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【発明の名称】 ハイブリッドリニアモータ駆動による移動システム
【発明者】 【氏名】吉田 欣二郎

【氏名】大島 健二

【氏名】菅沼 学

【要約】 【課題】走行持続時間を長く、従って、走行距離を長くすることができ、かつ急勾配の上り軌道を容易に走行できるリニアモータ駆動移動システムを提供する。

【解決手段】平地および緩やかな勾配の走行軌道上ではリニア誘導モータで駆動し、急勾配の上り又は下り軌道上ではリニア同期モータで駆動するようにリニアモータの駆動モードを切り替える構成とし、大きな供給電力を必要とする急勾配の上り軌道では軌道側から電力供給できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 接地面から浮上して移動する車両において、駆動源のリニアモータをリニア誘導モータまたはリニア同期モータのどちらにも変換することにより使用できる機能を有するハイブリッドリニアモータを有する移動システム。
【請求項2】 平地または勾配の緩やかな軌道においてはリニア誘導モータにより走行し、急勾配の上り又は下り軌道においてはリニア同期モータにより走行する請求項1に記載の移動システム。
【請求項3】 車両側の電機子を界磁の機能にさせ、軌道側に電機子を設け、車両側および軌道側双方から電力を供給できるようにした構成よりなるリニア同期モータを搭載した請求項1又は2又は3に記載の移動システム。
【請求項4】 車両側は電機子のままで、軌道側の電機子を界磁の機能にし、車両側および軌道側双方から電力を供給できるようにした構成よりなるリニア同期モータを搭載した請求項1又は2又は3に記載の移動システム。
【請求項5】 急勾配の上り又は下り軌道を走行する場合において、上り又は下り軌道の始点および終点に検出するセンサーを設け、車両が上り又は下り軌道の始点を感知したときはリニア誘導モータからリニア同期モータに、上り又は下り軌道の終点を感知したときはリニア同期モータからリニア誘導モータに自動で切り替える機能を備えた移動システム。
【請求項6】 車両の走行距離を記憶し、シーケンスプログラムによりリニア誘導モータまたはリニア同期モータに適宜切り替え運行する機能を有する移動システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッドリニアモータ駆動を用いる空気浮上式移動システムに関するものであって、高低差の大きい複雑な地形でも地域環境に与える影響を少なくできるフレシキブルな運転を可能とし、特に急勾配の上り軌道を走行できるように構成したリニアモータ駆動式移動システムに関するものである。
【0002】また、車両側電源を電池から供給している場合は運転持続時間を長くできるように構成したリニアモータ駆動式移動システムに関するものである。
【0003】
【従来の技術】従来、リニアモータ駆動による自走式車両としての移動システムは、リニア誘導モータを使用し、自走式車両の移動経路となる水平部と水平部から勾配部に到る縦断曲線部と勾配部と勾配部から水平部に到る緩和曲線部からなる軌道にはリニアモータの二次側になる導体板(リアクションプレート)が敷設されている。
【0004】緩和曲線部とは水平部から勾配部に到る境界部分または勾配部から水平部に到る境界部分をいう。
【0005】図1に従来の自走式リニアモータ駆動式移動システムを示す。自走式車両1にはリニアモータ一次側(コア、コイル)6とリニアモータの電力を制御するインバータ4とインバータ4へ電力を供給する電池3が設けられている。
【0006】自走式車両1は、電池3からインバータ4を介してリニアモータ一次側6へ給電し、軌道に敷設された二次導体板8と自走式車両1のリニアモータの一次側でリニア誘導モータを構成し、回転形誘導モ−タの原理で推力を発生して走行する。
【0007】自走式車両1は、この推力により軌道の水平部と勾配部で構成された一定経路上を安定して走行する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電池3を電源とし、駆動力にリニア誘導モータを使用した自走式車両1は消費電力量が多いので走行持続時間が短く、従って、走行距離も十分に長くすることはできない。また従来の車両寸法から制限されたモータ寸法では十分な推力が発生させることができなく、特に高低差の大きい複雑な地形では急勾配の上り軌道を走行させることができない。
【0009】電池3を電源とする自走式車両1では、この移動システムの運行を円滑に行うために電池3の充電回数を少なくしなければならないので走行持続時間を長くすることと、高低差の大きい複雑な地形に対応して軌道の線形設計の自由度を上げるには急勾配の上り軌道を走行できることが望ましい。従来の形式のリニア誘導モータでは構成上、大きな推力が要求される急勾配の上り軌道を走行する場合には車両側の一次側へ供給する電力を大きくする必要がある。
【0010】そのため電池3の消費電力量が多くなり、また、リニアモータを使用した自走式車両1は構造上リニアモータ一次側6と二次導体8の空隙が大きくなり、空隙の小さい回転形モ−タに比べてモータの効率が低下する。よって回転形モータに比べて自走式車両1では同じ出力を発生するときの消費電力量が更に多くなる。これらの理由から急勾配の上り軌道では電池3の消費電力量が多いため急勾配部の箇所が多い軌道を走行するときには走行持続時間が長くできない。
【0011】一方、自走式車両1ではリニア誘導モータの一次側の取り付けスペースにも制限があり、大きな推力を発生するリニア誘導モータを搭載できない。このようなリニア誘導モータでは自走式車両1が走行できる軌道の勾配は6%までである。
【0012】6%を超え10%までの急勾配上り軌道を走行するためにはリニアモータ一次側6を複数台車上に搭載しなければならないので車両寸法が大きくなる。
【0013】しかし、前述のように取り付けスペースの制限からリニアモータ一次側6を複数台車両に搭載することは実施上、困難である。
【0014】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決するために、本発明による移動システムは、急勾配の上り軌道では車両搭載のリニアモータを誘導形から同期形に切り替えて軌道側の構成品に電力を供給して急勾配の上り軌道を走行できる十分な推力を発生させる。図2に誘導形リニアモータに、図3に同期形リニアモータに切り替えられたときのそれぞれの配置図を示す。この移動システムは、具体的には下記のように詳細な手段を示す。
【0015】接地面から浮上して移動する車両において、駆動源のリニアモータをリニア誘導モータまたはリニア同期モータのどちらにも変換することにより使用できる機能を有するハイブリッドリニアモータを搭載することにより達成することができる。
【0016】平地または勾配の緩やかな軌道においてはリニア誘導モータにより走行し、急勾配の上り又は下り軌道においてはリニア同期モータにより走行する。
【0017】急勾配の上り又は下り軌道を走行する場合において、上り又は下り軌道の始点および終点を検出するセンサーを設け、車両が上り又は下り軌道の始点を感知したときはリニア誘導モータからリニア同期モータに、上り又は下り軌道の終点を感知したときはリニア同期モータからリニア誘導モータに自動で切り替える機能を備える。
【0018】車両の走行距離を記憶し、シーケンスプログラムによりリニア誘導モータまたはリニア同期モータに適宜切り替え運行する機能を有する。
【0019】ハイブリッドリニアモ−タにおいて車両側の一次側を界磁の機能にさせ、軌道側に電機子を設け、車両側および軌道側双方から電力を供給できるようにしたリニア同期モータを構成する。
【0020】また、車両側の一次側を電機子の機能にさせ、軌道側の電機子を界磁の機能にし、車両側および軌道側双方から電力を供給できるようにしたリニア同期モータを構成する。
【0021】急勾配の上り軌道においては、軌道側から電力を供給し、車両側の電池消費電力量を少なくし、全体としてリニアモータの発生推力を大きくする。
【0022】そのため移動システムが急勾配の上り軌道を走行するときは、リニアモータの構成を同一車上構成品でリニア誘導モータからリニア同期モータに切り替えられるようにした。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。そこで、始めに本発明に係わるハイブリッドリニアモータについて図5、図6を参照して詳細に説明する。ハイブリッドリニアモータはリニア誘導モータとリニア同期モータの双方の機能を備え、必要に応じてこの両者の間で切り替えて用いることができるリニアモータである。
【0024】よって、車両側リニアモータ一次側と軌道側電機子の構造は同一となる。リニア同期モータの構成は電機子と界磁から成り、リニアモータの発生推力はどちらかの作用力を大きくすると発生推力も大きくなる。また両者の作用力は供給する電力で制御でき、電機子と界磁のどちらでも車両側と軌道側に配置できる。車両側に配置された方は車両側から供給する電力を少なくし作用力を小さくして電池3の消費電力量を低減する。軌道側に配置された方は地上電源から大きな電力を供給し、その作用力を大きくして急勾配部で走行するのに必要な推力を発生する。
【0025】次に、リニア誘導形モータについて説明する。これを説明するため、まず参考のため図5を参照して誘導形回転モータの原理図により三相交流と回転磁界について説明する。三相交流電流を一次側のコイルに流すと一次側は電磁石を構成しN,S,N,Sの磁極が形成される。三相交流は電気角で120゜づつずれている3つの交流からできているので、電磁石の磁極は時間とともに一次側に沿って移動していく。この磁界を回転磁界といい、この磁極の回転する速度は三相交流の周波数に比例し、かつ回転磁界の中にある導体で構成された回転子は回転磁界の速度より少し遅い速度で回転する。
【0026】よって、誘導モ−タの回転速度は三相交流の周波数によって決定される。リニア誘導モータの原理も回転形の誘導モ−タと同様であり、その構造は回転モ−タを直線状にしたモータであるから回転磁界のことを移動磁界と呼ぶ。図6にリニア誘導モータの原理図を示す。一次側のコイルに供給された三相交流で移動磁界N,S,N,Sを形成し、また、二次側の導体板もこれに誘導された渦電流により推力を発生し、移動磁界の速度より少し遅い速度で移動する。
【0027】二次側は軌道に固定されているので、移動可能な一次側が二次側との反力で移動磁界とは反対側の方向に進む。本発明では車上側を電磁石にし、軌道側を電機子にしてリニア同期モータを構成するとき車両側の同じ構造のコイルに直流電力を供給すると複数の磁極を構成する電磁石になり、本実施形態の場合は6極(N、S、N、S、N、S)の電磁石になる。具体的なリニアモータの構造を図7,8に示す。
【0028】次に、同じ構造のモータを使用してリニア誘導モータとリニア同期モータの機能を切り替えることについて図9,13を参照して説明する。
【0029】図13から車両側をリニアモータ一次側6としてリニア誘導モータを構成するときはこの構造のコイルに車両側の交直電力変換装置25をインバ−タ動作に切り替え三相交流電力を供給するとN極とS極が時間とともに移動する電磁石になる。
【0030】図9から車両側を界磁12としたリニア同期モ−タを構成するときは、リニア誘導モ−タで使用していたリニアモ−タ一次側6に直流電力を供給して多極の電磁石にし、界磁12を構成する。直流電力を供給する装置はインバータとして使用していた同じ交直電力変換装置25の動作モードをソフトで直流電源に切り替えて使用する。軌道側の電機子13も車上側の界磁12と同じ構造をしており、軌道側のコイルに三相交流電力を供給すると前項の動作のように移動磁界を発生する電磁石になる。この移動する軌道の磁極に車両側の界磁12が吸引され移動磁界と同期して車両1が進行する。
【0031】本発明の第1の実施形態を図2、3、4、9、13を参照して説明する。図13の車両1は車台24とその上部に設けられた車体2から構成されている。
【0032】車台24には空気浮上支持機構のエアパット9とリニアモータ一次側6が設けられている。また走行車両1の速度を検出する速度検出器10(ロータリエンコーダ)が取り付けられている。
【0033】車体2には交直両用電力変換装置25と電池3と走行車両制御装置5が設けられている。交直両用電力変換装置25は電気信号入力によってインバータ動作と3出力直流電源動作に切り替えができる。車両制御装置5は車両動作制御部(走行車両機器の制御と車両速度指令値制御を行う)と車両運行制御部(走行車両の運行制御と運行管理を行う)と車両保安制御部(他の走行車両検知と衝突防止を行う)と車両動作状態送信制御部(走行車両の速度値、速度指令値、車両機器の動作状態を地上側の電機子コイル制御装置20への送信制御を行う)から成る。
【0034】車両動作状態送信制御部の情報を送信する車両動作情報送信アンテナ15が取り付けられている。
【0035】図2のように軌道はエアパット9が走行する走行面を有し、水平部と緩やかな勾配部と分岐部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部にはリニアモータの一次側6と対向して二次導体板8が配置されている。急勾配部と水平部から急勾配部に到る縦断曲線部と急勾配部から水平部に到る緩和曲線部の軌道には図3のように自走車両に搭載されたリニアモ−タ一次側6を電磁石動作に切り替えた界磁12と対向して電機子13が配置されている。走行車両の位置を検出する非接触型の車両位置検出器14が配置されている。図4の地上側の設備は電源設備と電機子コイル制御装置20から成る。
【0036】電機子コイル制御装置20はセクション切り替え開閉制御器17と走行車両動作情報受信制御装置18から成る。車両側を界磁に軌道側を電機子にしたリニア同期モータを構成する。この場合、リニア誘導モータで動作しているときに使用していた車両側の交直両用電力変換装置25を電気信号でインバ−タから直流電源に切り替えができるようにした。
【0037】また、その直流電源を使用してリニア誘導モータで動作しているときに使用していた車両側の一次側を多極の電磁石に切り替えができるようにした。
【0038】図13のように車両1は電池3と交直両用電力変換装置25とリニアモータ一次側6で構成されており、軌道の水平部および緩やかな勾配部では車両1に搭載した電池3からインバ−タ動作に切り替えられた交直両用電力変換装置25を介して給電されたリニアモータ一次側6と軌道に敷設された二次導体板8で構成されたリニア誘導モータの推力により走行する。
【0039】上り又は下り軌道の急勾配部と水平部から急勾配部に到る縦断曲線部と急勾配部から水平部に到る縦断曲線部では図9のように自走車両に搭載した電池3から3出力直流電源動作に切り替えられた交直両用電力変換装置25を介して給電されたリニアモータ一次側6を多極の電磁石で構成した界磁12にする。
【0040】走行軌道に敷設された電機子13に地上側電源から地上に設置されたインバータ19を介して電力を供給する。この電機子13と走行車両1側の界磁12で構成されたリニア同期モータの推力により走行する。
【0041】図13のように車両1の車両制御装置5は走行開始前に軌動が水平部か緩やかな勾配部か分岐部かを判断し、車両1の交直両用電力変換装置25をインバータ動作に切り替える。
【0042】車両制御装置5は外部指令により起動を確認すると交直両用電力変換装置25に起動指令を出力し、電池3からインバータ動作をしている交直両用電力変換装置25を介してリニアモータ一次側6に給電される。リニアモータ一次側6に対向する形で軌道に敷設された二次導体板8でリニア誘導モータを構成し、その推力で車両1は走行する。
【0043】車両1の速度は車両制御装置5から出力される車両速度指令値と速度検出器10から出力された車両速度値とを比較しながら車両速度値が速度指令値になるようにインバータ動作に切り替えられた交直両用電力変換装置25から可変電圧可変周波数の三相交流をリニアモータ一次側6に給電し制御される。
【0044】車両1が走行し軌道が水平部より水平部から急勾配部に到る緩和曲線部に移ると走行中の車両1の車両制御装置5は交直両用電力変換装置25を3出力直流電源動作に切り替え、その情報を図4の車両動作情報送信アンテナ15で地上側設備の電機子コイル制御装置20へ送る。
【0045】図9のように車両1の電池3から3出力直流電源動作に切り替えられた交直両用電力変換装置25を介して3系統の直流電圧をリニアモータ一次側6に給電し、多極の電磁石にし、界磁12を構成する。
【0046】図4の地上側設備の電機子コイル制御装置20が車両1の車両制御装置5により交直両用電力変換装置25を3出力直流電源動作に切り替えた情報を車両動作情報受信アンテナ16により受信すると電機子コイル制御装置20内の車両動作情報受信制御装置18からインバータ19に起動指令を出力する。軌道に取り付けられた車両1の位置検出器14から出力された信号を地上側設備の電機子コイル制御装置20内のセクション切り替え開閉制御器17に入力し車両1の界磁12と対向する軌道の電機子コイル13に通電できるセクション切り替え用電磁開閉器27を選択し動作させる。
【0047】地上の三相交流電源21から電機子コイル制御装置20内のインバータ19を介しセクション切り替え開閉制御器17で選択されたセクション切り替え用電磁開閉器27を通じて軌道に敷設された電機子コイル13に給電される。図9のように給電された軌道側の電機子コイル13と対向する車両1の界磁12でリニア同期モータを構成し、その推力で車両1は軌道の急勾配部を走行する。車両1の車両制御装置5から出力される車両速度指令値と速度検出器から出力された車両速度値を車両動作情報送信アンテナ15から送信し、その情報を図4の地上設備の電機子コイル制御装置20内にある車両動作情報受信アンテナ16で受信し、その情報を車両動作情報受信制御装置18からインバ−タ19に送る。
【0048】インバ−タ19は車両速度指令値と車両速度値とを比較しながら車両速度値が車両速度指令値になるように可変電圧可変周波数の三相交流を軌道に敷設した電機子コイル13に給電して制御する。
【0049】軌道が急勾配部から水平部に到る緩和曲線部より水平部に移るとき水平部になる手前で走行中の車両1の車両制御装置5は交直両用電力変換装置25を3出力直流電源動作からインバータ動作に切り替え、その情報を車両動作情報送信アンテナ15で地上側設備の電機子コイル制御装置20へ送る。
【0050】図4の地上側設備の電機子コイル制御装置20が車両1の車両制御装置5により交直両用電力変換装置25をインバータ動作に切り替えた情報を車両動作情報受信アンテナ16により受信すると電機子コイル制御装置20内の車両動作情報受信制御装置18からインバータ19に停止指令を出力する。そしてインバータ19から軌道に敷設された電機子コイル13への給電を停止する。図13のように車両1の電池3からインバータ動作に切替られた交直両用電力変換装置25を介して三相交流をリニアモータ一次側6に給電する。車両1のリニアモータ一次側6と対向する軌道に敷設した二次導体板8とでリニア誘導モータを構成し、その推力で車両1を走行させる。
【0051】車両制御装置5は外部指令により停止を確認すると交直両用電力変換装置25に停止指令を出力し、電池3からインバータ動作をしている交直両用電力変換装置25を介してリニアモータ一次側6への給電が停止され車両1は停止する。
【0052】本発明の第2の実施形態を図2、10、11、12、14を参照して説明する。図14のように車両1は車台24とその上部に設けられた車体2から構成される。車台24には空気浮上支持機構のエアパット9とリニアモータの一次側6が設けられている。車両の速度を検出する速度検出器10(ロ−タリエンコ−ダ)も取り付けられている。車体2にはマルチモ−ドインバ−タ26と電池3と車両制御装置5が設けられている。マルチモ−ドインバ−タ26は電気信号入力によってリニア誘導モータ制御機能とリニア同期モータ制御機能に切り替えができる。
【0053】車両制御装置5は車両動作制御部(走行車両機器の制御と車両速度指令値制御を行う)と車両運行制御部(走行車両の運行制御と運行管理を行う)と車両保安制御部(他の走行車両検知と衝突防止を行う)とから成る。
【0054】図2のように軌道はエアパット9が走行する走行面を有し、水平部と緩やかな勾配部と分岐部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部にはリニアモ−タ一次側6と対向して二次導体板8が配置されている。
【0055】急勾配部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部と急勾配部から水平部に到る緩和曲線部の軌道には図10のように車両1に搭載されたリニアモ−タ一次側6を電機子として使用する電機子13と対向して多極の電磁石で構成される界磁12が配置されている。車両1の位置を検出する非接触型の車両位置検出器14が配置されている。
【0056】図11の地上側の設備は電源設備と界磁コイル制御装置23から成る。界磁コイル制御装置23はセクション切り替え開閉制御器17と界磁コイルへ給電する3出力直流電源22とセクション切り替え用電磁開閉器27から成る。車両側を電機子に軌道側を界磁にしてリニア同期モータを構成する。この場合、リニア誘導モータで動作しているときに使用していた車両側のマルチモ−ドインバ−タ26の制御機能をリニア誘導モータ制御からリニア同期モータ制御に電気信号で切り替えができるようにする。
【0057】車両1は軌道の水平部および緩やかな勾配部では図14のように車両1に搭載した電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介して給電されたリニアモータ一次側6と軌道に敷設された二次導体板8で構成されたリニア誘導モータの推力により走行する。
【0058】上り又は下り軌道の急勾配部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部と急勾配部から水平部に到る縦断曲線部では図12のように車両1に搭載した電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介して給電されたリニアモータ一次側6を電機子13にする。マルチモ−ドインバ−タ26の制御機能をリニア誘導モータ制御からリニア同期モータ制御に切り替える。軌道に敷設された電磁石コイルに地上側電源から地上に設置された3出力直流電源装置22を介して電力を供給し多極の電磁石による界磁12を構成する。この界磁12と走行車両1側の電機子13で構成されたリニア同期モータの推力により走行する。
【0059】車両1の移動経路は水平部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部と急勾配部から水平部に到る緩和曲線部と急勾配部と緩やかな急勾配部と分岐部からなる軌道で構成する。水平部と緩やかな勾配部と分岐部にはリニアモータの二次導体8を軌道に敷設する。図14のように車両1は電池3とマルチモ−ドインバ−タ26とリニアモータの一次側6で構成する。電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介してリニアモータ 一次側6に給電し、軌道に敷設されている二次導体板8とでリニア誘導モ−タを構成する。軌道の急勾配部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部と急勾配部から水平部に到る緩和曲線部にはリニアモータの電磁石側(コア、コイル)を敷設する。地上側にこの電磁石へ電力を供給する3出力直流電源装置22を設置する。
【0060】図12のように車両1は電池3とマルチモ−ドインバ−タ26とリニアモータ一次側6を搭載する。電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介してリニアモータ一次側6に給電し、このリニアモータ一次側6を電機子13として使用する。軌道に敷設されている電磁石で構成された界磁12と車両1の電機子13でリニア同期モータを構成する。
【0061】図14のように車両1は軌道の水平部および緩やかな勾配部では車両1に搭載した電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介して給電されたリニアモータ一次側6と軌道に敷設された二次導体板8で構成されたリニア誘導モ−タの推力により走行する。軌道の急勾配部と水平部から急勾配部に到る緩和曲線部と急勾配部から水平部に到る緩和曲線部では図12のように車両1に搭載した電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介して給電されたリニアモータ一次側6を電機子13として使用する。
【0062】軌道に敷設された電磁石コイルに地上側電源から地上に設置された3出力直流電源装置22を介して電力を供給し多極の電磁石による界磁12を構成する。この界磁12と車両1側の電機子13で構成されたリニア同期モータの推力により走行する。
【0063】図14のように車両1の車両制御装置5は走行開始前に軌動が水平部か緩やかな勾配部か分岐部かを判断し、車両1のマルチモ−ドインバ−タ26の機能をリニア誘導モータ制御機能に切り替える。
【0064】車両制御装置5は外部指令により起動を確認するとマルチモ−ドインバ−タ26に起動指令を出力し、電池3からマルチモ−ドインバ−タ26を介してリニアモータの一次側6に給電される。リニアモータ一次側6に対向する形で軌道に敷設された二次導体板8でリニア誘導モータを構成し、その推力で車両1は走行する。車両1の速度は車両制御装置から出力される速度指令値と速度検出器から出力された車両速度値とを比較しながら車両速度値が速度指令値になるようにリニア誘導モータ制御機能に切り替えられたマルチモ−ドインバ−タ26から可変電圧可変周波数の三相交流をリニアモータ一次側6に給電し制御される。
【0065】軌道が水平部より水平部から急勾配部に到る 緩和 曲線部に移ると走行中の車両1の車両制御装置5はマルチモ−ドインバ−タ26をリニア同期モータ制御機能に切り替える。図12のように車両1の電池3からリニア同期モータ制御機能に切り替えられたマルチモ−ドインバ−タ26を介してリニアモータ一次側6に給電し、電機子13として使用する。
【0066】図11の地上側設備の界磁コイル制御装置23が軌道の急勾配開始位置に取り付けられた車両1の位置検出器情報を入力すると界磁コイル制御装置23内の3出力直流電源装置22に起動指令を入力する。軌道に取り付けられた車両1の位置検出器14から出力された信号を地上側設備の界磁コイル制御装置23内のセクション切り替え開閉制御器17に入力し走行車両の電機子13と対向する軌道の界磁12のコイルに通電できるセクション切り替え用電磁開閉器27を選択し動作させる。
【0067】三相交流の地上電源21から界磁コイル制御装置23内の3出力直流電源22を介しセクション切り替え開閉制御器17で選択されたセクション切り替え用電磁開閉器27を通じて軌道に敷設された界磁12のコイルに給電される。給電された軌道側の界磁12と対向する車両1の電機子13でリニア同期モ−タを構成し、その推力で車両1は軌道の急勾配部を走行する。
【0068】図12のように車両1の速度は車両制御装置5から出力される車両速度指令値と速度検出器10から出力された車両速度値とを比較しながら車両速度値が車両速度指令値になるようにリニア同期モータ制御機能に切り替えられたマルチモードインバータ26から可変電圧可変周波数の三相交流を電機子13に給電して制御される。
【0069】軌道が急勾配部から水平部に到る緩和曲線部より水平部に移るとき水平部になる手前で走行中の車両1の車両制御装置5はマルチモードインバータ26の機能をリニア誘導モータ制御機能に切り替える。
【0070】図11の地上側設備の界磁コイル制御装置23が軌道の急勾配終了位置に取り付けられた走行車両位置検出情報を入力すると界磁コイル制御装置23内の3出力直流電源装置22に停止指令を入力する。そして3出力直流電源22から軌道に敷設された界磁12のコイルへの給電を停止する。
【0071】図14の車両1の電池3からリニア誘導モータ制御機能に切り替えられたマルチモ−ドインバ−タ26を介して三相交流をリニアモータ一次側6に給電する。
【0072】車両1のリニアモータ一次側6と対向する軌道に敷設した二次導体板8とでリニア誘導モータを構成し、その推力で車両1を走行させる。
【0073】車両制御装置5は外部指令により停止を確認するとマルチモードインバータ26に停止指令を出力し、電池3からリニア誘導モータ制御機能に切り替えられたマルチモードインバータ26を介してリニアモータ一次側6への給電が停止され車両1は停止する。
【0074】
【発明の効果】車両のリニアモータ消費電力量の少ない水平部と緩やかな勾配部と分岐部では車両の電池3からリニアモータへ給電することにより車両を自走させ、リニアモータの消費電力量が多い急勾配部の上り軌道ではリニアモータを同期形に構成する。同期形リニアモータを使用すれば地上側の電源から軌道に敷設した構成品(電機子または界磁)に給電し、車両を走行させる推力を発生させるので、車両側の電池3の消費電力量が低減できる。よって、車両が移動経路全長を走行したときの電池消費電力量が低減でき、車両の走行持続時間が長くできる。
【0075】また車両が急勾配部を走行するときリニアモ−タが車上に搭載するリニア誘導モータと同じ寸法でも10%の急勾配を走行できる。リニアモータの推力発生源のほとんどが軌道側の構成品になるので軌道側に敷設でき、車上側構成品の外形寸法が小さくでき、車両を大型にしないでもリニア同期モータにより発生する推力は大きくできるため急勾配の上り軌道を走行でき、10%までの急勾配を走行できる。よって、大きな推力が必要な移動システムでも車両に搭載するリニアモータの台数を低減でき、車両寸法を大きくする必要がなくなった。
【出願人】 【識別番号】392031505
【氏名又は名称】吉田 欣二郎
【識別番号】000228246
【氏名又は名称】日本オーチス・エレベータ株式会社
【出願日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外3名)
【公開番号】 特開2003−189417(P2003−189417A)
【公開日】 平成15年7月4日(2003.7.4)
【出願番号】 特願2001−383919(P2001−383919)