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【発明の名称】 列車制御方法および装置
【発明者】 【氏名】杉田 洋一
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内

【氏名】渡部 悌
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内

【氏名】横須賀 靖
【住所又は居所】茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社日立製作所日立研究所内

【氏名】千葉 清志
【住所又は居所】茨城県ひたちなか市市毛1070番地 株式会社日立製作所交通システム事業部水戸交通システム本部内

【要約】 【課題】本発明の目的は、電子閉そく方式により在線検知を行う際に安全性の高い運行を行える列車制御方法および装置を提供することにある。

【解決手段】本発明は、列車1が走行する軌道の閉そく区間毎に地上通信子5を設置し、地上通信子5と相互通信可能な車上通信子3を列車1に搭載する。地上制御装置は列車IDを受信すると現在位置情報と停止位置情報を送信し、列車1の車上制御装置は現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、列車1の上限速度を防護速度パターンで制限する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記地上制御装置は前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項2】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記車上制御装置を構成するデータベースに前記複数の閉そく区間の間の予め設定した多数の防護速度パターンを格納しておき、前記地上制御装置は前記地上通信子と前記車上通信子が前記特定距離範囲内に近接した際に前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを前記データベースから取出し、前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項3】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記地上制御装置は前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、前記防護速度パターンと前記列車速度を比較して列車位置に基づき前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項4】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記地上制御装置は前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、前記列車の車輪の回転数によって求めた列車位置に基づき前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項5】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な2つの車上通信子を前記列車の進行方向の異なる位置に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記2つの車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記地上制御装置は前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、前記列車の車輪の回転数を積分して求めた列車位置に基づき前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限すると共に前記列車の車輪の回転数を積分して求めた列車位置を前記現在位置情報によって補正するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項6】モノレールが走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に2つの地上通信子を軌道の長さ方向の異なる位置に設置すると共に、前記2つの地上通信子の1つと特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な2つの車上通信子を前記モノレールの進行方向の異なる位置に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記2つの地上通信子と前記2つの車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行うものであって、前記車上制御装置を構成するデータベースに前記複数の閉そく区間の間の予め設定した多数の防護速度パターンを格納しておき、前記地上制御装置は前記車上制御装置からモノレールIDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、前記車上制御装置は前記現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを前記データベースから取出し、前記モノレールの車軸の回転数を積分して求めたモノレール位置における前記防護速度パターンと前記列車速度を比較して前記モノレールの上限速度を前記防護速度パターンで制限すると共に前記モノレールの車軸の回転数を積分して求めたモノレール位置を前記現在位置情報によって補正するようにしたことを特徴とする列車制御方法。
【請求項7】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置から列車IDを受信すると前記車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信する地上制御装置と、前記現在位置情報と停止位置情報を受信して現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、前記列車の上限速度を前記防護速度パターンで制限する車上制御装置とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【請求項8】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置は、前記複数の閉そく区間の間の予め設定した多数の防護速度パターンを格納するデータベースと、前記車上通信子と前記地上通信子が前記特定距離範囲内に近接した際に前記地上制御装置に列車IDを送信する列車ID送信手段と、前記地上制御装置に列車IDを送信することにより前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを前記データベースから選択して出力する防護速度パターン生成手段と、前記防護速度パターン生成手段が出力する前記防護速度パターンによって前記列車の上限速度を制限する速度制限手段とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【請求項9】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置は、前記車上通信子と前記地上通信子が前記特定距離範囲内に近接した際に前記地上制御装置に列車IDを送信する列車ID送信手段と、前記地上制御装置に列車IDを送信することにより前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成する防護速度パターン生成手段と、前記列車の速度を検出する速度検出手段と、前記防護速度パターンと前記列車速度を比較して前記列車の位置に基づき前記列車の上限速度を前記防護速度パターンによって制限する速度制限手段とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【請求項10】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を前記列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置は、前記車上通信子と前記地上通信子が前記特定距離範囲内に近接した際に前記地上制御装置に列車IDを送信する列車ID送信手段と、前記地上制御装置に列車IDを送信することにより前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成する防護速度パターン生成手段と、前記列車の車輪の回転数を積分して列車位置を検出する位置検出手段と、前記防護速度パターンと前記列車位置を入力して前記列車の上限速度を前記防護速度パターンによって制限する速度制限手段とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【請求項11】列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に前記地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な2つの車上通信子を前記列車の進行方向の異なる位置に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記地上通信子と前記2つの車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置は、前記2つの車上通信子と前記地上通信子が前記特定距離範囲内に近接した際に前記地上制御装置に列車IDを送信する列車ID送信手段と、前記地上制御装置に列車IDを送信することにより前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成する防護速度パターン生成手段と、前記列車の車輪の回転数を積分して列車位置を検出する位置検出手段と、前記防護速度パターンと前記列車位置を入力して前記列車の上限速度を前記防護速度パターンによって制限する速度制限手段と、前記位置検出手段で検出した列車位置を前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報によって補正する位置補正手段とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【請求項12】モノレールが走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に2つの地上通信子を軌道の長さ方向の異なる位置に設置すると共に、前記2つの地上通信子の1つと特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な2つの車上通信子を前記モノレールの進行方向の異なる位置に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が前記2つの地上通信子と前記2つの車上通信子を介して通信を行うことで前記列車の在線検出を行う列車制御装置において、前記車上制御装置は、前記複数の閉そく区間の間の予め設定した多数の防護速度パターンを格納するデータベースと、前記2つの車上通信子と前記2つの地上通信子のいずれかが前記特定距離範囲内に近接した際に前記地上制御装置にモノレールIDを送信する列車ID送信手段と、前記地上制御装置に列車IDを送信することにより前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを前記データベースから取出し出力する防護速度パターン生成手段と、前記モノレールの車輪の回転数を積分してモノレール位置を検出する位置検出手段と、前記防護速度パターンと前記モノレール位置を入力して前記モノレールの上限速度を前記防護速度パターンによって制限する速度制限手段と、前記位置検出手段で検出したモノレール位置を前記地上制御装置から送信されてくる現在位置情報によって補正する位置補正手段とを具備することを特徴とする列車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉄道やモノレールなどの列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間として列車を制御をする列車制御方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、鉄道やモノレールなどの列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間として列車を制御している。この場合、列車が閉そく区間に在線しているかを検知することが必要になる。列車の在線検知は、通常、軌道回路によって行っている。軌道回路は軌道の全線(全位置)において列車の在線検知を行えるが、高価になるという欠点がある。
【0003】このため、閑散線区の単線区間では、軌道回路の代りにトランスポンダなどの通信子を地上と列車に設け、単線区間の入口と出口で列車と地上の間で通信を行うようにしている。地上側の地上制御装置は車上通信子と地上通信子を介して列車から列車ID(列車識別番号)を受信して列車の入口での存在と出口への到着を把握し、通過してきた単線区間の列車不在を特定している。
【0004】このように軌道区間の列車不在を特定することを電子閉そく方式と称している。また、電子閉そく方式においては、駅構内における列車検知を軌道回路によって行っていたが,特開平10−76951号公報に記載されているように,駅構内の軌道回路を用いずに行う方法も提案されている。
【0005】また、閑散線区における列車の運転は運転士の手動による有視界運転がなされており、列車が赤信号に突入した場合に安全確保のため自動的に急制動を掛けるようにするのみである。
【0006】ところで、軌道回路を用いずにトランスポンダなどの通信範囲の限定された通信子を列車側と地上側に設け、地上制御装置が列車ID(車両ID)を列車より受信して在線検知を行う電子閉そく方式を複線の比較的に高密度な線区の全域に実施することによって低廉なシステム構築が期待できる。
【0007】具体的には、モノレールなどの列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に地上通信子と特定距離範囲に近接したときに相互通信可能な車上通信子を列車に搭載して通信を行い列車を制御をする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように閉そく区間毎に地上通信子を設置すると共に地上通信子と特定距離範囲に近接したときに相互通信可能な車上通信子を列車に搭載して通信を行い列車を制御しようとすると、次のような問題点がある。
【0009】閑散線区と異なり複線で比較的に高密度な線区においては、運転頻度の増加に伴って上限速度超過などの運転士による誤操作の発生頻度増加が懸念される。特に、モノレールなどは登板能力を反映して軌道の勾配が大きいなど、軌道の形状が多様なため運転士の技量に頼る度合が高く誤操作を回避することが強く要求される。
【0010】列車速度を自動的に制限するシステムとしてATC( Automatic Train Control )がある。ATCは軌道回路を介し連続的に上限速度を列車に与え,上限速度を超えた場合自動的にブレーキが作動し,安全を確保するものである。
【0011】ところが、電子閉そく方式により在線検知を行うシステムは軌道回路がなく、連続的に上限速度を列車に与えられない。即ち、限られた地点でしか情報を与えられないため,軌道の形状,前方列車の位置などで変化する上限速度に対し一定の上限速度だけを列車に送信するATCでは不十分であり、安全な運行ができないという問題点を有する。
【0012】本発明は上記点に対処して成されたもので、その目的とするところは電子閉そく方式により在線検知を行う際に安全性の高い運行を行える列車制御方法および装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴とするところは、列車が走行する軌道を複数に区切った区間を一つの閉そく区間とし各区間毎に地上通信子を設置すると共に地上通信子と特定距離範囲内に近接したときに相互通信可能な車上通信子を列車に搭載し、地上制御装置と車上制御装置が地上通信子と車上通信子を介して通信を行うものであって、地上制御装置は車上制御装置から列車IDを受信すると車上制御装置に現在位置情報と停止位置情報を送信し、車上制御装置は現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、列車の上限速度を防護速度パターンで制限するようにしたことにある。
【0014】本発明の望ましい実施形態は、車上制御装置を構成するデータベースに複数の閉そく区間の間の予め設定した多数の防護速度パターンを格納しておき、地上通信子と車上通信子が特定距離範囲内に近接した際に地上制御装置から送信される現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンをデータベースから取出し、列車の上限速度を防護速度パターンで制限するようにする。
【0015】本発明は、車上制御装置が地上制御装置から送信される現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、列車の上限速度を防護速度パターンで制限するようにしているので、電子閉そく方式により在線検知を行う際にも安全性の高い運行を行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下,本発明の一実施例を図に従って説明する。図1〜図3に本発明の一実施例を示し、図1は全体構成図で、図2は車上制御装置の一例構成図を示し、また、図3は地上制御装置の一例構成図を示す。
【0017】図1において、列車(車両)1は車輪2によって軌道4上を走行する。列車1の床下の下面には2個のトランスポンダ(通信子)3a、3bが進行方向(前後方向)の異なる位置に固定されている。2個のトランスポンダ(通信子)3a、3bは列車に搭載されており、以後、車上通信子と称する。
【0018】軌道4は複数に区切った区間を一つの閉そく区間4―1、4―2、4―3として設定されている。閉そく区間4―1と4―3には駅のプラットホーム6がある例を示している。各閉そく区間4―1、4―2、4―3には各区間毎に1個の地上通信子5が設置されている。列車1に搭載した車上通信子3aまたは3bが地上通信子5と特定距離範囲に近接すると、車上通信子3aまたは3bと地上通信子5の相互通信が可能になる。
【0019】各区間毎の地上通信子5は中継器8を介して地上制御装置9に接続されている。運行管理装置10はダイヤに従った運行を実現するために列車(車両)1の出発時刻を管理し,これらの情報を地上制御装置9に与える。
【0020】図2に車上制御装置の一例構成図を示す。図2において、車両ID送信部12は車両1が地上通信子5と通信可能な範囲に到達すると車両ID(列車ID)を含んだ通信プロトコルを車上通信子3aまたは3bを介して地上制御装置9に送信する。
【0021】後述するようにして地上制御装置9から送信される防護速度パターンの生成に必要な車両1がこれから停止するべき位置である停止位置情報と現在位置情報は地上通信子5から車上通信子3aまたは3bを介して受信部13に受信される。現在位置情報は地上通信子5が設置されている位置、換言すると、閉そく区間名(番号)となる。
【0022】なお、閉そく区間4―1、4―3のように駅のホーム6で停止している場合には車両1の出発時刻も地上制御装置9から送信される。
【0023】受信部13で受信された停止位置情報と現在位置情報は防護速度パターン生成部14に入力され、また、現在位置情報は位置補正部21に入力され、出発時刻は車内信号部19に入力される。データベース(DB)15は現在位置から停止位置までの多数の防護速度パターン(速度上限特性)が格納されている。現在位置と停止位置は閉そく区間番号(閉そくNo)で与えられる。
【0024】防護速度パターン生成部14は入力された現在位置情報と停止位置情報に基づきデータベース15から防護速度パターンを選択して取出し車内信号部19と速度制限部20に入力される。車内信号部19は入力した防護速度パターンと後述する位置検出部22からの列車走行位置に基づき現在走行位置での上限速度を運転士18に提示する。車内信号部19は駅のホーム6で停止している場合には車両1の出発時刻も運転士18に提示する。
【0025】運転士18は操作盤17を操作することによって駆動部16を制御して、車両1を手動操作する。駆動部16から得られる車両1の車軸(車輪2)の回転数は位置検出部22と速度検出部23に加えられる。位置検出部22は車輪2の回転数を積分して車両1の車両走行位置を算出して速度制限部20に加える。また、速度検出部23で検出した車両速度も速度制限部20に加えられる。
【0026】速度制限部20は現在の車両走行位置における防護速度パターン(上限速度)と速度検出部23で検出した車両速度を比較し、車両速度が上限速度より大きいときに速度制限信号を駆動部16に与える。
【0027】図3に地上制御装置9の一例構成図を示す。図3において、受信部25は地上通信子5で受信した列車IDを入力して列車検出処理部26に加える。列車検出処理部26は軌道4の各閉そく区間に設けられた全ての非接触の地上通信子5で受信した列車IDに基づいてどの閉そく区間に車両1が存在するかどうかを随時判定し、在線状態を管理する。
【0028】各閉そく区間の地上通信子5はそれぞれ個別のポートで地上制御装置9に接続されておりポート番号により列車IDを受信した地上通信子5が設置されている閉そく区間を特定する。列車検出処理部26は在線状態を各閉そく区間毎に車両1が存在するか否かで把握し、閉そく区間に対応した在線/不在をデータベース27の在線テーブルで管理される。
【0029】列車検出処理部26で検出した列車在線情報は停止位置生成部28と運行管理装置10に入力される。停止位置生成部28は列車在線情報に基づき閉そく区間No i に在線する車両1が停止すべき停止位置(閉そく区間)を生成する。また、運行管理装置10は列車検出処理部26からの列車在線情報を基にして列車1の運行状況を把握し、停車駅情報や、閉そく区間No i に存在する車両1が駅構内に停車中であれば、この車両1の発車時刻をダイヤより抽出して停止位置生成部28に与える。
【0030】次に動作を説明する。列車1が図1に示すように閉そく区間4―1に進入したとする。列車ID送信部12は車両1が車上通信子3a、3bが地上通信子5と通信可能な範囲に到達すると、列車IDを含んだ図6に示すような通信プロトコル100を車上通信子3aまたは3bを介して地上制御装置9に送信する。
【0031】地上制御装置9は通信プロトコル100を受信すると防護速度パターンの生成に必要な列車1が停止するべき位置である停止位置を算出し、停止位置情報を含んだ図6に示すような通信プロトコル102を車両1に送信する。
【0032】車上制御装置の受信部13は地上通信子5を介して地上制御装置9より送信された通信プロトコル102を受信し、閉そく区間番号(閉そくNo)、停止位置情報、現在位置情報を防護速度パターン生成部14に加える。閉そくNoは車両1が在線している閉そく区間Noであり、現在位置情報は車両1現在地、すなわち、車両1が停止もしくは通過中の地上通信子5の位置である。また、出発時刻は、車両1が駅構内に停止している場合に車両1が停止中の駅を出発する時刻である。
【0033】地上制御装置9と列車1の車上制御装置との通信プロトコル100、102の通信処理は、車上通信子3a、3bと地上通信子5が特定距離範囲に近接し相互通信可能な範囲内にある状態で行われる。
【0034】防護速度パターン生成部14は、受信部13で受信された車両1の在線する閉そくNoと停止位置に基づいて防護速度パターン(速度上限特性)を生成する。防護速度パターンは列車1の現在走行位置における上限速度カーブである。
【0035】列車1の現在位置は地上通信子5が設置される位置に相当し、また、詳細は後述するが、停止位置も非接触の地上通信子5が設置される位置である。このため、停止位置と閉そくNoが一対一に対応する。したがって,現在位置と停止位置の組み合わせは有限になり、用意するべき防護速度パターンも有限となる。
【0036】防護速度パターンは現在位置と停止位置、さらに、各閉そく区間の勾配などの軌道4の形状によって決定される。
【0037】図4にデータベース15に格納されている防護速度パターンのテーブル104を示す。防護速度パターン生成部14は、受信部13から入力する現在位置情報と停止位置情報に基づき対応する防護速度パターンをデータベース15の防護速度パターンテーブル104より抽出する。
【0038】図5に現在位置と停止位置との関係で決定される防護速度パターンの一例を示す。図5は現在位置と停止位置の組み合わせとして閉そくNo1−閉そくNo2、閉そくNo1−閉そくNo3、閉そくNo2−閉そくNo3の3つの例を示している。いずれの防護速度パターンも閉そくNoに対応する各区間の地上通信子5が設置される位置を始点および終点として、終点に向けて速度上限が低下し終点で零となるように設定されている。
【0039】防護速度パターン生成部14は抽出した防護速度パターンを速度制限部20と車内信号部19に与える。また、受信部13で受信された現在位置情報は位置補正部21に入力され、出発時刻は車内信号部19に入力される。
【0040】一方、位置検出部22は車輪(車軸)2の回転数を積分して列車位置を検出している。位置検出部22で検出した列車位置は回転数の積分値(予測値)であり、大きな誤差を含んだものとなる。位置補正部21は入力した現在位置情報に基づき位置検出部22が算出した列車位置を実際の値に修正する。
【0041】車内信号部19は入力した防護速度パターンと位置検出部22からの列車走行位置に基づき現在走行位置での上限速度を運転士18に提示する。車内信号部19は駅のホーム6で停止している場合には車両1の出発時刻と出発時刻になったタイミングで出発許可を意味する出発信号を運転士18に提示する。運転士18は操作盤17を操作することによって駆動部16を制御して、車両1を手動操作する。
【0042】速度制限部20は位置検出部22の車両走行位置と速度検出部23の車両速度を入力して、現在の車両走行位置における防護速度パターン(上限速度)と速度検出部23で検出した車両速度を比較し、車両速度が上限速度より大きいときに速度制限信号を駆動部16に与える。
【0043】一方、地上制御装置9は地上通信子5からの通信プロトコル100を受信部25を介して列車検出処理部26に入力する。通信プロトコル100は図6に示すように車上から地上へ送信されたプロトコルであることを示す信号種別1と送信元である車両1の列車IDで構成される。
【0044】受信部25は通信プロトコル100より抽出した信号種別1により地上より送信された正しい信号であることを判断して、正しければ列車IDを列車検出処理部26に加える。列車検出処理部26は軌道4の各閉そく区間4―1、4―2、4―3…に設置された全ての地上通信子5から送信される列車ID情報に基いてどの閉そく区間に車両が存在するかどうかを随時判定して在線状態を管理する。
【0045】列車1の在線状態は各閉そく区間毎に列車1が存在するか否かで把握し,閉そく区間に対応した在線/不在は図7に示すようなデータベース27の在線テーブル106で管理される。各閉そくNo毎に在線を表す「1」または不在を表す「0」が格納されている。Nは存在する閉そく区間の数である。
【0046】軌道4の各閉そく区間に設置される地上通信子5はそれぞれ個別のポートで地上制御装置9に接続されており、受信したポート番号により列車IDを発信した地上通信子5が設置されている閉そくNoを特定する。
【0047】図8に地上制御装置9が行う在線判定処理の概念図を示す。地上制御装置9は列車1が閉そく区間に設置された地上通信子5上に停止、もしくは通過した時点で列車IDを受信し、この閉そく区間を在線とする。また、このとき一つ手前の閉そく区間で受信した列車IDと今回受信した列車IDとを比較部31で比較し、一致したときに一つ手前の閉そく区間に在線していた列車1が次区間の閉そく区間に移動したことを把握して手前の閉そく区間を列車不在とする処理を行う。
【0048】図8は閉そく区間 # i に列車1が到達して閉そく区間 # i の在線が処理され、また、一つ手前の閉そく区間 # i-1で受信した列車IDと閉そく区間 # iで受信した列車IDが一致したため閉そく区間 # i-1を開放する様子を示している。
【0049】なお、本実施例では在線を検出する最小単位が閉そく区間に対応しているが、閉そく区間を一つの在線判定の最小単位とし、これらを複数まとめたものを閉そく区間として運用することも可能である。
【0050】図9に列車検出処理部26が実行する在線検知の処理フローを示す。列車検出処理部26はステップS1において受信部25に列車IDが受信されたかどうか一定周期で判定する。列車IDが受信されていればステップS2に移行し、受信されていなければステップS1の処理を繰り返し実行する。ステップS2では閉そく区間毎に用意した列車IDを格納する変数、閉そくID(閉そくNo iには閉そくID # iが対応)に対し、列車IDを検出した閉そくNo iに対応する閉そくID # i へ列車IDを代入する。
【0051】ステップS2からステップS3に移行して一つ手前の閉そく区間の閉そくID# i-1と閉そくID # iを比較する。ステップS4では,閉そくID # i-1と閉そくID # iが一致するときステップS5に移行し、一致しないときはステップS7に移行する。
【0052】ステップS5では在線テーブル106における閉そくNo i-1を不在「0」とする。ステップS5からステップS6に移り在線テーブル106における閉そくNoiを在線「1」とする。ステップS7では在線テーブル106の列車在線情報を停止位置生成部26と運行管理装置10に送信する。
【0053】停止位置生成部26は列車検出処理部26から列車在線情報を入力すると閉そくNo i に在線する列車1に対して列車1が守るべき停止位置を生成する。
【0054】図10に停止位置生成部26が行う停止位置を生成する概念図を示す。列車1の存在する現在位置901は閉そく区間 # iに設置された地上通信子5の上である。現在位置901に対する停止位置902は先行列車1Aの存在する閉そく区間より一つ手前の閉そく区間であり、列車1は停止後に新たな防護速度パターンを地上制御装置9から貰う必要がある。この閉そく区間における停止位置902は上述したように地上通信子5の設置されている位置となる。
【0055】防護速度パターンは図10に示すように停止位置902に近づくにしたがって上限速度が滑らかに減少するよう設定される。一方、運行管理装置10は列車検出処理部26から与えられた列車在線情報に基づき列車1の運行状況を把握し、停車駅情報や閉そくNo i に存在する列車1が駅構内に停車中であればこれの発車時刻をダイヤより抽出して停止位置生成部28に加える。
【0056】図11に停止位置生成部28の処理フローを示す。停止位置生成部28はステップS11において列車検出処理部26からの列車在線情報を用いて列車1の在線する閉そくNo iの閉そく区間(以下、 iとする)より前方に先行車両の在線する閉そく区間の一つ手前の閉そく区間を抽出する。ステップS12に移り、この閉そく区間をjとするとjにおいて進行方向よりの地上通信子5の設置される位置を停止位置902とする。
【0057】ステップS12からステップS13に移行して運行管理装置10より受信した次駅情報に基づき受信部25において受信した列車IDを有する列車1の次の停車駅が閉そく区間jより手前の閉そく区間に存在するか判定する。次の停車駅が手前に存在する場合はステップS14に移行し、存在しない場合はステップS15に移行する。
【0058】ステップS14では次に停車する駅のホームに設置される地上通信子5の設置位置を停止位置902とする。ステップS15では、閉そく区間 iが列車1の停車する区間かどうか運行管理装置10より得た情報を基に判定する。ステップS15で停車区間であると判定すると、運行管理装置10より受けた発車時刻を通信プロトコル102に追加しステップS16に移行する。
【0059】ステップS15で停車区間でないと判定するとステップS16に移る。ステップS16は停止位置902と閉そく区間 i の現在位置を通信プロトコル102に追加して送信部29に加える。
【0060】送信部29は停止位置生成部28から入力した停止位置902、現在位置である位置情報および出発時刻に閉そく区間 i の閉そく区間Noと信号種別2を通信プロトコル102に追加し,閉そく区間 i に設置される地上通信子5から車上通信子3を介して車上制御装置に通信プロトコル102を送信する。
【0061】図12に本発明の他の実施例を示す。図12の実施例は2個の地上通信子5a、5bを軌道4長さ方向の異なる位置に設置するようにしたものである。
【0062】図12では列車1に搭載された2個の車上通信子3a、3bと対になるように2個の地上通信子5a、5bが設置されている。なお、図12においては車上制御装置の一部の図示を省略している。
【0063】このように構成すると次のような効果が得られる。このことを図13を参照して説明する。
【0064】列車1が地上通信子5a、5b上で停止することなく走行するものとする。2個の地上通信子5a、5bが設置されていると、図13の状態1から状態3に遷移する過程で,車上通信子3a、3bが地上通信子5a、5bと相互通信可能な特定距離範囲内に近接する頻度が2倍になる。すなわち、地上−車上間での通信可能な時間が2倍になる。
【0065】このようにすると、地上と車上との通信量を増加させることができ、図1の実施例に比べ列車1の地上通信子5上の通過速度を大きくすることができる。また、列車1が地上通信子5上に停止する場合でも2系統で通信できるので一つが故障しても他方で通信可能となり信頼性を向上させることができる。
【0066】さらに、駅のホームに地上通信子5が設置され、列車1が停車している場合に速度上限パターンに加えて発進許可信号を加えたり、もしくは速度上限パターンに発進許可の意味を持たせることもできる。
【0067】以上のようにして列車を制御するのであるが、車上制御装置が地上制御装置から送信される現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、列車の上限速度を防護速度パターンで制限するようにしているので、電子閉そく方式により在線検知を行う際にも安全性の高い運行を行うことができる。
【0068】なお、上述の実施例は列車がモノレールを例に挙げ説明したが、鉄道システムや他の都市交通システムの列車(車両)であっても同様にして制御できることは勿論のことである。
【0069】また、地上と車上の通信子はトランスポンダでなくループコイルなどの他の通信子でも同様な効果を奏し得ることは明らかなことである。
【0070】
【発明の効果】本発明は、車上制御装置が地上制御装置から送信される現在位置情報と停止位置情報に基づき現在位置から停止位置までの防護速度パターンを生成し、列車の上限速度を防護速度パターンで制限するようにしているので、軌道回路を用いない電子閉そく方式により在線検知を行う際にも安全性の高い運行を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【住所又は居所】東京都千代田区神田駿河台四丁目6番地
【出願日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【代理人】 【識別番号】100074631
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 幸彦 (外1名)
【公開番号】 特開2003−174706(P2003−174706A)
【公開日】 平成15年6月20日(2003.6.20)
【出願番号】 特願2001−370021(P2001−370021)