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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】喜多野 和彦
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【氏名】浜田 哲郎
【住所又は居所】埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会社本田技術研究所内

【要約】 【課題】車両の減速時に、車両の走行安定性を確保しつつ、車両全体において回収可能な回生エネルギーの総量が低下することを防止する。

【解決手段】ECU11は、車両の減速時に、フロントモータMFおよびリアモータMRの回生作動により回生エネルギーを発生させる際に、前輪Wf,Wfの操舵角度および車両の減速状態に応じて、後輪側から前輪側へと移行される回生量を設定し、この回生量をリアモータMRに対して要求するリア回生トルク指令から減算すると共にフロントモータMFに対して要求するフロント回生トルク指令に加算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも内燃機関または第1モータの何れか一方に伝達手段を介して連結される操舵可能な前輪と、第2モータに連結される後輪と、車両の減速時に、前記第1モータおよび前記第2モータの回生作動により回生エネルギーを発生させる回生作動制御手段と、前記前輪の操舵角度に応じて、前記第2モータの回生量を減量すると共に前記第1モータの回生量を増量する回生量制御手段とを備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】 車両の減速状態を検知する減速状態検知手段と、前記回生量制御手段にて設定される前記第1モータおよび前記第2モータの各回生量を、前記減速状態検知手段にて検知される前記減速状態に応じて変更する回生量変更手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン及びモータ駆動によるハイブリッド車両の制御装置に係るものであり、特に車両の減速時におけるモータの回生作動に対する回生量を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば特開平9−284911号公報に開示された4輪駆動型ハイブリッド車両の駆動制御装置のように、車両走行用の動力源として前後輪の一方を駆動する内燃機関および第1のモータと、前後輪の他方を駆動する第2のモータとを備え、各モータと電気エネルギーの授受を行う蓄電装置の蓄電量に基づいて前後輪の駆動力配分を制御する4輪駆動型ハイブリッド車両の駆動制御装置が知られている。この駆動制御装置は、車両の走行駆動時において、車輪のスリップが解消するように前後輪の駆動力配分を制御するスリップ時配分制御手段と、車両の旋回走行中は前後輪の駆動力配分の変更を制限する配分変更制限手段とを備え、所望の駆動力を確保しつつ車両の操縦安定性を確保するように設定されている。例えば、スリップ時配分制御手段は、車輪速センサによって検出した前後の車輪の回転速度の差等からスリップの発生を検知すると、車両の駆動モードを四輪駆動状態に設定すると共にスリップ輪の駆動力だけを低下させて、スリップ状態を解消するように設定されている。また、配分変更制限手段は、車両の旋回走行中において、駆動モードの切換によって操縦安定性が損なわれるか否かを基準として、所定のモード変更以外の駆動モードの変更を禁止するように設定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したような従来技術の一例に係る4輪駆動型ハイブリッド車両の駆動制御装置において、例えば第1および第2のモータを回生作動させる車両の減速時に車両のスリップ状態を検出した場合に、車両の駆動時と同様にして、単に、スリップ輪の回生トルクだけを低下させる、あるいは、スリップ輪の回生作動のみを禁止すると、車両全体において回収可能な回生エネルギーの総量が低下してしまうという問題が生じる。本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の減速時に、車両の走行安定性を確保しつつ、車両全体において回収可能な回生エネルギーの総量が低下することを防止することが可能なハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置は、少なくとも内燃機関(例えば、後述する実施の形態における内燃機関E)または第1モータ(例えば、後述する実施の形態におけるフロントモータMF)の何れか一方に伝達手段(例えば、後述する実施の形態におけるトランスミッションT)を介して連結される操舵可能な前輪(例えば、後述する実施の形態における前輪Wf,Wf)と、第2モータ(例えば、後述する実施の形態におけるリアモータMR)に連結される後輪(例えば、後述する実施の形態における後輪Wr,Wr)と、車両の減速時に、前記第1モータおよび前記第2モータの回生作動により回生エネルギーを発生させる回生作動制御手段(例えば、後述する実施の形態におけるパワードライブユニット12)と、前記前輪の操舵角度に応じて、前記第2モータの回生量を減量すると共に前記第1モータの回生量を増量する回生量制御手段(例えば、後述する実施の形態におけるステップS22およびステップS33〜ステップS38およびステップS42〜ステップS47)とを備えることを特徴としている。
【0005】上記構成のハイブリッド車両の制御装置によれば、車両の減速時に、回生作動制御手段によって、前輪に連結された第1モータおよび後輪に連結された第2モータが回生作動させられる際に、回生量制御手段は、前輪の操舵角度に応じた所定の回生量を、第2モータの回生量から減算すると共に、第1モータの回生量に加算する。すなわち、車両の旋回減速中において前輪に比べて相対的に荷重が減少する後輪での減速回生力、つまり後輪による制動力を低減させることで、後輪の横力を確保することができ、車両の走行安定性を向上させることができる。しかも、後輪の第2モータの回生量から減算した分の回生量を、後輪に比べて相対的に荷重が増大する前輪の第1モータの回生量に加算するため、車両全体にて回収する回生エネルギーの総量が低下することを防止して、効率の良い減速回生を行うことができる。
【0006】さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置は、車両の減速状態(例えば、後述する実施の形態におけるブレーキスイッチ32のON/OFF、マスターパワー内負圧の値、アクセルペダル開度の値)を検知する減速状態検知手段(例えば、後述する実施の形態におけるブレーキスイッチ32、マスターパワー内負圧センサ35、アクセルペダル開度センサ36)と、前記回生量制御手段にて設定される前記第1モータおよび前記第2モータの各回生量を、前記減速状態検知手段にて検知される前記減速状態に応じて変更する回生量変更手段(例えば、後述する実施の形態におけるステップS02〜ステップS04およびステップS31〜ステップS32およびステップS39〜ステップS41)とを備えることを特徴としている。
【0007】上記構成のハイブリッド車両の制御装置によれば、減速状態検知手段は、例えばアクセルペダルの操作の有無や、例えばブレーキの作動の程度等に基づく車両の減速度合い等からなる車両の減速状態を検知する。そして、回生量変更手段は、減速状態検知手段にて検知される車両の減速状態に応じて、第2モータの回生量から減算すると共に第1モータの回生量に加算する所定の回生量を設定する。これにより、車両の減速時における後輪側から前輪側への回生量の移行量は、車両の旋回の程度および減速の程度に応じて適切に設定され、車両の走行安定性および減速回生の効率を、より一層、向上させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置ついて添付図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両の制御装置10を備えるハイブリッド車両の構成図であり、図2は図1に示すECU11の構成を示すブロック構成図である。本実施の形態によるハイブリッド車両の制御装置10は、例えば前輪Wf,Wfに対して内燃機関E、フロントモータMF、トランスミッションTを直列に直結し、後輪Wr,Wrに対してリアモータMRを接続した構造のものである。
【0009】すなわち、内燃機関E及びフロントモータMFの両方の駆動力は、例えばオートマチックトランスミッション(AT)やCVTあるいはマニュアルトランスミッション(MT)などのトランスミッションTから、左右の前輪Wf,Wf間で駆動力を配分するフロントディファレンシャルDFを介して前輪Wf,Wfに伝達される。また、リアモータMRの駆動力は、例えば左右の後輪Wr,Wrに対する締結力を任意に制御可能な2つのクラッチ(図示略)を具備し、左右の後輪Wr,Wr間で駆動力を配分するリアディファレンシャルDRを介して後輪Wr,Wrに伝達される。ここで、リアディファレンシャルDRに具備された2つのクラッチ(図示略)の締結が解除されると前輪Wf,Wfのみが駆動される前輪駆動状態になり、これらのクラッチが締結力を可変に締結されると前輪Wf,Wf及び後輪Wr,Wrが駆動される四輪駆動状態になり、この四輪駆動状態では左右の後輪Wr,Wr間での駆動力の配分が任意に制御可能とされている。
【0010】また、このハイブリッド車両の減速時に、前輪Wf,Wf側からフロントモータMF側および後輪Wr,Wr側から後輪モータMR側に駆動力が伝達されると、各モータMF,MRは発電機として機能していわゆる回生制動力を発生し、車体の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。
【0011】各モータMF,MRの駆動及び回生作動は、後述するECU11からの制御指令を受けてパワードライブユニット(PDU)12により行われる。パワードライブユニット12には、各モータMF,MRと電気エネルギーの授受を行う高圧系のバッテリ13が接続され、このバッテリ13は、例えば、複数のセルを直列に接続したモジュールを1単位として更に複数個のモジュールを直列に接続したものである。さらに、このバッテリ13には、DC−DCコンバータからなるダウンバータ14を介して、各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ15が接続されている。ECU11により制御されるダウンバータ14は、バッテリ13の電圧を降圧して補助バッテリ15を充電する。
【0012】図2に示すように、ECU11は、MGECU21と、フロントモータMFの駆動及び回生作動を制御するフロントモータECU22と、リアモータMRの駆動及び回生作動を制御するリアモータECU23と、バッテリECU24と、アンチロックブレーキシステムの制御や姿勢安定制御等を行うABSECU25とを備えている。
【0013】MGECU21は、フロント及びリアモータECU22,23及びダウンバータ14に加えて、トランスミッションTや電子スロットル制御装置DBW等を制御する。このため、MGECU21には、運転者がステアリングホイールを介して入力した前輪Wfに対する操舵角度の方向と大きさを検出する舵角センサ31からの信号と、ブレーキペダルの操作を検出するブレーキスイッチ32からの信号と、車両の速度(車速)VPを検出する車速センサ33からの信号と、エンジン回転数NEを検出するエンジン回転数センサ34からの信号と、ブレーキペダルに連係された倍力装置に具備され、ブレーキマスターパワー内負圧(以下マスターパワー内負圧という)を検出するマスターパワー内負圧センサ35からの信号と、アクセルペダル開度を検出するアクセルペダル開度センサ36からの信号とが入力されている。
【0014】フロントモータECU22は、MGECU21から入力されるフロント回生トルク指令に応じてフロントモータMFの回生作動を制御すると共に、フロントモータMFによる車両の駆動時等における要求電流値の信号をMGECU21へ入力する。リアモータECU23は、MGECU21から入力されるリア回生トルク指令に応じてリアモータMRの回生作動を制御するバッテリECU24は、バッテリ13を保護すると共に、バッテリ残容量SOCを算出し、この信号をMGECU21へ入力する。
【0015】ABSECU25は、例えば、各車輪Wf,Wrの回転速度を検出する車輪速センサ37から入力される信号と、ヨーレート(つまり、車両重心の上下方向軸回りの回転角速度)を検出するヨーレートセンサ38から入力される信号と、車両の加速度を検出する加速度センサ39から入力される信号とに基づき、アンチロックブレーキシステムの制御や姿勢安定制御等を行う。そして、アンチロックブレーキシステムの作動時であることを示すABSビジー信号や、ブレーキの作動により車両の走行安定性を向上させる姿勢安定制御の実行中であることを示すVSAビジー信号等をMGECU21へ入力する。
【0016】そして、ECU21は、後述するように、車両の減速時に、フロントモータMFおよびリアモータMRの回生作動により回生エネルギーを発生させる際に、前輪Wf,Wfの操舵角度に応じて、リアモータMRに対して要求するリア回生トルク指令(回生量)を減量すると共にフロントモータMFに対して要求するフロント回生トルク指令(回生量)を増量する。
【0017】本実施の形態によるハイブリッド車両の制御装置10は上記構成を備えており、次に、このハイブリッド車両の制御装置10の動作、特に、車両の減速時において各モータMF,MRに要求する回生量を設定する処理について添付図面を参照しながら説明する。図3は車両の減速時においてフロントモータMFに要求する回生量を設定する処理を示すフローチャートであり、図4(a)は自然減速回生量マップを示すグラフ図であり、図4(b)はブレーキ時減速回生量マップを示すグラフ図であり、図5及び図6は車両の減速時においてリアモータMRに要求する回生量を設定する処理を示すフローチャートであり、図7(a)は直線自然減速回生量マップを示すグラフ図であり、図7(b)は旋回自然減速回生量マップを示すグラフ図であり、図7(c)はAPOFF減速旋回減算係数マップを示すグラフ図であり、図7(d)は直線ブレーキ減速回生量マップを示すグラフ図であり、図7(e)は旋回ブレーキ減速回生量マップを示すグラフ図であり、図7(f)はブレーキ減速旋回減算係数マップである。尚、この実施形態におけるハイブリッド車両はCVT車であるが、仕様上の理由から以下に示す各フローチャートは、AT車およびマニュアルトランスミション(MT)車の場合についても併記したものとなっている。
【0018】以下に、フロントモータMFに対して要求する回生量(前輪回生指令値REGENF)を設定する処理について説明する。先ず、図3に示すステップS01においては、例えばアクセルペダル開度がゼロとされ内燃機関Eの摩擦損失等により減速する自然減速状態や、ブレーキスイッチ32がON状態とされブレーキにより減速するブレーキ作動状態等において、車両の走行状態を減速モードに設定する。次に、ステップS02においては、ブレーキスイッチ(ブレーキSW)32がON状態であるか否かを判定する。この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進み、例えば図4(b)に示すブレーキ時減速回生量マップをマップ検索して減速回生指令値DECRGNを設定し、後述するステップS08に進む。一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS04に進み、例えば図4(a)に示す自然減速回生量マップをマップ検索して減速回生指令値DECRGNを設定し、ステップS05に進む。なお、ステップS03およびステップS04において、AT車またはCVT車に対しては車速VPに応じて減速回生指令値DECRGNを設定し、MT車に対してはエンジン回転数NEに応じて減速回生指令値DECRGNを設定する。
【0019】ここで、自然減速回生量マップおよびブレーキ時減速回生量マップは、例えば、車速VPあるいはエンジン回転数NEの増加に伴って増加傾向に変化する減速回生指令値DECRGNを設定しており、同等の車速VPあるいはエンジン回転数NEに対しては、自然減速回生量マップよりもブレーキ時減速回生量マップの方がより大きな減速回生指令値DECRGNを与えるように設定されている。なお、自然減速回生量マップおよびブレーキ時減速回生量マップは、空調装置のON/OFF(A/C ON/OFF)に応じて異なる減速回生指令値DECRGNを設定しており、空調装置のON時よりもOFF時の方がより大きな減速回生指令値DECRGNを与えるように設定されている。
【0020】次に、ステップS05においては、バッテリ残容量SOCが所定残容量#SOC以上か否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS08に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS06に進み、車速VPが所定車速#VP以上か否かを判定する。ステップS06での判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS08に進む。一方、ステップS06での判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進み、減速回生指令値DECRGNに、例えば車速VPの増加に伴い減少傾向に変化する1よりも小さな所定係数kを乗算して得た値を、新たな減速回生指令値DECRGNとして設定する。
【0021】そして、ステップS08においては、アンチロックブレーキシステム(ABS)の作動中あるいは姿勢安定制御(VSA)の実行中であるか否かを判定する。この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進み、前輪減速回生指令値DECRGNFにゼロを設定して、ステップS10に進み、車両減速時の回生作動の実行を示す減速回生作動フラグF_DECRGNのフラグ値に「0」を設定して、後述するステップS22に進む。一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS11に進み、バッテリ残容量SOCが所定の高残容量領域に存在するか否かを判定する。ステップS11での判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS09に進む。一方、ステップS11での判定結果が「NO」の場合には、ステップS12に進む。
【0022】ステップS12においては、減算タイマAのタイマ値がゼロか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、ステップS13に進み、減算タイマAのタイマ値を減算し、後述するステップS21に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS14に進み、減算タイマAのタイマ値に所定のタイマ値#TAを設定して、ステップS15に進み、減速回生指令値DECRGNが、前回の処理にて設定された前輪減速回生指令値DECRGNF以上か否かを判定する。ステップS15での判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS19に進む。一方、ステップS15での判定結果が「NO」の場合には、ステップS16に進み、前輪減速回生指令値DECRGNFから所定の徐々減算項ΔRGNMを減算して得た値を、新たに前輪減速回生指令値DECRGNFとして設定する。なお、この徐々減算項ΔRGNMは、ブレーキスイッチ32のON/OFFに応じて異なる値(例えば、ONにてΔRGNMB、OFFにてΔRGNMN)に持ち替えられる。
【0023】次に、ステップS17においては、前輪減速回生指令値DECRGNFが減速回生指令値DECRGN以上か否かを判定する。この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS21に進む。一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS18に進み、前輪減速回生指令値DECRGNFに減速回生指令値DECRGNを設定して、後述するステップS21に進む。
【0024】また、ステップS19においては、前輪減速回生指令値DECRGNFに所定の徐々加算項ΔRGNPを加算して得た値を、新たに最終減速回生指令値DECRGNFとして設定する。なお、この徐々加算項ΔRGNPは、ブレーキスイッチ32のON/OFFに応じて異なる値(例えば、ONにてΔRGNPB、OFFにてΔRGNPN)に持ち替えられる。
【0025】次に、ステップS20においては、前輪減速回生指令値DECRGNFが減速回生指令値DECRGN以下か否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、上述したステップS18に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS21に進み、車両減速時の回生作動の実行を示す減速回生作動フラグF_DECRGNのフラグ値に「1」を設定して、ステップS22に進む。ステップS22においては、前輪減速回生指令値DECRGNFに、後述する減速回生前輪移行指令値REGENRを加算して得た値を、フロントモータMFに対して要求する回生量である前輪回生指令値REGENFとして設定し、一連の処理を終了する。
【0026】以下に、リアモータMRに対して要求する回生量(後輪減速回生指令値FCMD)と、リアモータMRの回生量から減量し、フロントモータMFの回生量に増量する回生量の移行量(減速回生前輪移行指令値REGENR)とを設定する処理について説明する。先ず、図5に示すステップS31においては、例えば図7(a)に示す直線自然減速回生量マップを車速VPに応じてマップ検索し、例えばアクセルペダル開度がゼロとされ、内燃機関Eの摩擦損失等により減速する自然減速時における車両の直進状態での直線自然減速回生指令値FCMD_Sを設定する。次に、ステップS32においては、例えば図7(b)に示す旋回自然減速回生量マップを車速VPに応じてマップ検索して、例えばアクセルペダル開度がゼロとされ、内燃機関Eの摩擦損失等により減速する自然減速時における車両の旋回状態での旋回自然減速回生指令値FCMD_Cを設定する。ここで、同等の車速VPに対しては、例えば旋回自然減速回生指令値FCMD_Cよりも直線自然減速回生指令値FCMD_Sの方がより大きな値となるように設定されている。
【0027】そして、ステップS33においては、例えば図7(c)に示すAPOFF減速旋回減算係数マップを前輪Wfの操舵角度(舵角)に応じてマップ検索して、例えば自然減速時における車両の旋回状態でのリアモータMRに対して要求する回生量を減算するためのAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nを設定する。ここで、APOFF減速旋回減算係数マップには、例えば前輪Wfに対する操舵角度の増加に伴い減少傾向に変化する1以下の所定のAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nが設定されている。
【0028】そして、ステップS34においては、今回の処理におけるAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nが、前回の処理にて算出した前回値KSTRG_BRK_N_OLDよりも大きいか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS36に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS35に進み、APOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nに前回値KSTRG_BRK_N_OLDを設定し、今回の処理におけるAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nが前回値KSTRG_BRK_N_OLDを超える大きな値になることを規制する。
【0029】次に、ステップS36においては、次回の処理のために、前回値KSTRG_BRK_N_OLDに、今回の処理におけるAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nを設定する。そして、ステップS37においては、旋回自然減速回生指令値FCMD_Cと直線自然減速回生指令値FCMD_Sとの差にAPOFF減速旋回減算係数KSTRG_BRK_Nを乗算して得た値に、旋回自然減速回生指令値FCMD_Cを加算して後輪減速回生指令値FCMDを設定する。すなわち、前輪Wfの操舵角度によって、旋回自然減速回生指令値FCMD_Cと直線自然減速回生指令値FCMD_Sとの間の減速回生指令値を補間する。
【0030】次に、ステップS38においては、自然減速状態における減速回生指令値のうち、リアモータMRに対して減量されフロントモータMFに対して増量されるAPOFF減速回生前輪移行量DECRGNRFを、直線自然減速回生指令値FCMD_Sから後輪減速回生指令値FCMDを減算して得た値によって設定する。そして、ステップS39においては、ブレーキスイッチ32がON状態であるか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS48に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS40に進み、例えば図7(d)に示す直線ブレーキ減速回生量マップをマスターパワー内負圧(ブレーキ圧)に応じてマップ検索して、車両の直進状態にてブレーキにより減速する際の直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sを設定する。次に、ステップS41においては、例えば図7(e)に示す旋回ブレーキ減速回生量マップをマスターパワー内負圧に応じてマップ検索して、車両の旋回状態にてブレーキにより減速する際の旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cを設定する。なお、同等のマスターパワー内負圧に対しては、例えば旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cよりも直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sの方がより大きな値となるように設定されている。
【0031】そして、ステップS42においては、例えば図7(f)に示すブレーキ減速旋回減算係数マップを前輪Wfの操舵角度に応じてマップ検索して、例えば車両の旋回状態でのブレーキによる減速時において、リアモータMRに対して要求する回生量を減算するためのブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKを設定する。ここで、ブレーキ減速旋回減算係数マップには、例えば前輪Wfに対する操舵角度の増加に伴い減少傾向に変化する1以下の所定のブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKが設定されている。
【0032】そして、図6に示すステップS43においては、今回の処理におけるブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKが、前回の処理にて算出した前回値ブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRK_OLDよりも大きいか否かを判定する。この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS45に進む。一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS44に進み、ブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKに前回値KSTRG_BRK_OLDを設定し、今回の処理におけるブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKが前回値KSTRG_BRK_OLDを超える大きな値になることを規制する。
【0033】次に、ステップS45においては、次回の処理のために、前回値KSTRG_BRK_OLDに、今回の処理におけるブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKを設定する。そして、ステップS46においては、旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cと直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sとの差にブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKを乗算して得た値に、旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cを加算してブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqを設定する。すなわち、前輪Wfの操舵角度によって、旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cと直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sとの間の減速回生指令値を補間する。
【0034】次に、ステップS47においては、ブレーキ減速状態における減速回生指令値のうち、リアモータMRに対して減量されフロントモータMFに対して増量されるブレーキ減速回生前輪移行量BRKRGNRFを、直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sからブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqを減算して得た値によって設定し、後述するステップS49に進む。また、ステップS48においては、直線ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Sおよび旋回ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrq_Cおよびブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqにゼロを設定すると共に、今回の処理におけるブレーキ減速旋回減算係数KSTRG_BRKおよび前回値KSTRG_BRK_OLDに「1」を設定し、ステップS49に進む。
【0035】そして、ステップS49においては、アンチロックブレーキシステム(ABS)の作動中あるいは姿勢安定制御(VSA)の実行中であるか否かを判定する。この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS53に進む。一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS50に進み、ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqおよびブレーキ減速回生前輪移行量BRKRGNRFを、車速VPによって補正する。なお、このステップS50においては、例えば、車速VPが所定の速度範囲内にて減少することに伴って、ブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqおよびブレーキ減速回生前輪移行量BRKRGNRFが減少するように設定されている。
【0036】そして、ステップS51においては、後輪減速回生指令値FCMDにブレーキ減速回生指令値BrkOnTrqを加算して得た値を、新たに後輪減速回生指令値FCMDとして設定する。そして、ステップS52においては、APOFF減速回生前輪移行量DECRGNRFにブレーキ減速回生前輪移行量BRKRGNRFを加算して得た値を、減速回生前輪移行指令値REGENRとして設定し、ステップS54に進む。
【0037】また、ステップS53においては、後輪減速回生指令値FCMDおよび減速回生前輪移行指令値REGENRにゼロを設定して、ステップS54に進む。ステップS54においては、後輪減速回生指令値FCMDおよび減速回生前輪移行指令値REGENRをバッテリ残容量SOCに応じて補正して、一連の処理を終了する。このステップS54では、例えばバッテリ残容量SOCが所定の高残容量領域に存在する場合に、後輪減速回生指令値FCMDおよび減速回生前輪移行指令値REGENRを、バッテリ残容量SOCに応じて低減する。
【0038】本実施の形態によるハイブリッド車両の制御装置によれば、車両の旋回減速中において、後輪減速回生指令値FCMDから減算した分に相当する減速回生前輪移行指令値REGENRを前輪減速回生指令値DECRGNFに加算することにより、後輪での減速回生力を低減させて車両の走行安定性を向上させることができると共に、車両全体にて回収する回生エネルギーの総量が低下することを防止して、効率の良い減速回生を行うことができる。
【0039】なお、上述した本実施の形態においては、ステップS03およびステップS04において算出する減速回生指令値DECRGNに対して、12Vの補助バッテリ15から出力される電流、つまり12V系の負荷に応じて補正を行ってもよい。この場合、例えば12V系の負荷が大きいほど、減速回生指令値DECRGNを増大させればよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、車両の旋回減速中において後輪での減速回生力を低減させることで、車両の走行安定性を向上させることができる。しかも、後輪側の回生量から減算した分の回生量を前輪側の回生量に加算するため、車両全体にて回収する回生エネルギーの総量が低下することを防止して、効率の良い減速回生を行うことができる。
【0041】さらに、請求項2に記載の本発明のハイブリッド車両の制御装置によれば、車両の減速時における後輪側から前輪側への回生量の移行量は、車両の旋回の程度および減速の程度に応じて適切に設定され、車両の走行安定性および減速回生の効率を、より一層、向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区南青山二丁目1番1号
【出願日】 平成14年1月15日(2002.1.15)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外5名)
【公開番号】 特開2003−209905(P2003−209905A)
【公開日】 平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願番号】 特願2002−6685(P2002−6685)