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【発明の名称】 電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラム
【発明者】 【氏名】鈴木 武彦
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社内

【氏名】山口 康夫
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社内

【氏名】和久田 聡
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシン・エィ・ダブリュ株式会社内

【要約】 【課題】バッテリが過充電されたり、過剰に高い電圧がインバータに印加されたりするのを防止することができるようにする。

【解決手段】バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械と、電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置41と、バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部と、電気的変量が閾(しきい)値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段91と、フェール判定が行われたときに、電動機械の回転速度を低くし、電気的変量を小さくする充電制御処理手段92とを有する。弱め界磁制御がダウンして、バッテリの充電状態を表す電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定が行われ、電動機械の回転速度が低くされるので、バッテリに過電流が供給されるのを防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械と、該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置と、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部と、前記電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段と、フェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段とを有することを特徴とする電動車両駆動制御装置。
【請求項2】 前記電動機械の回転速度を算出する電動機械回転速度算出処理手段と、前記電動機械の回転速度が閾値より高いかどうかを判断し、電動機械の回転速度が閾値より高い場合に過回転判定を行う過回転判定処理手段とを有するとともに、前記充電制御処理手段は、フェール判定及び過回転判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする請求項1に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項3】 前記充電制御処理手段は、前記変速比を小さくすることによって前記電気的変量を小さくする請求項1又は2に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項4】 前記電動機械は、エンジンと一体的に連結される請求項1又は2に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項5】 前記充電制御処理手段は、前記エンジンへの燃料をカットすることによって前記電気的変量を小さくする請求項4に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項6】 前記電動機械と変速装置との間に流体伝動装置が連結され、前記過回転判定処理手段は、ダウンシフトの変速が行われた後の電動機械の回転速度を推定し、推定された回転速度が閾値を超えた場合に過回転判定を行う請求項2に記載の電動車両駆動制御装置。
【請求項7】 バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械、及び該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置を備えた電動車両の電動車両駆動制御方法において、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出し、該電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行い、フェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくすることを特徴とする電動車両駆動制御方法。
【請求項8】 バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械、及び該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置を備えた電動車両の電動車両駆動制御方法のプログラムにおいて、コンピュータを、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部、前記電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段、及びフェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段として機能させることを特徴とする電動車両駆動制御方法のプログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電動車両としての電気自動車に搭載され、電動機械としてのモータのトルク、すなわち、モータトルクを発生させ、該モータトルクを駆動輪に伝達するようにした車両駆動装置において、モータは、力行(駆動)時に、バッテリから直流の電流を受けて駆動され、前記モータトルクを発生させ、回生(発電)時に、電気自動車のイナーシャによってトルクを受け、直流の電流を発生させ、該電流をバッテリに供給するようになっている。
【0003】また、電動車両としてのハイブリッド型車両に搭載され、エンジンのトルク、すなわち、エンジントルクの一部を第1の電動機械としての発電機(発電機モータ)に、残りを駆動輪に伝達するようにした車両駆動装置においては、サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを備えたプラネタリギヤユニットを有し、前記キャリヤとエンジンとを連結し、リングギヤと駆動輪とを連結し、サンギヤと発電機とを連結し、前記リングギヤ及び第2の電動機械としてのモータから出力された回転を駆動輪に伝達して駆動力を発生させるようにしている。
【0004】ところで、前記各車両駆動装置にモータ制御装置が配設され、該モータ制御装置においては、いずれも、バッテリからの直流の電流をインバータにおいて交流の電流に変換し、交流の電流をモータに供給し、該モータを駆動することによって電動車両を走行させるようになっている。この場合、モータのロータの磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御が行われるようになっているが、該フィードバック制御において、モータが高速で駆動されると、誘起電圧が高くなり、モータ回転速度を上昇させることができなくなり、モータの出力領域が狭くなってしまう。そこで、モータが高速で駆動されているときに、d軸電流によって形成される界磁で永久磁石から発生する磁束量を少なくし、弱め界磁制御を行うようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の車両駆動装置においては、何らかの原因、例えば、モータ制御装置が、ノイズによる外乱、物理的な破損等によって制御を行うことができなくなったり、インバータ、及び該インバータからモータに電流を供給するための3本の線のうちの少なくとも1本の線が物理的に破損したりして、弱め界磁制御を行うことができなくなると、高い逆起電圧が発生し、それに伴ってバッテリに過電流が供給され、バッテリが過充電されてしまう。一般に、電気自動車又はハイブリッド型車両には、144、288、312〔V〕等の比較的高い電圧のバッテリが使用されるので、バッテリに供給される電流が小さい。したがって、バッテリに過電流が供給されそうになると、バッテリからインバータに直流の電流を供給するための直流ケーブル上のリレーを開放し、バッテリに過電流が供給されるのを防止するようにしている。
【0006】これに対して、例えば、42〔V〕等の比較的低い電圧のバッテリが使用される電気自動車又はハイブリッド型車両の場合、バッテリに供給される電流がその分大きいので、バッテリに過電流が供給されそうになったときに、直流ケーブル上のリレーを開放しようとすると、該リレーとして大掛かりなものが必要になってしまう。したがって、前記車両駆動装置が大型化してしまうだけでなく、アーキング現象が発生し、リレーが開放されるまでの時間が長くなってしまう。
【0007】また、弱め界磁制御等が正常に行われていても、前記直流ケーブルが断線したり、該直流ケーブルの接続端子が外れたりして、バッテリとインバータとが電気的に遮断されると、バッテリの内部抵抗分の電圧降下がなくなり、過剰に高い電圧がインバータに印加されてしまう。
【0008】そして、電動車両の補機、例えば、電装品に電力を供給するための送電線が前記直流ケーブルから分岐して電装品に接続されている場合、過剰に高い電圧が電装品に印加されてしまう。
【0009】本発明は、前記従来の車両駆動装置の問題点を解決して、バッテリが過充電されたり、過剰に高い電圧がインバータに印加されたりするのを防止することができる電動車両駆動制御装置、電動車両駆動制御方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明の電動車両駆動制御装置においては、バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械と、該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置と、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部と、前記電気的変量が閾(しきい)値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段と、フェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段とを有する。
【0011】本発明の他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記電動機械の回転速度を算出する電動機械回転速度算出処理手段と、前記電動機械の回転速度が閾値より高いかどうかを判断し、電動機械の回転速度が閾値より高い場合に過回転判定を行う過回転判定処理手段とを有する。
【0012】そして、前記充電制御処理手段は、フェール判定及び過回転判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする。
【0013】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記充電制御処理手段は、前記変速比を小さくすることによって前記電気的変量を小さくする。
【0014】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記電動機械は、エンジンと一体的に連結される。
【0015】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記充電制御処理手段は、前記エンジンへの燃料をカットすることによって前記電気的変量を小さくする。
【0016】本発明の更に他の電動車両駆動制御装置においては、さらに、前記電動機械と変速装置との間に流体伝動装置が連結される。
【0017】そして、前記過回転判定処理手段は、ダウンシフトの変速が行われた後の電動機械の回転速度を推定し、推定された回転速度が閾値を超えた場合に過回転判定を行う。
【0018】本発明の電動車両駆動制御方法においては、バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械、及び該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置を備えた電動車両に適用される。
【0019】そして、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出し、該電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行い、フェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする。
【0020】本発明の電動車両駆動制御方法のプログラムにおいては、バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械、及び該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置を備えた電動車両の電動車両駆動制御方法に適用される。
【0021】そして、コンピュータを、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部、前記電気的変量が閾値を超えたかどうかを判断し、電気的変量が閾値を超えた場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段、及びフェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段として機能させる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、電動車両駆動制御装置としてのハイブリッド型車両駆動制御装置について説明する。
【0023】図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動制御装置の機能ブロック図である。
【0024】図において、25は図示されないバッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械としてのモータ、41は該モータ25と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置、76は前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部としての電圧センサ、91は、前記電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段、92は、フェール判定が行われたときに、前記モータ25の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段である。
【0025】次に、電動車両としてのハイブリッド型車両を駆動するための車両駆動装置について説明する。なお、電動車両として、エンジン及びモータを備えたハイブリッド型車両に代えて、エンジンを備えず、モータだけを備えた電気自動車、エンジン、発電機及びモータを備えたハイブリッド型車両等を駆動するための車両駆動装置に本発明を適用することもできる。
【0026】図2は本発明の第1の実施の形態における車両駆動装置の要部を示す概略図である。
【0027】図において、12は図示されないエンジンと連結されたクランクシャフト、13はドライブプレート、14は流体伝動装置としてのトルクコンバータ、25は電動機械としてのモータ、15は前記トルクコンバータ14のセンタピースである。前記トルクコンバータ14は、前記センタピース15、該センタピース15と連結されたフロントカバー16、該フロントカバー16と連結されたポンプインペラ17、該ポンプインペラ17と対向させて配設され、ポンプインペラ17と共にトーラスを構成し、かつ、タービンハブ18を介して変速装置の入力軸19と連結されたタービンランナ21、ステータ22、係脱自在に配設されたロックアップクラッチ装置23、及びトルクコンバータ14を介して伝達されるトルク、すなわち、伝達トルクの変動を吸収するダンパ装置24を備える。
【0028】そして、前記トルクコンバータ14において、前記エンジンから伝達された回転は、クランクシャフト12及びセンタピース15を介してフロントカバー16に伝達され、該フロントカバー16に固定されたポンプインペラ17に伝達される。この場合、該ポンプインペラ17が回転すると、トーラス内の油は、トルクコンバータ14の軸の周囲を流れ、遠心力が加わってポンプインペラ17、タービンランナ21及びステータ22間を循環し、タービンランナ21を回転させ、前記入力軸19に伝達される。
【0029】そして、ハイブリッド型車両の発進時等のように、前記ポンプインペラ17が回転を開始したばかりで、ポンプインペラ17とタービンランナ21との回転速度差が大きい場合、タービンランナ21から流れ出た油はポンプインペラ17の回転を妨げる方向に流れる。そこで、ポンプインペラ17とタービンランナ21との間に前記ステータ22が配設され、該ステータ22は、ポンプインペラ17とタービンランナ21との回転速度差が大きいときに、ポンプインペラ17の回転を助ける方向に油の流れを変換する。
【0030】そして、前記タービンランナ21の回転速度が高くなり、前記ポンプインペラ17と前記タービンランナ21との回転速度差が小さくなると、ステータ22のブレードの表側に当たっていた油が裏側に当たるようになって、油の流れが妨げられる。そこで、前記ステータ22を一定方向にだけ回転可能にするために、前記ステータ22の内周側にワンウェイクラッチFが配設される。したがって、油がブレードの裏側に当たるようになると、ワンウェイクラッチFによってステータ22は自然に回転させられるので、前記油は円滑に循環する。
【0031】そして、ハイブリッド型車両が発進した後、あらかじめ設定された車速が得られると、ロックアップクラッチ装置23が係合させられ、前記エンジンの回転が油を介することなく前記入力軸19に直接伝達される。
【0032】ところで、前記モータ25は、車両駆動装置ケース26に固定されたステータ28、該ステータ28より径方向内方において、前記センタピース15にセンタリングされて回転自在に配設されたロータ31を備え、前記ステータ28は、ステータコア32、及び該ステータコア32に巻装されたコイル33を備え、前記ロータ31は、ロータコア34、及び該ロータコア34の円周方向における複数箇所に配設された永久磁石35を備える。
【0033】前記ロータ31はロータハブ36を介して前記センタピース15にセンタリングされ、前記ロータハブ36は、ボルトbt1によってフロントカバー16と連結されるとともに、環状プレート38及びボルトbt2を介してドライブプレート13と連結される。
【0034】図3は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動制御装置の概略図である。
【0035】図において、11はエンジン、12はクランクシャフト、14はトルクコンバータ、25はモータ、29は該モータ25を駆動するためのモータインバータとしてのインバータ、37は駆動輪、41は前記トルクコンバータ14を介してモータ25及びエンジン11と連結され、トルクコンバータ14から出力された回転を所定の変速比で変速する変速装置、43はハイブリッド型車両を走行させるための電源となる第1のバッテリとしての主バッテリ、45はハイブリッド型車両の補機を作動させるための電源となる第2のバッテリとしての補機バッテリである。前記インバータ29は、リレーとしてのメインリレー47及び直流ケーブルCB1、CB2を介して主バッテリ43と接続され、該主バッテリ43から直流の電流が供給される。また、前記主バッテリ43は、メインリレー47、直流ケーブルCB1、CB2、及び該直流ケーブルCB1、CB2から分岐する直流ケーブルCB3、CB4を介してDC/DCコンバータ48に接続され、該DC/DCコンバータ48と前記補機バッテリ45とが接続される。
【0036】本実施の形態において、前記主バッテリ43における第1の電源電圧としての電圧は42〔V〕であり、前記補機バッテリ45における第2の電源電圧としての電圧は12〔V〕であり、前記DC/DCコンバータ48は、42〔V〕の電圧を12〔V〕の電圧に変換したり、12〔V〕の電圧を42〔V〕の電圧に変換したりする。また、前記DC/DCコンバータ48内にスイッチ56が配設され、該スイッチ56をオン・オフすることによって、DC/DCコンバータ48を作動させたり、DC/DCコンバータ48の作動を停止させたりすることができる。
【0037】前記インバータ29の入口側に、インバータ29に印加される直流の電圧、すなわち、インバータ電圧としてのモータインバータ電圧VMを検出するために直流電圧検出部としての電圧センサ76が配設され、前記直流ケーブルCB2の所定の箇所に、インバータ29に供給される直流の電流、すなわち、モータインバータ電流IMを検出したり、回生時に主バッテリ43に供給される直流の電流、すなわち、バッテリ電流Ibを検出したりするために直流電流検出部としての電流センサ78が配設される。そして、前記モータインバータ電圧VMは車両制御装置51に、モータインバータ電流IM及びバッテリ電流Ibはモータ制御装置49に送られる。前記主バッテリ43とインバータ29との間に平滑用のコンデンサCが接続される。なお、前記モータインバータ電圧VM、モータインバータ電流IM、バッテリ電流Ib等は、主バッテリ43の充電状態を表す電気的変量であり、電圧センサ76、電流センサ78等によって充電状態検出部が構成される。
【0038】また、前記車両制御装置51は、図示されないCPU、記録装置等から成り、車両駆動装置の全体の制御を行い、所定のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。前記車両制御装置51は、エンジン制御装置46、モータ制御装置49及び自動変速機制御装置52に接続される。そして、前記エンジン制御装置46は、図示されないCPU、記録装置等から成り、エンジン11の制御を行うために、スロットル開度θ、バルブタイミング等の指示信号をエンジン11に送る。また、前記モータ制御装置49は、図示されないCPU、記録装置等から成り、前記モータ25の制御を行うために、駆動信号をインバータ29に送る。そして、前記自動変速機制御装置52は、図示されないCPU、記録装置等から成り、自動変速機の制御を行うために、ソレノイド信号等の各信号を変速装置41に送る。前記ソレノイド信号は、各変速段ごとに発生させられ、所定の変速段に対応するソレノイド信号が変速装置41に送られると、変速装置41において前記変速段が達成され、該変速段の変速比で変速が行われる。
【0039】なお、前記エンジン制御装置46、モータ制御装置49及び自動変速機制御装置52によって第1の制御装置が、前記車両制御装置51によって、第1の制御装置より上位に位置する第2の制御装置が構成される。また、前記前記エンジン制御装置46、モータ制御装置49及び自動変速機制御装置52は、車両制御装置51と同様に、所定のプログラム、データ等に基づいてコンピュータとして機能する。
【0040】前記インバータ29は、前記駆動信号に従って駆動され、力行時に主バッテリ43から直流の電流を受けて、各相の電流IMU、IMV、IMWを発生させ、各相の電流IMU、IMV、IMWをモータ25に供給し、回生時にモータ25から各相の電流IMU、IMV、IMWを受けて、直流の電流を発生させ、主バッテリ43に供給する。
【0041】そして、44は前記主バッテリ43の状態、すなわち、バッテリ状態としてのバッテリ残量SOCを検出するバッテリ残量検出装置、53は変速操作部としての図示されないシフトレバーの位置、すなわち、シフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ、55は図示されないアクセルペダルの位置(踏込量)、すなわち、アクセルペダル位置APを検出するエンジン負荷検出部及びアクセル操作検出部としてのアクセルスイッチ、62は図示されないブレーキペダルの位置(踏込量)、すなわち、ブレーキペダル位置BPを検出するブレーキ操作検出部としてのブレーキスイッチ、63は主バッテリ43の温度tmBを検出する温度検出部としてのバッテリ温度センサである。前記バッテリ残量SOC及び温度tmBは車両制御装置51に送られる。なお、前記アクセルペダル位置APによってエンジン11に対する負荷、すなわち、エンジン負荷が表される。
【0042】そして、68、69はそれぞれ各相の電流IMU、IMVを検出する交流電流検出部としての電流センサ、72は前記バッテリ状態としてのバッテリ電圧VBを検出する主バッテリ43用の電圧検出部としてのバッテリ電圧センサである。前記バッテリ電圧VBは車両制御装置51に送られる。また、バッテリ状態として、バッテリ電流、バッテリ温度等を検出することもできる。なお、バッテリ残量検出装置44、バッテリ電圧センサ72、図示されないバッテリ電流センサ、図示されないバッテリ温度センサ等によってバッテリ状態検出部が構成される。また、電流IMU、IMVはモータ制御装置49及び車両制御装置51に送られる。なお、バッテリ電圧VBは主バッテリ43の充電状態を表す電気的変量であり、バッテリ電圧センサ72によって充電状態検出部が構成される。
【0043】前記車両制御装置51は、前記エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送り、エンジン制御装置46によってエンジン11の駆動・停止を設定させる。また、前記車両制御装置51の図示されない車速算出処理手段は、車速算出処理を行い、モータ25のロータ31(図2)の位置、すなわち、ロータ位置を読み込み、該ロータ位置の変化率を算出し、該変化率、及び前記センタピース15から駆動輪37までのトルク伝達系におけるギヤ比に基づいて車速Vを算出する。
【0044】そして、車両制御装置51は、エンジン11の回転速度、すなわち、エンジン回転速度NEの目標値を表すエンジン目標回転速度NE* 、及びモータトルクTMの目標値を表すモータ目標トルクTM* を設定し、エンジン目標回転速度NE* をエンジン制御装置46に、モータ目標トルクTM* をモータ制御装置49に送る。本実施の形態においては、前記モータ25を、エンジン11を始動するためのスタータとして使用したり、発電機として使用したりするようになっているが、エンジン11のスロットル開度θが変化してエンジントルクTEが変動したときに補助駆動源として使用することもできる。
【0045】次に、前記モータ制御装置49の動作について説明する。この場合、モータ制御装置49は、前記ロータ31の磁極対の方向にd軸を、該d軸と直角の方向にq軸をそれぞれ採ったd−q軸モデル上でベクトル制御演算によるフィードバック制御を行う。
【0046】まず、モータ制御装置49の電動機械回転速度算出処理手段としての図示されないモータ回転速度算出処理手段は、モータ回転速度算出処理を行い、前記ロータ位置を読み込み、該ロータ位置の変化率を算出することによってモータ25の回転速度、すなわち、モータ回転速度NMを算出する。
【0047】続いて、モータ制御装置49の図示されないモータ制御処理手段は、モータ制御処理を行い、モータ目標トルクTM* 及びバッテリ電圧VBを読み込み、前記モータ回転速度NM、モータ目標トルクTM* 及びバッテリ電圧VBに基づいて、前記モータ制御装置49の記録装置に記録されたモータ制御用の電流指令値マップを参照し、d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* を算出し、決定する。
【0048】また、前記モータ制御処理手段は、電流センサ68、69から電流IMU、IMVを読み込むとともに、該電流IMU、IMVに基づいて電流IMWIMW=IMU−IMVを算出する。なお、電流IMWを電流IMU、IMVと同様に電流センサによって検出することもできる。
【0049】続いて、前記モータ制御処理手段の図示されない交流電流算出処理手段は、交流電流算出処理を行い、交流の電流であるd軸電流IMd及びq軸電流IMqを算出する。そのために、前記交流電流算出処理手段は、3相/2相変換を行い、電流IMU、IMV、IMWをd軸電流IMd及びq軸電流IMqに変換する。そして、前記モータ制御処理手段の図示されない交流電圧指令値算出処理手段は、交流電圧指令値算出処理を行い、前記d軸電流IMd及びq軸電流IMq、並びに前記d軸電流指令値IMd* 及びq軸電流指令値IMq* に基づいて、電圧指令値VMd* 、VMq* を算出する。また、前記モータ制御処理手段は、2相/3相変換を行い、電圧指令値VMd* 、VMq* を電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に変換し、該電圧指令値VMU* 、VMV* 、VMW* に基づいてパルス幅変調信号SU、SV、SWを算出し、該パルス幅変調信号SU、SV、SWを前記モータ制御装置49の図示されないドライブ処理手段に対して出力する。該ドライブ処理手段は、ドライブ処理を行い、パルス幅変調信号SU、SV、SWに基づいて駆動信号を前記インバータ29に送る。このようにして、フィードバック制御が行われる。
【0050】ところで、この種のモータ25が高速で駆動されると、誘起電圧が高くなり、十分なモータトルクTMを発生させることができなくなってしまう。そこで、前記モータ制御装置49の図示されない弱め界磁制御処理手段は、弱め界磁制御処理を行い、モータ25が高速で駆動されているとき、例えば、モータ回転速度NMが閾値NMthより高い場合に、前記d軸電流指令値IMd* を小さくし、d軸電流IMdによって形成される界磁の磁束量を少なくして弱め界磁制御を行う。
【0051】ところが、何らかの原因、例えば、モータ制御装置49が、ノイズによる外乱、物理的な破損等によって制御が行うことができなくなったり、インバータ29、及び該インバータ29からモータ25に電流IMU、IMV、IMWを供給するための3本の線のうちの少なくとも1本の線が物理的に破損したりして、弱め界磁制御を行うことができなくなると、高い逆起電圧E0が発生し、それに伴って主バッテリ43に過電流が供給され、主バッテリ43が過充電されてしまう。一般に、電気自動車又はハイブリッド型車両には、144、288、312〔V〕等の比較的高い電圧の主バッテリが使用されるので、主バッテリに供給される電流が小さい。したがって、主バッテリに過電流が供給されそうになると、直流ケーブル上のリレーを開放し、バッテリに過電流が供給されるのを防止するようにしている。
【0052】これに対して、本実施の形態のように、42〔V〕等の比較的低い電圧の主バッテリ43が使用されるハイブリッド型車両(電動車両)の場合、主バッテリ43に供給される電流がその分大きいので、主バッテリ43に過電流が供給されそうになったときに、直流ケーブルCB1、CB2上のメインリレー47を開放しようとすると、該メインリレー47として大掛かりなものが必要になってしまう。したがって、前記車両駆動装置が大型化してしまうだけでなく、アーキング現象が発生し、メインリレー47が開放されるまでの時間が長くなってしまう。
【0053】その結果、主バッテリ43に過電流が供給され、主バッテリ43が過充電されてしまう。
【0054】そこで、主バッテリ43が過充電されることが想定される場合に、車両駆動装置にフェールが発生したと判断し、自動変速機においてアップシフトの変速を行い、エンジン回転速度NEを低くし、回生時においてモータ25によって発生させられ、主バッテリ43に供給されるバッテリ電流Ibを小さくするようにしている。
【0055】図4は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動制御装置の動作を示すメインフローチャート、図5は本発明の第1の実施の形態における目標変速段設定処理のサブルーチンを示す図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるモータ回転速度とバッテリ電流との関係図、図7は本発明の第1の実施の形態における通常変速マップを示す図、図8は本発明の第1の実施の形態におけるフェール時変速マップを示す図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両駆動制御装置の動作を示すタイムチャートである。なお、図6において、横軸にモータ回転速度NMを、縦軸にバッテリ電流Ibを、図7及び8において、横軸に車速Vを、縦軸にスロットル開度θを採ってある。
【0056】車両制御装置51(図3)の図示されない入力処理手段は、入力処理を行い、前記自動変速機制御装置52において発生させられたソレノイド信号、車速算出処理手段によって算出された車速V、エンジン制御装置46によって発生させられたスロットル開度θ、シフトポジションセンサ53によって検出されたシフトポジションSP、電圧センサ76によって検出されたモータインバータ電圧VM等を読み込む。
【0057】なお、前記車速Vによってハイブリッド型車両の走行条件が、スロットル開度θによって、前記アクセルペダル位置APと同様にエンジン負荷が表される。また、前記スロットル開度θを図示されないスロットル開度センサによって検出し、該スロットル開度センサによって検出されたスロットル開度θを読み込むこともできる。
【0058】そして、前記モータインバータ電圧VMによって充電電圧が表される。なお、主バッテリ43の充電状態を表す電気的変量として、前記モータインバータ電圧VMに代えて、バッテリ電圧センサ72によって検出されたバッテリ電圧VB、又は電流センサ78によって検出されたバッテリ電流Ibを読み込むこともできる。
【0059】続いて、前記車両制御装置51のフェール判定処理手段91(図1)は、フェール判定処理を行い、車両駆動装置にフェールが発生したかどうかを判断する。
【0060】すなわち、前記フェール判定処理手段91は、前記モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高いかどうかを判断し、前記モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高い場合に、フェールが発生したと判断し、フェール判定を行う。
【0061】一方、モータインバータ電圧VMが閾値VMth以下である場合、前記フェール判定処理手段91はフェール判定を行わない。
【0062】続いて、前記車両制御装置51の図示されない目標変速段設定処理手段は、目標変速段設定処理を行い、目標変速段を算出し、設定する。そのために、前記目標変速段設定処理手段は、前記フェール判定処理手段91による判定結果を読み込み、フェール判定が行われたかどうかを判断する。続いて、前記目標変速段設定処理手段は、車両制御装置51から車速V及びスロットル開度θを読み込み、目標変速段を算出する。
【0063】ところで、前記自動変速機制御装置52の記録装置に、図7に示される第1の変速マップとしての通常変速マップ、及び図8に示される第2の変速マップとしてのフェール時変速マップが記録される。なお、図7及び8において、実線は、アップシフトの変速が行われる際の変速線であり、破線は、ダウンシフトの変速が行われる際の変速線である。そして、各変速線に付された1−2、2−3、3−4、4−5の数字は、それぞれ1−2変速、2−3変速、3−4変速及び4−5変速のアップシフトの変速を表し、2−1、3−2、4−3、5−4の数字は、それぞれ2−1変速、3−2変速、4−3変速及び5−4変速のダウンシフトの変速を表す。図に示されるように、通常変速マップにおいては、スロットル開度θが高くなるほど、変速が行われる車速Vが高くされるのに対して、フェール時変速マップにおいては、スロットル開度θが各変速線ごとに設定された閾値を超える高スロットル開度領域で、変速が行われる車速Vが通常変速マップより低くされ、かつ、一定にされる。
【0064】そして、前記目標変速段設定処理手段の充電制御処理手段92は、フェール判定が行われた場合、前記フェール時変速マップを参照して目標変速段を算出し、フェール判定が行われていない場合、前記通常変速マップを参照して目標変速段を算出する。このとき、前記フェール時変速マップにおいて、前記高スロットル開度領域で、通常変速マップより低い車速Vで変速が行われるので、前記フェール時変速マップを参照した場合、通常変速マップより変速段が高くされる。
【0065】次に、前記車両制御装置51の図示されない比較処理手段は、比較処理を行い、ソレノイド信号に基づいて、目標とされている変速段、すなわち、目標変速段と、変速装置41において現在達成されている変速段、すなわち、現在変速段とを比較し、目標変速段と現在変速段とが異なるかどうかを判断する。
【0066】そして、目標変速段と現在変速段とが異なる場合、前記自動変速機制御装置52の図示されない変速制御処理手段は、変速制御処理を行い、前記目標変速段を決定する。
【0067】続いて、前記自動変速機制御装置52の図示されない出力処理手段は、出力処理を行い、決定された目標変速段に対応するソレノイド信号を変速装置41に送る。
【0068】前記構成のハイブリッド型車両駆動制御装置において、図9に示されるように、例えば、前記アクセルペダルが踏み込まれると、エンジン回転速度NEが高くなるとともに、車速Vが高くなり、これに伴って、エンジン11と一体的に連結されたモータ25のモータ回転速度NMも高くなり、該モータ回転速度NMが閾値NMthより高くなると、弱め界磁制御が行われる。そして、タイミングt1で弱め界磁制御を行うことができなくなると、バッテリ電流Ibが大きくなり、モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高くなり、フェール判定が行われる。また、フェール時変速マップが参照されて目標変速段が算出され、目標変速段が高くされる。
【0069】これに伴って、タイミングt2でアップシフトの変速が行われると、エンジン回転速度NEが低くなり、モータ回転速度NMも低くなる。したがって、バッテリ電流Ibが小さくなる。
【0070】このように、弱め界磁制御を行うことができなくなり、モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高くなると、目標変速段が高くされて変速比が小さくされ、エンジン回転速度NEが低くされ、モータ回転速度NMが低くされるので、主バッテリ43に過電流が供給されるのを防止することができ、主バッテリ43が過充電されるのを防止することができる。
【0071】また、直流ケーブルCB1、CB2上のメインリレー47を大掛かりにする必要がなく、前記車両駆動装置を小型化することができるだけでなく、アーキング現象が発生するのを防止することができるので、メインリレー47が開放されるまでの時間を短くすることができる。
【0072】そして、弱め界磁制御等が正常に行われているときに、直流ケーブルCB1、CB2が断線したり、直流ケーブルCB1、CB2の接続端子が外れたりして、主バッテリ43とインバータ29とが電気的に遮断されると、主バッテリ43内の内部抵抗分の電圧降下がなくなるが、この場合も、モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高くなると、目標変速段が高くされて変速比が小さくされる。したがって、エンジン回転速度NEが低くされ、モータ回転速度NMが低くされるので、過剰に高い電圧がインバータ29に印加されるのを防止することができる。
【0073】さらに、ハイブリッド型車両の補機、例えば、図示されない電装品に電力を供給するための送電線が前記直流ケーブルCB1、CB2から分岐して電装品に接続されている場合、過剰に高い電圧が電装品に印加されるのを防止することができる。
【0074】なお、モータ回転速度NMとバッテリ電流Ibとは、図6に示されるような関係にあり、モータ回転速度NMが約3200〔rpm〕を超えた領域において、モータ回転速度NMが高いほどバッテリ電流Ibが大きく、モータ回転速度NMが低いほどバッテリ電流Ibが小さくなる。
【0075】本実施の形態においては、フェール判定が行われたときに、充電制御処理手段92によって目標変速段が高くされ、エンジン回転速度NEが低くされるようになっているが、エンジン11に供給される燃料をカットしてエンジン回転速度NEを低くすることもできる。そのために、エンジン制御装置46の図示されないエンジン制御処理手段は、エンジン制御処理を行い、フェール判定が行われている場合、燃料をカットする。
【0076】また、前記フェール判定が行われたときに、変速制御処理手段によって目標変速段を高くするとともに、エンジン制御処理手段によって燃料をカットすることもできる。
【0077】なお、前記フェール判定が行われたときに、1速〜5速においてエンジン回転速度NEの上限値が4000〔rpm〕にされる。
【0078】次に、図4のフローチャートについて説明する。
ステップS1 入力処理を行う。
ステップS2 フェール判定処理を行う。
ステップS3 目標変速段設定処理を行う。
ステップS4 目標変速段と現在変速段とが異なるかどうかを判断する。目標変速段と現在変速段とが異なる場合はステップS5に、目標変速段と現在変速段とが異ならない(同じである)場合はステップS6に進む。
ステップS5 変速制御処理を行う。
ステップS6 出力処理を行い、処理を終了する。
【0079】次に、図5のフローチャートについて説明する。
ステップS3−1 フェール判定を行われたかどうかを判断する。フェール判定を行われた場合はステップS4−3に、行われていない場合はステップS4−2に進む。
ステップS3−2 通常変速マップを参照して目標変速段を算出し、処理を終了する。
ステップS3−3 フェール時変速マップを参照して目標変速段を算出し、処理を終了する。
【0080】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0081】図10は本発明の第2の実施の形態における変速制御処理のサブルーチンを示す図、図11は本発明の第2の実施の形態における推定速度比マップを示す図である。なお、図11において、横軸に推定入力回転速度Nin’を、縦軸にタービントルクTtを採ってある。
【0082】この場合、前記自動変速機制御装置52(図3)の図示されない変速制御処理手段は、変速制御処理を行い、車両制御装置51から車速V及びスロットル開度θを読み込むとともに、自動変速機制御装置52の記録装置に記録された通常変速マップを参照して目標変速段を設定する。続いて、前記変速制御処理手段は、前記フェール判定処理手段91(図1)による判定結果を読み込み、フェール判定が行われたかどうかを判断する。そして、フェール判定が行われた場合、前記変速制御処理手段の第1の過回転判定処理手段は、第1の過回転判定処理を行い、モータ25にフェールが発生したかどうかを判断する。
【0083】そのために、前記第1の過回転判定処理手段は、モータ回転速度算出処理において算出されたモータ回転速度NMを読み込み、該モータ回転速度NMが閾値NMfth、例えば、4000〔rpm〕より高いかどうかを判断し、モータ回転速度NMが閾値NMfthより高い場合、モータ25にフェールが発生したと判断し、過回転判定を行い、モータ回転速度NMが閾値NMfth以下である場合、モータ25にフェールが発生していないと判断し、過回転判定を行わない。
【0084】次に、前記変速制御処理手段の充電制御処理手段92は、過回転判定が行われた場合、追加変速段に1をセットする。続いて、前記変速制御処理手段の第2の過回転判定処理手段は、第2の過回転判定処理を行い、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われたかどうかを判断する。
【0085】この場合、ロックアップクラッチ装置23(図2)が係合させられているとき(ロックアップ係合時)において、変速装置41の出力軸の回転速度、すなわち、出力回転速度をNoutとし、前記目標変速段における変速装置41のギヤ比をγとし、変速装置41の入力軸19の回転速度(入力回転速度)の、ダウンシフトの変速が行われた後の推定値、すなわち、推定入力回転速度をNin’とすると、該推定入力回転速度Nin’は、Nin’=γ・Noutになる。
【0086】そこで、前記第2の過回転判定処理手段は、変速装置41の出力軸に配設された図示されない出力回転速度検出部としての出力回転速度センサによって検出された出力回転速度Noutを読み込み、前記推定入力回転速度Nin’を算出する。続いて、第2の過回転判定処理手段は、前記推定入力回転速度Nin’が前記閾値NMfthより高いかどうかを判断し、推定入力回転速度Nin’が前記閾値NMfthより高い場合、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがあると判断する。また、前記推定入力回転速度Nin’が前記閾値NMfth以下である場合、前記第2の過回転判定処理手段は、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがないと判断する。
【0087】一方、ロックアップクラッチ装置23が係合させられていないとき(ロックアップ解放時)においては、前記第2の過回転判定処理手段は、スロットル開度センサによって検出されたスロットル開度θを読み込み、該スロットル開度θ及び前記推定入力回転速度Nin’に基づいて、ダウンシフトの変速が行われた後に想定される推定速度比e’e’=f(θ,Nin’)
を算出する。本実施の形態においては、第2の過回転判定処理手段は、自動変速機制御装置52に記録された図11に示される推定速度比マップを参照し、スロットル開度θ及び推定入力回転速度Nin’に対応するトルクコンバータ14の推定速度比e’を読み出すことによって推定速度比e’を算出する。なお、推定速度比e’が1より大きい場合、トルクコンバータ14のタービントルクTtは負の値を採り、推定速度比e’が1以下である場合、トルクコンバータ14のタービントルクTtは正の値を採る。
【0088】前記推定速度比e’は、トルクコンバータ14における入力側の回転速度であるエンジン回転速度NEに対するトルクコンバータ14における出力側の回転速度である入力回転速度Ninの比(Nin/NE)の推定値を表す。
【0089】そして、第2の過回転判定処理手段は、前記推定入力回転速度Nin’及び推定速度比e’に基づいて、ダウンシフトの変速が行われた後に想定されるエンジン回転速度NEの推定値を表す推定エンジン回転速度NE’NE’=NM’=Nin’/e’を算出する。なお、本実施の形態において、推定エンジン回転速度NE’はモータ回転速度NMの推定値を表す推定モータ回転速度NM’と等しい。
【0090】続いて、前記第2の過回転判定処理手段は、推定モータ回転速度NM’が前記閾値NMfthより高いかどうかを判断し、推定モータ回転速度NM’が前記閾値NMfthより高い場合、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがあると判断する。また、前記推定モータ回転速度NM’が前記閾値NMfth以下である場合、前記第2の過回転判定処理手段は、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがないと判断する。
【0091】そして、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがある場合、前記充電制御処理手段92は、現在の追加変速段及び1のうちの最大値を追加変速段としてセットする。続いて、前記充電制御処理手段92は、目標変速段に追加変速段を加算し、加算値を目標変速段とする。また、ダウンシフトの変速が行われた後に過回転判定が行われる恐れがない場合、前記充電制御処理手段92は、零及び現在の追加変速段から1を減算することによって得られる値のうちの最大値を追加変速段としてセットする。
【0092】このように、モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高くなり、モータ回転速度NM、又はダウンシフトの変速が行われた後のモータ回転速度NMが閾値NMfthより高くなると、目標変速段が高くされて変速比が小さくされ、エンジン回転速度NEが低くされるので、主バッテリ43に過電流が供給されるのを防止することができ、主バッテリ43が過充電されるのを防止することができる。
【0093】また、直流ケーブルCB1、CB2上のリレーとしてのメインリレー47を大掛かりなものにする必要がなく、前記車両駆動装置を小型化することができるだけでなく、アーキング現象が発生するのを防止することができるので、メインリレー47が開放されるまでの時間を短くすることができる。
【0094】そして、弱め界磁制御等が正常に行われているときに、直流ケーブルCB1、CB2が断線したり、直流ケーブルCB1、CB2の接続端子が外れたりして、主バッテリ43とインバータ29とが電気的に遮断されると、主バッテリ43内の内部抵抗分の電圧降下がなくなるが、この場合も、モータインバータ電圧VMが閾値VMthより高くなり、モータ回転速度NM、又はダウンシフトの変速が行われた後のモータ回転速度NMが閾値NMfthより高くなると、目標変速段が高くされて変速比が小さくされる。したがって、エンジン回転速度NEが低くされ、モータ回転速度NMが低くされるので、過剰に高い電圧がインバータ29に印加されるのを防止することができる。
【0095】さらに、ハイブリッド型車両の補機、例えば、電装品に電力を供給するための送電線が前記直流ケーブルCB1、CB2から分岐して電装品に接続されている場合、過剰に高い電圧が電装品に印加されるのを防止することができる。
【0096】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS5−11 目標変速段を設定する。
ステップS5−12 フェール判定が行われたかどうかを判断する。フェール判定が行われた場合はステップS5−13に進み、行われていない場合は処理を終了する。
ステップS5−13 過回転判定が行われたかどうかを判断する。過回転判定が行われた場合はステップS5−14に、行われていない場合はステップS5−15に進む。
ステップS5−14 追加変速段に1をセットする。
ステップS5−15 ダウンシフトの変速後に過回転判定が行われる恐れがあるかどうかを判断する。ダウンシフトの変速後に過回転判定が行われる恐れがある場合はステップS5−17に、恐れがない場合はステップS5−16に進む。
ステップS5−16 零及び追加変速段から1を減算することによって得られる値のうちの最大値を追加変速段としてセットする。
ステップS5−17 追加変速段及び1のうちの最大値を追加変速段としてセットする。
ステップS5−18 目標変速段に目標変速段及び追加変速段を加算した値をセットし、処理を終了する。
【0097】前記第2の実施の形態においては、フェール判定及び過回転判定が行われたときに、目標変速段が高くされて変速比が小さくされるようになっているが、フェール判定が行われず、過回転判定が行われたときに目標変速段を高くして変速比を小さくすることもできる。
【0098】なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0099】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、電動車両駆動制御装置においては、バッテリから供給された電流に基づいて駆動される電動機械と、該電動機械と連結され、所定の変速比で変速を行う変速装置と、前記バッテリの充電状態を表す電気的変量を検出する充電状態検出部と、前記電気的変量が閾値より大きいかどうかを判断し、電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定を行うフェール判定処理手段と、フェール判定が行われたときに、前記電動機械の回転速度を低くし、前記電気的変量を小さくする充電制御処理手段とを有する。
【0100】この場合、弱め界磁制御を行うことができなくなり、バッテリの充電状態を表す電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定が行われ、電動機械の回転速度が低くされるので、バッテリに過電流が供給されるのを防止することができ、バッテリが過充電されるのを防止することができる。
【0101】また、直流ケーブル上のリレーを大掛かりなものにする必要がなく、車両駆動装置を小型化することができるだけでなく、アーキング現象が発生するのを防止することができるので、リレーが開放されるまでの時間を短くすることができる。
【0102】そして、弱め界磁制御が正常に行われているときに、バッテリからインバータに直流の電流を供給するための直流ケーブルが断線したり、前記直流ケーブルが外れたりして、バッテリの充電状態を表す電気的変量が閾値より大きい場合にフェール判定が行われ、電動機械の回転速度が低くされるので、過剰に高い電圧がインバータに印加されるのを防止することができる。
【0103】さらに、電動車両の補機、例えば、電装品に電力を供給するための送電線が前記直流ケーブルから分岐して電装品に接続されている場合、過剰に高い電圧が電装品に印加されるのを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
【住所又は居所】愛知県安城市藤井町高根10番地
【出願日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠 (外2名)
【公開番号】 特開2003−199212(P2003−199212A)
【公開日】 平成15年7月11日(2003.7.11)
【出願番号】 特願2001−394953(P2001−394953)