3*を上述した式(1)に基づいて算出する。トルク指令値T3*を算出するとステップS130に進む。ステップS130では、モータジェネレータMG3の回転速度N3が目標回転速度N*に近づいて安定したか否かを判定する。この判定は、上述した式(2)に基づいて行う。式(2)の関係を満たして、モータジェネレータMG3の駆動状態が安定したと判定するとステップS140に進み、安定していないと判定すると本制御を終了する。ステップS140では、エアコン出力復帰許可信号RACをオンにして、車両コントローラHCMに出力して本制御を終了する。 【0036】ステップS100で起動要求指令RQがオフであると判定してステップS150に進むと、エアコン出力復帰許可信号RACをOFFに設定するとともに、カウンタt1cntを0にセットしてステップS160に進む。ステップS160では、モータジェネレータMG3のトルク指令値T3*を0に設定する。これにより、モータジェネレータMG3は、エンジンENGの回転とともに連れ回る制御が行われる。トルク指令値T3*が0に設定されると、本制御を終了する。以後、上述したステップS100以後の処理が繰り返し行われる。 【0037】図5は、エアコンコントローラA/Cで行われる制御プログラムを示すフローチャートである。エアコンコントローラA/Cは、ハイブリッド車両のメインスイッチがオンされると、この制御プログラム(ステップS10〜ステップS60)を繰り返し実行する。 【0038】ステップS10では、車両コントローラHCMから送信されてくる起動要求指令RQがオンであるか否かを判定する。オンである(アイドルストップ時)と判定するとステップS20に進み、オフである(エンジン駆動時)と判定すると本制御を終了する。ステップS20では、エアコン出力指令値Wac*を0として、エアコンの出力を一時的に停止させる。エアコン出力指令値Wac*を0にすると、ステップS25に進む。ステップS25では、エアコン出力指令値Wac*=0を車両コントローラHCMに送信して、ステップS30に進む。 【0039】ステップS30では、車両コントローラHCMから送信されてくるエアコン出力復帰許可信号RACがオンである(モータジェネレータMG3の駆動状態が安定した)か否かを判定する。このエアコン出力復帰許可信号RACは、モータコントローラM/C3から車両コントローラHCMに送信されたものである(図4のステップS140)。エアコン出力復帰許可信号RACがオンであると判定するとステップS40に進み、オフである(モータジェネレータMG3の駆動状態が安定してない)と判定すると本制御を終了する。ステップS40では、エアコン出力指令値Wac*(n) を前回の指令値Wac*(n−1)に対して、ΔWacだけ大きくする(式(3))。新たなエアコン出力指令値Wac*(n) を算出すると、ステップS50に進む。 【0040】ステップS50では、ステップS40で演算したエアコン出力指令値Wac*(n)が出力目標値Wac*以上となったか否かを判定する。エアコン出力指令値Wac*(n)が出力目標値Wac*以上であると判定すると、ステップS60に進み、出力目標値Wac*より小さいと判定すると本制御を終了する。ステップS60では、エアコン出力指令値Wac*(n)を出力目標値Wac*に設定して、本制御を終了する。以後、上述したステップS10〜ステップS60の処理が繰り返し行われる。 【0041】図6は、エンジンコントローラECUで行われる制御プログラムを示すフローチャートである。エンジンコントローラECUは、ハイブリッド車両のメインスイッチがオンされると、この制御プログラム(ステップS200〜ステップS230)を繰り返し実行する。 【0042】ステップS200では、車両コントローラHCMから送信されてくる起動要求指令RQがオンであるか否かを判定する。オンであると判定するとステップS210に進み、オフであると判定すると本制御を終了する。ステップS210では、車両コントローラHCMから、エアコン出力指令値Wac*=0が送信されてきたか否かを判定する。エアコン出力指令値Wac*=0が入力された、すなわち、エアコンが停止したと判定するとステップS220に進み、停止していないと判定するとステップS230に進む。 【0043】ステップS220では、エンジンENGの停止、すなわち、アイドルストップ制御を行い、本制御を終了する。一方、ステップS230では、エアコンがまだ停止していないので、エンジンENGをアイドリング時の回転数で保持するように制御して、本制御を終了する。以後、上述したステップS200以後の処理が行われる。 【0044】図7(a)は、従来のアイドルストップ制御装置によるアイドルストップ時の各部の動作を示すタイムチャートであり、図7(b),(c)は本実施の形態のアイドルストップ制御装置によるアイドルストップ時の各部の動作を示すタイムチャートである。図7(a)〜(c)において、上から順に、モータジェネレータMG3の起動要求指令RQ、エンジンENGの毎分回転数(回転速度)NE、モータジェネレータMG3の毎分回転数(回転速度)N3、モータジェネレータMG3の出力トルクT3、エアコンコンプレッサーCMPの出力Wacを示す。また、図7(b),(c)では、最下部にエアコンコンプレッサーCMPの出力復帰許可信号RACを示す。 【0045】図7(a)に示すように、従来のアイドルストップ制御装置では、起動要求指令RQがオンして、エンジンENGがアイドルストップしても、エアコンの出力を制限することなく一定にしているので、モータジェネレータMG3に補機P/S、CMP、ATPの駆動負荷が急に加わり、モータジェネレータMG3の回転速度N3が変動して目標回転速度N*になかなか収束せず、アイドルストップ直後の補機P/S、CMP、ATPの駆動速度が変動する(期間■)。 【0046】図7(c)は、図4〜図6に示すフローチャートを用いて説明した制御を行った場合のタイムチャートを示す。起動要求指令RQがオンになると(時間A)、エアコンの出力指令値Wac*を0にして、一時的にエアコンの出力を停止させる。エアコンの出力が停止すると、エンジンENGのアイドルストップ制御を開始する。起動要求指令RQがオンになってから所定時間t1経過するまでは、モータジェネレータMG3をトルクT3=0にて、エンジンENGの連れ周り制御を行い、所定時間t1を経過すると(時間B)、モータジェネレータMG3の回転速度が目標回転速度N*になるように制御する。モータジェネレータMG3の回転速度が目標回転速度N*に近づいて安定したと判定すると(時間C)、エアコン出力復帰許可信号RACをオンにして、一時的に停止させていたエアコンの出力を徐々に復帰させる。 【0047】これにより、図7(a)の場合と比べて、エンジン回転数NEとモータジェネレータMG3の出力トルクT3の変動を抑えることができ、アイドルストップ時にモータジェネレータMG3の回転速度の変動等に起因する乗員への違和感を低減することができる。 【0048】図7(b)は、上述した一実施の形態によるアイドルストップ制御装置において、別の制御を行った場合のタイムチャートを示す。すなわち、起動要求指令RQがオンになると、エンジンENGのアイドルストップ制御を開始すると共に、エアコンの出力指令値Wac*を0にして、一時的にエアコンの出力を停止させる。その後、モータジェネレータMG3の駆動状態が安定すると、エアコン出力復帰許可信号RACをオンにして、エアコン出力を停止前の状態まで復帰させる。これにより、エンジン回転速度NEとモータジェネレータMG3の出力トルクT3が変動する時間(図7(b)の■)を、従来の場合(図7(a)の■)に比べて短くすることができる。ただし、図4〜図6に示すフローチャートを用いて説明した制御による場合程、エンジン回転速度NEとモータジェネレータMG3の出力トルクT3の変動を抑えることはできない。 【0049】このように、エンジン動作中はエンジンENGによって駆動され、エンジンENGのアイドルストップ時にはモータジェネレータMG3によって駆動される補機P/S、CMP、ATPを備えた、本実施の形態のハイブリッド車両のアイドルストップ制御装置は、次の様な制御を行う。アイドルストップ時にはエアコン、すなわちエアコンコンプレッサーCMPの動作を一時的に停止させた後、モータジェネレータMG3の回転速度が目標回転速度N*で安定すると、エアコンの出力を停止前の状態まで徐々に復帰させる。その結果、アイドルストップ時にモータジェネレータMG3の回転速度が変動するのを低減することができる。従って、モータジェネレータMG3を安定した回転速度で制御することができ、消費電力を軽減することができる。 【0050】一般的に、補機駆動用モータMG3は、補機をエンジンで駆動していた状態から補機駆動用モータMG3で駆動する状態に切り替えた時に最大負荷がかかるため、このときの最大負荷に応じた容量のモータが必要とされる。しかし、本実施の形態によれば、アイドルストップ時にエアコンの出力を一時的に停止させた後、徐々にエアコンの出力を復帰させるので、アイドルストップ時の回転速度変動を抑制するための補機駆動用のモータとして、大容量(高定格)のモータを使用する必要がなくなり、重量の軽減等により車両の燃費を低減することができる。 【0051】また、エアコンが停止するまではエンジンENGの作動を継続させ、エアコンが停止した後にエンジンENGを停止させるので、エアコンの停止に伴う補機駆動用モータMG3への影響をエンジンENGにて吸収することができ、さらに補機駆動用モータMG3の回転速度の変動を低減することができる。さらに、エアコンコンプレッサーCMPの出力を徐々に停止前の駆動状態に復帰させる時間は、アイドルストップ時に補機駆動用モータMG3を駆動させている時の応答時定数よりも小さくしているので、出力復帰時の補機駆動用モータMG3への影響を抑制することができる。 【0052】本発明は上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、起動要求指令RQがオン(アイドルストップ時)するとエアコンの出力を一時的に停止(Wac*=0)するようにしたが、モータジェネレータMG3の回転速度に影響を及ぼさない範囲にて、エアコンの負荷を低減させることにより、一定の低出力値にてエアコンを作動させてもよい。また、図5に示すフローチャートのステップS30では、車両コントローラHCMが各コントローラA/C,M/C1,M/C3,ECUを統合して制御しているので、エアコン出力復帰許可信号RACは、モータコントローラM/C3から車両コントローラHCMに送信された後、車両コントローラHCMからエアコンコントローラA/Cに送信されているが、モータコントローラM/C3からエアコンコントローラA/Cに直接送信するようにしてもよい。 【0053】さらに、上述した実施の形態では、アイドルストップ制御時にモータジェネレータMG3の回転速度変動を低減させるために、モータジェネレータMG3で駆動される補機の一例として、エアコン、すなわちエアコンコンプレッサーCMPの出力を一時的に停止させる制御を行ったが、モータジェネレータMG3により駆動される補機であればエアコンに限定されることはない。 【0054】特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、モータジェネレータMG3が補機駆動用モータを、パワーステアリングP/S、エアコンのコンプレッサーCMPおよび自動変速機オイルポンプATPが補機を、モータコントローラM/C3が判定装置を、車両コントローラHCM、エンジンコントローラECU、エアコンコントローラA/C、モータコントローラM/C3が制御装置をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成14年2月14日(2002.2.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100084412 【弁理士】 【氏名又は名称】永井 冬紀
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| 【公開番号】 |
特開2003−244804(P2003−244804A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月29日(2003.8.29) |
| 【出願番号】 |
特願2002−36526(P2002−36526) |
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