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【発明の名称】 ハイブリッド式電動車両
【発明者】 【氏名】住友 達哉
【住所又は居所】静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動機株式会社内

【要約】 【課題】運動エネルギーの回収量を増大させてバッテリー充電用エンジンによって消費される燃料を低減させる。

【解決手段】エンジン41でモータ発電機44を駆動して生じる電力で駆動用モータ用バッテリー25を充電する構成を採る。前記エンジン41が停止するときに前記モータ発電機44によって回生制動を行うエンジン停止手段63を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪を駆動するモータに給電するバッテリをエンジン駆動式の発電機によって充電するハイブリッド式電動車両において、前記エンジンが停止するときに前記発電機によって回生制動を行う制御装置を備えてなるハイブリッド式電動車両。
【請求項2】 請求項1記載のハイブリッド式電動車両において、エンジンをモータ駆動系にクラッチを介して接続し、前記クラッチを接続することにより発電機によって回生制動を行う制動手段を備えてなるハイブリッド式電動車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車輪を駆動するモータに給電するバッテリをエンジン駆動式の発電機によって充電するハイブリッド式電動車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のハイブリッド式電動車両としては、例えば特開2001−157310号公報に開示されたものがある。この公報に示されたハイブリッド式電動車両は、モータのみを動力源として走行するいわゆるシリーズハイブリッド型のもので、モータに給電するバッテリーを充電するための発電機と、この発電機を駆動するエンジンとをそれぞれ車体に搭載している。
【0003】この従来の電動車両は、バッテリーの充電量が低減してきたときにエンジンを始動させ、発電機が発電した電力でバッテリーを充電する。エンジンは、バッテリーの充電が終了した後に停止される。また、この電動車両は、減速時に前記モータを発電機として機能させて回生制動を行い、車体およびモータ駆動系が慣性で動くときの運動エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリーに回収する構成を採っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の電動車両においては、回生制動によって運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収しているが、近年はバッテリー充電用のエンジンによって消費される燃料を低減させるために、さらに多くの運動エネルギーを回収してエンジン運転時間を短縮させることが要請されている。
【0005】本発明はこのような要請に応えるためになされたもので、運動エネルギーの回収量を増大させてバッテリー充電用エンジンによって消費される燃料を低減させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド式電動車両は、バッテリー充電用のエンジンが停止するときに発電機によって回生制動を行う制御装置を備えたものである。エンジンは、停止操作を行った後に例えばピストンとシリンダとの摩擦によって運動エネルギーが消費されて停止する。本発明によれば、前記停止操作後の慣性による運動エネルギーを回生制動によって電気エネルギーに変換し、バッテリーに回収することができる。
【0007】請求項2に記載した発明に係るハイブリッド式電動車両は、請求項1に記載した発明に係るハイブリッド式電動車両において、エンジンをモータ駆動系にクラッチを介して接続し、前記クラッチを接続することにより発電機によって回生制動を行う制動手段を備えたものである。この発明によれば、前記クラッチを接続した状態で発電機による回生制動を行うことにより、モータ駆動系の運動エネルギーを回収することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るハイブリッド式電動車両の一実施の形態を図1ないし図5によって詳細に説明する。ここでは、本発明をゴルフカートに適用した場合の例について説明する。図1は本発明に係るハイブリッド式電動車両としてのゴルフカートの側面図、図2はゴルフカートの構成を示すブロック図、図3は後輪駆動系の構成を示すブロック図、図4は充電量の変化を示すグラフ、図5は負荷の変化を示すグラフである。
【0009】これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるゴルフカートである。このゴルフカート1は、2個ずつの前輪2と後輪3を備え、後輪3を後述する走行装置4(図2参照)によって駆動して走行するものである。前輪2は、乗員が操向ハンドル5によって操舵する他に、走行装置4によって車体が誘導線(図示せず)に沿って走行するように操舵される。図1において、符号6はシャーシを示し、7は前部シート、8は後部シート、9はバックキャリア、10は屋根を示す。
【0010】このゴルフカート1の走行装置4は、図2に示すように、前輪2を自動で操舵するための自動操舵装置11と、車体を走行させたり停止させる駆動装置12と、これら両装置を制御するCPU13を有するメインコントローラ14などによって構成されている。
【0011】前記自動操舵装置11は、誘導線を検出するセンサ15と、ステアリング軸16を回動させる操舵用モータ17と、手動で操舵する形態と自動で操舵される形態とを切換えるためのステアリング用クラッチ18とを備え、メインコントローラ14によって制御される。メインコントローラ14による自動操舵装置11の制御は、図示していないモード切替スイッチによって手動走行モードから自動走行モードに切り換えられた状態で実施される。
【0012】この自動走行モードでは、先ず、メインコントローラ14のCPU13からクラッチモータリレー19に制御信号が送出されて前記クラッチ18によって操向ハンドル5がステアリング軸16から切り離される。また、この切り離し制御の後に、CPU13は、誘導線用センサ15が誘導線を追従するように、誘導センサ用アンプ20を介して入力されたセンサ15の検出信号に基づいてステアリングドライバ21に制御信号を送出し操舵用モータ17を制御する。
【0013】前記駆動装置12は、図2および図3に示すように、後輪3の車軸22にトランスミッション23を介して接続した駆動用モータ24と、この駆動用モータ24に給電するバッテリー25と、後輪駆動用の動力を補うとともに前記バッテリー25を充電するために発電するエンジン式補助動力装置26と、各車輪をそれぞれ制動するドラムブレーキ27などを備えている。
【0014】前記駆動用モータ24は、前記メインコントローラ14から給電されてトランスミッション23の入力用部材を駆動する他に、前記入力用部材によって回転されて発電機として機能し、回生電流をメインコントローラ14に供給することができるものを使用している。この実施の形態では、この駆動用モータ24にパーキングブレーキ用の電磁ブレーキ28を設けている。
【0015】駆動用モータ24の出力は、手動走行モードでは、アクセルペダル29の踏み込み量に対応するようにCPU13によって制御される。すなわち、前記アクセルペダル29を踏み込むことにより、アクセルペダル29と連動するアクセルポテンショメータ30とアクセルスイッチ31とから制御信号がCPU13に送出され、この制御信号に基づいてCPU13がモータ出力を設定する。一方、自動走行モードでは、現在の車速が目標車速と一致するように、CPU13がモータ出力を制御する。現在の車速は、トランスミッション23に設けた車速センサ32によって検出し、目標車速は、車体に設けられる入力装置や遠隔入力のためのリモコン装置により設定される。さらに路面には、一次停止の必要、路面の上り下りや細かな凹凸等コースにおける走行状態の要求に対応するため、設定される目標車速に現在の車速を一致させるようにするフィードバック制御を一時的に中断し、あるいは一時的にフィードバック制御の応答性を高める等が判別できるように設けた永久磁石製のマーク(図示せず)をシャーシ6側のトリガーセンサ33および定点センサ34によって検出し、CPU13は設定される目標車速を取込むとともに、前記マークの意味するコースの走行要求を解析設定する。
【0016】前記手動走行モードと自動走行モードの何れの場合においても、制動時には、駆動用モータ24は発電機として機能し、回生制動を行う。回生制動により発生する電力は、メインコントローラ14から回生電流としてバッテリー25にこれを充電するように供給される。
【0017】手動走行モードでの制動は、乗員がブレーキペダル35を踏み込むことによって行われる。乗員がブレーキペダル35を踏み込むことにより、踏力が切替機構36からブレーキワイヤを介して各車輪のドラムブレーキ27に伝達され、ドラムブレーキ27が作動して制動力が発生する。ブレーキペダル35には、ブレーキスイッチ37が連動するように設けてあり、手動走行モードでの制動をCPU13が検出して前記回生制動を行えるように構成している。自動走行モードでの制動は、人力装置やリモコン装置における設定車速の減速再設定や緊急停止スイッチの入力、コース上のマークに基づく減速指示がある場合に、前記回生制動の他に、前記切替機構36にギヤ38を介して連結したブレーキ用モータ39にCPU13がブレーキモータ用ドライバ40から制御信号を送出することによって行われる。
【0018】前記エンジン式補助動力装置26は、エンジン41と、このエンジン41のクランク軸42にVベルト式伝動装置43を介して接続したモータ発電機44と、前記エンジン41と前記トランスミッション23の入力部材との間に介装したVベルト式無段変速機45および第1・第2のクラッチ46,47などによって構成されている。
【0019】前記エンジン41は、運転・停止が前記メインコントローラ14のCPU13によって切り換えられ、運転時には、気化器51のスロットル弁を開閉するスロットルモータ52がCPU13によって駆動され、回転数が制御される。エンジン41の回転数は、モータ発電機4に設けた回転数センサ53によって検出される。
【0020】前記モータ発電機44は、エンジン始動時にセルモータとして機能し、それ以外の時には発電機として機能するものを用いている。このモータ発電機44は、前記CPU13がスタートスイッチ54をON側へ切換えることによって、バッテリー25から給電されてスタータモータとして機能してエンジン41のクランク軸42を回転させる。
【0021】一方、このモータ発電機44は、CPU13がスタートスイッチ54をOFF側へ切換えることによって、エンジン41の動力で回転して発電する。このモータ発電機44によって発電された電力は、インバータ・コンバータ55を介してバッテリー25に供給される。すなわち、モータ発電機44がエンジン41により駆動されることによってバッテリー25が充電される。また、このモータ発電機44は、発電時には電流値と電圧値とをCPU13に出力する。
【0022】前記Vベルト式無段変速機45は、スクータ用などとして従来からよく知られているものと同等のもので、図3に示すように、Vベルト56を巻掛ける二つのプーリ57,58のうち、トランスミッション23側の従動プーリ57をトランスミッション23の前記入力部材に第1のクラッチ46を介して接続するとともに、エンジン41側の駆動プーリ58をエンジン41のクランク軸42に第2のクラッチ47を介して接続している。
【0023】前記第1のクラッチ46と第2のクラッチ47は、この実施の形態では両者とも電磁クラッチからなり、CPU13によって接続・切断が切り換えられるように構成されている。なお、第1のクラッチ46としては、前記従動プーリ57からトランスミッション23へのみ動力が伝達される一方向クラッチを用いることができる。
【0024】第1のクラッチ46と第2のクラッチ47が接続されるのは、エンジン41の動力をトランスミッション23に伝達して駆動用モータ24を助勢するときと、エンジン41によって駆動用モータ24を助勢していないときであってもモータ発電機44にトランスミッション23側から動力を伝達してモータ発電機44で回生制動を行うときである。これら両クラッチ46,47が切断されるのは、駆動用モータ24の動力のみによって走行するときと、エンジン41でモータ発電機44を駆動して発電させてバッテリー25を充電するときである。
【0025】この実施の形態では、Vベルト式無段変速機45に第1のクラッチ46と第2のクラッチ47とを介してトランスミッション23とエンジン41を接続しており、これら両クラッチ46,47を切断することによって、いかなる場合でもVベルト式無段変速機45に動力が伝達されることがなくなるから、駆動用モータ24のみの動力で走行するときや、エンジン41の動力を専ら発電用に用いるときに動力の損失を低減することができる。
【0026】このエンジン式補助動力装置26は、エンジン41から後輪3に至る動力伝達系の途中に、図2および図3において符号59で示すトルクセンサが介装されており、エンジン41の動力を後輪3に伝達して駆動用モータ24を助勢する形態を採るときに、エンジン41のクランク軸42のトルク変動を前記トルクセンサ59によって検出してCPU13に出力する。このとき、CPU13は、前記トルク変動が相殺されるように駆動用モータ24の出力を増減させる。この結果、エンジン41で助勢しているにもかかわらず、後輪3を駆動するトルクは略一定になるから、車体が円滑に走行するようになる。
【0027】トルクセンサ59を設ける位置は、図2に示すように第2のクラッチ47とVベルト式無段変速機45との間や、図3に示すように後輪3の車軸の途中など、エンジン41の動力が伝達される部位であれば適宜変更することができる。エンジン41が駆動用モータ24を助勢するのは、自動走行モードにおける設定車速の増加再設定や、コース上のマークに基づく急加速時や登坂時、さらには手動走行モードにおけるアクセルペダル29の踏み込みなどで負荷が予め定めた値を上回ったときである。
【0028】前記バッテリー25は、バッテリー電圧と、バッテリー温度と、バッテリー25の充放電電流量とに基づいてバッテリー25の残量を検出するバッテリー残量検出手段61を接続している。このバッテリー残量検出手段61は、検出したバッテリー残量を前記CPU13に出力する。バッテリー残量が予め定めた値より少なくなったときに、CPU13がエンジン41を始動させてモータ発電機44によって発電させ、バッテリー25を充電する。
【0029】CPU13は、上述したように、ドラムブレーキ27による制動力と、駆動用モータ24およびモータ発電機44の回生制動による制動力とを制御する制動手段62(図2参照)を備えるとともに、エンジン41でバッテリー25を充電するときやエンジン41で補助動力を発生させるときにエンジン41を始動させ、充電が終了したり駆動用モータ24の負荷が低減されたりしてエンジン41の動力が不要になったときに、第1および第2のクラッチ46,47を切断状態としてエンジン41を停止させるエンジン停止手段63を備えている。
【0030】前記制動手段62は、通常制動時に駆動用モータ24による回生制動を行うとともに、急制動時にモータ発電機44による回生制動も併用する回路を採っている。前記急制動時に制動手段62は、第1および第2のクラッチ47を接続状態としてトランスミッション23側からVベルト式無段変速機45を介して動力をモータ発電機44に伝達させ、このモータ発電機44によって発電させる。このようにモータ発電機44による回生制動も併用することにより、モータ駆動系の運動エネルギーを急制動時にモータ発電機44によって回収することができるから、より一層多く運動エネルギーを回収することができる。
【0031】前記エンジン停止手段63は、例えば、図4に示すように、バッテリー25の充電量が予め定めた基準量X%を下回ったときにエンジン41を始動させ、充電によって充電量が前記基準量X%に達したときにエンジン41を停止させる。また、このエンジン停止手段63は、バッテリー25の充電量の他に、駆動用モータ24の負荷を検出し、図5に示すように、駆動用モータ24の負荷が基準負荷Xを越えたときにエンジン41を始動させ、負荷が低減されて前記基準負荷Xを下回ったときにエンジン41を停止させる。前記負荷を検出する方法は、以下に説明するように4通りの方法が考えられる。
【0032】(1)現在の車速と、入力装置あるいはリモコン装置により設定される目標車速とを比較し、目標車速が大きい場合に負荷が大きく、これとは逆の場合に負荷が小さいと判定する。
(2)車体の減速度と予め定めた減速度とを比較し、車体の減速度が設定減速度より大きい場合に負荷が大きく、これとは逆の場合に負荷が小さいと判定する。
(3)アクセル値(アクセルペダル29の踏込量)の増加度が予め定めた増加度より大きい場合に負荷が大きく、ブレーキ値(リモコン操作によるブレーキの操作量またはブレーキペダル35の踏込量)が予め定めた増加度より大きい場合に負荷が小さいと判定する。
(4)Vベルト式無段変速機45の変速比が予め定めた変速比より大きい場合に負荷が大きく、これとは逆の場合に負荷が小さいと判定する。コースに埋設されるマークに基づき、負荷大あるいは負荷小と判定する。
【0033】エンジン41を停止させるためには、前記エンジン停止手段63が点火プラグ(図示せず)に供給する点火電流を遮断したり、気化器51のスロットル弁を全閉として気化器51に供給する燃料を遮断することによって行う。エンジン停止時には、エンジン停止手段63は、前記点火停止制御や燃料停止制御を行った後にモータ発電機44によって発電させる。すなわち、バッテリー25の充電量が図4においてX%に達した後もモータ発電機44によって発電を継続させる。また、駆動用モータ24の負荷が低減されてエンジン41を停止させた後にもモータ発電機44によって発電を行う。
【0034】このため、エンジン41の運動エネルギーは、エンジン41が前記停止制御後も継続してモータ発電機44を回転させることによって消費され、この運動エネルギーが無くなった時点でエンジン41が完全に停止する。この結果、エンジン停止操作後の慣性による運動エネルギーを回生制動によって電気エネルギーに変換し、バッテリー25に回収することができるから、図4に示すように、バッテリー25の充電量が100%に達していない状態(X%)でエンジン41を停止させ、この停止操作後に発電される電力によってバッテリー25を充電量が100%に達するまで充電することができる。したがって、このゴルフカート1によれば、バッテリー25を充電するためにエンジン41を運転する時間を短縮することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エンジンを停止させる操作を行った後にエンジンの運動エネルギーを回生制動によって電気エネルギーに変換し、バッテリーに回収することができる。このため、バッテリーを充電するためにエンジンを運転する時間を短縮することができ、エンジンの燃料を節約することができる。
【0036】請求項2記載の発明によれば、クラッチを接続した状態で発電機による回生制動を行うことにより、モータ駆動系の運動エネルギーを回収することができるから、モータを発電機として機能させる回生制動と、上記エンジン側発電機の回生制動とを併用することにより、急制動を行うことができるとともに、より一層多く運動エネルギーを回収することができる。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【住所又は居所】静岡県磐田市新貝2500番地
【出願日】 平成14年1月28日(2002.1.28)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
【公開番号】 特開2003−224904(P2003−224904A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−18155(P2002−18155)