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【発明の名称】 車載用キャパシタの性能診断方法および車両用電動システム
【発明者】 【氏名】丸山 宜之
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムにおいて、車載用キャパシタの性能診断を、簡便かつ短時間に行なう。

【解決手段】車載用キャパシタ80a,80bの充電電流を精密抵抗70の電圧値から求め、システム起動後の充電電流と各車載用キャパシタ80a,80bの電圧の初期変化に基づいて、車載用キャパシタ80a,80bそれぞれの静電容量又は内部抵抗を求める。この静電容量又は内部抵抗が所定の許容範囲内であるか否かによって、車載用キャパシタ80a,80bの性能診断が行なわれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムにおいて、前記車載用キャパシタの性能診断を行なう方法であって、前記車両用電動システムの起動にともなって前記車載用キャパシタの充電が開始されたときの、前記車載用キャパシタに流れる電流の初期変化および前記車載用キャパシタの電圧の初期変化を検出する状態変化検出工程と、検出された電流変化および電圧変化に基づいて、前記車載用キャパシタの性能の良否を判定する性能判定工程と、前記車載用キャパシタ性能の判定結果を報知する判定結果報知工程と、を備えることを特徴とする車載用キャパシタの性能診断方法。
【請求項2】 前記状態変化検出工程において、前記電流の初期変化は、前記車載用キャパシタに直列に接続された精密抵抗間の電圧に基づいて検出されることを特徴とする請求項1に記載の車載用キャパシタの性能診断方法。
【請求項3】 前記性能判定工程において、前記車載用キャパシタの性能の良否の判定は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの静電容量が所定の許容範囲内か否かによって実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の車載用キャパシタの性能診断方法。
【請求項4】 前記性能判定工程において、前記車載用キャパシタの性能の良否の判定は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの内部抵抗が所定の許容範囲内か否かによって実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の車載用キャパシタの性能診断方法。
【請求項5】 車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムであって、前記車載用キャパシタに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記車載用キャパシタの電圧を検出する電圧検出手段と、前記車両用電動システムの起動にともなって前記車載用キャパシタの充電が開始されたときの、前記車載用キャパシタに流れる電流の初期変化および前記車載用キャパシタの電圧の初期変化を前記電流電圧検出手段を用いて検出する状態変化検出手段と、検出された電流変化および電圧変化に基づいて、前記車載用キャパシタの性能の良否を判定する性能判定手段と、前記車載用キャパシタ性能の判定結果を報知する判定結果報知手段と、を備えることを特徴とする車両用電動システム。
【請求項6】 前記電流検出手段は、前記車載用キャパシタに直列に接続された精密抵抗間の電圧に基づいて電流を検出することを特徴とする請求項5に記載の車両用電動システム。
【請求項7】 前記性能判定手段は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの静電容量が所定の許容範囲内か否かによって、前記車載用キャパシタの性能の良否判定を行なうことを特徴とする請求項5または6に記載の車両用電動システム。
【請求項8】 前記性能判定手段は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの内部抵抗が所定の許容範囲内か否かによって、前記車載用キャパシタの性能の良否判定を行なうことを特徴とする請求項5または6に記載の車両用電動システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車載用キャパシタの性能診断方法および車両用電動システムに関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車(いわゆるハイブリッド車を含む)においては、バッテリからの電力をインバータを用いて、交流電流に変換する。そして、この交流電流によって車両走行用のモータが駆動する。ここで、モータは車両走行用であるので、高出力であり、大電流が流れる。そこで、インバータへ供給する直流電圧を維持するために、インバータの入力側にキャパシタが配置される。
【0003】モータを正常に駆動させるためには、このキャパシタが正常に機能していなけばならない。このため、電気自動車を起動させる際の車両のシステムチェックにおいても、キャパシタが正常であるか否かを診断することが必要である。
【0004】キャパシタの診断方法としては、充電に要する時間と、充電電流および電圧から静電容量を求めることによって不具合の判定を行なうことが知られている(たとえば、特開2000−278802号公報参照)。
【0005】また、キャパシタの診断方法としては、キャパシタの充電電流を制御できる充放電機能を備え、キャパシタに一定電流を流したときの電圧変化を調べることによって不具合の判定を行なうことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】通常、キャパシタが満充電になるには5分〜10分程度の時間を要するので、電気自動車を起動させる際の車両のシステムチェックにおいて、充電に要する時間と、充電電流および電圧から静電容量を求めることによって不具合の判定をするとシステムチェックに多大な時間がかかってしまい、現実的ではなかった。
【0007】また、キャパシタの充電電流を制御できる充放電機能を用いて、キャパシタの不具合の判定をする場合には、別途充放電機能が必要であり、構成が複雑となりコストアップとなっていた。
【0008】そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる車載用キャパシタの性能診断方法および車両用電動システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムにおいて、前記車載用キャパシタの性能診断を行なう方法であって、前記車両用電動システムの起動にともなって前記車載用キャパシタの充電が開始されたときの、前記車載用キャパシタに流れる電流の初期変化および前記車載用キャパシタの電圧の初期変化を検出する状態変化検出工程と、検出された電流変化および電圧変化に基づいて、前記車載用キャパシタの性能の良否を判定する性能判定工程と、前記車載用キャパシタ性能の判定結果を報知する判定結果報知工程と、を備える。
【0010】また、本発明は、前記状態変化検出工程において、前記電流の初期変化は、前記車載用キャパシタに直列に接続された精密抵抗間の電圧に基づいて検出されてもよい。
【0011】また、本発明は、前記性能判定工程において、前記車載用キャパシタの性能の良否の判定は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの静電容量が所定の許容範囲内か否かによって実施されてもよい。また、前記性能判定工程において、前記車載用キャパシタの性能の良否の判定は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの内部抵抗が所定の許容範囲内か否かによって実施されてもよい。
【0012】本発明は、車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムであって、前記車載用キャパシタに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記車載用キャパシタの電圧を検出する電圧検出手段と、前記車両用電動システムの起動にともなって前記車載用キャパシタの充電が開始されたときの、前記車載用キャパシタに流れる電流の初期変化および前記車載用キャパシタの電圧の初期変化を前記電流電圧検出手段を用いて検出する状態変化検出手段と、検出された電流変化および電圧変化に基づいて、前記車載用キャパシタの性能の良否を判定する性能判定手段と、前記車載用キャパシタ性能の判定結果を報知する判定結果報知手段と、を備える。
【0013】また、本発明は、前記電流検出手段は、前記車載用キャパシタに直列に接続された精密抵抗間の電圧に基づいて電流を検出してもよい。
【0014】また、本発明の前記性能判定手段は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの静電容量が所定の許容範囲内か否かによって、前記車載用キャパシタの性能の良否判定を行なってもよい。また、前記性能判定手段は、検出された電流変化および電圧変化に基づいて算出される前記車載用キャパシタの内部抵抗が所定の許容範囲内か否かによって、前記車載用キャパシタの性能の良否判定を行なってもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明する。
【0016】図1は、実施形態に係る車載用キャパシタの性能診断方法が適用されるモータ駆動システム10の概略構成図である。バッテリ20は、多数の電池セルからなる組電池であり約300Vの出力電圧を有する。バッテリ20の正極は、SMR(システムメインリレー)30を介して、インバータ回路40の一端と接続されている。また、バッテリ20の負極は、SMR32を介して、インバータ回路40の他端と接続されている。このインバータ回路40には、3相交流誘導モータ50が負荷として接続されている。従って、SMR30およびSMR32をオンすることにより、インバータ回路40に電力が供給され、インバータ回路40のスイッチング制御により三相交流が発生する。この3相交流によって3相交流誘導モータ50が駆動し、車両が走行する。
【0017】インバータ回路40の直流電源側端子間には、放電抵抗60並びに直列接続された精密抵抗70、車載用キャパシタ80a、および車載用キャパシタ80bがそれぞれ接続されている。車載用キャパシタ80a、および車載用キャパシタ80bの最大電圧は、約2.5Vである。本実施形態では、説明を簡単にするために、車載用キャパシタの数は2個であるが、車載用キャパシタの個数は例えば7個が好適である。車載用キャパシタ80a、および車載用キャパシタ80bは、SMR30およびSMR32をオンすることにより充電される。
【0018】また、精密抵抗70、車載用キャパシタ80a、および車載用キャパシタ80bには、それぞれの両端電圧を検出する電圧計90、92、94が設置されている。電圧計90、92、94で検出された電圧信号は、後述する車載用キャパシタ性能診断部100に送信される。
【0019】車載用キャパシタ性能診断部100は、システム起動開始後に、電圧計90、92、94からの電圧信号に基づいて、車載用キャパシタ80a、80bの性能診断を行う。車載用キャパシタ性能診断部100での性能診断は、システム起動開始後の充電電流と各車載用キャパシタの両端電圧とから、各車載用キャパシタの静電容量又は内部抵抗を算出し、算出結果が所定の許容範囲内であるか否かを判定することによって行なわれる。
【0020】図2のフローチャートを用いて、モータ駆動システム10における車載用キャパシタの性能診断処理を説明する。
【0021】まず、モータ駆動システム10の起動に伴って、車載用キャパシタ80a、80bの充電が開始される(S10)。
【0022】車載用キャパシタ80a、80bの充電開始後の精密抵抗70および車載用キャパシタ80a、80bの両端電圧の検出結果は、車載用キャパシタ性能診断部100に順次送信される。この検出結果に基づいて、車載用キャパシタ性能診断部100は、車載用キャパシタ80a、80bの性能診断を行なう(S20)。
【0023】次に、車載用キャパシタ80a、80bの性能診断について具体的に説明する。
【0024】ここで、時刻tにおける精密抵抗70の両端電圧をΔVr(t)とし、時刻tにおける車載用キャパシタ80a、80bの両端電圧(車載用キャパシタ電圧)をそれぞれΔV1(t)、ΔV2(t)とする。時刻tにおける車載用キャパシタ80a、80bに流れる充電電流を、I(t)とする。また、車載用キャパシタ80a、80bの静電容量を、それぞれ、C1,C2とし、内部抵抗を、それぞれ、R1,R2とする。
【0025】図3は、システム起動後の充電電流I(t)の変化を示すグラフであり、図4は、システム起動後の車載用キャパシタ80aの車載用キャパシタ電圧△V1(t)の変化を示すグラフである。充電電流I(t)は、時刻0(システム起動時)における電流値I(0)から徐々に減少し、時刻Tにおいておいて0になる。また、車載用キャパシタ電圧ΔV1(t)は、時刻0(システム起動時)における電圧値ΔV1(0)から充電により徐々に増加し、時刻Tにおいてフル充電状態になり、電圧値△V1(T)になる。
【0026】充電電流I(t)は、精密抵抗70の両端電圧ΔVr(t)を用いて、式(1)により精度良く求められる。
【数1】

【0027】時刻tにおける静電容量C1、C2は、式(1)で求めた充電電流I(t)、ΔVn(0)およびΔVn(t)を用いて、式(2)により求められる。
【数2】

【0028】ここで、n=1または2である。
【0029】また、時刻tにおける内部抵抗R1、R2は、式(1)から求められた充電電流I(t)、I(0)、ΔVn(0)およびΔVn(t)を用いて、式(3)により求められる。
【数3】

【0030】車載用キャパシタ性能診断部100は、算出された静電容量C1、C2および内部抵抗R1、R2が所定の許容範囲内であるかを調べ(S30)、許容範囲内である場合には正常と判定し、システムの起動が正常に完了される(S40)。また、いずれかの算出結果が許容範囲外の場合には、その車載用キャパシタは異常であると判定し、システムの起動が中断されるとともに、ユーザに判定結果が通知される(S50)。
【0031】通常、上記車載用キャパシタの性能診断において、時刻tは1秒程度で十分であり、システム起動から車載用キャパシタの性能診断までに要する時間も1秒程度という短時間で済む。このため、システム起動をよりスムースに行なうことができる。
【0032】また、システムの起動後の充電電流および電圧の初期変化に基づいて車載用キャパシタの性能診断を行なうことができるため、車載用キャパシタの性能診断用の電流等の制御が不要であり、簡便な構成で診断が実行できる。
【0033】なお、応用例として、車載用キャパシタに蓄積されたエネルギーが放出されてモータ等の負荷が駆動する際に、上記実施形態と同様に、放電後の車載用キャパシタに流れる電流、および電圧の初期変化を検出することにより、車載用キャパシタの静電容量および内部抵抗を算出し、この値が所定の許容範囲内であるか否かによって、車載用キャパシタの性能診断を行なうこともできる。
【0034】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明によれば、車載されたキャパシタに蓄電されたエネルギーを利用する車両用電動システムにおいて、前記車載用キャパシタの性能診断を、簡便かつ短時間に行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成14年1月25日(2002.1.25)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−224902(P2003−224902A)
【公開日】 平成15年8月8日(2003.8.8)
【出願番号】 特願2002−17331(P2002−17331)