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【発明の名称】 電気車制御装置
【発明者】 【氏名】戸田 伸一
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【氏名】安岡 育雄
【住所又は居所】東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝府中事業所内

【要約】 【課題】駆動軸車輪の空転・滑走の発生頻度を低減し、車両の加速性能及び乗り心地の向上を図る。

【解決手段】電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、駆動軸車輪の空転又は滑走を監視し、空転又は滑走を検知した時に、電動機の回転数信号より推定した車体速度と電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度の最大値を演算する。そして、最大すべり速度をXとして、粘着力係数Yのすべり速度Xに対してあらかじめ設定してある関数Y=−A・X+B(A,B定数)により粘着力係数を求め、空転又は滑走を検知して駆動トルクを絞り、その後駆動トルクを復帰させる目標値を演算する際、この粘着力係数が大きい時はトルクを復帰させる目標値を大きくし、小さい時はトルクを復帰させる目標値を小さくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、電動機の回転数信号より駆動軸車輪の空転又は滑走を検知する空転・滑走検知手段と、前記電動機の回転数信号より車体速度を推定演算する車体速度推定手段と、前記空転・滑走検知手段が空転又は滑走を検知した時に、前記車体速度推定手段の求める車体速度と前記電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度の最大値(最大すべり速度)を演算する最大すべり速度演算手段と、前記最大すべり速度をXとして、粘着力係数Yのすべり速度Xに対してあらかじめ設定してある関数Y=−A・X+B(A,B定数)により粘着力係数を求める粘着力係数演算手段と、空転又は滑走を検知して駆動トルクを絞り、その後駆動トルクを復帰させる目標値を演算する際、前記粘着力係数演算手段により演算された粘着力係数に応じて粘着力係数が大きい時はトルクを復帰させる目標値を大きくし、小さい時はトルクを復帰させる目標値を小さくするトルク復帰目標値操作手段とを備えたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項2】 電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、電動機の回転数信号より駆動軸車輪の空転又は滑走を検知する空転・滑走検知手段と、前記電動機の回転数信号より車体速度を推定演算する車体速度推定手段と、前記空転・滑走検知手段が空転又は滑走を検知した時に、前記車体速度推定手段の求める車体速度と前記電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度を演算するすべり速度演算手段と、空転又は滑走を検知してトルク指令を絞り、その後トルク指令を復帰させる際、前記すべり速度演算手段で演算したすべり速度が予め設定された値以上になったことを検知してトルク指令を復帰させる動きを停止し、その時点のトルク指令値を保持するトルク指令操作手段とを備えたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項3】 請求項1記載の電気車制御装置において、空転又は滑走が発生した時の駆動軸車輪のレールに対する最大すべり速度Xに対する粘着力係数Yの関数を、Y=A/(X+B)(A、B定数)としたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項4】 請求項1記載の電気車制御装置において、空転又は滑走が発生した時の駆動軸車輪のレールに対する最大すべり速度Xに対する粘着力係数Yの関数を、Y=−A・X+B(A,B定数)としたことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項5】 請求項1記載の電気車制御装置において、前記空転・滑走検知手段は、車輪の加速度あるいは減速度があるしきい値を超えたら空転・滑走検知信号をセットし、可変電圧可変周波数方式で駆動されている車輪と他の車輪との速度差があるしきい値以下になったら空転・滑走検知信号をリセットすることを特徴とする電気車制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は空転・滑走時の再粘着制御に特徴を有する電気車制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図12に従来の電気車制御装置における空転・滑走時の再粘着制御例を示す。電力変換器101で駆動される複数台のモータ102の回転数検出器103各々の回転数信号を速度演算部104にて速度信号に変換する。空転・滑走検知部105では速度信号の速度変化率を求め、その速度変化率に基づいて空転・滑走を判別する。トルク絞り・復帰演算部106はこの空転・滑走判別信号に応じて、トルク絞り量あるいは復帰量を演算して出力する。トルク指令パターン出力部107はトルク指令パターンを出力する。加算器108はトリル絞り・復帰演算部106の出力とトルク指令パターン出力部107の出力とを加算(ここでは減算)し、変換器トルク指令として出力する。
【0003】図13は、空転時を例としてこれらの動きを説明したものである。時点t11に空転・滑走検知のフラグをセットして再粘着制御を開始し、時点t12に空転・滑走検知を解除したとすれば、トルク指令はその後、時定数τの一次遅れで元の指令値q0 に復帰する。
【0004】このとき、レールと車輪の粘着力が低下したままであると、元の指令値q0に戻る前に再空転し(時点t13)、再び再粘着制御が実行され(時点t14)、トルク指令カーブは、図13の一点鎖線Aに示した動きとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の電気車制御装置による空転・滑走時の再粘着制御では、雨天などで車輪の粘着力が低下すると、空転→再粘着→空転の事象が頻繁に繰り返され、電気車として加速性能の低下、乗り心地の低下を招く問題点があった。
【0006】本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、空転・滑走の発生頻度を低減し、加速性能及び乗り心地の向上が図れる電気車制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、電動機の回転数信号より駆動軸車輪の空転又は滑走を検知する空転・滑走検知手段と、前記電動機の回転数信号より車体速度を推定演算する車体速度推定手段と、前記空転・滑走検知手段が空転又は滑走を検知した時に、前記車体速度推定手段の求める車体速度と前記電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度の最大値(最大すべり速度)を演算する最大すべり速度演算手段と、前記最大すべり速度をXとして、粘着力係数Yのすべり速度Xに対してあらかじめ設定してある関数Y=−A・X+B(A,B定数)により粘着力係数を求める粘着力係数演算手段と、空転又は滑走を検知して駆動トルクを絞り、その後駆動トルクを復帰させる目標値を演算する際、前記粘着力係数演算手段により演算された粘着力係数に応じて粘着力係数が大きい時はトルクを復帰させる目標値を大きくし、小さい時はトルクを復帰させる目標値を小さくするトルク復帰目標値操作手段とを備えたものである。
【0008】請求項2の発明は、電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、電動機の回転数信号より駆動軸車輪の空転又は滑走を検知する空転・滑走検知手段と、前記電動機の回転数信号より車体速度を推定演算する車体速度推定手段と、前記空転・滑走検知手段が空転又は滑走を検知した時に、前記車体速度推定手段の求める車体速度と前記電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度を演算するすべり速度演算手段と、空転又は滑走を検知してトルク指令を絞り、その後トルク指令を復帰させる際、前記すべり速度演算手段で演算したすべり速度が予め設定された値以上になったことを検知してトルク指令を復帰させる動きを停止し、その時点のトルク指令値を保持するトルク指令操作手段とを備えたものである。
【0009】請求項3の発明は、請求項1記載の電気車制御装置において、空転又は滑走が発生した時の駆動軸車輪のレールに対する最大すべり速度Xに対する粘着力係数Yの関数を、Y=A/(X+B)(A、B定数)としたことを特徴とするものである。
【0010】請求項4の発明は、請求項1記載の電気車制御装置において、空転又は滑走が発生した時の駆動軸車輪のレールに対する最大すべり速度Xに対する粘着力係数Yの関数を、Y=−A・X+B(A,B定数)としたことを特徴とするものである。
【0011】請求項5の発明は、請求項1記載の電気車制御装置において、前記空転・滑走検知手段は、車輪の加速度あるいは減速度があるしきい値を超えたら空転・滑走検知信号をセットし、可変電圧可変周波数方式で駆動されている車輪と他の車輪との速度差があるしきい値以下になったら空転・滑走検知信号をリセットすることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の構成を示している。トルク指令演算部1は運転台のノッチ指令に応じたトルク指令Tsを演算する。空転・滑走検知部2は電気車の各駆動軸の速度から空転又は滑走を検知し、空転・滑走検知信号を出力する。最大速度演算部(MAX)3は各駆動軸の速度の最大値を演算する。最低速度演算部(MIN)4は各駆動軸の速度の最小値を演算する。車体速度推定部5はMIN4の演算した速度最小値から車体速度を推定する。加算器6は、MAX3で演算された最大速度とMIN5で演算された最小速度との差を、車輪とレール間のすべり速度として演算する。
【0013】最大すべり速度演算部7は、空転・滑走検知部2で検知された空転・滑走検知信号が出力されている間の最大すべり速度Xを演算する。粘着力係数演算部8は、最大すべり速度演算部7で演算された最大すべり速度から粘着力係数Yを演算する。トルク指令ラッチ部11は、空転・滑走検知部2により検知された空転・滑走検知信号の立ち上がりで空転前のトルク指令をラッチする。
【0014】乗算器9は、粘着力係数演算部8の求めた粘着力係数Yとトルク指令ラッチ部11のラッチした空転前のトルク指令とから粘着力Tμを求める。加算器10は、トルク指令演算部1の演算したトルク指令Tsからこの乗算器9の出力する粘着力Tμを差し引いて粘着時の絞り量ΔTadhを求める。空転・滑走検知部2で検知された空転・滑走検知信号が出力されている間、絞り量△Tを出力する変化率リミッタ15の前段の絞り量切換スイッチ14がトルク指令Ts側に切り替わり、変化率リミッタ15の出力する絞り量△Tはトルク指令Tsに向かって増加を始める。
【0015】一方、オフディレイタイマ(OFFTD)12は、空転・滑走検知部2の出力する空転・滑走検知信号に一定時間のOFFディレイを持たせる。そこで、空転・滑走検知部2から空転・滑走検知信号が出力されれば、このOFFディレイ信号は粘着力保持信号として粘着力出力切換スイッチ13の出力は△Tadhに切り替える。このため、空転・滑走検知部2からの空転・滑走検知信号がなくなると、絞り量切換スィッチ14は粘着力切換スイッチ13の出力側に切り替わり、変化率リミッタ15の入力は△Tadhとなり、絞り量△Tはある傾きで△Tadhまで減少する。
【0016】その後、粘着力保持信号は、空転・滑走検知信号が解除されてから一定のOFFディレイ時間後に解除されるので、粘着力切換スイッチ13の出力は0となり、絞り量△Tは0まである傾きで減少する。
【0017】駆動トルク指令Trefは、加算器16によりトルク指令演算部1の出力するトルク指令Tsから変化率リミッタ15の出力する△Tを差し引いた値である。このため、空転・滑走検知部2が空転を検知すると、空転・滑走検知信号が出力されている間はある傾きで減少し、空転・滑走検知信号がなくなるとある傾きで粘着力Tμまで復帰し、空転・滑走検知信号がなくなって一定時間後に元の値まで戻るという動作を行う。
【0018】図2は、図1における車体速度推定演算部5の詳しい構成を示す。加速度演算部21は最低速度演算部(MIN)4から入力された最小速度の加減速度を演算する。空転・滑走による急峻な加減速度を一次遅れフィルタ22で抑え、積分器24で積分することにより安定な推定速度を得る。加速度補正部26は積分器24の出力する推定速度と入力される最小速度との差を求め、加算器23において加速度演算部21の出力する加速度を補正し、積分器24の求める推定速度が最小速度から大きくかけ離れることを防ぐ。
【0019】最小値演算部(MIN)25では、推定速度が最小速度より大きくなることを防ぎ、大きくなった場合には、車体速度推定値が最小速度に一致するよう積分器24及び一次遅れフィルタ22をプリセットする。
【0020】図3は、図1における粘着力係数演算部8が実行する粘着力係数演算式の例を示している。レール乾燥時を1.0とすると、すべり速度Xが、X>X0 の領域ではY=−A・X+Bで関数化できる。発明者の実験結果では、X0 =0.25km/h,A=0.09,B=0.83が得られている。
【0021】図4、図5は、車輪に散水した条件で走行時の粘着力と、レール・車輪間のすべり速度との関係を測定した実験データを示す。これらの平均値を、レール乾燥時の値を1.0として変換し、すべり速度に対してプロットした特性が図3のグラフのようになる。
【0022】次に、上記の実施の形態の動作を、図6を用いて説明する。t2時点で空転・滑走検知部2により空転・滑走検知信号が発生すると、その時点の駆動トルク指令値Trefがトルク指令ラッチ部11によリTreflatchとしてラッチされる。その後、粘着力係数演算部8によりある傾きでトルク絞り量を増加させ、駆動トルク指令Trefを低減させる。t3時点で空転・滑走検知信号が解除されるまでの間の最大すべり速度X1 が最大すべり速度演算部7によって演算され、粘着力係数演算部9の出力Y1 は図3の特性により演算さる。すなわち、最大すべり速度X1 により粘着力係数Y1 は、Y1 =−A・X1 +Bとなり、空転・滑走検知時にラッチされた駆動トルクTreflatchに粘着力係数Y1 を掛けて、Tμ=Y1 ・Treflatchで演算される。
【0023】t3時点で空転・滑走検知信号が解除されると、粘着力係数演算部9の出力は粘着力△Tadhへ向かって減少するため、図中に示すように駆動トルク指令TrefはTμへ向かって上昇する。言い換えると、車輪がレールに再粘着し、空転・滑走検知信号が解除された時のトルク指令値は、空転を検知した時のトルク指令値に対して粘着力係数を掛けた値Tμになる。
【0024】本発明の第1の実施の形態によれば、トルク指令復帰前の最大すべり速度から粘着力を演算するので、最新のレール・車輪間の粘着状態を考慮した駆動トルク指令の復帰値の設定が可能となる。
【0025】次に、本発明の第2の実施の形態を、図7を用いて説明する。図6において、図1に示した第1の実施の形態と共通する要素には同一の符号を付してある。図1に示した第1の実施の形態に対して追加された要素は、復帰トルク保持部17、すべり速度増大検知部18、論理回路19である。
【0026】復帰トルク保持部17は、復帰停止信号によりトルク絞り量の減少を停止させる機能を有する。同じく追加されたすべり速度増大検知部18は、最大すべり速度演算部7の出力する最大すべり速度の増大を検知してすべり速度増大検知信号を出力し、論理回路19は、オフディレイタイマ12の粘着力保持信号に対するNOT信号とすべり速度増大検知信号とのANDを求める。復帰トルク保持部17は復帰停止信号によってトルク絞り量の減少を停止させる働きをするが、この復帰停止信号は、論理回路19の出力である、すべり速度増大検知信号と粘着力保持信号がないこととの論理積の条件で成立する信号である。
【0027】これにより、空転・滑走検知後、粘着力保持信号がなくなるまでは復帰停止信号は出力されないので、粘着力係数演算部8で演算された係数に基づく粘着力が確保される。発明者の実験結果では、復帰停止信号を出力するすべり速度のしきい値は0.5km/h、復帰停止信号を解除するしきい値は0.3km/h、粘着力保持信号を保持するOFFTD12のディレイ時間は3秒が好ましいという結果が得られている。
【0028】第2の実施の形態の動作を、第1の実施の形態と同様に図6を用いて説明する。t5時点で粘着力保持信号がなくなりトルク絞り量が減少を始めると、駆動トルクが上昇し、レール・車輪間の粘着力以上となるt6時点で、再び空転を始める。すべり速度が上昇し、復帰停止信号を出力するセット値以上になるt7時点で、トルク絞り量を減少させる動作を停止する。その後、すべり速度が復帰停止信号を解除するリセット値以下になるt8時点で、再び駆動トルク指令は上昇を始める。
【0029】本発明の第2の実施の形態によれば、すべり速度を監視してトルク指令の増加を抑制するので、すべり速度が増加し、再び空転・滑走が発生するのを防止できる。
【0030】次に、本発明の第3の実施の形態を、図8を用いて説明する。図1に示した第1の実施の形態又は図7に示した第2の実施の形態において、粘着力係数演算部8における粘着力係数Yの演算は、図8のグラフに示すようなY=A/(X+B)により行わせることができる。これにより、最大すべり速度X1 と粘着力係数Y1 は、Y1 =A/(X1 +B)で演算される。ただし、A、Bは定数である。
【0031】図8はB=Aとした場合のグラフである。この図8によれば、最大すべり速度が増大するほど粘着力係数はほぼ反比例で小さくなる。
【0032】次に、本発明の第4の実施の形態について、図9を用いて説明する。図1に示した第1の実施の形態又は図7に示した第2の実施の形態において、粘着力係数演算部8における粘着力係数Yの演算は、図9のグラフに示すようなY=−A・X+B(A,B定数)により行わせることもできる。これにより、最大すベリ速度X1 と粘着力係数Y1 は、Y1 =−A・X1 2 +B(A、B定数)で演算される。
【0033】図9はB=1.0とした場合である。この図9によれば、最大すべり速度が増大するほど粘着力係数はほぼ2乗に比例して小さくなる。
【0034】次に、本発明の第5の実施の形態について、図10を用いて説明する。図10は、図1に示した第1の実施の形態、図7に示した第2の実施の形態の電気車制御装置において、それぞれの空転・滑走検知部2に置き換えて採用できる空転・滑走検知部2の詳しい構成を示している。
【0035】本実施の形態の空転・滑走検知部2は、VVVF(可変電圧可変周波数方式)でNo.1軸を駆動している場合を示す。No.1軸の加速度を加速度演算部31で演算し、その出力を空転・滑走検知比較器32へ入力する。この比較器32は、入力される加速度が空転・滑走の検知しきい値を超えていたら「H」を出力し、空転・滑走検知信号作成フリップフロップ35のS入力にセットする。この結果、フリップフロップ35の出力である空転・滑走検知信号は「H」となる。
【0036】一方、最低速度演算部4の出力するNo.1軸速度〜No.4軸速度のうちの速度最小値に対して車体速度推定部5が求める車体速度推定値を取り込み、加算器33において、No.1軸速度とこの車体速度推定値との差、すなわちすべり速度を求める。空転・滑走解除比較器34は、この加算器33の出力するすべり速度を入力する。そして比較器34は、すべり速度が空転・滑走信号解除しきい値以下の値であれば、「H」を空転・滑走検知信号作成フリップフロップ35のR入力にセットする。この結果、フリップフロップ35の出力である空転・滑走検知信号は「L」となる。
【0037】図11は、図10の空転演算部2による空転・滑走検知方法を示している。No.1軸が空転し、その加速度が空転・滑走検知しきい値以上となると、空転・滑走検知信号は「H」となる。No.1軸が再粘着し、No.1軸速度と車体速度の差、すなわちすべり速度が空転・滑走信号解除しきい値以下となると、空転・滑走検知信号は「L」となる。この作用により、加速度のみで空転・滑走検知を行うよりも再粘着を確実に検知でき、再空転を防ぐことができる。
【0038】
【発明の効果】本発明により、空転・滑走時の再粘着特性が改善され、空転・滑走頻度が低減でき、電気車としての加速性能と乗り心地を向上させることができる。
【0039】特に、請求項1、3、4の発明によれば、電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御を行う電気車制御装置において、駆動軸車輪の空転又は滑走を監視し、空転又は滑走を検知した時に、電動機の回転数信号より推定した車体速度と電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度の最大値を演算し、さらに最大すべり速度をXとして、粘着力係数Yのすべり速度Xに対してあらかじめ設定してある関数Y=−A・X+B(A,B定数)により、あるいは、Y=A/(X+B)(A、B定数)、あるいは、Y=−A・X+B(A,B定数)により粘着力係数を求め、空転又は滑走を検知して駆動トルクを絞り、その後駆動トルクを復帰させる目標値を演算する際、この粘着力係数が大きい時はトルクを復帰させる目標値を大きくし、小さい時はトルクを復帰させる目標値を小さくするようにしたので、最新のレール・車輪間の粘着状態を考慮した駆動トルク指令の復帰値の設定が可能であり、空転・滑走時の再粘着特性が改善され、空転・滑走頻度が低減でき、電気車としての加速性能と乗り心地を向上させることができる。
【0040】また、請求項2の発明によれば、電気車の空転又は滑走を検知してトルクを絞り、その後トルクを復帰させる再粘着制御において、電動機の回転数信号より駆動軸車輪の空転又は滑走を検知し、また電動機の回転数信号より車体速度を推定演算し、空転又は滑走を検知した時に、車体速度と電動機の回転数信号より、駆動軸車輪のレールに対するすべり速度を演算し、空転又は滑走を検知してトルク指令を絞り、その後トルク指令を復帰させる際、すべり速度が予め設定された値以上になったことを検知してトルク指令を復帰させる動きを停止し、その時点のトルク指令値を保持するようにしたので、すべり速度を監視してトルク指令の増加を抑制することができ、すべり速度が増加し、再び空転・滑走が発生するのを防止できる。
【0041】さらに、請求項5の発明によれば、車輪の加速度あるいは減速度があるしきい値を超えたら空転・滑走検知信号をセットし、可変電圧可変周波数方式で駆動されている車輪と他の車輪との速度差があるしきい値以下になったら空転・滑走検知信号をリセットするようにしたので、加速度のみで空転・滑走検知を行うよりも再粘着を確実に検知でき、再空転を防ぐことができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−164016(P2003−164016A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−360444(P2001−360444)