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【発明の名称】 自動車用のバッテリ充放電制御装置
【発明者】 【氏名】三井 正彦
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】バッテリの寿命を充放電制御により向上させる。

【解決手段】操作者の操作により選択されている制御モード、即ちモータの駆動性能を重視してバッテリの充放電を制御するパワーモード,バッテリへの負担軽減を考慮してバッテリの充放電を制御するロングライフモードと、バッテリの充電量SOCとに基づいてバッテリの出力上限および回生上限を設定し、設定された出力上限および回生上限を超えないようにバッテリの充放電を制御する。ロングライフモードは、パワーモードよりも出力上限,回生上限を低く設定することにより、バッテリへの負担を軽減でき、その寿命を延ばすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリの電力を用いて回転駆動する走行用モータを搭載する自動車における該バッテリの充放電を制御する自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、前記バッテリの充電量に応じた該バッテリの定格充放電範囲内で該バッテリの充放電を制御する充放電制御手段と、該充放電制御手段における前記バッテリの定格充放電範囲よりも狭い範囲内で該バッテリの充放電を制御する充放電制限制御手段と、前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する選択手段と、を備える自動車用のバッテリ充放電制御装置。
【請求項2】 バッテリの電力を用いて回転駆動する走行用モータを搭載する自動車における該バッテリの充放電を制御する自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、前記自動車の動力性能に応じた範囲内で前記バッテリの充放電を制御する充放電制御手段と、該充放電制御手段よりも前記バッテリの充放電電力,温度,充放電時間の少なくとも一つに制限を加えた範囲内で前記バッテリの充放電を制御する充放電制限制御手段と、前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する選択手段とを備える自動車用のバッテリ充放電制御装置。
【請求項3】 請求項1または2記載の自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、前記選択手段は、操作者の操作により前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する手段である自動車用のバッテリ充放電制御装置。
【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、少なくとも前記充放電制御手段の実行履歴に基づいて前記バッテリの劣化を判定する劣化判定手段を備える自動車用のバッテリ充放電制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用のバッテリ充放電制御装置に関し、詳しくはバッテリの電力を用いて回転駆動する走行用モータを搭載する自動車における該バッテリの充放電を制御する自動車用のバッテリ充放電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のバッテリ充放電制御装置としては、走行用モータの駆動性能を重視したパワーモードと、走行用モータの駆動効率を重視したエコノミーモードの2つの制御モードを備えるものが提案されている(例えば、特開平6−121405号公報など)。この装置によれば、運転者の選択により、走行用モータの最大出力の確保または駆動効率の向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうしたバッテリ充放電制御装置では、バッテリの劣化速度を考慮した充放電制御はなされていない。即ち、バッテリの充放電の量を多くすると、モータの動力性能を最大限発揮することはできるが、その分化学反応が活発になるから、バッテリの劣化速度を早めバッテリの寿命を縮めてしまう場合がある。
【0004】本発明の自動車用のバッテリ充放電制御装置は、こうした問題を解決し、バッテリの劣化速度を配慮した充放電の制御が可能な装置を提供することを目的の一つとする。また、本発明の自動車用のバッテリ充放電制御装置は、バッテリの劣化を判定することを目的の一つとする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の自動車用のバッテリ充放電制御装置は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】本発明の第1の自動車用のバッテリ充放電制御装置は、バッテリの電力を用いて回転駆動する走行用モータを搭載する自動車における該バッテリの充放電を制御する自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、前記バッテリの充電量に応じた該バッテリの定格充放電範囲内で該バッテリの充放電を制御する充放電制御手段と、該充放電制御手段における前記バッテリの定格充放電範囲よりも狭い範囲内で該バッテリの充放電を制御する充放電制限制御手段と、前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する選択手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】この本発明の第1の自動車用のバッテリ充放電制御装置では、充放電制御手段が、バッテリの充放電量に応じたバッテリの定格充放電範囲内でバッテリの充放電を制御し、充放電制限制御手段が、充放電制御手段におけるバッテリの定格充放電範囲内よりも狭い範囲内でバッテリの充放電を制御する。そして、選択手段が、充放電制御手段の実行と充放電制限制御手段の実行とを選択する。これにより、充放電制限制御手段を実行している間は、バッテリの劣化速度を抑制してバッテリへの負担を軽減することができるから、バッテリの寿命を延ばすことが可能となる。
【0008】本発明の第2の自動車用のバッテリ充放電制御装置は、バッテリの電力を用いて回転駆動する走行用モータを搭載する自動車における該バッテリの充放電を制御する自動車用のバッテリ充放電制御装置であって、前記自動車の動力性能に応じた範囲内で前記バッテリの充放電を制御する充放電制御手段と、該充放電制御手段よりも前記バッテリの充放電電力,温度,充放電時間の少なくとも一つに制限を加えた範囲内で前記バッテリの充放電を制御する充放電制限制御手段と、前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する選択手段とを備えることを要旨とする。
【0009】この本発明の第2の自動車用のバッテリ充放電制御装置では、充放電制御手段が、自動車の動力性能に応じた範囲内でバッテリの充放電を制御し、充放電制限制御手段が、充放電制御手段によりバッテリの充放電電力,温度,充放電時間の少なくとも一つに制限を加えた範囲内でバッテリの充放電を制御する。そして、選択手段が、充放電制御手段の実行と充放電制限制御手段の実行とを選択する。バッテリの充放電電力が大きくなったり、バッテリの温度が高くなったり、充放電時間が長くなったりすると、それだけバッテリへの負担が大きくなり、バッテリの劣化が早く進む。したがって、バッテリの充放電電力,温度,充放電時間の少なくとも一つを充放電制御手段よりも制限する充放電制限制御手段を実行することにより、バッテリへの負担を軽減することができ、バッテリの寿命を延ばすことが可能となる。
【0010】こうした本発明の第1または第2の自動車用のバッテリ充放電制御装置において、前記選択手段は、操作者の操作により前記充放電制御手段の実行と前記充放電制限制御手段の実行とを選択する手段であるものとすることもできる。
【0011】また、本発明の第1または第2の自動車用のバッテリ充放電制御装置において、少なくとも前記充放電制御手段の実行履歴に基づいて前記バッテリの劣化を判定する劣化判定手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、少なくともバッテリへの負担が大きい充放電制御手段の実行履歴に基づいてバッテリの劣化を判定することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である自動車用のバッテリ充放電制御装置20を電気自動車10に適用した際の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車10は、充放電可能なバッテリ12と、バッテリ12からの直流電力をスイッチング素子のスイッチングにより多相交流電力(例えば、三相交流電力)に変換して出力するインバータ回路14と、インバータ回路14から出力された多相交流電力を受けて回転駆動するモータ16とを搭載する。モータ16は、その回転軸17が電気自動車10の車輪18の車軸19と連結されており、モータ16の回転軸17の回転により車輪18が回転して走行できるようになっている。また、実施例では、モータ16は発電機を兼ねており、回転軸17に制動動力が入力されることにより発電でき、この発電電力がインバータ回路14を経てバッテリ12に充電されるようになっている。なお、実施例では、バッテリ充放電制御装置20を電気自動車10に適用するものとしたが、電気自動車に限られずモータとエンジンとを搭載するハイブリッド自動車に適用するものとしても構わない。
【0013】実施例のバッテリ充放電制御装置20は、バッテリ12の電圧Vを検出する電圧センサ22と、バッテリ12に流れる電流Iを検出する電流センサ24と、バッテリ充放電制御装置20全体をコントロールすると共にインバータ回路14のスイッチング素子をスイッチング制御することによりバッテリ12の充放電を制御する電子制御ユニット26と、表示装置としてのLED28とを備えている。
【0014】電子制御ユニット26は、図示しないが、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROMと、一時的にデータを記憶するRAMと、入出力ポートとを備える。このバッテリ充放電制御装置20には、電圧センサ22により検出されたバッテリ12の電圧Vや電流センサ24により検出されたバッテリ12の電流Iなどが入力ポートを介して入力されている。また、電子制御ユニット30からは、インバータ回路14のスイッチング素子をスイッチング制御するためのスイッチング制御信号やLED28への点灯信号などが出力ポートを介して出力されている。
【0015】こうして構成された実施例のバッテリ充放電制御装置20の動作について説明する。まず、バッテリ12の充放電の制御について説明する。図2は、実施例のバッテリ充放電制御装置20の電子制御ユニット26により実行される充放電制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
【0016】充放電制御ルーチンが実行されると、電子制御ユニット26のCPUは、まず、制御モードやバッテリ12の充電量SOCを読み込む処理を実行する(ステップS101)。この制御モードには、モータ16の駆動性能を重視してバッテリ12の定格出力の範囲内で充放電を制御するパワーモードと、バッテリ12への負担軽減を重視してバッテリ12の定格出力よりも狭い範囲内でバッテリ12の充放電を制御するロングライフモードとがあり、操作者のスイッチ操作などにより内部RAMの所定アドレスの記憶される。したがって、制御モードを読み込む処理は、内部RAMに記憶されたモードを読み込む処理となる。また、充電量SOCは、バッテリ12から直接検出できるものを用いても良いが、実施例では、電流センサ24により検出される電流Iを積算して得られるSOCの値を電圧センサ22により検出される電圧Vとそのときの電流Iとの関係から得られるSOCの値で補正することによって得られる値をSOCとして電子制御ユニット26の内部RAMの所定アドレスに記憶する。したがって、充電量SOCを読み込む処理は、内部RAMに記憶された値を読み込む処理となる。
【0017】次に、読み込んだ制御モードと充電量SOCとに基づいて、バッテリ12が放電可能な出力上限と充電可能な回生上限とを設定する処理を行なう(ステップS102)。この処理は、実施例では、パワーモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと出力上限,回生上限との関係と、ロングライフモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと出力上限,回生上限との関係とを予め求めてマップとして内部ROMに記憶しておき、制御モードと充電量SOCとが与えられると、マップから対応する出力上限と回生上限とが導出されるようにした。パワーモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと出力上限との関係およびロングライフモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと出力上限との関係の一例を図3(a)に示し、パワーモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと回生上限との関係およびロングライフモードにおけるバッテリ12の充電量SOCと回生上限との関係の一例を図3(b)に示す。このように、ロングライフモードにおけるバッテリ12の充放電の量をパワーモードにおけるバッテリ12の充放電の量よりも少なく設定するのは、バッテリ12の化学反応を抑えてバッテリ12の寿命を延ばすためである。
【0018】こうして出力上限と回生上限とが設定されると、設定された出力上限と回生上限とを超えないよう(回生上限から出力上限までの範囲内で)インバータ回路14を駆動制御して(ステップS104)本ルーチンを終了する。このインバータ回路14の駆動制御は、具体的には、モータ16に要求される動力(負の動力、即ち回生動力も含む)が、バッテリ12の出力上限,回生上限を超えているときには、モータ16で消費または発電される電力を小さくする旨のスイッチング制御信号をインバータ回路14に出力することにより行なうことができる。
【0019】次に、操作者の操作により選択された制御モードの実行履歴に基づいてバッテリ12の劣化を判定する処理を説明する。図4は、実施例のバッテリ充放電制御装置20の電子制御ユニット26により実行される劣化判定処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、10msec毎)に繰り返し実行される。
【0020】劣化判定処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット26のCPUは、まず、前述の制御モードを読み込む処理を行ない(ステップS200)、読み込んだ制御モードがパワーモードであるときには、カウンタCに例えば値2を加算し(ステップS202)、読み込んだ制御モードがロングライフモードであるときには、カウンタCに例えば値1を加算する(ステップS204)。このカウンタCは、バッテリ12の劣化を判定するために使用されるものであり、カウンタCの値が大きくなるほどバッテリ12の劣化が進んでいるものと判断される。制御モードに応じてカウンタCに加算する値を変更するのは、バッテリ12への負担が大きいパワーモードを使用しているときには、それだけバッテリ12の劣化が早く進むと考えられるからである。
【0021】その後、カウンタCの値が、バッテリ12の劣化を判定する閾値としての値Crefを超えているか否かを判定し(ステップS206)、閾値Crefを超えているときには、バッテリ12は劣化していると判断してバッテリ12の交換を促すためのLED28への点灯信号を出力して(ステップS208)本ルーチンを終了し、閾値Cref以下であるときには、バッテリ12は未だ劣化していないと判断して、何もせずに本ルーチンを終了する。これにより、操作者が選択した制御モードに応じたバッテリ12の劣化を判定することができる。
【0022】以上説明した実施例のバッテリ充放電制御装置20によれば、操作者の操作により、モータ16が駆動性能を最大限発揮できるようにバッテリ12の充放電を制御するパワーモードと、バッテリ12の負担を軽減してその寿命を延ばすようにバッテリ12の充放電を制御するロングライフモードとを切り替えて制御するから、バッテリ12の寿命をより向上させることも可能となる。
【0023】また、実施例のバッテリ充放電制御装置20によれば、バッテリ12の劣化を判定するに際し、選択された制御モードに応じてカウンタCに加算する値を変更し、このカウンタCの値に基づいてバッテリ12の劣化を判定するから、バッテリ12の充放電の制御に応じてより適切にバッテリ12の劣化を判定することができる。
【0024】実施例のバッテリ充放電制御装置20では、操作者の操作により選択された制御モード(パワーモード,ロングライフモード)を実行するものとしたが、操作者の操作に限られず、例えば、バッテリ12の劣化がある程度まで進んだときに、パワーモードからロングライフモードに自動切り替えしてバッテリの充放電制御を行なうものとしても構わない。
【0025】実施例のバッテリ充放電制御装置20では、パワーモードが実行された履歴とロングライフモードが実行された履歴とに基づいてバッテリ12の劣化を判定するものとしたが、バッテリ12への負担が大きいパワーモードが実行された履歴のみに基づいて、バッテリの劣化を判定するものとしても構わない。
【0026】実施例のバッテリ充放電制御装置20では、ロングライフモードのバッテリ12の出力上限,回生上限の範囲をパワーモードよりも狭く制限してバッテリ12の充放電を制御するものとしたが、ロングライフモードのバッテリの充放電電力や、温度、充放電時間などの範囲をパワーモードよりも小さい範囲に制限してバッテリの充放電を制御するものとしても構わない。バッテリの充放電電力や,温度,充放電時間の制限は、バッテリの充放電電力や,温度,充放電時間が設定された範囲を超えたときに、モータで消費又は回生される電力を低くする旨の制御信号をインバータ回路に対して出力することにより行なう。バッテリの充放電電力,温度を制限するのは、バッテリの充放電電力が大きくなるほど、又バッテリの温度が高くなるほど、バッテリの化学反応が活発となりバッテリの寿命低下につながることに基づき、バッテリの充放電時間を制限するのは、バッテリの充放電時間が長くなると、それだけバッテリが早く劣化することに基づいている。
【0027】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明のこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2003−199211(P2003−199211A)
【公開日】 平成15年7月11日(2003.7.11)
【出願番号】 特願2001−392277(P2001−392277)