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【発明の名称】 電力変換装置
【発明者】 【氏名】宮入 正樹
【住所又は居所】東京都府中市晴見町2丁目24番地の1 東芝トランスポートエンジニアリング株式会社内

【氏名】橋本 隆
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【要約】 【課題】組立てを分業化することができ、作業性やメンテナンス性のよい車両用の電力変換装置を提供する。

【解決手段】半導体素子1のスイッチングによって直流から交流へあるいは交流から直流へ変換する回路を有する発熱部10とこの発熱部10に結合され前記発熱部10を冷却する放熱部11とを備えたスタック12と、車両5の床下に取り付けられ前記スタック12を着脱可能に支持して前記発熱部10を密閉部に収容し前記放熱部11を車側の開放部に保持する箱体6とを備えた構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体素子のスイッチングによって直流から交流へあるいは交流から直流へ変換する回路を有する発熱部とこの発熱部に結合され前記発熱部を冷却する放熱部とを備えたスタックと、車両の床下に取り付けられ前記スタックを着脱可能に支持して前記発熱部を密閉部に収容し前記放熱部を車側の開放部に保持する箱体とを備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】 スタックは電力変換回路の1相ごとに構成され、前記スタックの箱体への取付け部には水密性を保持する境界板を備えていることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】 放熱部は発熱部に結合されたヒートパイプとこのヒートパイプに結合された放熱フィンとを備え、境界板は発熱部に最も近い放熱フィンによって形成されていることを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項4】 境界板には電力変換回路用のゲートアンプおよびゲートアンプ点検用カバーが設けられていることを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項5】 放熱部は発熱部に結合されたヒートパイプとこのヒートパイプに結合された放熱フィンとを備え、最も車側寄りの放熱フィンを固定部に係止するようにしたことを特徴とする請求項2記載の電力変換装置。
【請求項6】 スタックと箱体の密閉部に主回路を接離するワンタッチコネクタを備えていることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項7】 前記ワンタッチコネクタは何れか一方が直線的に移動することによって挿抜可能であり、前記ワンタッチコネクタの着脱方向と前記スタックの挿抜方向が同一であることを特徴とする請求項6記載の電力変換装置。
【請求項8】 前記ワンタッチコネクタの近傍に前記スタックの前記箱体への取り付けの際に前記ワンタッチコネクタよりも先に嵌合し始める位置決めガイドが設けられていることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項9】 前記ワンタッチコネクタは、板状の嵌合導体と、この嵌合導体を両側からはさみこむU字状コネクタとから成ることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項10】 前記ワンタッチコネクタは複数設けられ、前記スタックまたは前記箱体の何れか一方側で挿抜方向に変位しており、挿着完了時のそれぞれの喰い込み寸法が異なることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項11】 前記スタックの下面に開閉可能な蓋を設け、その上方に、前記スタックの内部に実装されたゲートアンプへの前記箱体側からの配線接続部又は前記半導体素子の両端の電位を確認するチェック端子が設けられていることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項12】 前記スタック内に設けられる制御回路への電気的接続を行なう制御回路コネクタを備え、この制御回路コネクタは何れか一方が直線的に移動することによって挿抜可能であり、前記ワンタッチコネクタの挿抜方向と同一の挿抜方向を有することを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項13】 前記スタックには電力変換回路1相分以上の半導体素子および、3個以上のワンタッチコネクタが設けられていることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【請求項14】 前記スタックの最も車体中央側に前記ワンタッチコネクタの一方が設けられ、前記箱体側においては積層導体に前記ワンタッチコネクタの他方が接続されていることを特徴とする請求項7記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道等の車両の床下に設置され車両駆動用電力を供給する電力変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両床下に設置される車両駆動用の電力変換装置は、図17に示すように、三相ブリッヂ接続された半導体素子1と、各相のAK間に接続された相コンデンサ2と、直流端子PN間に接続されたフィルタコンデンサ3を備えた回路によって、鉄道架線から直流端子PNに入力される直流電力を半導体素子1のスイッチングにより交流電力に変換し、この交流電力を交流端子UVWから出力して車両駆動用の電動機に供給する。上記回路は、半導体素子1から発生する熱を効率よく除去するために半導体素子冷却ユニット4内に設けられる。
【0003】半導体素子冷却ユニット4は、図18に示すように、車体5の下に取り付けられた箱体6に取り付けられ、半導体素子1、相コンデンサ2、フィルタコンデンサ3、ゲートアンプ7等は箱体6の中の密閉部に配置され、半導体素子冷却ユニット4と箱体6側との電気的な接続もこの密閉部で双方の端子あるいは導体30をボルト等で接続することで行われる。
【0004】半導体素子1を取り付けた受熱ブロックに取り付けられたヒートパイプ8およびこのヒートパイプ8に取り付けられた放熱フィン9は箱体6の外の開放部に配置されている。半導体素子1が発熱部10を構成し、ヒートパイプ8と放熱フィン9が放熱部11を構成し、発熱部10と放熱部11によってスタック12が構成されている。13は装置仕切り板であり、14は艤装限界である。
【0005】放熱部11は、車両床下にその排熱がこもり床下の配線、配管等を加熱することがないよう、車体側方側に配置されている。ヒートパイプ8は、発熱部10側が下方となるよう傾けて設置され、ヒートパイプ8内部に封入された冷媒は発熱部10側で半導体素子1から発生する熱により蒸発し、放熱フィン9側で凝縮して大気へ熱放散を行なう。凝縮した冷媒はヒートパイプ8内部を重力により発熱部10側へ戻るサイクルを繰り返す。放熱フィン9は自然冷却により大気へ熱放散を行なうため、地面に対しほぼ垂直に設置され、放熱フィン9の間を上昇気流が通りやすくなっている。
【0006】半導体素子冷却ユニット4は、三相分のヒートパイプ8が半導体素子冷却ユニットフレーム15に水密構造にて取り付けられ、つぎに半導体素子1、相コンデンサ2等の各相の電気品がヒートパイプ8の受熱ブロックや半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けられ、フィルタコンデンサ3やゲートアンプ7が半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けられた構成となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の電力変換装置においては、ヒートパイプ8を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けた後に電気品やその他の構成品を取り付けるため、組立ての分業化が困難であった。また、電気品及びその他の用品の取り付けは、各相のヒートパイプ受熱ブロックの間の狭いスペースでの作業のため、工具の取扱いなどの作業性やメンテナンス性が悪かった。
【0008】すなわち、半導体素子冷却ユニット4の箱体6からの着脱は車体側方側からの挿入、引き出しとなるが、その方向には冷却器の放熱部11がある。この着脱作業の際は、半導体素子冷却ユニット4の箱体6との機械的な固定つまり取り付け部分を解除するだけでなく、もちろん電気的な接続を解除する必要がある。
【0009】ここで電気的な接続は装置の車体中央側で行われているため、車体中央側に入り込んでの作業が必要になり、そのための作業スペースが電力変換装置の内部に必要になってくる。あるいは車体中央側に電力変換装置と隣接して配置される他の装置との間に作業スペースをとった車両床下機器配置とし、電力変換装置のこの部位には開閉可能な蓋31を設けることが必要となる。また、この蓋31を取り外した際に前記電気的な接続部分へ直接アクセスすることができる構造としておくことは当然必要となる。
【0010】このように従来の電力変換装置は、半導体素子冷却ユニット4の着脱作業において作業性が問題になるうえ、その作業スペースが必要になり、車両床下という限られたスペースを有効に使えないという問題がある。
【0011】そこで本発明は、組立てを分業化することができ、半導体素子冷却ユニットの着脱性がよく、スペースを有効に活用し作業性やメンテナンス性のよい車両用の電力変換装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、半導体素子のスイッチングによって直流から交流へあるいは交流から直流へ変換する回路を有する発熱部とこの発熱部に結合され前記発熱部を冷却する放熱部とを備えたスタックと、車両の床下に取り付けられ前記スタックを着脱可能に支持して前記発熱部を密閉部に収容し前記放熱部を車側の開放部に保持する箱体とを備えた構成とする。
【0013】この発明によれば、半導体素子冷却ユニットフレームに対してスタックが着脱可能であるので、組立てを分業化することができ、良好な作業性とメンテナンス性を得ることができる。
【0014】請求項2の発明は、請求項1の発明において、スタックは電力変換回路の1相ごとに構成され、前記スタックの箱体への取付け部には水密性を保持する境界板を備えている構成とする。この発明によれば、スタックの取り扱い作業性が良く、発熱部に雨水等の侵入しない電力変換装置を提供することができる。
【0015】請求項3の発明は、請求項2の発明において、放熱部は発熱部に結合されたヒートパイプとこのヒートパイプに結合された放熱フィンとを備え、境界板は発熱部に最も近い放熱フィンによって形成されている構成とする。この発明によれば、簡潔な構造によって取り扱い作業性と防水性のよい電力変換装置を提供することができる。
【0016】請求項4の発明は、請求項2の発明において、境界板には電力変換回路用のゲートアンプおよびゲートアンプ点検用カバーが設けられている構成とする。この発明によれば、スタックにおける電気配線が少なく、点検作業性のよい電力変換装置を提供することができる。
【0017】請求項5の発明は、請求項2の発明において、放熱部は発熱部に結合されたヒートパイプとこのヒートパイプに結合された放熱フィンとを備え、最も車側寄りの放熱フィンを固定部に係止するようにした構成とする。この発明によれば、箱体へのスタックの着脱の行ないやすい電力変換装置を提供することができる。
【0018】請求項6の発明は、請求項2の発明において、スタックと箱体の密閉部に主回路を接離するワンタッチコネクタを備えている構成とする。この発明によれば、スタックと箱体とのあいだの電気的接続の着脱の行ないやすい電力変換装置を提供することができる。
【0019】請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記ワンタッチコネクタは何れか一方が直線的に移動することによって挿抜可能であり、前記ワンタッチコネクタの着脱方向と前記スタックの挿抜方向が同一である構成とする。
【0020】この発明によれば、スタックの箱体への組込み作業と同時にワンタッチコネクタが嵌合し電気的な接続も同時に行われる。また、箱体からの取り外し作業と同時にワンタッチコネクタも嵌合が解除され電気的接続が切り離される。
【0021】請求項8の発明は、請求項7の発明において、前記ワンタッチコネクタの近傍に前記スタックの前記箱体への取り付けの際に前記ワンタッチコネクタよりも先に嵌合し始める位置決めガイドが設けられている構成とする。ワンタッチコネクタの嵌合には寸法精度が必要であるが、この発明によれば、位置決めガイドにより位置決めの精度が確保される。
【0022】請求項9の発明は、請求項7の発明において、前記ワンタッチコネクタは、板状の嵌合導体と、この嵌合導体を両側からはさみこむU字状コネクタとから成る構成とする。この発明によれば、スタックを直線的に移動することによってワンタッチコネクタを簡単確実に挿抜することができる。
【0023】請求項10の発明は、請求項7の発明において、前記ワンタッチコネクタは複数設けられ、前記スタックまたは前記箱体の何れか一方側で挿抜方向に変位しており、挿着完了時のそれぞれの喰い込み寸法が異なる構成とする。この発明によれば、ワンタッチコネクタの嵌合が同時でなく、一個ずつ順次に嵌合し始めるので挿抜作業性が良い。
【0024】請求項11の発明は、請求項7の発明において、前記スタックの下面に開閉可能な蓋を設け、その上方に、前記スタックの内部に実装されたゲートアンプへの前記箱体側からの配線接続部又は前記半導体素子の両端の電位を確認するチェック端子が設けられている構成とする。
【0025】この発明によれば、この蓋を開けて制御回路配線の接続、切り離しが可能であり、また、半導体素子故障時の電気的な導通確認がこの部分から行えるので、車体中央側での作業が不要となる。
【0026】請求項12の発明は、請求項7の発明において、前記スタック内に設けられる制御回路への電気的接続を行なう制御回路コネクタを備え、この制御回路コネクタは何れか一方が直線的に移動することによって挿抜可能であり、前記ワンタッチコネクタの挿抜方向と同一の挿抜方向を有する構成とする。この発明によれば、スタックの着脱と同時に主回路、制御回路とも双方のコネクタによる電気的接続、切り離しが可能となる。
【0027】請求項13の発明は、請求項7の発明において、前記スタックには電力変換回路1相分以上の半導体素子および、3個以上のワンタッチコネクタが設けられている構成とする。
【0028】この発明によれば、各相を構成する上下アーム間の接続が1個のスタック内で行われインダクタンスが小さくなり、主回路全ての接続をコネクタ化することでスタックの着脱作業性も良い。
【0029】請求項14の発明は、請求項7の発明において、前記スタックの最も車体中央側に前記ワンタッチコネクタの一方が設けられ、前記箱体側においては積層導体に前記ワンタッチコネクタの他方が接続されている構成とする。
【0030】この発明によれば、積層導体によってインダクタンスが低減される上に、スタックの最も車体中央側にワンタッチコネクタがあることで、箱体側に設けた積層導体はスタックと干渉することなく広い面積を確保することが可能となり、より低インダクタンス化に有効である。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態の電力変換装置を図1,2,3を参照して説明する。図1(a)は半導体素子冷却ユニット4を車体5の下部に取り付けた側面図、図1(b)はスタック12に境界板16を取り付けるイメージの側面図、図2はスタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージの側面図、図3(a)は図1(a)のA−A断面である半導体素子冷却ユニット4の平面図、図3(b)は図2のB矢視図であるスタックの発熱部側より見た正面図、図3(c)は図2のC矢視図であるスタック挿入面より見た半導体素子冷却ユニットフレーム15の図を示す。
【0032】これらの図に示されているように、半導体素子冷却ユニット4は箱体6に取り付けられ、この箱体6の一部を構成する半導体素子冷却ユニットフレーム15を境にして、内部側は密閉部、外部側は開放部となる。半導体素子冷却ユニットフレーム15には3つの取付窓18が設けられており、取付窓18にスタック12が取り付けられる。スタック12は、半導体素子1が設けられた発熱部10と放熱フィン9が設けられた放熱部11とからなる。
【0033】最も発熱部10寄りのフィン9aに、周状に形成したパッキンガイド19にパッキン17を取り付けた境界板16が防水処理を施して固定される。半導体素子1と相コンデンサ2からなる1相分の電気品およびそれらを接続する導体などの用品をパッキン17の周囲内に収納するように取り付けた3個のスタック12を半導体冷却ユニットフレーム15に設けられた取付窓18に車側側より挿入する形で矢印Kの方向から取り付ける。こうして、1つのインバータ回路を有する半導体素子冷却ユニット4が構成される。
【0034】スタック12を取り付ける際、スタック12の最も発熱部10に近い側のフィン9aに取り付けた境界板16の取付穴20を利用してボルト止めすることにより、境界板16に取り付けられたパッキン17が押圧され、半導体素子冷却ユニットフレーム15とスタック12との境界の水密性を保つ。以上の構成により、車体5に対しては放熱部11が車体側方側となるよう配置され、艤装限界14内におさまるように艤装される。
【0035】この第1の実施の形態の電力変換装置においては、1つの半導体素子冷却ユニット4に3つのスタック12を構成することにより、1つのインバータ回路を構成する。スタック12内のヒートパイプ8の最も発熱部寄りのフィン9aに取り付けた境界板16のパッキン17の周囲内に半導体素子1と相コンデンサ2からなる電気品及びその他の用品を取り付けた構成であるので、スタック12は、半導体冷却ユニットフレーム15と着脱が可能である。
【0036】したがって、この第1の実施の形態によれば、インバータ回路がスタック単位であるので取扱性が向上する。また、スタックの着脱が可能であるので、高い組立作業性とメンテナンス性が得られる。
【0037】つぎに本発明の第2の実施の形態の電力変換装置を図4,5,6を参照して説明する。図4(a)は半導体素子冷却ユニット4の側面図を、図4(b)は図4(a)のb−b矢視平面図を、図5はスタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージの側面図を、図6(a)はスタック12の側面図を、図6(b)は図6(a)の左側から見た正面図を、図6(c)は図5のD矢視図であるスタック挿入面より見た半導体素子冷却ユニットフレーム15の図を示す。
【0038】この第2の実施の形態では、スタック12を構成するヒートパイプ8の最も発熱部10に近い側に取り付けられたフィン9aの4辺を発熱部10側に折り曲げ、折り曲げた4角の隙間を溶接又は防水シールなどにより埋め、水密性のある構造としている。半導体素子冷却ユニットフレーム15のスタック12取付面には、パッキンガイド19およびパッキン17が周状となるように取り付けられている。スタック12の発熱部10には、1相分の半導体素子1、相コンデンサ2等の電気品がパッキン17で囲まれた範囲内に取り付けられる。
【0039】スタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付ける際、スタック12の最も発熱部10側のフィン9aに設けた取付穴20を利用してボルト止めすることにより、フィン9aの折り曲げ部がパッキン17を押圧し、半導体素子冷却ユニットフレーム15とスタック12との境界の水密性を保つ。
【0040】この第2の実施の形態の電力変換装置においては、スタック12内のヒートパイプ8の最も発熱部10寄りに取り付けられたフィン9aの形状が半導体冷却ユニットフレーム15のパッキン17に食い込む構成にすることにより、また、半導体冷却ユニットフレーム15に周状に構成されたパッキン17の範囲内に電気品及びその他の用品を構成することにより、スタック12が半導体素子冷却ユニットフレーム15より着脱可能となり、水密性においては、第1の実施の形態における境界板16を設けることなく同様の効果を得ることができる。
【0041】したがってこの第2の実施の形態によれば、部品点数が削減されてスタック12が軽量化され、また、スタック12の半導体素子冷却ユニットフレーム15との着脱時の作業性の向上と境界部の防水処理の削減により水密構造の品質が向上する。
【0042】つぎに本発明の第3の実施の形態の電力変換装置を図7を参照して説明する。図7(a)は半導体素子冷却ユニット4の側面図を、図7(b)はスタック12を半導体冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージの側面図を示す。
【0043】この実施の形態においては、スタック12内のヒートパイプ8の最も発熱部10寄りに取り付けられたフィン9aに水密性を保持するパッキンガイド19およびパッキン17を周状となるように取り付けた構成とする。スタック12の発熱部10には、1相分の半導体素子1、相コンデンサ2等の電気品をパッキン17の周囲内に取り付ける。
【0044】スタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付ける際、スタック12の最も発熱部よりのフィン9aに設けた取付穴を利用してボルト止めすることにより、半導体素子冷却ユニットフレーム15に、前記フィン9aのパッキン17を押圧し、半導体冷却ユニットフレーム15とスタック12との境界の水密性を保つ。
【0045】この第3の実施の形態の電力変換装置においては、スタック12内のヒートパイプ8の最も発熱部寄りに取り付けられたフィン9aの形状を第1の実施の形態における境界板16と同様の構成とすることにより、境界板16を取り付けたのと同様に作用する。そして第2の実施の形態と同様、境界部の構造物の部品削減、境界部に塗布する防水シール処理の削減が可能となる。また、境界部の構成において、第2の実施の形態とは異なり、パッキン17の取り付けが重力方向で上側となるので、塵埃、雨水などがパッキン17に蓄積されることがない。
【0046】したがってこの第3の実施の形態によれば、パッキン17の周囲内に用品を取り付けることにより、スタック12の半導体素子冷却ユニットフレーム15からの着脱が可能な構成となり、部品点数削減によるスタック12の軽量化により、スタック12着脱時の作業性が向上し、防水処理の削減による水密構造の品質向上が可能となる。また、パッキン17が重力方向で上側に取り付けられることによりパッキン17への塵埃、雨水などの蓄積が低減され、パッキン17の早期劣化を抑える効果がある。
【0047】つぎに本発明の第4の実施の形態の電力変換装置を図8を参照して説明する。図8(a)は半導体素子冷却ユニット4の側面図を、図4(b)はスタック12を半導体冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージの側面図を示す。
【0048】この第4の実施の形態は、スタック12内のヒートパイプ8の最も発熱部10寄りに取り付けられたフィン9aが、前記第3の実施の形態と同様の構成で、かつ他のフィンより下方に大きい寸法とする。そして、ゲートアンプ7を発熱部10の下部に配置し、最も発熱部10寄りのフィン9a下部にゲートアンプ7の点検用のカバー22が取り付けられた構成とする。フィン9a上のパッキンガイド19は、ゲートアンプ7より外周となるように構成する。半導体素子1とゲートアンプ7はゲート配線21によって接続されている。
【0049】この第4の実施の形態の電力変換装置においては、ヒートパイプ8の最も発熱部10寄りに取り付けられた放熱フィン9aの下部にゲートアンプ点検用カバー22を設けたことにより、半導体素子冷却ユニット4を車体に取り付けた状態で、車体中央側に潜りこむことなく、車側側より容易にゲートアンプ7の点検を行なうことができる。また、ゲートアンプ7は発熱部10の下部に取り付け、半導体素子1の直下となるため、半導体素子1とゲートアンプ7を接続するゲート配線21を短くすることができる。
【0050】したがって、この第4の実施の形態によれば、車側側からゲートアンプ7を点検することができるので、確認試験の操作性が向上し、メンテナンス性が向上し、それらの作業時間を短縮することができる。また、ゲート配線21が短くなることにより、ノイズの影響を受けにくくなり、信頼性が向上する。なおこの第4の実施の形態における放熱フィン9aは第1の実施の形態におけるような別付けの境界板16であってもよい。
【0051】つぎに本発明の第5の実施の形態の電力変換装置を図9を参照して説明する。図9(a)は半導体素子冷却ユニット4のスタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージ図を、図9(b)はワンタッチコネクタ23部の平面図を示す。
【0052】この実施の形態は、半導体素子冷却ユニット4のスタック12とフィルタコンデンサ3等との電気的接続部の主回路側にワンタッチコネクタ23を設け、制御回路側に通常のコネクタ24を取り付けた構成である。主回路ワンタッチコネクタ23は、固定側である半導体素子冷却ユニットフレーム15側の間口はテーパ状に広がった形状とし、可動側であるスタック12側の導体は、先端が細くなるテーパ状としている。
【0053】制御回路のコネクタ24も、主回路と同様に半導体素子冷却ユニットフレーム15側に固定側コネクタを、スタック12側に可動側コネクタを取り付け、ガイド25を設けて、勘合性をよくしている。そして、スタック12を取り付ける際、スタック12の最も発熱部10寄りのフィン9aの取付穴を利用してボルト止めすることにより、半導体素子冷却ユニットフレーム15とスタック12との嵌合部の水密性を得るとともに電気的接続を行なう構成である。
【0054】この第5の実施の形態の電力変換装置においては、主回路ワンタッチコネクタ23を設けたことにより、スタック12の取り付けが、車側側からの作業で可能となる。また、半導体素子冷却ユニット4内では、スタック12との接続のための締結作業エリアの確保が不要となる。
【0055】したがってこの第5の実施の形態によれば、スタック12の取り付けが車側側からのみの作業となるため、組立作業性とスタック交換作業性が向上し、それらの各作業時間を短縮することができる。また、接続部の締結作業エリアの削除、メンテナンス作業用の間口の削除や、空間の有効利用により、半導体素子冷却ユニット4、ひいては電力変換装置の小型・軽量化が可能となる。なおこの第5の実施の形態における放熱フィン9aは第1の実施の形態におけるような別付けの境界板16であってもよい。
【0056】つぎに本発明の第6の実施の形態の電力変換装置を図10を参照して説明する。図10(a)は半導体素子冷却ユニット4の側面図を、図9(b)はスタック12の側面図を、図10(c)は図10(b)の左側から見た正面図を、図10(d)はスタック12を半導体素子冷却ユニットフレーム15に取り付けるイメージ図を示す。
【0057】この第6の実施の形態も、第2から第5の実施の形態と同様にヒートパイプ8の最も発熱部10寄りに取り付けられたフィン9aと半導体素子冷却ユニットフレーム15との間に水密性を保持する構成とする。半導体素子冷却ユニットフレーム15にスタック12を取り付ける際には、スタック12の最も車側寄りのフィン9bに設けた取付穴を利用して係止部材26にボルト止めすることにより、境界部のパッキン17が押圧され、半導体素子冷却ユニットフレーム15とスタック12の境界の水密性を保つ構造である。
【0058】この第6の実施の形態によれば、半導体素子冷却ユニットフレーム15へのスタック12の取付箇所が、奥まった発熱部10側でなく、手前側となる車側側のフィン9bの取付穴を利用しての取り付けとなるため、取付け作業性が向上し、作業時間を短縮することができる。なおこの第6の実施の形態における放熱フィン9aは第1の実施の形態におけるような別付けの境界板16であってもよい。
【0059】つぎに本発明の第7の実施の形態の電力変換装置を図11を用いて説明する。図11(a)はスタック12を箱体6へ組み込む状態を示す平面図で、箱体6側は部分的に断面を示している。図11(b)は同じ状態の(車体断面方向となる)側面図で、図11(a)と同様に箱体6側は部分的に断面を示している。図11(c)は図11(b)のC−C矢視図で電気的接続部分のみを示す。
【0060】この実施の形態では、直列に接続された半導体素子1で構成される電力変換回路スイッチング部の両端に接続されるフィルタコンデンサ3が箱体6側に設置されており、スタック12と電気的に接続されるが、この主回路電気的接続部にワンタッチコネクタである大電流コネクタを使用する。
【0061】この大電流コネクタは主におす側コネクタとめす側コネクタの2個の要素から成っており、一方はスタック12側に設置され、もう一方は箱体6側に取り付けられる。おす側コネクタは板ブレード状で嵌合される先端部がテーパ状に細くなった嵌合導体29であり、これが嵌合する相手となるめす側コネクタは嵌合される先端部がテーパ状に広がったU字断面形状のコネクタ23aである。
【0062】本実施の形態では、スタック12とフィルタコンデンサ3との電気的接続部の箱体6側にU字状コネクタ23aを複数個取り付けるが、フィルタコンデンサ3とこのU字状コネクタ23a間は積層導体32で接続される。他方、スタック12側に嵌合導体29が複数個取り付けられる。これらU字状コネクタ23aと嵌合導体29の嵌合方向はスタック12の箱体6への挿入方向Kと合わせてある。
【0063】この実施の形態の電力変換装置は、スタック12を箱体6へ組み込む際、スタック12を車体側方側より挿入していくと、箱体6側に設置されたU字状コネクタ23aへスタック12側に設置された嵌合導体29が嵌合し始める。このとき双方の先端形状はテーパ状になっているので、多少の寸法のずれは問題なく嵌合し始めることができる。そのままスタック12をさらに箱体6側へ挿入していくと、U字状コネクタ23aと嵌合導体29とは完全に嵌合され電気的接続が完了するが、同時にスタック12は箱体6へ完全に組み込まれ、これを車体側方側よりボルト等で締め付けることでスタック12が箱体6へ取り付けられる。
【0064】この第7の実施の形態の電力変換装置によれば、ワンタッチコネクタである大電流コネクタで主回路電気的接続を行なうことにより、スタック12の箱体6への取付けが車体側方側からの作業で可能となる。また、箱体6内に、スタック12との電気的接続のための締結作業エリアの確保が不要となる。
【0065】さらに、スタック12の取付けが車体側方側からのみの作業となるため、組込み作業性、スタック交換作業性が向上する。また、接続部の締結作業エリアの削除、メンテナンス作業用のスペースの削除及び有効利用により、半導体素子冷却ユニット、ひいては電力変換装置の小形・軽量化が可能となる。
【0066】つぎに本発明の第8の実施の形態を図12を参照して説明する。この実施の形態の電力変換装置は、箱体6側とスタック12側のそれぞれに位置決めとなるガイド穴28とガイドピン27を設け、U字状コネクタ23aと嵌合導体29からなる大電流コネクタの嵌合方向と方向を合わせたもので、このガイド穴28とガイドピン27は、大電流コネクタが嵌合し始めるより先に嵌合するようにしたものである。この実施の形態によれば、ガイド穴28とガイドピン27の機構により大電流コネクタの嵌合精度を容易に得ることができる。
【0067】つぎに本発明の第9の実施の形態を図13を参照して説明する。この実施の形態の電力変換装置は、U字状コネクタ23aと嵌合導体29より構成される複数個の大電流コネクタを一直線状に並べて配置し、かつブレード方向も同一方向としたものである。この実施の形態によれば、複数個の大電流コネクタの取付け位置を精度良く、相互の寸法誤差を小さく構成することができる。
【0068】つぎに本発明の第10の実施の形態を図14を参照して説明する。この実施の形態の電力変換装置は、箱体6側に設けた複数個のU字状コネクタ23aの先端の位置が挿抜方向に変位しており段差が設けられた構成となっている。スタック12側に設けた複数個の嵌合導体29は挿抜方向に同位置に並べられた構成となっており、その結果、嵌合完了時の大電流コネクタごとの喰い込み寸法が異なる長さとなる。
【0069】この実施の形態によれば、スタック12の箱体6への取り付け挿入をする際、複数個の大電流コネクタは1個ずつ順々に嵌合することになるので、初めに嵌合する挿入数が少ないことにより押圧力が小さくなり、かつそれぞれの大電流コネクタの位置決めが1個ずつとなることからスタック挿入作業性が向上する。
【0070】つぎに本発明の第11の実施の形態を図15を参照して説明する。この実施の形態の電力変換装置は、半導体素子1の取り付けられた冷却器冷却ブロックの下方にスタック12内に実装されたゲートアンプ7を配置し、ゲートアンプ7の下方にゲートアンプ点検口7aを設け、通常は点検用カバー22aにて水密を保ち閉じられた構成とする。ゲートアンプ7は、半導体素子1の両端の電位を確認するためのチェック端子が設けられており、半導体素子1とはゲート信号配線により接続されている。また箱体6側の制御回路と電気的に接続するためにコネクタもしくは端子が設けられ、コネクタの嵌合又は端子へのネジ止めにより接続される。
【0071】この実施の形態の電力変換装置は、ゲートアンプ点検口7aと点検用カバー22aを設けたことにより、スタック12が箱体6に取り付けられた状態でのゲート配線作業が容易であり、半導体素子1の両端の電位を確認するなどの点検が可能となる。
【0072】つぎに本発明の第12の実施の形態を図16を参照して説明する。この実施の形態の電力変換装置は、制御配線接続も主回路接続用の大電流コネクタと同様に、制御回路コネクタ24の片側を箱体6側に、もう片側をスタック12側に設置し、スタック12の箱体6への取り付け取り外しにより、これら制御回路コネクタ24が挿抜可能なよう、スタックの挿入方向Kと同一方向に動くことで挿抜できるよう構成する。この実施の形態によれば、主回路のみならず制御回路も、スタック12の機械的な取り付け取り外し作業と同時に電気的な接続及び切り離しが可能となる。
【0073】以上に説明した各実施の形態によれば、スタック12の取り付け取り外し作業性が著しく向上し、故障時のスタック交換が容易で、車体中央側での作業が不要となることから、作業場所の制約もなくなる。また、車体中央側に作業スペースの確保が不要となるので、電力変換装置の小形軽量化にもつながり、車体床下にこれと隣り合って設置される他の装置との間にも作業スペースが不要となるので、車体床下という限られたスペースを有効に活用することができる。
【0074】
【発明の効果】本発明の電力変換装置においては、装置箱体あるいは半導体素子冷却ユニットフレームに対してスタックを容易に着脱することができ、組立てを分業化することができ、良好な作業性とメンテナンス性を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000221177
【氏名又は名称】東芝トランスポートエンジニアリング株式会社
【住所又は居所】東京都府中市晴見町2丁目24番地の1
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成14年11月13日(2002.11.13)
【代理人】 【識別番号】100087332
【弁理士】
【氏名又は名称】猪股 祥晃 (外2名)
【公開番号】 特開2003−235112(P2003−235112A)
【公開日】 平成15年8月22日(2003.8.22)
【出願番号】 特願2002−329748(P2002−329748)