| 【発明の名称】 |
自動列車運転装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大 場 義 和 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】小 山 敏 博 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】徳 繁 麻 美 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】結 城 和 明 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】鎌 田 恵 一 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
【氏名】南 陽太朗 【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内
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| 【要約】 |
【課題】列車の自動運転を行う際のハンチングの影響を極力排除することにより省エネルギー効果を向上させること。
【解決手段】最適走行計画作成手段7は列車が駅に停車している間に、データベース0に保存されているデータを用いて最適走行計画を作成する。列車が走行を開始すると、走行計画再計算手段8は最適走行計画と実走行結果とを比較し誤差が所定値以上になると走行計画の再計算を行う。制御指令抽出手段9は再計算された走行計画から制御指令を抽出し、これを制御指令出力手段10に出力する。制御指令出力手段10は制御指令を駆動装置又は制動装置に対して出力する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】列車検出位置、列車検出速度、データベースに保存された運転時特性データ、及び自動列車制御装置からの運行条件の入力に基づき、列車の駆動装置又は制動装置を制御することにより自動運転を行う自動列車運転装置において、前記列車の駅停車時に所定の演算を行う駅停車時実施演算回路と、前記列車の駅間走行時に所定の演算又は制御を行う駅間走行時実施演算回路と、を備えており、前記駅停車時実施演算回路は、一の駅に停車中の前記列車が次の停車駅の目標位置へ目標時刻に停車するのに最適な走行計画を作成する最適走行計画作成手段を有するものであり、前記駅間走行時実施演算回路は、前記列車が前記一の駅を発車して前記最適走行計画作成手段が作成した最適走行計画に基づいて走行している間に、この最適走行計画と実走行結果との誤差が所定値以上になった場合に走行計画の再計算を行う走行計画再計算手段と、前記走行計画再計算手段が再計算した走行計画から制御指令を抽出する制御指令抽出手段と、前記制御指令抽出手段が抽出した制御指令を前記駆動装置又は制動装置に対して出力する制御指令出力手段と、を有するものである、ことを特徴とする自動列車運転装置。 【請求項2】前記走行計画再計算手段は、前記誤差として累積誤差を用いる累積誤差参照形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする請求項1記載の自動列車運転装置。 【請求項3】前記駅間走行時実施演算回路は、前記制御指令抽出手段と前記制御指令出力手段との間に設けられ、前記走行計画と実走行結果との誤差が所定値以上になった場合に、この誤差に応じて前記制御指令抽出手段からの制御指令に対して補正を行い、この補正した制御指令を前記制御指令出力手段に対して出力する制御指令補正手段を有するものである、ことを特徴とする請求項1又は2記載の自動列車運転装置。 【請求項4】前記制御指令補正手段は、前記誤差として累積誤差を用いる累積誤差参照形制御指令補正手段である、ことを特徴とする請求項3記載の自動列車運転装置。 【請求項5】前記最適走行計画作成手段は、前記制御指令出力手段から前記制御指令が出力された後この制御指令の影響が現れるまでの間のむだ時間を考慮して前記最適な走行計画を作成するむだ時間考慮形最適走行計画作成手段である、ことを特徴とする前記1乃至4のいずれかに記載の自動列車運転装置。 【請求項6】前記走行計画再計算手段は、前記制御指令出力手段から前記制御指令が出力された後この制御指令の影響が現れるまでの間のむだ時間を考慮して前記再計算を行うむだ時間考慮形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動列車運転装置。 【請求項7】前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記走行計画の作成を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形最適走行計画作成手段である、ことを特徴とする請求項5記載の自動列車運転装置。 【請求項8】前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記再計算を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする請求項6記載の自動列車運転装置。 【請求項9】前記前向き予測形走行計画再計算手段は、所定の周期で前記再計算を行う逐次前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする請求項8記載の自動列車運転装置。 【請求項10】前記逐次前向き予測形走行計画再計算手段は、前記所定の周期で列車速度を計測し、この計測毎に前記再計算を行う速度計測駆動型逐次前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする請求項9記載の自動列車運転装置。 【請求項11】前記駅間走行時実施演算回路は、列車検出位置及び列車検出速度を含む走行結果データを保存するための駅間走行結果保存手段を有すると共に、前記駅停車時実施演算回路は、この駅間走行結果保存手段に保存された走行結果データの入力に基づいて前記むだ時間を推定し、その推定結果を前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段及びむだ時間考慮形走行計画再計算手段に出力するむだ時間推定手段を有するものである、ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の自動列車運転装置。 【請求項12】前記駅間走行時実施演算回路は、前記駅間走行結果保存手段に保存された走行結果データの入力に基づいて前記むだ時間を推定し、その推定結果を前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段に出力するオンラインむだ時間推定手段を有するものである、ことを特徴とする請求項11記載の自動列車運転装置。 【請求項13】前記駅間走行時実施演算回路は、前記列車が前記目標位置に所定距離以内に接近した時点で停車位置を予測する停車用仮走行計画計算手段と、前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段、前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段、及び前記停車用仮走行計画計算手段からの計算結果を入力し、現在の列車位置に応じてこれら入力した計算結果のいずれかを採用し、この採用した走行計画を前記制御指令抽出手段に出力する走行計画採用手段と、を有するものである、ことを特徴とする請求項12記載の自動列車運転装置。 【請求項14】前記停車用仮走行計画計算手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記予測を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形停車用仮走行計画計算手段である、ことを特徴とする請求項13記載の自動列車運転装置。 【請求項15】前記最適走行計画作成手段及び前記走行計画再計算手段は、力行時には前記制御指令出力手段が前記駆動装置に対して連続的な牽引力指令を出力するように、前記走行計画の作成及び再計算を行うものである、ことを特徴とする請求項1記載の自動列車運転装置。 【請求項16】前記最適走行計画作成手段及び前記走行計画再計算手段は、制動時には前記制御指令出力手段が前記制動装置に対して連続的なブレーキ力指令を出力するように、前記走行計画の作成及び再計算を行うものである、ことを特徴とする請求項1記載の自動列車運転装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作成した走行計画に基づき列車の運転を自動的に行う自動列車運転装置(ATO:Automatic Train Operation)に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ATOは、ある一の出発駅から次の停車駅までの区間における一連の運転制御を自動的に行う装置であり、列車の運転操作についての省力化を図るためや、列車運行の際の効率化や快適性の追求を図るために従来から鉄道などの交通システムに採用されてきているものである。ATOによる自動運転を行う場合、列車間隔の制御や速度制限は自動列車制御装置(ATC:Automatic Train Control)に依存することになるため、ATOは必ずATCと用いられる。 【0003】そして、ATOによる自動運転においては、ノッチ操作を基本とする速度制御が行われるのが通常であるが、この速度制御はPI制御等の誤差追従制御を主体とするものである。また、ATOによる自動運転を行う際は、ある一の駅から次の停車駅までの区間における走行計画を予め作成しておき、この走行計画に従って速度制御や制動制御などの種々の制御を行う方式が多く採用されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、従来装置では、一旦作成した走行計画を固定したデータとして取り扱い、列車運転中にこの走行計画の内容を変更することは行われていなかった。しかし、予め作成した走行計画に従って列車を自動運転し、且つノッチ操作を基本とする速度制御の方式の場合、制御指令が段階的に変化し微妙な速度調整ができないために、誤差追従制御を主体とするPI制御では、その制御過程においてどうしても所謂ハンチングの現象(実走行結果が次第に走行計画とずれてくる現象)が発生しやすくなる。そのため、列車の実走行結果が次第に走行計画からずれてきてしまい、省エネルギー化の観点や列車の乗り心地についての改善といった観点からは、決して満足のいくものではなかった。 【0005】また、列車運行の際は、停車駅の所定個所に列車を精度良く停車させることが求められる。そのためには、走行計画作成時において、制御指令に対する列車の応答のむだ時間を考慮しなければならないが、演算の速度や、アルゴリズムの複雑化等の理由により、列車応答の際のむだ時間を求めるのが困難となっている。 【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、第1に、列車の自動運転を行う際のハンチングの影響を極力排除することにより省エネルギー効果を向上させることができるようにし、第2に、むだ時間を求めることを可能にすることにより目標位置への停止精度を向上させることができるようにし、第3に、ノッチ操作を行った場合の速度制御指令の段階的変化に起因する乗り心地の悪さを改善することができるようにした、自動列車運転装置を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、列車検出位置、列車検出速度、データベースに保存された運転時特性データ、及び自動列車制御装置からの運行条件の入力に基づき、列車の駆動装置又は制動装置を制御することにより自動運転を行う自動列車運転装置において、前記列車の駅停車時に所定の演算を行う駅停車時実施演算回路と、前記列車の駅間走行時に所定の演算又は制御を行う駅間走行時実施演算回路と、を備えており、前記駅停車時実施演算回路は、一の駅に停車中の前記列車が次の停車駅の目標位置へ目標時刻に停車するのに最適な走行計画を作成する最適走行計画作成手段を有するものであり、前記駅間走行時実施演算回路は、前記列車が前記一の駅を発車して前記最適走行計画作成手段が作成した最適走行計画に基づいて走行している間に、この最適走行計画と実走行結果との誤差が所定値以上になった場合に走行計画の再計算を行う走行計画再計算手段と、前記走行計画再計算手段が再計算した走行計画から制御指令を抽出する制御指令抽出手段と、前記制御指令抽出手段が抽出した制御指令を前記駆動装置又は制動装置に対して出力する制御指令出力手段と、を有するものである、ことを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記走行計画再計算手段は、前記誤差として累積誤差を用いる累積誤差参照形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする。 【0009】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記駅間走行時実施演算回路は、前記制御指令抽出手段と前記制御指令出力手段との間に設けられ、前記走行計画と実走行結果との誤差が所定値以上になった場合に、この誤差に応じて前記制御指令抽出手段からの制御指令に対して補正を行い、この補正した制御指令を前記制御指令出力手段に対して出力する制御指令補正手段を有するものである、ことを特徴とする。 【0010】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記制御指令補正手段は、前記誤差として累積誤差を用いる累積誤差参照形制御指令補正手段である、ことを特徴とする。 【0011】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明において、前記最適走行計画作成手段は、前記制御指令出力手段から前記制御指令が出力された後この制御指令の影響が現れるまでの間のむだ時間を考慮して前記最適な走行計画を作成するむだ時間考慮形最適走行計画作成手段である、ことを特徴とする。 【0012】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記走行計画再計算手段は、前記制御指令出力手段から前記制御指令が出力された後この制御指令の影響が現れるまでの間のむだ時間を考慮して前記再計算を行うむだ時間考慮形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする。 【0013】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発明は、前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記走行計画の作成を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形最適走行計画作成手段である、ことを特徴とする。 【0014】請求項8記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記再計算を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする。 【0015】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記前向き予測形走行計画再計算手段は、所定の周期で前記再計算を行う逐次前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする。 【0016】請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明において、前記逐次前向き予測形走行計画再計算手段は、前記所定の周期で列車速度を計測し、この計測毎に前記再計算を行う速度計測駆動型逐次前向き予測形走行計画再計算手段である、ことを特徴とする。 【0017】請求項11記載の発明は、請求項6乃至10のいずれかに記載の発明において、前記駅間走行時実施演算回路は、列車検出位置及び列車検出速度を含む走行結果データを保存するための駅間走行結果保存手段を有すると共に、前記駅停車時実施演算回路は、この駅間走行結果保存手段に保存された走行結果データの入力に基づいて前記むだ時間を推定し、その推定結果を前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段及びむだ時間考慮形走行計画再計算手段に出力するむだ時間推定手段を有するものである、ことを特徴とする。 【0018】請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明において、前記駅間走行時実施演算回路は、前記駅間走行結果保存手段に保存された走行結果データの入力に基づいて前記むだ時間を推定し、その推定結果を前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段に出力するオンラインむだ時間推定手段を有するものである、ことを特徴とする。 【0019】請求項13記載の発明は、請求項12記載の発明において、前記駅間走行時実施演算回路は、前記列車が前記目標位置に所定距離以内に接近した時点で停車位置を予測する停車用仮走行計画計算手段と、前記むだ時間考慮形最適走行計画作成手段、前記むだ時間考慮形走行計画再計算手段、及び前記停車用仮走行計画計算手段からの計算結果を入力し、現在の列車位置に応じてこれら入力した計算結果のいずれかを採用し、この採用した走行計画を前記制御指令抽出手段に出力する走行計画採用手段と、を有するものである、ことを特徴とする。 【0020】請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明において、前記停車用仮走行計画計算手段は、前記列車を前記目標位置に停車させるための前記予測を、前記列車の進行方向への走行予測に基づき行う前向き予測形停車用仮走行計画計算手段である、ことを特徴とする。 【0021】請求項15記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記最適走行計画作成手段及び前記走行計画再計算手段は、力行時には前記制御指令出力手段が前記駆動装置に対して連続的な牽引力指令を出力するように、前記走行計画の作成及び再計算を行うものである、ことを特徴とする。 【0022】請求項16記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記最適走行計画作成手段及び前記走行計画再計算手段は、制動時には前記制御指令出力手段が前記制動装置に対して連続的なブレーキ力指令を出力するように、前記走行計画の作成及び再計算を行うものである、ことを特徴とする。 【0023】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の各実施形態に係る自動列車運転装置が搭載される列車の構成を示すブロック図である。列車1は、車輪の回転軸に取り付けられたパルスジェネレータ(PG)等により構成される速度検出器2と、軌道上に設置された地上子(トランスポンダ)を検出する地上子検出器3とを備えており、更に、これらの列車検出速度置信号及び列車検出位置信号を入力する自動列車運転装置4と、この自動列車運転装置4により制御される駆動装置5及び制動装置6とを備えている。自動列車運転装置4には、図示を省略してある自動列車制御装置(ATC)から制限速度等に関するATC信号や運行条件などが入力されるようになっている。 【0024】自動列車運転装置4は、データベース0、駅停車時実施演算回路4A、及び駅間走行時実施演算回路4Bを有しており、上記の列車検出速度信号及び列車検出位置信号はこの駅間走行時実施演算回路4Bに入力されるようになっている。駅停車時実施演算回路4Aは、列車1の駅停車時に後述する所定の演算を行うものであり、駅間走行時実施演算回路4Bは、列車1の駅間走行時に後述する所定の演算、又は制御を行うものである。そして、データベース0には、路線条件(勾配、曲率等)や車両条件(制限速度、並びに車両重量及び加減速性能等の列車特性など)等の運転時特性データ、及びダイヤ(運行表)等の各種データが保存されている。このデータベース0としては、自動列車運転装置4内に搭載されたハードディスクのようなものであってもよいが、近時はカード技術が発達してきており、運転士が携帯可能なICカードを用いることもできる。 【0025】図2は、本発明の第1の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。駅停車時実施演算回路4Aは、最適走行計画作成手段7を有しており、駅間走行時実施演算回路4Bは、走行計画再計算手段8、制御指令抽出手段9、及び制御指令出力手段10を有している。そして、データベース0に保存されているデータは駅停車時実施演算回路4A及び駅間走行時実施演算回路4Bの双方に入力されるようになっており、また、速度検出器2及び地上子検出器3からの各検出信号、並びにATC信号は駅間走行時実施演算回路4Bのみに入力されるようになっている。 【0026】最適走行計画作成手段7は、列車1がある一の駅から次の停車駅の目標位置へ目標時刻に停車するのに最適な走行計画を、データベース0に保存されている各種のデータに基づき作成するものである。この場合の「最適な」条件は種々に設定することができる。例えば、走行時間を最優先にしたり、省エネルギー効率を高めることを最優先にしたり、あるいは、急な加減速を行わないようにするなどして乗り心地を最優先にすることもできる。なお、最適走行計画作成手段7の最適走行計画に関するデータの持ち方の例としては、時間又は距離に対応する速度目標値などを制御指令として持つことが考えられる。 【0027】最適走行計画作成手段7が最適走行計画を作成する方法としては、例えば、力学的な列車モデルを使用し、列車の走行挙動を予測する方法(例えば、特開平5−193502号)などがある。これは、図16に示すように、力行カーブ、惰行カーブ、及び逆行ブレーキカーブを予測により求めておき、惰行カーブと逆行ブレーキカーブとの交点をブレーキ開始点とするものである。 【0028】走行計画再計算手段8は、最適走行計画作成手段7が作成した走行計画を入力すると共に、速度検出器2及び地上子検出器3からそれぞれ列車検出速度、列車検出位置、及びATCからのATC信号を入力するようになっており、作成された走行計画と実走行結果との誤差が所定値以上になった場合に、走行計画の再計算を行うものである。 【0029】制御指令抽出手段9は、走行計画再計算手段8から入力する走行計画に基づき、駆動装置5及び制動装置6に対する現時点での加速指令及び減速指令を抽出し、これを制御指令出力手段10に出力するようになっている。制御指令出力手段10は、制御指令抽出手段9から入力した加速指令及び減速指令を駆動装置5及び制動装置6に出力するようになっている。 【0030】次に、上記のように構成される図1の動作につき説明する。いま、列車1がある駅に停車中であるとすると、最適走行計画作成手段7はデータベース0に保存されたデータを参照して、次の停車駅までの最適走行計画を作成する。次いで、列車1が走行を開始すると、走行計画再計算手段8は、最適走行計画作成手段7が作成した最適走行計画と、速度検出器2、地上子検出器3からの列車検出速度及び列車検出位置に基づき演算した実走行結果とを比較し、両者の差(例えば、最適走行計画における速度目標値と速度実績値との差である速度誤差)が予め設定してある閾値以上になった時点で走行計画の再計算を行う。 【0031】ここで、両者の差が閾値以上になるような状態は、前述したハンチング現象に起因して発生する他に、進行方向前方に別の列車が停車しているためATCから制限速度の変更指令を入力したことに起因して発生する場合などがある。また、走行計画再計算手段8が行う再計算は、再計算時点の実績速度や実績距離(列車位置)、あるいは駅間走行に許される残り時間を考慮して行えばよい。 【0032】そして、制御指令抽出手段9は、走行計画再計算手段8が再計算した走行計画から加速指令又は減速指令などの制御指令を抽出し、制御指令出力手段10は抽出されたこれらの制御指令を駆動装置5又は制動装置6に出力する。自動列車運転装置4のこのような演算及び制御により、列車1は次の停車駅の目標位置へ目標時刻に到着する。この後、列車1が次の停車駅に停車している間に、最適走行計画作成手段7は更に次の駅までの最適走行計画を作成し、手段8〜10は同様の動作を行う。なお、走行計画再計算手段8は、最適走行計画作成手段7が作成した最適走行計画と実走行結果との誤差が所定値を超えていなければ再計算を行わず、最適走行計画作成手段7からの最適走行計画をそのまま制御指令抽出手段9に出力することになる。 【0033】上述した図2の第1の実施形態によれば、最適走行計画作成手段7により作成された最適走行計画に基づき列車1が走行を開始した後、実走行結果がこの走行計画から一定以上ずれてしまった場合は、直ちに走行計画再計算手段8が走行計画にいついての再計算を行うようになっているので、従来発生してハンチング現象を大きく抑制することができ、省エネルギー効果を向上させることができる。 【0034】図3は、本発明の第2の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図3が図2と異なる点は、図2における走行計画再計算手段8に累積誤差参照形走行計画再計算手段11を用いた点である。図2の走行計画再計算手段8は、再計算時点毎にその場その場の誤差が閾値以上になったか否かを判別しているので、ノイズの影響を大きく受けたり、ハンチング気味の再計算を行ってしまう場合もあり得る。そこで、この実施形態では、累積誤差参照形走行計画再計算手段11が、ある程度累積した誤差(例えば、5分の時間の間に累積した誤差)についての判別を行うようにしている。これにより、上記のようなノイズの影響を大きく受けたり、ハンチング気味の再計算を行うことを防止できる。 【0035】図4は、本発明の第3の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図4が図2と異なる点は、制御指令抽出手段9と制御指令出力手段10との間に制御指令補正手段12が設けられている点である。この制御指令補正手段12は、走行計画再計算手段8から出力される走行計画と実走行結果との誤差が閾値以上であるか否かを判別する機能を持っており、閾値以上であると判別した場合には制御指令抽出手段9が抽出した制御指令を補正するものである。このような制御指令補正手段12を設けることにより、自動列車運転装置4に対してバックアップ的機能を持たせることができる。 【0036】つまり、列車1が最適走行計画作成手段7又は走行計画再計算手段8が演算した走行計画通りに実走行してくれていれば何の問題もないが、ときとして走行計画から大きく逸脱して走行せざるを得ない場合が発生する。例えば、複数のブレーキのうちの一つに異常が発生した場合等である。しかし、本実施形態では、このような場合にも制御指令補正手段12がバックアップ的機能を果たし、制御指令を適正に補正することができるので、列車1の停止位置が目標位置から大きくずれてしまうことを防止することができる。なお、図4の構成は、図2における制御指令抽出手段9と制御指令出力手段10との間に制御指令補正手段12を設けた例を示したが、もちろん、この制御指令補正手段12は図3における制御指令抽出手段9と制御指令出力手段10との間に設けることもできる。 【0037】図5は、本発明の第4の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図5が図4と異なる点は、図4における制御指令補正手段12に累積誤差参照形制御指令補正手段13を用いた点である。図4における制御指令補正手段12では、1回でも走行計画と実走行結果との誤差が閾値以上と判別すると、直ちに制御指令補正手段12が制御指令抽出手段9からの制御指令に対して補正を行うので、ノイズの影響を受けたり、ハンチング気味の制御を行いがちになる。そこで、この実施形態では、累積誤差参照形制御指令補正手段13がある程度累積した誤差(例えば、5分の時間の間に累積した誤差)についての判別を行うようにしている。これにより、上記のようなノイズの影響を大きく受けたりすることや、ハンチング気味の制御を行うことを防止できる。 【0038】図6は、本発明の第5の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図6が図5と異なる点は、走行計画再計算手段8が累積誤差参照形走行計画再計算手段11となっている点である。その他の構成は図5と同様であるため詳しい説明を省略する。なお、この実施形態では、走行計画と実走行結果との累積誤差を2つの手段11,13が判別するようになっているが、これらの手段が累積誤差の判別を行う際に用いる閾値は、種々の条件に応じてそれぞれ異なる値に設定することが可能である。 【0039】図7は、本発明の第6の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図7が図6と異なる点は、駅停車時実施演算回路4Aの最適走行計画作成手段7がむだ時間考慮形最適走行計画作成手段14になっている点と、データベース0に保存されている列車特性データの中に「むだ時間」データが含まれている点である。 【0040】走行計画作成の演算の際に制御指令に対する列車応答のむだ時間、すなわち制御指令が出力されてから実際の列車の走行に制御指令の影響が出るまでの時間を求めるのは、演算アルゴリズムの負荷が大きくなり、実用化するには演算速度の点で困難である。そこで、本実施形態では、データベース0に保存される列車特性データの中に予め求めておいたむだ時間を含めておくと共に、最適走行計画作成手段として「むだ時間考慮形」の最適走行計画作成手段14とし、最適走行計画作成の際には、このむだ時間を考慮するようにしている。これにより、次の停車駅での目標位置停止精度をより向上させることができる。 【0041】図8は、本発明の第7の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図8が図7と異なる点は、図7における累積誤差参照形走行計画再計算手段11をむだ時間考慮形走行計画再計算手段15にしている点である。このむだ時間考慮形走行計画再計算手段15は、むだ時間考慮形最適走行計画作成手段14と同様に、データベース0の列車特性データの中に含まれているむだ時間データを参照して、走行計画についての再計算を行うようにしている。これにより、次の停車駅での目標位置停止精度を一層向上させることができる。 【0042】なお、この第7の実施形態では、「むだ時間考慮形」の走行計画再計算手段15が「むだ時間考慮形」の最適走行計画作成手段14と組み合わせた構成を示しているが、「むだ時間考慮形」ではない普通の最適走行計画作成手段7と組み合わせた構成、すなわち、図2乃至図6における走行計画再計算手段8,11をこのむだ時間考慮形走行計画再計算手段15に置き換える構成とすることも可能である。 【0043】図9は、本発明の第8の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図9が図8と異なる点は、図8におけるむだ時間考慮形最適走行計画作成手段14を前向き予測形最適走行計画作成手段16にしている点である。この前向き予測形最適走行計画作成手段16も「むだ時間考慮形」の一種であるが、列車1を次の停車駅の目標位置に停車させるための走行計画の作成を、列車1の進行方向への予測に基づき行うようにしている。 【0044】すなわち、図17に示すように、列車挙動予測を列車進行方向に演算し、目標とする地点を目標速度で通過するように収束演算をする(または、減速開始点を少しずつずらしながら収束演算する)ことにより逆行カーブを使用せずに最適走行計画を作成することが可能になる。もし、むだ時間を考慮しなくて済むのならば、目標位置をブレーキ特性を参照しながら逆引きして求めた地点をブレーキ開始点とすればよいので演算が容易となるが、むだ時間を考慮しなければならない場合は、このような逆引き方式で求めたのでは演算アルゴリズムが複雑となる。そのため、ブレーキ開始点を求めるのに多くの演算時間を要することになり、ブレーキ開始点の演算結果が得られた時点では目標位置を通過してしまうことになる。なお、図17に示すような方法は、進行方向への予測演算を複数回行ってブレーキ開始点を求めることになるが、このような演算はたとえ複数回であっても所定のサンプリング周期毎に行うことができ短時間で終了する。 【0045】図10は、本発明の第9の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図10が図8と異なる点は、図8におけるむだ時間考慮形走行計画再計算手段15を前向き予測形走行計画再計算手段17としている点である。この前向き予測形走行計画再計算手段17は、前向き予測形最適走行計画作成手段16と同様に、走行計画についての再計算を行う際、列車1を次の停車駅の目標位置に停車させるための演算を列車1の進行方向への予測に基づき行うようにしている。したがって、むだ時間を考慮した走行計画の再計算を短時間で行うことが可能になる。なお、この前向き予測形走行計画再計算手段17は、図8におけるむだ時間考慮形走行計画再計算手段15ばかりでなく、図2乃至図6及び図9における走行計画再計算手段8,11,15についても置き換えることが可能である。 【0046】図11は、本発明の第10の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図11が図10と異なる点は、図10における前向き予測形走行計画再計算手段17を逐次前向き予測形走行計画再計算手段18にしている点である。図10における前向き予測形走行計画再計算手段17は、予め設定された所定制御周期毎に前向き予測演算による走行計画の再計算を行っているが、この実施形態の逐次前向き予測形走行計画再計算手段18では必ずしも制御周期毎に再計算を行う必要はない。例えば、サンプリング制御周期が0.3秒であれば、1秒毎程度でよいし、あるいは更に10秒毎でもよい。このように再計算を行う周期を変えることにより、演算負荷を小さくすることができる。なお、計算周期は、線路の勾配の急変化地点や制限速度の変化地点などを考慮した上で適切に決定することができる。 【0047】図12は、本発明の第11の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図12が図11と異なる点は、図11における逐次前向き予測形走行計画再計算手段18を速度計測駆動型逐次前向き予測形走行計画再計算手段19にしている点である。すなわち、速度検出器2の検出サンプリング周期が例えば1〔msec〕であったとすると、駅間走行時実施演算回路4B側ではこのような周期で入力した速度検出信号をそのまま使うのではなく、5〜10〔msec〕程度の期間に入力した速度検出信号に対してフィルタリング等の加工を行ない、その後にデータを更新するようにしている。そして、速度計測駆動型逐次前向き予測形走行計画再計算手段19は、このようなデータの更新周期で前向き予測形の走行計画再計算を行うようにしている。これにより、ノイズ等の影響を抑制することができ、再計算を行う際の演算精度を向上させることができる。 【0048】図13は、本発明の第12の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。この実施形態は、図10の構成において、駅間走行時実施演算回路4Bに駅間走行結果保存手段20を付加すると共に、駅停車時実施演算回路4Aにむだ時間推定手段21を付加したものであり、最新の走行結果に基づきむだ時間を推定できるようにしたものである。したがって、この実施形態におけるデータベース0は必ずしもむだ時間データを保存していなくてもよい。 【0049】すなわち、列車1がある駅を発車すると、列車位置、列車速度、ATC信号等の次の停車駅に到着するまでの期間における駅間走行結果データが駅間走行結果保存手段20に保存される。そして、列車1が次の駅に到着して停車すると、この停車中にむだ時間推定手段21は駅間走行結果保存手段20に保存されたデータに基づきむだ時間の推定を行い、その推定結果をむだ時間考慮形最適走行計画作成手段14及び前向き予測形走行計画再計算手段17に出力する。むだ時間考慮形最適走行計画作成手段14及び前向き予測形走行計画再計算手段17は、更にその次の停車駅までの区間における走行計画の作成及び再計算をその推定されたむだ時間を考慮しつつ行うようにする。 【0050】ここで、むだ時間推定手段21が行うむだ時間の推定方法につき述べると、これは複雑な演算アルゴリズムを用いるものではなく、計測データの信号レベルの変化から推定する簡単な方法である。例えば、ブレーキ時についていえば、ブレーキ制御指令が出力されてノッチ操作が行われると、ある時間経過後に列車速度が低下する現象が現れるが、このとき予め設定しておいた閾値に低下するまでの時間をむだ時間として推定することができる。なお、既述した図7乃至図12におけるデータベース0に保存されたむだ時間は、特に時間的制約がある状態で求める必要はないので、複雑な演算アルゴリズムを用いて推定した結果を保存することも可能であるが、列車1をテスト走行させ、この実施形態のむだ時間推定手段21を用いることで、より簡単にデータを取得することができる。 【0051】この実施形態によれば、最新の列車特性を反映したむだ時間を得ることができるので、むだ時間考慮形最適走行計画作成手段14及び前向き予測形走行計画再計算手段17がそれぞれ作成及び再計算する走行計画はより信頼性の向上したものとなる。 【0052】図14は、本発明の第13の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。図14が図13と異なる点は、駅間走行時実施演算回路4Bにオンラインむだ時間推定手段22が付加されており、前向き予測形走行計画再計算手段17はこのオンラインむだ時間推定手段22で推定されたむだ時間を考慮して再計算を行う用になっている点である。 【0053】すなわち、図13の構成は、ある区間での駅間走行結果に基づきむだ時間を推定し、この推定結果をその次の区間についての走行計画の再計算に用いるようにしているが、この図14の実施形態では、同一区間を走行中でも僅かな駅間走行結果に基づきむだ時間を推定できるようにし、これを再計算を行う際に利用できるようにしたものである。したがって、この実施形態における前向き予測形走行計画再計算手段17の再計算結果は、図13におけるものよりも更に最新の列車特性を反映したものになる。 【0054】図15は、本発明の第14の実施形態に係る自動列車運転装置4の構成を示すブロック図である。この実施形態は、図14の駅間走行時実施演算回路4Bに前向き予測形停車用仮走行計画計算手段23及び走行計画採用手段24を付加したものである。そして、この実施形態では、走行計画を列車走行時点に応じてP1,P2,P3の3種類に分類しておき、列車1が目標位置の手前の所定地点に到達した時点で、前向き予測形停車用仮走行計画計算手段23の計算した走行計画P3を走行計画採用手段24が採用するようにしている。以下、この第14の実施形態については詳しく説明する。 【0055】まず、走行計画P1,P2,P3を次のように定義する。 【0056】P1:列車1の駅停車時に走行計画再計算手段14(又は7,16でも可)により作成された最適走行計画。 【0057】P2:列車1の駅間走行中に走行計画再計算手段17(又は8,11,15,18,19でも可)により再計算された再計算走行計画。 【0058】P3:列車1が駅間走行中で且つ列車1が目標位置の手前Nメートル(例えば、N=300〔m〕)の地点に到達した時点以降に前向き予測形停車用仮走行計画計算手段23により作成された停車用仮走行計画。 【0059】仮走行計画計算手段23は、列車1が目標位置の手前Nメートルに到達すると、それ以降は所定周期(例えば、速度検出器2の検出サンプリング周期)で停車用仮走行計画P3を作成する。この停車用仮走行計画P3の作成は、その時点における列車検出速度、及び列車検出位置を利用し、列車進行方向にむだ時間を考慮しながら列車の停車挙動を予測することにより行われる。この場合の停車挙動としては、例えば現時点より直ちに所定のブレーキノッチ位置でブレーキをかけて停車した場合における停車基本挙動を策定しておき、これを利用することができる。そして、列車の走行挙動予測に関しては下記の(1)式に基づく物理モデルを使用する方法が考えられる。 【0060】F−Fr=M・α … (1) F:力行牽引力又はブレーキ力Fr:列車抵抗(走行抵抗、勾配抵抗、曲線抵抗、トンネル抵抗等) M:列車質量α:加速度又は減速度列車抵抗Frは列車走行時に発生する抵抗力であり、計算の便宜上、上記のように、走行抵抗、勾配抵抗、曲線抵抗、トンネル抵抗等で構成されると考えられる場合が多い。したがって、列車抵抗Frは下記の(2)式を用いて求めることができる。 【0061】 Fr=Frg+Fra+Frc+Frt … (2) (2)式中の各抵抗値はデータベース0に保存されているデータを使用し、以下の抵抗式(3)〜(6)に基づき求めることができる(「運転理論(直流交流電気機関車)」、交友社編、参照)。 【0062】・勾配抵抗式Frg=s … (3) Frg:勾配抵抗〔kg重/ton〕 s:勾配〔‰〕(上りの場合は正、下りの場合は負) ・走行抵抗式 Fra=A+B・v+C・v2(vの2乗) … (4) Fra:走行抵抗〔kg重/ton〕 A,B,C:係数v:速度〔km/h〕 ・曲線抵抗式Frc=800/r … (5) Frc:曲線抵抗〔kg重/ton〕 r:曲線半径〔m〕 ・トンネル抵抗式(トンネル抵抗は、トンネル断面形状や大きさ、及び列車速度等により大幅に変化するために便宜上以下の値を使用することがある) Frt=2(単線トンネルの場合) 又は、=1(複線トンネルの場合) … (6) Frt:トンネル抵抗〔kg重/ton〕 仮走行計画計算手段23は、上述した(1)式に基づく物理モデルを用いることにより、目標位置の手前Nメートルの地点に到達した以降に停車用仮走行計画P3の作成を繰り返し行っていく。この計画の作成を繰り返し行うことで、停車用仮走行計画P3における停車位置が目標位置に次第に接近していくことになる。図18は、この様子を示したものである。なお、目標位置から停車用仮走行計画演算開始位置までの距離Nの値は、「走行距離」±「余裕距離」等の式に基づき決定する。 【0063】次に、図15の走行計画採用手段24の動作を図19のフローチャートに基づき説明する。このフローチャートは、P1,P2,P3のいずれかの走行計画が所定周期で作成又は再計算されると設定されている場合に、ある1周期における処理手順を示すものである。 【0064】まず、走行計画採用手段24は現在の列車1の走行状態又は走行時点が、駅停車時または駅発車直後か、駅間走行時か、目標停車位置近辺か、につき判別する(ステップ1)。そして、「駅停車時又は駅発車直後」と判別した場合はむだ時間考慮形最適走行計画作成手段14が作成した最適走行計画P1を採用する(ステップ2)。この後、走行計画採用手段24はこの最適走行計画P1を制御指令抽出手段9に出力する。なお、制御指令抽出手段9が走行計画を入力した以降の動作については、既述した実施形態において既に説明しているので重複した説明を省略する。 【0065】ステップ1における判別が「駅間走行時」の場合、走行計画採用手段24は今回周期における走行計画再計算が実施されたか否かにつき判別する(ステップ3)。そして、再計算が実施されているのであれば、前向き予測形走行計画再計算手段17が再計算した再計算走行計画P2を採用する(ステップ4)。 【0066】一方、ステップ3で、今回周期における走行計画再計算が実施されていなければ、1時点前すなわち前回周期において最適走行計画P1が採用されていたか否かを判別する(ステップ5)。1時点前に最適走行計画P1が採用されていたのであれば、走行計画採用手段24はその最適走行計画P1を採用する(ステップ2)。しかし、1時点前に最適走行計画P1が採用されていない場合、これは現時点が、最適走行計画P1が過去に採用され且つその後に再計算が既に行われた後の時点であることを意味しているので、1時点前に採用されたのは再計算された走行計画ということになる。したがって、走行計画採用手段24はこの1時点前に採用されていた走行計画を採用する(ステップ6)。 【0067】また、ステップ1での判別が「目標停車位置近辺」すなわち目標停車位置のNメートル以内である場合、走行計画採用手段24は仮走行計画計算手段23が既に作成している停車用仮走行計画P3を入力し、その停車位置が「目標停車位置」±「許容誤差」の範囲に入っているか否かを判別する(ステップ7)。そして、停車位置がこの範囲内に入っていれば、その停車用仮走行計画P3を採用する(ステップ8)。しかし、この範囲内に入っていなければ、ステップ5に戻って、1時点前(又は更にそれ以前の時点)に再計算されている走行計画を採用し、再びステップ1を経由した後、ステップ7での判別を範囲内に入るまで繰り返し行う。 【0068】上述したように、この第14の実施形態によれば、目標停車位置近辺にて「目標停車位置」±「許容誤差」に停車できるような停車用仮走行計画を作成することで、目標停車位置に精度良く停車させることが可能となる。また、列車進行方向に列車挙動を予測しながら停車用仮走行計画を作成することにより、むだ時間の考慮がしやすくなり、且つ演算アルゴリズムも単純となる自動列車運転装置を容易に制作することが可能になる。なお、この実施形態では、停車用仮走行計画計算手段23が「前向き予測形」のものである場合を例にとり説明したが、この停車用仮走行計画計算手段23は特に「前向き予測形」のみに限定する必要はない。 【0069】ところで、これまでに述べてきた各実施形態の自動列車運転装置では、現在通常の列車において採用されている力行ノッチ、及びブレーキノッチにより制御指令が段階的に変化する方式のものを想定している。しかし、近い将来においては、駆動装置及び制動装置を連続的な制御指令信号により動作させることが可能になると考えられる。したがって、加速時の制御指令を連続的な牽引力指令又は力行トルク指令とし最適走行計画作成又は走行計画再計算を実施することで、より乗り心地及び省エネルギー効果を向上させた自動運転が可能となる。また、減速時の制御指令についても連続的なブレーキ力指令とし最適走行計画作成又は走行計画再計算を実施することで、同様に、より乗り心地及び省エネルギー効果を向上させた自動運転が可能となる。あるいは更に、加速時及び減速時の双方において、上記のような連続的な制御指令とし、乗り心地及び省エネルギー効果を一層向上させた自動運転も可能となる。 【0070】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、列車の自動運転を行う際のハンチングの影響を極力排除することにより省エネルギー効果を向上させることができる。また、特定の実施形態によれば、むだ時間を求めることを可能にすることにより目標位置への停止精度を向上させることができ、さらに別の実施形態によれば、ノッチ操作を行った場合の速度制御指令の段階的変化に起因する乗り心地の悪さを改善することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
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| 【出願日】 |
平成14年2月7日(2002.2.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075812 【弁理士】 【氏名又は名称】吉武 賢次 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−235116(P2003−235116A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月22日(2003.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願2002−31114(P2002−31114) |
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