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【発明の名称】 電気自動車
【発明者】 【氏名】早川 浩之
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車工業株式会社内

【氏名】浦野 徹
【住所又は居所】東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動車工業株式会社内

【要約】 【課題】本発明は、バッテリ充電用のコードが予め車体に取り付けられた小型の電気自動車に関し、車両に設けられた充電用コードが走行中に車輪に絡まることを防止できるようにすることを目的とする。

【解決手段】収納部に収納されたコードを用いてバッテリ1の充電を行ない、コード収納状態判定手段81によってコードの収納部への収納状態を判定し、コードが収納状態にないと判定されたときには走行禁止手段82によって車両の走行が禁止されるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両駆動用のモータに電力を供給するバッテリと、バッテリ充電用のコードと、上記コードを収納する収納部と、上記コードの収納状態を判定するコード収納状態判定手段と、上記コードが収納状態にないと判定されたとき、車両の走行を禁止する走行禁止手段とをそなえたことを特徴とする、電気自動車。
【請求項2】 上記モータを制御するモータ制御手段を更にそなえ、上記走行禁止手段が、上記コード収納状態判定手段により上記コードが収納状態にないと判定されたとき、上記バッテリと上記モータ制御手段との接続を遮断することを特徴とする、請求項1記載の電気自動車。
【請求項3】 上記モータを制御するモータ制御手段を更にそなえ、上記走行禁止手段が、上記コード収納状態判定手段により上記コードが収納状態にないと判定されたとき、上記モータ制御手段に対して停止指示を行なうことを特徴とする、請求項1記載の電気自動車。
【請求項4】 上記モータを制御するモータ制御手段を更にそなえ、上記走行禁止手段が、上記コード収納状態判定手段により上記コードが収納状態にないと判定されたとき、上記モータ制御手段に対するトルク指示をゼロとすることを特徴とする、請求項1記載の電気自動車。
【請求項5】 上記コードが巻き取り式コードであり、上記コード収納状態判定手段が、上記コードが巻き取られた状態にあるときに上記コードが収納状態にあると判定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の電気自動車。
【請求項6】 上記収納部のコード取り出し部を開閉する開閉手段を更にそなえ、上記収納状態判定手段が、上記コードが巻き取られた状態にあり、且つ、上記開閉手段によりコード取り出し部が閉鎖状態にあるとき上記コードが収納状態にあると判定することを特徴とする、請求項5記載の電気自動車。
【請求項7】 ON状態で上記モータの駆動を可能とする始動スイッチと、上記走行禁止手段により車両の走行が禁止されているとき上記始動スイッチをON状態とすると、使用者に警報を与える警報手段とを更にそなえたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリ充電用のコードが予め車体に取り付けられた小型の電気自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、家庭用の交流電源で充電可能な小型の電気自動車が開発され実用に至っている。このような小型電気自動車は、通常、通勤時等決まった経路を定期的に走行するのに用いられており、走行に際してバッテリの充電が行なわれる。このバッテリの充電作業は、別体の充電用コードの一端を車両側に取り付けるとともに、コードの他端を家庭用のAC100Vのコンセントに差し込むことにより行なわれる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、一般にこのような小型電気自動車では、一回の充電によって走行できる距離は短いため充電作業を頻繁に行なう必要があるが、上述の別体の充電用コードを用いた充電方法では充電の度にコードを車両とコンセントとの双方に取り付け及び取り外ししなければならないため煩わしい。
【0004】これに対して、このような充電用コードを予め車両側に設け車両に収納することで、車両側のコードの取り付け及び取り外しを不要とし、充電作業を簡略化できるようにした技術が開発されている。しかしながら、このような充電用コードを車両に収納するタイプの電気自動車では、充電中に誤って走行を開始する等、コードの収納が完全に行なわれない状態で走行した場合、コードが車輪に絡みついて走行が不安定となる虞がある。
【0005】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、車両に設けられた充電用コードが走行中に車輪に絡まることを防止できるようにした、電気自動車を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の電気自動車は、収納部に収納されたコードを用いてバッテリの充電を行なうようになっており、上記目的を達成するために、コード収納状態判定手段によってコードの収納部への収納状態を判定し、コードが収納状態にないと判定されたときには、走行禁止手段によって車両の走行が禁止されるようになっている(請求項1)。
【0007】なお、コードが収納状態にないと判定された場合には、走行禁止手段によりモータの駆動制御を行なうモータ制御手段とバッテリとの間の接続が遮蔽されるようにしてもよく(請求項2)、又、走行禁止手段によりモータ制御手段に対して停止指示が出されるようにしてもよい(請求項3)。さらに、走行禁止手段により、モータ制御手段に対するトルク指示がゼロとなるようにしてもよい(請求項4)。これにより、モータの駆動が禁止され、モータ走行が禁止される。
【0008】また、バッテリ充電用のコードとして巻き取り式のコードを用い、収納状態判定手段による収納状態の判定が、この巻き取り式のコードの巻き取り状態によって行なわれ、コードが巻き取られた状態にないときには、収納状態にないと判定し、走行禁止手段によって車両の走行を禁止するようにしてもよい(請求項5)。このとき、収納部のコード取り出し部を開閉手段によって開閉するようにし、収納状態判定手段による収納状態の判定が、この巻き取り式のコードの巻き取り状態と、コード取り出し部の開閉状態によって行なわれるようにしてもよい。つまり、コードが巻き取られた状態にあり、且つ、コード取り出し部が開閉手段によって閉鎖された状態であるときにはコードが収納状態にあると判定し、逆に、コードが巻き取られた状態にないか又はコード取り出し部が閉鎖状態にない場合にはコードが収納状態にないと判定し、走行禁止手段によって車両の走行を禁止するようにしてもよい(請求項6)。
【0009】さらに、始動スイッチがON状態のときにモータの駆動が可能となるように構成し、走行禁止手段により車両の走行が禁止された状態にあるときにこの始動スイッチをON状態にすると、警報手段によって使用者に対して警報し、コードを収納するよう促すようにしてもよい(請求項7)。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の一実施形態としての電気自動車について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図であり、図2はその要部構成を示す図である。また、図3はその機能に着目した模式的なブロック図であり、図4はその作用を説明するためのフローチャートである。
【0011】本実施形態に係る電気自動車は、図1に示すように、主な構成として、バッテリ1,コード収納部(収納部)7,モータ5a,MCU(Motor Control Unit)3及びTCU(Torque Control Unit)8をそなえており、バッテリ1に蓄えられた電力によりモータ5aを駆動して走行するようになっている。
【0012】ここで、モータ5aは、永久磁石式のDCブラシレスモータが適用されており、左右の後輪5,5のホイール部に直接組み込まれている。そして、このモータ5aには、コンタクタ2及びMCU3を介してバッテリ1から電力が供給されるようになっている。MCU(モータ制御手段)3は後述のTCU8から入力されたトルク指令に基づいてモータ5aの駆動を制御するためのものであり、トルク指令値をモータ駆動用の電流値に変換し、モータ5aに出力するようになっている。
【0013】なお、MCU3にはバッテリ1からの直流電流を三相の交流電流に変換するためのインバータ4(図3参照)がそなえられている。また、MCU3にはポジションセンサ及び温度センサ(いずれも図示略)が接続されており、ポジションセンサから入力されるモータ5aの磁極位置に関する情報や温度センサで検出されるモータ温度を考慮してモータ駆動を制御しうるようになっている。
【0014】コンタクタ2は、バッテリ1とインバータ4との間の回路を断接するためのリレー回路であり、後述のTCU8によってON状態又はOFF状態に制御され、これに応じて、バッテリ1とインバータ4との間の回路が接続又は遮蔽されるようになっている。そして、コンタクタ2がOFF状態に制御されバッテリ1とインバータ4との間の回路が遮蔽されると、MCU3によるモータ5aの駆動制御が不可能となり車両の走行が禁止される。
【0015】また、本電気自動車には、このバッテリ1を充電するための充電器6と、この充電器6に接続された巻き取り式の充電用コード75を収納するためのコード収納部7とが設けられており、このコード75を家庭用AC100Vのコンセントに差し込むことで充電が行なわれるようになっている。コード収納部(収納部)7は、図2(a)に示すように、開口部(コード取り出し部)71aを有するコード収納用のボックス71として構成されている。そして、図2(b)に示すように、内部には、コード巻き取り部としてのドラム73と、コード送り出し用のローラ74,74がそなえられている。
【0016】ドラム73は、コード75を巻き取ってコンパクトに収納できるようにしたものであり、図示しないドラム駆動用モータによって回転駆動され、コード75を巻き取るようになっている。このドラム駆動用モータはスイッチ操作によって引き出し方向と引き込み方向との切り替えが行なえるようになっており、コード75が一定量だけ引き出し、或いは、引き込まれた場合に、このドラム駆動用モータが停止するようになっている。
【0017】また、ドラム73には回転数センサ12(図3参照)が設けられており、ドラム73の回転量が検出されるようになっている。ローラ74はコード75を挟持して送り出すためのもので、コード75に対して上下に配され、ドラム73と同期して回転するようになっている。また、コード引き込み時にコードが一定量引き込まれると、プラグ76がローラ74,74に当接してそれ以上の引き込みが禁止されるため、コード75が一定以上引き込まれないようになっている。
【0018】また、ボックス71には開口部71aを開閉するためのシャッタ(開閉手段)72がそなえられており、更に、このシャッタ72の開閉状態を検出するための開閉センサ13が設けられ、シャッタ72が閉鎖されているか否かを検出できるようになっている。TCU8はドライバの運転操作に基づいてモータトルクを制御するためのものであり、メインキー(始動スイッチ)11,アクセルセンサ,ブレーキセンサ及びシフトスイッチ(いずれも図示略)等が接続されている。そして、本電気自動車では、所謂ドライブ・バイ・ワイヤが適用され、メインキー11がON状態のときに、各センサ類からのAPS情報,BPS情報及びシフト情報等に基づいて、TCU8がモータのトルク指令値を決定しMCU3へ出力することで、車両の走行が制御されるようになっている。
【0019】また、TCU8はコード75の収納状態に応じて種々の制御を行ない走行安全性を確保するようになっており、図3に示すように、回転数センサ12及び開閉センサ13が接続され、TCU8に設けられたコード収納状態判定手段81にドラム73の回転量やシャッタ72の開閉状態に関する情報が入力されるようになっている。そして、コード収納状態判定手段81ではこれらの情報からコード75の収納状態を判定し、コード75が収納状態にない場合には、走行禁止手段82により車両の走行が禁止されたり、ドライバへコード75を収納するように促したりするようになっている。
【0020】つまり、TCU8は、ドラム73の回転量とドラム径とからコード75の引き出し量を演算し、このコード引き出し量が許容範囲内の大きさであればコード75がドラム73によって完全に巻き取られた状態にあると判定する。逆に、コード75の引き出し量が許容範囲外である場合には、コード75が巻き取られた状態にないと判断し、走行禁止処理として、例えばコンタクタ2をOFF状態としてバッテリ1とインバータ4との間の回路を遮蔽し、車両の走行を禁止するようになっている。
【0021】また、TCU8は、開閉センサ13からの開閉情報からシャッタ72の開閉状態を判定し、シャッタ72が閉鎖状態にある場合にはコード75の収納が完了したと判断する。逆に、シャッタ72が閉鎖状態にない場合には、シャッタ72が開かれた状態、或いは、コード75がシャッタ72に挟まって完全に閉じきらない状態であると判断し、TCU8によって走行禁止処理が実行され車両の走行が禁止されるようになっている。
【0022】このように、コード75の収納状態をコード75の巻き取り状態とシャッタ72の開閉状態とで二重にチェックすることで、一方のみチェックする場合よりも収納状態の判定を確実にすることができ、走行安全性を高めることができるようになっているのである。そして、このように車両の走行が禁止された状態でドライバがメインキー11をON状態にし走行を開始しようとした場合には、警報処理として、例えばブザー(警報手段)10を鳴らして警報することで、ドライバにコード75を巻き取るよう促すようになっている。
【0023】本発明の一実施形態としての電気自動車は、上述のように構成されているので、例えば図4に示すようなフローチャートに従って制御が行なわれる。まず、ステップS1でメインキー11がONになったことが検知されると、ステップS2で回転数センサ12からの情報に基づいてコード75の巻き取り状態が判定される。そして、コード75がドラム73に巻き取られた状態にあると判定された場合には、ステップS3でシャッタ72の開閉状態が判定され、シャッタ72が閉鎖状態であると判定された場合にはコード75が収納状態にあると判断し、ステップS6で車両の走行が許可されて走行可能状態となる。
【0024】これに対して、ステップS2でコード75が巻き取られた状態にないと判定された場合、或いは、ステップS3でシャッタ72が閉鎖状態にないと判定された場合には、ステップS4で走行禁止処理が実行されて走行が禁止される。そして、同時に、ステップS5で警報処理が施され、ドライバに対してコード75を収納するよう促す。
【0025】したがって、本実施形態の電気自動車によれば、コード75がボックス71内に完全に収納されていない状態では走行が禁止されるため、走行中にコード75が車輪に絡まる危険がなく走行の安全性が確保されるとともに、コード75を引きずってコード75やプラグ76が破損することが防止されるという利点がある。
【0026】また、コード75の収納状態の判定がコード75のドラム73への巻き取り状態とシャッタ72の開閉状態とにより二重にチェックされているため、収納状態を万全に行なうことができ、走行安全性を更に高めることができる。なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0027】例えば、コード75の収納状態の判定は、コード75の巻き取り状態とシャッタ72の開閉状態との内、どちらか一方の判定によって行なうようにしてもよい。また、走行禁止処理は車両の走行を禁止する制御であればどのようなものでもよく、TCU8からMCU3へ出力するトルク指令値を0%に設定し、モータ駆動電流の値がゼロとなるようにしたり、TCU8によってインバータ4に対して停止指示を出しインバータ4を停止させたりするようにしてもよい。
【0028】さらに、警報処理は、上記実施形態のようにブザー10を鳴らして警報する以外にも、インジケータランプ9を点灯させてドライバにコード75の収納を促すようにしてもよい。この場合、インジケータランプ9は本発明における警報手段として機能することになる。また、ブザー音の代わりに音声によって警報することも勿論可能である。
【0029】そして、このような警報処理では、コード75の巻き取りが不完全である場合とシャッタ72が開いた状態である場合とで警報内容を変えるようにしてもよい。例えば、ブザー10を鳴動回数やインジケータ9の点灯回数を変えたり、ブザー10の鳴動周期やインジケータ9の点灯周期を変えたりしてもよい。また、音声によって警報する場合には、「コードの巻き取りが不完全です。」、或いは、「シャッタが開いています。」等のように指摘するようにしてもよい。
【0030】さらに、コード収納部7は車体の前端或いは後端等への設置が考えられ、車室内のスペースを有効に活用するために運転席の下部へ設置してもよい。また、コード75の巻き取り部はコード75を弾性的に引っ張り出して引き出し自在に収容するコードリールとして構成してもよい。この場合、引き出し時にはプラグ76を手でつまんでコード75を引っ張り出し、手を離すと弾性力によりコード75は自動的に巻き取られるようにすることが好ましい。これにより、ドラム駆動用モータ等の構成が不要となり、収納部7の構成を簡素化できるとともに、コード75の引き出し或いは巻き取りの際のスイッチ操作が不要となり充電作業を容易に行なうことができるのである。
【0031】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、コードが収納部に収納されていないと判定された場合には、走行禁止手段によって車両の走行が禁止されるため、充電中に誤って走行を開始してコードが車輪に絡まる危険性がなく、走行の安全性が確保される。また、コードを引きずることがなく、コードやコード先端部のプラグを損傷することを未然に防止することができる(請求項1〜4)。
【0032】また、バッテリ充電用のコードとして巻き取り式のコードを用いることで、コードをコンパクトに収納することができ、収納部を簡素化できる。さらに、収納状態をコードの巻き取り状態によって判定することにより、収納状態の判定を容易に行なうことができ、収納状態判定手段を簡素な構成とすることができる(請求項5)。このとき、コードの巻き取り状態に加えて、更に、コード取り出し部の開閉状態をチェックするようにすることで、コードの収納状態の判定を確実にすることができ、走行安全性を更に高めることができる(請求項6)。
【0033】さらに、走行禁止状態のときに始動スイッチをONにして走行しようとしたときに警報を与えるようにすることで、使用者の注意を喚起してコードの収納を促すことができる(請求項7)。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番4号
【出願日】 平成14年1月17日(2002.1.17)
【代理人】 【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
【公開番号】 特開2003−219511(P2003−219511A)
【公開日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願番号】 特願2002−8262(P2002−8262)