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【発明の名称】 自動走行車の速度制御装置
【発明者】 【氏名】加納 祥博
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町2丁目8番7号 新神戸電機株式会社内

【要約】 【課題】運転モードやゴルフコースの起伏の状況等に応じて、直流分巻モータの電機子電流と界磁電流とを適性に選択して走行制御できる自動走行車の速度制御装置を提供する。

【解決手段】駆動用の直流分巻モータを用いた自動走行車のブレーキが故障した場合には、高トルク用で作動させ、坂道での発進時には低速・中トルク用で作動させ、自動走行モードでの運転時には中速・中トルク用で作動させ、手動走行モードでの運転時には高速・低トルク用で作動させる。なお、トルクは、前記直流分巻モータの界磁電流を大きくして発生させ、坂道か否かは車輌に設置した傾斜センサ29によって判断する。そして、自動走行モードで運転時のトルクを、手動走行モードで運転時のトルクよりも高くする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 自動走行モードと、手動走行モードとを切り換えて走行し、駆動用として直流分巻モータを有する自動走行車の速度制御装置であって、ブレーキが故障した場合には高トルク用で作動させるテーブルを用い、坂道での発進時には低速・中トルク用で作動させるテーブルを用いて速度制御をすることを特徴とする自動走行車の速度制御装置。
【請求項2】 前記自動走行モードでの運転時には中速・中トルク用で作動させるテーブルを用い、前記手動走行モードでの運転時には高速・低トルク用で作動させるテーブルを用いて速度制御をすることを特徴とする請求項1記載の自動走行車の速度制御装置。
【請求項3】 前記トルクは、前記直流分巻モータの界磁電流を大きくして発生させることを特徴とする請求項1又は2記載の自動走行車の速度制御装置。
【請求項4】 前記坂道か否かは、車輌に設置した傾斜センサによって判断することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の自動走行車の速度制御装置。
【請求項5】 前記自動走行モードで運転時のトルクは、前記手動走行モードで運転時のトルクよりも高くすることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の自動走行車の速度制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導線に沿って所定の軌道上を走行する自動走行車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】誘導線に沿って所定の軌道上を走行する自動走行車として、図5に示されるような電磁誘導方式の乗用ゴルフカートが用いられている。すなわち、図示されていないゴルフ場内のカート走行路にはあらかじめ誘導線が埋設されている。そして、該誘導線に低周波の交流電流を流すことによって、誘導線の周囲には交流磁界を発生させる。
【0003】自動運転モードでは、前記交流磁界を乗用ゴルフカートに設置した2個の誘導センサ10a,bで検出する。そして、それぞれの誘導センサ10a,bが同じ強度の交流磁界を受けるように、すなわち、それぞれの誘導センサ10a,bの中間の位置の真下に誘導線が来るように、ステアリングモータ11を作動させて前車輪12a,bを操舵している。
【0004】乗用ゴルフカートの走行速度は、車体に設置した車速センサ23で測定し、後述する目標速度になるように、コントローラ6が走行モータ9の回転数の制御をする。すなわち、コントローラ6は、乗用ゴルフカートの走行速度と目標速度との差分をとり、その差分を小さくするようにモータドライバ8を制御する。そして、モータドライバ8からの制御信号によって走行モータ9を回転させ、該走行モータ9の回転をトランスミッション13を介して後車輪14a,bに伝達するものである。
【0005】なお、ゴルフコースのカート走行路は、平地の直線道路、急傾斜の登り坂や降り坂及び急カーブなどの多様性がある。そこで、自動走行モードでの安全性を確保するためには、カート走行路に応じて、永久磁石を用いた目標速度の制御を随時行なう方式が用いられている。この方式は、あらかじめ複数個の永久磁石を走行路に埋設しておき、その埋設されている永久磁石が地表にN極が向いているか、あるいはS極が向いているかのパターンを検知することによって、車両を加速したり、減速するなどのきめ細かな自動速度制御をする方式である。
【0006】すなわち、走行路に埋設した複数の永久磁石の上方を乗用ゴルフカートが通過すると、その埋め込まれている永久磁石のN極またはS極のパターン信号が乗用ゴルフカートに取り付けたコイルなどを用いたマグネットセンサ19によって検出される。そして、埋め込まれているパターン信号によって、乗用ゴルフカートの目標速度を変更して、減速させたり加速させたりするものである。
【0007】なお、従来から乗用ゴルフカートの発進や停止は、車体に取り付けられた発進/停止スイッチ15の操作や、リモコン16などによる遠隔操作によって行なっていた。また、自動運転中においても危険防止やその他の理由から、ブレーキペダル17を踏むことによって乗用ゴルフカートを随時停止させることができる構造となっていた。
【0008】一方、誘導線のない場所では、自動/手動切換装置7を手動走行モードに切り換えた後に、運転者がハンドル18を操作して前輪タイヤ12a,bを操作することもできる。図4に示すように、手動走行モードでは、アクセルペダル2の踏み込み量をポテンショメータ等を用いたアクセル踏込み量測定装置3によって検出する。そして、踏み込み量に応じた走行速度になるように、コントローラ6はモータドライバ8を介して走行モータ9を回転させる。走行モータ9の回転によって、トランスミッション13を介して後車輪14a,bを駆動して、運転者の希望する速度で車両を走行させることができる。
【0009】なお、これらの乗用ゴルフカートには走行モータ9として、回転数、トルク及び正転・逆転の制御が容易な直流分巻モータが一般的に使用されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの乗用ゴルフカートは、安全上の理由や使いやすさの観点から直流分巻モータを使用し、自動走行モードで運転するか、手動走行モードで運転するか、又はゴルフコースの起伏等によっての速度制御の内容を随時変更できるようにするのが好ましい。特に、起伏の激しいゴルフコースや、高速走行が要求されるゴルフコースにおいては、直流分巻モータに供給する電機子電流と界磁電流とを適性に選択して制御する必要がある。
【0011】本発明は、前記した問題点に鑑みてされたものであって、運転モードやゴルフコースの起伏の状況等に応じて電機子電流と界磁電流とを適性に選択して、自動走行車の速度制御をするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明に係わる自動走行車の速度制御装置は、自動走行モードで運転するか、手動走行モードで運転するか及びゴルフコースの起伏の状況等に応じて、走行モータ9の回転数(走行速度)とトルクの制御条件を、電機子電流と界磁電流とを適性に選択して制御するものである。
【0013】すなわち、第一の発明では、自動走行モードと、手動走行モードとを切り換えて走行し、駆動用として直流分巻モータを有する自動走行車の速度制御装置であって、ブレーキが故障した場合には高トルク用で作動させるテーブルを用い、坂道での発進時には低速・中トルク用で作動させるテーブルを用いて速度制御をすることを特徴とするものであり、第二の発明では、前記自動走行モードでの運転時には中速・中トルク用で作動させるテーブルを用い、前記手動走行モードでの運転時には高速・低トルク用で作動させるテーブルを用いて速度制御をすることを特徴とするものである。
【0014】第三の発明では、前記トルクは、前記直流分巻モータの界磁電流を大きくして発生させることを特徴とし、第四の発明では、前記坂道か否かは、車輌に設置した傾斜センサによって判断することを特徴とし、第五の発明では、前記自動走行モードで運転時のトルクは、前記手動走行モードで運転時のトルクよりも高くすることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係わる実施の形態を図面に基づいて説明する(図4、5)。本発明に係わる電磁誘導式乗用ゴルフカートは、上記した誘導線に沿って自動走行をする自動走行モードと、運転者がアクセルペダル2、ブレーキペダル17、及びハンドル18を操作して走行する手動走行モードのいずれかを選択できる。そして、これらのモード切り換えは、車両に設置した自動/手動切換装置7の操作によって行なわれる。
【0016】(1)手動走行モード運転者は、誘導線のない場所での走行や、必要に応じて、自動/手動切換装置7を手動走行モードに切り換えた後に、ハンドル18を操作して前輪タイヤ12a,bを操作することができる。
【0017】図4に示すように、手動走行モードでは、アクセルペダル2の踏み込み量をポテンショメータ等を用いたアクセル踏込み量測定装置3によって検出し、コントローラ6に出力する。そして、コントローラ6は、電磁ブレーキ20を通電させて走行モータ9の拘束を解くとともに、アクセル踏み込み量に応じた回転数になるように、モータドライバ8を介して走行モータ9を回転させる。すなわち、走行モータ9の回転によって、トランスミッション13を介して後車輪14a,bを駆動して、運転者の希望する速度で車両を走行させることができる。
【0018】乗用ゴルフカートを減速または停止させる場合には、アクセルペダル2から足を離してその踏み込みを止める。この操作で、戻しバネ5によってアクセルペダル2が戻され、アクセル踏込み量測定装置3が元の位置に戻り、コントローラ6は走行モータ9の回転指令をゼロにする指令をモータドライバ8に送る。
【0019】一方、運転者が、ブレーキペダル18を踏み込むことによって油圧シリンダ21を作動させ、前車輪12a,bと後車輪12a,b,14a,bとに取り付けられたドラムブレーキ22a〜dが働いて車輪に制動をかける。車速センサ23により走行モータ9の回転が一定値以下になると、コントローラ6の指令によって電磁ブレーキ20が閉じてゴルフカートを停止させる。したがって、この状態では乗用ゴルフカートは動くことがない。
【0020】(2)自動走行モード乗用ゴルフカートを自動走行モードで発進させる場合には、自動/手動切換装置7を自動走行モードに切り換えた後に、発進/停止スイッチ15をONにする操作か、またはリモコン16をONにする操作によって行なう。コントローラ6に発進指令が送られると、走行モータ9の回転を拘束している電磁ブレーキ20に通電されてその拘束が解除される。
【0021】乗用ゴルフカートの走行路には、あらかじめ誘導線が埋設されている。そして、該誘導線に低周波の交流電流を流すことによって、誘導線の周囲には交流磁界を発生させる。
【0022】自動運転モードでは、前記交流磁界を乗用ゴルフカートの前端中央部に設置したコイルを用いた2個の誘導センサ10a,bにより、誘導起電力による電圧信号として検出し、その信号はコントローラ6に出力される。そして、それぞれの誘導センサ10a,bが同じ強度の交流電圧を発生するように、すなわち、それぞれの誘導センサ10a,bの中間の位置の真下に誘導線が来るように、ステアリングモータ11を作動させて前車輪12a,bを操舵し、車体が誘導線からはずれないような制御を行なう。
【0023】走行モータ9の回転数は、車体に設置した車速センサ23で測定し、その値はコントローラ6にフィードバック入力され、後述する目標速度になるように制御される。すなわち、コントローラ6は、走行モータ9の回転数を乗用ゴルフカートの走行速度に置き換え、それと目標速度との差分をとり、その差分を小さくするようにモータドライバ8を制御する。そして、モータドライバ8からの制御信号によって走行モータ9を制御し、該走行モータ9の回転動力をトランスミッション13を介して後車輪14a,bに伝達するものである。
【0024】なお、ゴルフコースのカート走行路は、平地の直線道路、急傾斜の登り坂や降り坂及び急カーブなどの多様性がある。そこで、自動走行モードでの安全性を確保するためには、カート走行路に応じて、永久磁石を用いた目標速度の制御を随時行なう方式が用いられている。この方式は、あらかじめ複数個の永久磁石を走行路に埋設しておき、その埋設されている永久磁石が地表にN極が向いているか、あるいはS極が向いているかのパターンを検知することによって、車両を加速したり、減速するなどのきめ細かな速度制御をする方式である。
【0025】すなわち、走行路に埋設した複数の永久磁石の上方を乗用ゴルフカートが通過すると、その埋め込まれている永久磁石のN極またはS極のパターン信号が乗用ゴルフカートに取り付けたコイルなどを用いたマグネットセンサ19によって検出される。そして、埋め込まれている永久磁石のパターン信号によって、乗用ゴルフカートの目標速度を変更して、減速させたり加速させたりするものである。
【0026】なお、自動運転モードにおいても危険防止やその他の理由から、ブレーキペダル17を踏むことによって、乗用ゴルフカートを随時停止させることができる方式を用いている。
【0027】すなわち、ブレーキペダル17を踏むことによって、コントローラ6に停止指令が送られる。そして、走行モータ9に制動をかけるとともに、ブレーキモータドライバ25に作動指令を送り、ブレーキモータ26を回転させ、ギヤ27を介して油圧シリンダ21を動作させて加圧し、ドラムブレーキ22a〜dで車輪に制動をかける。車速センサ23により走行モータ9の回転数が一定値以下になると、コントローラ6の指令によって電磁ブレーキ20が閉じてゴルフカートを停止させる。
【0028】
【実施例】以下に、本発明に係わる自動走行車の速度制御装置について図1〜3を用いて詳細に説明する。
【0029】1.速度制御装置の概要図3は、本発明に係わる自動走行車の速度制御装置のブロック図である。乗用ゴルフカートの走行中は、コントローラ6から目標速度となるように速度指令31をモータドライバ8に出力する。なお、目標速度は、自動運転モードでは上述したマグネットセンサ19、傾斜センサ29、車速センサ23で、手動運転モードではアクセル2の踏込み量によって決定される。
【0030】すなわち、コントローラ6は、各種の入力信号を考慮して、速度指令31と後述するテーブル選択指令32をモータドライバ8に出力する。そして、目標速度になるように走行モータ9の電機子34に供給する電流及び電圧と、界磁コイル39に供給する電流とが決定される。
【0031】なお、モータドライバ8は、速度指令31とテーブル選択指令32から走行モータ9の電機子34及び界磁コイル39に供給する電流等を適正に制御するものである。すなわち、速度指令31によって電機子34に供給する電流及び電圧(電力)を、電機子電流制御33及び電機子電圧制御35で決定する。電機子34に実際に流れている電流値は、電機子電流検出36によって測定され、電機子電流制御33にフィードバックされてPID制御が行なわれる。なお、電機子電流検出36によって測定される電機子34に実際に流れている電流は、後述する界磁電流テーブル37にも出力される。
【0032】一方、モータドライバ8の界磁電流テーブル37は、コントローラ6からのテーブル選択指令32と電機子電流検出36による値により、後述する4種類のうちの最適なテーブルを選択して、界磁電流制御38に出力する。界磁コイル39に実際に流れる電流は、界磁電流検出40で測定され、界磁電流制御38にフィードバックされて適性な値となるようなPID制御が行なわれる。
【0033】2.テーブルの選択及びテーブルの内容本発明では、電機子34に流れる電流と、界磁コイル39に流れる電流との関係を図2に示すように4種類のテーブル(高トルク用、低速・中トルク用、中速・中トルク用、高速・低トルク用)とし、ゴルフコースの状況や運転モード等に応じてこれらを切換えて走行制御を行なうものである。
【0034】たとえば、(図2−(c))の中速・中トルク用において、電機子34に流れる電流がaの場合には、界磁コイル39に流れる電流はbとなるように制御される。なお、電機子電流が負の領域は、下り坂などの回生領域での制御を示している。
【0035】コントローラ6では、図1のフローチャートに示されるようにテーブルを選定して速度制御を行なう。すなわち、図示されていない電源が入り、発進/停止スイッチ15がONされると、その後に発進/停止スイッチ15がOFFされたか否かを判断して、OFFの場合には停止する(ST1)。
【0036】図1より、発進/停止スイッチ15がONの場合には、電磁ブレーキ20やドラムブレーキ22a〜dなどのブレーキが正常か否かを確認する(ST2)。ブレーキが正常でない場合には、高トルク用のテーブルを選択する(ST3、図2−(a))。高トルク用のテーブルが選択されると、後述するように界磁コイル39に供給する電流を最大にしてトルクを最大にしてゆっくりと走行するように走行制御される。したがって、下り坂でブレーキが故障した場合でも、走行速度が押さえられるために、車両の暴走を防ぐことができる。
【0037】図1より、ブレーキが正常な場合には、傾斜センサ29により、坂道での発進か否かを確認し(ST4)、坂道での発進の場合には低速・中トルク用のテーブルを選択する(ST5、図2−(b))。なお坂道か否かは、車輌に設置した傾斜センサ29によって判断している。すなわち、下り坂や上り坂での発進の場合には、走行速度よりも、走行時の安定性が重要になるので比較的大きな界磁電流とした。特に、上り坂ではトルクが少ないと後退する場合があることや、下り坂では急加速される場合があるために、このように走行制御をしたものである。
【0038】図1より、坂道での発進でない場合には、自動運転モードであるか、手動運転モードであるかを判断する(ST6)。自動運転モードの場合には中速・中トルク用のテーブルを選択する(ST7、図2−(c))。すなわち、自動走行では走行速度の安定性が重要になるために、トルクが大きい方が走行速度は安定する。駆動モータは直流分巻モータであるために、界磁電流をやや大きくすることにとってトルクが大きくなり、速度は低下するが走行速度を安定させることができる。また、自動走行中に急な勾配となった場合には、早急な登坂力が必要になり、あらかじめ、トルクを比較的大きくしておく方が望ましいためである。
【0039】一方、手動運転モードの場合には高速・低トルク用のテーブルを選択した(ST8、図2−(d))。すなわち、手動運転モードの場合には運転者が操作するために、アクセルペダル2を調節することによって、最高速度をなるべく大きくできるものが望まれる。加えて、手動運転では上り坂があっても、運転者がアクセルペダル2を深く踏むことによって容易に対応できるためである。
【0040】
【発明の効果】上述したように、本発明に係わる速度制御装置を用いた自動走行車は、運転モードやゴルフコースの起伏の状況、ブレーキの故障の有無等に応じて電機子電流と界磁電流とを適性に選択して走行制御をすることができるため、走行安定性に優れたものである。
【出願人】 【識別番号】000001203
【氏名又は名称】新神戸電機株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町2丁目8番7号
【出願日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−199202(P2003−199202A)
【公開日】 平成15年7月11日(2003.7.11)
【出願番号】 特願2001−391606(P2001−391606)