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【発明の名称】 ハイブリッド電源システムの制御装置及び制御方法
【発明者】 【氏名】遠藤 貴義
【住所又は居所】神奈川県平塚市万田1200 株式会社小松製作所研究所内

【要約】 【課題】ハイブリッド電源システムの電池(エネルギー型デバイス)の負担を平坦化しつつキャパシタ(パワー型デバイス)の電圧変動を適正範囲内にする。

【解決手段】電流フィルタ23が、最新過去の所定期間内の負荷電流Iloadの平均Iaveを電流目標値*Iとする。変換器制御部33が、電池の電流を電流目標値*Iに制御する。系統電圧引上部27は、キャパシタの電圧Vを適正レベルに引上げるように電流目標値*Iを修正する。系統電圧制限部29が、キャパシタの電圧Vが適正可変範囲外へ出ないよう電流目標値*Iを修正する。変換器制御部33も、キャパシタの電圧Vが適正可変範囲外へ出ないよう内部の制御方法を修正する。電流修正部21は、過去の上記修正を学習し、電流フィルタ23の目標値*I決定方法を修正する。アイドル電流修正部31は、負荷アイドル時に電流目標値*Iをゼロにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御装置において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定する目標値決定手段(23)と、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御する電流制御手段(33)と、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正する目標値修正手段(29)とを備えた制御装置。
【請求項2】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御装置において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定する目標値決定手段(23)と、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御する電流制御手段(33)と、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段における前記出力電流(Ibat)の制御方法を修正する制御修正手段(33)とを備えた制御装置。
【請求項3】 前記電流制御手段により制御された前記出力電流(Ibat)に基づいて、目標値決定手段(23)における前記目標値(*I)の決定法を修正する目標値決定方法修正手段(21)を更に備えた請求項2記載の制御装置。
【請求項4】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御装置において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定する目標値決定手段(23)と、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御する電流制御手段(33)と、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)を所定の可変範囲内において引上げるように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正する目標値修正手段(27)とを備えた制御装置。
【請求項5】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御装置において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定する目標値決定手段(23)と、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御する電流制御手段(33)と、前記負荷回路がアイドル状態にあるとき、前記電流制御手段(33)に入力される目標値(*I)を実質的にゼロに設定するアイドル電流制御手段(31)とを備えた制御装置。
【請求項6】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御方法において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正するステップとを備えた制御方法。
【請求項7】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御方法において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段における前記出力電流(Ibat)の制御方法を修正するステップとを備えた制御方法。
【請求項8】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御方法において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)を所定の可変範囲内において引上げるように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正するステップとを備えた制御方法。
【請求項9】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムのための制御方法において、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップと、前記負荷回路がアイドル状態にあるとき、前記電流制御手段(33)に入力される目標値(*I)を実質的にゼロに設定するステップとを備えた制御方法。
【請求項10】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムの制御のためのコンピュータプログラムにおいて、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップのためのプログラムコードと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正するステップのためのプログラムコードとを備えたコンピュータプログラム。
【請求項11】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムの制御のためのコンピュータプログラムにおいて、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップのためのプログラムコードと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップのためのプログラムコードと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧(V)が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段における前記出力電流(Ibat)の制御方法を修正するステップのためのプログラムコードとを備えたコンピュータプログラム。
【請求項12】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムの制御のためのコンピュータプログラムにおいて、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップのためのプログラムコードと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップのためのプログラムコードと、前記パワー型デバイスの出力電圧(V)を所定の可変範囲内において引上げるように、前記電流制御手段に入力される前記目標値(*I)を修正するステップのためのプログラムコードとを備えたコンピュータプログラム。
【請求項13】 エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとを用いて負荷回路へ電力を出力するハイブリッド電源システムの制御のためのコンピュータプログラムにおいて、過去の負荷回路への出力(Iload)の値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)の目標値(*I)を決定するステップと、前記目標値(*I)を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流(Ibat)を制御するステップのためのプログラムコードと、前記負荷回路がアイドル状態にあるとき、前記電流制御手段(33)に入力される目標値(*I)を実質的にゼロに設定するステップのためのプログラムコードとを備えたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、例えば電気自動車や電気建設車両などの駆動用電源装置などとして好適なハイブリッド電源システムの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車などの動力源たる三相交流モータにインバータ(直交変換器)を介して直流電力を供給する電源システムとして、特性の異なる少なくとも2タイプの電源デバイスを組み合わせたハイブリッド式のものが知られている。ここで使用される一方のタイプの電源デバイスは、安定して長時間にわたり電力を供給できる大きいエネルギー量をもった、この明細書で「エネルギー型」と呼ぶ電源デバイスである。他方は、加減速時などの負荷の急変に即応して大パワーを供給及び吸収できる、この明細書で「パワー型」と呼ぶ電源デバイスである。エネルギー型デバイスには、例えば、大容量の蓄電池や燃料電池やエンジン駆動発電機などがあり、パワー型デバイスには、例えば、キャパシタやハイブリッド用電池などがある。
【0003】ハイブリッド電源システムでは、加減速時などの負荷変動にパワー型デバイスで即応することにより、エネルギー型デバイスの負担を平坦化するように、エネルギー型とパワー型のデバイスが組み合わせられる。一般には、エネルギー型デバイスとパワー型デバイスとが電力変換器を介して結合される。エネルギー型デバイスの負担を平坦化することは、エネルギー型デバイスが供給できる電力総量を大きくし、且つエネルギー型デバイスの寿命を長く保つ上で重要である。特開平10−80008号に開示された発明では、エネルギー型デバイスの負担を平坦化するために、過去の負荷電流又は負荷電力の重み付け移動平均値を計算して、エネルギー型デバイスの出力電流又は出力電力がその重み付け移動平均値になるように、電力変換器が制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】負荷回路で突発的に大電力を要求した場合、パワー型デバイスがその大電力を供給することになり、その結果、パワー型デバイスの出力電圧が急激に低下する。また、負荷回路から突発的に大きい回生エネルギーが戻された場合、パワー型デバイスがその大きい回生エネルギーを吸収することになり、その結果、パワー型デバイスの出力電圧が急激に上昇する。このように、パワー型デバイスの出力電圧は、負荷変動の影響を直接的に受けて変動せざるを得ない。多くのシステムでは、パワー型デバイスの出力電圧は直接的に、負荷回路の入力電圧、又は電力変換器の出力又は出力電圧に反映される。負荷回路も電力変換器も、特定の範囲内の入力電圧又は出力電圧しか許容できない。よって、パワー型デバイスの出力電圧は、その特定範囲を超える程まで大きく変動してはならない。従って、どのような負荷変動があってもパワー型デバイスの出力電圧の変動範囲を適正範囲内に制御する技術が重要である。この技術なしでは、特に、建設機械のように負荷変動が激しいアプリケーションにハイブリッド電源システムを適用することが難しい。
【0005】従って、本発明の目的は、ハイブリッド電源システムにおいて、エネルギー型デバイスの負担をできるだけ平坦化しつつ、パワー型デバイスの電圧変動を適正範囲内に制御する技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの態様に従うハイブリッド電源システムのための制御装置は、過去の負荷回路への出力値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流の目標値を決定する目標値決定手段と、前記目標値を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流を制御する電流制御手段と、前記パワー型デバイスの出力電圧が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段に入力される前記目標値を修正する目標値修正手段とを備える。
【0007】本発明の別の態様に従うハイブリッド電源システムのための制御装置は、過去の負荷回路への出力値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流の目標値を決定する目標値決定手段と、前記目標値を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流を制御する電流制御手段と、前記パワー型デバイスの出力電圧が所定の可変範囲の外に出る可能性を判断し、前記可能性がある場合、前記出力電圧が前記可変範囲の外に出ることを防ぐように、前記電流制御手段における前記出力電流の制御方法を修正する制御修正手段とを備える。
【0008】この制御装置は、さらに、前記電流制御手段により制御された前記出力電流に基づいて、目標値決定手段における前記目標値の決定法を修正する手段を備えてもよい。
【0009】本発明のまた別の態様に従うハイブリッド電源システムのための制御装置は、過去の負荷回路への出力値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流の目標値を決定する目標値決定手段と、前記目標値を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流を制御する電流制御手段と、前記パワー型デバイスの出力電圧を所定の可変範囲内において引上げるように、前記電流制御手段に入力される前記目標値を修正する目標値修正手段とを備える。
【0010】本発明の更に別の態様に従うハイブリッド電源システムのための制御装置は、過去の負荷回路への出力値に基づいて前記エネルギー型デバイスの出力電流の目標値を決定する目標値決定手段と、前記目標値を用いて、前記エネルギー型デバイスの出力電流を制御する電流制御手段と、前記負荷回路がアイドル状態にあるとき、前記電流制御手段に入力される目標値を実質的にゼロに設定するアイドル電流制御手段とを備える。
【0011】
【発明の実施の形態】図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかる制御装置が適用されるハイブリッド電源システムの2種類の構成例を示す。なお、図1、2に示したもの以外の構成をもつハイブリッド電源システムにも、本発明は適用可能である。
【0012】図1に示したハイブリッド電源システムでは、エネルギー型デバイスの典型例である蓄電池1に直列に電力変換器3の出力端子が接続されている。そして、負荷回路であるインバータ7の入力端子に対して並列に、蓄電池1と電力変換器3の直列接続体と、パワー型デバイスの典型例であるキャパシタ5とが接続されている。図示してないが、インバータ7の出力端子には、例えば電動自動車や電動建設車両などの動力源である交流モータが接続される。電力変換器3は、その出力電流(つまり、蓄電池1の出力電流)Ibatを目標値に制御する電流制御型のものであっても、その出力電圧を目標値に制御する電圧制御型のものであってもよい。いずれにせよ、負荷変動に応じて電力変換器3の出力を調節してキャパシタ5の電圧Vを積極的に変動させることで、キャパシタ5に積極的に充放電を行わせて負荷変動に対応し、それにより、蓄電池1の出力電流Ibatを平坦化することが可能である。
【0013】図2に示したハイブリッド電源システムでは、蓄電池11が電力変換器13の入力端子に接続され、そして、電力変換器13の出力端子とキャパシタ15とが並列に、インバータ7の入力端子に接続されている。電力変換器13は電流制御型でも電圧制御型でもよいが、いずれにせよ、負荷変動に応じて電力変換器3の出力を調節してキャパシタ5の電圧Vを積極的に変動させることで、キャパシタ15に積極的に充放電を行わせて負荷変動に対応し、それにより、蓄電池11の出力電流Ibatを平坦化することができる。図2の例では、1つの蓄電池11が電力変換器2に接続されているが、これに限られるわけではない。例えば、蓄電池を2つ用い、電力変換器として直並列チョッパ回路を用い、その直並列チョッパ回路により、2つの蓄電池の直列接続と並列接続を高速に切換えることで、蓄電池1個分の電圧からその2倍の電圧までの範囲で出力電圧を連続的に可変できるようにしてもよい。
【0014】図1及び図2の電源システムでは、パワー型デバイスであるキャパシタ5、15の電圧Vがこのシステムの出力電圧(以下「系統電圧」という)になっている。以下では、このようにキャパシタの電圧Vが系統電圧であるような電源システムに適用された本発明の一実施形態を説明する。図3は、この実施形態に従う制御装置の構成を示す。ただし、これは一つの例示にずぎず、本発明の適用範囲がそれのみに限定されるわけではない。
【0015】図3に示した制御装置20は、エネルギー型デバイスである蓄電池の電流はできるだけ一定に且つ小さい値に維持し、一方、負荷変動や大電流の充放電はパワー型デバイスであるキャパシタで行うように、電力変換器を制御するように構成されている。このことは、別の言い方をすれば、変動する負荷電力の直流成分を蓄電池で担当し、交流成分をできるだけキャパシタで担当するとように制御する、ということである。この制御装置20のより具体的な制御指針は次の(1)〜(5)のとおりである。
【0016】(1) 蓄電池の電流Ibatをなるべく一定にする。換言すれば、電池電流Ibatの変動をなるべく小さくする。その理由は、電池電流Ibatの平均値が同じであっても、電池電流Ibatの変動が激しいほど、蓄電池の内部抵抗による内部損失は大きくなるからである。ただし、系統電圧V(キャパシタの電圧)の変動を一定の適正範囲内に制御するために、必要あれば、電池電流Ibatを変動させる。すなわち、系統電圧Vの変動を適正範囲内に制御するために電池電流Ibatを変動させつつも、その変動をできるだけ小さく抑制する。
【0017】(2) 電池電流Ibatをなるべく小さくする。その理由は、電池電流Ibatが大きくなるほど、蓄電池の内部抵抗が大きくなり、内部損失が増え、また、蓄電池の寿命が短くなり、更に、蓄電池が出力できる電力量も小さくなるからである。
【0018】(3) 系統電圧Vの変動の中心点をなるべく高い値にする。その理由は、同じ電力を負荷へ供給するのに、系統電圧Vが高いほど、負荷電流(系統電流)Iloadは小さくなり、そして、負荷電流Iloadが小さいほど、配線損失やインバータ損失が小さくなり、また、電力変換器の効率が高くなるからである。ただし、系統電圧Vが高すぎる(すなわち、可変範囲の上限値に近すぎる)と、キャパシタが回生エネルギーを吸収できなくなるため、高すぎることは避ける。
【0019】(4) キャパシタの充放電の余力が無くなる(すなわち、系統電圧Vがその可変範囲の上限値又は下限値に達する)状態をなるべく避ける。万が一、その状態になっても、負荷と電力を授受できなくならないように、蓄電池から負荷に必要な電力を供給したり吸収したりする。
【0020】(5) 負荷のアイドル状態においては、速やかに電池電流Ibatを実質的にゼロにする。その方が、トータルの稼働時間を伸ばせるからである。
【0021】図3に示すように、この制御装置20は、電流修正部21、電流フィルタ23、系統電圧引上部27、系統電圧制限部29、アイドル電流制御部31及び変換器制御部33を有する。
【0022】上述の指針(1)及び(2)の下で機能するのが、電流フィルタ23である。電流フィルタ23は、過去の負荷電流(負荷の要求電流)Iloadの平均値Iaveを算出し、この安定した平均値Iaveを電池電流Ibatの目標値*Iとして出力する。
【0023】上述の指針(3)の下で機能するのは、系統電圧引上部27である。系統電圧引上部27は、系統電圧Vが適当な高い値になるように、電流フィルタ23から出力された電池電流目標値*Iを修正する。
【0024】上述の指針(4)の下で機能するのは、系統電圧制限部29と変換器制御部33と電流修正部21である。系統電圧制限部29は、系統電圧Vがその可変範囲の上限値及び下限値に達しないように、電池電流目標値*Iを修正する。また、変換器制御部33は、電池電流Ibatと目標値*Iとの偏差に基づいて電力変換器35のPWMスイッチングデューティを制御する際、電流系統電圧Vが上限値及び下限値に達しないようにPWMスイッチングデューティを修正する。また、電流修正部21は、電流フィルタ23が負荷電流Iloadの平均値Iaveを計算する際に、その負荷電流Iloadの値に対して、系統電圧Vが上限値及び下限値に達しないようにするための修正を加える。
【0025】上述の指針(5)の下で機能するのは、アイドル電流制御部31である。アイドル電流制御部31は、負荷がアイドル状態にあるとき、電池電流目標値*Iを実質的にゼロに修正する。
【0026】以下、各部の機能について詳細に説明する。
【0027】まず、電流フィルタ21について説明する。電流フィルタ21は、電池電流Ibatをできるだけ一定且つ小さくするという指針(1)及び(2)のために機能する。すなわち、電流フィルタ21は、負荷電流(負荷の要求電流)Iloadの値を一定周期でサンプリングして入力し、最新過去所定期間における負荷電流Iloadの移動平均を計算する(又は負荷電流Ibatのローパスフィルタリングを行う)ことで負荷電流平均値Iaveを算出し、この負荷電流平均値Iaveを電池電流目標値*Iとして出力する。ここで使用するパラメータには、電池電流目標値*Iの初期値と、移動平均の計算で用いる負荷電流Iloadのデータ数(又は、ローパスフィルタリングの時定数)がある。
【0028】初期値については、負荷がこれから行おうとする動作の種類又は動作モードに応じて適当な値が決定できるようにすることができる。例えば、建設機械の場合、運転席のコンソールパネルにて重掘削モードや省エネモードなど幾つかの動作モードが選べるようになっているが、そのようにして選ばれた動作モードに応じて予め用意された最適な初期値を選択できるようにすることができる。
【0029】また、移動平均のデータ数(又は、ローパスフィルタリングの時定数)については、データ数が多い(又は、時定数が大きい)ほど一定の目標値*Iが得られやすいが、データ数が多すぎる(又は、時定数が大き過ぎると)と目標値*Iが実際の負荷パターンに合わなくなる。そこで、設計段階で様々なアプリケーションの負荷パターンを解析して、それぞれに適したデータ数(又は、時定数)を決定しておき、アプリケーションに応じて最適なデータ数(又は、時定数)を選択できるようにしておくことができる。例えば、パワーショベルの掘削であれば、「掘削」、「90度旋回」及び「ダンプカーに積載」を順次行うという典型的な負荷パターンがあり、また、ホイールローダのVシェイプローディングであれば、「発進」、「土砂の山に突っ込む」、「後退」、「方向転換して発進」、「ダンプカーに土砂を積載」及び「後退」を順次行うという典型的な負荷パターンがある。このような負荷パターン毎に、適切なデータ数(時定数)を予め定めておくことができる。
【0030】上記のような負荷電流Iloadの移動平均計算(又は、ローパスフィルタリング)によって求められた電池電流目標値*Iを用いて電池電流Ibatを制御することにより、負荷電流のほぼ直流成分のみを蓄電池から供給し、交流成分はキャパシタから供給するすることが達成できる。しかし、それだけでは、突発的な大電流負荷が発生した場合、キャパシタが過放電又は過充電となって、系統電圧Vがその可変範囲の上限値又は下限値に到達してしまう可能性がある。これを回避するために、後に詳述する各種の修正が行われる。
【0031】次に、図3に示した系統電圧引上部27について説明する。系統電圧引上部27は、系統電圧Vの変動の中心点をなるべく高い値にするという上述の指針(3)のために機能する。
【0032】図4は、系統電圧引上部27の動作を説明するフローチャートである。図5は、図4で用いる各種の値を説明するものである。
【0033】図5に示すように、系統電圧Vは、負荷回路であるインバータの特性や、電力変換器の特性などによって、特定の上限値VlimHから下限値VlimLまでの範囲内でのみ可変が許される。この可変範囲VlimH〜VlimLの外の領域(図中ハッチングで示す)では、負荷と授受する電力を制御することができなくなる。このような可変範囲VlimH〜VlimL内に予め、中心閾値Vthが設定される。中心閾値Vthは、可変範囲VlimH〜VlimL内の適度に高い(しかし、高すぎない)レベル、例えば可変範囲VlimH〜VlimLの単純な中心点、又は、例えば可変範囲VlimH〜VlimLの電力(つまり、電圧の二乗)の中心点など、に設定される。また、可変上限値VlimHより若干低いレベルには高側安全閾値VthHが予め設定され、また、可変下限値VlimLより若干高いレベルには低側安全閾値VthLが予め設定される。高側安全閾値VthHから低側安全閾値VthLまでの範囲は、その範囲内に系統電圧Vが入っている限り、通常の負荷変動では系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimLに達する可能性はかなり小さいと判断される安全な範囲である。
【0034】図4に示すように、系統電圧引上部27は、まず、ステップ41で、系統電圧Vの最新過去所定期間における平均値Vaveを求め、この系統電圧平均値Vaveと図5に示した中心閾値電圧Vthとを比較する。その結果、系統電圧平均値Vaveが中心閾値電圧Vth未満である場合(ステップ41でYES)には、次にステップ43に進み、上記所定期間における系統電圧Vの変動の軌跡中の最高値Vmaxを選び、この系統電圧最高値Vmaxと高側安全閾値電圧VthHとを比較する。その結果、系統電圧最大値Vmaxが高側安全閾値電圧VthH未満である場合には、系統電圧Vは常に低レベルにあるものと推測されるため、系統電圧引上部27は、ステップ45へ進み、図3に示した電流フィルタ23から出力される負荷電流平均値Iaveに所定の正の修正値F(Vave)を加算して、その加算値を電池電流目標値*Iとする(つまり、電池電流目標値*Iを電流フィルタ23が決めた値より増やす)。ここで、修正値F(Vave)は、系統電圧平均値Vaveが低いほど大きくなるような系統電圧平均値Vaveの関数であってもよいし、或るいは、一定値であってもよい。
【0035】一方、ステップ41で、系統電圧平均値Vaveが中心閾値電圧Vthより高い場合(ステップ41でNO)には、系統電圧Vが低すぎはしないので、電流フィルタ23からの負荷電流平均値Iaveをそのまま電池電流目標値*Iとする(ステップS47)。また、系統電圧平均値Vaveが中心閾値電圧Vth未満であっても、系統電圧最高値Vmaxが高側安全閾値電圧VthH以上である場合(ステップ47でNO)には、電池電流目標値*Iを増やすと系統電圧Vが可変上限値VlimHに達する事態が生じる可能性があるので、電流フィルタ23からの負荷電流平均値Iaveをそのまま電池電流目標値*Iとする(ステップS47)。
【0036】上記の系統電圧引上部27の処理により、系統電圧Vの変動中心レベルは、図5に示した中心閾値Vth又はそれより高いレベルに維持する方向へ制御が行われることになる。
【0037】次に、図3に示した系統電圧制限部29について説明する。系統電圧制限部29は、系統電圧Vが図5にハッチングで示した制御不能領域に入らないようにするという上述の指針(4)のために機能する。
【0038】図6は、系統電圧制限部29の動作を示すフローチャートである。図7は、図6で用いる各種の電圧値を説明する図である。
【0039】図7に示すように、系統電圧の可変上限値VlimHの直下に高側安全マージンVmHが設定され、また、可変下限値VlimLの直上に低側安全マージンVmLが設定される。高側安全マージンVmHと低側安全マージンVmLは、その電圧幅分だけキャパシタに充電又は放電の余力があれば、系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimHに到達する可能性はかなり低いと考えられる電圧幅である。高側安全電圧VlimH−VmHと低側安全電圧VlimL+VmLは、図5に示した高側安全閾値VthHと低側安全閾値VthLと同レベルであってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】図6に示すように、系統電圧制限部29は、ステップ51で、系統電圧Vと高側安全電圧VlimH−VmHとを比較する。その結果、系統電圧Vが高側安全電圧VlimH−VmHより高ければ(ステップ51でYES)、系統電圧Vが高すぎることを意味するので、ステップ57へ進み、図3に示した電流フィルタ23から出力される負荷電流平均値Iaveから所定の正の修正値G{V−(VlimH−VmH )}を減算して、その減算値を電池電流目標値*Iとする(つまり、電池電流目標値*Iを、電流フィルタ23が決めた値より減らす)。ここで、修正値G{V−(VlimH−VmH )}は、系統電圧Vの高過ぎ程度に応じた変数であり、例えば、系統電圧Vから高側安全電圧VlimH−VmHを引いた差(正値)に比例した値や、或るいは、例えば、系統電圧Vの二乗から高側安全電圧VlimH−VmHの二乗を引いた差(正値)に比例した値などを用いることができる。
【0041】一方、ステップ51でNOの場合には、次に、系統電圧制限部29は、ステップ53で、系統電圧Vと低側安全電圧VlimL+VmLとを比較する。その結果、系統電圧Vが低側安全電圧VlimL+VmLより低ければ(ステップ53でYES)、系統電圧Vが低すぎることを意味するので、ステップ59へ進み、図3に示した電流フィルタ23からの負荷電流平均値Iaveから所定の負の修正値G{V−(VlimL+VmL)}を減算して、その減算値を電池電流目標値*Iとする(つまり、電池電流目標値*Iを、電流フィルタ23が決めた値より増やす)。ここで、修正値G{V−(VlimH−VmH )}は、系統電圧Vの低過ぎ程度に応じた変数であり、例えば、系統電圧Vから低側安全電圧VlimL+VmLを引いた差(負値)に比例した値や、或るいは、例えば、系統電圧Vの二乗から低側安全電圧VlimL+VmLの二乗を引いた差(負値)に比例した値などを用いることができる。
【0042】他方、ステップ53でもNOの場合、すなわち、系統電圧Vが高側安全電圧VlimH−VmHと低側安全電圧VlimL+VmLとの間の範囲内にある場合には、ステップ55で、電流フィルタ23からの負荷電流平均値Iaveをそのまま電池電流目標値*Iとして用いる。
【0043】上述した系統電圧制限部29の処理により、系統電圧Vを高側安全電圧VlimH−VmHと低側安全電圧VlimL+VmLの間の範囲内に入れる方向へ制御が行われる。
【0044】次に、図3に示した変換器制御部33について説明する。変換器制御部33は、基本的には、電池電流Ibatの値をフィードバックして、この電池電流Ibatの値と電池電流目標値*Iとの偏差がゼロになるように電力変換器33のPWMスイッチングデューティを操作するように構成されている。この基本構成に加えて、変換器制御部33は、系統電圧Vを可変上限値VlimH及び可変下限値VlimLに達しないようリミットするための構成も備えている。
【0045】図8は、変換器制御部33の一構成例を示す。この例は、電流制御型のものである。
【0046】図8に示すように、変換器制御部33では、ブロック61及び63よりなる電流メインループにて、電池電流目標値*Iとフィードバックされた電池電流Ibatとの偏差を求め、その電流偏差に所定のPID制御演算を施して系統電圧目標値*Vを出力する。次に、電圧リミッタ66で、系統電圧目標値*Vを図5に示した可変範囲VlimH〜VlimL以内の所定範囲内にリミットする。次に、ブロック67及び69からなる電圧マイナーループで、リミットされた系統電圧目標値*Vとフィードバックされた系統電圧Vとの偏差を求め、その電圧偏差に所定のPID制御演算を施し、その演算結果を用いて電力変換器35のPWMスイッチングデューティを操作する。
【0047】上記の電圧リミッタと電圧マイナーループの作用により、系統電圧目標値*Vは可変上限値VlimH及び可変下限値VlimLに達しないようになる。
【0048】図9は、変換器制御部33の別の構成例を示す。この例は、電流制御型のものである。この例は、オブザーバを用いて系統電圧Vが以後どのように変化するかを予測し、その予測値が可変上限値VlimH及び可変下限値VlimLに達しないように制御を行う。
【0049】すなわち、図9に示すように、オブザーバ71は、電池電流目標値*I、系統電圧V及び負荷電力Ploadなどの値を入力し、これらの入力値を用いて、予め分かっている電源システムのキャパシタの容量や内部抵抗などから、系統電圧Vの将来の値を予測する。そして、オブザー71は、その予測された次の系統電圧の将来値が可変上限値VlimH又は可変下限値VlimLに達する場合には、それを防止するのに必要な電池電流目標値*Iの上限値又は下限値を算出し、その算出した上限値又は下限値を比較器73に出力する。比較器73は、入力した電池電流目標値*Iとオブザー71からの上限値又は下限値とを比較する。そして、比較器73は、その比較の結果、入力した電池電流目標値*Iがその上限値以下で且つその下限値以上であれば、入力した電池電流目標値*Iをそのまま新たな電池電流目標値**Iとして出力するが、入力した電池電流目標値*Iがその上限値を上回る又はその下限値を下回る場合には、その上限値又はその下限値を新たな電池電流目標値**Iとして出力する。
【0050】そして、ブロック75及び77により、比較器73からの新たな電池電流目標値**Iに電池電流Ibatが一致するように、電力変換器35のPWMスイッチングデューティが操作される。
【0051】図10は、変換器制御部33の更に別の構成例を示す。この例は、電圧制御型ものである。この例は、オブザーバを用いて電流目標値*Iを達成するために必要な系統電圧目標値*Vを計算し、その系統電圧目標値*Vに対して可変範囲VlimH〜VlimLによるリミットをかける。
【0052】すなわち、図10に示すように、オブザー81は、電池電流目標値*I、系統電圧V、負荷電力Pload及び電池電流Ibatなどの値を入力し、これらの入力値を用いて、予め分かっている電源システムのキャパシタの容量や内部抵抗などから、電池電流Ibatを電池電流目標値*Iに一致させるために必要な系統電圧目標値*Vを計算する。次に、リミッタ83が、オブザーバ81からの系統電圧目標値*Vを、可変範囲VlimH〜VlimL内の所定範囲内にリミットする。そして、ブロック85及び87が、リミットされた系統電圧目標値*Vにフィードバックされた系統電圧Vが一致するように、電力変換器35のPWMスイッチングディティを操作する。
【0053】図8〜図10に示したような変換器制御部の作用により、系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimLに近接し又は到達した場合には、系統電圧Vが可変上限値VlimHに又は可変下限値VlimL以下になるのを防ぐように、電池電流Ibatが修正される。その結果、系統電圧Vは可変範囲VlimH〜VlimL内に保たれ、また、系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimL到達したときには、負荷回路が必要とする電力は蓄電池から供給されることになる。
【0054】次に、図3に示した電流修正部21について説明する。電流修正部21は、系統電圧Vを可変範囲VlimH〜VlimL内に保つという上述した指針(4)のために機能する。
【0055】すなわち、電源システムが適切なキャパシタ容量を持っているにもかかわらず系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimLに到達して、上述した変換器制御部33によるリミットが働くことになる根本の原因として、電流フィルタ23において負荷電流の移動平均を計算し又はフィルタリングを行て電池電流目標値*Iを決定する方法において次の1)〜3)のような問題がある場合が考えられる。
1) 電池電流目標値*Iの初期値が適切でない。
2) 設計時に解析したモデルとしての負荷パターンが実情とは異なる。
3) 移動平均値又はフィルタリング出力が過渡状態にある。つまり、電池電流目標値*Iが上昇途中又は下降途中である。
【0056】このような場合を回避するために、電流修正部21は、変換器制御部33によるリミットが働いた時に生じる電池電流目標値*I(又は、負荷電流平均値Iave)と電池電流Ibatとの差ΔI(=*I−Ibat又はIave−Ibat)を求め、この電流差ΔIに応じた修正値G(ΔI)を計算し、この修正値G(ΔI)を電流フィルタ23に入力する。
【0057】電流フィルタ23は、負荷電流(負荷の要求電流)Iloadの移動平均計算(又はフィルタリング)を行う際に、上記の修正値を加味する。すなわち、例えば次式Iave=FIL{Iload−G(ΔI)}により、負荷電流平均値Iaveを求める。ここで、関数FIL{}は、移動平均計算又はローパスフィルタリングを意味する。
【0058】このようにして、過去の制御結果を用いた学習により、電流フィルタ23による負荷電流平均値Iaveの計算方法が修正される。こうして修正された負荷電流平均値Iaveを電池電流目標値*Iとして用いてることにより、系統電圧Vが可変上限値VlimH又は可変下限値VlimLに近接して系統電圧制限部29による修正や変換器制御部33によるリミットが働くことの頻度が減るので、より一層、電池電流Ibatの変動が抑制される。
【0059】最後に、図3に示したアイドル電流制御部31について説明する。アイドル電流制御部31は、負荷回路のアイドル時には電池電流Ibatを実質的にゼロにするという上述の指針(5)のために機能する。
【0060】図11は、アイドル電流制御部31の動作の流れを示す。
【0061】図11に示すように、アイドル電流制御部31は、ステップ91で、負荷回路がアイドル状態かどうかを判定し、アイドル状態である場合にはステップ93へ進み、系統電圧Vが図5に示した中心閾値Vthの近傍範囲Vth±α内にあるか否かをチェックする。その結果、系統電圧Vが中心閾値近傍範囲Vth±α内にあるならば、アイドル電流制御部31は、ステップ95へ進み、電池電流目標値*Iを強制的にゼロに設定する。これにより、電池電流Ibatはゼロに制御されることになる。
【0062】一方、系統電圧Vが中心閾値近傍範囲Vth+αより高ければ、系統電圧Vを中心閾値近傍範囲Vth±α内にまで下げるために、アイドル電流制御部31はステップ97へ進み、電池電流目標値*Iを所定の充電電流値Iyに強制的に設定する。充電電流値Iyは、蓄電池に実質的なダメージを与えないような(つまり、蓄電池の寿命の観点では実質的にゼロとみなせる)小さい値とするか、あるいは蓄電池の放電状態に応じた適切な充電電流値としてもよい。である。これにより、キャパシタから蓄電池へと適切な充電電流が流れて、キャパシタは放電し、その分だけ蓄電池が充電される。
【0063】他方、系統電圧Vが中心閾値近傍範囲Vth−αより低ければ、系統電圧Vを中心閾値近範囲Vth±α内にまで上げるために、アイドル電流制御部31はステップ99へ進み、電池電流目標値*Iを所定の放電電流値Ixに強制的に設定する。放電電流値Ixは、蓄電池に何らダメージを与えないような(つまり、蓄電池の寿命の観点では実質的にゼロとみなせる)小さい値である。これにより、微小な放電電流が蓄電池からキャパシタへ流れて、キャパシタが充電される。
【0064】以上、本発明の実施形を態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であり、この実施形態のみに本発明の範囲を限定する趣旨ではない。従って、本発明は、その要旨を逸脱することなく、他の様々な形態で実施することが可能である。
【0065】例えば、負荷回路から回生エネルギーが戻されることがほとんど期待できないようなアプリケーションでは、中心閾値Vthを系統電圧の可変範囲のかなり高いレベルに中心閾値Vthを設定したり、系統電圧Vが可変上限値VlimHに達っしないようにする手当てはラフであっても良い。また、エネルギー型デバイスとして燃料電池のように充電ができないデバイスを用いる場合には、図11に示したステップ97の放電電流Iyを設定するステップは除去できる。
【0066】上記の実施形態では、キャパシタが系統電圧ラインに直接接続されていて、キャパシタの電圧がそのまま系統電圧となるが、本発明の適用対象は、そのような電源システムのみに限られるわけではない。キャパシタと系統電圧ラインとの間に別の回路素子又は回路が介在していて、キャパシタの電圧と系統電圧とが必ずしも一致しない電源システムにも本発明は適用できる。その場合、上述の実施形態で系統電圧のレベルに基づいて行われた各種の制御と同目的の制御を、キャパシタの電圧レベルに基づいて行うことができる。
【0067】エネルギー型デバイスとして蓄電池(二次電池)に代えて、燃料電池やエンジン駆動発電機などを用いることもできる。また、パワー型電源デバイスとしてキャパシタに代えて、ハイブリッド電源用電池などを用いることもできる。
【出願人】 【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
【住所又は居所】東京都港区赤坂二丁目3番6号
【出願日】 平成14年1月31日(2002.1.31)
【代理人】 【識別番号】100095371
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 輝之 (外2名)
【公開番号】 特開2003−230204(P2003−230204A)
【公開日】 平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願番号】 特願2002−23407(P2002−23407)