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【発明の名称】 動力出力装置およびこれを備える自動車
【発明者】 【氏名】多賀 豊
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内

【要約】 【課題】装置全体の効率を更に向上させる。

【解決手段】エンジン22のクランクシャフト26とモータMG1の回転軸とに接続された3軸式の動力分配統合機構30の出力軸としての駆動軸36にモータMG2を取り付けると共にクラッチCLを介してモータMG3を取り付け、要求動力に見合う動力が効率よくエンジン22から出力されるようエンジン22とモータMG1とを制御する。そして、要求動力が比較的小さい低負荷時にはクラッチCLによりモータMG3を駆動軸36から切り離し、要求動力が比較的大きい高負荷時にはクラッチCLによりモータMG3を駆動軸36に接続して、要求トルクが駆動軸36に出力されるようモータMG2とモータMG3とを制御する。最大出力が大きなモータを低負荷運転しないから、装置全体の効率を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸とに接続され、該3軸のうちの2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な第1電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第3電動機と、前記第1電動機,前記第2電動機,前記第3電動機のいずれとも電力のやり取りが可能な二次電池と、前記駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記内燃機関と前記第1電動機と前記第2電動機と前記第3電動機とを運転制御する運転制御手段と、を備える動力出力装置。
【請求項2】 前記運転制御手段は、前記要求動力が所定動力以下のときには、前記第2電動機から動力が出力されると共に前記第3電動機から動力が出力されないよう該第2電動機と該第3電動機とを運転制御する手段である請求項1記載の動力出力装置。
【請求項3】 請求項2記載の動力出力装置であって、前記第3電動機と前記駆動軸との機械的な接続および接続の解除を司る接続手段を備え、前記運転制御手段は、前記要求動力が前記所定動力以下のときには、前記第3電動機と前記駆動軸との機械的な接続が解除されるよう前記接続手段を駆動制御する手段である動力出力装置。
【請求項4】 前記第1電動機は、最大発電電力が前記第2電動機の最大消費電力と前記第3電動機の最大消費電力との和に略等しいように構成されてなる請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
【請求項5】 前記第2電動機および前記第3電動機は、該第2電動機の最大消費電力と該第3電動機の最大消費電力との和が前記第1電動機の最大発電電力と前記二次電池の最大放電電力との和に略等しいように構成されてなる請求項1ないし3いずれか記載の動力出力装置。
【請求項6】 前記第2電動機は、前記第3電動機と略同等の最大パワーとなるよう設計されてなる請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置。
【請求項7】 前記第2電動機は、前記第3電動機より最大パワーが小さくなるよう設計されてなる請求項1ないし5いずれか記載の動力出力装置。
【請求項8】 前記駆動軸に車軸が機械的に接続されてなる請求項1ないし7いずれか記載の動力出力装置を備える自動車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力出力装置およびこれを備える自動車に関し、詳しくは、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびこれを備える自動車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の動力出力装置としては、プラネタリギヤの3軸に内燃機関の出力軸と駆動軸と発電可能な電動機の回転軸とを接続すると共に駆動軸に動力を出力可能な電動機を備えるものが提案されている(例えば、特開平2000−197208号公報など)。この装置では、駆動軸に要求される要求動力に見合う動力を効率よく出力する運転ポイントで運転された内燃機関からの動力をプラネタリギヤと2つの電動機によりトルク変換して要求動力として駆動軸に出力する。このとき、内燃機関の運転ポイントは、要求動力に見合う動力を出力できる運転ポイントであれば如何なる運転ポイントでも運転することができるから、最も効率の良い運転ポイントを選択して運転することにより、装置全体としての効率を向上させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした動力出力装置では、電動機は駆動軸に要求される最大要求動力に対応できるように設計されるから、要求動力が比較的低負荷のときには、電動機も低負荷領域で運転する必要から、効率の良い運転領域で電動機を運転することができない場合が生じる。こうした問題は、電動機を低負荷領域でも高負荷領域でも効率よく運転できるよう設計することにより回避することができるが、こうした設計の電動機についての報告は今のところ知られていない。
【0004】本発明の動力出力装置は、装置全体の効率を更に向上させることを目的とする。また、本発明の自動車は、エネルギ効率を高くして燃費の向上を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明の動力出力装置およびこれを備える自動車は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
【0006】本発明の動力出力装置は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸とに接続され、該3軸のうちの2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な第1電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第3電動機と、前記第1電動機,前記第2電動機,前記第3電動機のいずれとも電力のやり取りが可能な二次電池と、前記駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記内燃機関と前記第1電動機と前記第2電動機と前記第3電動機とを運転制御する運転制御手段と、を備えることを要旨とする。
【0007】この本発明の動力出力装置では、内燃機関から出力された動力を3軸式動力入出力手段と第1電動機と第2電動機と第3電動機とによりトルク変換して駆動軸に出力することができる。また、第2電動機と第3電動機とにより駆動軸に動力を入出力することができるから、低負荷時には第2電動機か第3電動機の一方を効率の良い運転領域として運転するなどの制御を行なうこともできる。即ち、第2電動機や第3電動機の運転制御により、装置全体の効率を向上させることができる。
【0008】こうした本発明の動力出力装置において、前記運転制御手段は、前記要求動力が所定動力以下のときには、前記第2電動機から動力が出力されると共に前記第3電動機から動力が出力されないよう該第2電動機と該第3電動機とを運転制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、要求動力が所定動力以下の低負荷時には、第2電動機を効率の良い運転領域で運転すると共に第3電動機の運転を停止することができる。この結果、装置全体の効率を向上させることができる。この態様の本発明の動力出力装置において、前記第3電動機と前記駆動軸との機械的な接続および接続の解除を司る接続手段を備え、前記運転制御手段は、前記要求動力が前記所定動力以下のときには、前記第3電動機と前記駆動軸との機械的な接続が解除されるよう前記接続手段を駆動制御する手段であるものとすることもできる。こうすれば、要求動力が所定動力以下の低負荷時には第3電動機が駆動軸から機械的に切り離されるから、第3電動機のロータを回転させるエネルギをも節約することができる、この結果、装置全体の効率を更に向上させることができる。
【0009】また、本発明の動力出力装置において、前記第1電動機は、最大発電電力が前記第2電動機の最大消費電力と前記第3電動機の最大消費電力との和に略等しいように構成されてなるものとすることもできる。こうすれば、第1電動機と第2電動機と第3電動機とを電力収支的にバランスのとれたものとすることができる。
【0010】さらに、本発明の動力出力装置において、前記第2電動機および前記第3電動機は、該第2電動機の最大消費電力と該第3電動機の最大消費電力との和が前記第1電動機の最大発電電力と前記二次電池の最大放電電力との和に略等しいように構成されてなるものとすることもできる。こうすれば、第1電動機と第2電動機と第3電動機と二次電池とを電力収支的にバランスのとれたものとすることができる。
【0011】あるいは、本発明の動力出力装置において、前記第2電動機は、前記第3電動機と略同等の最大パワーとなるよう設計されてなるものとすることもできる。こうすれば、第2電動機として第3電動機と同一の電動機を用いることができる。
【0012】また、本発明の動力出力装置において、前記第2電動機は、前記第3電動機より最大パワーが小さくなるよう設計されてなるものとすることもできる。こうすれば、要求動力が小さい低負荷領域でも装置全体の効率を更に向上させることができる。
【0013】本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の動力出力装置を備え、前記駆動軸が車軸に機械的に接続されてなること、即ち、基本的には、内燃機関と、該内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転軸とに接続され該3軸のうちの2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記回転軸に動力を入出力可能な第1電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第2電動機と、前記駆動軸に動力を入出力可能な第3電動機と、前記第1電動機,前記第2電動機,前記第3電動機のいずれとも電力のやり取りが可能な二次電池と、前記駆動軸に要求される要求動力に基づいて前記内燃機関と前記第1電動機と前記第2電動機と前記第3電動機とを運転制御する運転制御手段と、を備える動力出力装置を備え、この動力出力装置の駆動軸が車軸に機械的に接続されてなることを要旨とする。
【0014】この本発明の自動車は、上述のいずれかの態様の本発明の動力出力装置を備えるから、本発明の動力出力装置が奏する効果、例えば、装置全体の効率を向上させることができる効果を奏することができる。この結果、自動車の燃費の向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸36に動力を入出力可能なモータMG2と、駆動軸36にクラッチCLと回転軸37とを介して接続されるモータMG3と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0016】エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0017】動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはモータMG2およびモータMG3から動力の入出力が可能な駆動軸36がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、駆動軸36およびデファレンシャルギヤ38を介して、最終的には車両の駆動輪39a,39bに出力される。
【0018】モータMG1,モータMG2およびモータMG3は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42,43を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42,43とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42,43が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2,MG3のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2,MG3のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2,MG3により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2,MG3は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2,MG3を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2,MG3の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ44,45,46からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2,MG3に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42,43へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2,MG3を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2,MG3の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
【0019】実施例では、モータMG1で発電した電力のすべてをモータMG2とモータMG3とで消費することができるようにモータMG1による最大発電電力がモータMG2の最大消費電力とモータMG3の最大消費電力の和にほぼ一致するようモータMG1,MG2,MG3が設計されている。また、車両に要求される要求動力が小さい低負荷時に、モータMG3を切り離して効率よく走行できるようモータMG2の最大出力がモータMG3の最大出力より小さくなるよう設計されている。
【0020】バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば,バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリECU52では、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)も演算している。
【0021】ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度AP,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、クラッチCLのアクチュエータ62への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
【0022】次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にトルク制御の際の動作について説明する。実施例のハイブリッド自動車20の可能な走行パターンとしては、エンジン22の運転を停止してバッテリ50からの電力によりモータMG2かモータMG3の一方または双方を電動機として駆動して駆動軸36に動力を出力して走行する走行パターン1や、モータMG2とモータMG3とを駆動せずにモータMG1を発電機として駆動してバッテリ50の充電を伴いながらエンジン22からの動力を駆動軸36に出力して走行する走行パターン2、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ50の充放電を伴いながらエンジン22からの動力を駆動軸36に出力して走行する走行パターン3、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ50の充放電なしにエンジン22からの動力を駆動軸36に出力して走行する走行パターン4がある。運転者が要求する要求駆動力を駆動軸36に出力する制御は、走行パターン1では、その要求駆動力に基づいてバッテリ50からの電力を用いてモータMG2とモータMG3とを駆動制御すればよく、走行パターン2では、要求駆動力に基づいてエンジン22とモータMG1とを駆動制御すればよい。走行パターン4では、バッテリ50を充放電する電力に相当する動力分だけ走行パターン3におけるエンジン22からの動力を増減すればよい。従って、実施例のハイブリッド自動車20において基本となる走行パターンはパターン3であり、運転者が要求する要求駆動力を走行パターン3により駆動軸36に出力する制御が基本となる。以下、走行パターン3によるトルク制御について説明する。
【0023】図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるトルク制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、走行パターン3の制御とされたときに、所定時間毎(例えば、8msec毎)に繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84により検出されるアクセル開度APや車速センサ88により検出される車速V,バッテリECU52により演算されるバッテリ50の残容量(SOC)を読み込む処理を実行する(ステップS100)。そして、読み込んだアクセル開度APと車速Vとに基づいて駆動軸36に要求される要求駆動力としての要求トルクT*と要求動力P*とを計算する(ステップS102)。要求トルクT*の計算は、実施例では、アクセル開度APと車速Vと要求トルクT*との関係を実験などにより設定して予めマップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度APと車速Vとが与えられると、記憶したマップから対応する要求トルクT*が導出されるものとした。アクセル開度APと車速Vと要求トルクT*との関係の一例を示すマップを図3に示す。また、要求動力P*の計算は、次式(1)により求めるものとした。式(1)中、Gvは車速Vを駆動軸36の回転数に変換する変換係数である。
【0024】
【数1】P*=T*×V・Gv (1)
【0025】こうして要求トルクT*と要求動力P*とを求めると、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいてバッテリ50の充放電電力Pbを設定する(ステップS104)。実施例では、充放電電力Pbを残容量(SOC)に基づいて設定するものとしたが、残容量(SOC)だけでなく、車両の走行状態やこれから走行が予定されている地形や道路の状態などにより充放電電力Pbを設定するものとしてもよい。
【0026】バッテリ50の充放電電力Pbを設定すると、要求動力P*と充放電電力Pbとの和を動力出力装置全体の効率ηaで除してエンジン22から出力すべき目標動力Pe*として計算すると共にこの目標動力Pe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを決定する(ステップS106)。目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、エンジン22から目標動力Pe*を出力可能な運転ポイントのうちエンジン22が最も効率よく運転できる運転ポイントとして設定される。なお、こうした目標回転数Ne*と目標トルクTe*との決定は、実施例では、エンジン22が最も効率よく運転できる運転ポイントとしての出力動力と回転数とトルクとを実験などにより求めて予めマップとしてROM84に記憶しておき、目標動力Pe*が与えられると、記憶したマップから対応する回転数とトルクとを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として導出するものとした。
【0027】目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを決定すると、目標回転数Ne*と車速Vとに基づいてモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に目標トルクTe*に基づいてトルク指令Tm1*を計算する(ステップS108)。いま、ハイブリッド自動車20が車速Vで走行し、エンジン22が目標回転数Ne*で回転している状態を考える。この状態では、動力分配統合機構30のキャリア34は目標回転数Ne*で回転し、リングギヤ32は車速Vに換算係数を乗じた回転数で回転する。遊星歯車機構は、3軸のうちの2軸の回転状態が決まれば残余の1軸の回転状態は、2軸の回転状態にギヤ比を考慮すれば一義的に決まるから、モータMG1が取り付けられたサンギヤ31の回転数は、キャリア34の回転数とリングギヤ32の回転数、即ち目標回転数Ne*と車速Vとにより計算できる。また、目標回転数Ne*で回転するキャリア34に目標トルクTe*が入力されてその積で表わされる動力、即ちエンジン22からの目標動力Pe*がサンギヤ31とリングギヤ32とに分配されて出力される状態を考えれば、キャリア34に入力されたトルクはその大きさとギヤ比により一義的にサンギヤ31とリングギヤ32とに分配できるから、目標トルクTe*とギヤ比によりサンギヤ31に分配されるトルクを計算することができる。従って、このサンギヤ31に分配されるトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*とすれば、トルク指令Tm1*を目標トルクTe*に基づいて計算することができる。
【0028】次に、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とにより運転されているエンジン22から出力される動力のうちリングギヤ32に出力されるトルク、即ち駆動軸36に出力される駆動軸分配トルクTdeを計算する(ステップS110)。前述したように、キャリア34に入力されたトルクはその大きさとギヤ比により一義的にサンギヤ31とリングギヤ32とに分配できるから、目標トルクTe*とギヤ比によりリングギヤ32に分配されるトルクを計算することができる。そして、要求トルクT*から計算した駆動軸分配トルクTdeを減じたものに車速Vと換算係数Gvとを乗じてモータMG2とモータMG3とにより出力すべきモータ動力Pmを計算し(ステップS112)、モータ動力Pmと所定動力Psetとを比較する(ステップS114)。ここで、所定動力Psetは、実施例では、モータMG2の最大出力に相当するものとして設定されている。
【0029】モータ動力Pmが所定動力Pset以下のときには、クラッチCLを解除して回転軸37を駆動軸36から切り離し(ステップS116)、モータMG2のトルク指令Tm2*に要求トルクT*と駆動軸分配トルクTdeとの偏差を設定すると共に(ステップS118)、モータMG3のトルク指令Tm3*に値0を設定する(ステップS120)。一方、モータ動力Pmが所定動力Pset以下のときには、クラッチCLを接続して回転軸37を駆動軸36に接続し(ステップS122)、所定動力Psetを駆動軸36の回転数(車速Vに換算係数Gvを乗じたもの)で除して得られる値をモータMG2のトルク指令Tm2*に設定すると共に(ステップS124)、モモータ動力Pmと所定動力Psetの偏差を駆動軸36の回転数(車速Vに換算係数Gvを乗じたもの)で除して得られる値をータMG3のトルク指令Tm3*に設定する(ステップS126)。
【0030】そして、設定したエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*,モータMG1の目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*,モータMG3のトルク指令Tm3*をエンジンECU24やモータECU70に出力して(ステップS128)、本ルーチンを終了する。エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*を入力したエンジンECU24は、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とからなる運転ポイントで運転されるよう燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を行なう。また、モータMG1の目標回転数Nm1*やトルク指令Tm1*,モータMG2のトルク指令Tm2*,モータMG3のトルク指令Tm3*を入力したモータECU70は、モータMG1が目標回転数Nm1*で回転するようモータMG1を駆動制御すると共にモータMG2およびモータMG3からトルク指令Tm2*,Tm3*のトルクが出力されるようモータMG2およびモータMG3を駆動制御する。
【0031】以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、トルク制御ルーチンを実行することにより、走行パターン3、即ち、モータMG1を発電機として駆動すると共にモータMG2またはモータMG3の一方あるいは双方を電動機として駆動してバッテリ50の充放電を伴いながらエンジン22からの動力を駆動軸36に出力して走行することができる。しかも、要求動力P*が比較的小さくてモータ動力Pmが所定動力Pset以下のとき、即ち、モータMG2やモータMG3により駆動軸36に出力する動力が比較的小さいときには、最大出力が大きく設計されたモータMG3を駆動軸36から切り離し、モータMG2からモータ動力Pmに相当する動力を出力するから、モータMG3を備えずに最大出力が大きく設計されたモータMG2を低負荷運転する場合に比して、車両全体の効率を高くすることができる。この結果、ハイブリッド自動車20の燃費を向上させることができる。
【0032】上述したトルク制御ルーチンは、走行パターン3によるものであるが、バッテリ50の充放電電力Pbを値0として設定すれば、走行パターン4によるものとなる。この走行パターン4の場合でも走行パターン3と同様の効果が得られるのは言うまでもない。
【0033】実施例のハイブリッド自動車20では、クラッチCLにより回転軸37と駆動軸36とを接続したり接続を解除したりしてモータMG3を駆動軸36に接続したり切り離したりしたが、クラッチCLを備えないものとしても構わない。この場合、要求動力P*が比較的小さくてモータMG2とモータMG3とにより駆動軸36に出力する動力が比較的小さいときには、モータMG3の運転を停止すると共にモータMG2からモータ動力Pmに相当する動力を出力すればよい。モータMG3のロータをつれ回すことになるから、車両全体の効率は、実施例に比して僅かではあるが低下するが、モータMG3を備えずに最大出力が大きく設計されたモータMG2を低負荷運転する場合に比して、高くなる。
【0034】実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG1で発電した電力のすべてをモータMG2とモータMG3とで消費することができるようにモータMG1による最大発電電力がモータMG2の最大消費電力とモータMG3の最大消費電力の和にほぼ一致するようモータMG1,MG2,MG3が設計したが、モータMG1の最大発電電力がモータMG2の最大消費電力とモータMG3の最大消費電力との和に等しくないようモータMG1,MG2,MG3を設計するものとしてもよい。この場合、モータMG2の最大消費電力とモータMG3の最大消費電力との和がモータMG1の最大発電電力とバッテリ50の最大放電電力との和にほぼ一致するようモータMG1,MG2,MG3,バッテリ50を設計するものとしてもよい。こうすれば、より大きな駆動力を得ることができる。
【0035】実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の最大出力がモータMG3の最大出力より小さくなるようモータMG2とモータMG3とを設計したが、モータMG2の最大出力をモータMG3の最大出力と同一となるようモータMG2とモータMG3とを設計するものとしてもよい。この場合、モータMG2とモータMG3とを同一の種類の電動機としてもよい。こうすれば、車両を構成する部品数を少なくすることができる。また、モータMG2の最大出力がモータMG3の最大出力より大きくなるようモータMG2とモータMG3とを設計するものとしてもよい。
【0036】実施例では、エンジン22からの動力を動力分配統合機構30,モータMG1,モータMG2,モータMG3を用いて駆動軸36に出力する動力出力装置を車両に搭載したハイブリッド自動車20の形態として説明したが、車両以外の移動体、例えば、船舶や航空機,建設機械などに搭載するものとしても差し支えない。
【0037】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
【出願日】 平成13年11月26日(2001.11.26)
【代理人】 【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
【公開番号】 特開2003−164007(P2003−164007A)
【公開日】 平成15年6月6日(2003.6.6)
【出願番号】 特願2001−358760(P2001−358760)