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【発明の名称】 電気車制御装置
【発明者】 【氏名】牧野 友由
【住所又は居所】東京都府中市晴見町2丁目24番地の1 東芝トランスポートエンジニアリング株式会社内

【氏名】逸見 琢磨
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】青山 育也
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社東芝本社事務所内

【要約】 【課題】インバータの保護動作及び故障発生時に、断流器をオフさせずに該当するインバータのゲート制御だけを停止させることにより、インバータ再起動時間を短縮し、また断流器の接点磨耗を減らす。

【解決手段】インバータ60の保護動作又は故障時にインバータのゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、架線1とインバータの接続、遮断を行う断流器4は接続状態に維持することによって、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済むようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架線に対して断流器を介して接続された、半導体スイッチング素子で構成されるインバータをゲート制御することによって当該インバータの出力を制御し、電動機を駆動する電気車制御装置において、前記インバータの保護動作及び故障を検出する故障検出手段と、前記故障検出手段が前記インバータの保護動作又は故障を検出した時に、前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させるインバータ制御手段とを備えて成る電気車制御装置。
【請求項2】 前記故障検出手段が電流に起因する保護動作を検出した時(相短絡時を除く)に、前記インバータ制御手段が前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させることを特徴とする請求項1に記載の電気車制御装置。
【請求項3】 前記故障検出手段が電圧に起因する保護動作を検出した時(過電圧抑制制御時を除く)に、前記インバータ制御手段が前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインバータ制御によって電動機を駆動する電気車制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気車の車輪駆動用電動機は可変電圧可変周波数(VVVF)インバータによって駆動制御されるようになっているが、このインバータをゲート制御する電気車制御装置では、例えば、特公平6−28481号公報に記載されているように、インバータの保護動作や故障が発生した時にインバータのゲート制御信号を停止すると共に架線とインバータとの間に接続されている断流器、さらには高速度遮断器を遮断動作させて主回路を保護するようにしている。
【0003】この従来の電気車制御装置の構成について説明すると、図6に示す従来例、つまり1台のVVVFインバータによって1つの車両のすべての駆動電動機を制御する電気車制御装置の場合、架線1から集電器2によって取り込んだ電力を高速度遮断器3及び断流器4を介してVVVFインバータ5に取り込み、このインバータ5の出力によって複数台の駆動電動機M1,M2,…を同時に駆動する構成であり、インバータ5はインバータ制御部6によってゲート制御して電動機M1,M2,…への出力を制御するようにしている。
【0004】そしてインバータ制御部6には故障検知機能が備えられていて、インバータ5の保護動作又は故障のような異常を検出した時にはオフ信号7によって断流器4をオフさせ(なお、リレー回路で結果的には高速度遮断器3もオフする)、同時にゲートオフ信号8によってインバータ5をゲートオフするという2つの保護動作シーケンスによって停止動作させる。その後、インバータ5を再起動させるためには、主回路の充電動作のために高速度遮断器3をオンし、充電接触器9をオンして突入電流を充電抵抗器10で抑制しながらフィルタリアクトル11を充電し、続いて断流器4をオンし充電接触器9をオフし、この後にVVVFインバータ5のゲート制御を再開して再起動する手順をとっている。
【0005】また図7に示す従来例、つまり1つの断流器4に複数台のVVVFインバータ5−1,5−2,…が接続され、これらのインバータ各々によって駆動電動機M1,M2,…を個別に駆動制御する電気車制御装置では、VVVFインバータ5−1,5−2,…のいずれかの異常をインバータ制御部6−1,6−2,…のいずれかが検出した時、断流器4をオフさせ(高速度遮断器3もリレーシーケンスによってオフする)、同時に異常検知したインバータをゲートオフする保護動作を行うようにしている。このために、1つのインバータの異常検知によって断流器4がオフし、結果的にすべてのインバータが停止することになる。そこで再起動する際には、高速度遮断器3をオンし、充電接触器9をオンし、続いて断流器4をオンすると共に充電接触器9をオフし、この後にすべてのVVVFインバータ5−1,5−2,…のゲート制御を再開する手順をとっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような従来の電気車制御装置では、VVVFインバータ1台に対して複数台の駆動電動機を駆動する構成の場合、インバータ保護動作及び故障検出時に、インバータのゲート制御を停止するだけで十分対応できる保護動作時でもインバータのゲート制御を停止すると共に断流器をオフさせているので、再起動時には所定のシーケンスにしたがって立ち上げる手順が必要であり、再起動に時間がかかり、また断流器のオン/オフ動作回数が多くなるために接点磨耗を早める問題点があった。
【0007】このようにインバータの異常検知時にインバータのゲート制御を停止するだけでなく、断流器もオフさせる保護動作は、パワー半導体素子が実用化され、VVVFインバータが広く用いられるようになる以前、抵抗を可変にして直流機に流れる電流量を制御する電気車制御方式の名残であり、当時は直流機に過電流や過電圧がかかった時の保護動作として断流器をオフさせていたが、この保護動作手順をインバータを採用するようになった現代においても踏襲したためである。
【0008】しかしながら現実には、インバータの保護動作や故障時には該当するインバータのゲート制御だけを停止させれば電動機などの負荷への出力電流を遮断することができ、断流器をオフさせる必要性はない。
【0009】本発明はこのような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、インバータの保護動作及び故障発生時に、断流器をオフさせずに該当するインバータのゲート制御だけを停止させることにより、インバータ再起動時間を短縮し、また断流器の接点磨耗を減らすことができる電気車制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、架線に対して断流器を介して接続された、半導体スイッチング素子で構成されるインバータをゲート制御することによって当該インバータの出力を制御し、電動機を駆動する電気車制御装置において、前記インバータの保護動作及び故障を検出する故障検出手段と、前記故障検出手段が前記インバータの保護動作又は故障を検出した時に、前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させるインバータ制御手段とを備えたものである。
【0011】この請求項1の発明の電気車制御装置では、インバータの保護動作又は故障時にインバータのゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、架線とインバータの接続、遮断を行う断流器は接続状態に維持する。これによって、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済むようにして、再起動時間を早くし、また断流器のオン/オフ動作回数を減らしてその接点磨耗を低減する。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の電気車制御装置において、前記故障検出手段が電流に起因する保護動作を検出した時(相短絡時を除く)に、前記インバータ制御手段が前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させることを特徴とするものである。
【0013】請求項3の発明は、請求項1又は2の電気車制御装置において、前記故障検出手段が電圧に起因する保護動作を検出した時(過電圧抑制制御時を除く)に、前記インバータ制御手段が前記断流器をオフさせず、前記インバータのゲート制御のみを停止させることを特徴とするものである。
【0014】これらの請求項2及び3の発明の電気車制御装置では、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作及び故障を断流器をオフさせなければならない故障から区別し、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作及び故障検出時にゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、断流器は接続状態に維持する。これによって、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済むようにして、再起動時間を早くし、また断流器のオン/オフ動作回数を減らしてその接点磨耗を低減する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は、第1の実施の形態の電気車制御装置を示しており、1つの断流器4に1台のVVVFインバータ5が接続され、このインバータ5に負荷として複数台の交流電動機M1,M2,…が接続されている。そして図1(b)に示すように、これらの交流電動機M1,M2,…それぞれは車両20の前後それぞれに左右2個ずつ、計8個の車輪21−1R,21−1L,21−2R,21−2L,…を左右1対ずつ同時に回転駆動し、VVVFインバータ5がこれらの交流電動機M1〜M4すべてを同時に駆動する構成である。
【0016】そしてこの第1の実施の形態の電気車制御装置の特徴は、VVVFインバータ5のゲート制御を行うゲート制御部60が故障検知機能を有し、故障検知時に断流器4をオフせず、インバータ5のゲートオフ信号8によってインバータ5のみを停止させる点にある。なお、その他の構成要素については従来例と共通するので、同一の部分には同一の符号を付して示し、その詳しい説明は省略する。
【0017】この第1の実施の形態では、VVVFインバータ5の故障を検知して保護動作する時に、ゲート制御部60が断流器4にはオフ指令を出力しないで、インバータ5に対してのみゲートオフ信号8を出力してインバータ5を停止させる。そして再起動時には、充電接触器9、断流器4を再投入することなく、インバータ5に対してゲート制御信号の出力を再開することによってインバータ5を再起動する。
【0018】このようにして第1の実施の形態によれば、VVVFインバータ5の保護動作時に、インバータ5をゲートオフするだけで、断流器4はオフさせないために、再起動時に断流器4や充電接触器9を再投入する必要がなく、再投入動作を早め、また断流器4の接点磨耗を減らすことができる。
【0019】次に、本発明の第2の実施の形態を図2及び図3に基づいて説明する。この第2の実施の形態の電気車制御装置は、1つの断流器4に複数台のVVVFインバータ5−1,5−2,…が接続され、これらのインバータ各々によって駆動電動機M1,M2,…を個別に駆動し、またインバータ5−1,5−2,…各々をゲート制御部60−1,60−2,…各々によって制御するようにしている。そして図3に示すように、これらの交流電動機M1,M2,…それぞれは車両20の前後それぞれに左右2個ずつ、計8個の車輪21−1R,21−1L,21−2R,21−2L,…を左右1対ずつ同時に回転駆動し、VVVFインバータ5−1,5−2,…はこれらの交流電動機M1,M2,…を個別に駆動する構成である。
【0020】この第2実施の形態の電気車制御装置では、ゲート制御部60−1,60−2,…各々は、受持のインバータの故障を検知して保護動作する時に受持のインバータに対するゲートオフ信号8を出力するだけで、断流器4にオフ指令信号を出力せず、また健全な他のインバータのゲート制御を続行するようにしている。したがって、いずれかのVVVFインバータの故障検知により保護動作を行う時に、該当するインバータのみをゲートオフし、断流器4をオフさせず、また他のインバータを停止させることもないので、停止したインバータによって駆動される電動機のみが停止し、他の電動機は駆動を続けることになってトルク低下を最低限に抑制することができ、乗り心地の悪化、また加速性能の低下による運転上の影響も小さく抑えることができる。
【0021】さらに第1の実施の形態と同様に、停止したVVVFインバータの再起動時に断流器4や充電接触器9を再投入する必要がなく、再投入動作を早め、また断流器4の接点磨耗を減らすことができる。
【0022】次に、本発明の第3の実施の形態を図4及び図5に基づいて説明する。この第3の実施の形態は1つの断流器4に複数台のVVVFインバータ5−1,5−2,…が接続され、これらのインバータ各々によって駆動電動機M1,M2,…を個別に駆動し、またインバータ5−1,5−2,…各々をゲート制御部61−1,61−2,…各々によって制御するようにしている。そして図5に示すように、これらの交流電動機M1,M2,…それぞれは車両20の前後それぞれに左右2個ずつ、計8個の車輪21−1R,21−1L,21−2R,21−2L,…すべてを個別に回転駆動し、VVVFインバータ5−1,5−2,…はこれらの交流電動機M1,M2,…すべてを個別に駆動する構成である。
【0023】そしてゲート制御部61−1,61−2,…各々は自分の受持のインバータの故障を検知した時にインバータ5−1,5−2,…それぞれに個別にゲートオフ信号8を出力してインバータを停止させるが、断流器4にはオフ指令を出力しない構成である。
【0024】さらにゲート制御部61−1,61−2,…は左右1対となる車輪の組、例えば、車輪21−1Lと車輪21−1Rそれぞれを駆動する電動機M1,M2それぞれを制御するインバータ5−1,5−2に対するゲート制御部61−1,61−2については、それらの一方のゲート停止動作時に他方も停止動作することによって左右1対となる車輪21−1L,21−1R間にトルク不平衡が発生しないようにするために、ORゲート63とANDゲート64とを備えていて、相手方のインバータの故障検知によりその相手方のゲート制御部のORゲート63からゲートオフ信号8が出力された時に、車両の力行指令と相手方のゲート制御部からのゲートオフ信号8とのAND論理によって自分側のインバータに対してゲートオフ信号8を同時に出力するようにしている。
【0025】また力行中以外の時には個々のインバータ制御部61−1,61−2,…によってインバータ5−1,5−2,…それぞれのゲートオフ制御を行うが、この場合には必要ブレーキ力指令31とインバータ制御部61−1,61−2,…それぞれからの回生ブレーキフィードバック32−1,32−2,…との差をブレーキ制御装置33−1,33−2,…それぞれにおいて求め、補足ブレーキ34−1,34−2,…をゲートオフしたインバータで駆動されるべき電動機に入れる構成として、左右車輪のトルクを均一に保つようにしている。
【0026】この第3の実施の形態の場合にも、各ゲート制御部61−1,61−2,…は受持のインバータ5−1,5−2,…の故障を検知して保護動作する時に受持のインバータに対するゲートオフ信号8を出力するだけで、断流器4にオフ指令信号を出力しない。しかもこの第3の実施の形態では、左右1対となる組、例えば、インバータ5−1,5−2に対するゲート制御部61−1,61−2については、相手方のインバータの故障検知によりその相手方のゲート制御部のORゲート63からゲートオフ信号8が出力された時に、車両の力行指令と相手方のゲート制御部からのゲートオフ信号8とのAND論理によって自分側のインバータに対してゲートオフ信号8を同時に出力することにより、左右1対となる車輪21−1L,21−1R間にトルク不平衡が発生しないようにする。
【0027】これによって、第3の実施の形態によればいずれかのVVVFインバータの故障検知により保護動作を行う時に、該当するインバータとこれと左右一対をなすもう1台のインバータ、例えば、インバータ5−1,5−2のゲート信号のみをオフし、断流器4をオフさせず、またその他のインバータを停止させることもないので、停止した左右2台のインバータ5−1,5−2によって駆動される左右の2台の電動機M1,M2のみが停止し、他の電動機M3,M4,…は駆動を続けることになり、左右の車輪間でトルク不平衡が発生することがなくて直進安定性を維持しつつ、トルク低下を最低限に抑制することができ、乗り心地の悪化、また加速性能の低下による運転上の影響も小さく抑えることができる。
【0028】さらに第1及び第2の実施の形態と同様に、停止したVVVFインバータの再起動時に断流器4や充電接触器9を再投入する必要がなく、再投入動作を早め、また断流器4の接点磨耗を減らすことができる。
【0029】なお、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作及び故障を、断流器をオフさせなければならない故障から区別し、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作又は故障検出時にゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、断流器は接続状態に維持するようにすることができ、これによって、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済むようにして、再起動時間を早くし、また断流器のオン/オフ動作回数を減らしてその接点磨耗を低減することができる。
【0030】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明によれば、インバータの保護動作又は故障時にインバータのゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、架線とインバータの接続、遮断を行う断流器は接続状態に維持する。これによって、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済むようにして、再起動時間を早くし、また断流器のオン/オフ動作回数を減らしてその接点磨耗を低減することができる。
【0031】請求項2及び3の発明によれば、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作及び故障を断流器をオフさせなければならない故障から区別し、断流器をオフさせなくても済むインバータの保護動作及び故障検出時にゲート信号のみをオフしてインバータを停止させるだけで、断流器は接続状態に維持するので、再起動時に断流器関連の回路素子のオン/オフシーケンス動作を行わず、単にインバータのゲート信号を再開するだけで済み、再起動時間を早くし、また断流器のオン/オフ動作回数を減らしてその接点磨耗を低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000221177
【氏名又は名称】東芝トランスポートエンジニアリング株式会社
【住所又は居所】東京都府中市晴見町2丁目24番地の1
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成8年9月4日(1996.9.4)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−235101(P2003−235101A)
【公開日】 平成15年8月22日(2003.8.22)
【出願番号】 特願2003−68407(P2003−68407)