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【発明の名称】 燃料電池車両の表示装置
【発明者】 【氏名】近藤 修五
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】燃料電池車両において、燃料電池や充放電を行うエネルギーストレージの電気エネルギー収支の管理状況を容易に把握して、燃料電池やエネルギーストレージを常に監視する。

【解決手段】燃料電池車両のメータ類の表示部21において、モータ出力計25とキャパシタ容量計26とを組み合わせて、各々に表示される電力を色分けして表示することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料電池及び充放電を行うエネルギーストレージを電源とする発電電動機を動力源として備える燃料電池車両の表示装置において、前記発電電動機の出力計と、前記エネルギーストレージの容量計とを組み合わせたことを特徴とする燃料電池車両の表示装置。
【請求項2】 前記燃料電池の出力と、前記エネルギーストレージの出力とを色分けして表示することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池車両の表示装置。
【請求項3】 回生電力と、前記エネルギーストレージの残容量とを色分けして表示することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電池車両の表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燃料電池及び充放電を行うエネルギーストレージを電源とする電動機を動力源として備える燃料電池車両において、その電力運転状況を把握する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境保護を目的として、主として燃料電池を電源とする電動機を動力源として備える燃料電池車両の開発が進められており、また、この燃料電池車両の中には、補助電力として充放電を行うエネルギーストレージを備えたものがある。このエネルギーストレージにより、例えば車両加速時においては電動機に電力を供給して駆動補助することができ、例えば車両減速時においては回生電力を回収することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述した燃料電池車両においては、その性質上、従来の内燃機関を動力源とする車両に比べて騒音や振動が少ないため、動力源の運転状況をドライバが把握しにくいという問題がある。特にエネルギーストレージは、電動機の運転に直接係わっていないため、故障が生じたとしてもすぐに支障をきたさない反面、正常に機能していないまま走行を続けると燃料電池にかかる負荷が大きくなるという問題がある。従って、電気エネルギーの収支の管理状況(エネルギーマネジメント)をドライバに知らしめることは、燃料電池車両にとっては重要なポイントとなる。そこでこの発明では、燃料電池及び充放電を行うエネルギーストレージを電源とする電動機を動力源として備える燃料電池車両において、燃料電池やエネルギーストレージを常に監視して、上記エネルギーマネジメントを容易に把握することができる燃料電池車両の表示装置を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、燃料電池(例えば実施形態における燃料電池2)及び充放電を行うエネルギーストレージ(例えば実施形態におけるキャパシタ5)を電源とする発電電動機(例えば実施形態におけるモータ10)を動力源として備える燃料電池車両の表示装置(例えば実施形態におけるメータ装置20)において、前記発電電動機の出力計(例えば実施形態におけるモータ出力計25)と、前記エネルギーストレージの容量計(例えば実施形態におけるキャパシタ容量計26)とを組み合わせたことを特徴とする。このように構成することで、発電電動機の駆動時の出力と、エネルギーストレージの残容量とを連動させて表示することができ、これらをまとめて監視することが可能となる。
【0005】請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した燃料電池車両の表示装置において、前記燃料電池の出力と、前記エネルギーストレージの出力とを色分けして表示することを特徴とする。このように構成することで、発電電動機の駆動出力の内、燃料電池の電力による出力とエネルギーストレージの電力による出力とが占める割合を区分表示することが可能となる。
【0006】請求項3に記載した発明は、請求項1又は請求項2に記載した燃料電池車両の表示装置において、回生電力と、前記エネルギーストレージの残容量とを色分けして表示することを特徴とする。このように構成することで、回生電力とエネルギーストレージの残容量との割合を分かり易く表示することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1は、本発明に係る燃料電池車両のシステムを示す概略構成図である。同図におけるモータ10(発電電動機)は車両の動力源であり、主として燃料電池2からインバータ回路6を介して電力を供給されて回転駆動力を発生する。キャパシタ5(エネルギーストレージ)は、例えば車両加速時、ECU15に入力される出力要求に相当する電力を燃料電池2が発電するまでの間、燃料電池2と共にモータ10に電力を供給し、モータ10を駆動補助する。(以下、キャパシタ5がモータ10を駆動補助する状況を単に車両加速時と記す)
【0008】モータ10は、例えば車両減速時、キャパシタ5の残容量に基づくECU15の判断により、車両の運動エネルギーを電力として回生させる発電機として機能する。キャパシタ5は、モータ10による回生電力をインバータ回路6を介して回収し、その残容量を規定範囲内に保っている。(以下、キャパシタ5がモータ10の回生電力を回収する状況を単に減速回生時と記す)
尚、同図において電力経路は実線で示し、検出、信号経路は破線で示す。
【0009】燃料電池2は、例えば水素と酸素を反応ガスとして用い、これらの電気化学反応により発電する固体高分子型燃料電池として構成されている。また、燃料電池2は、AC/DC変換器の機能を有するインバータ回路6を介してモータ10に接続されると共に、車両の補機3等にも接続されている。尚、燃料電池2が発電する電力を図中矢印A1で示す。
【0010】キャパシタ5は、モータ10の始動直後のように燃料電池2が定常運転状態にない時、又は車両加速時、モータ10に電力を供給して駆動補助するための蓄電装置であり、少容量だが迅速に充放電ができるものである。また、キャパシタ5も燃料電池2と同様に、インバータ回路6を介してモータ10に接続されている。尚、キャパシタ5から供給される電力を図中矢印B1で示す。
【0011】モータ10は、車両加速時、燃料電池2からの電力(A1)及びキャパシタ5からの電力(B1)とを加算した電力(図中矢印C1で示す)をインバータ回路6を介して供給されて回転駆動力を発生し、このモータ10に連結された図示しない車両駆動軸を駆動させるものである。また、モータ10は、減速回生時、前記車両駆動軸により図示しない回転軸が回転して回生電力を出力する。その回生電力(図中矢印C2で示す)は、インバータ回路6を介してキャパシタ5に充電される。尚、キャパシタ5に充電される電力を図中矢印B2で示し、補機3等に供給される電力を図中矢印A2で示す。
【0012】ECU15は、燃料電池車両のシステム全体及び各要素部品の運転を制御するものであり、図示しないアクセル等からの出力要求に従い、経路c1を介してインバータ回路6に制御信号を出力している。ECU15には、燃料電池2から発電される電力の電流及び電圧情報が経路a1を介して入力され、キャパシタ5から充放電される電力の電流及び電圧情報が経路b1を介して入力されている。そして、このECU15は、経路d1を介して、主にモータ10の出力、燃料電池2の発電電力、キャパシタ5の充放電電力の表示情報をメータ装置20に出力している。
【0013】メータ装置20は、従来の内燃機関車両に搭載されるメータ装置と同様に、計器類と警告灯等によって様々な車両情報を表示するものである。メータ装置20の表示部21は、例えば運転席正面部やインストパネル中央部等、ドライバから確認し易い位置に配置されており、ドライバは、その表示部21によって車両及び動力源の運転状況等を把握することができる。
【0014】図2は車両加速時の表示部21を示す説明図、図3は減速回生時の表示部21を示す説明図である。各図に示すように、表示部21は横方向に長い略長丸形状の表示面を有し、その左側部には、外側に凸の弧状のモータ出力計25(出力計)が配置されている。表示部21の右側部には、外側上方に凸の弧状の燃料ガス(水素)容量計28と、外側下方に凸の弧状に並んだ各種警告灯28とが配置されており、これらの内側にはシフトポジション表示灯29が配置されている。表示部21の略中央部には、上部に速度計22が、下部に走行距離計23が各々配置されている。そして、これら速度計22、走行距離計23の下方であって、モータ出力計25の下部を水平方向に延長させた位置に、モータ出力計25と連動してキャパシタ5の残容量を表示するキャパシタ容量計26(容量計)が配置されている。モータ出力計25の下部とキャパシタ容量計26との間には、キャパシタ5の充放電状況を表示するキャパシタ充放電表示灯27が配置されている。
【0015】モータ出力計25は、0点を基準として、右回りにモータ10の駆動出力を表示する出力表示部25Aと、左回りにモータ10の回生電力を表示する回生電力表示部25Bとを備えている。尚、前記0点は、モータ出力計25の下部よりに配置されている。ここで、出力表示部25Aは、モータ10の駆動出力の内、燃料電池2の電力による出力を例えば青、キャパシタ5の電力による出力を例えば黄のように色分けして表示できるように構成されている。また、回生電力表示部25Bは、モータ10の回生電力を例えば橙で表示するように構成されている。
【0016】キャパシタ容量計26は、左側(モータ出力計25側)から右側に向かって延びる棒グラフ状の表示でキャパシタ5の残容量を表示する。ここで、キャパシタ容量計26は、キャパシタ5の残容量を、例えば黄(出力表示部25Aのキャパシタ5の出力表示と同色)と橙(回生電力表示部25Bの回生電力表示と同色)とのように色分けして表示できるように構成されている。
【0017】キャパシタ充放電表示灯27は、キャパシタ5の充放電状況を方向で表示する矢印部27Aと、キャパシタ5の充放電状況を文字で表示する文字部27Bとを備えている。ここで、矢印部27Aは、例えば黄(出力表示部25Aのキャパシタ5の出力表示と同色)で右側(キャパシタ容量計26)から左側(モータ出力計25)へ向かう矢印形状と、例えば橙(回生電力表示部25Bの回生電力表示と同色)で左側から右側へ向かう矢印形状とを切り替えて表示できるように構成されている。また、文字部27Bは、例えば黄(出力表示部25Aのキャパシタ5の出力表示と同色)で駆動補助を示す文字表示(例えばASSIST)と、例えば橙(回生電力表示部25Bの回生電力表示と同色)で充電中を示す文字表示(例えばCHARGE)とを切り替えて表示できるように構成されている。
【0018】次に、作用について説明する。まず、ドライバが図示しないアクセル等を操作することによりECU15に出力要求が入力され、その出力要求に基づくECU15の判断によって、前述した車両加速時となる。車両加速時には、メータ装置20はECU15から入力される表示情報に基づき、図2に示すように、モータ出力計25の出力表示部25Aに、燃料電池2の電力による出力表示とキャパシタ5の電力による出力表示とを色分けして、具体的には例えば前者を青、後者を黄で区分表示する。
【0019】また、キャパシタ容量計26をモータ出力計25と連動させ、モータ10の駆動補助に費やしたキャパシタ5の電力相当量をキャパシタ容量計26の残容量表示から減少させて表示する。
【0020】更に、キャパシタ充放電表示灯27をモータ出力計25と連動させ、矢印部27Aがキャパシタ容量計26からモータ出力計25へ向かう例えば黄の矢印形状で表示されると共に、文字部27Bが例えば黄の駆動補助を示す文字表示(例えばASSIST)で表示される。
【0021】上記車両加速時から、燃料電池2が出力要求に相当する電力を発電する状態(定速運転状態とする)になると、キャパシタ5からの電力供給が停止する。この時、モータ出力計25の出力表示部25Aに表示されるモータ10の駆動出力は全て燃料電池2の電力による出力となり、その表示は全て例えば青で表示される。(図示略)
【0022】上記定速運転状態から、ドライバがアクセル等の操作を解除すると、燃料電池2からのモータ10への電力供給が停止し、モータ10の回転抵抗によって車両駆動軸に制動力が加わり、車両が減速を始める。このような車両減速時に、ECU15の判断によって前述した減速回生時となる。減速回生時には、メータ装置20はECU15から入力される表示情報に基づき、図3に示すように、モータ出力計25の回生電力表示部25Bにモータ10の回生電力を、例えば橙のように、出力表示部25Aの表示色と色分けして表示する。尚、出力表示部25Aに例えば青で表示される出力は、燃料電池2から補機3等に供給される電力(図1における矢印A2)である。
【0023】また、キャパシタ容量計26をモータ出力計25と連動させ、インバータ回路6を介してキャパシタ5に充電された電力相当量を残容量表示に増加させて表示する。この増加分の表示は、例えば橙のように、キャパシタ容量計26の残容量表示と色分けして区分表示される。
【0024】更に、キャパシタ充放電表示灯27をモータ出力計25と連動させ、矢印部27Aがモータ出力計25からキャパシタ容量計26へ向かう例えば橙の矢印形状で表示されると共に、文字部27Bが例えば橙の充電中を示す文字表示(例えばCHARGE)で表示される。
【0025】上記回生充電が完了すると、キャパシタ容量計26の残容量表示は、その増加分も含めて全て同色(例えば黄)で表示され、残容量が規定範囲内に保たれる。
【0026】上記実施形態によれば、車両加速時、メータ装置20のモータ出力表示部25に表示されるモータ10の駆動出力が、燃料電池2の電力による出力とキャパシタ5の電力による出力とに色分けして区分表示されると共に、キャパシタ容量計26の残容量表示が、キャパシタ5の電力による出力表示と連動して、減少して表示されるため、キャパシタ5の電力使用状況と、その電力使用によるキャパシタ5の残容量の変化とをドライバが一目で容易に把握することができる。更に、キャパシタ充放電表示灯27が、キャパシタ5の残容量表示と同色の矢印及び文字表示によってキャパシタ5の電力使用状況を表示するため、ドライバはキャパシタ5の電力使用状況を容易に認識することができる。
【0027】また、減速回生時、メータ装置20の回生電力表示部25Bに表示される回生電力が、出力表示部25Aの出力表示と異なる色で表示されると共に、キャパシタ容量計26の残容量表示が、回生電力表示と連動して、回生時の残容量増加分の表示をキャパシタ5の残容量表示と色分けして区分表示するため、キャパシタ5の充電状況と、充電によるキャパシタ5の残容量の変化とをドライバが一目で容易に把握することができる。更に、キャパシタ充放電表示灯27が、回生電力表示と同色の矢印及び文字表示によってキャパシタ5の充電状況を表示するため、ドライバはキャパシタ5の充電状況を容易に認識することができる。
【0028】尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、上記表示部21の形態は一例であり、車両に応じて変更され得る。また、表示部21の表示方式としては、フロントガラス上に表示を投影するヘッドアップディスプレイ等、様々な形態が採用可能である。また、上記実施形態における出力表示、回生電力表示、残量表示等の表示色の組み合わせは一例であり、ドライバが識別し易い色分けであればどのような組み合わせを用いても良い。更に、キャパシタ充放電表示灯27の矢印部27Aについては、充放電状況を表現できれば、例えば自動車の方向指示器のような表現方法を用いても良い。また、文字部27Bの文字表現は一例であると共に、前記表現方法との組み合わせは自由である。そして、上記実施形態においては、充放電を行うエネルギーストレージとしてキャパシタを例に説明したが、各種バッテリーを用いても良い。
【0029】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、発電電動機の駆動時の出力と、エネルギーストレージの残容量とを連動させて表示することで、これらをまとめて監視することが可能となるため、とりわけエネルギーストレージのエネルギーの変化をドライバが一目で容易に把握できると共に、エネルギーの変化に伴いドライバに運転を調整するよう警告を促す効果がある。
【0030】請求項2に記載した発明によれば、請求項1に記載した発明の効果に加え、発電電動機の駆動出力の内、燃料電池の電力による出力とエネルギーストレージの電力による出力とが占める割合を区分表示することが可能となるため、とりわけエネルギーストレージのエネルギーの使用状況をドライバが一目で容易に把握できる効果がある。
【0031】請求項3に記載した発明によれば、請求項1又は請求項2に記載した発明の効果に加え、回生電力とエネルギーストレージの残容量との割合を分かり易く表示することが可能となるため、とりわけエネルギーストレージの回生エネルギーの充電状況をドライバが一目で容易に把握できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年1月23日(2002.1.23)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2003−219502(P2003−219502A)
【公開日】 平成15年7月31日(2003.7.31)
【出願番号】 特願2002−14546(P2002−14546)