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【発明の名称】 リニアモーターカー用レールへのリアクションプレートの取付方法
【発明者】 【氏名】成田 直矢
【住所又は居所】東京都千代田区四番町5番地9 トピー工業株式会社内

【氏名】渡辺 昌之
【住所又は居所】東京都千代田区四番町5番地9 トピー工業株式会社内

【氏名】首藤 正元
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区加福町3−14 中部エイチ・エス・エス・ティ開発株式会社内

【氏名】加藤 寿
【住所又は居所】愛知県名古屋市南区加福町3−14 中部エイチ・エス・エス・ティ開発株式会社内

【要約】 【課題】リニアモータカー用レールに、リニアモータの二次側導体となるリアクションプレートを作業性良く取り付ける方法を提供する。

【解決手段】絶縁性基材層の両面に粘着剤層を設けた両面粘着シート7を、レール3の取付面33に貼り付ける。次に、上記リアクションプレート4をレール3の取付面33に被せることにより、リアクションプレート4を両面粘着シート7を介してレール3の取付面33に仮固定する。この仮固定状態で、リアクションプレート4の一対の凸部41の外側から穿孔を行うことにより、一対の凸部41を貫通する貫通孔を形成すると同時に、レールの一対の側面30bにこの貫通孔と連なる取付穴を形成する。次に、リアクションプレート4の貫通孔から溝付きピン8を圧入し、さらにその先端部をレール3の取付穴に圧入することにより、リアクションプレート4の本固定を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リニアモータカー用レールに、リニアモータの二次側導体となるリアクションプレートを取り付ける方法において、絶縁性基材層の両面に粘着剤層を設けた両面粘着シートを、上記レールの取付面に貼り付け、次に、上記リアクションプレートを上記レールの取付面に被せることにより、リアクションプレートを両面粘着シートを介してレールの取付面に仮固定し、次に、固定手段によりリアクションプレートをレールに本固定することを特徴とするリニアモーターカー用レールへのリアクションプレートの取付方法。
【請求項2】 上記レールの取付面が、平坦な主面とこの主面の両側縁と交差する一対の側面とを有し、上記リアクションプレートが、レールの主面と対面する平板形状の本体部とレールの一対の側面と対面する一対の凸部とを有し、上記リアクションプレートの仮固定状態では、リアクションプレートの本体部が上記両面粘着シートを介してレールの取付面の主面に取り付けられ、リアクションプレートの一対の凸部が上記両面粘着シートを介して上記レールの一対の側面に取り付けられており、上記リアクションプレートの仮固定状態で、リアクションプレートの一対の凸部の外側から穿孔を行うことにより、リアクションプレートの一対の凸部を貫通する貫通孔を形成すると同時に、レールの一対の側面にこの貫通孔と連なる取付穴を形成し、次に、上記リアクションプレートの貫通孔から固定手段としてのピンを挿入し、さらにその先端部を上記レールの取付穴に挿入することにより、上記リアクションプレートの本固定を行うことを特徴とする請求項1に記載のリニアモーターカー用レールへのリアクションプレートの取付方法。
【請求項3】 上記ピンは、その周面に軸方向に延びる溝を有し、上記リアクションプレートの貫通孔と上記レールの取付穴に圧入されることを特徴とする請求項2に記載のリニアモーターカー用レールへのリアクションプレートの取付方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リニアモーターカー車両を磁気浮上させながら走行させるために、車両側にリニアモーターの一次側コイルを設け、レール側に二次側導体となるリアクションプレートを設けたシステムにおいて、このリアクションプレートをレールに取り付ける方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気浮上方式のリニアモーターカーシステムの概略構成を図8、図9を参照しながら説明する。地上側には、車両の走行方向(紙面と直交する方向)に沿って延びる鋼製またはPCコンクリート製などの軌道桁1が設けられている。この軌道桁1には、その長手方向に間隔をおいて型鋼からなる枕木2が固定されている。枕木2は軌道桁1の長手方向と直交する方向に延び、その左右端には軌道桁1の長手方向に延びる一対のレール3が固定されている。
【0003】各レール3は、断面が逆U字形をなす本体部30と、この本体部30から水平に延びる取付部35とを有し、この取付部35が枕木2に固定されている。本体部30の上面には、リニアモータの二次側導体を構成するアルミ製のリアクションプレート4が取り付けられている。
【0004】他方、車両5の底面には、左右に対をなすモジュール6が空気ばね5aを介して取り付けられている。左右のモジュール6は、左右のレール3を跨ぐようにして配置され、車両5の長手方向に沿って複数組設けられている。
【0005】各モジュール6はモジュール本体60を有している。モジュール本体60は、レール3の外側に位置する垂直部60aとレール3の上方に位置する水平部60bとを有して断面L字形をなす。モジュール本体60の垂直部60aには、レール3の長手方向に沿って配置された複数の浮上用電磁石61が設けられている。この電磁石61は、断面U字形のコア61aとコイル61bとを有しており、このコア61aの両端が上記レール3の本体部30の一対の凸部31,32と対峙している。コイル61bに電流が流れると、コア61aとレール3との間で吸引力が働き、これにより車両5が浮上するようになっている。
【0006】上記モジュール本体60の水平部60bの下面にはリニアモータの一次側コイル65が設けられている。この一次側コイル65は、上記リアクションプレート4に対峙しており、その駆動時にリアクションプレート4と協働して、車両5をレール3に沿って走行させるようになっている。
【0007】ところで、上記レール3とリアクションプレート4は異なる金属であり、直接接触させると電解腐食が生じてしまう。そのため、従来では特開平9−268507号に開示されているように、両者の間に絶縁シートとしてアスファルトシートを介在させている。この従来例について図10を参照しながら説明する。
【0008】レール3の本体部30は平板形状をなし、その下面には前述した一対の凸部31,32が形成されている。本体部30は、枕木2への取付部35より上方に突出しており、平坦な上面30a(主面)と左右一対の側面30bからなる取付面33を有している。
【0009】他方、リアクションプレート4は、平板形状の本体部40と、この本体部40の左右縁から下方に突出する一対の凸部41とを有している。リアクションプレート4は上記レール3の取付面33と等しい面形状をなす対向面43を有している。この対向面43は、レール3の上面30aと一致した広さで平坦に形成された本体部40の下面40aと、レール3の側面30bと等しい面形状を有する一対の凸部41の内側面41aとからなる。
【0010】上記レール3の一対の側面30bには、レール3の長手方向に間隔をおいて取付穴39’が形成されている。他方、リアクションプレート4の一対の凸部41には、外側面に開口する溝48’が形成されている。この溝48’はリアクションプレート4の長手方向に延び、外側の幅が狭くなっている。この溝48’の底面には、凸部41の内側面41aに達する貫通孔49’が、上記レール3の取付穴39’と等しい間隔で形成されている。
【0011】上記リアクションプレート4は、次のようにして取り付けられる。レール3の取付面33に絶縁シートとしてのアスファルトシート7’を介在させた状態で、リアクションプレート4を被せる。この際、リアクションプレート4の貫通孔49’をレール3の取付穴39’に位置合わせする。次に、貫通孔49’にピン8’を挿入し、その先端部を取付穴39’に挿入することにより、リアクションプレート4をレール3に固定する。さらにその後で、溝49’に抜け止め棒9’を挿入することにより、ピン8’の抜け止めを防止する。
【0012】上記従来例では、アスファルトシート7’とレール3,リアクションプレート4との間に水等が侵入して腐食を招くおそれがある。そのため、例えば次の工程が必要とされる。まず、レール3の本体部30の取付面33に溶剤型接着剤を塗布する。この接着剤の乾燥を待ってアスファルトシート7’を取付面33に被せ、上記接着剤により接着する。次に、アスファルトシート7’の外面に上記と同様の溶剤型接着剤を塗布し、その乾燥を待ってリアクションプレート4を被せる。この接着剤により、リアクションプレート4の対向面43を、レール3の本体部30の取付面33に接着する。この工程の後で、上述したようにピン8’によるリアクションプレート4の本固定を行う。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来方法では、アスファルトシート7’をレール3に被せる工程の前後に、接着剤の塗布、乾燥の工程を必要とするため、リアクションプレート4の取付作業の能率が悪かった。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、リニアモータカー用レールに、リニアモータの二次側導体となるリアクションプレートを取り付ける方法において、絶縁性基材層の両面に粘着剤層を設けた両面粘着シートを、上記レールの取付面に貼り付け、次に、上記リアクションプレートを上記レールの取付面に被せることにより、リアクションプレートを両面粘着シートを介してレールの取付面に仮固定し、次に、固定手段によりリアクションプレートをレールに本固定することを特徴とする。
【0015】この方法によれば、両面粘着シートの粘着剤層により、絶縁性の基材層とレール,リアクションプレートとの間に水が侵入するのを防止でき、接着剤の2回にわたる塗布、乾燥作業を必要とせず、作業能率を高めることができる。また、リアクションプレートを両面粘着シートによりレールに仮固定した状態でリアクションプレートの本固定を行うことができるので、本固定の作業能率も向上する。
【0016】好ましくは、上記レールの取付面が、平坦な主面とこの主面の両側縁と交差する一対の側面とを有し、上記リアクションプレートが、レールの主面と対面する平板形状の本体部とレールの一対の側面と対面する一対の凸部とを有し、上記リアクションプレートの仮固定状態では、リアクションプレートの本体部が上記両面粘着シートを介してレールの取付面の主面に取り付けられ、リアクションプレートの一対の凸部が上記両面粘着シートを介して上記レールの一対の側面に取り付けられており、上記リアクションプレートの仮固定状態で、リアクションプレートの一対の凸部の外側から穿孔を行うことにより、リアクションプレートの一対の凸部を貫通する貫通孔を形成すると同時に、レールの一対の側面にこの貫通孔と連なる取付穴を形成し、次に、上記リアクションプレートの貫通孔から固定手段としてのピンを挿入し、さらにその先端部を上記レールの取付穴に挿入することにより、上記リアクションプレートの本固定を行う。
【0017】この場合、リアクションプレートの仮固定状態で穿孔を行うので穿孔作業を能率良く行うことができる。また、この穿孔作業により、レールの取付穴とリアクションプレートの貫通孔とを同時に形成するので、取付穴と貫通孔との位置合わせ作業を省くことができ、この点からも作業能率を向上させることができる。
【0018】好ましくは、上記ピンは、その周面に軸方向に延びる溝を有し、上記リアクションプレートの貫通孔と上記レールの取付穴に圧入される。この場合には、ピンが圧入状態にあるため脱落防止のための作業を必要とせず、より一層作業能率を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態をなすリアクションプレートの取付方法について、図1〜図7を参照しながら説明する。なお、本実施形態が適用されるリニアモータカーシステムの概略的構造は、図8、図9に示すものであるから、前述の説明をそのまま引用する。
【0020】本実施形態では、図1に示すように、レール3およびリアクションプレート4と、その間に介在されるべき両面粘着シート7が用意される。レール3とリアクションプレート4の基本断面形状は図10に示す従来と同様であるので、共通する部位には図中同番号を付してその詳細な説明を省略する。本実施形態のリアクションプレート4は、レール3とほぼ同一長さを有して細長く形成されているが、レール3の長さ方向に分割されていてもよい。また、本実施形態のリアクションプレート4は、従来のリアクションプレート4のような溝48’は形成されず、最初の段階では後述する貫通孔49,取付穴39も形成されていない。
【0021】両面粘着シート7は、レール3の取付面33と同程度の面積を有し、図6に示すように、ブチルゴム発泡体からなる絶縁性基材層70の両面にアクリル系粘着剤層71,72を塗布し、この粘着剤71,72の外面に離型フィルム73,74を貼ることにより構成されている。
【0022】まず、両面粘着シート7の一方の離型フィルム73を剥がして粘着剤層71を露出させる。そして、この両面粘着シート7をレール3の取付面33に貼り付ける。次に、他方の離型フィルム74を剥がして粘着剤層72を露出させ、この状態でリアクションプレート4をレール3の本体部30に被せる。これにより、図2,図4に示すように、リアクションプレート4の対向面43が両面粘着シート7を介して接着される。より詳しくは、リアクションプレート4の本体部40の下面40aがレール3の本体部30の上面30aに接着され、一対の凸部41の内側面41aがレール3の一対の側面30bに接着される。
【0023】上述したようにリアクションプレート4を両面粘着シート7によりレール3に仮固定するので、前述した方法のように接着剤の2回にわたる塗布、乾燥作業を必要とせず、作業能率を高めることができる。
【0024】上記のようにリアクションプレート4をレール3に仮固定した状態で、リアクションプレート4の一対の凸部41の外側からドリルで穿孔を行うことにより、図5に示すように凸部41を貫通する貫通孔49を形成すると同時に、レール3の一対の側面30bにも、この貫通孔49と連なる取付穴39を形成する。これら貫通孔49と取付穴39はレール3の長手方向に間隔をおいて形成される。これら貫通孔49と取付穴39は、予め形成されるのでなくリアクションプレート4の仮固定後に同時に形成されるので、前述した従来方法のような貫通穴49と取付穴39の位置合わせを必要とせず、この点からも作業能率を向上させることができる。また、リアクションプレート4を仮固定した状態で穿孔するので、その穿孔作業を能率良く行うことができる。
【0025】次に、図3,図5に示すように、上記リアクションプレート4の貫通孔49から、固定手段としてのピン8を挿入するとともに、その先端部を上記レール3の取付穴39にも挿入することにより、リアクションプレート4をレール3に本固定する。
【0026】上記ピン8は図5,図7に示すように軸方向に延びる溝8aを有しており、その外径が上記貫通孔49,取付穴39の内径より若干大きい。このピン8は、貫通孔49,取付穴39に圧入されて外径が小さくなり、その復元力で外周面が貫通孔49,取付穴39の内周面に接することになるので、脱落が防止される。そのため、前述した従来方法のような抜け止め棒9’が不要となり、リアクションプレート4に抜け止め棒9’を挿入するための溝48’を形成せずに済み、抜け止め棒9’をリアクションプレート4に保持するための構成も不要となる。その結果、構造が簡略化するとともに、ピン8の脱落防止作業を省くことができる。
【0027】上記のように溝付きピン8を貫通孔49,取付穴39に圧入した後で、図示しない防錆パテを、ピン8の外端面と貫通孔49の内周面とで形成される凹部に塗り込み、リアクションプレート4の取付作業が完了する。
【0028】完成されたリアクションプレート4の取付構造の作用について若干説明しておく。リニアモータを駆動させて車両5を走行させている時に、リアクションプレート4にはレール長手方向と一次側コイル65aに向かう力が働く。この力は上記ピン8により受け止められるので、リアクションプレート4はレール3から脱落せず安定した固定状態を維持できる。また、異種金属からなるレール3とリアクションプレート4とは両面粘着シート7の絶縁性の基材70によって隔たっているので、電解腐食を防止することができる。また、基材層70とレール3,リアクションプレート4との間には、粘着剤層71,72が介在しているので、水等が侵入するのを防止できる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、リアクションプレートのレールへの取付作業性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000110251
【氏名又は名称】トピー工業株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区四番町5番地9
【識別番号】391016303
【氏名又は名称】中部エィチ・エス・エス・ティ開発株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南1丁目17番14号
【出願日】 平成13年12月12日(2001.12.12)
【代理人】 【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇 (外1名)
【公開番号】 特開2003−189416(P2003−189416A)
【公開日】 平成15年7月4日(2003.7.4)
【出願番号】 特願2001−379096(P2001−379096)