| 【発明の名称】 |
車両用インバータの制御方法およびインバータ制御器 |
| 【発明者】 |
【氏名】小川 岳 【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内
【氏名】石田 誠司 【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内
【氏名】奥山 俊昭 【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内
【氏名】児島 徹郎 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所交通システム事業部水戸交通システム本部内
【氏名】仲田 清 【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所交通システム事業部水戸交通システム本部内
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| 【要約】 |
【課題】停止直前に回生ブレーキ力が低下し、空気ブレーキが動作すると、ブレーキ力の不足により所定の停止位置を通過したり、ブレーキ力の急激な変化によるショックが発生することを回避するインバータの制御器と制御方法を提供する。
【解決手段】フィルタコンデンサ電圧が基準値を越え、かつインバータから架線の方向に所定値以上の電力または電流が送られる場合に、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減じて回生電力を低減する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】架線から供給される直流電力を、リアクトルとコンデンサを備えた受電フィルタを介して可変電圧・可変周波数の交流電圧に変換するインバータと、該インバータにより駆動される交流電動機とを備えた電気車両の前記インバータの方法において、前記架線と前記インバータとの間の、電力または電流を検出する手段と、前記コンデンサ電圧を検出する手段を備え、前記コンデンサ電圧が基準値を越え、かつ前記インバータから架線の方向に所定値以上の電力または電流が送られる場合に、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることにより回生電力を低減することを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項2】請求項1記載のインバータの制御方法において、前記インバータの入力電流を検出する手段を設け、該検出する手段が検出したインバータ入力電流、または該インバータ入力電流から算出した電力に基づいて、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項3】請求項1記載のインバータの制御方法において、前記受電フィルタの入力電流を検出する手段を設け、該検出する手段が検出した受電フィルタ入力電流、または受電フィルタ入力電流から算出した電力に基づいて、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項4】請求項1記載のインバータの制御方法において、前記リアクトル電圧を検出する手段を設け、該検出する手段が検出したリアクトル電圧からフィルタ入力電流を算出し、算出したフィルタ入力電流、またはフィルタ入力電流から算出し電力に基づいて、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項5】請求項1記載のインバータの制御方法において、モータ電圧指令値とモータ電流指令値から算出した電力、またはモータ電圧指令値とモータ電流検出値から算出した電力に基づいてトルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項6】請求項1記載のインバータの制御方法において、前記コンデンサの電圧が基準値を超え、かつモータ回転速度が所定値以上の場合はトルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項7】請求項1記載のインバータの制御方法において、前記コンデンサ電圧が基準値を超え、かつモータ回転速度と、モータトルク電流の指令値またはモータトルク電流の検出値との積が所定値以上の場合はトルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項8】請求項1記載のインバータの制御方法において、モータ速度を検出する手段、またはモータ速度を推定する手段を設け、モータ速度またはモータ速度推定値が所定値を上回った場合に、トルク指令またはトルク電流指令の大きさを減ずることを特徴とするインバータの制御方法。 【請求項9】架線から供給される直流電力を、リアクトルとコンデンサとを備えた受電フィルタを介して可変電圧・可変周波数の交流電圧に変換するインバータと、該インバータにより駆動される交流電動機とを備えた電気車両の前記インバータの制御器において、該インバータの制御器が、前記インバータの入力電流から所定の値を減じた差分が負の場合には、差分に基づく値を出力し、該差分が正の場合にはゼロを出力する比較器を有する回生電力絞り器を備えたことを特徴とするインバータの制御器。 【請求項10】架線から供給される直流電力を、リアクトルとコンデンサとを備えた受電フィルタを介して可変電圧・可変周波数の交流電圧に変換するインバータと、該インバータにより駆動される交流電動機とを備えた電気車両の前記インバータの制御器において、該インバータの制御器が、前記電動機の速度が基準速度を超えた場合には速度偏差に基づく補償値を出力し、前記電動機の速度が基準速度以下の場合にはゼロを出力する比較器を有する回生電力絞り器を備えたことを特徴とするインバータの制御器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両用インバータとその制御方法に関し、特に低速域での回生ブレーキ力低下を回避し、空気ブレーキの起動に伴うショックを抑制する車両用インバータに関する。 【0002】 【従来の技術】従来技術のインバータによる車両駆動システムを図5に示す。架線1からパンタグラフ2を介して受電した直流は、受電フィルタ3を介してインバータ4に入力される。受電フィルタ3は、フィルタリアクトル3aとフィルタコンデンサ3bを備えており、インバータ4からのリプル電流を平滑化する。インバータ制御器14は、速度検出器8が検出したモータ速度信号と、交流電流検出器9が検出したインバータ出力電流iu,ivと、直流電流検出器10が検出したインバータ入力電流idcと、直流電圧検出器11が検出したフィルタコンデンサ3bの電圧ecとに基づいて、ゲートパルス信号Gpを生成し、インバータ4に送る。インバータ4は、インバータ制御器14から送られるゲートパルス信号Gpに従ってスイッチングを行い、可変電圧,可変周波数の交流電圧を発生して誘導電動機5に供給する。誘導電動機5は、インバータ4から供給された交流電圧によりトルクを発生し、図示していないギアを介して車輪6を駆動する。 【0003】車両にブレーキをかける場合、主幹制御器12は、運転士のブレーキノッチ操作をブレーキノッチ指令に変換し、ブレーキ制御器13に送る。ブレーキ制御器13は、ブレーキノッチ指令からブレーキ力を演算し、ブレーキ力指令を生成する。インバータ駆動の電気車両では、空気ブレーキと電力回生ブレーキを併用しているが、ブレーキ力指令はまず、インバータ制御器14に送られる。インバータ制御器14は、発生可能な回生ブレーキ力をブレーキ制御器13に返す。ブレーキ指令通りの回生ブレーキ力を発生できる場合には、車両は回生ブレーキのみにより減速される。 【0004】後述するように、回生電力が絞り込まれたり、回生が失効すると、インバータだけではブレーキ指令通りのブレーキ力を発生できない。この場合、ブレーキ制御器13は空気ブレーキ15に、不足分のブレーキ力指令を送る。空気ブレーキ15は、空気圧によりブレーキシューを車輪6に押しつけ、車両の運動エネルギーを熱に変換してブレーキ力を得て、常にブレーキ指令通りのブレーキ力を発生する。 【0005】ここで、従来技術のインバータ制御器14の構成を図6に示す。速度演算器101は、速度検出器8の出力パルスからモータ速度Frを演算する。電流演算器102は、交流電流検出器9により検出したU相電流iuとV相電流ivとから、励磁電流idとトルク電流iqとを演算する。電流指令演算器103は、ノッチ指令と、直流電圧検出器11により検出されたフィルタコンデンサ電圧ecと、インバータ周波数指令F1* とから、励磁電流指令id0* とトルク電流指令iq0* とを演算する。電流制御器104は、励磁電流指令id0* と、トルク電流指令iq0* と、励磁電流idと、トルク電流iqとから、励磁電流指令id* と、トルク電流指令iq* とを生成する。周波数演算器105は、周波数指令F1* を生成し、F1* は積分器106により位相指令θ* に変換される。電圧指令演算器107は、周波数指令F1* と、励磁電流指令id* と、トルク電流指令iq* とを用いて、電圧指令|v|と、偏角δとを生成する。PWM制御器108は、電圧指令|v|と、偏角δと、位相指令θ* とに基づいてゲートパルス指令Gpを生成し、インバータ4に送る。 【0006】回生ブレーキは、駆動に用いるモータを発電機として利用し、車両の運動エネルギーを電力に変換して架線1に送り返す。送り返された電力は、他の車両で消費されるが、電力を消費する車両が存在しない場合には、送り返す先のなくなった自車の回生電力により、フィルタコンデンサ電圧ecが上昇する。そこで回生電力絞り器200は、フィルタコンデンサ3bの電圧ecが絞り込み開始電圧Ec0を越えた場合には、直流電圧制御器201で、フィルタコンデンサ電圧ecの超過量に応じたトルク電流絞り量Δiq0* を算出する。これをトルク電流指令iq0*(iq0*<0)に加算することにより、回生電力を絞り込み、フィルタコンデンサ3bの電圧ecの上昇を抑制する。フィルタコンデンサ3bの電圧ecがさらに上昇し、過電圧保護レベルEc1に達した場合には、インバータを停止して回生を失効し、装置を保護する。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従来技術では、低速度域では空気ブレーキと電気ブレーキを併用しており、停止直前は空気ブレーキのみで制動していたが、乗り心地や保守性を向上するため、停止まで電気ブレーキのみで制動する方法が広まりつつある。回生が失効したり、回生電力が絞り込まれると、不足するブレーキ力を補うために空気ブレーキが動作を開始するが、空気ブレーキが指令通りのブレーキ力を発生するまでには1秒近い遅れがある。このため、停止直前で空気ブレーキが動作を開始すると、ブレーキ力の不足により所定の停止位置を通過したり、ブレーキ力の急激な変化によるショックが発生する。 【0008】ブレーキ時の速度と電力との関係を図4に示す。基本的に、力行時には架線から車両に電力が送られる。また回生ブレーキ動作時には、車両の運動エネルギーが電力に変換され(制動電力)、車両から架線に電力が送られる。一方、モータやインバータの損失,車内で使用する補助電源等により、速度域によらず、常に電力が消費されている。低速度域では、これらの消費電力がブレーキにより発生する制動電力を上回るため、回生ブレーキの動作中であっても、架線電流の極性は正、すなわち架線から車両に向かって電力が送られている。この状態では、自車の回生ブレーキの動作を継続しても、フィルタコンデンサ3bの電圧ecを上昇させることはなく、架線電圧の上昇は、他の車両の回生ブレーキ動作に起因することになる。よって、フィルタコンデンサ3bの電圧ecが過電圧保護電圧Ec1を下回っていれば、架線電流の極性が負とならない限り、回生ブレーキ指令を絞り込む必要はない。 【0009】従来技術は、フィルタコンデンサ3bの電圧ecの上昇のみを検知して、回生電力の絞り込みを行っていたため、本来必要のない絞り込みや回生失効を生じ、空気ブレーキの起動による悪影響を及ぼしていた。 【0010】本発明の目的は、低速域での回生ブレーキ力低下を回避し、空気ブレーキの起動に伴うショックを抑制する車両用インバータの提供である。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の車両用インバータの制御装置では、インバータ入力電流idcを検出する手段を設け、フィルタコンデンサ3bの電圧ecが絞り込み開始電圧Ec0を越え、かつインバータ入力電流idcの極性が負で、絶対値が所定値以上の場合のみ回生電力を絞り込むようにすれば、回生ブレーキの停止と、空気ブレーキの突然の起動によるショックを抑制する。 【0012】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。 【0013】(実施例1)本実施例を図1に示す。図1の回生電力絞り器300が、図6に示した従来技術との相違点である。本実施例の回生電力絞り器300を構成する直流電圧比較器301の動作は、図6に示した従来技術の直流電圧制御器201の動作と同様である。本実施例の回生電力絞り器300を構成する直流電流比較器302は、インバータ入力電流idcと所定値idc0とを入力し、インバータ入力電流idc(idc<0)の大きさが所定値idc0の大きさ以上の場合には、図1の直流電流比較器302に示すようにインバータ入力電流idcと所定値idc0との差分に基づいて補償値を出力し、差分が正の場合には「0」を出力する。ここでインバータ入力電流idcの極性は、架線からインバータの方向に流れる場合を正と定義する。 【0014】回生電力絞り器300を構成する乗算器303は、直流電圧比較器301の出力と直流電流比較器302の出力とを乗算し、絞り電流指令Δiq0* を生成する。すなわち、フィルタコンデンサ3bの電圧ecが基準値を超え、かつインバータから架線の方向に所定値以上の電流が送られる場合に、トルク電流指令の大きさを減ずる。これにより回生電力が低減され、フィルタコンデンサ3bの電圧ecの上昇を抑制する。 【0015】なお直流電流比較器302に入力する信号は、インバータ入力電流idcの大小を判定できる情報であれば、インバータ入力電流idc以外の信号を用いて判定しても良い。例えば、フィルタ入力電流isでもよいし、フィルタリアクトルの端子間電圧からフィルタ入力電流isを算出した値であってもよい。 【0016】また、直流電流比較器302に入力する信号は、(数1)式を用いて、電圧指令vd*,vq*と、電流指令id*,iq*とから電力P1を演算したり、(数2)式を用いて、電圧指令vd*,vq*と、電流検出値id,iqとの積から電力P2を演算してもよい。 【0017】 P1=vd*×id*+vq*×iq* …(数1) P2=vd*×id+vq*×iq …(数2) また、(数3)式を用いて、回転速度Wrと電流i1との積から電力を演算してもよい。 【0018】 P3=Wr×i1 …(数3) 本実施例による動作の一例を、図3に示すタイムチャートを用いて説明する。時刻t1からt2の期間は、フィルタコンデンサ3bの電圧ecが絞り込み開始電圧Ec0を越えており、かつインバータ入力電流idcの大きさが所定値idc0の大きさを上回っているため、電流指令iq0* を絞り込む。絞り込みを行うとブレーキ力が不足するため、空気ブレーキが起動し、不足分を補う。 【0019】時刻t2からt3の期間は、フィルタコンデンサ電圧ecが絞り込み開始電圧Ec0を下回っているので、電流指令iq0* の絞り込みは行わない。 【0020】時刻t3からt4の期間は、フィルタコンデンサ電圧ecが再び絞り込み開始電圧Ec0を越えている。従来技術では、時刻t3からt4の期間にもフィルタコンデンサ3bの電圧ecのみから絞り電流指令を生成しているため、電流指令iq0* の絞り込みを行い、不足するブレーキ力を補うよう空気ブレーキが起動するので、空気ブレーキの応答遅れによりブレーキ力が急変し、所定の停止位置を通過してしまう場合がある。一方、本実施例によれば、この時刻t3からt4の期間のインバータ入力電流idcの大きさが所定値idc0の大きさを下回っているので、電流指令iq0* の絞り込みは行わないので、停止直前の不必要な絞り込みと空気ブレーキの起動を抑制することができ、時刻t4で車両が所定の位置に停止する。 【0021】(実施例2)本実施例を図2に示す。図2の回生電力絞り器400が、図6に示した従来技術との相違点である。図2の回生電力絞り器400を構成する直流電圧比較器401の動作は、図6の直流電圧比較器201の動作と同様である。回生電力絞り器400を構成する速度比較器402は、速度演算器101の出力するモータの速度に相当する速度Frと基準速度Fr0とを入力し、図2の速度比較器402に示すように、速度Frが基準速度Fr0を超える場合には、速度偏差に応じた補償値を出力し、速度Frが基準速度Fr0以下の場合には「0」を出力する。基準速度Fr0は、消費電力が回生電力を上回る条件から算出し、設定する。乗算器403は、直流電圧比較器401の出力と速度比較器402の出力とを乗算し、絞り電流指令Δiq0* を生成する。生成した絞り電流指令Δiq0* を用いて実施例1と同様に動作する。 【0022】このようにして、本実施例でも実施例1と同様に回生電力の不要な絞り込みや回生失効を生じることなく、空気ブレーキの起動によるショックなどを抑制できる。なお、絞りを行う場合は電気ブレーキ力が低下するため、低下分を空気ブレーキで補う。 【0023】なお、速度比較器402が出力する補償値は速度偏差の大きさに比例した補償値であってもよいし、図2に示すように予め定めた速度偏差の値より大きな速度偏差では一定の補償値となるようにしてもよい。また、前記速度演算器101の出力する速度Frに代えて、速度の推定値を速度比較器402に入力しても良い。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば、低速域での回生ブレーキ力低下を回避でき、空気ブレーキの起動に伴うショックを抑制することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所 【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
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| 【出願日】 |
平成14年2月1日(2002.2.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2003−230202(P2003−230202A) |
| 【公開日】 |
平成15年8月15日(2003.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−24910(P2002−24910) |
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